特許拒絶査定不服審判
2016-001373
乗客席アセンブリ及びその態様
- 審判番号
- 2016-001373
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-534400外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2016年01月29日
- 審決日
- 2016年12月27日
- 公報発行日
- 2017年07月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ゾディアック シーツ フランス
- 【請求人代理人】川北 喜十郎
- 分類
- P18 .113-Z (B60N) / P18 .575-Z (B60N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-534400「乗客席アセンブリ及びその態様」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月26日国際公開、WO2012/052823、平成25年10月31日国内公表、特表2013-540075〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本件出願は、2011年10月18日(パリ条約による優先権主張 2010年10月18日、欧州、2010年10月19日、欧州、2010年11月22日、欧州、2011年4月4日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成27年9月2日に手続補正書が提出され、同年9月24日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされ(同査定の謄本の送達(発送)日 同月29日)、これに対して、平成28年1月29日で拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲等を補正する手続補正がなされたものである。
第2.平成28年1月29日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1.本件補正後の本願の発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
a.後面を有する背もたれと
b.トレイテーブルと
を備える座席であって、
前記トレイテーブルは
i.前記背もたれの前記後面に、第1の位置で連結される少なくとも1つのアームと
ii.前記少なくとも1つのアームと一体に形成された支持体と
を備え、
第1の位置は前記背もたれの前記後面の幅よりも内側であり、
前記背もたれの前記後面に形成された凹型の上部に前記トレイテーブルが収納されているときに、第1の位置は前記支持体の下方に位置する座席。」と補正された。(下線は審決で付した。以下の下線も同様。)
上記の補正は、請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「支持体」に関し、「少なくとも1つのアームと一体に形成された」と限定するものであり、また請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1の位置」に関し、「第1の位置は背もたれの後面の幅よりも内側であり、前記背もたれの前記後面に形成された凹型の上部にトレイテーブルが収納されているときに、第1の位置は前記支持体の下方に位置する」と限定するものであって、特許法第17条の2第5項第2号に規定される「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そこで、前記に記載された事項により特定される、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。
2.引用例
原査定に係る拒絶理由で引用された、本願の優先日前である昭和54(1979)年2月27日に頒布された刊行物である米国特許第4141586号明細書(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、原文の後の括弧{}内に記載したものは、当審での訳文である。)
ア.「Referring now to the drawings, a vehicle seat, which is provided particularly for installation in an omnibus, however also is suitable for trains or airplanes, has a seat part characterized as a unit with the numeral 1 and a pivotal backrest designated as a unit with the numeral 2, the backrest being arrestably connected with the seat part in selectable positions. For the pivotal connection of the backrest 2 with the seat part 1, in the back on both sides of a seat pillow-carrying frame of the seat-frame of the seat part 1, respectively, a vertically oriented plate 3 is welded thereon and protrudes rearwardly as well as upwardly from the frame. One side strut 4 and the other side strut 4, respectively, of a back-frame is articulated with the same pivot axis to these plates 3 by means of one pivot bolt or pin each. The pivotal connection between the backrest 2 and the seat part 1 could also be achieved, for example, by means of two pivot fastenings, braces or hinges.」(第3欄第39~56行)
{「ここで図面を参照すると、殊にバスに設置するために設けられるが、電車や飛行機にも適している車両シートは、番号1を付したユニットとして特徴づけられる座部と、番号2として指定されたピボット式の背もたれを持ち、この背もたれは、選択可能な位置でシート部と接続されている。背もたれ部2と座部1とのピボット式連結のために、座部1の座枠のシートピロー支持フレームの両側の背部に、垂直に配向されたプレート3がその上に溶接され、フレームから後方と上方に突出する。バックフレームの一方側ストラット4および他方側ストラット4は、1つのピボットボルトまたはピンによって、これらのプレート3に対して同じピボット軸を用いて関節運動される。背もたれ部2と座部1の間のピボット式接続も、例えば、2つのピボット留め具、ブレース、またはヒンジによって実現することができる。」}
イ.「One flat rod 6 each is arranged in front of the two side struts 4 of the backrest frame, each rod 6 lying in the pivot plane of the respective side struts 4. The lower end of each flat rod 6 is articulated to the corresponding plate 3 spaced in front of the articulation point of the side strut 4. From this articulation point of the flat rods 6, each of the two identically formed and arranged flat rods 6 which is disposed parallel to the lateral strut 4, extends still upwardly to a height which is somewhat higher than the level of a folding table 7 provided on the rear side of the backrest 2. At a distance from the upper end of the flat rods 6 at a height corresponding to the height at the rear end of two identically formed armrests 8 (which armrests are provided on both sides of the seat), each of the two flat rods 6 is articulated to one connection part 9, which connection part is formed as a plate having a triangular-like contour in the illustrated embodiment. At a distance from the pivot axis of the backrest 2, which distance is equal to the distance of the upper articulation point from the lower articulation point of the flat rod 6, each of the two connection parts 9 is articulated to the corresponding coordinated lateral strut 4. On both sides of the backrest 2, consequently, two identically formed parallelograms are present, the first link or connecting rod thereof being formed by the lateral strut 4 and its second connecting rod or link being formed by the corresponding coordinated flat rod 6. The two flat rods 6, likewise as the two lateral struts 4, are covered toward the front, to the side and toward the rear.」(第3欄第67行~第4欄第28行)
{「フラットロッド6はそれぞれ、背もたれフレームの2つの側方ストラット4の前に配置され、それぞれの側方ストラット4のピボット面に横たわっている。各フラットロッド6の下端は、サイドストラット4の関節点の前方に間隔を置いて配置された、対応するプレート3に関節接続されている。フラットロッド6のこの関節点から、同一に形成され、側方ストラット4に平行に配置された2つのフラットロッド6は、背もたれ2の後部に設けられた折り畳みテーブル7のレベルよりも、幾分高い高さまで上方に延びる。同様に形成された2つの肘掛8の後端部の高さに対応する高さのフラットロッド6の上端から離れて(肘掛はシートの両側に設けられている)、2つのフラットロッド6のそれぞれは、図で示された実施形態では三角形の輪郭を有するプレートとして形成された、1つの接続部9に関節接続されている。フラットロッド6の下部関節部からの上部関節点の距離に等しい、背もたれ2のピボット軸からの距離では、2つの接続部品9は、対応する調整された側方ストラット4に連結されている。背もたれ2の両側にはその結果、2つの同様に形成された平行四辺形が存在し、第1リンクまたはその側方ストラット4およびその第2連結ロッドによって形成される連結ロッド、または対応する調整されたフラットロッド6によって形成されるリンクである。2つの側方ストラット4と同様に2つのフラットロッド6は、前方、側方、後方に向かって覆われる。」}
ウ.「Only slightly underneath the upper end of the flat rods 6, at the same height, respectively, one off-set of angularly bent-off carrier arm 10 each is articulated on the inner side of the two lateral struts 4. The two identically formed carrier arms 10 carry the folding table 7 and project beyond its rear edge adjacent to the backrest 2. Moreover they extend out beyond the pivot point on the lateral strut 4 up to the flat rod 6. Both of the flat rods 6 carry at the same height in the vicinity of their respective upper ends one inwardly projecting pin 11 each. The carrier arms 10 abuttingly engage on the lower side of these two pins 11, respectively, when the folding table 7 is in its position of use, in which position it lies in a horizontal plane in the illustrated embodiment.」(第4欄第29~43行)
{「フラットロッド6の上端のわずかに下部の、同じ高さで、角度をなして折り曲げられたキャリアアーム10のオフセット部分が、それぞれ、2つの側方ストラット4の内側に関節連結されている。2つの同様に形成されたキャリアアーム10は、折り畳みテーブル7を支持し、背もたれ2に隣接するその後縁を越えて突出する。さらにそれらは、側方ストラット4のピボット点を越えてフラットロッド6まで延びる。両方のフラットロッド6は、それらのそれぞれの上端付近の同じ高さで内方突出しているピン11を支える。キャリアアーム10は、折り畳みテーブル7が図示された実施形態で、水平面に横たわる使用ポジションにある時、これらの2つのピン11の下部に当接する。」}
エ.「If the folding table 7 is not used it is then pivoted upwardly until it abuts on the rear side of the backrest 2, the backrest 2 for this purpose being formed on its rear side with a recess which is adjusted correspondingly or complementary to the size of the folding table 7, as well as being provided with a holding device for the folding table 7 in the upper edge of this recess. With this pivotal movement the free end section of the carrier arm 10 pivots away from the pin 11 into a position parallel to the coordinated or associated lateral strut 4 (as illustrated in dashed lines). Since the plane which is defined by the pin 11 and the tilting axis of the folding table 7, with respect to its inclination position, only depends on the inclination of that plane which is determined by the pivot axis of the backrest 2 and the lower articulation point of the flat rod 6, a pivoting of the backrest 2 produces no change of the horizontal position of the folding table 7 in its use position, but only an insignificant change of height (compare the dashed line position in FIG. 1).」(第4欄第44~63行)
{「折り畳みテーブル7が使用されていなければ、背もたれ2の後部に当接するまで上方に旋回され、背もたれ2はこの目的のために、その後部に折り畳みテーブル7のサイズに対応して、または相補的に調整された凹部が形成されている。またこの凹部の上端に折り畳みテーブル7の保持装置も設けられている。この旋回運動によってキャリアアーム10の自由端部分は、ピン11から協働または関連する、側方ストラット4に平行な位置に枢動する(破線で示されたように)。ピン11および折り畳みテーブル7の傾斜軸によって規定される平面は、その傾斜位置に関して、背もたれ2のピボット軸およびフラットロッドの下部関節点によって決定される、その平面の傾斜にのみ依存するので、背もたれ2の枢動は、その使用位置において折り畳みテーブル7の水平位置の変化を生じないが、わずかな高さの変化はある(図1の点線の位置を比較)。」}
オ.Fig.1、2より、背もたれ2の後部に形成されている凹部に折り畳みテーブル7が収納されているときに、2つの側方ストラット4の内側に関節連結されているキャリアアーム10のオフセット部分の位置は、折り畳みテーブル7の下方に位置すること、及び、キャリアアーム10の後端部の動きと、折り畳みテーブル7の動きとは一致していることが看取できる。
上記の記載事項ア、イ中の「バックフレーム(back-frame)」と「背もたれフレーム(backrest frame)」とは、同じものと解されるから、上記の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「車両シートであって、
車両シートは、座部1と、ピボット式の背もたれ2を持ち、
背もたれフレームの一方側ストラット4および他方側ストラット4は、同じピボット軸を用いて関節運動され、
フラットロッド6はそれぞれ、背もたれフレームの2つの側方ストラット4の前に配置され、側方ストラット4に平行に配置された2つのフラットロッド6は、背もたれ2の後部に設けられた折り畳みテーブル7のレベルよりも、幾分高い高さまで上方に延び、2つの側方ストラット4と同様に前方、側方、後方に向かって覆われ、
フラットロッド6の上端のわずかに下部の、同じ高さで、角度をなして折り曲げられたキャリアアーム10のオフセット部分が、それぞれ、2つの側方ストラット4の内側に関節連結されていて、2つの同様に形成されたキャリアアーム10は、折り畳みテーブル7を支持し、背もたれ2に隣接するその後縁を越えて突出し、
両方のフラットロッド6は、それらのそれぞれの上端付近の同じ高さで内方突出しているピン11を支え、キャリアアーム10は、折り畳みテーブル7が水平面に横たわる使用ポジションにある時、これらの2つのピン11の下部に当接し、
折り畳みテーブル7が使用されていなければ、背もたれ2の後部に当接するまで上方に旋回され、背もたれ2はこの目的のために、その後部に凹部が形成されていて、
背もたれ2の後部に形成されている凹部に折り畳みテーブル7が収納されているときに、2つの側方ストラット4の内側に関節連結されているキャリアアーム10のオフセット部分の位置は、折り畳みテーブル7の下方に位置し、また、キャリアアーム10の後端部の動きと、折り畳みテーブル7の動きとは一致している、
車両シート。」
3.対比 ・判断
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
後者の「車両シート」は、その形状や機能からみて、前者の「座席」に相当しており、以下同様に、「背もたれ2」は「背もたれ」に、「折り畳みテーブル7」は「支持体」に、「後部」は「後面」に、「キャリアアーム10」は「アーム」に、「凹部」は「凹型」に、それぞれ相当する。
そして、後者において、「背もたれフレーム」である2つの側方ストラット4に「キャリアアーム10が関節連結される」位置が、前者における「第1の位置」であるといえる。
また、2つの側方ストラット4は「後方に向かって覆われ」ているとはいえ、それらの前方にフラットロッド6等が配置されていることを考慮すると、側方ストラット4は、実質的に、「背もたれの後面(後部)」の一部を形成しているといえる。
更に、後者は、側方ストラット4(背もたれフレーム)が背もたれ2を構成している部材であって、キャリアアーム10が「2つの側方ストラット4の内側」に関節連結されているから、後者も前者と同様に「第1の位置(キャリアアーム10が関節連結される位置)は背もたれ(背もたれ2)の後面(後部)の幅よりも内側」であるといえる。
また、後者は、背もたれ2の後部に形成されている凹部に折り畳みテーブル7が収納されているときに、2つの側方ストラット4の内側に関節連結されているキャリアアーム10のオフセット部分の位置は、折り畳みテーブル7の下方に位置しているから、後者も前者と同様に「背もたれ(背もたれ2)の後面(後部)に形成された凹型(凹部)の上部にトレイテーブル(折り畳みテーブル7)が収納されているときに、第1の位置は支持体(キャリアアーム10)の下方に位置する」といえる。
また、後者において、「キャリアアーム10の後端部の動きと、折り畳みテーブル7の動きとは一致している」から、キャリアアーム10と折り畳みテーブル7とは一体に形成されていると解され、後者も前者と同様に、「少なくとも1つのアーム(キャリアアーム10)と一体に形成された支持体(折り畳みテーブル7)」を備えるものといえる。
してみると、両者は、
「a.後面を有する背もたれと
b.トレイテーブルと
を備える座席であって、
前記トレイテーブルは
i.前記背もたれの前記後面に、第1の位置で連結される少なくとも1つのアームと
ii.前記少なくとも1つのアームと一体に形成された支持体と
を備え、
第1の位置は前記背もたれの前記後面の幅よりも内側であり、
前記背もたれの前記後面に形成された凹型の上部に前記トレイテーブルが収納されているときに、第1の位置は前記支持体の下方に位置する座席。」
との点で一致する。
したがって、本願補正発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本願補正発明は引用発明といえる。
よって、本願補正発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
4.むすび(本件補正の適否について)
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3.本願の発明について
1.本願の発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年9月2日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
a.後面を有する背もたれと
b.トレイテーブルと
を備える座席であって、
前記トレイテーブルは、
i.前記背もたれの前記後面に、第1の位置で連結される少なくとも1つのアームと
ii.支持体と
を備える座席。」
2.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載内容、並びに引用発明は、上記「第2.2.引用例」に記載したとおりである。
3.対比・判断
本願発明は、上記「第2.1.本件補正後の本願の発明」で検討した、本願補正発明に係る「支持体」に関して、「前記少なくとも1つのアームと一体に形成された」との限定を省き、同じく「第1の位置」に関して、「第1の位置は前記背もたれの前記後面の幅よりも内側であり、」「前記背もたれの前記後面に形成された凹型の上部に前記トレイテーブルが収納されているときに、第1の位置は前記支持体の下方に位置する」との限定を省いたものである。
そうすると、上記の「第2.3.対比・判断」に記載したとおり、本願発明を特定する事項の全てを含み、さらに限定したものである本願補正発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているのであるから、本願発明も引用発明といえる。
4.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当し、特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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