特許異議申立
2015-700263
軌道状面清掃装置
- 審判番号
- 2015-700263
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2012-543076
- 登録番号
- 特許第5733637号(P5733637)
- 請求日
- 2015年12月03日
- 審決日
- 2017年04月14日
- 公報発行日
- 2017年10月27日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】フラビー オービタル システムズ,インコーポレイテッド
- 【権利者代理人】▲吉▼川 俊雄
- 【異議申立人】小柳 恵子
- 審判長/審判官
- 審判長 紀本 孝
- 審判官 田村 嘉章
- 審判官 山崎 勝司
- 分類
- P1651.121-ZB (A47L) / P1651.841-ZB (A47L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第5733637号発明「軌道状面清掃装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第5733637号の請求項1ないし16に係る特許を取り消す。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第5733637号の請求項1ないし16に係る特許についての出願は、平成27年4月24日付けでその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人 小柳恵子 により特許異議の申立てがされ、平成28年2月26日付けで取消理由が通知され、その指定期間内に特許権者により平成28年5月31日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ、平成28年7月20日付けで特許異議申立人により意見書の提出がされ、平成28年9月30日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、その指定期間内に特許権者により平成28年12月28日付けで意見書の提出及び訂正請求がされ、平成29年2月2日付けで訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内に特許権者により平成29年3月23日付けで意見書の提出がされたものである。
なお、平成28年5月31日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取下げられたものとみなす。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
平成28年12月28日付けの訂正請求により、特許権者は、特許請求の範囲の請求項1に
「前記ベアリングセンタは前記ベアリングの内径の内部に配置され、前記ベアリングアセンブリは、垂直方向において前記ドライバプレートから少なくとも1枚のワッシャの幅、離れており、
前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタのそれぞれは、前記駆動シャフトが貫通するための貫通穴を有し、
前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタのそれぞれの前記貫通穴はそれぞれ、側面から見たとき、水平方向において、前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタのそれぞれの外径の中心に位置し、
前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタのそれぞれの前記貫通穴はそれぞれ、上下方向から見たとき、径方向において、前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタの外周の中心に位置しており、」
を追加する訂正(以下「訂正事項1」という。)を請求する。
2 新規事項の有無
上記訂正事項1は、ベアリングハウジングが有する貫通穴について、「側面から見たとき、水平方向において、」「ベアリングハウジングの」「外径の中心に位置し、」「上下方向から見たとき、径方向において、」「ベアリングハウジングの」「外周の中心に位置して」いることを特定するものの、ベアリングハウジングが有する貫通穴について、「側面から見たとき、水平方向において、ベアリングハウジングの外径の中心に位置し、上下方向から見たとき、径方向において、ベアリングハウジングの外周の中心に位置して」いるという技術的事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載されておらず、また、上記技術的事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものともいえない。
すなわち、「ベアリングハウジング」については願書に添付した明細書の【0021】に明記があるのみであり、それが「ベアリングアセンブリ」に含まれることが同じく【0021】に明記されているとともに、図1にもその旨記載されているといえる。そして、「ベアリングアセンブリ」については同明細書の【0020】に「好適実施例で、ベアリングアセンブリ140はオフセットしたシャフト孔を有する。このオフセットシャフト孔は、ウエイト133の動きと結合され、ドライバ150が共通中心の周りで回転し、および振動することを可能にする。」と記載され、【0023】に「ベアリングアセンブリ240はシャフト孔からオフセットして設置されることにも注目すべきである。」と記載されており、「ベアリングハウジング」が「側面から見たとき、水平方向において、ベアリングハウジングの外径の中心に位置し、上下方向から見たとき、径方向において、ベアリングハウジングの外周の中心に位置して」貫通穴(当審注:同明細書中の「シャフト孔」に相当する。)を有することが記載されておらず、また、自明であるともいえないのみならず、むしろ貫通穴はオフセットしているといえる。さらに、同明細書の【0018】に「変位したウエイト133を有することにより、ドライバ150(図3参照)上に取り付けられた清掃パッドの振動運動を発生させる。」と記載され、【0024】に「軌道状/振動運動は、好ましくは図1と図2に示すように、様々な精密加工された部品により生成される。ドライバ(例、ドライバ150)は、取り付けウエイト233を有するカウンタウエイトプレート230へ取り付けられるオフセットされた自由回転のベアリングアセンブリ240へ取り付けられる。」と記載されているから、「軌道状/振動運動」は「変位したウエイト133」と「オフセットされた自由回転のベアリングアセンブリ240」とにより生成されるのであって、「軌道状駆動アセンブリ」は「変位したウエイト133」と「オフセットされた自由回転のベアリングアセンブリ240」とを含むものといえる。そして、「軌道状駆動アセンブリ」として「変位したウエイト133」と「オフセットしない自由回転のベアリングアセンブリ240」(下線は当審で付与した。)とを含むものは同明細書に記載されていたとも、同明細書の記載から自明な事項ともいえない。
また、図1もベアリングハウジングの貫通穴が「側面から見たとき、水平方向において、ベアリングハウジングの外径の中心に位置し、上下方向から見たとき、径方向において、ベアリングハウジングの外周の中心に位置して」いることについて描いているとはいえない。このことは、同明細書の【0024】に「軌道状/振動運動は、好ましくは図1と図2に示すように、様々な精密加工された部品により生成される。ドライバ(例、ドライバ150)は、取り付けウエイト233を有するカウンタウエイトプレート230へ取り付けられるオフセットされた自由回転のベアリングアセンブリ240へ取り付けられる。」と記載されており、図1は「オフセットされた自由回転のベアリングアセンブリ240」を示す旨の記載からも明らかである。
そうすると、「軌道状駆動アセンブリ」として、ベアリングハウジングの貫通穴が「側面から見たとき、水平方向において、ベアリングハウジングの外径の中心に位置し、上下方向から見たとき、径方向において、ベアリングハウジングの外周の中心に位置して」いることを特定することで、オフセットしていない貫通穴を有するベアリングアセンブリを含むものを特定する訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものとはいえない。
よって、上記訂正事項1に係る訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものとはいえない。
なお、同明細書にベアリングアセンブリ140がオフセットしていないシャフト孔を有する場合について開示されていたといえないことは上記のとおりであるが、同明細書の【0020】の「好適実施例」との記載により「好適実施例」以外の、しかも「ベアリングアセンブリ140がオフセットしていないシャフト孔を有する」場合を特定しているともいえないから、同明細書の【0020】に「好適実施例」と記載されていることに係る「『好適実施例で』という表現は発明の実施例を好適実施例に限定するものではなく、本願発明には『ベアリングアセンブリ140がオフセットしたシャフト孔を有する』場合も『ベアリングアセンブリ140がオフセットしていないシャフト孔を有する』場合も含まれると解すべきです。」との平成29年3月23日付け意見書(3ページ下から2行-4ページ2行)における特許権者の主張は、採用できない。
3 むすび
したがって、上記訂正請求による訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合しないから、平成28年12月28日付けの訂正請求による訂正後の請求項〔1-16〕について訂正を認めない。
第3 取消理由についての判断
1 本件特許第5733637号の請求項1ないし16に係る発明
本件特許の請求項1ないし16に係る発明は、平成28年12月28日付けの訂正請求による訂正は認められないから、それぞれ、平成27年4月24日付けでその特許権の設定登録がされた特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
ドライバベースへ結合されるハンドルアセンブリ、及び前記ドライバベースへ結合される軌道状駆動アセンブリを含む軌道状床清掃装置であって、
前記軌道状駆動アセンブリは、
前記ドライバベースを貫通する駆動シャフトを有する前記ドライバベースの上面上に設置されるドライバモータと、
前記ドライバベースの下に設置され、前記駆動シャフトに機械的に結合され、かつ少なくとも1つのオフセットウエイトを含むドライバプレートと、
前記ドライバプレートの下に設置され、前記駆動シャフトへ機械的に結合され、かつハウジング、ベアリング及びベアリングセンタを含むベアリングアセンブリと、
前記ベアリングアセンブリの下に設置され、前記ベアリングハウジングに機械的に結合されるドライバと、を含み、
前記ハンドルアセンブリは、前記ドライバベースへ枢動可能に結合される第一端と、車輪を備える軸が結合される第二端とを有するレバーアームに枢動可能に結合される軌道状床清掃装置。
【請求項2】
前記ドライバベースと前記ドライバプレートの間に設置されるシャフト支持をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ベアリングハウジングに機械的に結合され、かつ前記ベアリングセンタを前記ベアリング内に、及び前記ベアリングハウジング内に保持するように構成される保持リングをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ドライバプレートは、前記ドライバプレートの上面と底面上の内の少なくとも1つの上の少なくとも1つのオフセットウエイトへ結合するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも2つのオフセットウエイトをさらに含む、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記ドライバプレートは調整可能なウエイト位置を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記ドライバプレートは現場交換可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記モータとウエイトは、1分間に少なくとも1700振動を提供するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ハンドルアセンブリ上に設置され、かつ交換可能なボトルを保持するように構成される交換可能なボトルカートリッジアセンブリをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
取り外し可能なスプレーアセンブリが前記ドライバベースへ取り付けるように構成され、かつ前記ボトルと流体で連通するように構成される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ドライバは面ファスナーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ハンドルアセンブリの少なくとも1つの部分は、折り畳み可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ハンドルアセンブリは垂直グリップを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記グリップの少なくとも一部は作動装置を含む、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記ドライバベースは前記レバーアームの一端へ枢動可能に結合することで、前記ドライバベースを水平清掃位置から垂直メンテナンス位置へ回転可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記ハンドルアセンブリは30インチ以下(76.2cm)の最大寸法を有するように折り畳まれる、請求項1に記載の装置。」
2 引用刊行物及び記載事項
本件特許についての出願(優先日)前に日本国内又は外国において頒布され、当審の平成28年2月26日付け及び平成28年9月30日付け取消理由に引用した刊行物は以下のとおりである。
甲第1号証:米国特許第5355542号明細書
甲第2号証:実願昭50-88052号(実開昭52-3174号)のマイクロフィルム
甲第3号証:英国意匠登録第2007571号公報
甲第4号証:蔵王産業株式会社カタログ「総合カタログ Clean & Quality」(2002年8月10日発行)
甲第5号証:米国特許第2683336号明細書
甲第6号証:特開2003-180591号公報
(1) 甲第1号証には以下の事項が図面と共に記載されている。なお、括弧内は当審による日本語訳である。
(1-1) 「As shown in FIG.1, a floor-treating machine 10 of the present invention includes a hollow housing 12 and a handle 14 pivotally connected to the housing. The handle is adjustably positionable and carries suitable controls for the floor-treating machine in a well-known manner. The housing is attached to and supports a motor 16 from which may be supported a brush ring 18 for orbital motion about an axis of the motor, as hereinafter more particularly described in conjunction with FIGS.2 and 3. The motor 16 is suitably connected by an electric cord 20 to a controller 22 on the handle 14 and to a source of electric power for operation. It will be understood, that the floor-treating machine of FIG.1 can be equipped with different types of brush rings depending upon the surface to be treated. Such surfaces include various types of floor coverings such as linoleum, tile, rubber, plastic, wood, as well as carpet, rug or other like surfaces.
(図1に示すように、本発明の床処理機10は、中空のハウジング12とそのハウジングに回動可能に接続されたハンドル14とを含む。ハンドルは、調節可能に位置決めされ、周知の方法で床処理機に適した制御を行う。以下、より詳細には、図2及び図3に関連して説明すように、ハウジングは、モータに取り付けられており、モータを支持し、モータ16は、モータの軸の周りの軌道運動のためにブラシリング18を支持する。モータ16は、ハンドル14上のコントローラ22と操作のための電力源に電気コード20によって接続されている。なお、図1の床処理マシンは、処理すべき表面に応じて異なるタイプのブラシリングを備えることができることが理解されるであろう。このような表面は、リノリウム、タイル、ゴム、プラスチック、木材だけでなく、カーペット、ラグまたはその他の表面のような様々な種類の床材を含む。)」(2欄56行-3欄5行)
(1-2) 「The present invention is particularly directed to the manner in which the brush ring 18 is supported from the motor 16 and is actuated thereby. As shown in FIG.2, the brush ring has an axis E that is offset from the axis S of the motor such that the motor rotation causes the brush ring to move orbitally as well as rotationally. This orbital motion provides a scrubbing action to the brush ring for more effective cleaning and polishing. A counterbalance weight 23 is positioned along a plane that is close to the center of gravity of the brush ring to counterbalance the orbital motion of the brush ring without causing instability of the system.
(本発明では、特に、ブラシリング18は、モータ16から支持されており、それによって作動させられる。図2に示すように、ブラシリングは、モータ回転がブラシリングを回転だけでなく軌道運動させるようにモータの軸Sからオフセットされた軸Eを持っている。この軌道運動は、より効果的な洗浄と研磨のため、ブラシリングにスクラブアクションを提供する。カウンターバランスウェイト23は、システムの不安定性を生じさせることなく、ブラシリングの軌道運動を相殺するためにブラシリングの重心に近い面に沿って配置されている。)」(3欄6-17行)
(1-3) 「The motor mount bracket has a hollow cylindrical member 34 extending from a central portion of the motor mount bracket through an upper opening 35 in the housing 12. The motor 16 may be any suitable low horsepower motor having desired characteristics and adapted to be positioned with the axis of the motor in a vertical position. The motor 16 includes a rotatable drive shaft 36 that extends through the bracket cylindrical member34, the drive shaft having an axis coincident with the axis of the motor. One or more bushings (not shown) may be positioned within the bracket cylindrical member 34 to allow smooth rotation of the drive shaft within the bushings and the bracket cylindrical member.
(モータマウントブラケットは、ハウジング12内の上部開口35を介してモータマウントブラケットの中心部から延びる中空の円筒部材34を有する。モータ16は、所望の特性を有し、垂直な姿勢でモータの軸が配置されるように適合された任意の適切な低馬力のモータであってもよい。モータ16は、ブラケット筒状部材34を通って延びる回転可能な駆動シャフト36を含み、その駆動シャフトは、モータの軸と一致する軸を有する。一つ以上のブッシング(図示せず)がブラケット筒状部材34内に配置されてもよく、これによりブッシング及びブラケット筒状部材の内部の駆動シャフトの円滑な回転を可能にする。)」(3欄34-47行)
(1-4) 「An annular flywheel 42 having a central aperture 44 is affixed on the drive shaft 36 by suitable means such as interconnecting threads. A bearing assembly 46 having an eccentric aperture 48 is secured to the flywheel such that the bearing assembly has a central axis E that is laterally spaced from the shaft axis S. A result of this spaced relationship is that the rotation of the drive shaft and flywheel causes a rotational and orbital motion in the bearing assembly.
(中央開口44を有する環状のフライホイール42は、スレッドの相互接続のような適当な手段によって駆動シャフト36に固定されている。偏心開口部48を有するベアリングアセンブリ46は、シャフト軸Sから横方向に離間した中心軸Eを有するように、フライホイールに固定される。この離間した関係の結果、駆動シャフトとフライホイールの回転がベアリングアセンブリ内の回転と軌道運動を引き起こす。)」(3欄51-59行)
(1-5) 「The bearing assembly 46 includes a spacer 50 having an eccentric aperture 52 that forms part of the eccentric bearing assembly aperture 48 through which the drive shaft 36 extends. Coupled to the spacer 50 is a cylindrical bearing 54 having an eccentric aperture 56 in alignment with the eccentric aperture 52 of the spacer 50. The spacer has a circular lip 58 extending from its aperture 52 into the bearing aperture 56 to restrict lateral movement of the bearing with respect to the spacer. The bearing assembly 46 includes a bearing plug 60 having an eccentric aperture 62 aligned with the drive shaft 36. The spacer aperture 52, bearing aperture 56, and bearing plug aperture 62 together form the eccentric bearing assembly aperture 44. The bearing plug 60 has a circular lip 64 that extends from its aperture 62 into the bearing aperture 56 at an end opposite the spacer lip 58, the plug lip 64 acting to restrict lateral movement of the bearing with respect to the bearing plug 60.
(ベアリングアセンブリ46は、駆動シャフト36が貫通する偏心ベアリングアセンブリ開口部48の一部を構成する偏心開口部52を有するスペーサ50を含む。スペーサ50に結合されるのは、スペーサ50の偏心開口部52に整合した偏心開口部56を有する円筒状のベアリング54である。スペーサは、スペーサに対するベアリングの横方向の動きを制限するために、ベアリング開口部56内の偏心開口部52から延びる円形リップ58を有する。ベアリングアセンブリ46は、駆動シャフト36と整列した偏心開口部62を有するベアリングプラグ60を含む。スペーサ開口部52、ベアリング開口部56、ベアリングプラグ開口62は、一緒に偏心ベアリングアセンブリの開口部44を形成する。ベアリングプラグ60は、その開口部62からスペーサリップ58の反対側の端部のベアリング開口部56内に延びる円形リップ64を有し、そのプラグリップ64は、ベアリングプラグ60に対するベアリングの横方向の動きを制限するように作用する。)」(3欄62行-4欄12行)
(1-6) 「The bearing assembly 46 includes a bearing retainer 66 having an aperture 68 that mates with an upper end 70 of the bearing 54. Because the bearing 54 moves orbitally as well as rotationally, the bearing retainer 66 moves with the bearing 54 without a fixed connection between them. As a result, the bearing retainer moves rotationally and orbitally about the drive shaft 36.
(ベアリングアセンブリ46は、ベアリング54の上端70と結合する開口部68を有するベアリングリテーナ66を含む。ベアリング54は周回移動だけでなく回転移動するため、ベアリングリテーナ66は、ベアリング54に固定接続せずに、ベアリング54と共に移動する。その結果、ベアリングリテーナは、駆動シャフト36の周りに回転し、公転移動する。)」(4欄19-25行)
(1-7) 「The floor treating machine 10 includes a light-weight brush carrier 72 having a circular bottom wall 74 with an integral peripheral wall 76 extending upwardly from the perimeter of the bottom wall. Extending upwardly from a central area of the bottom wall 74 is an annular boss 78 sized to mate with a lower end 80 of the bearing 54. The annular boss 78 is affixed to the bearing retainer 66 such as by a plurality of screws 82.
(床処理機10は、円形の底壁74と底壁と一体的にその周縁から上方に延びる周壁76とを有する軽量のブラシキャリア72を含む。底壁74の中央部から上方に延びる環状ボス78は、ベアリング54の下端80と結合するようなサイズに構成される。環状ボス78は、複数のねじ82のようなものでベアリングリテーナ66に固定される。)」(4欄26-33行)
(1-8) 「Coupled to the brush carrier 72 is the brush ring 18 that treats a floor using the above-described orbital and rotational motions. The brush ring 18 is an annular body of suitable well-known material and preferably carries a plurality of circularly-arranged tops of brush bristles 84 of suitable synthetic or natural fiber material. The brush ring 18 includes an annular lip 85 that is retained on the brush carrier 72 by a plurality of circumferentially spaced, vertically extending embossments or ridges extending downwardly from a lip 88 on the brush carrier 72. The brush ring annular lip is pressed onto the peripheral wall 76 of the brush carrier and is frictionally held thereon by the spaced ridges 86.
(ブラシキャリア72に結合されるのは、上述した軌道及び回転運動を使用して床を処理するブラシリング18である。ブラシリング18は、適切な周知の材料の環状体であり、好ましくは、適切な合成もしくは天然の繊維材料である毛ブラシ84の環状に配列された複数の頂部をもつ。ブラシリング18は、ブラシキャリア72のリップ88から下方に延び、周方向に間隔を置いて配置され垂直に延びる複数のエンボスまたは複数のリッジによって、ブラシキャリア72上に保持される環状リップ85を含む。ブラシリングの環状リップは、ブラシキャリアの周壁76に押し付けられ、間隔を置かれた複数のリッジ86との摩擦で保持される。)」(4欄38-50行)
(1-9) 「To compensate for the orbital motion of the bearing assembly 46, brush carrier 72, and brush ring 18, the counterbalance weight 23 is affixed to the flywheel 42 by appropriate means, such as screws 89. The counterbalance weight is fixed to the bottom of the flywheel in a radial plane substantially equal to the radial plane of the bearing retainer 66. In a preferred embodiment, the flywheel 42 is a three-eighths inch thick steel plate with a six and three-sixteenth inch diameter, the weight is three-eighths inch thick and weighs 15.7 ounces,and the bearing assembly axis E is offset from the drive shaft axis S by eleven-thirtyseconds of an inch. Preferably the counterbalance weight 23 is crescent-shaped and has an inner arcuate surface 90 having a radius larger than the radius of the bearing retainer 66 as shownin FIG.3. The counterbalance weight is placed along the outside perimeter 91 of the flywheel in position opposite to the eccentric bearing axis E with respect to the shaft axis S. The counterbalance weight may consist of a single member as shown in FIGS.2-3 or a plurality of members whose combined weight and positioning are equivalent to the weight and position of a single counterbalance weight member.
(ベアリングアセンブリ46、ブラシキャリア72、及びブラシリング18の軌道運動を補償するために、カウンタバランスウェイト23がねじ89のような適切な手段によってフライホイール42に固定されている。カウンタバランスウェイトは、ベアリングリテーナ66の半径方向の平面に実質的に等しい半径方向の平面内でフライホイールの底部に固定される。好ましい実施形態では、フライホイール42は、6と3/16インチ径の3/8インチ厚さの鋼板であり、カウンタバランスウェイトは厚さ3/8インチ、重さ15.7オンスであり、ベアリングアセンブリ軸Eは、駆動シャフト軸Sから11/32インチ、オフセットしている。好ましくは、カウンターウェイト23は、三日月形であり、図3に示すように、ベアリングリテーナ66の半径よりも大きな半径を有する内側円弧面90を有している。カウンタバランスウェイトは、駆動シャフト軸Sに関して偏心ベアリング軸Eとは反対側の位置のフライホイール91の外周に沿って配置される。カウンタバランスウェイトは、図2-3に示すように単一の部材、あるいは、単一のカウンタバランスウェイト部材の重量及び位置と等価な総重量と位置をもつ複数の部材から構成することができる。)」(4欄51行-5欄5行)
(1-10) 図2にはドライブアセンブリが図示され、モータ16はハウジング12の上に設けられ、ハウジング12を貫通している駆動シャフト36を有する点、フライホイール42はハウジング12の下に設けられる点、カウンターバランスウエイト23はフライホイール42にオフセットして固定される点、ベアリングアセンブリ46はフライホイール42の下に設けられる点、ブラシキャリア72はベアリングアセンブリ46の下に設けられる点、ブラシキャリア72は環状ボス78を有する点、及びモータ16、フライホイール42、ベアリングアセンブリ46とブラシキャリア72はブラシリング18を軌道運動させる部分といえる点、がみてとれる。
これらの事項を総合すると、甲第1号証には、
「ハウジング12へ回動可能に接続されたハンドル14、及び前記ハウジング12へ取り付けられブラシリング18を回転だけでなく軌道運動させるために支持するモータ16を含む床処理機10であって、
モータ16、フライホイール42、ベアリングアセンブリ46とブラシキャリア72のブラシリング18を軌道運動させる部分は、
前記ハウジング12を貫通する駆動シャフト36を有する前記ハウジング12の上に設けられ支持されるモータ16と、
前記ハウジング12の下に設けられ、前記駆動シャフト36に固定され、かつオフセットしたカウンターバランスウェイト23が固定されるフライホイール42と、
前記フライホイール42の下に設けられ、前記フライホイール42に固定され、かつスペーサ50、ベアリングリテーナ66、ベアリング54及びベアリングプラグ60を含むベアリングアセンブリ46と、
前記ベアリングアセンブリ46の下に設けられ、前記ベアリングリテーナ66に環状ボス78で固定されるブラシキャリア72と、を含む、
床処理機10。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
(2)甲第2号証には以下の事項が図面と共に記載されている。
(2-1) 「この考案の目的は洗浄中に掃除機に振り廻されることが無いもので、かつ熟練を要せずに洗浄できる床掃除機を提供しようとするものである。」(明細書2ページ4-7行)
(2-2) 「掃除機1はハンドル6を有する柄7にアーム8を介して固定され、柄7には必要に応じて洗浄タンク9を設ける。洗浄機1の移動はアーム8に軸着した車輪10より行う。」(明細書2ページ16-19行)
(2-3) 「15は回転板2に設けた洗浄液導入溝で、洗浄液は洗浄タンク9よりパイプ16を介して洗浄液導入溝15内に供給され、柄7に設けたレバー17よりワイヤー18を介してバルブ(図示せず)を開閉し、洗浄液量を調節する。
19は掃除機1内に設けたモータ、20は伝導シヤフト、21はベヤリング、22は前記モータ19のスイツチである。」(明細書3ページ3-11行)
(2-4) 「次に洗浄液を同時に使用する場合、レバー17を回動し、洗浄液タンク9よりパイプ16、洗浄液導入溝15、洗浄液導入孔14を通じて回転ブラシ11の中央より洗浄液を噴出し使用する。」(明細書4ページ15-18行)
(2-5) 第1図には、掃除機1の斜視図が示されており、上記記載事項と併せると、掃除機1はハンドル6を有する柄7にアーム8の一端を介して固定され、アーム8の他端には車輪10が軸着されていることがみてとれる。
(3)甲第3号証には、以下の事項が図面と共に記載されているといえる。なお、括弧内は当審による日本語訳である。
(3-1) 2ページのSIDE VIEW(側面図)には、a cleaner for floors or other surfaces(床又はその他の表面用クリーナ)の本体と、車輪を有する軸と、ハンドルを有する柄と、上記クリーナの本体に結合される第一端と上記軸が結合される第二端とを有するアーム部とを備え、上記柄の下端部が上記アーム部に結合された構成がみてとれる。
(4)甲第4号証には以下の事項が写真と共に記載されている。
(4-1) 「蔵王産業株式会社」の「Clean & Quality」と題する「総合カタログ」であって、「2002.08/10」の記載がある(先に記載のとおり2002年8月10日発行のカタログといえる。)。
(4-2) 8ページには「スリーブラシ式/自動床洗浄機 サイメックス タイタンシリーズ」(型式:R-38T、R-48T、R-61T)の全体写真が、また15ページには「スリーブラシ式/じゅうたん洗浄機 バルチャー及びスプレーバルチャーシリーズ」(型式:R-48V、R-48SV)の全体写真がそれぞれ記載されている。
(4-3) 18ページには、「石質床材研磨機 マーブルクリーナーMR-48システム」として、掃除機本体の研磨面が正面に向けて回動した状態の写真が記載されている。
(5)甲第5号証には以下の事項が図面と共に記載されている。なお、括弧内は当審による日本語訳である。
(5-1) 「This invention relates to rubbing machines, and more particularly to small, portable, single crank, orbital machines which are adapted for sanding, polishing, massaging, and the like.
(本発明は、研磨機に関し、さらに詳しくは、サンディング、ポリッシング、マッサージング等に適した小型で、運搬可能な、シングルクランクの軌道マシンに関する。)」(1欄1-4行)
(5-2) 「As best shown in Figs. 3 and 4, a flywheel 31 has an eccentric opening 32 to receive the motor shaft 20. It has a counterweight 33 whose mass is adjustable radially for different weights of sanding pads by means of a set screw 34 in a tapped opening in the counterweight.
(図3及び4に最もよく示されているように、フライホイール31は、モータシャフト20を受容する偏心開口部32を有する。フライホイール31はカウンタウェイト33を有し、そのカウンタウェイトのマス(mass)は、異なる研磨パッドの重さごとに、カウンタウェイト内のタップ開口の中のセットねじ34によって、径方向に調整可能である。)」(2欄39-44行)
(6)甲第6号証には以下の事項が図面と共に記載されている。
(6-1) 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホテル、オフィス、病院、学校、大型店舗等のビルや建物等の床面を清掃する床清掃機又は床研磨機に適用されるフロアパッドに関し、特に絨毯やカーペットのような繊維材料よりなる床面をクリーニングするのに好適なフロアパッドに関する。」
(6-2) 「【0035】尚、図1~図3に示す形態では、袋状の網状シート13の開口部の開閉手段としてファスナーを用いたが、これに代えてホックやマジックテープ(登録商標)などを用いることもできる。」
3 対比・判断
(1) 本件特許の請求項1に係る発明について
本件特許の請求項1に係る発明と引用発明とを対比する。
機能・構造や部材の名称からして、引用発明の「ハウジング12」は本件特許の請求項1に係る発明の「ドライバベース」に相当している。以下、同様に、「ハウジング12へ取り付けられ」る態様は「ドライバベースへ結合される」態様に、「床処理機10」は「軌道状床清掃装置」に、「駆動シャフト36」は「駆動シャフト」に、「ハウジング12の上に設けられ支持されるモータ16」は「ドライバベースの上面上に設置されるドライバモータ」に、「ハウジング12の下に設けられ」た態様は「ドライバベースの下に設置され」た態様に、「駆動シャフト36に固定され」た態様は「駆動シャフトに機械的に結合され」た態様に、「オフセットしたカウンターバランスウェイト23が固定されるフライホイール42」は「少なくとも1つのオフセットウエイトを含むドライバプレート」に、「フライホイール42の下に設けられ」た態様は「ドライバプレートの下に設置され」た態様に、「ベアリングアセンブリ46の下に設けられ」た態様は「ベアリングアセンブリの下に設置され」た態様に、「ブラシキャリア72」は「ドライバ」に、それぞれ相当している。
そして、引用発明の「(ハウジング12へ取り付けられ)ブラシリング18を回転だけでなく軌道運動させるために支持するモータ16」及び「モータ16、フライホイール42、ベアリングアセンブリ46とブラシキャリア72のブラシリング18を軌道運動させる部分」は、「(ドライバベースへ結合される)軌道状駆動部分」といえるから、その機能からして、本件特許の請求項1に係る発明の「(ドライバベースへ結合される)軌道状駆動アセンブリ」に相当している。
また、本件特許の請求項1に係る発明の「ドライバベースへ枢動可能に結合される第一端と、車輪を備える軸が結合される第二端とを有するレバーアームに枢動可能に結合される」「ドライバベースへ結合されるハンドルアセンブリ」と引用発明の「ハウジング12へ回動可能に接続されたハンドル14」とは、「ドライバベースへ枢動可能に結合される」「ハンドル部分」の概念で共通している。
そして、本件特許の請求項1に係る発明の「駆動シャフトへ機械的に結合され、かつハウジング、ベアリング及びベアリングセンタを含むベアリングアセンブリ」と引用発明の「フライホイール42に固定され、かつスペーサ50、ベアリングリテーナ66、ベアリング54及びベアリングプラグ60を含むベアリングアセンブリ46」とは、フライホイール42が駆動シャフト36に固定されることも踏まえると、「駆動シャフトへ機械的に結合され、かつ構成部品を含むベアリング部分」の概念で共通し、本件特許の請求項1に係る発明の「ベアリングハウジングに機械的に結合されるドライバ」と引用発明の「ベアリングリテーナ66に環状ボス78で固定されるブラシキャリア72」とは、「ベアリング部分の構成部品に機械的に結合されるドライバ」の概念で共通している。
したがって、両者は、
「ドライバベースへ枢動可能に結合されるハンドル部分、及び前記ドライバベースへ結合される軌道状駆動アセンブリを含む軌道状床清掃装置であって、
前記軌道状駆動アセンブリは、
前記ドライバベースを貫通する駆動シャフトを有する前記ドライバベースの上面上に設置されるドライバモータと、
前記ドライバベースの下に設置され、前記駆動シャフトに機械的に結合され、かつ少なくとも1つのオフセットウエイトを含むドライバプレートと、
前記ドライバプレートの下に設置され、前記駆動シャフトへ機械的に結合され、かつ構成部品を含むベアリング部分と、
前記ベアリング部分の下に設置され、前記ベアリング部分の構成部品に機械的に結合されるドライバと、を含む、
軌道状床清掃装置。」
で一致し、次の点で相違している。
[相違点1] ドライバベースへ枢動可能に結合されるハンドル部分が、本件特許の請求項1に係る発明では、ドライバベースへ枢動可能に結合される第一端と、車輪を備える軸が結合される第二端とを有するレバーアームに枢動可能に結合される、ドライバベースへ結合されるハンドルアセンブリであるのに対し、引用発明ではハウジング12へ回動可能に接続されたハンドル14である点。
[相違点2] ベアリング部分が、本件特許の請求項1に係る発明ではハウジング、ベアリング及びベアリングセンタを含むベアリングアセンブリであって、ドライバがベアリングハウジングに機械的に結合されているのに対し、引用発明ではスペーサ50、ベアリングリテーナ66、ベアリング54及びベアリングプラグ60を含むベアリングアセンブリ46であって、ドライバ(ブラシキャリア72)がベアリングリテーナ66に環状ボス78で固定されている点。
上記各相違点について、検討する。
[相違点1]について
甲第2号証ないし甲第4号証には、ハンドルを有する柄が、掃除機本体へ結合される第一端と、移動用の車輪を備える軸が結合される第二端とを有するアームに結合された構成が記載されている(上記摘記事項「(2)」ないし「(4)」参照。)。特に、甲第2号証には、掃除機1はハンドル6を有する柄7にアーム8の一端を介して固定され、アーム8の他端には車輪10が軸着されていることが記載され(上記摘記事項「(2-5)」参照。)、甲第4号証には、本件特許の明細書及び図面に記載の「垂直メンテナンス位置483」(【0033】、図4C参照。)に相当する構成、すなわち、アームの第一端を掃除機本体に回動できるように結合することが記載されている(上記摘記事項「(4-3)」参照。)ことから、甲第2号証ないし甲第4号証には、本件特許の請求項1に係る発明の上記相違点1に係る構成が記載されているといえる。そして、ハンドル14がハウジング12に回動可能に接続される引用発明においても、その移動の便のために移動用の車輪を備えるようにすることは、当業者が適宜採用し得ることといえる。
したがって、引用発明に甲第2号証ないし甲第4号証に記載された移動用の車輪を備えるハンドルと掃除機本体との結合構造を適用することで、引用発明をして本件特許の請求項1に係る発明の上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
[相違点2]について
まず、引用発明の「ベアリングリテーナ66」は「ブラシキャリア72」に「固定」されるものであって、「ベアリング54」をその「開口部68」の内に設置するものであり(上記摘記事項「(1-6)」及び図2参照。)、本件特許の請求項1に係る発明の「ベアリングハウジング143」も「ドライバ150」に「機械的に結合」されるものであって、「ベアリング141」をその内に設置するものである(本件特許の明細書の【0021】及び図1参照。)。したがって、その機能からして、引用発明の「ベアリングリテーナ66」は本件特許の請求項1に係る発明の「ベアリングハウジング143」に相当するといえる。
また、本件特許の明細書には「好適実施例で、ベアリングアセンブリ140はオフセットしたシャフト孔を有する。」(【0020】)もので、「ベアリングセンタ147は、ベアリング141の中心へ挿入され、駆動シャフト115が嵌るシャフト孔を含むことができる。」(【0021】)と記載されているから、「ベアリングセンタ147」はベアリング141と駆動シャフト115とをオフセットする位置へ配置するものといえる。そして、引用発明の「ベアリング54」は「駆動シャフト36が貫通する偏心ベアリングアセンブリ開口部48の一部を構成する」「偏心開口部56を有する円筒状のベアリング54」であって(上記摘記事項「(1-5)」参照。)、駆動シャフト36と偏心した位置へ配置されるものである。そうすると、駆動シャフトとベアリングとの位置配置の関係を設定することに関し、引用発明の「ベアリング54」は本件特許の請求項1に係る発明の「ベアリング」と「ベアリングセンタ」とをあわせた機能をもつものといえる。したがって、当該機能からして、引用発明の「ベアリング54」をしてその具体的構成を本件特許の請求項1に係る発明の「ベアリング」と「ベアリングセンタ」のような構成とすることは、当業者が適宜行い得ることといえる。
さらに、引用発明の「ベアリングアセンブリ46」と本件特許の請求項1に係る発明の「ベアリングアセンブリ」とは、機能上の差異が認められないから、両者の具体的構成上の差異は単なる設計上の微差といえるものであって、当業者が具体化の際に適宜採用し得ることといえる。
よって、引用発明をして本件特許の請求項1に係る発明の上記相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本件特許の請求項1に係る発明の全体構成により奏される効果も、引用発明及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。
以上のことから、本件特許の請求項1に係る発明は引用発明及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 本件特許の請求項2に係る発明について
本件特許の請求項2にて新たに特定する事項は、甲第1号証に記載された「ブラケット筒状部材34」が「ハウジング12」と「フライホイール42」の間に設置されて「駆動シャフト36」を支持しているといえる(上記摘記事項「(1-3)」参照。)ことから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たものである。
そうすると、本件特許の請求項2に係る発明は引用発明、甲第1号証に記載の事項及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 本件特許の請求項3に係る発明について
本件特許の請求項3にて新たに特定する事項は、引用発明の「ベアリングアセンブリ46」をして当業者が適宜採用し得る具体的構成であって設計的事項といえることから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たものである。
そうすると、本件特許の請求項3に係る発明は引用発明及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 本件特許の請求項4に係る発明について
本件特許の請求項4にて新たに特定する事項は、甲第1号証に「フライホール42」が「その上面と底面上の内の少なくとも1つの上の少なくとも1つの」「カウンターバランスウェイト23」「へ結合するように構成される」ことが記載されているといえる(上記摘記事項「(1-9)」参照。)ことから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たものである。
そうすると、本件特許の請求項4に係る発明は引用発明、甲第1号証に記載の事項及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 本件特許の請求項5に係る発明について
本件特許の請求項5にて新たに特定する事項は、甲第1号証に「カウンターバランスウェイト23」を「複数の部材から構成することができる」ことが記載されている(上記摘記事項「(1-9)」参照。)ことから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たものである。
そうすると、本件特許の請求項5に係る発明は引用発明、甲第1号証に記載の事項及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6) 本件特許の請求項6に係る発明について
本件特許の請求項6にて新たに特定する事項は、甲第5号証に軌道回転運動をする研磨装置の「カウンタウェイト33」の径方向位置が調整可能に構成されることが記載されている(上記摘記事項「(5-2)」参照。)ことから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たものである。
そうすると、本件特許の請求項6に係る発明は引用発明、甲第1号証に記載の事項、上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項及び甲第5号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7) 本件特許の請求項7に係る発明について
本件特許の請求項7にて新たに特定する事項は、甲第1号証に「フライホイール42」には「カウンタバランスウェイト23」が固定され、「カウンタバランスウェイト23」が「ブラシリング18」の軌道運動を相殺するために配置され、「ブラシリング18」は異なるタイプのものが備えられることが記載されている(上記摘記事項「(1-1)」参照。)こと、また、床材に応じた「ブラシリング18」の交換等に伴い「カウンタバランスウェイト23」の配置も同時に調整する場合があることから、「カウンタバランスウェイト23」を配置する「フライホイール42」を現場交換可能とすることに当業者にとって格別な困難性があるものとは認められないので、引用発明をして当業者が容易に想到し得たものである。
そうすると、本件特許の請求項7に係る発明は引用発明、甲第1号証に記載の事項及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8) 本件特許の請求項8に係る発明について
本件特許の請求項8にて新たに特定する事項は、引用発明の具体的な軌道運動を特定するようなモータの回転数等を設定する事項といえることからして、発明の具体化に伴い当業者が適宜設定し得る設計的事項にすぎない。
そうすると、本件特許の請求項8に係る発明は引用発明及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(9) 本件特許の請求項9に係る発明について
本件特許の請求項9にて新たに特定する事項は、甲第2号証に「ハンドル6を有する柄7」に「洗浄タンク9」を設けることが記載されている(上記摘記事項「(2-2)」参照。)こと、また、カートリッジ化して着脱自在とすることは例示するまでもなく周知慣用されていることから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、本件特許の請求項9に係る発明は引用発明、甲第2号証に記載の事項及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(10) 本件特許の請求項10に係る発明について
本件特許の請求項10にて新たに特定する事項は、甲第2号証に「ハンドル6を有する柄7」に「洗浄タンク9」を設けることが記載されている(上記摘記事項「(2-2)」参照。)こと、また、洗浄液の散布にスプレーを用いることやメンテナンス等のために取り外し可能とすることは例示するまでもなく周知慣用されていることから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、本件特許の請求項10に係る発明は引用発明、甲第2号証に記載の事項及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(11) 本件特許の請求項11に係る発明について
本件特許の請求項11にて新たに特定する事項は、甲第1号証に「処理すべき表面に応じて異なるタイプのブラシリングを備えることができ」、「ブラシリング18」が「ブラシキャリア72」に結合されることが記載されている(上記摘記事項「(1-1)」及び「(1-8)」参照。)こと、また、甲第6号証にも記載されているように結合手段としていわゆる面ファスナーは周知慣用されていることから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、本件特許の請求項11に係る発明は引用発明、甲第1号証に記載の事項、上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項及び甲第6号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(12) 本件特許の請求項12に係る発明について
本件特許の請求項12にて新たに特定する事項は、当業者が通常考慮する事項といえる収納時のコンパクト化等の課題からして、当業者が適宜設定し得る設計的事項にすぎない。
そうすると、本件特許の請求項12に係る発明は引用発明及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(13) 本件特許の請求項13に係る発明について
本件特許の請求項13にて新たに特定する事項は、当業者が通常考慮する事項といえる取扱い性の向上等の課題からして、当業者が適宜設定し得る設計的事項にすぎない。
そうすると、本件特許の請求項13に係る発明は引用発明及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(14) 本件特許の請求項14に係る発明について
本件特許の請求項14にて新たに特定する事項は、当業者が通常考慮する事項といえる操作性の向上等の課題からして、当業者が適宜設定し得る設計的事項にすぎない。
そうすると、本件特許の請求項14に係る発明は引用発明、甲第2号証に記載の事項及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(15) 本件特許の請求項15に係る発明について
本件特許の請求項15にて新たに特定する事項は、ドライバベースが垂直メンテナンス位置へ回転可能にすることに相当する構成が甲第4号証に記載されている(上記摘記事項「(4-3)」参照。)ことから、引用発明をして当業者が容易に想到し得たことである。
そうすると、本件特許の請求項15に係る発明は引用発明及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(16) 本件特許の請求項16に係る発明について
本件特許の請求項16にて新たに特定する事項は、当業者が通常考慮する事項といえる収納時のコンパクト化等の課題からして、当業者が適宜設定し得る設計的事項にすぎない。
そうすると、本件特許の請求項16に係る発明は引用発明及び上記甲第2号証ないし甲第4号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(17) まとめ
よって、本件特許の請求項1ないし16に係る発明は、引用発明及び甲第1号証ないし甲第6号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、仮に、平成28年12月28日付けの訂正請求による訂正が認められたとしても、次のとおり、本件特許の請求項1ないし16に係る発明は、引用発明及び甲第1号証ないし甲第6号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
まず、本件特許の請求項1に係る発明の訂正事項1における「前記ベアリングセンタは前記ベアリングの内径の内部に配置され」ている点については、駆動シャフトとベアリングとの位置配置の関係を設定することに関し、引用発明の「ベアリング54」は本件特許の請求項1に係る発明の「ベアリング」と「ベアリングセンタ」とをあわせた機能をもつものといえることから、当該機能からして、引用発明のベアリングをしてその具体的構成を「前記ベアリングセンタは前記ベアリングの内径の内部に配置され」ている構成とすることは、当業者が適宜行い得ることといえる。
次に、本件特許の請求項1に係る発明の訂正事項1における「前記ベアリングアセンブリは、垂直方向において前記ドライバプレートから少なくとも1枚のワッシャの幅、離れて」いる点については、引用発明の「ベアリングアセンブリ46」と「フライホイール42」との垂直方向における位置配置の関係は、当業者が必要に応じて設定し得るものと認められるところ、「ワッシャ」を用いて位置配置の関係を必要に応じて設定することは例示するまでもなく周知技術といえるから、引用発明をして「ベアリングアセンブリは垂直方向においてドライバプレートから少なくとも1枚のワッシャの幅、離れている」構成とすることは、当業者が適宜行い得ることである。
最後に、本件特許の請求項1に係る発明の訂正事項1における「前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタのそれぞれは、前記駆動シャフトが貫通するための貫通穴を有し、前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタのそれぞれの前記貫通穴はそれぞれ、側面から見たとき、水平方向において、前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタのそれぞれの外径の中心に位置し、前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタのそれぞれの前記貫通穴はそれぞれ、上下方向から見たとき、径方向において、前記少なくとも一つのワッシャ、前記ベアリングハウジング、前記ベアリングセンタの外周の中心に位置して」いる点については、特許権者も平成28年12月28日付けの意見書にて主張するように、特に、本件特許の請求項1に係る発明において「駆動シャフトの貫通穴をベアリングアセンブリの外径および外周の中心に位置させること」(10ページ18-19行)であるものの、当該構成は具体的実施例が本件特許明細書及び図面に記載されていないことからしても、中心に対してオフセットさせるか否かの単なる設計変更といい得る程度のことであって、引用発明をして駆動シャフト36をベアリングアセンブリ46の外径および外周の中心に位置させることで、当該構成とすることは当業者が適宜行い得る単なる設計変更といい得ることである。
そして、上記(2)ないし(16)に記載のとおりであるから、仮に、平成28年12月28日付けの訂正請求による訂正が認められたとしても、本件特許の請求項1ないし16に係る発明は、引用発明及び甲第1号証ないし甲第6号証に記載の事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項1ないし16に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2015-700263