特許拒絶査定不服審判
2015-022614
陽性の缶を有する円筒形ニッケル─亜鉛セル
- 審判番号
- 2015-022614
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2012-534286外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年12月24日
- 審決日
- 2017年02月20日
- 公報発行日
- 2017年08月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】パワージェニックス・システムズ・インコーポレーテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人明成国際特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (H01M) / P18 .572-Z (H01M) / P18 .575-Z (H01M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第5項特許法17条の2第6項特許法29条2項特許法53条1項特許法126条7項特許法159条1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2012-534286「陽性の缶を有する円筒形ニッケル─亜鉛セル」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 4月21日国際公開、WO2011/046952、平成25年 3月 4日国内公表、特表2013-507752〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件出願は、2010年10月12日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年10月13日 米国)を国際出願日とする出願であって、平成26年8月29日に拒絶の理由が通知され、平成27年2月27日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものの、同年8月21日に拒絶査定がなされた。
本件は、これを不服として、同年12月24日に請求された拒絶査定不服審判であって、請求と同時に手続補正がなされたものである。
第2 平成27年12月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年12月24日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 補正の内容
平成27年12月24日付けの手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1について、補正前の
「【請求項1】
充電式ニッケル─亜鉛セルであって、
(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及び前記ニッケル陽極と前記亜鉛陰極との間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体と;
(ii)底部に第1の孔を有し、前記ニッケル陽極と電気的に接続する缶と;
(iii)前記缶の前記底部に固定され、前記缶と電気的に接続され、前記セルの動作中に前記第1の孔を通して前記充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップであって、前記缶の前記底部の前記第1の孔を覆う隔壁と、前記隔壁に連通する第2の孔と、を備え、前記隔壁は、重合体物質で構成されており前記セル内が所定の圧力に達しまたは超えた場合にガスを通過させる、通気キャップと;
(iv)前記亜鉛陰極と電気的に接続し、前記缶から電気的に絶縁され、前記缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板と;を備える充電式ニッケル─亜鉛セル。」を
「【請求項1】
充電式ニッケル─亜鉛セルであって、
(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及び前記ニッケル陽極と前記亜鉛陰極との間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体と;
(ii)底部に第1の孔を有し、前記ニッケル陽極と電気的に接続する缶であって、
(a)前記缶の前記底部の前記第1の孔と重ねあわされた孔と、複数の腕と、を備え、内部から前記缶の前記底部に取り付けられている強化用部材、
(b)前記缶の前記底部の隆起部、および
(c)前記缶の側壁に比べて厚い前記底部、
から構成される群から選択される少なくとも一つの強化手段によって底を強化されている缶と;
(iii)前記缶の前記底部に固定され、前記缶と電気的に接続され、前記セルの動作中に前記第1の孔を通して前記充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成された通気キャップであって、前記缶の前記底部の前記第1の孔を覆う隔壁と、前記隔壁に連通する第2の孔と、を備え、前記隔壁は、重合体物質で構成されており前記セル内が所定の圧力に達しまたは超えた場合にガスを通過させる、通気キャップと;
(iv)前記亜鉛陰極と電気的に接続し、前記缶から電気的に絶縁され、前記缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板と;を備える充電式ニッケル─亜鉛セル。」とする補正を含むものである。
2 補正の目的についての検討
上記本件補正は、補正前の発明特定事項である「底部に第1の孔を有し、前記ニッケル陽極と電気的に接続する缶」について、「(a)前記缶の前記底部の前記第1の孔と重ねあわされた孔と、複数の腕と、を備え、内部から前記缶の前記底部に取り付けられている強化用部材、(b)前記缶の前記底部の隆起部、および(c)前記缶の側壁に比べて厚い前記底部、から構成される群から選択される少なくとも一つの強化手段によって底を強化されている」事項(以下、「補正事項」という。)を特定するものである。
そこで、上記本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものか否かを、以下検討する。
上記補正事項の、(a)の「強化用部材」、(b)の「隆起部」、(c)の「缶の側壁に比べて厚い前記底部」は、いずれも「缶」の「底を強化」する「強化手段」である。
加えて、審判請求人は審判請求書において、「本願請求項1に係る発明は、底部に第1の孔を備えることにより(上記(D)参照)缶(セル)の剛性が低下しうるという問題を、」上記補正事項「をさらに備えることにより、解決しています」(【請求の理由】、3.B.(1)(v))と主張している。
そうすると、本件補正後の請求項1に係る発明は、(a)の「強化用部材」、(b)の「隆起部」、(c)の「缶の側壁に比べて厚い前記底部」「、から構成される群から選択される少なくとも一つの強化手段によって底を強化」することによって、底部に第1の孔を備えることにより缶の剛性が低下しうるという、新たな課題を解決するものであるといえる。
したがって、本件補正は、本件補正前後において、発明が解決しようとする課題が同一であるとはいえないから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえず、また、請求項の削除、誤記の訂正、明りょうでない記載の釈明であるともいえない。
よって、本件補正は、同法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものともいえない。
3 独立特許要件についての検討
仮に、本件補正が、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであった場合には、本件補正後の特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか否か、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かを検討することが必要であるから、この点について以下に検討する。
(1)本願補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されるとおりのものである(上記1参照。)。
(2)引用例の記載、及び、引用例に記載された発明
(2-1)引用例1の記載
本件出願の優先日前に日本国内において頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である、実願昭52-60730号(実開昭53-154324号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、次の記載がある。(下線は、当審で付した。引用例2~7も同じ。)
ア 「ニッケル亜鉛蓄電池を密閉化するには、種々の方法があるが、その中でも、負極容量を正極容量より大きくし、極板群とセパレータ層とに吸収される程度に電解液量を少なく規制して遊離の電解液を無くした状態とし、充電中に正極より発生する酸素ガスを負極で吸収消失させる、いわゆるノイマン形式が最も簡単で有効である。
しかし、この様な密閉電池の場合、電池内部の圧力が10kg/cm2以上に達する事もある為、安全性を考慮して、封口板に加圧作動形の安全弁を設置した金属容器が多く採用されて来ている。現在市販されている密閉形ニッケルカドミウム蓄電池には金属容器が適用され、この容器が、負極端子を兼ねている。しかし、亜鉛を負極とするアルカリ蓄電池では、金属容器を使用する場合には、亜鉛との接触による腐食が問題となる。
この問題を解決する具体策としては、(1)負極を最外周にして、金属容器内壁と負極との間に絶縁体を設けて接触しない様にする。又は、(2)正極が最外周になるように、いわゆるインサイドアウト形の構造にする方法がある。前記(1)の方法では、負極端子を安全弁の設置された封口板に取付ける必要性から負極リードを伝って電解液がクリープし、安全弁からの漏液現象が起り易い為、この防止策としては、例えば、封口板の下部にエポキシ樹脂を塗布するとか、負極リード部にクリープする電解液の界面張力を大きくさせる樹脂や撥水性のあるパラフィンあるいは粘着剤を塗布する等があり、ある程度の効果が期待できても、電気毛管現象によるクリープを長期間に亘り完全に防止する事は現在不可能とされている。又、もう一つの問題点は、実用上、安全弁を設置している封口板の凸部が、負極端子となる為、現在市販されているマンガン乾電池や、円筒形ニッケルカドミウム蓄電池などの正、負極端子と逆の構造となり、その互換性が無い欠点がある。本考案は、これらの問題点を解消し、長期間に亘り漏液現象を抑えると共に、従来より市販されているマンガン乾電池やニッケルカドミウム蓄電池と互換性のある構造を有した密閉式の円筒形ニッケル亜鉛蓄電池を提供する事にある。
考案の円筒形ニッケル亜鉛蓄電池は正極活物質がニッケル酸化物、負極活物質が、亜鉛及び亜鉛化合物からなり、これら正負両極の間にセパレータ層を介在させた極板群を正極が最外周になる様に密接に巻回し渦巻き状にした後、加圧作動形安全弁を有し、かつ正極端子を兼ねる金属容器に挿入し、正極リード板は、この金属容器内壁に溶着する。一方負極リードは、封口板に溶接する。」(明細書第2頁第5行~第4頁第13行)
イ 「(実施例1)
第1図に本考案の円筒形ニッケル亜鉛蓄電池の断面を示す。図中1は焼結多孔ニッケル基板に、ニッケル酸化物を充填させた焼結式ニッケル正極板である。2は亜鉛と酸化亜鉛を主成分とするシート状の負極板である。これら正負両極間に亜鉛の樹枝状結晶の成長を抑え、かつ電解液保持能力を有するセパレータ層3を介在させた極板群を最外周が正極となる様に密接に巻回し渦巻状に巻く。
この極板群を内壁がニッケルよりなり、正極端子を兼ねかつ加圧作動形安全弁4を有する金属製円筒容器5内に密接させて挿入する。6は正極より取り出したリード板で金属製円筒容器5の内壁に溶着する。7は負極リード板で、負極端子を兼ねる金属封口板8に溶着後、封口板下部の金属露出部には、負極の自己放電を防止する為に樹脂を塗布して液絡を遮断する。この負極リード部7には、熱収縮性のポリ塩化ビニル樹脂チューブを被覆させてある。
9は、正極端子を兼ねる容器5と負極端子を兼ねる封口板8とを電気的に絶縁するガスケットである。10はゴム弁体で、その上にキャップ11を押圧して金属容器5に溶接する。12は中心部に細孔を有する底部絶縁板である。」(明細書第4頁第17行~第5頁末行)
ウ 「第1図
」
(2-2)引用例1に記載された発明
ア 上記(2-1)イには、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池が、焼結式ニッケル正極板1と、亜鉛と酸化亜鉛を主成分とする負極板2とを備え、これら正負両極間にセパレータ層3を介在させ、渦巻状に巻かれた極板群を有することが記載されている。
イ 上記(2-1)イには、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池が、正極端子を兼ねた金属製円筒容器5を有することが記載されている。
ウ 上記(2-1)イには、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池が、ゴム弁体10を押圧して金属製円筒容器5に溶接されたキャップ11を有することが記載されている。
エ 上記(2-1)イには、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池が、負極端子を兼ねた金属封口板8を有することが記載されている。
オ 上記(2-1)イには、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池の金属製円筒容器5が、加圧作動型安全弁4を有することが記載されている。
カ 上記(2-1)イの記載を参照すると、上記(2-1)ウの第1図から、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池の金属封口板8は、絶縁性のガスケット9を介して金属製円筒容器5の開口端を閉じるように設けられていることがみてとれるから、金属製円筒容器5の開口端の閉包として構成されているといえる。
キ 上記アより、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池は、焼結式ニッケル正極板1と、亜鉛と酸化亜鉛を主成分とする負極板2と、その両極間にセパレータ層3とを備えた、渦巻状に巻かれた極板群を備えているといえる。
ク 上記イより、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池の金属製円筒容器5は、正極端子を兼ねるものであり、上記(2-1)イの記載を参照すると、上記(2-1)ウの第1図から、金属製円筒容器5は、リード板6によって正極板1と接続していることがみてとれるから、金属製円筒容器5は、焼結式ニッケル正極板1と電気的に接続しているといえる。
ケ 上記ウの事項を参照すると、上記(2-1)ウの第1図から、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池のキャップ11は、金属製円筒容器5に溶接されることによって、金属製円筒容器5の底部に固定されていることがみてとれることから、金属製円筒容器5と電気的に接続されているといえる。
コ 上記(2-1)ウの第1図から、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池のキャップ11は、内部にゴム弁体10を有していることがみてとれる。
サ 上記エより、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池の金属封口板8は、負極端子を兼ねるものであり、上記(2-1)イの記載を参照すると、上記(2-1)ウの第1図から、金属封口板8は、負極リード板7によって負極板2と接続していることがみてとれるから、金属封口板8は、亜鉛と酸化亜鉛を主成分とする負極板2と電気的に接続しているといえる。
シ 上記(2-1)イには、円筒形ニッケル亜鉛蓄電池の金属封口板8が、絶縁性のガスケット9によって、金属製円筒容器5から電気的に絶縁されていることが記載されている。
以上、上記オ~シより、引用例1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「円筒形ニッケル亜鉛蓄電池であって、
(i)焼結式ニッケル正極板1と、亜鉛と酸化亜鉛を主成分とする負極板2と、その両極間にセパレータ層3とを備えた、渦巻状に巻かれた極板群と;
(ii)焼結式ニッケル正極板1と電気的に接続し、加圧作動型安全弁4を有する金属製円筒容器5と;
(iii)金属製円筒容器5の底部に固定され、金属製円筒容器5と電気的に接続されたキャップ11であって、内部にゴム弁体10を有するキャップ11と;
(iv)亜鉛と酸化亜鉛を主成分とする負極板2と電気的に接続し、金属製円筒容器5から電気的に絶縁され、金属製円筒容器5の開口端の閉包として構成された金属封口板8と;を備える円筒形ニッケル亜鉛蓄電池。」
(3)周知技術
(3-1)引用例2の記載
本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2002-63885号公報(以下「引用例2」という。)には、次の記載がある。
ア「【0012】本発明の実施例に用いる封口板安全弁装置2は図1に示すように、密閉型二次電池1の外装缶3の開口部に絶縁ガスケット4を介して気密にカシメ固定されており、円板状で中央部にガス抜き孔5aを有する封口板5と、直方体でガス抜き孔5aからガスが抜けるときの作動圧方向に1対の平行面6aを有し、その片面でガス抜き孔5aを塞ぐ弾性ゴムからなる安全弁6と、この安全弁6を皿型の安全弁収容部8bで覆うと共に外周縁を封口板5に溶着し、側壁にガス7(図2に破線矢印で示す。)を排出する排出孔8aを有するキャップ8とから構成される。安全弁6は、キャップ8と封口板5との間に形成された空間つまり前記安全弁収容部8b内にキャップ8と封口板5との間で圧縮されるようにして収容されている。
【0013】封口板安全弁装置2の基本機能を図2を参照して説明すれば、二次電池1の内部で異常なガスが発生すると、キャップ8内に圧縮状態で収容された安全弁6は、ガス発生による圧力上昇に応動して上方に圧縮変形してガス抜き孔5(当審注:「5a」の誤記)を開き、破線矢印で示すように、ガス7をガス抜き孔5(当審注:「5a」の誤記)からキャップ8の排出口8aを通じて外部に排出させる。ガス7が抜けるときの作動圧は、安全弁6の弾性係数と厚み(作動圧がかかる方向の厚み)寸法精度に左右される。本実施例では1対の平行面6aの少なくとも1面を、研磨加工面6bとすることにより寸法精度を向上させている。」
イ 「【図1】(a)
」
ウ 「【図2】
」
(3-2)引用例3の記載
本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平11-238495号公報(以下「引用例3」という。)には、次の記載がある。
ア 「【0011】例えば負極端子を兼ねる有底円筒形の外装缶1内には、電極群2が収納されている。前記電極群2は、正極3、セパレータ4および負極5の積層物を渦巻状に巻回した構成になっている。中央付近に開口部6を有する絶縁板7は前記電極群2の上に配置されている。
【0012】中央付近にガス抜き穴8を有する封口板9は、前記外装缶1の上端開口部に絶縁ガスケット10を介してカシメ固定されている。側壁部に通気口11が開口された正極端子を兼ねる皿状端子キャップ12は、前記封口板9上に前記ガス抜き穴8を包囲するように例えば溶接により固定されている。弾性弁体13は、前記封口板9と前記端子キャップ12で囲繞される空間14に前記ガス抜き穴8を閉塞するように圧縮された状態で挿入されている。前記弾性弁体13は、EPDMのゴムにポリオレフィンを軟化剤として1~20重量%混合した混合物からなる。正極リード15は、一端が前記電極群2の正極3に他端が前記封口板9の下面にそれぞれ接続されている。」
イ 「【0017】このような構造の電池において、誤使用による異常電流充電や逆充電等により温度が上昇すると、外装缶1内部に異常にガスが発生し、同時に前記外装缶1内のセパレータ4が溶融して前記ガスと共に噴出する。前記外装缶1内部の圧力が上昇すると、ガス圧力が前記封口板9のガス抜き穴8を通して前記封口板9と前記皿状端子キャップ12の間に配置された前記弾性弁体13を前記キャップ12側に押し上げるため、前記ガス抜き穴8を開く。前記封口板9のガス抜き穴8が開くと、前記外装缶1内部のガスは前記ガス抜き穴8を通して前記封口板8と前記キャップ12とで囲繞された空間14に流出し、さらに前記キャップ12の通気口11を通して外部に排出される。」
ウ 「【図1】
」
(3-3)引用例4の記載
本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平10-134791号公報(以下「引用例4」という。)には、次の記載がある。
ア 「【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のアルカリ二次電池(例えば円筒形アルカリ二次電池)を図1を参照して説明する。有底円筒状の容器1内には、正極2とセパレータ3と負極4とを積層してスパイラル状に捲回することにより作製された電極群5が収納されている。前記負極4は、前記電極群5の最外周に配置されて前記容器1と電気的に接触している。アルカリ電解液は、前記容器1内に収容されている。中央に孔6を有する円形の封口板7は、前記容器1の上部開口部に配置されている。リング状の絶縁性ガスケット8は、前記封口板7の周縁と前記容器1の上部開口部内面の間に配置され、前記上部開口部を内側に縮径するカシメ加工により前記容器1に前記封口板7を前記ガスケット8を介して気密に固定している。正極リード9は、一端が前記正極2に接続、他端が前記封口板7の下面に接続されている。帽子形状をなす正極端子10は、前記封口板7上に前記孔6を覆うように取り付けられている。前記正極端子10には複数のガス通過孔11が開口されている。弾性弁体12は、前記封口板7と前記正極端子10で囲まれた空間内に前記孔6を塞ぐように配置されている。」
イ 「【0040】前記絶縁ガスケットは、例えばナイロン6,6から形成することができる。以上説明した本発明に係るアルカリ二次電池は、150℃における圧縮永久歪が15%以上で、かつ150℃における硬度上昇が3度以内であるゴム系材料からなる弾性弁体を備える。このような弾性弁体を備えた二次電池は、高温環境下において急速充放電されたり、あるいは誤って火中に投入されたりすることによって異常高温下におかれた際に、前記弾性弁体が熱膨張するのを抑制することができ、かつ前記弾性弁体が歪んで硬化するのを抑えることができるため、弁作動圧の上昇を抑制することができる。その結果、この高温によって電池内に発生したガスは前記弾性弁体を押し上げることができ、それにより生じた前記封口板と前記弾性弁体間の隙間、端子のガス通過孔を通って外部に逃散することができる。このため、前記二次電池は、異常高温の際の破裂を回避することができ、安全性を向上することが可能になる。」
ウ 「【図1】
」
(3-4)周知技術1
上記(3-1)、上記(3-2)、上記(3-3)によると、引用文献2~4に記載された電池は、いずれも、キャップ(引用例2では「キャップ8」、引用例3では「端子キャップ12」、引用例4では「端子10」がそれぞれこれに相当。)が弾性体(引用例2では「弾性ゴムからなる安全弁6」、引用例3では「弾性弁体13」、引用例4では「弾性弁12」がそれぞれこれに相当。)に通ずる排出孔(引用例2では「排出孔8a」、引用例3では「通気口11」、引用例4では「ガス通過孔11」がそれぞれこれに相当。)を有するものであるといえる。
また、上記(3-3)イの「高温によって電池内に発生したガスは前記弾性弁体を押し上げることができ、それにより生じた前記封口板と前記弾性弁体間の隙間、端子のガス通過孔を通って外部に逃散することができる」との記載によれば、上記(3-3)ウの図1において、電池内に発生したガスがガス通過孔11を通って外部に逃散するにあたり、ガス抜き孔6を通過していることは明らかである。
さらに、上記(3-2)イには、充電する電池であることが記載されているから、引用例3に記載された電池は、二次電池であることは明らかである。
そうすると、引用例2~4から、次の技術(以下、「周知技術1」という。)が本件出願の優先日前に周知であったといえる。
「二次電池に設けられる安全弁において、封口板にガス抜き孔を有し、キャップによって押圧された弾性体が封口板とキャップとの間の空間に配置されてガス抜き孔を塞ぎ、キャップがガスを排出する排出孔を有し、排出孔は弾性体に通じ、電池内の圧力が上昇すると、弾性体を押し上げ、ガス抜き孔を通して、電池内のガスを排出穴から外部に排出させる安全弁。」
(3-5)引用例5の記載
本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平4-253152号公報(以下「引用例5」という。)には、次の記載がある。
ア 「【0002】
【従来の技術】従来この種電池の缶底構造は、図4に示す如く、集電部1を含め缶底全てがフラットな状態であった。しかし、この構造では電池充放電時の電池缶内部の内圧上昇により、缶底が膨み、寸法精度にバラツキが発生した。このため図5に示す如く缶底集電部1とその周囲4にプレス加工による段差を設ける。もしくは、図6に示す如く、缶底のみ厚肉化し内圧上昇による缶底の膨みに対処した。」
イ 「【0008】図1は、本発明の電池缶底部平面図を示す。缶底強度を向上させるプレス加工による凹部1は、缶底中央部の集電部2を除いた缶底周囲を放射状に8分割し8箇所設けてある。図2は、図1のプレス加工による凹部1のA-A断面である。なお、ここで重要なのは、凹加工形状であり、深さは電池缶肉厚と同等にし、長さは、集電部端部より外周までいっぱいに取ることで缶底端部3の開きが防止でき、強度向上が図れる。」
ウ 「【図1】
」
ウ 「【図2】
」
エ 「【図4】
」
オ 「【図5】
」
カ 「【図6】
」
(3-6)引用例6の記載
本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平3-34256号公報(以下「引用例6」という。)には、次の記載がある。
ア 「産業上の利用分野
本発明は、円筒密閉形アルカリ蓄電池、特にニッケル・カドミウム蓄電池(以下Ni-Cd電池と略す。)に関する。」(第1頁左下欄第14~17行)
イ 「発明が解決しようとする課題
しかしながら、上記従来の容器形状及び溶接方式では、充電時の電源内圧力の上昇による底部のふくれや外部からの加圧・衝撃によるへこみに対して、弱い構造である。」(第1頁右下欄第11~15行)
ウ 「課題を解決するための手段
本発明は第1図に示す様に容器1底部内側の中心から放射状に角形もしくは半円形の突起溝2を施し、渦巻状に捲回した電極群を陽極側は従来通りの方式により集電端子を溶接し、陰極側は集電端子を溶接することなしに前記容器に挿入し上部より加圧せしめ、突起溝により集電することを特徴とするものである。
作用
容器1底部に設けた突起溝2により、底部にうける内力・外力に対し変形を防止する。」(第2頁左上欄第7~17行)
エ 「第1図
」
(3-7)引用例7の記載
本件出願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である、実願昭63-97278号(実開平2-20269号)のマイクロフィルム(以下「引用例7」という。)には、次の記載がある。
ア 「然しながら電池の内圧が異常に上昇した場合には主として該ケースの底部に変形を生ずるものであり、変形することによって内部に収納した極板群との間にガタを生ずるものであった。」(第2頁第3~6行)
イ 「(実施例)
公称容量1000mAh用の収納ケースとして第3図に示す如く鉄製の有底円筒状収納ケース(肉厚0.3mm)11の底部(直径c=32.2mm)12に内方から突出する環状突起部13を設けた。該突起部13の巾aは2mm,内径bは20mm,底面との突出高さdは1mmである。これにセパレータを介して積層した陰・陽極板を渦巻状に巻回して収納しケース上端の開口部に蓋をかしめて取り付け本考案の円筒密閉形NiCd蓄電池を得た。
(考案の効果)
本考案円筒密閉形蓄電池によればケースの底部に環状段差部を設けることにより該底部の機械的強度が向上し該ケース内の圧力が上昇するも該ケースに変形を生ぜしめることなく且つ極板群がケース内底面の比較的広い範囲で固定されるので極板群に対する耐震性及び耐衝撃性を向上せしめうる等工業上極めて有用のものである。」(第5頁第1~18行)
イ 「第3図
」
(3-8)周知技術2
上記(3-5)イの「凹部1」、上記(3-6)ウの「突起溝2」、上記(3-7)イの「環状突起部13」は、いずれも缶の強度の向上のために設けられているものであるから、「隆起部からなる強化手段」であるといえる。
そうすると、引用例2~4から、次の技術(以下、「周知技術2」という。)が本件出願の優先日前に周知であったといえる。
「電池内部の圧力が上昇することによる缶の底部の変形を防ぐために、電池の缶の底部において、缶の強度向上のために隆起部からなる強化手段を設けること。」
(4)対比・判断
(4-1)本願補正発明と引用発明との対比
ア 引用発明の「円筒形ニッケル亜鉛蓄電池」、「焼結式ニッケル正極板1」、「亜鉛と酸化亜鉛を主成分とする負極板2」、「セパレータ層3」、「渦巻状に巻かれた極板群」、「金属製円筒容器5」が、本願補正発明の「充電式ニッケル─亜鉛セル」、「ニッケル陽極」、「亜鉛陰極」、「セパレータ」、「ジェリイロール集合体」、「缶」に、それぞれ相当する。
イ 引用発明の「金属封口板8」は、「亜鉛と酸化亜鉛を主成分とする負極板2と電気的に接続」するものであり、本願補正発明の「陰性コレクタ板」は「亜鉛陰極と電気的に接続」するものであるから、引用発明の「金属封口板8」は、本願補正発明の「陰性コレクタ板」に相当する。
ウ 引用発明の「キャップ11」と本願補正発明の「通気キャップ」とは、「キャップ」である点で共通する。
エ 本願補正発明の「重合体物質」は、本件国際特許出願の原文の明細書には「an elastmeric material」と記載されていることから、エラストマー物質を意味するものといえるから、引用発明の「ゴム弁体10」は、本願特許発明における「重合体物質で構成され」たものといえる。
そうすると、引用発明の「ゴム弁体10」は、本願補正発明の「重合体物質で構成され」た「隔壁」に相当する
オ 以上ア~エを踏まえると、本願補正発明と引用発明とは、
「充電式ニッケル─亜鉛セルであって、
(i)ニッケル陽極、亜鉛陰極、及び前記ニッケル陽極と前記亜鉛陰極との間に位置される少なくとも一個のセパレータを備えるジェリイロール集合体と;
(ii)前記ニッケル陽極と電気的に接続する缶と;
(iii)前記缶の前記底部に固定され、前記缶と電気的に接続されたキャップであって、内部に隔壁を備え、前記隔壁は重合体物質で構成されている、キャップと;
(iv)前記亜鉛陰極と電気的に接続し、前記缶から電気的に絶縁され、前記缶の開口端の閉包として構成された陰性コレクタ板と;を備える充電式ニッケル─亜鉛セル。」で一致し、次の相違点A及びBで相違する。
(相違点)
A 本願補正発明は、缶の「底部に第1の孔を有し」、隔壁が「前記缶の前記底部の前記第1の孔を覆」い、キャップが「通気キャップ」であって、「前記隔壁に連通する第2の孔」を備え、「セル内が所定の圧力に達しまたは超えた場合にガスを通過させる」ものであって、「前記セルの動作中に前記第1の孔を通して前記充電式ニッケル─亜鉛セルからガスの通気をするように構成され」ているのに対し、引用発明は、金属製円筒容器5が加圧作動型安全弁4を有するもののその構造の詳細が不明であり、金属製円筒容器5の底部に第1の孔を有するか否か、ゴム弁体10が該第1の孔を覆っているか否か、キャップ11が通気キャップであるか否か、キャップ11が第2の孔を有するか否か、電池内が所定の圧力に達しまたは超えた場合にガスを通過させるものであって、該電池の動作中に第1の孔を通して円筒形ニッケル亜鉛蓄電池からガスの通気をするように構成されているか否かが、いずれも不明である点。
B 缶について、本願発明は、「(a)前記缶の前記底部の前記第1の孔と重ねあわされた孔と、複数の腕と、を備え、内部から前記缶の前記底部に取り付けられている強化用部材、(b)前記缶の前記底部の隆起部、および(c)前記缶の側壁に比べて厚い前記底部、から構成される群から選択される少なくとも一つの強化手段によって底を強化されている」のに対し、引用発明は、そのような強化手段を有さない点。
(4-2)判断
(相違点Aについて)
引用発明の「円筒形ニッケル亜鉛蓄電池」の「加圧作動型安全弁4」について、その詳細な構成は不明であるものの、引用例1には、「密閉電池の場合、電池内部の圧力が10kg/cm2以上に達する事もある為、安全性を考慮して、封口板に加圧作動形の安全弁を設置した金属容器が多く採用されて来ている」(上記(2)(2-1)ア)こと、及び、「金属製円筒容器5」が、「加圧作動型安全弁4を有する」こと(上記(2)(2-1)ア)が記載されている。
また、上記(2)(2-1)ウの図1から、引用番号4(加圧作動型安全弁を示す。)が「ゴム弁体10」及び「キャップ11」を示していることがみてとれるから、「ゴム弁体10」及び「キャップ11」は「加圧作動型安全弁4」の一部であるといえるし、さらに、引用発明の「円筒形ニッケル亜鉛蓄電池」は「密閉電池」(上記(2)(2-1)ア)であるから、「底部絶縁板12」の「細孔」(上記(2)(2-1)イ)は、「加圧作動型安全弁4」の作動時に、電池内のガスを排出させるのために設けられたものであることは明らかである。
一方、上記(3)(3-4)で述べた周知技術1の「安全弁」は、引用発明の「加圧作動型安全弁4」と同様に加圧作動型であるといえる。
そして、引用発明は、従来金属容器が負極端子を兼ねていたところ、金属容器が正極端子を兼ねるようにしたものである(上記(2)(2-1)ア)から、上記周知技術のように、安全弁を封口板側に設けたものではなく、円筒容器5側に設けてはいるものの、引用発明の「加圧作動型安全弁4」と上記周知技術1の「安全弁」は、キャップの内部に弾性体を有し、電池内の圧力が上昇したときに電池内のガスを排出させるものであるから、引用発明において、その「加圧作動型安全弁4」の構成として、上記周知技術1の「安全弁」を採用することにより、缶の底部にガス抜き孔を有し、ゴム弁体10がガス抜き孔を覆い、ゴム弁体に連通する排出穴を設け、電池内が所定の圧力に達した場合にガスを通過させるように構成して、上記相違点Aに係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。
(相違点Bについて)
引用発明の「円筒形ニッケル亜鉛蓄電池」は、「金属製円筒容器5」に「加圧作動型安全弁4」を有するものであるから、当然電池内部の圧力が上昇する恐れのあるものといえる。
そして、上記(3)(3-8)に記載した周知技術の課題である、「電池内部の圧力が上昇することによる缶の底部の変形」は、引用発明の「円筒形ニッケル亜鉛蓄電池」にも内在することは、当業者であれば直ちに察知しうることであるから、引用発明の「円筒形ニッケル亜鉛蓄電池」において、上記(3-8)で述べた周知技術2を採用し、金属製円筒容器5の底部に隆起部からなる強化手段を設けて、上記相違点Bに係る本願補正発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことである。
また、本願補正発明のよってもたらされる効果は、引用発明、周知技術1及び周知技術2から、当業者が予測できる程度のものである。
よって、本願補正発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2から、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
なお、審判請求人は、審判請求書において、「本願請求項1に係る発明は、上記(C),(D)」、すなわち、缶の底部に第1の孔「を備えることにより、電解質のクリープにより生じる問題を低減し得ます(たとえば、本願明細書の段落0005,0029参照)。さらに、本願請求項1に係る発明は、底部に第1の孔を備えることにより(上記(D)参照)缶(セル)の剛性が低下しうるという問題を、上記(E)」、すなわち(a)~(c)の強化手段によって底を強化されている構成「をさらに備えることにより、解決しています。すなわち、本願請求項1に係る発明は、上記(C),(D)に加えて、上記(E)を備えることにより、電解質のクリープにより生じる問題と、セルの剛性低下の問題を、高度にバランスさせつつ解決し得ます。」と主張している。
しかしながら、上記周知技術2からもわかるように、電池内部の圧力が上昇することにより缶の底部が変形するという課題は、「底部に第1の孔を備える」か否かによらず存在する課題であるし、缶の底部を強化できるという効果も「底部に第1の孔を備える」か否かで特段変わるものでもないから、本願補正発明は、発明特定事項のみならず効果の面においても、単に引用発明、周知技術1及び周知技術2の効果を合わせ有するものにすぎない。
そうすると、審判請求人が主張する、本願補正発明は「電解質のクリープにより生じる問題と、セルの剛性低下の問題を、高度にバランスさせつつ解決し得ます」という効果は、当業者が予測し得ない顕著なものではないといわざるえない。
よって、審判請求人の主張は採用できない。
(5)独立特許要件についてのまとめ
したがって、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。
4 補正の却下の決定のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項のいずれを目的とするものでなく、また仮にそうでなく、いわゆる限定的減縮を目的とする補正に該当するとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
以上のとおり、本件補正は却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年2月27日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定されるとおりのものである(上記第2の1参照。)。
2 引用例1の記載事項、引用発明、及び、周知技術1
原査定の拒絶の理由に引用された、引用例1の記載事項及び引用発明については、上記第2の3(2)において、摘記及び認定したとおりであり、また、周知技術1については、上記第2の3(3)(3-4)において、認定したとおりである。
3 対比・判断
上記第2の2において検討したように、本願発明は、本願補正発明の「底部に第1の孔を有し、前記ニッケル陽極と電気的に接続する缶」について、上記補正事項を省いたものである。
ここで、上記第2の3(4)(4-1)と同様に、本願発明と引用発明とを対比すると、上記相違点Aで相違し、その余の点で一致する。
そして、上記第2の3(4)(4-2)での検討と同様に検討するに、引用発明において、周知技術1を採用して、上記相違点Aに係る本願発明の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たことであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 結言
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たことであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本件出願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2015-022614