特許拒絶査定不服審判
2015-022407
投射型映像表示装置
- 審判番号
- 2015-022407
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2013-542673外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年12月21日
- 審決日
- 2017年02月06日
- 公報発行日
- 2017年05月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日立マクセル株式会社
- 【請求人代理人】筒井 大和
- 分類
- P18 .121-WZ (G03B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2013-542673「投射型映像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月16日国際公開、WO2013/069039〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1 手続の経緯
本願は、2011年11月7日を国際出願日とする出願であって、平成27年2月20日付けで拒絶理由が通知され、同年4月22日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がされたが、同年9月14日付け(同年同月24日送達)で拒絶査定がなされ、これに対し、同年12月21日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに、これと同時に手続補正がなされた後、当審において、平成28年11月1日付け(同年同月8日発送)で拒絶理由が通知され、平成29年1月5日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、平成29年1月5日になされた手続補正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
「光源から出射される光を複数の光束に分割するレンズアレイと、
前記レンズアレイからの光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズからの光の色を分離する色分離光学系と、
前記色分離光学系によって分離された光から光学像を形成する複数の映像表示素子と、
前記映像表示素子の光の入射側に配置される複数の入射偏光板と、
前記映像表示素子の光の出射側に配置される複数の出射偏光板と、
前記色分離光学系により分離された光を合成するプリズムと、
前記光学像を投射する投射レンズと、
前記複数の映像表示素子を冷却するシロッコファンと、
前記シロッコファンからの冷却風を前記複数の映像表示素子の下部から送るための冷却ダクトと、
それぞれの前記映像表示素子の光の入射側に配置され、前記冷却ダクトからの冷却風の流路を分離する隔壁ダクトと、を備え、
前記入射偏光板は、回転調整部材を介して前記隔壁ダクトに取り付けられ、
前記隔壁ダクトは、前記回転調整部材の回転中心を決める機能と前記回転調整部材を保持する機能を備え、
前記隔壁ダクトは、前記入射偏光板から前記プリズムまでの光路が、分離された色毎に隔てられた空間に含まれるよう配置され、
前記隔壁ダクトは、各光路の前記入射偏光板から前記プリズムまでの側面を塞いでいるため、前記映像表示素子へ照射された光のうち前記映像表示素子の有効光領域外に照射された光が前記投射レンズへ入ることを抑えられる構造となっている、
投射型映像表示装置。」
3 刊行物の記載及び引用発明
(1)引用文献1
当審において通知した拒絶の理由に引用した、本願の国際出願日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2005-4071号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある(下線は当審にて付した。以下同じ)。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学部品用筐体及びプロジェクタに関する。・・・
【0018】
電気光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、色分離光学系42で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板442と、各入射側偏光板442の後段に配置される光変調装置としての液晶パネル441(441R,441G,441B)と、各液晶パネル441の後段に配置される射出側偏光板443とを備えている。」
イ 「【0044】
[第5実施形態]
次に、図9から図11を参照して発明の第5実施形態について説明する。
前記実施形態では、光学ユニット4Aの色合成光学系45Aは、複数の色合成用ダイクロイックミラー451,452により各色光を合成するものであったが、本実施形態の色合成光学系45Bは、クロスダイクロイックプリズム450により各色光を合成するものである。
すなわち、本実施形態の光学ユニット4Eは、図9に示すように、光源装置41を含むインテグレータ照明光学系40、色分離光学系42、リレー光学系43、電気光学装置44、色合成光学系45Bおよび投写レンズ46を備えている。
【0045】
インテグレータ照明光学系40は、電気光学装置44を構成する3枚の液晶パネル441(赤、緑、青の色光毎にそれぞれ液晶パネル441R,441G,441Bと示す)の画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系であり、第1実施形態と同様の光源装置41と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換光学素子414と、重畳レンズ415とを備えている。なお、図9には、第1実施形態では図示しなかった平行化凹レンズ411Aが図示されている。
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源ランプ411から射出される光束を、複数の部分光束に分割している。各小レンズの輪郭形状は、液晶パネル441の画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定されている。・・・
【0048】
具体的に、偏光変換光学素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に電気光学装置44の液晶パネル441R,441G,441B上にほぼ重畳される。・・・
【0049】
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー424,425と、反射ミラー426とを備え、ダイクロイックミラー424、425によりインテグレータ照明光学系40から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。・・・
【0054】
このような光学ユニット4Eは、図10に示すような、ライトガイド7に収納されている。このライトガイド7は、ライトガイド5と同じように、各光学部品を上方から収納するための収容用の開口が形成された箱状の下ライトガイド71及び下ライトガイド71の開口を閉塞する蓋状の上ライトガイド72(図11参照)を備えた筐体本体70を備えて構成される。
下ライトガイド71は、光源装置41を収容したランプハウジング(光源ユニット)を収納するランプハウジング収納部71Aと、他の光学部品を収納する箱状の光学部品収納部71Bとを有している。・・・
【0056】
下ライトガイド71の光学部品収納部71Bの底面部712には、ダイクロイックミラー421を支持する第1ボス部712Aと、上記第2溝部711Bに対応した溝を有する第2ボス部712Bとが突設されている。
このような底面部712には、図10及び図11に示すように、クロスダイクロイックプリズム450を囲むように配置されるとともに、底面部712側及び上ライトガイド72側が開口した筒状のダクト6Eが形成されている。このダクト6Eは、底面部712と一体的に形成されており、底面部712から立設されるとともに、液晶パネル441が取り付けられる板状の基部61Eと、この基部61Eに取り付けられた液晶パネル441の光束入射側を囲むように設けられた断面略コ字形のカバー部62Eとを備えている。
【0057】
基部61E及びカバー部62Eは、各液晶パネル441に応じて3つずつ設けられており、ダクト6Eには3つの筒状部が形成されることとなる。
3つの基部61Eは一体的に形成されており、各基部61Eの内側面(ダクト6Eの筒状の内側面)には、液晶パネル441が熱伝導性の接着剤、又は、はんだを介して固定される。そして、その中央部分に液晶パネル441から射出された光束を透過させるための第1の開口部612Aが形成されている。・・・
【0058】
さらに、基部61Eの外側には、第1の開口部612Aを塞ぐように、熱伝導性の接着剤を介して射出側偏光板443が貼り付けられている。
一方、カバー部62Eは、底面部712から立設されるとともに、基部61Eと一体的に成形されている。このカバー部62Eの液晶パネル441と対向する面には、液晶パネル441への入射光束を透過させるための第2の開口部622Aが形成されている。この第2の開口部622Aには入射側偏光板442が取り付けられるが、本実施形態では、カバー部62Eの内側に熱伝導性の接着剤を介して入射側偏光板442が貼り付けられている。
このような、ダクト6Eが形成された底面部712には、液晶パネル441の位置に対応するとともに、ダクト6Eの3つの筒状部に連通する3つの開口712A1が形成されている。また、各射出側偏光板443の位置に対応した3つの開口712A2も形成されている。
なお、ダクト6Eの基部61E及びカバー部62Eは上ライトガイド72と当接しており、この上ライトガイド72には、ダクト6Eの3つの筒状部に連通する3つの開口721A1及び各射出側偏光板443の位置に対応した3つの開口721A2が形成されている。
【0059】
また、下ライトガイド71の底面部712の下面側(ダクト6Eが形成された面と反対側の面)には、下方に突出した環状のリブ712Cが形成されており、このリブ712Cで囲まれた部分に吸気ファンF3が設置され、下ライトガイド71の底面部712と外装ケース2のロアケース21の底面との間に吸気ファンF3が配置されることとなる。なお、外装ケース2の底面の開口には、防塵フィルタが取り付けられている。・・・
【0061】
次に、液晶パネル441の冷却構造について説明する。
まず、吸気ファンF3を駆動させると、外装ケース2外部の冷却空気が外装ケース2内に吸引され、下ライトガイド71の光学部品収納部71Bの底面部712に形成された開口712A1,712A2に導入される。開口712A1に導入された冷却空気はダクト6E内に導入され、液晶パネル441、入射側偏光板442を冷却する。そして、この冷却空気はダクト6Eに連通する上ライトガイド72の開口721A1から排出される。
一方、開口712A2に導入された空気は、3つの基部61Eで囲まれた部分に導入されて、射出側偏光板443、クロスダイクロイックプリズム450を冷却する。そして、この冷却空気は上ライトガイド72の開口721A2から排出される。
上ライトガイド72の開口721A1,721A2から排出された冷却空気は、上ライトガイド72と外装ケース2のアッパーケース22との間を通り、光学ユニット4Eの前方側に送風される。そして、この冷却空気は電源ユニット3、ランプハウジング収納部71A内に導入され、さらには、外装ケース2に形成された排気口から排出される。」
ウ 図9ないし11は次のものである。
【図9】
【図10】
【図11】
エ 上記イの記載を踏まえて、上記ウの図9ないし11をみると、吸気ファンF3からの冷却空気を液晶パネル441の下部から送るためのダクト6Eには、下ライトガイド71の底面部712の下面側の下方に突出した環状のリブ712Cと、前記液晶パネル441の光の入射側に配置され、基部61Eに取り付けられた液晶パネル441の光束入射側を囲むように設けられ、入射側偏光板442が取り付けられている断面略コ字形のカバー部62Eとを備え、前記基部61E及びカバー部62Eは、3つの各液晶パネル441に応じて3つずつ設けられており、ダクト6Eには3つの筒状部が形成されることで前記環状のリブ712Cからの冷却空気の流路を分離し、前記カバー部62Eは、入射側偏光板442からクロスダイクロイックプリズム450までの光路が、分離された色毎に隔てられた3つの筒状部に含まれるよう配置され、3つの各液晶パネル441の出射側に出射出側偏光板443が配置される点が見て取れる。
オ 上記アないしエによれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「光学ユニット4Eは、光源装置41を含むインテグレータ照明光学系40、色分離光学系42、リレー光学系43、電気光学装置44、色合成光学系45Bおよび投写レンズ46を備え、
前記電気光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり
前記色合成光学系45Bは、クロスダイクロイックプリズム450により各色光を合成するものであり、
前記インテグレータ照明光学系40は、光源装置41と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換光学素子414と、重畳レンズ415とを備え、
前記第1レンズアレイ412は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有し、前記各小レンズは、光源ランプ411から射出される光束を、複数の部分光束に分割し、
前記偏光変換光学素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に電気光学装置44の液晶パネル441R,441G,441B上にほぼ重畳され、
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー424,425と、反射ミラー426とを備え、ダイクロイックミラー424、425によりインテグレータ照明光学系40から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有し、
前記光学ユニット4Eは、ライトガイド7に収納され、前記ライトガイド7は、各光学部品を上方から収納するための収容用の開口が形成された箱状の下ライトガイド71及び下ライトガイド71の開口を閉塞する蓋状の上ライトガイド72を備えた筐体本体70を備え、
前記下ライトガイド71の光学部品収納部71Bの底面部712には、クロスダイクロイックプリズム450を囲むように配置されるとともに、底面部712側及び上ライトガイド72側が開口した筒状のダクト6Eが形成され、前記このダクト6Eは、底面部712と一体的に形成されており、底面部712から立設されるとともに、液晶パネル441が取り付けられる板状の基部61Eと、この基部61Eに取り付けられた液晶パネル441の光束入射側を囲むように設けられた断面略コ字形のカバー部62Eとを備え、
前記基部61E及びカバー部62Eは、各液晶パネル441に応じて3つずつ設けられており、ダクト6Eには3つの筒状部が形成され、前記3つの基部61Eは、その中央部分に液晶パネル441から射出された光束を透過させるための第1の開口部612Aが形成され、
前記基部61Eの外側には、第1の開口部612Aを塞ぐように、熱伝導性の接着剤を介して射出側偏光板443が貼り付けられ、前記カバー部62Eは、底面部712から立設されるとともに、基部61Eと一体的に成形され、前記カバー部62Eの液晶パネル441と対向する面には、液晶パネル441への入射光束を透過させるための第2の開口部622Aが形成され、前記第2の開口部622Aには入射側偏光板442が取り付けられ、
前記下ライトガイド71の底面部712の下面側のリブ712Cで囲まれた部分に吸気ファンF3が設置され、
前記吸気ファンF3からの冷却空気を液晶パネル441の下部から送るためのダクト6Eには、下ライトガイド71の底面部712の下面側の下方に突出した環状のリブ712Cと、前記液晶パネル441の光の入射側に配置され、基部61Eに取り付けられた液晶パネル441の光束入射側を囲むように設けられ、入射側偏光板442が取り付けられている断面略コ字形のカバー部62Eとを備え、前記基部61E及びカバー部62Eは、3つの各液晶パネル441に応じて3つずつ設けられており、ダクト6Eには3つの筒状部が形成されることで前記環状のリブ712Cからの冷却空気の流路を分離し、前記カバー部62Eは、入射側偏光板442からクロスダイクロイックプリズム450までの光路が、分離された色毎に隔てられた3つの筒状部に含まれるよう配置され、3つの各液晶パネル441の出射側に出射出側偏光板443が配置される、
プロジェクタ。」
(2)同じく、当審において通知した拒絶の理由に引用した、本願の国際出願日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2011-209533号公報(以下、「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクターに関する。」
イ 「【0019】
[冷却ファンの構成]
第1冷却ファン7は、図1に示すように、投射レンズ3の右側面側に配設され、第2冷却ファン8は、図1に示すように、投射レンズ3の左側面側に配設され、各冷却ファン7,8は、本実施形態では、シロッコファンで構成される。
第1、第2冷却ファン7,8は、空気を吸入する吸入口(図示略)と、空気を吐出する吐出口71,81とを備えている。
各冷却ファン7,8の吸入口は、外装筐体2に形成された吸気口(図示略)に対向するように配置され、プロジェクター1の外部の空気が吸気口から各冷却ファン7,8の吸入口に吸入される。
図2に示すように、第1冷却ファン7の吐出口71は、第1ダクト部61の一端側に接続され、第2冷却ファン8の吐出口81は、第2ダクト部61の一端側に接続される。
【0020】
図3は、冷却装置5の平面図であり、具体的には、冷却装置5に光学装置45が配置された状態を天面側から見た平面図である。図3中の破線矢印は、冷却空気の流れ方向を示している。
第1冷却ファン7は、図3に示すように、外部の空気を吸入し、冷却空気A1として冷却対象である緑色光側の光変調装置451G、赤色光側の光変調装置451R、入射側偏光板452、及び出射側偏光板453に対して第1ダクト部61を介して吐出する。
第2冷却ファン8も同様に、図3に示すように、吸気口から外部の空気を吸入し、冷却空気B1として冷却対象である緑色光側の光変調装置451G、青色光側の光変調装置451B、入射側偏光板452、及び出射側偏光板453に対して第2ダクト部62を介して吐出する。」
ウ 図1ないし4は次のものである。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
(3)同じく、当審において通知した拒絶の理由に引用した、本願の国際出願日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2010-91648号公報(以下、「引用文献3」という。)には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、光を投射することによって映像をスクリーン等に映し出す投射型表示装置等の電子機器に使用する電子機器用送風装置及び送風装置付き電子機器に係るものである。そして、詳しくは、冷却対象(電子機器や熱を伴う部品)の冷却のための風を、風の流路内で、目的とする排気部に向かって一直線状に、効率的に送ることができるようにした技術に関するものである。」
イ 「【0016】
[電子機器(液晶プロジェクタ10)の構成例]
図1は、本発明の電子機器の一実施形態としての、液晶プロジェクタ10の内部構造を示す斜視図である。
また、図2は、図1に示す液晶プロジェクタ10における光学ユニット40の内部構造を示す平面図である。
さらにまた、図3は、本発明の電子機器の一実施形態としての、液晶プロジェクタ10の内部構造を示す正面図である。
なお、この液晶プロジェクタ10には、本発明の送風装置の一実施形態としての、シロッコファン20及び送風ダクト30が組み込まれている。
【0017】
液晶プロジェクタ10は、図1に示すように、直方体状のケース11の内部に、平面形状が略L字状の光学ユニット40を収納したものである。この光学ユニット40は、映像を映し出すための光を出射するランプユニット41(本発明における光源に相当するもの)と、ランプユニット41から出射された光の変調を行うライトバルブ42とを有している。そして、光学ユニット40のライトバルブ42に近い側面に、レンズ保持枠12が取り付けられている。また、レンズ保持枠12には、先端部がケース11の側面から突出するようにして、映像を投射する投射レンズ13が保持されている。そのため、ランプユニット41から出射された光をライトバルブ42に照射することによって得られた映像は、投射レンズ13を介してスクリーン等に映し出されることとなる。
【0018】
また、光学ユニット40の下面側には、ユニットフレーム14を介して、偏平な箱状の送風ダクト30が配置されている。そして、送風ダクト30には、同じく偏平な箱状のシロッコファン20が接続されている。このシロッコファン20は、ライトバルブ42等の熱を伴う部品を冷却するための風を発生させるものである。一方、送風ダクト30は、シロッコファン20によって発生した風をライトバルブ42等に向けて進行方向を変えて案内するものである。さらにまた、ケース11の側面には、投射レンズ13に隣接するようにして2つの排気用ファン15が配置されている。そのため、シロッコファン20からの風により、光学ユニット40内のライトバルブ42等を限界保証温度以下に保持することができる。そして、光学ユニット40内を流れた風は、排気用ファン15によってケース11の外部に排出される。」
ウ 図3ないし5は次のものである。
【図3】
(4)同じく、当審において通知した拒絶の理由に引用した、本願の国際出願日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2003-241315号公報(以下、「引用文献4」という。)には、以下の記載がある。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶プロジェクターに適用するのに最適な投射型表示装置であって、特に、光源部から出射された光のうちの赤色、緑色、青色の3色の波長帯域の光をそれぞれ変調して3色の映像を得る3組の入射側偏光板、ライトバルブ及び出射側偏光板からなるライトバルブユニットを冷却風によって冷却する技術の分野に属するものである。」
イ 「【0042】このように、このライトバルブユニット空冷装置40の送風ガイド機構は、3箇所の冷却風放出口60R、60G、60Bと4つの送風ガイド61A、61B、61C、61Dとによって構成されている。そして、図7、図8、図13及び図14に示すように、ライトバルブユニット24の強制空冷時には、シロッコファン47によってダクトジョイント56及び送風ダクト54を通して3箇所の冷却風吹出口43R、43G、43Bから空冷用空間部41の下部に上向きに吹き出された冷却風CWを、垂直状をなす4つの送風ガイド61A、61B、61C、61D間で上方へスムーズに誘導することができる。」
ウ 図7ないし9は次のものである。
(5)同じく、当審において通知した拒絶の理由に引用した、本願の国際出願日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2009-3106号公報(以下、「引用文献5」という。)には、以下の記載がある。
ア 「【0001】
本発明は、液晶パネルを通して変調された光をスクリーンに投影するプロジェクタに関する。」
イ 「【0037】
そのため、図1及び図2では図示を省略しているが、入射側無機偏光板21、22、23と射出側無機偏光板27、28、29とをそれぞれ光軸を中心に回転させる回転機構を
設けている。
【0038】
各偏光板21、22、23、27、28、29の回転機構の構成は共通しており、図3には代表して入射側無機偏光板21の回転機構の構成例を示している。入射側無機偏光板21は、ホルダー61に保持している。ホルダー61は、プロジェクタ内で、VA液晶パネル24、25、26(図2)に対する位置が固定された支持枠62に、入射側無機偏光板21の光軸Xを回転中心として回転可能に支持されている。
【0039】
ホルダー61には、指で摘むための突起61aが設けられており、この突起61aを光軸に垂直な平面内で図の矢印方向に移動させると、ホルダー61が支持枠62内で回転することにより、入射側無機偏光板21が光軸を中心に回転する。
【0040】
なお、図3に示した回転機構の構成はあくまで一例であり、既に公知となっている適宜の回転機構を採用してよい。
【0041】
プロジェクタの製造時に、こうした回転機構で入射側無機偏光板21、22、23と射出側無機偏光板27、28、29との回転位置を調節することにより、入射側無機偏光板21、22、23からVA液晶パネル24、25、26に入射する光の偏光状態を揃え、VA液晶パネル24、25、26から偏光状態を揃えて射出される光の偏光方向に射出側無機偏光板27、28、29の偏光軸を合わせ込むことができる。これにより、VA液晶パネルを用いる場合でも、スクリーンに投影される画像のコントラストが最大になるように調整することができる。」
ウ 図3は次のものである。
(6)同じく、当審において通知した拒絶の理由に引用した、本願の国際出願日前に日本国内において頒布された刊行物である、特開2007-298893号公報(以下、「引用文献6」という。)には、以下の記載がある。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、光源からの光を光学系に導いて映像を生成し、前方のスクリーンへ拡大投射する液晶プロジェクタ装置に関するものである。」
イ 「【0029】
回転調整機構(92)
図5に示す如く、光学装置(3)を包囲して、前記ケーシング(1)内の一定位置に、合成樹脂製の支持ベース(8)が設けられており、該支持ベース(8)には、映像生成ユニット毎の合体フレーム(9)を支持すべき円弧状ガイド面(80)が、光学装置(3)を包囲する3箇所に配備されている。各円弧状ガイド面(80)は、光軸と平行な水平軸を中心とする円弧面に形成されている。
【0030】
図10の如く、偏光板用フレーム(90)の上端縁には、前記円弧状ガイド面(80)と同一曲率の円弧面を有する円弧状摺動片(94)が水平方向に突設されており、該円弧状摺動片(94)が図6に示す様に支持ベース(8)の円弧状ガイド面(80)に摺接して、偏光板用フレーム(90)の光軸と平行な水平軸回りの回転が案内されている。
円弧状摺動片(94)には、図9の如く周方向に延びる3本の長孔状の貫通孔(89)(89)(89)が開設されており、図6の如く2本の貫通孔(89)(89)に支持ベース(8)上の2本の突起部(81)(81)が嵌入して、円弧状摺動片(94)の摺動が円弧線上に規制されている。又、残りの1本の貫通孔(89)にビス(100)が貫通し、その先端部が支持ベース(8)にねじ込まれて、円弧状摺動片(94)を円弧状ガイド面(80)上に固定することが可能である。
【0031】
上記回転調整機構(92)においては、ビス(100)を緩めた状態で、合体フレーム(9)に光軸回りの回転力を加えることによって、図12に示す様に、円弧状摺動片(94)が円弧状ガイド面(80)に沿って摺動し、光軸と平行な中心軸回りの合体フレーム(9)の回転が案内される。この結果、偏光板と光学補償板が光軸を中心とする正確な回転を行なうことになる。
回転角度の調整後、ビス(100)を締め付けることにより、円弧状ガイド面(80)に対して円弧状摺動片(94)が固定される。この結果、偏光板用フレーム(90)が移動することはなく、偏光板の回転角度は調整状態に維持される。」
ウ 図12は次のものである。
4 対比・判断
(1)対比
ア 本願発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有し、前記各小レンズは、光源ランプ411から射出される光束を、複数の部分光束に分割し」ている「第1レンズアレイ412」は、本願発明の「光源から出射される光を複数の光束に分割するレンズアレイ」に相当する。
(イ)引用発明の「第1レンズアレイ412は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有し、前記各小レンズは、光源ランプ411から射出される光束を、複数の部分光束に分割し、前記偏光変換光学素子414によって1種類の偏光光に変換された各部分光」を、「最終的に電気光学装置44の液晶パネル441R,441G,441B上にほぼ重畳」する「重畳レンズ415」は、本願発明の「前記レンズアレイからの光を集光する集光レンズ」に相当する。
(ウ)引用発明の「2枚のダイクロイックミラー424,425と、反射ミラー426とを備え、ダイクロイックミラー424、425によりインテグレータ照明光学系40から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有」する「色分離光学系42」は、本願発明の「前記集光レンズからの光の色を分離する色分離光学系」に相当する。
(エ)引用発明の「液晶パネル441R,441G,441B」を有し、「入射側偏光板442が取り付けられている断面略コ字形のカバー部62Eとを備え、前記基部61E及びカバー部62Eは、3つの各液晶パネル441に応じて3つずつ設けられており」、「3つの各液晶パネル441の出射側に出射出側偏光板443が配置され」、「入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであ」る「電気光学装置44」の「液晶パネル」、「入射側偏光板442」及び「出射出側偏光板443」は、本願発明の「前記色分離光学系によって分離された光から光学像を形成する複数の映像表示素子」、「前記映像表示素子の光の入射側に配置される複数の入射偏光板」及び「前記映像表示素子の光の出射側に配置される複数の出射偏光板」にそれぞれ相当する。
(オ)引用発明の「各色光を合成するものであ」る「クロスダイクロイックプリズム450」は、本願発明の「前記色分離光学系により分離された光を合成するプリズム」に相当する。
(カ)引用発明の「投射レンズ46」は、本願発明の「前記光学像を投射する投射レンズ」に相当する。
(キ)引用発明の「吸気ファンF3」は、「前記下ライトガイド71の底面部712の下面側のリブ712Cで囲まれた部分に」「設置され」、「冷却空気を液晶パネル441の下部から送る」から、液晶パネル441R,441G,441Bを冷却する吸気ファンF3といえる。
そうすると、引用発明の「前記下ライトガイド71の底面部712の下面側のリブ712Cで囲まれた部分に」「設置され」、「冷却空気を液晶パネル441の下部から送る」「吸気ファンF3」は、本願発明の「複数の映像表示素子を冷却するシロッコファン」と、「複数の映像表示素子を冷却するファン」である点で一致する。
(ク)引用発明の「前記液晶パネル441の光の入射側に配置され、基部61Eに取り付けられた液晶パネル441の光束入射側を囲むように設けられ、入射側偏光板442が取り付けられている断面略コ字形」であって、「3つの筒状部が形成されることで前記環状のリブ712Cからの冷却空気の流路を分離」する「カバー部62E」は、本願発明の「それぞれの前記映像表示素子の光の入射側に配置され、前記冷却ダクトからの冷却風の流路を分離する隔壁ダクト」に相当する。
(ケ)引用発明の「カバー部62E」は、「液晶パネル441の光の入射側に配置され、基部61Eに取り付けられた液晶パネル441の光束入射側を囲むように設けられ、入射側偏光板442が取り付けられている断面略コ字形」であって、「3つの各液晶パネル441に応じて3つずつ設けられており」、「入射側偏光板442からクロスダイクロイックプリズム450までの光路が、分離された色毎に隔てられた3つの筒状部に含まれるよう配置され」るから、入射側偏光板442からクロスダイクロイックプリズム450までの光路が、分離された色毎に隔てられた3つの筒状部に含まれるよう配置され、各光路の入射側偏光板442からクロスダイクロイックプリズム450までの側面を塞いでいるカバー部62Eといえる。
そして、各光路の入射側偏光板442からクロスダイクロイックプリズム450までの側面を塞いでいれば、液晶パネル441へ照射された光のうち液晶パネル441の有効光領域外に照射された光が投写レンズ46へ入ることを抑えられる構造となっているものであることは当然である。
そうすると、引用発明の「液晶パネル441の光の入射側に配置され、基部61Eに取り付けられた液晶パネル441の光束入射側を囲むように設けられ、入射側偏光板442が取り付けられている断面略コ字形」であって、「3つの各液晶パネル441に応じて3つずつ設けられており」、「入射側偏光板442からクロスダイクロイックプリズム450までの光路が、分離された色毎に隔てられた3つの筒状部に含まれるよう配置され」る「カバー部62E」は、本願発明の「前記入射偏光板から前記プリズムまでの光路が、分離された色毎に隔てられた空間に含まれるよう配置され」、「各光路の前記入射偏光板から前記プリズムまでの側面を塞いでいるため、前記映像表示素子へ照射された光のうち前記映像表示素子の有効光領域外に照射された光が前記投射レンズへ入ることを抑えられる構造となっている」「隔壁ダクト」に相当する。
(コ)引用発明の「プロジェクタ」は、本願発明の「投射型映像表示装置」に相当する。
イ 上記アによれば、本願発明と引用発明は、
「光源から出射される光を複数の光束に分割するレンズアレイと、
前記レンズアレイからの光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズからの光の色を分離する色分離光学系と、
前記色分離光学系によって分離された光から光学像を形成する複数の映像表示素子と、
前記映像表示素子の光の入射側に配置される複数の入射偏光板と、
前記映像表示素子の光の出射側に配置される複数の出射偏光板と、
前記色分離光学系により分離された光を合成するプリズムと、
前記光学像を投射する投射レンズと、
前記複数の映像表示素子を冷却するファンと、
それぞれの前記映像表示素子の光の入射側に配置され、前記冷却ダクトからの冷却風の流路を分離する隔壁ダクトと、を備え、
前記隔壁ダクトは、前記入射偏光板から前記プリズムまでの光路が、分離された色毎に隔てられた空間に含まれるよう配置され、
前記隔壁ダクトは、各光路の前記入射偏光板から前記プリズムまでの側面を塞いでいるため、前記映像表示素子へ照射された光のうち前記映像表示素子の有効光領域外に照射された光が前記投射レンズへ入ることを抑えられる構造となっている、
投射型映像表示装置。」
である点で一致し、下記(ア)及び(イ)の点で相違する。
(ア)本願発明のファンは「シロッコファン」であって、「シロッコファンからの冷却風を前記映像表示素子の下部から送るための冷却ダクト」を備えるのに対して、引用発明のファンは「シロッコファン」とは特定されず、また、「シロッコファンからの冷却風を前記映像表示素子の下部から送るための冷却ダクト」を備えると特定されない点(以下、「相違点1」という。)
(イ)本願発明は、「入射偏光板」が、「回転調整部材を介して前記隔壁ダクトに取り付けられ、前記隔壁ダクトは、前記回転調整部材の回転中心を決める機能と前記回転調整部材を保持する機能を備え」るのに対して、引用発明の「入射側偏光板442」は、このように構成されるとは特定されない点(以下「相違点2」という)。
(2)判断
ア 上記相違点1について検討する。
液晶表示装置における冷却手段のファンとしてシロッコファンを採用し、当該シロッコファンからの冷却風を映像表示素子の下部から送るための冷却ダクトを備える構成とする点は、上記引用文献2ないし4に記載されるとおり、本願国際出願日当時周知の事項であるから、引用文献2ないし4に記載の周知事項に基づいて、上記相違点1にかかる本願発明の構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
イ 上記相違点2について検討する。
引用発明の「入射側偏光板442」は、「カバー部62Eの液晶パネル441と対向する面には、液晶パネル441への入射光束を透過させるための第2の開口部622Aが形成され、前記第2の開口部622Aには入射側偏光板442が取り付けられ」るから、入射側偏光板442は、液晶パネル441へ光を入射させるための第2の開口部622Aを塞ぐように、カバー部62Eに取り付けられているといえるところ、発明を実施するに際して、偏光板を角度調整することは本願国際出願日当時の技術常識であり、また、液晶表示装置の偏光板を回転調整部材を介して取り付ける点は、上記引用文献5及び6に記載されるとおり、本願国際出願日当時周知の事項であるから、引用文献5及び6に記載の周知事項に基づいて、カバー部62Eに前記回転調整部材の回転中心を決める機能と前記回転調整部材を保持する機能を備える構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。
(3)小括
以上の検討によれば、本願発明は、引用発明及び引用文献2ないし6に記載されるような各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び引用文献2ないし6に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2015-022407