特許拒絶査定不服審判
2015-020997
ハイブリッド自動反復要求を用いたトランスポートブロックセット送信
- 審判番号
- 2015-020997
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2011-257344外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年11月26日
- 審決日
- 2016年10月03日
- 公報発行日
- 2017年04月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インテル コーポレイション
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 分類
- P18 .55 -Z (H04L) / P18 .561-Z (H04L) / P18 .57 -Z (H04L)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法17条の2第3項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2011-257344「ハイブリッド自動反復要求を用いたトランスポートブロックセット送信」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月26日出願公開,特開2012- 85323〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は,成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2003年2月11日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2002年2月13日 米国,2002年10月24日 米国)を国際出願日とする出願である特願2003-568819号の一部を,平成20年4月2日に新たな特許出願とした特願2008-96551号の一部を,平成21年7月27日に新たな特許出願とした特願2009-174361号の一部を,平成23年11月25日に更に新たな特許出願としたものであって,平成27年3月25日付けで最後の拒絶理由が通知され,同年6月29日付けで手続補正がされたが,同年7月23日付けで当該手続補正について補正の却下の決定がされるとともに拒絶査定がされ,これに対し,同年11月26日に拒絶査定不服審判が請求がされるとともに同日付けで手続補正がされたものである。
第2 補正の却下の決定
[結論]
平成27年11月26日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 平成27年11月26日付けの手続補正の概要
平成27年11月26日付けの手続補正(以下,「本件補正1」という。)は,平成27年3月2日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
直交周波数分割多重(OFDM)信号を受信するユーザ装置(UE)であって,
第1のサブキャリアのセット上で,第1の送信時間間隔(TTI)内において,第1の変調・符号化方式で,複数のトランスポートブロックセット(TBS)を含む第1の送信を受信し,および,第2のサブキャリアのセット上で,第2のTTI内において,前記複数のTBSの少なくとも1つのTBSが再送信を必要とし,前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信したという決定に応答して,前記第1の変調・符号化方式よりロバストな第2の変調・符号化方式で,前記少なくとも1つのTBSの再送信を受信する手段と,
前記再送信されたTBSのうち少なくとも1つを前記少なくとも1つのTBSと結合する手段であって,前記第1の送信および前記再送信は異なる変調・符号化方式(MCS)で受信される,結合する手段と
を備え,
各TBSの前記再送信に用いるロバスト性がより高い変調・符号化方式に基づいて増加的冗長性を可能とするために,前記受信する手段は,前記第1のTTIにおいてよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信することを特徴とするUE。」を
「【請求項1】
直交周波数分割多重(OFDM)信号を受信するユーザ装置(UE)であって,
第1のサブキャリアのセット上で,第1の変調および符号化スキームで第1の送信時間間隔(TTI)内において複数のトランスポートブロックセット(TBS)を含む第1の送信を受信し,および,第2のサブキャリアのセット上で,第2のTTI内において,前記複数のTBSの少なくとも1つのTBSが再送信を必要としたという決定に応答して,前記少なくとも1つのTBSの再送信を,前記第1の変調および符号化スキームよりロバスト性が高い第2の変調および符号化スキームで受信する手段と,
前記再送信されたTBSの少なくとも1つを前記少なくとも1つのTBSと結合する手段であって,前記第1の送信および前記再送信は異なる変調および符号化スキーム(MCS)で受信される,結合する手段と
を備え,
前記第2のTTI内において前記第2のMCSがサポートするTBSの個数は,前記第1のTTI内において前記第1のMCSがサポートするTBSの個数よりも少なく,
前記受信する手段は,前記第1のTTIよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信することを特徴とするUE。」
とすることを含むものである。
2 補正の適否
(1)新規事項の有無について
本件補正1後の請求項1の「前記受信する手段は,前記第1のTTIよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信すること」の記載によれば,第2のTTIにおいて受信するTBSの個数は,第1のTTIにおいて受信するTBSの個数よりも多いことになるが,これは,平成27年3月25日付けで通知した最後の拒絶理由(特許法第17条の2第3項違反)をそのまま有するものであり,TBSの個数の大小関係が平成25年7月24日付け及び平成26年5月19日付けの手続補正に係る請求項1の「前記受信する手段は第2のTTIよりも多くの個数のTBSを第1のTTIにおいて受信する」との内容とも逆になっているので,当該事項について以下検討する。
出願当初の明細書,図面には以下のとおり記載されている。
「【0020】
(中略) 図5を用いて説明すると,1つのTTIが,最大データ転送速度を達成するために最低ロバスト性の変調・符号化セットで適用された3個のTBS,すなわちTBS1,TBS2およびTBS3を有する。図5の変調・符号化セットは,後でただ1つのTBSだけを送信することができるように変化する。図4に戻って,TBSの少なくとも1つが許容できない品質で受信され,再送が要求される(ステップ52)。図5の例示では,大きい「X」印で示すように,TBS2が再送を要求する。再送を要求するTBSは,新たな変調・符号化セットで送信され,前のTBS送信と結合される(ステップ54)。図5に示すように,TBS2のみが再送され,前のTBS2送信と結合される。この例は,高ロバスト性の変調・符号化セットでただ1つのTBSを送信することを示しているが,TTI内において高ロバスト性の変調・符号化セットで2個のTBSを送信することも可能である。
【0021】
図6は,再送を要求する複数のTBSを示している。3個のTBS,すなわちTBS1,TBS2およびTBS3が1つのTTI内で送信される。一度にただ1つのTBSを送信することができるように,変調・符号化セットが変更される。3個のすべてのTBSが,許容できない品質で受信される。3個のすべてのTBSについて,再送要求が送信される。その後,再送1,再送2および再送3で示すように,各TBSが別々のTTIにおいて再送される。再送されたTBSは前の送信と結合される。2個のTBSがTTI内において高ロバスト性の変調・符号化セットで送信される場合にも同様の手続きが用いられる。」
請求項1の記載によれば,第1のTTIでは,第1の変調および符号化スキームで,複数のTBSを含む第1の送信を受信し,第2のTTIでは,(第1の変調および符号化スキームよりロバスト性が高い)第2の変調および符号化スキームで,再送信を必要とした少なくとも1つのTBSの再送信を受信するものである。
そして,図5及び上記【0020】の記載によれば,第1のTTIに相当する最初の送信では,TBS1,TBS2およびTBS3の3個のTBSが受信され,第2のTTIに相当する再送ではTBS2のみの1個のTBSが受信される。また,図6及び上記【0021】の記載によれば,第1のTTIに相当する最初の送信では,TBS1,TBS2およびTBS3の3個のTBSが受信され,第2のTTIに相当する例えば再送1ではTBS1のみの1個のTBSが受信される。ここで,再送1,2,3はそれぞれ別々のTTIであるから,1つのTTIで受信するTBSの個数は1つである。【0020】,【0021】には,2個のTBSが最初の送信よりも高ロバスト性の変調・符号化セットで再送され得ることも言及されているが,最初の送信における3個よりも少ないことは明らかである。
したがって,出願当初の明細書及び図面に記載されているものは,第2のTTIにおいて受信するTBSの個数は,第1のTTIにおいて受信するTBSの個数よりも少ない。そして,第2のTTIにおいて受信するTBSの個数が第1のTTIにおいて受信するTBSの個数よりも多いことは,出願当初の明細書,特許請求の範囲又は図面のいずれにも記載も示唆もされていない。
請求人は,審判請求書において,請求項1の補正は図6及び対応する詳細な説明等に基づいているとしているが,上述のとおり,図6及びその説明には本件補正1の内容は記載されていない。
また,請求項1の記載によれば,「第2の変調および符号化スキーム」は「前記第1の変調および符号化スキームよりロバスト性が高い」ものであり,「前記第2のTTI内において前記第2のMCSがサポートするTBSの個数は,前記第1のTTI内において前記第1のMCSがサポートするTBSの個数よりも少な」いのであるから,第2のTTIにおいて受信するTBSの個数が,第1のTTIにおいて受信するTBSの個数よりも多いことは不自然であって,「前記受信する手段は,前記第1のTTIよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信すること」は自明でもない。
したがって,本件補正1は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものとはいえず,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものではない。
(2)補正の目的要件等について
上記(1)のとおり,本件補正1は特許法第17条の2第3項の規定に違反しているが,更に進めて補正の目的要件についても検討する。
本件補正1により,本件補正1前は「各TBSの前記再送信に用いるロバスト性がより高い変調・符号化方式に基づいて増加的冗長性を可能とするために,前記受信する手段は,前記第1のTTIにおいてよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信する」とされていたが,本件補正1後は「前記受信する手段は,前記第1のTTIよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信する」とされ,当該受信が「各TBSの前記再送信に用いるロバスト性がより高い変調・符号化方式に基づいて増加的冗長性を可能とするため」のものであるとの限定が削除された。このため,実質上特許請求の範囲が拡張されており,本件補正1の目的は,特許法第17条の2第4項各号に掲げられているいずれの事項にも該当しない。
3 結語
以上のとおり,本件補正1は,平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定及び平成18年法律第55号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第4項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
平成27年11月26日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願の請求項1~4に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成27年3月2日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~4に記載されたものである。
そして,平成27年3月2日付け手続補正(以下,「本件補正2」という。)は,平成26年5月19日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
直交周波数分割多重(OFDM)信号を受信するユーザ装置(UE)であって,
第1のサブキャリアのセット上で,第1の送信時間間隔(TTI)内において複数のトランスポートブロックセット(TBS)を含む第1の送信を受信し,および,第2のサブキャリアのセット上で,第2のTTI内において,前記複数のTBSの少なくとも1つのTBSが再送信を必要としたという決定に応答して,前記少なくとも1つのTBSの再送信を受信する手段と,
前記再送信された少なくとも1つのTBSを前記少なくとも1つのTBSと結合する手段であって,前記第1の送信および前記再送信は異なる変調および符号化スキーム(MCS)で受信される,結合する手段と
を備え,
各TBSの前記再送信を実行するためにロバスト性がより高い変調・符号化方式を使用することに基づいて増加的冗長性を可能とするために,前記受信する手段は第2のTTIよりも多くの個数のTBSを第1のTTIにおいて受信することを特徴とするUE。」
を
「【請求項1】
直交周波数分割多重(OFDM)信号を受信するユーザ装置(UE)であって,
第1のサブキャリアのセット上で,第1の送信時間間隔(TTI)内において,第1の変調・符号化方式で,複数のトランスポートブロックセット(TBS)を含む第1の送信を受信し,および,第2のサブキャリアのセット上で,第2のTTI内において,前記複数のTBSの少なくとも1つのTBSが再送信を必要とし,前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信したという決定に応答して,前記第1の変調・符号化方式よりロバストな第2の変調・符号化方式で,前記少なくとも1つのTBSの再送信を受信する手段と,
前記再送信されたTBSのうち少なくとも1つを前記少なくとも1つのTBSと結合する手段であって,前記第1の送信および前記再送信は異なる変調・符号化方式(MCS)で受信される,結合する手段と
を備え,
各TBSの前記再送信に用いるロバスト性がより高い変調・符号化方式に基づいて増加的冗長性を可能とするために,前記受信する手段は,前記第1のTTIにおいてよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信することを特徴とするUE。」([当審注]:下線部は,補正箇所を示すために請求人が付加したものを援用した。)
と補正することを含むものである。
2 平成27年3月25日付けの拒絶理由の概要
(新規事項)平成27年3月2日付けでした手続補正は,下記の点で願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
記
●理由1について
・請求項 1-4
意見書において,補正の根拠は段落3,12等である旨主張しているものの,明細書等には,「・・第2のTTI内において,・・前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信したという決定に応答して,前記第1の変調・符号化よりロバストな第2の変調・符号化方式で,前記少なくとも1つのTBSの再送信を受信する」こと,及び,「各TBSの前記再送信に用いるロバスト性がより高い変調・符号化方式に基づいて・・前記第1のTTIにおいてよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信する」ことは何ら開示されていない。(なお,請求項1での定義上,「第2のTTI」は「第1のTTI」での送信に対する再送信に係るものと認められる。)
3 当審の判断
(1)「・・・受信する手段」における「決定」に関して「,前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信し」を追加する補正(以下,「補正事項a」という。)について
まず,追加された補正事項aはさておき「・・・第2のサブキャリアのセット上で,第2のTTI内において,前記複数のTBSの少なくとも1つのTBSが再送信を必要とし・・・たという決定に応答して,前記第1の変調・符号化方式よりロバストな第2の変調・符号化方式で,前記少なくとも1つのTBSの再送信を受信する手段」との記載によれば,第2のTTIでは,(第1のTTIにおける第1の変調および符号化スキームよりロバスト性が高い)第2の変調および符号化スキームで,再送信を必要とした少なくとも1つのTBSの再送信を受信するものであると認められる。すなわち,第1のTTI内における受信は「最初の送信」に対応し,第2のTTI内における受信は「再送」に対応するものと認められる。
そして,追加された補正事項aを含む「前記複数のTBSの少なくとも1つのTBSが再送信を必要とし,前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信したという決定に応答して」との記載によれば,再送信は「複数のTBSの少なくとも1つのTBSが再送信を必要とし」且つ「前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信した」という決定に応じてなされるものであるといえる。
しかし,再送信が「前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信した」という決定に応じてなされることは,出願当初の明細書,特許請求の範囲又は図面には,記載も示唆もされていない。
請求人は平成27年3月2日付け意見書にて,補正の根拠は段落0003,0012等の記載である旨主張しているが,発明の詳細な説明の当該箇所には
「【0003】
データを送信するために用いられる変調および符号化のシステム(セット)は,ワイヤレスチャネル条件に基づいてさまざまである。例えば,誤り符号化の種類(例えばターボ符号化に対して畳込み符号化),符号化レート,CDMAシステムの場合の拡散係数,変調タイプ(例えば直交位相シフトキーイングに対してM相(M-ary)直交振幅変調),および/またはOFDMシステムの場合の加算/減算サブキャリア(副搬送波)は変わり得る。チャネル特性が向上すれば,データを転送するために,より低いデータ冗長性および/または「低ロバスト性(less robust)」の変調・符号化セット(modulation and coding set,MCS)が用いられる。その結果,無線リソースの所与の割当てに対して,より多くのユーザデータが転送され,有効データ転送速度が高くなる。逆に,チャネル特性が劣化すれば,より高いデータ冗長性や「高ロバスト性(more robust)」の変調・符号化セットが用いられ,転送されるユーザデータは少なくなる。AMCを用いると,無線リソース利用率とサービス品質(QOS)の間の最適化を,より良好に維持することができる。」,
「【0012】
ワイヤレス通信システムにおいてデータは送信時間間隔内に送信されるものである。ワイヤレス通信システムは,適応変調・符号化(adaptive modulation and coding)を使用し,自動反復要求メカニズムを有する。送信時間間隔は,複数のトランスポートブロックセット(TBS)を有する。トランスポートブロックセットは,第1の指定された変調・符号化システムで送信される。各トランスポートブロックセットが受信され,トランスポートブロックセットが指定された品質を満たすかどうかが判定される。指定された品質が満たされない場合には,反復要求が送信される。指定された変調・符号化システムは,送信時間間隔内のTBSの数を減らすことをサポートし得る第2の指定された変調・符号化システムに変更される。反復要求に応答して,トランスポートブロックセットの少なくとも1つが再送される。再送されたトランスポートブロックセットが受信される。再送されたトランスポートブロックセットは,前に受信された対応するトランスポートブロックセットと結合され得る。」
との記載があるのみであって,再送信が「前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信した」という決定に応じてなされることは,記載も示唆もされていない。
そして,当該決定に応じて第2のTTI内にて再送信の受信がなされるのであるから,当該決定の時点では,第2のTTI内での再送信は未だ受信されておらず,第2のTTI内における受信が存在するはずはない。このため,「前記第1のTTI内においてより前記第2のTTI内において,より多くのTBSを受信したという決定に応答して,・・・前記少なくとも1つのTBSの再送信を受信する」ことは,技術的に矛盾している。
したがって,補正事項aは,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものとはいえず,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものではない。
(2)「各TBSの前記再送信に用いるロバスト性がより高い変調・符号化方式に基づいて増加的冗長性を可能とするために,前記受信する手段は,前記第1のTTIにおいてよりも多くの個数のTBSを第2のTTIにおいて受信する」との補正(以下,「補正事項b」という。)について
本件補正2前の請求項1は,「各TBSの前記再送信を実行するためにロバスト性がより高い変調・符号化方式を使用することに基づいて増加的冗長性を可能とするために,前記受信する手段は第2のTTIよりも多くの個数のTBSを第1のTTIにおいて受信する」であったことから,第1のTTIにおいて受信するTBSの個数と第2のTTIにおいて受信するTBSの個数との大小関係が,本件補正2の前後で逆になっており,本件補正2後は,第2のTTIにおいて受信するTBSの個数が第1のTTIにおいて受信するTBSの個数よりも多いものである。
しかしながら,上記「第2 補正の却下の決定」の項の「2 補正の適否」の項の「(1)新規事項の有無について」の項にて述べたとおり,出願当初の明細書,特許請求の範囲又は図面に記載されているものは,第2のTTIにおいて受信するTBSの個数は第1のTTIにおいて受信するTBSの個数よりも少ないものであって,その逆であるものは記載も示唆もされてない。
そして,【0015】に「例えば,最高ロバスト性のMCSでは,TTI内に最大2,000ビットのTBSをサポートする容量しかないかもしれない。最高ロバスト性の変調符号化セットに言及しているが,実際には,最高ロバスト性の変調符号化セットが必要とされる可能性が少ない場合には,最高ロバスト性のセットは,高ロバスト性のセットであってもよい。最低ロバスト性の変調・符号化セットでは,TTI内に最大20,000ビットのTBSをサポートする容量があるかもしれない。」との記載によれば,第1の変調・符号化方式よりロバストな第2の変調・符号化方式がサポートするTBSは,第1の変調・符号化方式がサポートするTBSよりも少ないはずであるから,補正事項bの内容は技術的に不自然である。
したがって,補正事項bは,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入しないものとはいえず,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものではない。
4 むすび
以上のとおり,平成27年3月2日付けの手続補正は,平成14年法律第24号改正附則第3条第1項によりなお従前の例によるとされる同法による改正前の特許法第17条の2第3項の規定に規定する要件を満たしていないから,本件出願は特許を受けることができない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2015-020997