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特許拒絶査定不服審判

2015-020829

統合されたマージモードおよび適応動きベクトル予測モード候補選択

審判番号
2015-020829
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-516989外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年11月24日
審決日
2017年01月05日
公報発行日
2017年07月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (H04N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014-516989「統合されたマージモードおよび適応動きベクトル予測モード候補選択」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月27日国際公開、WO2012/177387、平成26年 8月21日国内公表、特表2014-520484〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 経緯 1.手続 本願は、2012年(平成24年)6月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理、2011年6月20日、米国、2011年7月11日、米国、2011年7月18日、米国、2012年6月4日、米国)を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。 手続補正         :平成26年 2月18日 拒絶理由通知       :平成26年12月10日(起案日) 手続補正         :平成27年 4月16日 拒絶査定         :平成27年 7月10日(起案日) 拒絶査定不服審判請求   :平成27年11月24日 2.査定 原審での査定の理由は、概略、以下のとおりである。 本願の各請求項に係る発明(平成27年4月16日付け手続補正書による)は、下記刊行物に記載された発明および周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 記 刊行物1:Yunfei Zheng, et.al., "Unified Motion Vector Predictor Selection for Merge and AMVP", [online], 19 Mar. 2011, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11, Document: JCTVC-E396(version 2), [平成26年12月4日検索], インターネット〈URL:http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/5_Geneva/wg11/JCTVC-E396-v2.zip〉(公知日は、ファイルのタイムスタンプの日付) 刊行物2:J. Jung, et.al., "Description of Core Experiment 9: MV Coding and Skip/Merge operations", [online], 14 Feb. 2011, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11, Document: JCTVC-D609(version 3), [平成26年12月4日検索], インターネット〈URL:http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/4_Daegu/wg11/JCTVC-D609-v3.zip〉(公知日は、ファイルのタイムスタンプの日付) 刊行物3:Ken McCann, et.al., "HM3: High Efficiency Video Coding (HEVC) Test Model 3 Encoder Description", [online], 2 Jun. 2011, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11, Document: JCTVC-E602(version 1), [平成26年12月4日検索], インターネット〈URL:http://phenix.int-evry.fr/jct/doc_end_user/documents/5_Geneva/wg11/JCTVC-E602-v1.zip〉(公知日は、ファイルのタイムスタンプの日付)(表紙と、目次と、第5.4.1~5.4.2節) 刊行物4:"ITU-T Recommendation H.263(02/98)", [online], Feb. 1998, ITU-T, [平成24年1月24日検索], インターネット<URL:http://www.itu.int/rec/dologin_pub.asp?lang=e&id=T-REC-H.263-199802-S!!PDF-E&type=items>(公知日は、表紙に記載のもの)(表紙と目次と、第21頁、第33~45頁) 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面、及び平成27年4月16日付け手続補正書の記載からみて、平成27年4月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 ((A)ないし(E)は合議体が付与した。以下、それぞれ、構成要件(A)、構成要件(B)・・・、という。) 【請求項1】 (A)ビデオ符号化プロセスにおいて動きベクトルを符号化する方法であって、前記方法は、ビデオエンコーダが実行し、前記方法は、 (B)符号化されるべきビデオデータの現在のブロックのための動きベクトル予測プロセスのための複数のモードのうちの1つを判断することと、 (C)前記判断されたモードと候補ブロックのセットを使用して、前記ビデオデータの現在のブロックのための前記動きベクトル予測プロセスを実行することと (D)を備え、 (D-1)前記候補ブロックのセットは、前記複数のモードの各々について同じであり、 (D-2)前記複数のモードは、マージモードと適応動きベクトル予測モードとを含み、 (D-3)前記候補ブロックのセットは、左上候補ブロック、上候補ブロック、右上候補ブロック、左候補ブロック、左下候補ブロック、および時間候補ブロックを含む、 (E)方法。 第3 刊行物に記載された発明 1.刊行物1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「Unified Motion Vector Predictor Selection for Merge and AMVP」(以下「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている。 (1-1)「Abstract This contribution proposes a unified motion vector predictor selection method for Merge mode and AMVP. This method aligns the motion vector predictor selection procedure by searching four fixed neighboring blocks. The method defines the neighboring blocks based on the partition shape and partition index. The simulation result shows the performance drop of 0.28% (RA_HE, RA_LC, LD_HE, and LD_LC average) in BD rate saving with 10% encoding complexity reduction. Combined with JCTVC-E343, the simulation result shows the performance gain of 0.1% (RA_HE, RA_LC, LD_HE, and LD_LC average) in BD rate saving with 10% encoding complexity reduction. 」 (1頁下から20行-下から13行) (訳) 「要約 この寄稿は、マージモードとAMVPのための統一された動きベクトル予測子選択方法を提案する。この方法は、4つの固定隣接ブロックを探索することによって、動きベクトル予測子選択手順を整列させる。この方法は、パーティション形状とパーティションインデックスに基づいて隣接するブロックを定義する。シミュレーション結果は、10%の符号化複雑性の低減を伴うBDレート節約における0.28%(RA_HE、RA_LC、LD_HE、およびLD_LC平均)の性能低下を示す。JCTVC-E343と組み合わせることで、シミュレーション結果は、10%の符号化複雑度低減を伴うBDレートの節約における0.1%(RA_HE、RA_LC、LD_HE、およびLD_LC平均)の性能向上を示している。」 (1-2)「1 Introduction In the current HEVC Test Model (HM 2.0), two different motion information prediction schemes exist. In AMVP [1] inter and skip modes use motion vectors from the neighboring prediction units (PUs) as motion vector predictors (MVPs). AMVP's search process for motion vector predictors is illustrated in Figure 1. The process starts by checking candidates from right to left, bottom to top and temporally collocated neighboring blocks. In each search direction (right to left and bottom to top), it stops when a neighboring block with a matching reference list and a reference index [2] or until the end block along the search direction. Another motion information prediction scheme is merge mode. Merge mode infers the inter prediction direction and reference frame index from the neighboring blocks and uses their motion vectors as MVPs. Four spatial and one temporal neighboring blocks are defined as merge candidates, as shown in Figure 2. In this contribution, we propose a unified motion vector selection method for both merge and AMVP modes by checking four neighboring blocks' motion information. 」(1頁下から12行-最下行) (訳) 1 Introduction 現在のHEVCテストモデル(HM2.0)では、2つの異なる動き情報予測方式が存在する。AMVP [1]では、インターとスキップモードは、動きベクトル予測子(MVPs)として隣接予測ユニット(PUs)からの動きベクトルを使用する。動きベクトル予測子のためのAMVPの探索プロセスが図1に示されている。プロセスは、右から左、下から上、および時間的に並置された隣接ブロックから候補をチェックすることから始まる。各探索方向(右から左、下から上)で、一致する参照リストおよび参照インデックス[2]を有する隣接ブロック、または探索方向に沿った終了ブロックで停止する。別の動き情報予測方式はマージモードである。マージモードは、隣接ブロックからのインター予測方向および参照フレームインデックスを推測し、それらの動きベクトルをMVPとして使用する。図2に示すように、4つの空間的と1つの時間的に隣接するブロックがマージ候補として定義される。この寄稿では、4つの隣接ブロックの動き情報をチェックすることによって、マージモードとAMVPモードの統合された動きベクトル選択方法を提案する。 (1-3)「2 Proposed algorithm The proposed method uses four neighboring blocks' motion information for both merge and AMVP modes. A subset of motion information is formed by selecting several blocks based on the prediction partition shape and partition index from the neighboring blocks. Figure 3 shows the selected neighboring blocks to get the motion information for different prediction partitions and indices. The hatched block is the current coding PU. The grey blocks are the neighboring blocks that will be checked by both merge and AMVP modes in this proposal . The grey blocks centered in the hatched block indicate the collocated temporal candidates.」(2頁下から8行-最下行) (訳) 「2 Proposed algorithm 提案された方法は、マージモードとAMVPモードの両方に4つの隣接ブロックの動き情報を使用する。動き情報のサブセットは、予測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックスに基づいていくつかのブロックを選択することによって形成される。図3は、異なる予測パーティションおよびインデックスの動き情報を得るために選択された隣接ブロックを示す。ハッチングされたブロックは、現在の符号化PUである。灰色のブロックは、この提案でマージモードとAMVPモードの両方でチェックされる隣接ブロックである。ハッチングされたブロックの中心にあるグレーのブロックは、並置された時間的候補を示す。」 (1-4)「A merge mode PU inherits inter prediction direction (forward, backward, or bi prediction), reference index, and motion vector from the selected neighboring blocks. In AMVP mode, if the selected neighboring block's reference list or reference index does not match with the current coding block's reference list or reference index, the motion vector of the selected neighboring block is scaled based on the POC distance, as shown in Figure 4. In Figure 4, mv1 and mv2 are the two neighboring motion vectors that point to different reference frames from the current picture. Before using mv1 and mv2 as motion vector predictor candidates, they are scaled to mv1_s and mv2_s based on the POC distance and are used as motion vector predictor candidates for the current coding block in AMVP. In this scheme, no search shown in Figure 2 is conducted so complexity is reduced.」(3頁下から9行-最下行) (訳) 「マージモードPUは、選択された隣接ブロックからインター予測方向(順方向、逆方向、または双方向予測)、参照インデックス、および動きベクトルを継承する。AMVPモードでは、選択された隣接ブロックの参照リストまたは参照インデックスが現在のコーディングブロックの参照リストまたは参照インデックスと一致しない場合、図4に示すように、選択された隣接ブロックの動きベクトルがPOC距離に基づいてスケーリングされる。図4において、mv1およびmv2は、現在のピクチャから異なる参照フレームを指し示す2つの隣接する動きベクトルである。動きベクトル予測子候補としてmv1およびmv2を使用する前に、それらはPOC距離に基づいてmv1_sおよびmv2_sにスケーリングされ、AMVPにおける現在の符号化ブロックの動きベクトル予測子候補として使用される。このスキームでは、図2に示す探索は行われないので、複雑さが低減される。」 2.刊行物1に記載された発明 以上の刊行物1の記載からみて、刊行物1には、次の発明が記載されている。 (2-1) 上記(1-2)の「HEVC」とは「High Efficiency Video Coding」と呼ばれるビデオ符号化の略称であることは、当業者には周知の事項であるから、刊行物1は、ビデオ符号化に関する技術が開示されている文献であることは、当業者であれば理解できる。 そして、(1-1)に「この寄稿は、マージモードとAMVPのための統一された動きベクトル予測子選択方法を提案する。」とあるから、上記ビデオ符号化のうち、特に、動きベクトルの符号化に関する方法が開示されていることが理解できる。 以上のことから、刊行物1には、「ビデオ符号化のうち、特に、動きベクトルの符号化に関する方法」に関する発明が開示されている。 (2-2) 上記(1-2)の記載によれば、上記符号化方法では、動き情報予測方式として2つの方式があり、その2つの方式とは、「マージモード」と「AMVPモード」であることが開示されている。 (2-3) 上記(1-4)の記載によれば、「マージモード」では、「選択された隣接ブロックからインター予測方向(順方向、逆方向、または双方向予測)、参照インデックス、および動きベクトルを継承する」ことで、動きベクトルの予測を行い、「AMVPモード」では、「選択された隣接ブロックの参照リストまたは参照インデックスが現在のコーディングブロックの参照リストまたは参照インデックスと一致しない場合、図4に示すように、選択された隣接ブロックの動きベクトルがPOC距離に基づいてスケーリング」することで「現在の符号化ブロックの動きベクトル予測子候補」とすることが開示されている。 (2-4) 上記(1-3)の記載によれば、「マージモードとAMVPモードの両方に4つの隣接ブロックの動き情報を使用する」ことが開示されている。このことは、上記(1-1)の「この寄稿は、マージモードとAMVPのための統一された動きベクトル予測子選択方法を提案する。」の記載も参酌すれば、「マージモードとAMVPモードの両方に統一された4つの隣接ブロックの動き情報を使用する」ことが開示されているといえる。 (2-5) 上記(2-4)の「4つの隣接ブロック」は、(1-3)の記載によれば、「予測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックスに基づいて」選択されるものであり、図3にその例が記載されている。図3を参酌すると、サブブロックの形状及び位置(予測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックス)に応じて、異なるブロックを隣接ブロックとして選択しているが、各例で共通しているのは、上ブロック、右上ブロック、左ブロック、左下ブロック、時間的に隣接するブロックの5個から4つを選択していることである。 以上のことから、刊行物1には、符号化に関する方法について、予測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックスに基づいて4つの隣接ブロックを選択するものであって、上記選択は、上ブロック、右上ブロック、左ブロック、左下ブロック、時間的に隣接するブロックから4つの隣接ブロックを選択することが開示されている。 (2-6)まとめ 以上、(2-1)ないし(2-5)の記載によれば、刊行物1には、以下のとおりの発明(以下、刊行物1発明という。)が記載されているといえる。 ((a)ないし(e)は合議体が付与した。以下、それぞれ、構成要件(a)、構成要件(b)等という。) (a)ビデオ符号化のうち、特に、動きベクトルの符号化に関する方法であって、前記方法は、 (b)動き情報予測方式として2つの方式があり、その2つの方式とは、「マージモード」と「AMVPモード」であり、 (c)「マージモード」では、「選択された隣接ブロックからインター予測方向(順方向、逆方向、または双方向予測)、参照インデックス、および動きベクトルを継承する」ことで、動きベクトルの予測を行い、「AMVPモード」では、「選択された隣接ブロックの参照リストまたは参照インデックスが現在のコーディングブロックの参照リストまたは参照インデックスと一致しない場合、選択された隣接ブロックの動きベクトルがPOC距離に基づいてスケーリング」することで「現在の符号化ブロックの動きベクトル予測子候補」とし、 (d-1)マージモードとAMVPモードの両方に統一された4つの隣接ブロックの動き情報を使用し、 (d-2)予測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックスに基づいて4つの隣接ブロックを選択するものであって、上記選択は、上ブロック、右上ブロック、左ブロック、左下ブロック、時間的に隣接するブロックから4つの隣接ブロックを選択する、 (e)方法。 3.刊行物2の記載 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である「Description of Core Experiment 9: MV Coding and Skip/Merge operations」(以下「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。 「JCTVC-D055-c : Further reduction of search partition in left/top PMV candidate detection As shown in Figure 3.1.3c, left/upper MVP candidate calculation is further simplified. For the search of left predictor, instead of scanning all the left neighboring PUs from bottom to top, only up to two neighboring PUs, Am+1,Am, are used. Similarly, For the search of top predictor, only up to three neighboring PUs, Bn+1,Bn ,B-1 are used. Other steps to select MVP candidate are unchanged. 」(6頁中段) (訳) 「JCTVC-D055-c : Further reduction of search partition in left/top PMV candidate detection 図3.1.3cに示すように、左上のMVP候補の計算はさらに単純化される。左予測子の探索のために、左に隣接するすべてのPUを下から上へ走査するのではなく、最大2つの隣接PU、Am+1、Amのみが使用される。同様に、上予測子の探索のために、最大3つの隣接するPU、Bn+1、Bn、B-1のみが使用される。MVP候補を選択する他の手順は変更されていない。」 Table X: Summary of the JCTVC-D055 related experiments. 第4 対比 本願発明と刊行物1発明とを対比する。 (4-1)本願発明の構成要件(A)、(E)と刊行物1発明の構成要件(a)、(e)とを対比する。 刊行物1発明の「ビデオ符号化のうち、特に、動きベクトルの符号化に関する方法」は、本願発明の「ビデオ符号化プロセスにおいて動きベクトルを符号化する方法」に相当することは、明らかである。 また、当該符号化を実行する手段として、刊行物1には具体的な記載はないが、「ビデオエンコーダ」が実行することも当業者であれば普通に想起しえたことであるから、上記符号化方法をビデオエンコーダが実行することは、刊行物1に記載されていたに等しいものであるといえる。 したがって、刊行物1発明の構成要件(a)、(e)は、本願発明の構成要件(A)、(E)に相当する。 (4-2)本願発明の構成要件(B)、(C)、(D)、(D-2)と刊行物1発明の構成要件(b)、(c)とを対比する。 刊行物1発明では、「動き情報予測方式として2つの方式があ」るから、「符号化されるべきビデオデータの現在のブロックのための動きベクトル予測プロセスのための複数のモード」を有しているといえる。 そして、構成要件(c)にあるように、上記2つの方式(マージモード、AMVPモード)で異なる動きベクトルの予測を行っているから、符号化時に、上記「マージモード」、「AMVPモード」のいずれで符号化を行うか決定(判断)していることは明らかである。 したがって、刊行物1発明は、構成要件(B)を有しているといえる。 また、刊行物1発明の「選択された隣接ブロック」は、現在のブロックの動きベクトルの予測を行うために使用されていることは明らかであり、モードにより異なる処理で予測も行われているから、上記予測に上記「マージモード」、「AMVPモード」のいずれで符号化を行うかの判断の結果を用いていることも明らかである。 したがって、刊行物1発明の方法は、構成要件(C)も備えた(構成要件(D))方法である。 また、刊行物1発明の「AMVP」は、適応動きベクトル予測(adaptive motion vector prediction)のことであることは、技術常識である。 したがって、刊行物1発明は、構成要件(D-2)も有している。 (4-3)本願発明の構成要件(D-1)と刊行物1発明の構成要件(d-1)とを対比する。 刊行物1発明において「マージモードとAMVPモードの両方に統一された4つの隣接ブロックの動き情報を使用」していることは、本願発明の「前記候補ブロックのセットは、前記複数のモードの各々について同じであ」ることに等しいことは明らかである。 (4-4)本願発明の構成要件(D-3)と刊行物1発明の構成要件(d-3)とを対比する。 刊行物1発明の選択された4つの隣接ブロックが、「上ブロック、右上ブロック、左ブロック、左下ブロック、時間的に隣接するブロック」から選択されることは、本願発明の、候補ブロックのセットは、上候補ブロック、右上候補ブロック、左候補ブロック、左下候補ブロック、時間候補ブロックを含むことに対応する。 もっとも、本願発明では、上記候補ブロックのセットは、一つしか無いのに対し、刊行物1発明では、「測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックスに基づいて4つの隣接ブロック選択する」ものである点で相違し、また、本願発明では、上記候補のブロックに、「左上候補ブロック」を含むのに対し、刊行物1発明では、「左上候補ブロック」は含んでいない点で相違する。 (4-5)まとめ(一致点、相違点) 以上まとめると、本願発明と刊行物1発明とは以下の一致点で一致し相違点で相違する。 (一致点) ビデオ符号化プロセスにおいて動きベクトルを符号化する方法であって、前記方法は、ビデオエンコーダが実行し、前記方法は、 符号化されるべきビデオデータの現在のブロックのための動きベクトル予測プロセスのための複数のモードのうちの1つを判断することと、 前記判断されたモードと候補ブロックのセットを使用して、前記ビデオデータの現在のブロックのための前記動きベクトル予測プロセスを実行することと を備え、前記候補ブロックのセットは、前記複数のモードの各々について同じであり、前記複数のモードは、マージモードと適応動きベクトル予測モードとを含み、前記候補ブロックのセットは、上候補ブロック、右上候補ブロック、左候補ブロック、左下候補ブロック、時間候補ブロックを含む、 方法。 (相違点) 相違点1 本願発明では、上記候補ブロックのセットは、一つしか無いのに対し、刊行物1発明では、「測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックスに基づいて4つの隣接ブロックを選択する」ものである点 相違点2 本願発明では、上記候補のブロックに、「左上候補ブロック」を含むのに対し、刊行物1発明では、「左上候補ブロック」は含んでいない点 第5 判断 上記相違点1、相違点2について検討する。 刊行物1発明では、「上候補ブロック、右上候補ブロック、左候補ブロック、左下候補ブロック、時間候補ブロック」の5つから、4つを選択しているが、これら5つの候補全てを用いれば、「測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックスに基づいて」選択を行う必要が無いことは、当業者であれば普通に想起しえたことであって、さらに、刊行物1の図2(マージモードの場合)では、「上候補ブロック、右上候補ブロック、左候補ブロック、左下候補ブロック、時間候補ブロック」の5つの候補全てを用いて、「測区画形状及び隣接ブロックからの区画インデックスに基づいて」選択を行わず、予測をしているのであるから、刊行物1発明において、上記5つの候補全てを用いる構成とすることは、当業者が容易に想起しえたことである。 そして、刊行物1の図1や、刊行物2の図3.1.3cにあるように動きベクトル予測のための候補ブロックとして、左上候補ブロックを用いることは従来から行われていることであって、当業者には普通に知られたことであるから、左上候補ブロックを、さらに、利用しようとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 したがって、刊行物1発明において、上記候補のブロックを、左上候補ブロック、上候補ブロック、右上候補ブロック、左候補ブロック、左下候補ブロック、時間候補ブロックを含むようにし、これら全てを用いることで、一つのセットとすることは、当業者が容易になしえたことである。 以上のように、上記相違点は当業者が容易に想到し得たものと認められ、本願発明全体としてみても格別のものはなく、その作用効果も、上記構成の採用に伴って当然に予測される程度のものにすぎず、格別顕著なものがあるとは認められない。 第6 むすび 以上、本件出願の請求項1に係る発明は、刊行物1、刊行物2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-020829

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