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特許拒絶査定不服審判

2015-020366

海洋水圧差発電によるメビウスリング状にしたねじれ鉄板からの海洋発電

審判番号
2015-020366
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-240371外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年10月22日
審決日
2016年12月06日
公報発行日
2017年04月28日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .55 -Z (F03B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法17条の2第3項特許法49条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第49条、特許法第53条第1項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-240371「海洋水圧差発電によるメビウスリング状にしたねじれ鉄板からの海洋発電」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 5月 7日出願公開、特開2015- 86853〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1.手続の経緯 本願は、平成25年10月31日の出願であって、平成26年5月2日付けで拒絶の理由が通知され、これに対し平成26年7月1日付け(受付日:同年7月2日)で意見書と手続補正書が提出され、次いで平成26年11月28日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対し平成27年1月28日に手続補正書が提出され、平成27年2月13日に意見書が提出されたが、平成27年1月28日の手続補正書でした補正は、平成27年7月15日付けで却下され、同日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、同年10月22日差出(受付日:同年10月23日)で拒絶査定不服審判の請求がなされ、その後、平成28年1月14日付け、同年8月6日付け、同年9月11日付け、同年10月18日付け及び同年10月25日付けでそれぞれ上申書が提出されたものである。 なお、平成27年1月28日に提出された意見書及び平成27年2月13日に提出された手続補正書は、いずれも方式上の不備により手続却下されている。 第2.拒絶査定について 1.本願の請求項1の記載 平成27年7月15日付けでした補正の却下の決定により、平成27年1月28日の補正は却下されたから、本願の請求項1の記載は、平成26年7月1日付けの手続補正書によって補正された請求項1に記載されたものである。その請求項1の記載は次のとおりである。 「【請求項1】 長方形に切断され、錆び止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(l)=1:(π<l<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。この鉄板を、同様に、メビウス上に溶接、接合しそれに円鉄板を溶接する。円鉄板の表面には、水圧差発電の電流変換電動度を高めるために、電気伝導度の高いゲルマニウムでコーティングし、その円鉄板の中央にエボナイト棒を、ねじ巻き状にして貫通させ、地球の地下電流を鉄板に発生させメビウスの理論から増幅する発電もかねる。メビウスリング状ねじれ鉄板からも、電流が自然発生することが上述のメビウスの理論からもわかっている。エボナイト棒の先端に銅線を溶接して、それを陰極とし、メビウスリング状ねじれ鉄板の上端に陽極の銅線を溶接する。その2本の銅線を地上に配給し変圧所につなげ電気を送る。」 2.拒絶査定の理由 原審が行った拒絶査定の理由は、平成26年11月28日付けの最後の拒絶理由通知書に記載されたとおりであり、概ね次のとおりである。 「              理 由 平成26年7月02日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 記 本願の請求項1には、『長方形に切断され、錆び止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(l)=1:(π<l<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。』なる補正がなされている。 しかしながら、段落【0009】には、『長方形に切断されさび止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(l)=1:(π<l<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重にからみあった、電流を約16倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。』なる記載があるだけであり、『2重に絡み合ったリングが約16個できる。』なることは記載されていない。 また、『その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。』なる補正もなされているところ、明細書、及び図面には、上記補正について何ら記載されていない。 そして、『円鉄板の表面には、水圧差発電の電流変換電動度を高めるために、電気伝導度の高いゲルマニウムでコーティングし、』なる補正もなされているところ、明細書、及び図面には、『電気伝導度の高い』ゲルマニウムでコーティングすることについても何ら記載されていない。 さらに、『地球の地下電流を鉄板に発生させメビウスの理論から増幅する発電もかねる。メビウスリング状ねじれ鉄板からも、電流が自然発生することが上述のメビウスの理論からもわかっている。』なる補正もなされているところ、明細書、及び図面には、上記メビウス理論について何ら記載されていない。 したがって、平成26年7月02日付けでした手続補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。」 (当審注:上記拒絶理由通知書に記載された「平成26年7月02日付けでした手続補正」は、「平成26年7月1日付け(受付日:同年7月2日)の手続補正」の誤記と認める。) 3.当審の判断 (1)平成26年7月1日付け(受付日:同年7月2日)の手続補正書でした補正の検討 ア.平成26年7月1日付けの手続補正書でした補正(以下「本件補正」という。)により、請求項1は「長方形に切断され、錆び止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(l)=1:(π<l<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。」という記載を含むものとなった。 この記載における「鉄板…を…メビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。」は、文言上、「メビウスリング状につくった鉄板を、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。」という意味に解される。しかし、「メビウスリング状につくった鉄板を、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。」ことは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)に記載されていない。 また、当初明細書の段落0009に「長方形に切断されさび止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(l)=1:(π<l<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重にからみあった、電流を約16倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。」という記載があるものの、この記載が「メビウスリング状につくった鉄板を、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。」ことを開示しているとはいえない。さらに、当初明細書等のすべての記載事項を参酌しても、「メビウスリング状につくった鉄板を、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。」ことが、当初明細書等の記載から自明であるとはいえない。 したがって、「鉄板…を…メビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。」との記載は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより、当業者によって導かれる技術的事項とはいえないから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 イ.本件補正により、請求項1は「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。」という記載を含むものとなった。しかし、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができている」ことは、当初明細書等に記載されていない。 また、上記アのとおり当初明細書の段落0009に「……メビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重にからみあった、電流を約16倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。」という記載があるものの、この記載が「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができている」ことを開示しているとはいえない。さらに、当初明細書等のすべての記載事項を参酌しても、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができている」ことが、当初明細書等の記載から自明であるとはいえない。 したがって、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。」との記載は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより、当業者によって導かれる技術的事項とはいえないから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 ウ.上記ア、イを総合すると、本件補正により,請求項1は「長方形に切断され、錆び止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(l)=1:(π<l<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。」という記載を含むものとなった。 当初明細書の段落0009に「長方形に切断されさび止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(l)=1:(π<l<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重にからみあった、電流を約16倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。」という記載があるものの、「長方形に切断され、錆び止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(l)=1:(π<l<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが約16個できる。その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる輪ができていることが判る。」という記載は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより、当業者によって導かれる技術的事項とはいえないから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 エ.本件補正により、請求項1は「円鉄板の表面には、水圧差発電の電流変換電動度を高めるために、電気伝導度の高いゲルマニウムでコーティングし」という記載を含むものとなった。しかし、「電気伝導度の高いゲルマニウム」は、当初明細書等に記載されていない。 また、「電気伝導度の高いゲルマニウム」とは、本願の請求項1の文言からみて「ゲルマニウム」の「電気伝導度が高い」ことと解される。しかし、「ゲルマニウム」は半導体であるから、導体である鉄製の「円鉄板」よりは「電気伝導度」が低いことが当業者に明らかであるし、この「ゲルマニウム」の「電気伝導度」が何に比べて高いのか、当初明細書等のすべての記載を参酌しても技術的に不明である。そうすると、「電気伝導度の高いゲルマニウムでコーティング」との記載は、当初明細書等に記載されておらず、かつ、当初明細書等のすべての記載を総合しても、当業者にとって技術的に不明な事項を導入する本件補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより、当業者によって導かれる技術的事項とはいえないから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 オ.本件補正により、請求項1は「地球の地下電流を鉄板に発生させメビウスの理論から増幅する発電もかねる。」という記載を含むものとなった。しかし、「メビウスの理論」は、当初明細書等に記載されていない。また、自然科学の分野において一般的に知られている理論に「メビウスの理論」なるものは存在しない。 本願の請求項1を文言的に解釈すると「メビウスの理論から増幅する」は、上記イで検討した「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる」を指していると解される。しかし、この「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を約10数倍ぐらいに増幅させる」が、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてした補正であるとはいえないことは、上記イで述べたとおりである。 そうすると、「地球の地下電流を鉄板に発生させメビウスの理論から増幅する発電もかねる。」という記載は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより、当業者によって導かれる技術的事項とはいえないから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 なお、審判請求書の「メビウスリングは、16個のスピンがあるから16倍に電流が増幅するという記述を削除したが、これは物件が特定されていないので削除した。」という主張については、補正がされなかったため、特許請求の範囲の請求項1の記載に基づかない主張であるから、採用できない。 また、審判請求書の「メビウスリング状ねじれ鉄板に内包されているメビウスリングの中を電子が、猛速度で反転回転し凝集して電子間の反発力で反発し発散していくから、中を流れている電流はノコギリ関数的に増幅する。 ゲルマニウムで、コーティングすることによって、水圧の波長と鉄板内部の波長を同調させることによって、圧電効果の割合を高める。 圧電効果はキュリー夫妻の発見したことであるから、水圧による圧電から電流が発生することは自明である。」という請求人のその他の主張は、新規事項の追加に関する主張ではないため、採用することができない。 さらに、平成28年1月14日付け、同年8月6日付け、同年9月11日付け、同年10月18日付け及び同年10月25日付けで提出された上申書における請求人の主張については、補正案に関するものであって、上記新規事項の追加に関する主張ではないから、採用することはできない。 (2)まとめ 上記(1)ア~オで述べたとおり、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 第3.むすび 以上のとおり、本願の特許請求の範囲についてした、平成26年7月1日付け(受付日:同年7月2日)の手続補正書でした補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 したがって、他の拒絶の理由について検討するまでもなく、本願は、特許法第49条の規定により拒絶をすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 第4.平成27年1月28日の手続補正についての補正の却下の決定について 1.審判請求書における請求人の主張 請求人は、平成27年1月28日の手続補正についての補正の却下の決定が不適法であるとの明確な主張は行っていないが、念のため、原審において平成27年7月15日付けでした補正の却下の決定が妥当であるか否かについて検討する。 2.平成27年7月15日付け補正の却下の決定の理由 原審において平成27年7月15日付けでした補正の却下の決定の理由は、概ね次のとおりである。 本願の請求項1には、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる輪ができていることが判る(図4)。」なる補正がなされているところ、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる」ことについて、願書に最初に添付した明細書、及び図面には、上記補正について何ら記載されていない。 また、「図4」についても何ら記載されていない。 そして、「円鉄板の表面には、水圧差発電の電流変換電動度を高めるために、電気伝導度の高いゲルマニウムでコーティングし(図3)、」なる補正もなされているところ、願書に最初に添付した明細書、及び図面には、「電気伝導度の高い」ゲルマニウムでコーティングすることについても何ら記載されていない。 また、「図3」についても何ら記載されていない。 さらに、「地球の地下電流を鉄板に発生させメビウスの理論から増幅する発電もかねる。メビウスリング状ねじれ鉄板からも、電流が自然発生することが上述のメビウスの理論からもわかっている。」なる補正もなされているところ、願書に最初に添付した明細書、及び図面には、「メビウスの理論」についても何ら記載されていない。 したがって、この補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでない。 よって、この補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.当審の判断 (1)平成27年1月28日の手続補正書でした補正の検討 ア.平成27年1月28日の手続補正 平成27年1月28日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりである。 「【請求項1】 長方形に切断され、錆び止め黒めっきを塗布した鉄板;縦:横(1)=1:(π<1<2π);を例えば紙に準えてメビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していくと2重に絡み合ったリングが複数できる。その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる輪ができていることが判る(図4)。この鉄板を、同様に、メビウス上に溶接、接合しそれに円鉄板を溶接する。円鉄板の表面には、水圧差発電の電流変換電動度を高めるために、電気伝導度の高いゲルマニウムでコーティングし(図3)、その円鉄板の中央にエボナイト棒を、ねじ巻き状にして貫通させ、地球の地下電流を鉄板に発生させメビウスの理論から増幅する発電もかねる。メビウスリング状ねじれ鉄板からも、電流が自然発生することが上述のメビウスの理論からもわかっている。エボナイト棒の先端に銅線を溶接して、それを陰極とし、メビウスリング状ねじれ鉄板の上端に陽極の銅線を溶接する。その2本の銅線を地上に配給し変圧所につなげ電気を送る。」 イ.検討 (ア)平成27年1月28日の手続補正により請求項1は、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる輪ができていることが判る」という記載を含むものとなった。 しかし、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる」ことは、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載されていない。 また、「その一つ一つのリング」とは、補正後の請求項1の文言からみて「錆び止め黒めっきを塗布した鉄板」を「メビウスリング状につくり、中央から、はさみで切断していく」ことによって複数できた「2重に絡み合ったリング」のことと解されるが、このような「メビウスリング状」のものから作った「2重に絡み合ったリング」が、「リングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる」作用をなすとは、技術常識上、考えられない。 したがって、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる」ことは、技術常識に照らして検討しても、本願の当初明細書等の記載から自明な事項であるとはいえない。 よって、「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる」との事項は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより、当業者によって導かれる技術的事項とはいえないから、このような事項を導入する補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 (イ)平成27年1月28日の手続補正により請求項1は、「電気伝導度の高いゲルマニウムでコーティングし」との記載を含むものとなった。 しかし、「電気伝導度の高いゲルマニウム」は、当初明細書等に記載されていない。また、「電気伝導度の高いゲルマニウム」とは、補正後の請求項1の文言からみて「ゲルマニウム」の「電気伝導度が高い」ことと解される。しかし、「ゲルマニウム」は半導体であるから、導体である鉄製の「円鉄板」よりは「電気伝導度」が低いことが当業者に明らかであるし、この「ゲルマニウム」の「電気伝導度」が何に比べて高いのか、当初明細書等のすべての記載を参酌しても技術的に不明である。そうすると、「電気伝導度の高いゲルマニウム」という、当初明細書等に記載されておらず、かつ、当初明細書等のすべての記載を総合しても、当業者にとって技術的に不明な事項を導入する補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 (ウ)平成27年1月28日の手続補正により請求項1は「地球の地下電流を鉄板に発生させメビウスの理論から増幅する発電もかねる。」との記載を含むものとなった。 しかし、「メビウスの理論」は、当初明細書等に記載されていない。また、自然科学の分野において一般的に知られている理論に「メビウスの理論」なるものは存在しない。 補正後の請求項1を文言的に解釈すると「メビウスの理論から増幅する」は、上記(ア)で検討した「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる」を指していると解される。しかし、この「その一つ一つのリングで電子がスピンしエネルギーを発散させて、電流を増幅させる」とした補正が、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないことは、上記(ア)で述べたとおりである。 そうすると、「地球の地下電流を鉄板に発生させメビウスの理論から増幅する発電もかねる。」という記載は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより、当業者によって導かれる技術的事項とはいえないから、この補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。 ウ.まとめ 上記イで検討したとおり、平成27年1月28日の手続補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 したがって、平成27年1月28日にした手続補正は、特許法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、原審が、平成27年7月15日付けでした補正の却下の決定は、適法である。

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2015-020366

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