特許拒絶査定不服審判
2015-017845
コイル技術
- 審判番号
- 2015-017845
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-529666外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年10月01日
- 審決日
- 2017年03月27日
- 公報発行日
- 2017年09月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】インテル コーポレイション
- 【請求人代理人】伊東 忠重
- 【請求人代理人】伊東 忠彦
- 【請求人代理人】大貫 進介
- 分類
- P18 .121-WZ (H01F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-529666「コイル技術」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 3月21日国際公開、WO2013/039500、平成26年10月 6日国内公表、特表2014-526797〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
1.手続の経緯
本願は、平成23年9月15日を国際出願日とする特許出願であって、平成27年2月4日付け拒絶理由通知に対する応答時、同年5月7日付けで手続補正がなされたが、同年5月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年10月1日付けで拒絶査定不服審判の請求及び手続補正がなされ、当審の平成28年7月12日付け最後の拒絶理由通知に対する応答時、同年10月14日付けで手続補正がなされた。
その後、当審により平成28年11月2日付けで拒絶理由が通知されたが、請求人からは何らの応答もなされなかったものである。
2.本願発明
本願の請求項1ないし16に係る発明は、平成28年10月14日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし16に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
「【請求項1】
装置であって、当該装置は:
電気信号を発生するモジュールと;
該モジュールに結合されるとともに、前記電気信号に基づいて磁界を発生させるコイルと;を備えており、
該コイルは、中央セグメントと、該中央セグメントに対して第1の角度で配置された第1端部セグメントと、前記中央セグメントに対して第2の角度で配置された第2端部セグメントとを含む経路に沿って複数巻回されており、前記中央セグメント、第1端部セグメント、及び第2端部セグメントによって形成される凹部が、当該装置の表面に向けて近接して配置され、
前記コイルの凹部は、前記コイルによって発生した磁界の大部分を前記装置から離れる方向に向けるように構成される、
装置。」
3.引用例
これに対して、当審の平成28年11月2日付けの拒絶の理由に引用された特開平11-307376号公報(以下、「引用例」という。)には、「非接触インターフェース」について、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した)。
(1)「【請求項1】 第1の機器の内部/外部のいずれかに設置され、磁界を発生する磁界発生手段を有し、当該発生された磁界を電磁誘導により第1の機器近くに設置された第2の機器に電源を供給することを特徴とする非接触インターフェース。」
(2)「【0010】図1において、1はホストコンピュータ(本体と称す)で、2は非接触式インターフェースとしての電磁誘導による磁界発生部、3は通信制御部である。ホストコンピュータ1の外装は薄いプラスチック等の材質からなる。
【0011】5は屋外へ持ち出し可能なモバイル本体である。6は非接触インターフェースとしての発電部、7は通信部、4は表示器で反射型の低消費電力を特長としたFLCD(強誘電性液晶表示器)であってもよい。
【0012】この状態は本体1の上にモバイル本体5が単に置かれているだけである。つまり、ホストコンピュータ本体1とモバイル本体5とのインターフェースのための電源供給およびデータ通信等に必要なケーブルもコネクタもここには存在しない。すなわち、モバイル本体5はホストコンピュータ本体1から電磁誘電により発生される磁界発生部2からの磁界を空中を介して発電部6で受ける。ここでは磁界エネルギーを電気エネルギーへ変換される。」
(3)「【0015】次に、ホストコンピュータ本体1内の磁界発生部2とモバイル機5内の発電部6(後述)との関連動作について図2を参照して述べる。
【0016】図2において、説明の関係上プラスチック21を境に、下側を図1で言うところのホストコンピュータ本体1(A側)、そして上側をモバイル本体5とする(B側)。22はフェライトコアであり、A側、B側ともに銅線が巻かれている。これは一種のトランスで、A側から入力された1kHz以上のスイッチング交流電圧がB側の巻き線の両端に電圧として得られる。ここで得られる電圧は小さいため、後段にて必要電圧に加工されなければならない。このような方法により、A側より供給した交流電圧が磁界となりB側へエネルギーが転送される。」
・上記引用例に記載の「非接触インターフェース」は、上記(1)、(2)及び図1によれば、ホストコンピュータ本体1(第1の機器)の内部に設置され、磁界を発生する磁界発生部2を有する非接触インターフェースに関するものである。
・上記(2)、(3)の記載事項、及び図1、図2によれば、ホストコンピュータ本体1は、薄いプラスチックからなる外装を有する。
そして、非接触インターフェースとしての磁界発生部2は、コの字状のフェライトコア22の中央部分のみに沿って銅線が複数巻回されてなり、コの字状のフェライトコア22の凹部をプラスチックからなる外装に向けて近接して配置してなるものである。
・上記(1)~(3)の記載事項によれば、磁界発生部2は、1kHz以上のスイッチング交流電圧が供給されることにより磁界を発生し、発生した磁界を電磁誘導によりホストコンピュータ本体1近くに設置されたモバイル本体5(第2の機器)にエネルギー(電源)を供給するようにしたものである。
したがって、「非接触インターフェース」としての磁界発生部を備えるホストコンピュータ本体に着目し、上記記載事項及び図面を総合勘案すると、引用例には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「薄いプラスチックからなる外装を有するホストコンピュータ本体であって、
本体内部に、磁界を発生する非接触インターフェースとしての磁界発生部が設置され、
前記磁界発生部は、コの字状のフェライトコアの中央部分のみに沿って銅線が複数巻回されてなり、当該コの字状のフェライトコアの凹部を前記外装に向けて近接して配置され、
前記磁界発生部は、1kHz以上のスイッチング交流電圧が供給されることにより磁界を発生し、発生した磁界を電磁誘導により当該ホストコンピュータ本体近くに設置されたモバイル本体にエネルギー(電源)を供給するようにしたものである、ホストコンピュータ本体。」
4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
(1)引用発明における、薄いプラスチックからなる外装を有する「ホストコンピュータ本体」は、本願発明でいう「装置」に相当するものである。
(2)引用発明における「本体内部に、磁界を発生する非接触インターフェースとしての磁界発生部が設置され、前記磁界発生部は、コの字状のフェライトコアの中央部分のみに沿って銅線が複数巻回されてなり、当該コの字状のフェライトコアの凹部を前記外装に向けて近接して配置され、前記磁界発生部は、1kHz以上のスイッチング交流電圧が供給されることにより磁界を発生し、・・」によれば、
(a)引用発明における磁界発生部を構成する、コの字状のフェライトコアに複数巻回された「銅線」は、本願発明でいう「コイル」に相当し、
(b)引用発明にあっても、「1kHz以上のスイッチング交流電圧」つまり本願発明でいう「電気信号」が複数巻回された「銅線」に供給されることにより磁界を発生するものであり、当該「1kHz以上のスイッチング交流電圧」を発生する手段(モジュール)を有することは自明といえることであるから、
本願発明と引用発明とは、「電気信号を発生するモジュールと;該モジュールに結合されるとともに、前記電気信号に基づいて磁界を発生させるコイルと」を備えるものである点で一致するといえる。
(3)引用発明における「前記磁界発生部は、コの字状のフェライトコアの中央部分のみに沿って銅線が複数巻回されてなり、当該コの字状のフェライトコアの凹部を前記外装に向けて近接して配置され、前記磁界発生部は、1kHz以上のスイッチング交流電圧が供給されることにより磁界を発生し、発生した磁界を電磁誘導により当該ホストコンピュータ本体近くに設置されたモバイル本体にエネルギー(電源)を供給するようにしたものである・・」によれば、
(a)本願明細書の段落【0021】の「・・コア204は、中央セグメント206と、第1端部セグメント208と、第2端部セグメント210とを含む。・・」なる記載、段落【0022】の「・・経路304は、中央セグメント206と、第1端部セグメント208と、第2端部セグメント210とを含む。・・・実施形態では、コア204は、導電性材料及び/又は導磁性(磁気)材料から構成される。」なる記載も踏まえると、結局、本願発明でいう「経路」は、動作時に磁束が集中して導かれるべき経路を意味するものと解釈でき、フェライトコアを有する引用発明にあっては、その「コの字状のフェライトコア」が、本願発明でいう「中央セグメントと、該中央セグメントに対して第1の角度で配置された第1端部セグメントと、前記中央セグメントに対して第2の角度で配置された第2端部セグメントとを含む経路」に相当(より具体的には、引用発明における「コの字状のフェライトコア」の「中央部分」、その中央部分と略90度の角度で配置された「両側部分」が、それぞれ本願発明でいう「中央セグメント」、「第1端部セグメント及び第2端部セグメント」に相当)するとみることができる。
(b)そして、引用発明において、コの字状のフェライトコアの凹部をホストコンピュータ本体の外装に向けて近接して配置していることは、本願発明でいう「中央セグメント、第1端部セグメント、及び第2端部セグメントによって形成される凹部」が、ホストコンピュータ本体の表面に向けて近接して配置されていることに相当する。
以上のことから、本願発明と引用発明とは、「該コイルは、中央セグメントと、該中央セグメントに対して第1の角度で配置された第1端部セグメントと、前記中央セグメントに対して第2の角度で配置された第2端部セグメントとを含む経路の少なくとも一部に沿って複数巻回されており、前記中央セグメント、第1端部セグメント、及び第2端部セグメントによって形成される凹部が、当該装置の表面に向けて近接して配置」されてなるものである点で共通するということができる。
ただし、本願発明では、コイルが、第1端部セグメント、中央セグメント、及び第2端部セグメントとを含む経路に沿って複数巻回され、「前記コイルの凹部は、前記コイルによって発生した磁界の大部分を前記装置から離れる方向に向けるように構成される」ものである、つまりコイルは、中央セグメントのみでなく第1端部セグメントと第2端部セグメントにも連続的に巻回されてなるものであるといえるのに対し、引用発明では、銅線が、コの字状のフェライトコアの中央部分のみに沿って複数巻回されてなるものである点で相違している。
よって、本願発明と引用発明とは、
「装置であって、当該装置は:
電気信号を発生するモジュールと;
該モジュールに結合されるとともに、前記電気信号に基づいて磁界を発生させるコイルと;を備えており、
該コイルは、中央セグメントと、該中央セグメントに対して第1の角度で配置された第1端部セグメントと、前記中央セグメントに対して第2の角度で配置された第2端部セグメントとを含む経路の少なくとも一部に沿って複数巻回されており、前記中央セグメント、第1端部セグメント、及び第2端部セグメントによって形成される凹部が、当該装置の表面に向けて近接して配置される、装置。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]
コイルについて、本願発明では、第1端部セグメント、中央セグメント、及び第2端部セグメントとを含む経路に沿って複数巻回され、「前記コイルの凹部は、前記コイルによって発生した磁界の大部分を前記装置から離れる方向に向けるように構成される」ものであるのに対し、引用発明では、コの字状のフェライトコアの中央部分のみに沿って複数巻回されてなるものである点。
5.判断
上記相違点について検討する。
引用発明にあっても、コの字状のフェライトコアの凹部がホストコンピュータ本体の表面に向けて近接して配置されていることから、発生する磁界の大部分はコの字状のフェライトコアに導かれてホストコンピュータ本体から離れる方向に向けられることは明らかであるところ、
例えば当審の平成28年11月2日付けの拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2011/0089768号(特に段落[0041]~[0042]、[0044]~[0046]、Fig.5を参照)には、電磁誘導により電力伝送するためのものであって、コの字状のフェライトコアの一方側部分、中央部分、及び他方側部分に沿って連続的に巻線を施すようにしたものが記載されており、引用発明においても、巻回数を多くして発生する磁界をより強めるために、磁界発生部における銅線を、コの字状のフェライトコアの中央部分のみでなく、その両側部分(本願発明でいう「第1端部セグメント」及び「第2端部セグメント」)についても、フェライトコアに沿って連続的に銅線を巻回するようにし、それによって、「銅線の凹部」が当該銅線によって発生した磁界の大部分をホストコンピュータ本体から離れる方向に向けるように構成されたものとすることは当業者であれば容易になし得ることである。
そして、本願発明が奏する効果についてみても、引用発明及び引用例2に記載の技術事項から当業者が十分に予測できたものであって、格別顕著なものがあるとはいえない。
6.むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2015-017845