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特許拒絶査定不服審判

2022-008273

6相変圧器

審判番号
2022-008273
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2017-167565外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2022年06月01日
審決日
2023年11月13日
公報発行日
2024年02月22日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (H01F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2017-167565「6相変圧器」拒絶査定不服審判事件〔平成31年 3月22日出願公開、特開2019- 46934〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成29年8月31日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和3年 8月 3日付け:拒絶理由通知書 令和3年10月 6日 :意見書、手続補正書の提出 令和4年 2年25日付け:拒絶査定 令和4年 6年 1日 :審判請求書、手続補正書の提出 令和5年 5月25日付け:拒絶理由通知書(当審) 令和5年 7月28日 :意見書、手続補正書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1に係る発明は、令和5年7月28日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 6相の出力を有する変圧器において、 一次巻線に係るコイルをデルタ結線し、 デルタ結線に係る前記コイル間夫々に一次側の3相の入力端子を設け、 デルタ結線に係る3つの前記コイルの夫々のコイルにおいて、 各前記入力端子を挟んで相互に30度位相をずらした箇所に、それぞれ2つの二次側の出力端子を設けた構成とし、 前記夫々のコイルは、物理的に一本のコイルであることを特徴とする、6相変圧器。」 第3 当審における拒絶の理由 当審が令和5年5月25日付けで通知した拒絶理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1.特開平3-32366号公報 引用文献2.特開昭55-92571号公報 第4 引用文献の記載及び引用発明 (1)引用文献1 引用文献1には、「非絶縁トランス」について、図面とともに以下の各記載がある(下線は当審で付与した。)。 ア 第3頁右下欄第11行~第4頁左上欄第16行 「〔実施例〕 次に、第1図~第5図を参照して本発明の実施例に係わるサイリスタ整流回路装置を説明する。但し、第1図において、第8図と実質的に同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。 この実施例では、交流電源端子1、2、3と第1及び第2の3相ブリッジ整流回路(以下、単に第1及び第2のブリッジ回路と言う)5、6との間に辺延長三角結線の非絶縁トランス20が接続されている。この非絶縁トランス20は単巻トランスであって、第1、第2及び第3相の主巻線21、22、23の他に、延長巻線21a、21b、22a、22b、23a、23bを有する。なお、巻線21、21a、21bは同相、巻線22、22a、22bは同相、巻線23、23a、23bは同相である。3相電源端子1、2、3は同一巻数を有する3つの主巻線21、22、23の三角結線の接続点に接続され、第1及び第2のブリッジ回路5、6は各延長巻線21a、21b、22a、22b、23a、23bの出力端子U1、U2、Vl、V2、W1、W2に接続されている。トランス出力端子U1、V1、W1の電圧位相は、入力電源端子1、2、3の位相に対してそれぞれ+π/12の差を有し、トランス出力端子U2、V2、W2の電圧位相は入力電源端子1、2、3の位相に対して-π/12の差を有する。」 イ 「 [図:0001406196000001.jpg] 」 ウ 上記アないしイから以下のことがいえる。 (ア)上記アによれば、辺延長三角結線の「非絶縁トランス20」が「交流電源端子1、2、3」に接続されている。 (イ)上記アによれば、21、22、23は主巻線、21a、21b、22a、22b、23a、23bは延長巻線であるところ、上記イの第1図から、主巻線21、22、23の三角結線の接続点に一端が接続された延長巻線23b及び21a、21b及び22a、並びに22b及び23aを見て取ることができ、辺延長三角結線の「非絶縁トランス20」は、主巻線21、22、23、延長巻線23b及び21a、21b及び22a、並びに22b及び23aを含んで構成されていると認められる。 (ウ)上記ア、イによれば、「交流電源端子1、2、3」、「3相電源端子1、2、3」及び「入力電源端子1、2、3」は同一の構成を指し示しているといえ、上記(ア)を合わせ考慮すると、非絶縁トランス20は、3相交流が入力される電源端子1、2、3に接続されているといえる。 (エ)上記ア、イによれば、「各延長巻線21a、21b、22a、22b、23a、23bの出力端子U1、U2、Vl、V2、W1、W2」と「トランス出力端子U1、V1、W1」及び「トランス出力端子U2、V2、W2」とは同一の構成を指し示しているといえ、上記(ア)、(イ)を合わせ考慮すると、非絶縁トランス20は、「トランス出力端子U1、V1、W1」及び「トランス出力端子U2、V2、W2」を有すると認められる。 また、上記アによれば、「トランス出力端子U1、V1、W1の電圧位相は、入力電源端子1、2、3の位相に対してそれぞれ+π/12の差を有し、トランス出力端子U2、V2、W2の電圧位相は入力電源端子1、2、3の位相に対して-π/12の差を有する」から、上記(ウ)を合わせ考慮すると、「トランス出力端子U1、V1、W1の電圧位相は、」「電源端子1、2、3」「の位相に対してそれぞれ+π/12の差を有し、トランス出力端子U2、V2、W2の電圧位相は」「電源端子1、2、3」「の位相に対して-π/12の差を有する」。 以上のことから、非絶縁トランス20は、電源端子1、2、3の位相に対してそれぞれ+π/12及び-π/12の差を有する電圧位相となるトランス出力端子U1、V1、W1及びトランス出力端子U2、V2、W2を有すると認められる。 (オ)上記アによれば、「3相電源端子1、2、3」は「主巻線21、22、23の三角結線の接続点に接続され」るから、上記(ウ)を合わせ考慮すると、非絶縁トランス20において、電源端子1、2、3は主巻線21、22、23の三角結線の接続点に接続される。 (カ)上記アの記載及び上記イの第1図から、電源端子1が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線23b及び21aの他端にそれぞれトランス出力端子U1及びU2が設けられ、電源端子2が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線21b及び22aの他端にそれぞれトランス出力端子V1及びV2が設けられ、電源端子3が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線22b及び23aの他端にそれぞれトランス出力端子W1及びW2が設けられていることが見て取れる。 そして、上記(イ)を合わせ考慮すると、非絶縁トランス20において、トランス出力端子U1及びU2は電源端子1が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線23b及び21aの端部に設けられ、トランス出力端子V1及びV2は電源端子2が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線21b及び22aの端部に設けられ、トランス出力端子W1及びW2は電源端子3が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線22b及び23aの端部に設けられている。 したがって、引用文献1には、「非絶縁トランス」として次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「3相交流が入力される電源端子1、2、3に接続され、(上記(ウ)) 電源端子1、2、3の位相に対してそれぞれ+π/12及び-π/12の差を有する電圧位相となるトランス出力端子U1、V1、W1及びトランス出力端子U2、V2、W2とを有し、(上記(エ)) 電源端子1、2、3は主巻線21、22、23を三角結線した接続点に接続され、(上記(オ)) トランス出力端子U1及びU2は電源端子1が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線23b及び21aの端部に設けられ、トランス出力端子V1及びV2は電源端子2が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線21b及び22aの端部に設けられ、トランス出力端子W1及びW2は電源端子3が接続された三角結線の接続点に接続された延長巻線22b及び23aの端部に設けられている、(上記(カ)) 非絶縁トランス。」 (2)引用文献2 引用文献2には、「移相変圧器」について、図面とともに以下の各記載がある(下線は当審で付与した。)。 ア 第1頁左下欄第17行~同頁右下欄第1行 「本発明は、3相電源母線から移相変圧器を介して互いに位相のずれた電圧を供給される少なくとも2つの3相の中間母線にそれぞれ単位電力変換装置が接続されているような静止形電力変換設備に関する。」 イ 第2頁右上欄第20行~同頁右下欄第12行 「第2図は本発明による静止形電力変換設備の24パルスの場合の実施例を示す。電源母線1と2つの中間母線3A、3Bとの間には1台のみの移相変圧器2が接続されている点を除けば第1図の従来の実施例と同じであるので、第1図におけると同じ構成要素に同じ参照符号を付すだけで、それらの説明を省略し、移相変圧器2についてのみ詳細に説明する。 第3図には第2図の実施例における移相変圧器2の結線状態が再び図示されている。移相変圧器2は中性点Oを中心に3相星形結線された主巻線R1,S1,T1を有し、これらの巻線端子r,s,tは電源母線1(第2図)に接続される。さらに移相変圧器2は2組の補助巻線R2a,S2a,T2aおよびR2b,S2b,T2bを備えている。これらの巻線はすべて等しい巻数を有する。主巻線R1の電源接続端子rにはこの主巻線R1の相を除く残りの2つの相の補助巻線S2a,T2bの一端が接続されている。同様にして、端子aには補助巻線T2a,R2bの一端が接続され、端子tには補助巻線R2a,S2bの一端が接続されている。一方の組の補助巻線R2a,S2a,T2aの他端al,a2,a3は中間母線3A(第2図)に接続される。他方の組の補助巻線R2b,S2b,T2bの他端bl,b2,b3は中間母線3B(第2図)に接続される。第3図に示された角度θ/2が7.5°となるように主巻線と補助巻線との巻数比を選定することにより、端子al,a2,a3から得られる電圧は端子r,s,tに印加される電源電圧に対して7.5°だけ進み位相となり、端子bl,b2,b3から得られる電圧は端子r,s,tに印加される電源電圧に対して7.5°だけ遅れ位相となる。これによって、中間母線3A,3B間の所望の電圧位相差15°が得られ、したがって第2図の装置は全体として24パルス式の変換装置を構成する」 ウ 第3頁左上欄第20行~同頁右上欄第9行 「移相変圧器2の主巻線の結線は今まで説明した星形結線に限らず三角結線も可能である。第5図ないし第8図は主巻線が三角結線である場合の互いに異なる実施例である。いずれにしても、移相変圧器2は一組の主巻線U1,V1,W1と二組の補助巻線U2a,V2a,W2aおよびU2b,V2b,W2bとを有する。端子r,s,tを電源母線に接続し、端子al,a2,a3を一方の中間母線に接続し、端子bl,b2,b3を他方の中間母線に接続すれば、両中間母線間の電圧位相差はθとなる(O’は仮相中性点である。)」 エ 「 [図:0001406196000002.jpg] 」 オ 「 [図:0001406196000003.jpg] 」 カ 上記アないしオから以下のことがいえる。 (ア)上記アの「3相電源母線」との記載、及び上記ウの「端子r,s,tを電源母線に接続」するとの記載によれば、端子r,s,tは3相の電源母線に接続する。 (イ)上記ウには「第5図ないし第8図は主巻線が三角結線である場合の互いに異なる実施例である。いずれにしても、移相変圧器2は一組の主巻線U1,V1,W1と二組の補助巻線U2a,V2a,W2aおよびU2b,V2b,W2bとを有する。」と記載され、上記エ(第5図)及び上記オ(第8図)には、巻線U1,V1,W1,U2a,V2a,W2a,U2b,V2b,W2bの異なる三角結線の状態が記載されているから、第5図及び第8図にはそれぞれ結線状態が異なる三角結線の移相変圧器が示されているといえる。 (ウ)上記エ(第5図)から、第5図の移相変圧器は、3相の電源母線に接続する端子r,s,tが三角結線された主巻線U1,V1,W1の各接続部に設けられ、端子al,b1、端子a2,b2及び端子a3,b3が各主巻線の接続部に接続された補助巻線U2a,W2b、補助巻線V2a,U2b及び補助巻線W2a,V2bの端部に設けられた構成であることが見て取れる。 (エ)上記オ(第8図)から、第8図の移相変圧器は、補助巻線、主巻線及び補助巻線が直列接続された3つの巻線である(補助巻線U2b,主巻線U1,補助巻線U2a)、(補助巻線V2b,主巻線V1,補助巻線V2a)、及び(補助巻線W2b,主巻線W1,補助巻線W2a)を三角結線し、三角結線された(補助巻線U2b,主巻線U1,補助巻線U2a)、(補助巻線V2b,主巻線V1,補助巻線V2a)、及び(補助巻線W2b,主巻線W1,補助巻線W2a)の各接続部を3相の電源母線に接続する端子r,s,tとし、端子r,s,tにそれぞれ一端が接続する巻線W2a,U2b、巻線U2a,V2b及び巻線V2a,W2bの他端をそれぞれ端子al,b1、端子a2,b2及び端子a3,b3とした構成であることが見て取れる。 (オ)上記イには、星形結線された第3図の移相変圧器において、「角度θ/2が7.5°となるように主巻線と補助巻線との巻数比を選定することにより、端子al,a2,a3から得られる電圧は端子r,s,tに印加される電源電圧に対して7.5°だけ進み位相となり、端子bl,b2,b3から得られる電圧は端子r,s,tに印加される電源電圧に対して7.5°だけ遅れ位相となる。これによって、中間母線3A,3B間の所望の電圧位相差15°が得られ」ることが記載されており、端子al及びb1、端子a2及びb2、端子a3及びb3の電圧は、それぞれ端子r,s,tに印加される電源電圧に対してθ/2だけ進み位相及び遅れ位相となり、端子間の電圧位相差がθとなる電圧を得ることができると認められる。 そして、上記ウには、「移相変圧器2の主巻線の結線は今まで説明した星形結線に限らず三角結線も可能である」と記載されるとともに、「端子r,s,tを電源母線に接続し、端子al,a2,a3を一方の中間母線に接続し、端子bl,b2,b3を他方の中間母線に接続すれば、両中間母線間の電圧位相差はθとなる」第5図の移相変圧器及び第8図の移相変圧器が記載されていることを考慮すれば、第5図の位相変圧器又は第8図の移相変圧器においても、端子al及びb1、端子a2及びb2、端子a3及びb3の電圧は、それぞれ端子r,s,tに印加される電源電圧に対してθ/2だけ進み位相及び遅れ位相となり、端子間の電圧位相差がθとなる電圧を得ることができると認められる。 したがって、引用文献2には、次の技術(以下「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。 「端子al及びb1、端子a2及びb2、端子a3及びb3の電圧は、それぞれ端子r,s,tに印加される電源電圧に対してθ/2だけ進み位相及び遅れ位相となり、端子間の電圧位相差がθとなる電圧を得るために、(上記(オ)) 3相の電源母線に接続する端子r,s,tが三角結線された主巻線U1,V1,W1,の各接続部に設けられ、端子al,b1、端子a2,b2及び端子a3,b3は各主巻線の接続部に接続された補助巻線U2a,W2b、補助巻線V2a,U2b及び補助巻線W2a,V2bの端部に設けられた構成(以下「構成A」という。)とする、(上記(ウ)) 又は、 補助巻線、主巻線及び補助巻線が直列接続された3つの巻線である、(補助巻線U2b,主巻線U1,補助巻線U2a)、(補助巻線V2b,主巻線V1,補助巻線V2a)、及び(補助巻線W2b,主巻線W1,補助巻線W2a)を三角結線し、三角結線された(補助巻線U2b,主巻線U1,補助巻線U2a)、(補助巻線V2b,主巻線V1,補助巻線V2a)、及び(補助巻線W2b,主巻線W1,補助巻線W2a)の各接続部を3相の電源母線に接続する端子r,s,tとし、端子r,s,tにそれぞれ一端が接続する巻線W2a,U2b、巻線U2a,V2b及び巻線V2a,W2bの他端をそれぞれ端子al,b1、端子a2,b2及び端子a3,b3とした構成(以下「構成B」という。)とする(上記(エ))」技術。 第5 対比 本願発明と引用発明を対比すると、以下のとおりとなる。 ア 引用発明の「電源端子1、2、3」は、非絶縁トランスにおける電源端子であって、3相交流が入力される端子であるから、本願発明の「一次側の3相の入力端子」に相当する。 イ 引用発明の「主巻線21、22、23」は、3相交流が入力される電源端子1、2、3が接続される巻線であるから、本願発明の「一次巻線に係るコイル」に相当する。そして、引用発明の「主巻線21、22、23を三角結線した」構成は、本願発明の「一次巻線に係るコイルをデルタ結線し」た構成に相当する。また、引用発明では「電源端子1、2、3は主巻線21、22、23を三角結線した接続点に接続」されるから、各主巻線21、22、23の間に電源端子1、2、3が設けられているといえ、本願発明の「デルタ結線に係る前記コイル間夫々に一次側の3相の入力端子を設け」ることに相当する。 ウ 引用発明の「トランス出力端子U1、V1、W1及びトランス出力端子U2、V2、W2」は、非絶縁トランスにおける出力側の端子であるから、本願発明の「二次側の出力端子」に相当する。 エ 引用発明の「非絶縁トランス」では、電源端子1の電圧位相に対してそれぞれ+π/12(+15度)及び-π/12(-15度)の差を有するトランス出力端子U1、U2を有する。また、電源端子2に対するトランス出力端子V1、V2の配置、及び電源端子3に対するトランス出力端子W1、W2の配置についても同様である。 そうすると、引用発明の「非絶縁トランス」は、6相の出力を有する点で、本願発明の「6相の出力を有する変圧器」及び「6相変圧器」に相当する。 オ 引用発明の「非絶縁トランス」では、トランス出力端子U1、U2は、電源端子1の電圧位相に対してそれぞれ+π/12(+15度)及び-π/12(-15度)の差を有するものであり、トランス出力端子U1、U2は、電源端子1が接続された接続点に接続された延長巻線23b及び21aの端部に設けられているから、電源端子1を挟んで相互に30度位相をずらした箇所に2つのトランス出力端子U1、U2が配置されているといえる。また、電源端子2に対するトランス出力端子V1、V2、及び電源端子3に対するトランス出力端子W1、W2についても同様である。 そうすると、引用発明の「非絶縁トランス」と本願発明の「6相の出力を有する変圧器」及び「6相変圧器」は、「各前記入力端子を挟んで相互に30度位相をずらした箇所に、それぞれ2つの二次側の出力端子を設けた構成」を有する点で一致する。 ただし、6相変圧器が、本願発明は「デルタ結線に係る3つの前記コイルの夫々のコイルにおいて」「それぞれ2つの二次側の出力端子を設けた構成」であるのに対し、引用発明は、三角結線の各接続点に接続された延長巻線の端部にトランス出力端子を設けた構成である点で相違する。 カ 本願発明の「デルタ結線に係る3つの前記コイルの夫々のコイル」は「物理的に一本のコイルである」のに対し、引用発明では、その旨特定されていない点で相違する。 よって、上記「ア」ないし「カ」によれば、本願発明と引用発明とは、 「6相の出力を有する変圧器において、 一次巻線に係るコイルをデルタ結線し、 デルタ結線に係る前記コイル間夫々に一次側の3相の入力端子を設け、 各前記入力端子を挟んで相互に30度位相をずらした箇所に、それぞれ2つの二次側の出力端子を設けた構成としたことを特徴とする、6相変圧器。」 である点で一致し、次の点で相違する。 (相違点1) 6相変圧器が、本願発明は「デルタ結線に係る3つの前記コイルの夫々のコイルにおいて」出力端子を設けた構成であるのに対し、引用発明は、三角結線の各接続点に接続された延長巻線の端部にトランス出力端子を設けた構成である点。 (相違点2) 本願発明の「デルタ結線に係る3つの前記コイルの夫々のコイル」は「物理的に一本のコイルである」のに対し、引用発明では、その旨特定されていない点。 第6 判断 (1)相違点1、2について 引用文献2記載の技術は「端子al及びb1、端子a2及びb2、端子a3及びb3の電圧は、それぞれ端子r,s,tに印加される電源電圧に対してθ/2だけ進み位相及び遅れ位相となり、端子間の電圧位相差がθとなる電圧を得る」ための構成として、複数の結線構成の事例が存在し、構成Aに代えて構成Bを選択し得ることを示している。してみると、当業者であれば、構成Aと同様の結線構成である引用発明の「非絶縁トランス」に代えて構成Bの結線構成を選択すること、すなわち、補助巻線、主巻線及び補助巻線が直列接続された3つの巻線を三角結線し、三角結線された3つの巻線のそれぞれにおいて出力端子を設けた構成とすることは、容易に想到し得たことである。 また、引用文献3(特開2014-17387号公報)に「導線をリング状に巻回してなる筒状のコイル本体(21)と、該コイル本体(21)の両端及び途中の2箇所から引き出された4つのタップT1~T4とを具えている」「タップ付きコイル(2)」(段落【0014】、図4)が記載され、引用文献4(実願昭57-50328号(実開昭58-153428号)のマイクロフィルム)に「タツプ引出部」が「コイル導体1の所定巻数位置に夫々設けられている」「変圧器コイル」(第5ページ第3~6行)が記載されているように、端子であるタップが引き出されたコイルを物理的に一本のコイルで構成することは本願出願時に周知の技術であって、引用発明を三角結線された巻線のそれぞれにおいて出力端子を設ける構成とした非絶縁トランスとするにあたり、三角結線された巻線のそれぞれを物理的に一本のコイルで構成することは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、審判請求書において、概略、「補正後の本願請求項1に係る発明は、一次巻線に係るコイルに、入力端子を設けると共に、二次側の出力端子を設ける構成」であり、「主巻線と補助巻線が別個に設けられている構成」ではなく、「主巻線と延長巻線が別個に設けられている構成」でもない旨主張している(第5頁第25行~第6頁第1行)。 また、請求人は、審判請求書において、補正後の請求項1に係る発明は「このような構成であることによって、6相の出力を有するにもかかわらず、二次巻線等を有しないため、巻線の数が少なく、製作上、コイルの巻工程が少なくて済み、製作コストを削減できます。また、コイルを多重に積層して巻く必要がないため、小型化し、コンパクトな変圧器が得られます。更に、その結果、出力された6相の交流電圧を直流に変換した場合に、平坦な直流電圧を得ることができます。」と主張している(第6頁第13~18行)。また、令和5年7月28日付け意見書においても同様の主張を行っている(第2頁第2~8行)。 しかしながら、上記(1)で述べたとおり、引用発明において、補助巻線、主巻線及び補助巻線が直列接続された3つの巻線を三角結線し、三角結線された3つの巻線のそれぞれにおいて出力端子を設けた構成とすることは当業者が容易に想到し得たことである。そして、三角結線された巻線のそれぞれにおいて出力端子を設ける構成とした非絶縁トランスを製作するにあたり、三角結線された巻線のそれぞれを物理的に一本のコイルで構成することは、当業者が適宜なし得たことに過ぎない。 よって、請求人の上記主張は採用することができない。 イ また、請求人は、審判請求書において、「3相の各入力端子を挟んで相互に30度位相をずらした箇所に、それぞれ2つの二次側の出力端子を設けた構成を有しております。このような構成を有することによって、補正後の本願請求項1に係る発明の6相変圧器から出力された6相交流電圧を、ダイオードから成る2つの整流器に印加させると、マイナス部分がプラスに変換されて各30度ずれた波形が並び、これをさらにLCから成る平滑回路に通すことにより、略直線化された直流電圧を得ることができます。」と主張している(第6頁第19~25行)。 しかしながら、上記(1)で述べたとおり、本願発明の「6相変圧器」は、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。そして、請求人が主張する上記本願発明が奏する効果は、引用文献1に「出力電圧」が「互いにπ/6の位相差を有」し、「12相整流出力が得られ」る場合に「入力電流の高調波成分を低減することができる」旨記載されており(第2頁右下欄第6~10行)、引用発明、引用文献2に記載の技術及び周知技術が有する効果の総和を超えるものではない。 よって、請求人の上記主張は採用することができない。 第7 むすび 上記のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、本願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2022-008273

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