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特許拒絶査定不服審判

2015-009961

より面倒ではないセキュリティが強化されたモバイルデバイス

審判番号
2015-009961
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2013-524968外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2015年05月28日
審決日
2016年10月28日
公報発行日
2017年05月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G06F) / P18 .537-WZ (G06F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2013-524968「より面倒ではないセキュリティが強化されたモバイルデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月23日国際公開、WO2012/024436、平成25年11月 7日国内公表、特表2013-541076〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、2011年8月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年8月17日(以下、「優先日」という。),米国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の経緯の概略は次のとおりである。 国内書面(提出日)        平成25年2月15日 国際出願翻訳文(提出日)     平成25年3月13日 出願審査請求(提出日)      平成25年3月13日 拒絶理由通知(起案日)      平成26年3月17日 意見、手続補正(提出日)     平成26年6月30日 拒絶査定(起案日)        平成27年1月29日 拒絶査定謄本送達         平成27年2月2日 審判請求(提出日)        平成27年5月28日 手続補正(提出日)        平成27年5月28日 前置報告(作成日)        平成27年6月19日 上申書(提出日)         平成27年10月6日 拒絶理由通知(起案日)      平成27年12月21日 意見、手続補正(提出日)     平成28年4月4日 拒絶理由通知(起案日)      平成28年5月10日 意見、手続補正(提出日)     平成28年8月16日 第2 平成28年5月10日付け当審拒絶理由(最後)についての補正の適否の判断 1.平成28年8月16日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)について 本件補正は、補正前の請求項1、16、31、46に記載の「前記モニタ機能は、現在の圧力測定が前記モバイルデバイスが携帯されているか、使用されていないか、あるいは認証されていないユーザによって使用されているかを判断するために、圧力センサ読取りに基づく」との事項を、本件補正後の請求項1、16、31、46に記載の「前記認証プロセスは、圧力センサ読取りに基づく過去の圧力情報と現在の圧力情報とを用いて、前記モバイルデバイスが携帯されているか、使用されていないか、および認証されていないユーザによって使用されているかを判断する、」にそれぞれ補正するものである。 2.補正の適否の判断 本件補正は、本願明細書の段落【0023】の「・・・認証プロセス120は、モバイルデバイス101が携帯されているか、使用されていないか、あるいは異なる非正規ユーザによって使用されているかを判断することができる。一例として、ユーザがポケット、財布(purse)、またはブリーフケース内でモバイルデバイス101を普通に携帯している場合、前に測定された圧力をモニタ機能として認証プロセス120において利用して、現在の圧力測定がユーザを特徴付けるものであるか否かを判断することができる。認証プロセス120は、モバイルデバイス101が携帯されているか、使用されていないか、あるいは異なる非正規ユーザによって使用されているかを判断することができる。」等の記載に基づいて補正したものである。 また、本件補正は、補正前の「モニタ機能は」を、補正後に「認証プロセスは」と補正して主体を明確にするものであり、明りょうでない記載の釈明(拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてするものに限る。)を目的とするものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第5項の規定に適合する。 第3 本願発明 本願の請求項1ないし60に係る発明は、平成28年8月16日付の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし60に記載された事項により特定されるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は次のとおりのものである。 「モバイルデバイスであって、 ディスプレイデバイスと、 ユーザインターフェースと、 圧力センサと、 モニタリングプロセスを実施して、前記モバイルデバイスの動作を監視し、複数のモニタ機能を実施すること、および 認証プロセスを実施して、前記複数のモニタ機能をある期間と比較して、認証値を割り出すことを求める命令を実行するように構成され、前記認証値がしきい値を超えている場合にロックスクリーンが前記ディスプレイデバイス上で実施され、ユーザが認証のために前記ユーザインターフェースを通じて有効なパスコードを入力することを要求され、各モニタ機能が所定の重みに関連付けられる、プロセッサと、 前記命令を記憶するように構成されたメモリと、 を含み、 前記認証プロセスは、圧力センサ読取りに基づく過去の圧力情報と現在の圧力情報とを用いて、前記モバイルデバイスが携帯されているか、使用されていないか、および認証されていないユーザによって使用されているかを判断する、モバイルデバイス。」 第4 引用文献 1.引用文献1 (1)引用文献1に記載されている技術的事項 本願の出願前(優先日;2010年8月17日)に既に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、当審の平成27年12月21日付の拒絶理由通知において引用された文献である、Markus Jakobsson ET AL,Implicit Authentication for Mobile Devices,USENIX Workshop on Hot Topics in Security (HotSec) 2009 [ONLINE],2009年8月11日,URL,http://www.parc.com/content/attachments/Jakobsson-Shi-HotSec09.pdf (以下「引用文献1」という。)には、関連する図面とともに、次の事項が記載されている。(当審注;下線は、参考のために当審が付与した。) ア.「Abstract. We introduce the notion of implicit authentication;the ability to authenticate mobile users based on actions they would carry out anyway. We develop a model for how to perform implicit authentication, and describe experiments aimed at assessing the benefits of our techniques. Our preliminary findings support that this is a meaningful approach, whether used to increase usability or increase security.」(1頁左欄1行~7行) 訳;「要約。 我々は暗黙の認証の概念、即ち、モバイルユーザがとにかく実行するであろう行動に基づいて彼らを認証する能力、を導入する。 我々は暗黙の認証を遂行するモデルを開発し、そして我々のテクニックの利益を評価することに向けられた実験を説明する。使い易さを増すか、あるいは、セキュリティーを向上するか、のいずれのためにも、これが有意義なアプローチであるという我々の基本的な発見がサポートされる。」 イ.「For the sake of concreteness, we focus our study on MIDs herein. We introduce and evaluate techniques to compute and maintain an authentication score for each user, based on the recent activities of the user. This is based on identifying positive events, such as common habits, and boosting the score when a habitual event is observed; and on detecting negative events and degrading the score when these are observed. A negative event is one that is not commonly seen for a user, or which is associated with a common type of attack. Time is also a negative event in the sense that scores degrade over time. When the score falls below an event-specific threshold, that event can no longer be performed without the user first having to explicitly authenticate herself, e.g., by giving a password. Correct explicit authentication is a highly positive event, and a failed explicit authentication is a negative event.」(1頁右欄下から3行~2頁左欄15行) 訳;「具体化のために、我々はここでMIDs(モバイル・インターネット・デバイス;当審注)の我々の研究に焦点をあてる。 我々はユーザーの最近の活動に基づいた、各ユーザーについての認証スコアを計算して維持するテクニックを紹介し評価する。これはよくある習癖のような、肯定的なイベントを識別し、習慣的なイベントが観察されるとき、スコアを引き上げ;否定的なイベントを検出した場合、そしてこれらが観察されるときスコアを下げることを基本にしている。否定的なイベントは、ユーザーのために、一般に見られない、あるいは攻撃の在来型と結び付けられるものである。時間はスコアが長い間に下げる感度である点で否定的なイベントである。スコアがイベントに特定された閾値以下に下がるとき、そのイベントはもはや、例えば、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできない。正しい明白な認証は高度に確かなイベントであり、そして失敗した明白な認証は否定的なイベントである。」 ウ.「Device data. Modern mobile devices provide rich sources of data for implicit authentication: …(中略)… 3)Biometric style measurements, such as keyboard typing patterns and voice data. Touch-screen devices might also be able to fingerprint users, or at least measure the size and shape of any portion of fingers in contact with the screen.」(2頁右欄下から8行~3頁左欄5行) 訳;「装置データ。 最新のモバイルデバイスは暗黙の認証データの豊富なソースを提供する: …(中略)… 3)キーボードタイピングパターンと音声データのような、バイオメトリックのスタイルの測定。タッチスクリーン装置はユーザーの指紋を取るか、あるいは少なくともスクリーンに接触している指の任意の部分の大きさと形を計測することが可能であるかもしれない。」 エ.「Figure 1 outlines the framework of the machine learning algorithm. We first learn a user model from a user’s past behavior which characterizes an individual’s behavioral patterns. To make an authentication decision in real-time, a scoring algorithm examines the user model and the user’s recent behavior, and outputs a score indicating the likelihood that the correct user is using the device. The score is used to make an authentication decision: typically, we can use a threshold to decide whether to accept or reject the user, and the threshold can vary for different applications, depending on whether the application is security sensitive.The score may also be used as a second-factor indicator to augment traditional password based authentication.」(3頁右欄26行~39行) 訳;「図1が機械学習アルゴリズムの枠組みを規定する。 我々は個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から最初にユーザモデルを知る。リアルタイムで認証決定をするために、スコアリングアルゴリズムがユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、そして正しいユーザーが装置を使っているという可能性を示しているスコアを出力する。スコアは認証決定をするために使われる:典型的に、我々はユーザーを受け入れるか、あるいは拒絶するべきかどうか決めるために閾値を使うことができる、そして閾値は、アプリケーションがセキュリティーに敏感であるかどうかによって、異なったアプリケーションのために変えることができる。スコアは同じく伝統的なパスワードベースの認証を増大させるために2番目のファクタの指標として使われるかもしれない。」 オ.「4.2 Scoring Algorithm Given a user model and reported recent behavior, the scoring algorithm outputs a score indicating the likelihood that the device is in the hands of the rightful owner. Scoring independent features. We now describe a potential way to design the scoring function under the independent feature model. A user’s recent behavior may be described by a tuple (t, v1 ,v2 ,...,vk ), where t denotes the current time, and v1 ,...vk denote the values of variables (V1 ,...,Vk) at time t. The idea is to compute a separate score for each feature, and then use a function f to combine these separate scores into a final score. …(中略)… Learning the scoring function.  Given the separate scores for k different features, we call f (S1 (v1 ),...,Sk (vk )) to compute the final score. …(中略)… Then a natural way to combine the scores is to compute the joint probability of (v1 ,...,vk ). As we assume independence between features, the final score would be the product of these probabilities: f (s1 ,...,sk )= s1 ・ s2 ・ ...・ sk . Another potential design for f is a weighted sum: f (s1 ,...,sk ) := w1 s1 + w2 s2...+ wk sk The weights w1 ,...wk should be determined through a training process.」(4頁左欄31行~右欄36行) 訳;「4.2 スコアリングアルゴリズム ユーザモデルと報告された最近の行動に従うとすれば、スコアリングアルゴリズムは装置が正当な所有者の手中にあるといった可能性を示しているスコアを出力する。 スコアリングの独立の特徴。 我々は今独立した特徴のモデルの下でスコアリング関数を設計する有力な方法を記述する。ユーザーの最近の行動は組(t、v1、v2、...、vk)によって記述されるかもしれない、そしてそこでtが現在時刻であり、v1、・・・vkが時間tにおける変数(V1、...、Vk)の値を示すことを意味する。 我々のアイデアは各特徴のために別個のスコアを計算して、そして次に関数fをこれらの別個のスコアを結合して最終のスコアにするために使うことである。 …(中略)… スコアリング機能の学習。k個の異なった特徴のための別個のスコアが与えられるなら、最終のスコアを計算するために我々はf(S1(v1)、...、Sk(vk))を呼び出す。 …(中略)… スコアを結合する自然の方法が(v1、...、vk)の共同の確率を計算することである。 各特徴の間は独立しているとすると、最終のスコアはこれらの確率のプロダクト:f(s1、...、sk)= s1・s2・...・sk、である。 もう1つの関数fのための可能性があるデザインは重み付けされた合計である: f(s1、...、sk): = w1 s1 + w2 s2... + wk sk。 重みw1、・・・wkはトレーニングプロセスを通して決定されるべきである。」 (2)引用文献1に記載された発明 (ア)前記ウ.の「最新のモバイルデバイスは暗黙の認証データの豊富なソースを提供する・・・キーボード・・・タッチスクリーン装置はユーザーの指紋を取るか、あるいは少なくともスクリーンに接触している指の任意の部分の大きさと形を計測することが可能であるかもしれない」との記載、当該記載における「スクリーンに接触」、「計測する」点から「接触センサ」は自明のものである点をふまえると、「モバイルデバイスであって、ユーザーの指紋を取るか、あるいは少なくともスクリーンに接触している指の任意の部分の大きさと形を計測することが可能であるタッチスクリーン装置と、キーボードと、接触センサ」をよみとることができる。 (イ)前記イ.の「我々はユーザーの最近の活動に基づいた、各ユーザーについての認証スコアを計算して維持するテクニックを紹介し評価する。これはよくある習癖のような、肯定的なイベントを識別し、習慣的なイベントが観察されるとき、スコアを引き上げ;否定的なイベントを検出した場合、そしてこれらが観察されるときスコアを下げる」との記載、前記エ.の「スコアリングアルゴリズムがユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、そして正しいユーザーが装置を使っているという可能性を示しているスコアを出力する」との記載から「ユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、そして正しいユーザーが装置を使っているという可能性を示しているスコアを出力するスコアリングアルゴリズムを用いて、肯定的なイベントを識別し、習慣的なイベントが観察されるとき、スコアを引き上げ;否定的なイベントを検出した場合、そしてこれらが観察されるときスコアを下げる」ことをよみとることができる。 (ウ)前記ア.の「モバイルユーザがとにかく実行するであろう行動に基づいて彼らを認証する能力、を導入する」との記載から「認証する能力」を用いることをよみとることができ、前記エ.の「我々は個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から最初にユーザモデルを知る。リアルタイムで認証決定をするために、スコアリングアルゴリズムがユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、そして正しいユーザーが装置を使っているという可能性を示しているスコアを出力する」との記載から「スコアリングアルゴリズムが個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、リアルタイムで認証決定をするためのスコアを出力」すること、スコアリングアルゴリズムを経て出力されたスコアを認証決定に用いることから前記「認証する能力」は前記「スコアリングアルゴリズム」の後段に位置することをよみとることができ、前記エ.の「スコアは認証決定をするために使われる:典型的に、我々はユーザーを受け入れるか、あるいは拒絶するべきかどうか決めるために閾値を使うことができる」との記載と前記イ.の「スコアがイベントに特定された閾値以下に下がるとき、そのイベントはもはや、例えば、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできない」との記載から、「前記スコアがイベントに特定された閾値以下に下がるとき、そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできない」ことをよみとることができ、前記オ.の「スコアリングアルゴリズムは装置が正当な所有者の手中にあるといった可能性を示しているスコアを出力する・・・もう1つの関数fのための可能性があるデザインは重み付けされた合計である・・・重みw1、・・・wkはトレーニングプロセスを通して決定されるべきである」との記載から「モバイルデバイスが正当な所有者の手中にあるといった可能性を示しているスコアを出力するスコアリングアルゴリズムは重み付けされた合計を用いることができる」ことをよみとることができる。 これらをあわせると「認証する能力が続くスコアリングアルゴリズムは個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、リアルタイムで認証決定をするためのスコアを出力し、前記スコアがイベントに特定された閾値以下に下がるとき、そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできず、モバイルデバイスが正当な所有者の手中にあるといった可能性を示しているスコアを出力する前記スコアリングアルゴリズムは重み付けされた合計を用いる」ことをよみとることができる。 (エ)前記イ.の「MID(モバイル・インターネット・デバイス)」、前記ウ.の「モバイルデバイス」はモバイルデバイスといえるものであり、モバイルデバイスが「プロセッサ」、「命令を記憶するように構成されたメモリ」を含むことは周知技術であり記載されているに等しい事項であり、前記オ.の「スコアリングアルゴリズムは装置が正当な所有者の手中にあるといった可能性を示しているスコアを出力する」ことからも、スコアリングアルゴリズムを実施するプログラム(命令)や認証する能力が装置(モバイルデバイス)内に存在することは自明である。よって、前記(ウ)で言及したことを実施する「プロセッサと、 前記命令を記憶するように構成されたメモリと、 を含」むことをよみとることができる。 (オ)前記(ウ)で言及した「認証する能力が続くスコアリングアルゴリズムは個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、リアルタイムで認証決定をするためのスコアを出力し、前記スコアがイベントに特定された閾値以下に下がるとき、そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはでき」ないものであり、当該イベントとスコアに係る具体的なものとして前記(ア)で言及した「接触センサ」の感知に基づいて「指の任意の部分の大きさと形を計測する」もの等複数の特徴が含まれることは前記オ.の「k個の異なった特徴のための別個のスコア」との記載から明らかであるとともに、前記「リアルタイムで認証決定をする」ものにおいて「そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはでき」ないことは、本人に対しても不正な者に対しても、「認証されていないユーザによって使用されているかを決定している」ものであるとみることができる。これらの点をふまえると、「接触センサの感知に基づいてスコアリングアルゴリズムは個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べてスコアを出力し、前記認証する能力に係るリアルタイム認証決定は、そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできないように、認証されていないユーザによって使用されているかを決定している」ことをよみとることができる。 前記(ア)~(オ)によれば、引用文献1には、前記ア.に示された「使い易さを増すか、あるいは、セキュリティーを向上するかのために」開発された次の発明(以下「引用発明」という。)が示されている。 「モバイルデバイスであって、ユーザーの指紋を取るか、あるいは少なくともスクリーンに接触している指の任意の部分の大きさと形を計測することが可能であるタッチスクリーン装置と、キーボードと、 接触センサと ユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、そして正しいユーザーが装置を使っているという可能性を示しているスコアを出力するスコアリングアルゴリズムを用いて、肯定的なイベントを識別し、習慣的なイベントが観察されるとき、スコアを引き上げ;否定的なイベントを検出した場合、そしてこれらが観察されるときスコアを下げ、および 認証する能力が続くスコアリングアルゴリズムは個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、リアルタイムで認証決定をするためのスコアを出力し、前記スコアがイベントに特定された閾値以下に下がるとき、そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできず、モバイルデバイスが正当な所有者の手中にあるといった可能性を示しているスコアを出力する前記スコアリングアルゴリズムは重み付けされた合計を用いる、 プロセッサと、 前記命令を記憶するように構成されたメモリと、 を含み、 前記接触センサの感知に基づいてスコアリングアルゴリズムは個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べてスコアを出力し、前記認証する能力に係るリアルタイム認証決定は、そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできないように、認証されていないユーザによって使用されているかを決定している、モバイルデバイス。」 2.引用文献2 (1)引用文献2に記載されている技術的事項 本願の出願前に既に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、当審の平成27年12月21日付の拒絶理由通知において引用された文献である、国際公開第2010/085393号(以下「引用文献2」という。)には、関連する図面とともに、次の事項が記載されている。(日本語訳は、ファミリーである特表2012-515980号公報を参酌した。) A.「SUMMARY [0005] Technology is described for enabling passive security enforcement at computing systems ("the technology"). A component of a computing system can passively authenticate or authorize a user based on observations of the user's interactions with the computing system. The observations can include, e.g., physical observations of the user's interactions, behavioral observations of the user's usage of the computing system, etc. The technology may increase or decrease an authentication level or authorization level based on the observations. The level can indicate what level of access the user should be granted. When the user or a component of the computing device initiates a request, an application or service can determine whether the level is sufficient to satisfy the request. If the level is insufficient, the application or service can prompt the user for credentials so that the user is actively authenticated. The level may change over time, such as based on observed actions of the user.」 A訳;「【発明の概要】 【0006】 コンピューティングシステムにおいて受動的セキュリティ強化(passive security enforcement)を可能にするテクノロジが説明されている(本テクノロジ)。コンピューティングシステムのコンポーネントは、コンピューティングシステムとのユーザのやりとりの観察に基づいてユーザを受動的に認証または許可することができる。これらの観察は、例えば、ユーザのやりとりの物理的観察、ユーザによるコンピューティングシステムの使用状況の行動観察などを含むことができる。本テクノロジは、これらの観察に基づいて認証レベルまたは許可レベルを増減することがある。このレベルは、ユーザにどのレベルのアクセスが許与されるかを示すことができる。ユーザまたはコンピューティングデバイスのコンポーネントがリクエストを開始するとき、アプリケーションまたはサービスは、レベルがそのリクエストを満足するのに十分であるかどうかを判断することができる。レベルが不十分である場合は、アプリケーションまたはサービスはプロンプトでユーザに資格証明書を要求して、ユーザが能動的に認証されるようにするこができる。レベルは、例えば、観察されたユーザのアクションに基づいて時間と共に変化することがある。」 B.「 [0051] Figure 8 is a block diagram illustrating components employed by the technology in various embodiments. A computing system 802, such as a mobile computing device, may include a processor 804, a memory 806, an operating system 808, and one or more applications 810. An application may require authentication of the user or send a request to a service via a network connection (not illustrated) that requires authentication of the user. [0052] The computing system may also include touch/pressure sensors 812, heat sensors 814, accelerometers 816, cameras 818, fingerprint readers 820, and writing analyzers 822. The touch/pressure sensors may determine touch or pressure points around the body of the computing system. The heat sensors may sends heat at one or more points around the body of the computing system. The accelerometers may determine how the computing system is picked up, moved, etc., by the user. An accelerometer can be an electromechanical device that measures acceleration forces, e.g., static forces or dynamic forces. The cameras may observe the user's face, the surroundings, etc. The fingerprint readers may read the user's fingerprints. The writing analyzers may analyze how the user writes, such as by using a stylus. The computing system may also include comparators 824. Comparators may be configured to compare presently observable attributes (e.g., heat, pressure, motion, etc.) to previously stored attributes. Although the components are described in plural, computing systems may use one of each type of component, or just some of the components.」 B訳;「【0045】 図8は、種々の実施形態において本テクノロジによって使用されるコンポーネントを示すブロック図である。モバイルコンピューティングデバイスのようなコンピューティングシステム802はプロセッサ804、メモリ806、オペレーティングシステム808、および1または2以上のアプリケーションを含むこともあり得る。アプリケーションはユーザの認証を要求することもあれば、ユーザの認証を要求するサービスにリクエストをネットワークコネクション(図示せず)経由で送信することもある。 【0046】 コンピューティングシステムは、タッチ/圧力センサ812、熱センサ814、加速度計816、カメラ818、指紋リーダ820、および書き込みアナライザ822を含んでいることもある。タッチ/圧力センサは、コンピューティングシステムの本体の周囲のタッチまたは圧力個所を判断することがある。熱センサは、コンピューティングシステムの本体の周囲の1または2以上の個所の熱を送信することがある。加速度計は、コンピューティングシステムがユーザによってどのようにピックアップされ、移動などされたかを判断することがある。加速度計は加速度の力、例えば、静的な力または動的な力を測定する電気機械的デバイスにすることができる。カメラはユーザの顔、周囲などを観察することがある。指紋リーダはユーザの指紋を読み取ることがある。書き込みアナライザは、例えば、スタイラスの使用によってユーザがどのように書いたかを分析することがある。コンピューティングシステムはコンパレータ824を含んでいることもある。コンパレータは現在観察可能なアトリビュート(例:熱、圧力、動きなど)を以前にストアされたアトリビュートと比較するように構成されていることがある。これらのコンポーネントは複数で記載されているが、コンピューティングシステムは、各タイプのコンポーネントの1つを使用することもあれば、これらのコンポーネントのいくつかだけを使用することもある。」 (2)引用文献2に記載された技術 (A)前記A.の「観察に基づいて認証レベルまたは許可レベル・・・ユーザまたはコンピューティングデバイスのコンポーネントがリクエストを開始するとき、アプリケーションまたはサービスは、レベルがそのリクエストを満足するのに十分であるかどうかを判断することができる。レベルが不十分である場合は、アプリケーションまたはサービスはプロンプトでユーザに資格証明書を要求して、ユーザが能動的に認証されるようにするこができる」との記載から、認証レベルが不十分である場合は、プロンプトでユーザに資格証明書を要求して、ユーザが能動的に認証されるようにする技術が記載され、この技術から、引用文献2には、プロンプト(ロックスクリーンが前記ディスプレイデバイス上で実施され)で、ユーザが認証のためにユーザインターフェースを通じて資格証明書(有効なパスコード)を入力することを要求されることに相当する技術が示されているといえる。 (B)前記A.の「ユーザのやりとりの物理的観察、ユーザによるコンピューティングシステムの使用状況の行動観察」との記載、前記B.の「タッチ/圧力センサは、コンピューティングシステムの本体の周囲のタッチまたは圧力個所を判断することがある・・・コンパレータは現在観察可能なアトリビュート・・・圧力・・・を以前にストアされたアトリビュートと比較するように構成されていることがある」との記載から、引用文献2には、ユーザのやりとりの物理的観察、ユーザによるコンピューティングシステムの使用状況の行動観察のために、タッチ/圧力センサを用いて本体の周囲のタッチまたは圧力個所を判断する技術が示されているといえる。 3.引用文献3 (1)引用文献3に記載されている技術的事項 本願の出願前に既に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、当審の平成27年12月21日付の拒絶理由通知において引用された文献である、特開2001-142849号公報(以下「引用文献3」という。)には、関連する図面とともに、次の事項が記載されている。 「【要約】 【課題】 端末の盗難等が行われた場合、第三者による不正使用を防止することのできる端末及び個人認証方法を提供する。 【解決手段】 携帯情報端末1上に1~nのセンサ番号が付いた圧力センサ5-1~5-nを設け、加えられる圧力を圧力センサオンオフ判定部6によって監視する。個人認証時に押圧が検出されていた圧力センサ5-1~5-nのセンサ番号を圧力センサオンオフ記憶部7に記憶させる。圧力センサオンオフ記憶部7に記憶されたセンサ番号と圧力センサオンオフ判定部6によって検出されたセンサ番号とを比較部8によって比較することにより、携帯情報端末1がユーザ以外の手に渡ったか否かを判定する。ユーザ以外の手に渡ったことが検出されると、個人認証を無効にする。」 (2)引用文献3に記載された技術 前記「端末の盗難等が行われた場合、第三者による不正使用を防止する・・・圧力センサオンオフ記憶部7に記憶されたセンサ番号と圧力センサオンオフ判定部6によって検出されたセンサ番号とを比較部8によって比較することにより、携帯情報端末1がユーザ以外の手に渡ったか否かを判定する。ユーザ以外の手に渡ったことが検出されると、個人認証を無効にする」との記載から、引用文献3には「端末の盗難等が行われた場合、第三者による不正使用を防止するために、圧力センサオンオフ記憶部に記憶されたセンサ番号と圧力センサオンオフ検出されたセンサ番号とを比較することにより、携帯情報端末がユーザ以外の手に渡ったか否かを判定し、ユーザ以外の手に渡ったことが検出されると、個人認証を無効にする技術が示されている。 4.参考文献1 (1)参考文献1に記載されている技術的事項 本願の出願前に既に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり、当審の平成28年5月10日付の拒絶理由通知において周知技術を示す文献として示された、特開2007-116602号公報(以下「参考文献1」という。)には、関連する図面とともに、次の事項が記載されている。 「【0013】・・・発生したイベントにおけるパターンと前記パターン記憶部に記憶されているパターンとを比較して使用者識別を行うパターン比較部・・・ 【0019】 ・・・圧力センサーを用いた場合、抵抗率センサーを用いた場合の手順を示すフローチャート図である。例えば、端末装置の代表例である折り畳み型の携帯電話機に本実施例による技術を搭載した場合に、携帯電話機をユーザーが持つ場合には、図3に示すように、畳んだ状態では、サブ表示部が見えるようにして折り畳んだ状態に携帯電話機300の両側部を手で把持するように持つことになる。このような持ち方によりイベントの起動の契機を検出するためには、センサーに指が触れやすい位置、すなわち、端末装置の左右の側面に配置するのが好ましい。パターン記憶部に記憶するパターンとしては、このような持ち方をした場合の持ち方や指の長さ、圧力のかかり方の個人差に基づいて、真のユーザーであるか否かを識別することができる。 …(中略)… 【0022】 判断方法としては、通常、携帯電話機を持ち上げる場合には、片側を親指一本で、もう片方を複数の指で把持して取り上げるため、そのような把持の仕方になっているかどうかをセンサーの位置(パターン)により識別すれば良い。また、単に持ち上げたことを判断するのみではなく、所有者の携帯電話機の使用時における持ち方の癖を記憶しておくことにより、顔認識に先立って、本人以外の使用であるか否かを大まかに推測し、明らかに本人以外の場合は顔認識を行わないようにして使用を禁止することができる。 【0023】 また、圧力センサーを用いた場合には、左右の両方のセンサーに指で掴んだ程度の圧力がかかった場合につかんだと推定することができる。この場合も、図5に示すように、センサーを複数縦に並べて配置した場合には、センサーが反応した位置によって使用者が持ったことをより正確に判断することができる。また、所有者が把持した場合の圧力パターン(圧力値と位置との関係)を記憶しており、これと一致しない場合には顔認識を行わないようにして本人以外の無断使用を防止することができる。」 (2)参考文献1に記載されている技術 前記(1)の「圧力センサーを用いた場合、・・・携帯電話機をユーザーが持つ場合には、・・・両側部を手で把持するように持つことになる。このような持ち方・・・パターン記憶部に記憶するパターンとしては、このような持ち方をした場合の持ち方や指の長さ、圧力のかかり方の個人差に基づいて、真のユーザーであるか否かを識別することができる」との記載において、携帯電話機をユーザが両側部を手で把持するように持つこと、持ち方をしているかは、モバイルデバイスがユーザに「携帯されているか」を判断していると換言できる技術であり、同様に、前記「携帯電話機を持ち上げる場合には、片側を親指一本で、もう片方を複数の指で把持して取り上げるため、そのような把持の仕方になっているかどうかをセンサーの位置(パターン)により識別すれば良」く「単に持ち上げたことを判断する」ことも、モバイルデバイスがユーザに「携帯されているか」を判断していると換言できる技術であるとみることができる。 また、前記「単に持ち上げたことを判断するのみではなく、所有者の携帯電話機の使用時における持ち方の癖を記憶しておくことにより、・・・本人以外の使用であるか否かを大まかに推測し・・・圧力センサーを用いた場合には、左右の両方のセンサーに指で掴んだ程度の圧力がかかった場合につかんだと推定する・・・センサーが反応した位置によって使用者が持ったことをより正確に判断する・・・所有者が把持した場合の圧力パターン(圧力値と位置との関係)を記憶しており、これと一致しない場合には・・・本人以外の無断使用を防止する」との記載における「一致しない場合」は本人により「使用されていないか」および本人以外の無断使用(認証されていないユーザによって使用されているか)を判断していることに相当する技術である。 これらの点をふまえると、参考文献には、本人以外の無断使用を防止する技術に関連し、モバイルデバイスが「携帯されているか、使用されていないか、および」認証されていないユーザによって使用されているかを判断することに相当する技術が示されている。 また、参考文献1には、「圧力センサー」「圧力パターン(圧力値と位置との関係)」を用いることが示されている。 5.参考文献2 (1)参考文献2に記載されている技術的事項 本願の出願前に既に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった文献である、特開2003-78952号公報(以下「参考文献2」という。)には、関連する図面とともに、次の事項が記載されている。 「【要約】 【課題】 携帯型端末の使い勝手とセキュリティとを両立する。 【解決手段】 利用者の過去の行動パターンを利用者行動管理テーブル14に蓄積しておく。利用者がある場所で携帯型端末の機能を選択して実行を指示した場合、その場所付近で以前にその機能を使ったことがあるか否かをテーブル14に基づいて判断する。もし使ったことがあれば、選択した機能を実行させる。もしなければ、パスワードなどの入力を要求する。真正なパスワードが入力された場合、選択した機能が実行され、かつ新たな行動パターンが前記テーブル14に追加される。これにより、次に同じ場所で同じ機能を実行しようとするときには、パスワードの入力が不要となる。」 (2)参考文献2に記載されている技術 参考文献2には、携帯型端末の使い勝手とセキュリティとを両立することを課題とし、利用者の過去の行動パターンを利用者行動管理テーブルに蓄積しておき、利用者がある場所で携帯型端末の機能を選択して実行を指示した場合、その場所付近で以前にその機能を使ったことがあるか否かをテーブルに基づいて判断し、もし使ったことがあれば、選択した機能を実行させ、もしなければ、パスワードなどの入力を要求する技術が示されている。 第5 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明の「モバイルデバイス」「タッチスクリーン装置」「タッチスクリーン装置と、キーボード」は本願発明の「モバイルデバイス」「ディスプレイデバイス」「ユーザインターフェース」に相当し、引用発明の「接触センサ」と本願発明の「圧力センサ」とは上位概念において「センサ」である点で共通する。よって、引用発明と本願発明とは「モバイルデバイスであって、 ディスプレイデバイスと、 ユーザインターフェースと、 センサと」を含む点で共通する。 (2)引用発明の「スコアリングアルゴリズムを用いて、肯定的なイベントを識別し、習慣的なイベントが観察されるとき、スコアを引き上げ;否定的なイベントを検出した場合、そしてこれらが観察されるときスコアを下げ」ること(以下、「スコアリング」と呼ぶことがある。)は本願発明の「モニタリングプロセスを実施」することに相当するとともに、引用発明の「装置(モバイルデバイス)」の「イベントが観察される」ことは、本願発明の「モバイルデバイスの動作を監視」することに相当し、引用発明の前記「肯定的なイベントを識別し、習慣的なイベントが観察されるとき、スコアを引き上げ;否定的なイベントを検出した場合、そしてこれらが観察されるときスコアを下げ」ることは、前記オ.に「k個の異なった特徴のための別個のスコア」が与えられることから、複数のイベントは自明であり、この点をふまえると本願発明の「複数のモニタ機能を実施すること」に相当するとともに、前記オ.の点から、接触センサを含み、複数の他のイベント観察、スコアの引き上げ、下げを含むことは自明であり、これら「複数」の点をふまえれば、引用発明の前記「スコアリング」と本願発明の「複数のモニタ機能を実施する」こととに実質的な差異はない。 してみれば、引用発明の「ユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、そして正しいユーザーが装置を使っているという可能性を示しているスコアを出力するスコアリングアルゴリズムを用いて、肯定的なイベントを識別し、習慣的なイベントが観察されるとき、スコアを引き上げ;否定的なイベントを検出した場合、そしてこれらが観察されるときスコアを下げ」ることと本願発明の「モニタリングプロセスを実施して、前記モバイルデバイスの動作を監視し、複数のモニタ機能を実施すること」とに実質的な差異はない。 (3) (3.1)引用発明の「ユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、そして正しいユーザーが装置を使っているという可能性を示しているスコア」であって、「肯定的なイベントを識別し、習慣的なイベントが観察されるとき、スコアを引き上げ;否定的なイベントを検出した場合、そしてこれらが観察されるときスコアを下げ」る当該「スコア」は、「リアルタイムで認証決定をするためのスコア」であるから認証に係るスコア(得点、値)とみることができ、後記(3.4)で言及するように、類似でみるか、相違でみるかで反転するとしても、前記認証に係るスコアである点からみれば本願発明の「認証値」に相当する。 (3.2)引用発明の「個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデル」は、過去の「ある期間」の行動に係るものであるといえるとともに、記憶された行動のデータ(「ユーザモデル」)と行動のデータ(「ユーザーの最近の行動」)とを対比す(「調べ」)るのに「比較」が用いられることは慣用技術で記載されているに等しい事項(例えば、引用文献2のB.の「比較」、引用文献3の「比較」、参考文献の「比較」参照。)である。 (3.3)引用発明の「リアルタイムで認証決定をするためのスコアを出力」する事項は本願発明の「認証値を割り出すことを求める命令を実行するように構成され」ていることに相当する。 (3.4)引用発明の「スコアがイベントに特定された閾値以下に下がるとき」は、閾値を超えている場合(下に超える場合か、上に超える場合かは、類似でみるか、相違でみるかで反転するが、いずれも周知のもので均等技術の範囲内のものである)に含まれるといえるので、本願発明の「前記認証値がしきい値を超えている場合」に相当する。 (3.5)前記(3.1)~(3.4)の点をふまえると、引用発明の「認証する能力が続くスコアリングアルゴリズムは個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べて、リアルタイムで認証決定をするためのスコアを出力し、前記スコアがイベントに特定された閾値以下に下がるとき、そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできず、モバイルデバイスが正当な所有者の手中にあるといった可能性を示しているスコアを出力する前記スコアリングアルゴリズムは重み付けされた合計を用いる、 プロセッサ」と、本願発明の「認証プロセスを実施して、前記複数のモニタ機能をある期間と比較して、認証値を割り出すことを求める命令を実行するように構成され、前記認証値がしきい値を超えている場合にロックスクリーンが前記ディスプレイデバイス上で実施され、ユーザが認証のために前記ユーザインターフェースを通じて有効なパスコードを入力することを要求され、各モニタ機能が所定の重みに関連付けられる、プロセッサ」とは、後記する点では相違するものの、「認証プロセスを実施して、前記複数のモニタ機能をある期間と比較して、認証値を割り出すことを求める命令を実行するように構成され、前記認証値がしきい値を超えている場合に、ユーザが認証のために前記ユーザインターフェースを通じて有効なパスコードを入力すること、各モニタ機能が所定の重みに関連付けられる、プロセッサ」を有する点で共通する。 (4)引用発明と本願発明とは「前記命令を記憶するように構成されたメモリ」を有する点で差異はない。 (5)引用発明の「前記接触センサの感知に基づいてスコアリングアルゴリズムは個人の行動のパターンを特徴づけるユーザーの過去の行動から知り得たユーザモデルとユーザーの最近の行動を調べてスコアを出力し、前記認証する能力に係るリアルタイム認証決定は、そのイベントはもはや、パスワードを与えることによって、ユーザが最初に明白に彼自身を認証することをしない限り実行することはできないように、認証されていないユーザによって使用されているかを決定している」事項と本願発明の「前記認証プロセスは、圧力センサ読取りに基づく過去の圧力情報と現在の圧力情報とを用いて、前記モバイルデバイスが携帯されているか、使用されていないか、および認証されていないユーザによって使用されているかを判断する」事項とは、後記する点で相違するものの、「前記認証プロセスは、センサ読取りに基づく過去の情報と現在の情報とを用いて、前記モバイルデバイスが認証されていないユーザによって使用されているかを判断する」点で共通する。 以上(1)~(5)の対比によれば、本願発明と引用発明とは次の事項を有する点で一致し、そして相違する。 〈一致点〉 「モバイルデバイスであって、 ディスプレイデバイスと、 ユーザインターフェースと、 センサと、 モニタリングプロセスを実施して、前記モバイルデバイスの動作を監視し、複数のモニタ機能を実施すること、および 認証プロセスを実施して、前記複数のモニタ機能をある期間と比較して、認証値を割り出すことを求める命令を実行するように構成され、前記認証値がしきい値を超えている場合に、ユーザが認証のために前記ユーザインターフェースを通じて有効なパスコードを入力すること、各モニタ機能が所定の重みに関連付けられる、プロセッサと、 前記命令を記憶するように構成されたメモリと、 を含み、 前記認証プロセスは、センサ読取りに基づく過去の情報と現在の情報とを用いて、前記モバイルデバイスが、認証されていないユーザによって使用されているかを判断する、モバイルデバイス。」 〈相違点1〉 センサと情報に関し、本願発明は「圧力」センサ、「圧力」情報であるのに対し、引用発明はそのような特定がされていない点。 〈相違点2〉 認証値がしきい値を超えている場合に、本願発明は、「ロックスクリーンが前記ディスプレイデバイス上で実施され、」ユーザが認証のために前記ユーザインターフェースを通じて有効なパスコードを入力すること「を要求され」るのに対し、引用発明はそのような特定がされていない点。 〈相違点3〉 認証プロセスの判断することに関し(「圧力」の点については、前記「〈相違点1〉」で言及したものとする。)、本願発明は、モバイルデバイスが「携帯されているか、使用されていないか、および」認証されていないユーザによって使用されているかを判断するのに対し、引用発明は、認証されていないユーザによって使用されているかを判断するものである点。 第6 当審判断 〈相違点1〉について センサと情報に関し、「圧力」センサ、「圧力」情報を用いることは周知技術である。例えば、引用文献2には、ユーザのやりとりの物理的観察、ユーザによるコンピューティングシステムの使用状況の行動観察のために、タッチ/圧力センサを用いて本体の周囲のタッチまたは圧力個所を判断する技術が示されており、引用文献3には、端末の盗難等が行われた場合、第三者による不正使用を防止するために、圧力センサオンオフ記憶部に記憶されたセンサ番号と圧力センサオンオフ検出されたセンサ番号とを比較することが示されており、参考文献1には、本人以外の無断使用を防止する技術に関連し、「圧力センサー」「圧力パターン(圧力値と位置との関係)」を用いることが示されている。そして、これらの周知技術は引用発明と共通する認証に関連する技術分野のものである。 してみれば、引用発明において、センサと情報に関し、それぞれ「圧力」センサ、「圧力」情報であると成すことは前記周知技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。 〈相違点2〉について 認証値がしきい値を超えている場合に、「ロックスクリーンが前記ディスプレイデバイス上で実施され、」ユーザが認証のために前記ユーザインターフェースを通じて有効なパスコードを入力すること「を要求され」る技術は周知技術である。 例えば、引用文献2には、プロンプト(「ロックスクリーンが前記ディスプレイデバイス上で実施され」)で、ユーザが認証のためにユーザインターフェースを通じて資格証明書(「有効なパスコード」)を入力することを要求されることに相当する技術が示されている。(パスコードについて、さらに必要なら、参考文献2のパスワード参照。参考文献2には、携帯型端末の使い勝手とセキュリティとを両立することを課題とし、利用者の過去の行動パターンを利用者行動管理テーブルに蓄積しておき、利用者がある場所で携帯型端末の機能を選択して実行を指示した場合、その場所付近で以前にその機能を使ったことがあるか否かをテーブルに基づいて判断し、もし使ったことがあれば、選択した機能を実行させ、もしなければ、パスワードなどの入力を要求する技術が示されている。) してみれば、引用発明において、認証値がしきい値を超えている場合に、「ロックスクリーンが前記ディスプレイデバイス上で実施され、」ユーザが認証のために前記ユーザインターフェースを通じて有効なパスコードを入力すること「を要求され」ると成すことは、前記周知技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。 〈相違点3〉について 認証プロセスの判断することに関し、モバイルデバイスが「携帯されているか、使用されていないか、および」認証されていないユーザによって使用されているかを判断することは周知技術である。例えば、参考文献1には、本人以外の無断使用を防止する技術に関連し、モバイルデバイスが「携帯されているか、使用されていないか、および」認証されていないユーザによって使用されているかを判断することに相当する技術が示されている。 してみれば、引用発明において、認証プロセスの判断に関し、モバイルデバイスが「携帯されているか、使用されていないか、および」認証されていないユーザによって使用されているかを判断すると成すことは、前記周知技術を参酌することにより当業者が容易になし得ることである。 そして、本願発明の構成により奏する効果も、引用発明、引用文献2~3、参考文献1~2に記載された技術から当然予測される範囲内のものにすぎない。 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 第7 むすび 以上のとおり、本願発明は、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明、技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本願は、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2015-009961

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