特許拒絶査定不服審判
2015-000851
クランプ具。
- 審判番号
- 2015-000851
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-082699外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2015年01月16日
- 審決日
- 2015年09月14日
- 公報発行日
- 2018年12月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】泉 寛治
- 分類
- P18 .113-Z (B23Q)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第5項第4号、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014- 82699「クランプ具。」拒絶査定不服審判事件〔請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件出願は、平成26年4月14日の特許出願であって、その後の手続の経緯は以下のとおりである。
平成26年 7月 3日付け 拒絶理由の通知
平成26年 8月 1日 意見書及び手続補正書の提出
平成26年10月22日付け 拒絶査定
平成27年 1月16日 審判請求書、手続補正書及び意見書の提出
平成27年 1月20日 意見書の提出
第2 平成27年1月16日付け手続補正書による補正の適否
1 補正の内容
平成27年1月16日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という)は、特許請求の範囲の請求項3について補正をするものであって、その補正前後の記載は以下のとおりである(下線は補正箇所を示す)。
(1)補正前
「請求項2に記載のクランプ曲線の設定を、前記ワーク直径の小径から大径に向けて等間隔で偏芯させた円弧を限りなく小さな単位にして描き、前記限りなく小さな単位で描いたワークをクランプする杷持・掴持面を、なだらかな曲線で連結して描いたクランプ曲線としたクランプ具にして、ワークとの当接面に弾性性状を有する薄膜を固着するかコートするかのいずれかの手段で、点の杷持・掴持部を線あるいは面にして設けたクランプ具。」
(2)補正後
「請求項2に記載のクランプ曲線の設定を、前記ワーク直径の小径から大径に向けて等間隔で偏芯させた間隔の単位を限りなく小さな単位にして描き、前記限りなく小さな単位で描いたワークをクランプする杷持・掴持面を、なだらかな曲線で連結して描いたクランプ曲線としたクランプ具にして、ワークとの当接面に弾性性状を有する薄膜を固着するかコートするかのいずれかの手段で、点の杷持・掴持部を線あるいは面にして設けたクランプ具。」
2 補正の適否
補正前の「前記ワーク直径の小径から大径に向けて等間隔で偏芯させた円弧を限りなく小さな単位にして描き」という記載では、「限りなく小さな単位」とする対象が何であるのか意味が明瞭でなかったところ、補正後の「前記ワーク直径の小径から大径に向けて等間隔で偏芯させた間隔の単位を限りなく小さな単位にして描き」という記載により、「等間隔で偏芯させた間隔の単位」を「限りなく小さな単位」とすることが明確になったといえる。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的としたものであり、適法になされたものである。
第3 本願発明
上記「第2 2」で検討したように、本件補正は適法になされたものであるから、本件出願の特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という)は、次のとおりである。
「クランプ具のワーク杷持・掴持当接面を複数の直径のワークを同芯クランプ出来るクランプ曲線として設けたクランプ具であり、前記クランプ曲線は複数の直径の最小径のワークの芯を基準として、描いた最小径の円弧のX軸上の頂点から、次に小径から大径に向けて順次設定するワークの、前記最小径の円弧の中を通す様に偏芯させたクランプ曲線のX軸上の芯で円弧を描いて出来る、円弧と円弧との接点間に生成されるワークの杷持・掴持当接面を連結して、クランプ曲線として設けたことを特徴とする、クランプ具。」
第4 引用刊行物
1 引用刊行物の記載事項
これに対して、本件出願の出願前に日本国内において頒布された刊行物であって原査定の拒絶の理由に引用された特開平4-69129号公報(以下「引用刊行物」という)には、以下の事項が記載されている。
(1)「本発明の目的はセンタリングガイドを交換することなく、半径の異なる二種以上のウェハを確実に芯出しでき、しかもそれを安定して支持することのできるセンタリング装置を提供することにある。」(第2ページ右上欄第2~6行)
(2)「本発明のセンタリング装置は第1図、第2図のように、半導体ウェハA1、A2の外周面に、その両外側から二つのセンタリングガイドB1、B2の湾曲面Gをあてがって、同ウェハA1、A2の芯出しを行なうようにしたセンタリング装置において、前記センタリングガイドB1、B2の一つの湾曲面Gに、曲率半径の異なる二以上の円弧部c1、c2が形成されてなることを特徴とするものである。」(第2ページ右上欄第8~16行)
(3)「本発明のセンタリング装置では、例えば第1図、第2図のようにセンタリングガイドB1、B2の湾曲面Gの内側に曲率半径の小さい円弧部c2が形成され、その両外側に曲率半径の大きい円弧部c1が形成されているので、第6図aの大きい半径r1のウェハA1の外周面には第3図のように前記外側の円弧部c1が四箇所で密に接触し、第6図bのように小さい半径r2のウェハA2の外周面には第4図のように内側の円弧部c2が密に接触する。」(第2ページ右上欄第18行~同ページ左下欄第7行)
(4)「本発明のセンタリング装置の一実施例である第1図に示すB1、B2はセンタリングガイドであり、これは二つ対向して配置されている。
第1図のGは湾曲面であり、これは夫々のセンタリングガイドB1、B2の内側に形成されている。そして本発明では夫々の湾曲面Gに曲率半径の異なる円弧部が形成されて、夫々の円弧部が半径の異なる半導体ウェハの外周面に当接して同ウェハの芯出しができるようにしてある。この実施例では夫々の湾曲面Gの内側に、小さい半径r2のウェハA2の外周面の曲率半径と同じ曲率半径の円弧部c2が、その両外側に大きい半径r1のウェハA1の外周面の曲率半径と同じ曲率半径の円弧部c1が形成されている。」(第2ページ左下欄第14行~同ページ右下欄第7行)
(5)「なお、この実施例では前記湾曲面Gに曲率半径の異なる円弧部c1、c2が二つだけが形成されたものについて詳述したが、本発明のセンタリング装置では曲率半径の異なる円弧部を三以上形成しても差し支えない。」(第3ページ左下欄第13~17行)
2 引用刊行物記載の発明
上記記載事項について技術常識を考慮して整理すると、引用刊行物には以下の発明が記載されていると認められる。
「センタリングガイドB1、B2のウェハA1、A2外周面の当接面を、半径の異なる二種以上のウェハA1、A2を芯出しできる湾曲面Gとして設けたセンタリングガイドB1、B2であり、前記湾曲面Gは、その内側に形成した小さい半径r2のウェハA2の外周面の曲率半径と同じ曲率半径の円弧部c2と、その両外側に形成した大きい半径r1のウェハA1の外周面の曲率半径と同じ曲率半径の円弧部c1とで出来る、ウェハA1、A2外周面の当接面を連結して、湾曲面Gとして設けた、センタリングガイドB1、B2。」(以下「引用発明」という)
第5 対比・検討
本願発明と引用発明とを対比すると以下のとおりである。
引用発明の「ウェハA1、A2」が、本願発明の「ワーク」に相当することは明らかである。そして、引用発明の「センタリングガイドB1、B2」は、芯出し時にワークである半導体ウェハを、受面1上にのせた上湾曲面Gで挟着して固定するものであることに着目すると、本願発明と同様に「クランプ具」として把握できるものである。また、引用発明のセンタリングガイドB1、B2の「ウェハA1、A2外周面の当接面」は、「ワーク杷持・掴持当接面」として理解できるものである。
さらに、引用発明の「半径の異なる二種以上のウェハA1、A2を芯出しできる湾曲面G」は、半導体ウェハの半径が異なれば当然その直径も異なること、湾曲面Gは半導体ウェハを挟着して固定する曲線形状を有するものであることから、本願発明の「複数の直径のワークを同芯クランプ出来るクランプ曲線」に相当するものと認められる。
そうすると、両者は、「クランプ具のワーク杷持・掴持当接面を、複数の直径のワークを同芯クランプ出来るクランプ曲線として設けたクランプ具であり、前記クランプ曲線は、ワーク杷持・掴持当接面を連結して、クランプ曲線として設けた、クランプ具。」である点で一致しているが、以下の点では一応相違している。
クランプ曲線について、本願発明では、「複数の直径の最小径のワークの芯を基準として、描いた最小径の円弧のX軸上の頂点から、次に小径から大径に向けて順次設定するワークの、前記最小径の円弧の中を通す様に偏芯させたクランプ曲線のX軸上の芯で円弧を描いて出来る、円弧と円弧との接点間に生成される」ワークの杷持・掴持当接面を連結したものであるのに対し、引用発明では、「その内側に形成した小さい半径r2のウェハA2の外周面の曲率半径と同じ曲率半径の円弧部c2と、その両外側に形成した大きい半径r1のウェハA1の外周面の曲率半径と同じ曲率半径の円弧部c1とで出来る」ワークの杷持・掴持当接面を連結したものである点。
ここで、引用発明における湾曲面Gの「その内側に形成した小さい半径r2のウェハA2の外周面の曲率半径と同じ曲率半径の円弧部c2と、その両外側に形成した大きい半径r1のウェハA1の外周面の曲率半径と同じ曲率半径の円弧部c1とで出来る」ワークの杷持・掴持当接面を連結した構成について、引用刊行物の第2図ないし第4図も参照しながら検討する。
引用発明の湾曲面Gに形成された円弧部c2は、第4図にも示されているように、二種類の大きさのウェハのうち小さい半径r2のウェハA2について描いた円弧であるから、複数の直径の最小径のワークについて描いた最小径の円弧であり、当該円弧部c2の両外側に形成された円弧部c1は、第3図を見て理解できるように、小径から大径に向けて設定されたウェハA1について描いた円弧であり、最小径の円弧である円弧部c2とは偏芯している。また、第2図からも理解されるように、円弧部c1と円弧部c2との接点間に生成されたワーク杷持・掴持当接面である円弧部c2と円弧部c1とを連結して湾曲面Gが形成されている。
さらに、円弧部c2と円弧部c1との偏芯について検討する。引用刊行物の第2図において円弧部c2と円弧部c1との配置関係を考えると、各円弧部を描く中心となるウェハA2及びウェハA1の芯が、円弧部c2の中央の点の接線に垂直な軸上に離れて偏芯して存在することは、自明の事項である。また、当該軸が本願発明の「最小径の円弧のX軸」に相当し、円弧部c2の中央の点が本願発明の「最小径の円弧のX軸上の頂点」となることも、当業者が格別困難なく理解できるものである。
そして、上記第4の1(5)で摘記したように、湾曲面Gに「曲率半径の異なる円弧部を三以上形成しても差し支えない」ことが記載されていることから、引用発明の湾曲面Gに、最内側の「最小径の」円弧部から外側になるにつれ半径が大きくなる円弧部を三種以上形成することも、当業者には自明の事項である。
そうすると、引用発明の湾曲面Gも、最内側の最小径の円弧部を描く最小径のウェハの芯に対し、描いた最小径の円弧部のX軸上の頂点から、最小径の円弧部の中を通す様に偏芯させたX軸上の芯で円弧部を描いて出来る、円弧部と円弧部との接点間に生成されるワークの把持・掴持当接面を連結して形成したものである。そして、上記円弧部を描く際に、最小径のワークの芯を基準として次に小径から大径に向けて順次設定するワークの偏芯させた芯で円弧を描く順番とすることも、上記第4の1(3)に「本発明のセンタリング装置では、例えば第1図、第2図のようにセンタリングガイドB1、B2の湾曲面Gの内側に曲率半径の小さい円弧部c2が形成され、その両外側に曲率半径の大きい円弧部c1が形成されている」という記載からみて、当然成し得る事項である。
してみると、引用発明には、「複数の直径の最小径のワークの芯を基準として、描いた最小径の円弧のX軸上の頂点から、次に小径から大径に向けて順次設定するワークの、前記最小径の円弧の中を通す様に偏芯させたクランプ曲線のX軸上の芯で円弧を描いて出来る、円弧と円弧との接点間に生成されるワークの杷持・掴持当接面を連結して、クランプ曲線として設けた」点も有していると認められ、本願発明と引用発明との間に実質的な差異は見当たらず、両者は同一であるというべきである。
第6 むすび
したがって、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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