2026-700046
層状ケイ酸塩を含む水懸濁液
- 審判番号
- 2026-700046
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-197694外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7720620
- 請求日
- 2026年01月15日
- 審決日
- 2026年04月02日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社ファイマテック
- 【権利者代理人】▲吉▼田 和彦
- 【権利者代理人】須田 洋之
- 【権利者代理人】山崎 一夫
- 【権利者代理人】服部 博信
- 【権利者代理人】松田 七重
- 【権利者代理人】佐々木 康匡
- 【異議申立人】弁理士法人 たかはし国際特許事務所
- 分類
- P1652.537-Y (D21H)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 5項目
第1 手続の経緯
特許第7720620号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5、7~8に係る特許についての出願は、令和3年12月6日に出願され、令和7年7月31日にその特許権の設定登録がされ、令和7年8月8日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和8年1月15日に特許異議申立人である弁理士法人たかはし国際特許事務所(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1~5、7~8に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1~5、7~8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(以下、本件特許の請求項1~5、7~8に係る発明をそれぞれ「本件特許発明1」~「本件特許発明5」、「本件特許発明7」~「本件特許発明8」といい、これらを総称して「本件特許発明」という。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)
「【請求項1】下記計算式(1)から算出される厚みが0.04μm以下である層状ケイ酸塩鉱物、及び層状ケイ酸塩鉱物に対して0.25質量%以上の分散剤、を含む水懸濁液。続きを表示(全16行)厚み(μm)=(2×r)÷(a×r×b-4) (1)(式中、r=レーザー回折法によるD50の値(μm)、a=粒子真比重(g/cm3)、b=BET比表面積(m2/g))【請求項2】分散剤が、ポリアクリル酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モノイソプロパノールアミン、及びポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水懸濁液。【請求項3】分散剤が、層状ケイ酸塩鉱物に対し、0質量%を超え、0.25質量%以下のポリアクリル酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の水懸濁液。【請求項4】分散剤が、層状ケイ酸塩鉱物に対し、0質量%を超え、5質量%以下のヘキサメタリン酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の水懸濁液。【請求項5】水懸濁液の固形分が40~75質量%である、請求項1~4のいずれか1項記載の水懸濁液。」
「【請求項7】被塗物であるシートの少なくとも片面に、下記計算式(1)から算出される厚みが0.04μm以下である層状ケイ酸塩鉱物を含む層が設けられた塗工シート。厚み(μm)=(2×r)÷(a×r×b-4) (1)(式中、r=レーザー回折法によるD50の値(μm)、a=粒子真比重(g/cm3)、b=BET比表面積(m2/g))【請求項8】請求項1~6のいずれか1項に記載の水懸濁液でシートを塗工する工程を含む、塗工シートの製造方法。」
第3 申立理由の概要
申立人は、本件特許の請求項1~5、7~8に係る発明において、直接的に又は間接的に特定される「層状ケイ酸塩鉱物」には、非膨潤性の層状ケイ酸塩鉱物に加え、膨潤性の層状ケイ酸塩鉱物も包含される。膨潤性の層状ケイ酸塩鉱物の中には、本件特許発明で規定する厚みを本来的に有するものが多く存在するから、本件特許の請求項1~5、7~8に係る発明の範囲には、発明の課題に直面せず、それゆえ当該課題が解決されたとは認識できない態様が包含されている。よって、本件特許発明1~5、7~8については、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合するものではないから、同発明に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである旨主張する。
第4 当合議体の判断
(1)本件特許明細書の段落【0004】によれば、本件特許発明が解決しようとする課題(以下、単に「課題」という。)は「気体や液体に対する高いバリア性を塗工面に付与することができる層状ケイ酸塩鉱物の水懸濁液を提供すること」、「前記水懸濁液を用いて製造される塗工シートを提供すること」、「前記水懸濁液を用いる塗工シートの製造方法を提供すること」である。そして、本件特許明細書の段落【0005】によれば、その解決手段は「層状ケイ酸塩鉱物の厚みを薄くし、層状ケイ酸塩鉱物を含む水懸濁液」であり、該「水懸濁液」によって得られる「層状ケイ酸塩鉱物が積層したときに大きな隙間を作らない、バリア性の高いシート」であると認められる。
(2)課題の解決手段として認められる厚みの薄い層状ケイ酸塩鉱物を含む水懸濁液について、本件特許明細書の段落【0010】、【0022】、【表1】より、層状ケイ酸塩鉱物の厚みが0.04μm以下であることにより、緻密な塗工層を形成でき、空気等の気体や液体の通り道を非常に小さくできると認められる。そして、本件特許発明1~5、7~8には、厚みを0.04μm以下とした層状ケイ酸塩鉱物を含む水懸濁液が含まれており、本件特許発明1~5、7~8によって、課題が解決されることは、当業者であれば十分に理解できるものである。
(3)したがって、本件特許発明1~5、7~8については、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に適合するものであるから、当該申立理由によっては、同発明に係る特許を取り消すことはできない。
(4)申立人は、本件特許発明が解決しようとする課題について、「本件特許の請求項1に記載の計算式(1)から算出される厚みが本来的に0.04μmを越える層状ケイ酸塩鉱物を含む水懸濁液によって塗工面に付与することができるバリア性と比較して、同種の層状ケイ酸塩鉱物を含む水懸濁液でありながらも、より高いバリア性を塗工面に付与することができる層状ケイ酸塩鉱物の水懸濁液を提供する。」ことであると主張し、この主張している課題に基づいて、本件特許発明には、発明の課題に直面せず、それゆえ当該課題が解決されたとは認識できない態様が包含されている旨主張している。
しかしながら、上記(1)~(3)のとおり、本件特許明細書の段落【0004】によれば、課題は「気体や液体に対する高いバリア性を塗工面に付与することができる層状ケイ酸塩鉱物の水懸濁液を提供すること」、「前記水懸濁液を用いて製造される塗工シートを提供すること」、「前記水懸濁液を用いる塗工シートの製造方法を提供すること」であり、本件特許発明1~5、7~8によって解決されるものである。
よって、申立人の当該主張を採用することはできない。
第5 むすび
以上のとおり、申立人による特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~5、7~8に係る発明を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~5、7~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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