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特許異議申立

2025-700861

プログラム、情報処理装置及び情報処理方法

審判番号
2025-700861
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-109918
登録番号
7660950
請求日
2025年09月03日
審決日
2026年04月20日
公報発行日
2026年07月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ブルーモ証券株式会社
  • 【権利者代理人】酒谷 誠一
  • 【異議申立人】松井証券 株式会社
  • 【異議申立人代理人】弁理士法人一色国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 松田 直也
  • 審判官 佐藤 智康
  • 審判官 笠田 和宏
分類
P1652.121-YAA(G06Q) / P1652.832-YAA(G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7660950号発明「プログラム、情報処理装置及び情報処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7660950号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、9、10について訂正することを認める。 特許第7660950号の請求項1、9、10に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7660950号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、令和6年7月8日に出願され(遡及日 令和5年9月13日)、令和7年4月4日にその特許権の設定登録がされ、同年4月14日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和 7年 9月 3日 : 特許異議申立人松井証券株式会社(以下、「申立人」という。)による請求項1、9、10に係る特許に対する特許異議の申立て 同年10月 3日 : 手続補正書(方式)の提出 同年11月27日付け: 取消理由通知書 令和 8年 1月30日 : 訂正請求書及び意見書の提出 なお、申立人に対し、令和8年2月12日付けで、期間を指定して訂正請求書の副本を送付して意見書提出の機会を与えたが、申立人は指定期間内に意見書を提出しなかった。 第2 訂正の適否について 1 請求の趣旨 令和8年1月30日提出の訂正請求書による訂正の請求における請求の趣旨は、「特許第7660950号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求める。」というものである。 2 訂正の内容 上記訂正請求書による訂正の請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は、本件特許の設定登録時の特許請求の範囲の記載から訂正した箇所を示す。)。 なお、本件訂正請求のうち、訂正事項1に係る訂正前の請求項1~8について、訂正前の請求項2~8はそれぞれ請求項1を引用しているから、訂正前の請求項1~8に対応する訂正後の請求項1~8は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (1)一群の請求項1~8に係る訂正について ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に、「コンピュータに、 目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 を実行させるためのプログラム。」と記載されているのを、 「コンピュータに、 目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順、 前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順、 前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順、 を実行させるためのプログラム。」に訂正する。(請求項1の記載を引用する請求項2~8も同様に訂正する。) (2)請求項9に係る訂正について ア 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項9に、「少なくとも一つのプロセッサを備え、 前記少なくとも一つのプロセッサは、目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 を実行する情報処理装置。」と記載されているのを、 「少なくとも一つのプロセッサを備え、 前記少なくとも一つのプロセッサは、目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順、 前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順、 前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順、 を実行する情報処理装置。」に訂正する。 (3)請求項10に係る訂正について ア 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項10に、「受付手段、保存手段、決定手段を有する情報処理システムによる情報処理方法であって、 受付手段が、目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 保存手段が、前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 決定手段が、前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 を有する情報処理方法。」と記載されているのを、 「受付手段、保存手段、決定手段、要求手段、受信手段、出力手段を有する情報処理システムによる情報処理方法であって、 受付手段が、目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 保存手段が、前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 決定手段が、前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 要求手段が、他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該 他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順、 受信手段が、前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順、 出力手段が、受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順、 を有する情報処理方法。」に訂正する。 3 訂正の適否についての判断 (1)一群の請求項1~8に係る訂正について ア 訂正事項1 (ア)訂正の目的 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「プログラム」がコンピュータに実行させる手順として、「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」を追加するものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「プログラム」がコンピュータに実行させる手順に、上記(ア)のとおりの各手順を追加するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項1について、訂正前の請求項1に追加した構成は、段落0068、図12に基づいているから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか 本件においては、訂正前の請求項1に対して特許異議申立てがされているから、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 また、訂正後の請求項2~8は、請求項1を引用することから、請求項1の構成「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順、前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順、前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」との発明特定事項を含むものである。 そして、後述する第4の4(1)イ又は第4の4(2)イのとおり、当該発明特定事項は、相違点1A又は相違点1B-2に係る構成であり、これらの相違点1の判断は、第4の4(1)エ(ア)又は第4の4(2)ウ(イ)のとおり、本件特許異議の申立てにおいて提出されたいずれの甲号証にも記載も示唆もされていないことから、当業者が容易に想到することができたものではない。 したがって、訂正後の請求項2~8に係る発明は、引用発明1及びその他の甲号証群Aに記載された技術的事項に基づいて、又は、引用発明2及びその他の甲号証群Bに記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものには該当しないことは明らかである。 よって、訂正後の請求項2~8に係る発明は、特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであり、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件を満たす。 (2)請求項9に係る訂正について ア 訂正事項2 (ア)訂正の目的 訂正事項2は、訂正前の請求項9の「情報処理装置」が実行する手順として、「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」を追加するものであるから、当該訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項2は、訂正前の請求項9の「情報処理装置」が実行する手順に、上記(ア)のとおりの各手順を追加するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項2について、訂正前の請求項9に追加した構成は、段落0068、図12に基づいているから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか 本件においては、訂正前の請求項9に対して特許異議申立てがされているから、訂正前の請求項9に係る訂正事項2に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 (3)請求項10に係る訂正について ア 訂正事項3 (ア)訂正の目的 訂正事項3は、訂正前の請求項10の情報処理システムによる「情報処理方法」に「要求手段が、他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「受信手段が、前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「出力手段が、受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」を追加するものであるから、当該訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正であるか 訂正事項3は、訂正前の請求項10の情報処理システムによる「情報処理方法」に、上記(ア)のとおりの各手順を追加するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるか 訂正事項3について、請求項10に追加した構成は、段落0068、図12に基づいているから、明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (エ)特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか 本件においては、訂正前の請求項10に対して特許異議申立てがされているから、訂正前の請求項10に係る訂正事項3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項に規定される独立特許要件は課されない。 4 小括 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕、9、10について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正請求による訂正は、上記第2のとおり認められたので、本件特許の請求項1~10に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」・・・「本件発明10」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。なお、下線は、訂正箇所である。 【請求項1】 コンピュータに、 目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順、 前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順、 前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順、 を実行させるためのプログラム。 【請求項2】 前記複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定する入力は、他ユーザのポートフォリオをコピーすることを含む 請求項1に記載のプログラム。 【請求項3】 前記目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順を、他のユーザのポートフォリオを閲覧可能に提示するための情報を出力する手順の前後のいずれかまたは両方で実行可能にさせる 請求項1または2に記載のプログラム。 【請求項4】 複数の他ユーザ一覧から選択した特定の他ユーザのポートフォリオが表示された場合において、当該特定の他ユーザのポートフォリオをコピーする操作をユーザから受け付けた場合、当該特定の他ユーザのポートフォリオを前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、を更に実行させるための請求項1または2に記載のプログラム。 【請求項5】 ユーザによって選択された特定の他ユーザのポートフォリオとユーザ自身のポートフォリオを比較可能に表示された場合において、当該特定の他ユーザのポートフォリオをコピーする操作をユーザから受け付けた場合、当該特定の他ユーザのポートフォリオを前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、を更に実行させるための請求項1または2に記載のプログラム。 【請求項6】 複数の他のユーザの情報を、他のユーザの各々のポートフォリオ内における特定の銘柄の当該ポートフォリオ内における構成比順で表示する手順、を更に実行させるための請求項1または2に記載のプログラム。 【請求項7】 他のユーザのアカウント画面を表示する場合において、当該他のユーザの所定期間での収益増減率、運用実績、及び参考にされている人数のうち少なくとも一つを表示する手順、を更に実行させるための請求項1または2に記載のプログラム。 【請求項8】 他のユーザのポートフォリオの変更履歴を表示する手順、を更に実行させるための請求項1または2に記載のプログラム。 【請求項9】 少なくとも一つのプロセッサを備え、 前記少なくとも一つのプロセッサは、目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順、 前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順、 前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順、 を実行する情報処理装置。 【請求項10】 受付手段、保存手段、決定手段、要求手段、受信手段、出力手段を有する情報処理システムによる情報処理方法であって、 受付手段が、目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 保存手段が、前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 決定手段が、前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 要求手段が、他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順、 受信手段が、前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順、 出力手段が、受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順、 を有する情報処理方法。 第4 取消理由通知に記載した取消理由について 1 取消理由の概要 訂正前の請求項1、9、10に係る特許に対して、当審において、令和7年11月27日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)請求項1、9、10に係る発明は、下記の引用文献1に記載された発明であるから、請求項1、9、10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、また、下記の引用文献1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、9、10に係る特許は、特許法第29条第2項に違反してされたものである。 (2)請求項1、9、10に係る発明は、下記の引用文献2及び1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、9、10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献等一覧> 1.「投信工房 説明資料」,[online],松井証券株式会社,2017年6月23日,インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20170623002757/http://www.matsui.co.jp/service/fund/pdf/whitepaper.pdf>(甲第2の1号証) 2.特開2018-37058号公報(甲第1号証) 2 引用文献の記載 (1)引用文献1に記載されている事項、引用発明1 ア 引用文献1の記載 本件特許出願前の平成29年6月2日までに電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献1(甲第2の1号証)には、次の事項が記載されている。 「 [図:0001437400000001.jpg] 」(P.1) 「 [図:0001437400000002.jpg] 」(P.3) 「 [図:0001437400000003.jpg] 」(P.5) 「 [図:0001437400000004.jpg] 」(P.6) イ 引用文献1に記載されているといえる事項 (ア)上記アのP.1の「投信工房は、ネット証券初となる「ロボアドバイザーを搭載した投資信託運用プラットフォーム」です。」、及び「対面証券の営業員によるアドバイスと同様のサービスを、インターネットを通して提供する」との記載から、「投信工房」のサービスは、インターネットを通して提供されるサービスであるから、このロボアドバイザーを搭載した投信工房のサービスはコンピュータによって実行されることは明らかである。 そして、上記アの「3.投信工房の使い方」に関するP.6の「保有ポートフォリオの比率を目標ポートフォリオの比率に近づけるために必要な投資信託毎の購入金額を、ロボアドバイザーが自動計算して積立投資を実行する積立機能です。」との記載を踏まえると、引用文献1には、「コンピュータに、ロボアドバイザーを搭載した投信工房のサービスを提供するように機能させるプログラム」が記載されているといえる。 (イ)上記アのP.3に記載のとおり、引用文献1には、投信工房の基本的な使い方として、「運用方針の確認」、「ポートフォリオ提案」、「運用目標の決定」、「運用開始」、「運用状況の報告」、及び「ポートフォリオメンテナンス」を含むことが記載されている。 ウ 引用発明1 上記ア、イ記載事項から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。 「コンピュータに、ロボアドバイザーを搭載した投信工房のサービスを提供するように機能させるプログラムであって、(上記イ(ア)) 投信工房の基本的な使い方として、「運用方針の確認」、「ポートフォリオ提案」、「運用目標の決定」、「運用開始」、「運用状況の報告」、及び「ポートフォリオメンテナンス」を含み、(上記イ(イ)) 「運用目標の決定」として、モデルポートフォリオを参考に、運用目標とするポートフォリオを決定し、投信工房では、お客様が運用目標として定めるポートフォリオを目標ポートフォリオと呼び、目標ポートフォリオの設定は、お客様自身で投資信託や比率を自由に設定することもでき、(P.5) 「運用開始」として、入金を行って資産運用を開始し、投信工房では、「ポートフォリオ一括購入」や「リバランス積立」などの機能により、お客様の投資スタイルに合わせた資産運用を簡単な操作で開始でき、(P.5) 「リバランス積立」は、積立日と積立金額を指定するだけで、保有ポートフォリオの比率を目標ポートフォリオの比率に近づけるために必要な投資信託等の購入金額を、ロボアドバイザーが自動計算して積立投資を実行する積立機能である、(P.6) プログラム。」 (2)引用文献2に記載されている事項、引用発明2 ア 引用文献2の記載 本件特許出願前の平成30年3月8日に出願公開された引用文献2(甲第1号証)には、図面とともに次の事項が記載されている。(なお、「1.」、「1-1.」、「ステップ1」等の見出し部分を除いて、下線は当審にて付与した。)。 「【技術分野】 【0001】 本出願において開示された技術は、有価証券の売買に用いられる装置に関する。 【背景技術】 【0002】 有価証券の売買に用いられる装置としては、特開2006-268557 号公報(特許文献1)に開示されたものが知られている。特許文献1は、現在のポートフォリオを目標とされるポートフォリオに近づけるように銘柄を売買する「リバランス」という処理を実行する装置を開示している(なお、特許文献1の開示内容は、引用により本明細書に組み入れられる。)。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0004】 本発明の様々な実施形態では、ユーザに新規なサービスを提供するように構成された有価証券の売買に用いられる装置を提供する。」 「【0011】 1.一実施形態に係る有価証券の売買システム 一実施形態に係る有価証券の売買システムは、あるユーザ(ユーザ甲)が金融機関に開設した口座において保有する複数の銘柄(これら複数の銘柄によってポートフォリオが構築される)の各々の時価総額が複数の銘柄全体の時価総額に対して特定の比率を占めるように、少なくとも1つの銘柄を適切な数量売却又は購入するリバランス処理を実行することが可能なものである。このリバランス処理を実行することによって、ポートフォリオは、各銘柄の時価総額が複数の銘柄全体の時価総額に対して特定の比率を占める状態(以下便宜上「適正状態」という。)となるが、その後、時間の経過によって、いずれかの銘柄の時価総額が変動する等の結果として、ポートフォリオは、いずれかの銘柄の時価総額が複数の銘柄全体の時価総額に対して占める比率が上記特定の比率と異なる状態(以下便宜上「非適正状態」という。)となる可能性がある。このような非適正状態において、ユーザ甲が、ポートフォリオに対して新たな資金を追加で投資していずれかの銘柄を購入する局面が考えられる。かかる局面において、本実施形態に係る有価証券の売買システムは、別途のリバランス処理を行うことなく、ポートフォリオが適正状態となるように(又は適正状態に近づくように)購入対象銘柄を決定して購入する処理を実行するものである。」 「【0014】 図1には、「適正状態」にあるポートフォリオの一例が示されている。具体的には、図1(a)には、銘柄A~Cのそれぞれの時価単価が示されている。図1(b)には、顧客IDとして「0001」が割り振られたユーザ甲が保有するポートフォリオについて、銘柄A~Cのそれぞれに対応付けて、保有数量(口数、株数、額面金額等。以下同様とする。)、評価額(時価総額)、現在の比率、目標配分額及び目標からの乖離額が示されている。」 「【0023】 1-1.一実施形態に係る有価証券の売買システムの全体構成 図6は、本発明の一実施形態に係る有価証券の売買システムの構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、有価証券の売買システム1は、主に、売買サーバ10と、売買サーバ10に対してインターネット等を含む通信網20を介して接続された複数の端末装置30-1、30-2、・・・、30-N(以下「端末装置30」と総称することがある。)と、を含む。 【0024】 本実施形態では、売買サーバ10は、計算サーバ12と、計算サーバ12に接続されたウェブサーバ14と、計算サーバ12及びウェブサーバ14に接続されたデータベースサーバ16と、データベースサーバ16に接続された証券サーバ18と、を含む。なお、別の実施形態では、売買サーバ10は、計算サーバ12、ウェブサーバ14、データベースサーバ16及び証券サーバ18の各々が果たす機能をすべて果たすように、1つ又は複数のデータベースとして構成されるものであってもよい。」 「【0027】 1-2.売買サーバ10の構成 売買サーバ10を構成する計算サーバ12、ウェブサーバ14、データベースサーバ16及び証券サーバ18が共通して有する構成について図7を参照して説明する。図7は、図6に示した有価証券の売買システムに用いられる売買サーバ10(を構成する各サーバ)の構成の一例を示すブロック図である。 【0028】 図7に示すように、各サーバは、CPU101と、メインメモリ102と、ユーザインターフェイス(I/F)103と、通信インターフェイス(I/F)104と、外部メモリ105と、ディスクドライブ106と、を含み、これらの各構成要素がバス107を介して互いに電気的に接続されている。 【0029】 CPU101は、外部メモリ105からオペレーティングシステム、及び、様々な機能を実現するためのプログラム等をメインメモリ102にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する。メインメモリ102は、CPU101が実行するプログラムを格納するために用いられ、例えばDRAMによって構成される。 なお、計算サーバ14に搭載されたCPU101は、ウェブサーバ14及びデータベースサーバ16の各々から受信した情報に基づいて、様々な処理及び演算を実行する。また、ウェブサーバ14に搭載されたCPU101は、端末装置30から受信した情報に応じて、計算サーバ12及びデータベースサーバ16から受信した様々な情報を用いてウェブページを表示するためのHTMLデータを生成する。」 「【0040】 1-4.売買サーバ10の機能 図9は、図6に示した有価証券の売買システム1において用いられる売買サーバ10が有する機能の一例を示すブロック図である。図9に示すように、売買サーバ10は、主に、記憶部110と、入力部120と、算出部130と、売買処理部140と、を含む。 【0041】 記憶部110は、各ユーザについて、該ユーザが或る金融機関(ここでは一例として金融商品取引業者である「WN社」)に開設した口座において保有する複数の銘柄の各々に対応付けて、保有数量、時価単価、評価額(時価総額)、現在の比率、目標配分額及び目標からの乖離額等を含む様々な情報を記憶することができる。なお、金融機関には、預金取扱等金融機関(銀行、信用金庫、信用農業共同組合連合会等)、金融商品取引業者、及び、保険会社が含まれる。さらにまた、金融機関には、諸外国の法律等により定められた金融機関も含まれる。 【0042】 入力部120は、いずれかの銘柄を購入すべく新たに投資される投資額を、通信網20を介して各ユーザ(の端末装置30から)入力する。これに代えて又はこれに加えて、入力部120は、一定周期(例えば毎日、毎週、毎月、毎四半期、半年毎、毎年等の任意の周期)毎に所定の金額を積み立てる契約が成立しているユーザについては、積立額(これも投資額の一種である)を例えば記憶部110(記憶部がそのようなユーザに対応付けて金額及び周期を記憶することができる)から入力することもできる。 【0043】 算出部130は、リバランス処理に関して、各ユーザについて、購入対象銘柄及び/又は売却対象銘柄を決定するとともに、購入対象銘柄(又は売却対象銘柄)を何数量購入(又は売却)するのかを決定することができる。 また、算出部130は、追加投資に関して、各ユーザについて、そのユーザがWN社に開設した口座において保有する各銘柄の数量及び時価単価に基づいて、各銘柄の時価総額及び銘柄全体の時価総額を算出し、投資額と銘柄全体の時価総額との和である全時価総額に対する各銘柄の時価総額の比率である仮想比率を算出し、各銘柄の仮想比率と目標比率との差に基づいて購入対象銘柄を決定する。さらに、算出部130は、このように決定された購入対象銘柄の購入のために配分すべき金額を算出する。 【0044】 売買処理部140は、リバランス処理に関して、各ユーザについて、算出部130により決定された購入対象銘柄(又は売却対象銘柄)を購入する購入処理(又は売却する売却処理)を実行する。 また、売買処理部140は、追加投資に関して、各ユーザについて、算出部130により決定された購入対象銘柄を購入する購入処理を実行する。」 「【0046】 1-5.有価証券の売買システム1の動作 上記構成を有する有価証券の売買システム1において有価証券売買サービスを提供するために行われる動作の一例について説明する。 まず、有価証券の売買システム1において行われる動作の概要について図10を参照して簡単に説明する。図10は、図6に示した有価証券の売買システム1において行われる動作の一例を示すフロー図である。なお、ユーザ(ここでは「ユーザ甲」)は、端末装置30を利用して、売買サーバ10のウェブサーバ14により提供されている有価証券売買サービスを提供するための所定のサイトにアクセスして様々な情報を入力すること等によって、売買サーバ10が、ユーザ甲に対して複数の銘柄により構築されたポートフォリオを既に提供しているものとする。 【0047】 まず、ステップ(以下「ST」という。)40において、売買サーバ10(の計算サーバ12)は、必要に応じて、ユーザ甲のポートフォリオに対してリバランス処理を実行する。これにより、ユーザ甲のポートフォリオは適正状態に移行する。なお、このリバランス処理は、例えば、いずれかの銘柄の資産が全体の資産に対して占める割合がこの銘柄について設定されている割合と相違している場合にのみ、実行されるようにしてもよいし、及び/又は、所定の周期(例えば、1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月等の任意の周期)毎に実行されるようにしてもよいし、及び/又は、ユーザ甲の端末装置30から所定の信号(リバランス処理を実行する旨を売買サーバ10に対して指示する信号等)を受信した時点において実行されるようにしてもよいし、及び/又は、売買サーバ10(計算サーバ12、ウェブサーバ14、データベースサーバ16及び証券サーバ18のうちのいずれであってもよい)に設けられたユーザインターフェイス(I/F)103を介してこの売買サーバ10を操作するオペレータにより入力された所定の信号が上記売買サーバ10のCPU101に検出された時点(例えば、オペレータが、ユーザ甲について、リバランス処理を実行すべく、所定のアイコン等をクリックしたり、キーボードから所定の情報を入力した時点)において実行されるようにしてもよい。 このリバランス処理を実現するための計算ロジックの具体例については後述する。」 「【0053】 1-6.リバランス処理を実現するための計算ロジック(ST40) ST40において実行されるリバランス処理を実現するための計算ロジックの具体例について説明する。 【0054】 (設定) ユーザ毎に次のデータが利用される(時価単価は全ユーザで共通である)。 銘柄ID i(i∈I,I={1,2,...,n}) 保有数量 Qi(>0) 時価単価 Vi(>0) 目標配分比率 Ri [図:0001437400000005.jpg] 【0055】 (計算方法) 売買サーバ10(の計算サーバ12)の算出部130は、ユーザ毎に次の各ステップを実行する。 ステップ1 算出部130は、以下に示す式に従い、当該ユーザの銘柄全体の時価総額(TA)、及び、銘柄全体の時価総額(TA)に対する各銘柄の時価総額の比率(CRi)を計算し、さらにその比率(CRi)と目標配分比率との乖離(Di)を計算する。 [図:0001437400000006.jpg] 【0056】 ステップ2 算出部130は、各銘柄の売買額IAi及び売買数量IQiを計算する。但し、これらの値は、正であれば購入、負であれば売却を意味するものとする。Diが正の場合には、IAi及びIQiは負となるため、目標配分比率を超えて保有している銘柄を売却し、Diが負の場合には、IAi及びIQiは正となるため、目標配分比率に満たない銘柄を購入することになる。 IAi=-TA×Di IQi=IAi÷Vi なお、銘柄を購入する購入処理及び銘柄を売却する売却処理の具体例については、後述する。 1-7.購入対象銘柄を決定するための計算ロジック(ST43)及び購入対象銘柄を購入すべき数量を決定するための計算ロジック(ST44)(その1) ST43において購入対象銘柄を決定するための計算ロジック、及び、ST44において購入対象銘柄を購入すべき数量を決定するための計算ロジックの具体例について説明する。」 「【0090】 算出部130は、一部売却に関して、各ユーザについて、そのユーザがWN社に開設した口座において保有する各銘柄の数量及び時価単価に基づいて、各銘柄の時価総額及び銘柄全体の時価総額を算出し、銘柄全体の時価総額から売却額を減じた全時価総額(第2全時価総額)に対する各銘柄の時価総額の比率である仮想比率(第2仮想比率)を算出し、各銘柄の仮想比率と目標比率との差に基づいて売却対象銘柄を決定する。さらに、算出部130は、このように決定された売却対象銘柄の売却のために配分すべき金額を算出する。」 「【0124】 本明細書で説明される処理及び手順は、実施形態において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能なものである。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、各種のコンピュータに実行させることが可能である。」 「【図1】 [図:0001437400000007.jpg] 」 イ 引用文献2に記載されているといえる事項 (ア)上記アの段落【0023】には、有価証券の売買システム1は売買サーバ10を含むこと、段落【0027】~【0029】、【0124】には、売買サーバ10のCPU101が、メインメモリ102にロードされたプログラムに含まれる命令を実行すること、段落【0046】~【0047】には、有価証券の売買システム1が提供する有価証券売買サービスの動作として、売買サーバ10がポートフォリオに対するリバランス処理を実行することが記載されていることから、引用文献2には、売買サーバ10に、有価証券の売買システム1が提供する有価証券売買サービスの動作として、ポートフォリオに対するリバランス処理を実行させるコンピュータプログラムが記載されているといえる。 (イ)上記アの段落【0014】の記載及び【図1】から、引用文献2には、「適正状態にあるポートフォリオ」について、銘柄及び当該銘柄の構成比が示されていることが記載されているといえる。 そして、上記アの段落【0011】の記載を踏まえると、引用文献2には、有価証券の売買システム1は、あるユーザが金融機関に開設した口座において保有する複数の銘柄によってポートフォリオが構築され、リバランス処理を実行し、リバランス処理を実行することによって、ポートフォリオが適正状態になり、適正状態のポートフォリオには、銘柄、保有数量、評価額、現在の比率(当該銘柄の構成比)、目標配分額及び目標からの乖離額が示されていることが記載されているといえる。 (ウ)上記アの段落【0024】の「売買サーバ10」が「ウェブサーバ14」を含むとの記載を踏まえ、段落【0046】を参照すると、引用文献2には、ユーザは、端末装置30を利用して、売買サーバ10により提供されている有価証券売買サービスを提供するための所定のサイトにアクセスして様々な情報を入力すること等によって、売買サーバ10が、ユーザに対して複数の銘柄により構築されたポートフォリオを既に提供しているものとすることが記載されているといえる。 (エ)上記アの段落【0024】の「売買サーバ1」が「計算サーバ12」を含むとの記載を踏まえ、段落【0047】を参照すると、引用文献2には、ステップ40(ST40)において、売買サーバ10は、必要に応じて、ユーザのポートフォリオに対してリバランス処理を実行することが記載されているといえる。 (オ)上記(ウ)と同様に、段落【0024】の記載を踏まえ、段落【0055】、【0056】を参照すると、引用文献2には、売買サーバ10の算出部130は、ユーザ毎に次のステップ1及びステップ2を実行することが記載されているといえる。 ウ 引用発明2 上記ア、イ記載事項から、引用文献2には、以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。 「売買サーバ10に、有価証券の売買システム1が提供する有価証券売買サービスの動作として、ポートフォリオに対するリバランス処理を実行させるコンピュータプログラムであって、(上記イ(ア)) 有価証券の売買システム1は、あるユーザが金融機関に開設した口座において保有する複数の銘柄によってポートフォリオが構築され、リバランス処理を実行し、リバランス処理を実行することによって、ポートフォリオが適正状態になり、適正状態のポートフォリオには、銘柄、保有数量、評価額、現在の比率(当該銘柄の構成比)、目標配分額及び目標からの乖離額が示され、(上記イ(イ)) 有価証券の売買システム1は、売買サーバ10と、売買サーバ10に対してインターネット等を含む通信網20を介して接続された複数の端末装置30と、を含み、(【0023】) 売買サーバ10は、記憶部110と、入力部120と、算出部130と、売買処理部140と、を含み、(【0040】) 記憶部110は、各ユーザについて、該ユーザが或る金融機関に開設した口座において保有する複数の銘柄の各々に対応付けて、銘柄、保有数量、時価単価、評価額、現在の比率(当該銘柄の構成比)、目標配分額及び目標からの乖離額等を含む様々な情報を記憶することができ、(【0041】、【図1】) 入力部120は、いずれかの銘柄を購入すべく新たに投資される投資額を、通信網20を介して各ユーザの端末装置30から入力し、(【0042】) 算出部130は、リバランス処理に関して、各ユーザについて、購入対象銘柄及び/又は売却対象銘柄を決定するとともに、購入対象銘柄又は売却対象銘柄を何数量購入又は売却するのかを決定することができ、(【0043】) ユーザは、端末装置30を利用して、売買サーバ10により提供されている有価証券売買サービスを提供するための所定のサイトにアクセスして様々な情報を入力すること等によって、売買サーバ10が、ユーザに対して複数の銘柄により構築されたポートフォリオを既に提供しているものとすること、(上記イ(ウ)) ステップ40(ST40)において、売買サーバ10は、必要に応じて、ユーザのポートフォリオに対してリバランス処理を実行すること、(上記イ(エ)) ST40において実行されるリバランス処理を実現するための計算ロジックとして、 ユーザ毎に次のデータが利用される(時価単価は全ユーザで共通である)こと、(【0054】) 銘柄ID i(i∈I,I={1,2,...,n}) 保有数量 Qi(>0) 時価単価 Vi(>0) 目標配分比率 Ri 売買サーバ10の算出部130は、ユーザ毎に次のステップ1及びステップ2を実行することを含み、(上記イ(オ)) ステップ1として、算出部130は、当該ユーザの銘柄全体の時価総額(TA)、及び、銘柄全体の時価総額(TA)に対する各銘柄の時価総額の比率(CRi)を計算し、さらにその比率(CRi)と目標配分比率との乖離(Di)を計算し、(【0055】) ステップ2として、算出部130は、各銘柄の売買額IAi及び売買数量IQiを計算する、(【0056】) コンピュータプログラム。」 3 取消理由通知で引用しなかった甲号証の記載 (1)甲第2の2号証 甲第2の2号証(「投信工房 ロボットアドバイザーが資産運用をトータルサポート リバランス積立とは?」、https://web.archive.org/web/20170613212216/http://www.matsui.co.jp/toushinkoubou/rebalance/#whats-rebalance)は、インターネット上で公開されたページをウェイバックマシンで検索したものであり、甲第2の1号証のリンク元を含むWEBページ画面である。 (2)甲第3の1~4号証 ア 甲第3の1号証(「よくあるご質問(Q&A)>投資信託>購入・解約>投資信託の購入方法を教えてください。」、https://web.archive.org/web/20220527113639/https://support.matsui.co.jp/faq/show/11351?site_domain=faq)は、インターネット上で公開されたページをウェイバックマシンで検索したものであり、「質問 投資信託の購入方法を教えてください。」への回答として、「一括購入注文」では、「1. 投資信託お客様サイト【投信取引】-【一括購入】画面で、注文全体の購入条件を入力します。」、「2.各投資信託の購入金額を計算するボタンをクリックします。」との記載があり、表中の「▲1▼目標比率に近づくように銘柄毎の金額を計算」のボタンに対応して、「現在の保有残高と目標ポートフォリオを比較して、目標に近づくように各投資信託の購入金額を配分」との記載がある。(1~2頁。「▲1▼」は丸数字の1を表す。) イ 甲第3の2号証(「よくあるご質問(Q&A) > 投資信託 > ロボアドバイザー > ロボアドバイザーとは何ですか。」、https://web.archive.org/web/20220815152336/https://support.matsui.co.jp/faq/show/11350?site_domain=faq)は、インターネット上で公開されたページをウェイバックマシンで検索したものであり、「目標ポートフォリオは、お客様任意で投資信託や比率を自由に変更することが可能です。」との記載がある。(2頁) ウ 甲第3の3の1号証(「投資信託口座取引規程」、https://web.archive.org/web/20230811144308/https://www.matsui.co.jp/service/regulation/details/pdf/fund/fund-kitei.pdf)は、インターネット上で公開されたページをウェイバックマシンで検索したものであり、同じくインターネット上で公開されたページをウェイバックマシンで検索したものである甲第3の3の2号証((「各口座取引規程 | 取引規程・ルール | 松井証券」、https://web.archive.org/web/20230405143142/https://www.matsui.co.jp/service/regulation/details/#cont08)のWEBページ画面の「投資信託口座取引規定」との記載(4頁)にリンクされたPDF文書である。 甲第3の3の1号証には、以下の事項が記載されている。 「 [図:0001437400000008.jpg] 」(投資信託口座取引規程) 「 [図:0001437400000009.jpg] 」(投資信託口座取引規程) 「 [図:0001437400000010.jpg] 」(別紙1 リバランス注文について(第9条の一定の計算式)) 「 [図:0001437400000011.jpg] 」(別紙1 リバランス注文について(第9条の一定の計算式)) 「 [図:0001437400000012.jpg] 」(別紙1 リバランス注文について(第9条の一定の計算式)) エ 甲第3の4号証(「よくあるご質問(Q&A)>投資信託>ロボアドバイザー>目標ポートフォリオの変更方法を教えてください。」、https://web.archive.org/web/20211128082603/https://support.matsui.co.jp/faq/show/17635?site_domain=faq)は、インターネット上で公開されたページをウェイバックマシンで検索したものであり、「質問 目標ポートフォリオの変更方法を教えてください。」(2頁)への回答として、 「 [図:0001437400000013.jpg] 」 「 [図:0001437400000014.jpg] 」 「 [図:0001437400000015.jpg] 」 が記載されている。 (3)甲第4号証 甲第4号証(「『松井証券』で投資信託の完全ガイド!画像70枚で徹底解説!」、https://web.archive.org/web/20220926193715/https://nukunukusas.com/matsui-perfect-guide)は、インターネット上で公開されたページをウェイバックマシンで検索したものであり、甲第4号証の27頁以下の「松井証券で投資信託の「買い方」7 ステップ」には、「「アドバイザー」タブから、目標ポートフォリオを設定します。」(28頁)、「目標ポートフォリオでは、どんな投資信託をどの割合で購入するのかを設定できます。」(29頁)との記載がある。 また、甲第4号証の38頁以下の「松井証券で投資信託の「売り方」3ステップ」の項には、「松井証券で、目標ポートフォリオを維持したまま、均等に売りたい場合は、残高照会画面から、「保有ポートフォリオを均等に解約する」ボタンをクリックします。」(41頁)との記載がある。 (4)甲第5号証 甲第5号証(特許第6675966号公報)には、には以下の記載がある。 「投資信託管理システム10は、投資家からの指示に基づいて、投資信託の発注等を行うシステムである。投資信託管理システム10は、投資信託の販売会社(例えば、証券会社)が運用を行う。」(段落【0010】) 「演算装置50は、メモリ51や記憶装置52に格納されたプログラムを実行することにより、投資信託管理システム10における様々機能を実現する。」(段落【0014】) 「受付部100は、投資家や運用会社から、投資家の情報、定期定額取引に関する情報等の各種情報を受け付ける。具体的には、受付部100は、・・・「目標PF情報」・・・を受け付ける。」(段落【0021】) 「「目標PF情報」は、投資目的、許容できるリスク等に基づいて、投資家のそれぞれが各自定める各銘柄の比率に関する情報である。」(段落【0024】) 「なお、・・・「目標PF情報・・・は、記憶装置52に格納される」(段落【0026】) 「選択部113は、投資家が「定期定額解約」を指示している場合、保有PFの比率より、目標PFの比率が低くなっている銘柄を選択する」(段落【0032】) 「第2計算部114は、投資家の保有PF及び目標PFの差が小さくなるよう、つまり、保有PFが目標PFとなるよう、選択部113で選択された銘柄の取引金額(購入若しくは解約金額)を計算する。例えば、第2計算部114は、保有PFに含まれる各銘柄と、目標PFに含まれる各銘柄との差の二乗和を、「目的関数f」(=(目標PFの銘柄A-保有PFの銘柄A)2+(目標PFの銘柄B-保有PFの銘柄B)2+(目標PFの銘柄C-保有PFの銘柄C)2)とする。そして、第2計算部114は、選択された銘柄の合計の取引金額が「注文情報」で指定された金額(「申込総額」)となり、かつ、「目的関数f」が最小となるように、選択された銘柄の取引金額(購入額、若しくは解約額)を計算する。・・・保有PFと目標PFとの差を示す「目的関数f」を、保有PFに含まれる各銘柄と、目標PFに含まれる各銘柄との差の絶対値の和としても良い。」(段落【0033】) 4 本件発明1についての当審の判断 (1)引用発明1との対比・判断 ア 対比 本件発明1と引用発明1とを対比する。 (ア)「コンピュータに、」「実行させるためのプログラム」について 引用発明1の「コンピュータに、ロボアドバイザーを搭載した投信工房のサービスを提供するように機能させるプログラム」は、ポートフォリオに関するサービスを提供するためのプログラムである点で、後述する相違点を除けば、本件発明1の「コンピュータに、」「実行させるためのプログラム」に相当する。 (イ)「目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順」について A 引用発明1において、投信工房のサービスでは、お客様が運用目標として定めるポートフォリオを「目標ポートフォリオ」と呼び、「目標ポートフォリオ」の設定は、お客様自身で「投資信託や比率」を自由に設定することができる。そして、「ポートフォリオ」とはどれくらいの配分で金融商品の具体的な銘柄へ投資するかという組み合わせを指すことから、引用発明1の「投資信託や比率」は、本件発明1の「銘柄及び当該銘柄の構成比」に相当する。 B そうすると、引用発明1における、お客様自身による「目標ポートフォリオ」を設定する手順は、本件発明1の「目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順」に相当する。 (ウ)「前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順」について A 引用発明1において、「目標ポートフォリオ」は設定されるものであるから、お客様が定めた「目標ポートフォリオ」を保存させるのは明らかである。 B そうすると、引用発明1における、お客様が定めた「目標ポートフォリオ」を保存する手順は、本件発明1の「前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順」に相当する。 (エ)「前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順」について A 引用発明1において、投信工房のサービスは、(お客様が)入金を行って資産運用を開始し、「リバランス積立」として、保有ポートフォリオの比率を目標ポートフォリオの比率に近づけるために必要な投資信託等の購入金額を、ロボアドバイザーが自動計算して積立投資を実行する。 ここで、引用発明1における「必要な投資信託等の購入金額」は、本件発明1の「前記銘柄毎の」「金額」に相当する。 B そうすると、引用発明1における「リバランス積立」を含む「運用開始」の手順は、本件発明1の「前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の」「金額を決定する手順」に相当する。 なお、銘柄毎の「売買数量」と「金額」とは、選択的事項であるから、どちらか一方が一致点になると、他方は相違点とならないことは明らかである。 (オ)「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」について 引用発明1は、「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」を実行するものでない点で、本件発明1と相違する。 イ 一致点及び相違点 上記アで対比した事項を踏まえると、本件発明1と引用発明は、 「コンピュータに、 目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順、 前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順、 前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の金額を決定する手順、 を実行させるためのプログラム。」 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1A) 本件発明1は、プログラムが、コンピュータに実行させる手順として、「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」を備えているのに対し、引用発明1は、これらの「他のユーザのポートフォリオ」に関する手順を実行しない点。 ウ 新規性の判断 上記イのとおり、本件発明1と引用発明1との間には相違点1Aがあり、実質的な相違点である。 したがって、本件発明1の発明特定事項と引用発明1の発明特定事項との間に差異があることから、本件発明1は引用発明1ではない。 エ 進歩性の判断 上記相違点について判断する。 (ア)相違点1Aに関する検討 引用文献2(甲第1号証)及び上記3で示したいずれの甲号証(以下、これらをまとめて、「その他の甲号証群A」という。)にも、「他のユーザのポートフォリオ」に関する記載も示唆もない。してみると、引用発明1にその他の甲号証群Aに記載された技術的事項を適用したとしても、引用発明1のプログラムが、上記相違点1Aに係る構成である「他のユーザのポートフォリオ」に関する各手順をコンピュータに実行させるものにはならない。 (イ)効果について 本件発明1は、上記相違点1Aの構成によって、本件特許の明細書の段落【0067】に記載された「ポートフォリオ比較画面G53に示すように、当該他のユーザのポートフォリオと同じ銘柄、同じ構成比率でユーザ自身のポートフォリオが作成されて表示される。ユーザ自身のポートフォリオが作成された後も、ユーザは自分で構成比を調整するか、及び/または銘柄を追加もしくは削除することができる」という、顕著な作用効果を奏するものである。 オ 小括 したがって、本件発明1は、引用発明1ではないことから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではなく、引用発明1及びその他の甲号証群Aに記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 (2)引用発明2との対比・判断 本件発明1と引用発明2とを対比する。 ア 対比 (ア)「コンピュータに、」「実行させるためのプログラム」について 引用発明2の「売買サーバ10」は、リバランス処理を実行する点で、本件発明1の「コンピュータ」に相当する。 そして、引用発明2における、売買サーバ10に、有価証券の売買システム1において有価証券売買サービスを提供するために行われるリバランス処理を実行させるコンピュータプログラムは、後述する相違点を除けば、本件発明1の「コンピュータに、」「実行させるためのプログラム」に相当する。 (イ)「目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順」について 引用発明2は、「目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順」を実行しているか定かではない点で、本件発明1と相違する。 (ウ)「前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順」について A 引用発明2の「ユーザ」は、本件発明1の「ユーザ」に相当する。 B 引用発明2において、適正状態のポートフォリオには、銘柄及び当該銘柄の構成比が示される。 ここで、引用発明2における適正状態の「ポートフォリオ」は、本件発明1の「目標ポートフォリオ」に相当し、引用発明2の「銘柄」及び「現在の比率(当該銘柄の構成比)」は、本件発明1の「銘柄及び当該銘柄の構成比の情報」に相当する。 C そうすると、引用発明2の売買サーバ10が、記憶部110に、適正状態のポートフォリオについての、銘柄、保有数量、時価単価、評価額(時価総額)、現在の比率(当該銘柄の構成比)、目標配分額及び目標からの乖離額等を含む様々な情報を記憶することは、本件発明1の「前記入力された銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、前記ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順」と、「銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、ユーザの目標ポートフォリオとして保存させる手順」という点で共通する。 D 他方、本件発明1が、保存される「銘柄及び当該銘柄の構成比の情報」が、ユーザにより「入力された」ものであるのに対して、引用発明2は、記憶部110に記憶される「銘柄」及び「現在の比率(当該銘柄の構成比)」が、ユーザにより入力されたものではない点において、相違する(実質的に、上記(イ)と同じ相違点である。)。 (エ)「前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順」について A 引用発明2において、売買サーバ10は、リバランス処理に関して、各ユーザについて、購入対象銘柄及び/又は売却対象銘柄を決定するとともに、購入対象銘柄又は売却対象銘柄を何数量購入又は売却するのかを決定するために、当該ユーザの銘柄全体の時価総額(TA)、及び、銘柄全体の時価総額(TA)に対する各銘柄の時価総額の比率(CRi)を計算し、さらにその比率(CRi)と目標配分比率との乖離(Di)を計算し、各銘柄の売買額IAi及び売買数量IQiを計算する。 ここで、「乖離(Di)」は、記憶部110に記憶された適正状態のポートフォリオについての銘柄、当該銘柄の構成比等に基づいて計算されることは明らかである。 B そうすると、引用発明2において、各銘柄の売買額IAi及び売買数量IQiを計算することは、本件発明1の「前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順」に相当する。 (オ)「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」について 引用発明2は、「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」を実行するものでない点で、本件発明1と相違する。 イ 一致点・相違点 上記アで対比した事項を踏まえると、本件発明1と引用発明は、 「コンピュータに、 銘柄及び当該銘柄の構成比の情報を、ユーザの目標ポートフォリオとして利用させる手順、 前記保存された目標ポートフォリオ情報をもとに、前記銘柄毎の売買数量または金額を決定する手順、 を実行させるためのプログラム。」 という点で一致し、以下の点で相違している。 (相違点1B-1) 本件発明1が、「目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける手順」を実行するのに対して、引用発明2は、そのような手順を実行しているか定かではない点。 (相違点1B-2) 本件発明1は、プログラムが、コンピュータに実行させる手順として、「他のユーザを選択するユーザの操作を受け付けた場合、当該他のユーザのポートフォリオを他のコンピュータシステムへ要求する手順」、「前記要求する手順に応じて前記他のコンピュータシステムから他のユーザのポートフォリオに関する情報を受信する手順」、「前記受信した他のユーザのポートフォリオに関する情報を用いて、前記ユーザの目標ポートフォリオと当該他のユーザのポートフォリオを比較可能に提示するための情報を出力する手順」を備えているのに対し、引用発明2は、これらの「他のユーザのポートフォリオ」に関する手順を実行しない点。 ウ 判断 上記相違点1B-1、1B-2について判断する。 (ア)相違点1B-1に関する検討 上記「第4」の2(1)ウのとおり、引用発明1は、「投信工房では、お客様が運用目標として定めるポートフォリオを目標ポートフォリオと呼び、目標ポートフォリオの設定は、お客様自身で投資信託や比率を自由に設定することもでき」るものであり、上記(1)ア(イ)のとおり、引用発明1の「投資信託や比率」は、請求項1発明本件発明1の「銘柄及び当該銘柄の構成比」に相当するものであり、引用発明1の「投資信託や比率」を自由に設定することは、本件発明1の「目標ポートフォリオを作成するために複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比」をユーザが「指定」することに相当する。 そして、引用発明2は、「ユーザが金融機関に開設した口座において保有する複数の銘柄によってポートフォリオが構築され」るものであって、売買サーバ10の「入力部120は、いずれかの銘柄を購入すべく新たに投資される投資額を、通信網20を介して各ユーザの端末装置30から入力することができる」ものであるから、引用発明2は、ポートフォリオを構築するために、ユーザが自由に銘柄と投資する金額を指定できることが示唆されているといえる。 そして、引用発明2と引用発明1とは、ポートフォリオのリバランスの点で機能を共通にすることから、引用発明2において、適正状態のポートフォリオを構築するために、引用発明1の上記事項を適用することで、複数の銘柄から任意の銘柄及び当該銘柄の構成比を指定した入力をユーザから受け付ける構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものである。 (イ)相違点1B-2に関する検討 引用文献1(甲第2の1号証)及び上記3で示したいずれの甲号証(以下、これらをまとめて、「その他の甲号証群B」という。)にも、「他のユーザのポートフォリオ」に関する記載も示唆もない。してみると、引用発明2にその他甲号証群Bに記載された技術的事項を適用したとしても、引用発明2のコンピュータプログラムが、上記相違点1B-2に係る構成である「他のユーザのポートフォリオ」に関する各手順を売買サーバに実行させるものにはならない。 (ウ)効果について 本件発明1は、上記相違点1B-2の構成によって、本件特許の明細書の段落【0067】に記載された「ポートフォリオ比較画面G53に示すように、当該他のユーザのポートフォリオと同じ銘柄、同じ構成比率でユーザ自身のポートフォリオが作成されて表示される。ユーザ自身のポートフォリオが作成された後も、ユーザは自分で構成比を調整するか、及び/または銘柄を追加もしくは削除することができる」という、顕著な作用効果を奏するものである。 エ 小括 したがって、本件発明1は、引用発明2及びその他の甲号証群Bに記載された技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 5 本件発明9についての当審の判断 本件発明9は、本件発明1の「プログラム」に係る発明を、「情報処理装置」として表現したものであり、引用文献1に記載された発明に対しては上記4(1)で検討した相違点1Aに係る構成と同じ構成を、引用文献2に記載された発明に対しては上記4(2)で検討した相違点1B-2に係る構成と同じ構成を有する。 したがって、本件発明9は、本件発明1と同様の理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明及びその他の甲号証群Aに記載された技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、引用文献2に記載された発明及びその他の甲号証群Bに記載された技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、請求項9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではなく、また、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものでもない 6 本件発明10についての当審の判断 本件発明10は、本件発明1の「プログラム」に係る発明を、「情報処理方法」として表現したものであり、引用文献1に記載された発明に対しては上記4(1)で検討した相違点1Aに係る構成と同じ構成を、引用文献2に記載された発明に対しては上記4(2)で検討した相違点1B-2に係る構成と同じ構成を有する。 したがって、本件発明10は、本件発明1と同様の理由により、引用文献1に記載された発明ではなく、また、引用文献1に記載された発明及びその他の甲号証群Aに記載された技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものではなく、また、引用文献2に記載された発明及びその他の甲号証群Bに記載された技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 よって、請求項10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものではなく、また、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない 第5 むすび 以上のとおりであるから、本件訂正請求は認められるものであり、また、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項1、9、10に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、9、10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700861

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