特許訂正審判
2025-390169
舗装用アスファルト混合物の配合設計方法、舗装用アスファルト混合物の製造方法及び舗装用アスファルト混合物
- 審判番号
- 2025-390169
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2022-553710
- 登録番号
- 7730829
- 請求日
- 2025年11月19日
- 審決日
- 2026年01月06日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】出光興産株式会社
- 【請求人代理人】安彦 元
- 【請求人代理人】内田 雄久
- 審判長/審判官
- 審判長 ▲吉▼澤 英一
- 審判官 松本 直子
- 審判官 越本 秀幸
- 分類
- P141 .852-Y (C08L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7730829号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7730829号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4-5〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 主な手続の経緯
特許第7730829号(以下「本件特許」という。)に係る出願(特願2022-553710号)は、令和3年9月3日(優先権主張 令和2年9月30日)を国際出願日とするものであって、令和7年8月20日に特許権の設定登録(請求項の数5)がされ、その後、令和7年11月19日に本件訂正審判が請求されたものである。
第2 請求の趣旨及び理由
1 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7730829号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項4~5について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
2 請求の理由(訂正の内容)
本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
・訂正事項1
特許請求の範囲の請求項4に「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1>0(質量%)、r1≧0(質量%)」とあるのを、「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1>0(質量%)、r2≧0(質量%)」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5も同様に訂正する)。
なお、本件訂正前の請求項4~5について、請求項5は、請求項4の記載を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されるものであるから、本件訂正前の請求項4~5に対応する本件訂正後の請求項4~5は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
第3 当審の判断
1 訂正の目的(誤記の訂正)について
「誤記の訂正」とは、誤記が存在し、本来その意であることが、特許請求の範囲、明細書又は図面などから明らかな内容の字句又は語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいうと解される。
そこで、訂正事項1が誤記の訂正を目的とするものであるか検討する。
本件訂正前の請求項4には、「アスファルト組成物を含み、
合成炭酸カルシウム粉末からなる第1フィラーのBET比表面積B1(m2/g)とし、上記合成炭酸カルシウム粉末とは生成過程の異なる炭酸カルシウム粉末からなる第2フィラーのBET比表面積B2(m2/g)とし、上記第1フィラーの質量と上記第2フィラーの質量との和に対する上記第1フィラーの質量の比率r1(質量%)とし、上記第1フィラーの質量と上記第2フィラーの質量との和に対する上記第2フィラーの質量の比率r2(質量%)としたとき、
上記アスファルト組成物に混合される上記第1フィラーの比率r1(質量%)と、上記第2フィラーの比率r2(質量%)とに基づいて、以下数式(1)により算出される換算比表面積B0(m2/g)が5.00(m2/g)以下を満たすこと
を特徴とする舗装用アスファルト混合物。
【数8】
[図:0001434072000001.jpg]
」
と記載されており、その「数式(1)」には、r1及びr2が存在するのに対し、ただし書きには、「r1>0(質量%)、r1≧0(質量%)」と記載されており、「r1」の記載が重複する一方で、「r2」については特定されていないから、誤記が存在することは明らかである。
次に、本件訂正前の請求項4の「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1>0(質量%)、r1≧0(質量%)」の記載によれば、「r1+r2=100(質量%)」かつ「r1>0」であることが読み取れ、r2は、個別の特定はされていないものの、「100-r1(質量%)」であることが読み取れ、かつ、r2は、第2フィラーの質量の比率(質量%)を意味するから、下限が0(質量%)であることは自明である。
そうすると、本件訂正前の請求項4は、本来、「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1>0(質量%)、r2≧0(質量%)」と記載すべきところを、「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1>0(質量%)、r1≧0(質量%)」と誤記したものと解される。
仮に、「r1>0(質量%)、r1≧0(質量%)」のうち、「r1>0(質量%)」の方が、「r2>0(質量%)」の誤記であるとした場合には、本件訂正前後で数式(1)の意味内容が変化することが明らかであり、そのような誤記があると解釈することは相当ではない。
また、願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面における請求項1及び3並びに【0009】、【0016】及び【0025】の数式(1)には、いずれも「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1≧0(質量%)、r2≧0(質量%)」と記載されているところ、本件訂正後の請求項4の「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1>0(質量%)、r2≧0(質量%)」におけるr1及びr2が定義される順番は、願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面における数式(1)の記載とも符合する。
そうすると、訂正事項1に係る訂正は、本来その意であることが、特許請求の範囲、明細書又は図面から明らかな内容の字句、語句に正すものであり、かつ、本件訂正前の請求項4の記載が当然に本件訂正後の請求項4の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められる。
請求項4を引用する請求項5についても同様である。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記の訂正」を目的とするものである。
2 新規事項の追加の有無について
願書に最初に添付した明細書の【0009】、【0016】、【0025】には、数式(1)のr1及びr2について、「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1≧0(質量%)、r2≧0(質量%)」と記載されていたところ、訂正事項1に係る訂正後の「ただし、r1+r2=100(質量%)、r1>0(質量%)、r2≧0(質量%)」という記載事項は、「r1+r2=100」の範囲内で、「r1≧0(質量%)、r2≧0(質量%)」が「r1>0(質量%)、r2≧0(質量%)」に特定されたもの、すなわち、請求項4に係る発明では、第1フィラー(質量の比率r1)と第2フィラー(質量の比率r2)のうち、少なくとも第1フィラーは舗装用アスファルト混合物に含まれることが特定されたものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。
3 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
上記1で述べたとおり、訂正事項1に係る訂正は、本来その意であることが、明らかな内容の字句又は語句に正すものである。
そうすると、本件訂正の前後において特許請求の範囲に実質的な変更はないから、訂正事項1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
4 独立特許要件について
上記1~3で述べたとおり、訂正事項1に係る訂正は、「誤記の訂正」を目的とするものであり、本件訂正の前後において特許請求の範囲に実質的な変更はないから、訂正後の請求項4及び5に係る発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないとする新たな理由は見いだせない。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項に規定する要件に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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