特許訂正審判
2025-390055
遊技機
- 審判番号
- 2025-390055
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-108427
- 登録番号
- 7191338
- 請求日
- 2025年04月23日
- 審決日
- 2025年07月16日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 大一商会
- 審判長/審判官
- 審判長 渋谷 知子
- 審判官 島田 保
- 審判官 ▲高▼橋 祐介
- 分類
- P141 .853-Y (A63F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7191338号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7191338号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7191338号(以下「本件特許」という。)は、令和2年6月24日に特許出願(特願2020-108427号)がなされ、令和4年12月9日に特許権の設定登録がなされ、その後、令和7年4月23日に本件訂正審判の請求がなされた。
第2 審判請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、本件審判請求書の請求の趣旨に記載されるとおり、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~2について訂正することを認める、との審決を求める、というものである。
第3 訂正の内容
本件訂正審判の請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は次のとおりである(下線は当審で付した。以下同様。)。
1 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「前記演出基板は、前記演出基板の後方に前記演出基板を格納する装飾ベ
ースを備え、
前記装飾ベースは、前方に延出する側壁部を有し、
前記演出基板は、前記装飾ベースの前記側壁部に囲まれることで前記演
出基板の切断端縁が遊技者側から視認し難くなる位置に形成される」
とあるのを、
「前記演出基板の後方には、当該演出基板を格納する装飾ベースが設けら
れ、
前記装飾ベースは、前方に延出する側壁部を有し、
前記演出基板は、前記装飾ベースの前記側壁部に囲まれることで前記演
出基板の切断端縁が遊技者側から視認し難くなる位置に配置される」
に訂正する。
2 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に
「前記演出基板は、前記演出基板の後方に前記演出基板を格納する装飾ベ
ースを備え、
前記装飾ベースは、前方に延出する側壁部を有し、
前記演出基板は、前記装飾ベースの前記側壁部に囲まれることで前記演
出基板の切断端縁が遊技者側から視認し難くなる位置に形成される」
とあるのを、
「前記演出基板の後方には、当該演出基板を格納する装飾ベースが設けら
れ、
前記装飾ベースは、前方に延出する側壁部を有し、
前記演出基板は、前記装飾ベースの前記側壁部に囲まれることで前記演
出基板の切断端縁が遊技者側から視認し難くなる位置に配置される」
に訂正する。
第4 訂正の適否についての判断
1 特許法第126条第1項ただし書に規定する要件(訂正の目的)
(1) 訂正事項1について
ア 訂正前の特許請求の範囲の請求項1には、「前記演出基板は、前記演
出基板の後方に前記演出基板を格納する装飾ベースを備え」と記載されて
おり、「演出基板を」「装飾ベース」が「格納する」こと、及び、「演出
基板」は「装飾ベースを備え」ること、が特定されていた。
このため、前者の特定からは「演出基板」と「装飾ベース」とが互いに
独立した構成であると解釈できる一方で、後者の特定からは「演出基板」
と「装飾ベース」とが一体的な構成であるとも解釈しうるものであった。
また、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前記演出基板は、前記装
飾ベースの前記側壁部に囲まれることで前記演出基板の切断端縁が遊技者
側から視認し難くなる位置に形成される」という記載は、「演出基板」の
「装飾ベース」に対する位置を「前記装飾ベースの前記側壁部に囲まれる
ことで前記演出基板の切断端縁が遊技者側から視認し難くなる位置」と特
定しているものの、「前記演出基板は」「形成される」という特定から
「演出基板」は「装飾ベース」と一体的に「形成される」と解釈しうるも
のであった。
そのため、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、「演出基板」
と「装飾ベース」とが互いにどのような関係にあるのか、不明瞭であっ
た。
イ 「演出基板」及び「装飾ベース」について、本件特許の願書に添付し
た特許請求の範囲、明細書又は図面(以下、「本件特許明細書等」とい
う。)には、次のとおり記載されている。
「【1627】
[8-3c.第五実施形態の装飾体]
第五実施形態の装飾体3505は、図171(c)に示すように、所定形状に形成されており透光性を有する装飾部3510と、装飾部3510の後に設けられており複数のLED3530が実装されている演出基板3520Aと、演出基板3520Aの後に設けられている透明な装飾ベース3540と、を備えている。この装飾体3505は、上記の第一実施形態の装飾体3501の構成に対して、凹部3557の底部3557aに特定痕跡部3561が設けられている演出基板3520Aを用いたものであり、演出基板3520Aを除いて同じ構成である。」
「【1633】
装飾ベース3540は、演出基板3520Aの後に位置している平板状の本体部3541と、本体部3541の外周縁から前方へ壁状に延出している周壁部3542と、本体部3541を貫通しており内部に演出基板3520Aの後面に実装されている第二LED3532が挿入される開口部3543と、本体部3541の周縁に設けられており周縁外方へ向かうに従って前方へ位置するように斜めに形成されている面取部3544と、周壁部3542の前端面に設けられている複数の凹凸からなるレンズ部3545と、を有している。」
「【1635】
この装飾体3505は、組立てた状態で、演出基板3520Aの外周縁が、装飾部3510における後端面3512の後方に位置している。これにより、正面視において、演出基板3520Aの外周縁が、装飾部3510の後端面3512(図171(c)の拡大図において網掛けの部位)と重なっている。また、装飾体3505は、演出基板3520Aの外周縁付近の前後が、装飾部3510の後端面3512と装飾ベース3540の本体部3541とに囲まれていると共に、演出基板3520Aの外周側面の外側が装飾ベース3540の周壁部3542によって囲まれている。
【1636】
このように、本実施形態の装飾体3505によれば、曲面状に形成されている装飾部3510における側壁部3511の後端面3512の後方に、演出基板3520Aの外周縁を設けているため、曲面状の側壁部3511のレンズ効果により、後方を歪ませて見せることができ、演出基板3520の外周縁(凹部3557や特定痕跡部3561)を前方から明瞭には見え辛くすることができる。また、演出基板3520の外周側面を装飾ベース3540の周壁部3542により囲んでいると共に、周壁部3542の前端に複数の凹凸からなるレンズ部3545を設けているため、側方からも演出基板3520Aの外周縁(凹部3557や特定痕跡部3561)を視認し難くすることができる。」
図171(c)
「
[図:0001427896000001.jpg]
」
ウ 上記イに摘記した記載によれば、
「装飾体3505は」「演出基板3520Aと、演出基板3520Aの
後に設けられている透明な装飾ベース3540と、を備えて」おり(【1
627】)、「装飾ベース3540は、演出基板3520Aの後に位置し
ている平板状の本体部3541と、本体部3541の外周縁から前方へ壁
状に延出している周壁部3542と」「を有し」ている(【1633】)
。
よって、「演出基板3520A」と「装飾ベース3540」は、「装飾
体3505」が備える互いに独立した構成要素であり、「装飾ベース35
40」は「演出基板3520A」の後に位置するものである。
また、図171(c)からは、「演出基板3520A」が「装飾ベース
3540」に格納されることが見て取れ、「演出基板3520Aの外周側
面の外側が装飾ベース3540の周壁部3542によって囲まれ」ること
で(【1635】)、「側方からも演出基板3520Aの外周縁(凹部3
557や特定痕跡部3561)を視認し難くすることができる」(【16
36】)ものである。
エ そうすると、訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1では
「演出基板」と「装飾ベース」とが互いにどのような関係にあるのかが不
明瞭であったところ、上記ウで述べた本件特許明細書等に記載した事項に
合わせて「前記演出基板の後方には、当該演出基板を格納する装飾ベース
が設けられ」ると訂正することで、「演出基板」と「装飾ベース」とが互
いに独立した構成であることを明瞭にするものであり、さらに「前記演出
基板は、・・・位置に配置される」と訂正することにより、「演出基板」
と「装飾ベース」とが互いに独立した構成であって、「演出基板」が「装
飾ベース」に対して特定された「位置に配置される」ものであることを明
瞭にするものである。
オ したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただ
し書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当す
る。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)において検討した訂正事項1に係
る訂正と同様の訂正であるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法第12
6条第1項ただし書第3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とする
ものに該当する。
2 特許法第126条第5項に規定する要件(新規事項の有無)
(1) 訂正事項1について
上記1(1)で検討したとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許請求の
範囲の記載を、本件特許明細書等の【1627】、【1633】、【16
35】、【1636】、図171(c)の記載に基づいて、「演出基板」
と「装飾ベース」とが互いにどのような関係にあるのかを明瞭にするもの
であり、本件特許明細書等により導かれる技術的事項との関係において新
たな技術的事項を導入するものでなく、本件特許明細書等に記載した事項
の範囲内においてしたものである。
したがって、本件訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第5項の
規定に適合する。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)において検討した訂正事項1に係
る訂正と同様の訂正であるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法第12
6条第5項の規定に適合する。
3 特許法第126条第6項に規定する要件(特許請求の範囲の拡張又は
変更の有無)
(1) 訂正事項1について
訂正事項1に係る訂正は、上記1(1)で検討したとおり、訂正前の特
許請求の範囲の請求項1の「前記演出基板は、前記演出基板の後方に前記
演出基板を格納する装飾ベースを備え」という記載を「前記演出基板の後
方には、当該演出基板を格納する装飾ベースが設けられ」と訂正すること
で、「演出基板」と「装飾ベース」とが互いに独立した構成であることを
明瞭にするものであり、さらに訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「前
記演出基板は、前記装飾ベースの前記側壁部に囲まれることで前記演出基
板の切断端縁が遊技者側から視認し難くなる位置に形成される」という、
もともと「演出基板」の「装飾ベース」に対する位置が「前記装飾ベース
の前記側壁部に囲まれることで前記演出基板の切断端縁が遊技者側から視
認し難くなる位置」であることを特定していた記載を、「前記演出基板
は、前記装飾ベースの前記側壁部に囲まれることで前記演出基板の切断端
縁が遊技者側から視認し難くなる位置に配置される」と訂正することで、
「演出基板」と「装飾ベース」とが互いに独立した構成であることを明瞭
にするとともに、互いの位置関係も明瞭にするものであるから、訂正事項
1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには
該当しない。
よって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第6項の規定に適
合する。
(2) 訂正事項2について
訂正事項2に係る訂正は、上記(1)において検討した訂正事項1に係
る訂正と同様の訂正であるから、訂正事項2に係る訂正は、特許法第12
6条第6項の規定に適合する。
4 独立特許要件について
訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、上記1のとおり、特許法第1
26条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とするものであるから、
同条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
第5 まとめ
以上のとおり、本件訂正審判の請求に係る訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項~第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件訂正審判の請求に係る訂正は適法にされたものであるから、特許請求の範囲を、本件訂正審判の請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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