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特許訂正審判

2025-390066

血漿カリクレイン阻害剤および眼障害におけるその使用方法

審判番号
2025-390066
法域
特許
審判種別
訂正審判(訂正の審決)
出願番号
特願2021-559442
登録番号
7668227
請求日
2025年05月14日
審決日
2025年06月23日
公報発行日
2025年09月26日
結論
訂正認容
当事者
  • 【請求人】バイオクライスト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 吉田 佳代子
  • 審判官 福山 則明
  • 審判官 冨永 みどり
分類
P141 .853-Y (A61K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第126条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7668227号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。

結論

結 論 特許第7668227号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7668227号(以下「本件特許」という。)についての出願(特願2021-559442号)は、2020年(令和2年)4月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理:2019年4月8日 米国(US))を国際出願日とする出願であって、令和7年4月16日に特許権の設定登録(請求項の数25)がなされ、その後、令和7年5月14日に本件訂正審判の請求がなされたものである。 第2 請求の趣旨及び訂正の内容 1 請求の趣旨 本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7668227号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める、というものである。 2 訂正の内容 本件訂正審判の請求に係る訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(下線部は請求された訂正箇所を示す)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の「XはCであり、」を、「XはCHであり、」に訂正する。 (これに伴い、請求項1を直接的又は間接的に引用する請求項2~25についても、同様の訂正がなされることになる。) 第3 当審の判断 1 訂正の目的について 特許法126条1項ただし書3号にいう「明瞭でない記載の釈明」とは、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面中のそれ自体意味の不明瞭な記載、又は、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載等、明細書、特許請求の範囲又は図面に生じている記載上の不備を訂正し、その本来の意を明らかにすることをいう。 そして、明瞭でない記載の釈明が認められるためには、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面に明瞭でない記載が存在することが必要である。 以下、これを本件について検討する。 (1)訂正前の記載について ア 設定登録時の特許請求の範囲中のそれ自体意味の不明瞭な記載があるか否かについて 訂正前の請求項1には、以下の化合物が記載されている。 「 [図:0001426783000001.jpg] (式中、Rは-CH=CH2であり、Vは-C(O)OHであり、YはNであり、R10は-(CH2)-シクロプロピルであり、R11は=Oであり、XはCであり、R1は-OCH3である)を有する式Iの化合物」 そして、訂正前の請求項1には、上記式Iの化学構造(以下「本件化学構造」という。)において、「XはCであり、」と記載されている。 ここで、「C」は炭素を意味し、その価数は4価であることは技術常識であるところ、本件化学構造のXにおける「C」、すなわち炭素には、単結合と二重結合が形成されているが、あと1価足りない記載となっており、それ自体意味の不明瞭な記載となっている。 イ 設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)中の他の記載との関係で不合理を生じているために不明瞭となっている記載があるか否かについて (ア)明細書等の記載 明細書等には以下の記載がある。(下線は、当審合議体が付与し、「・・・」は記載の省略を示す。) 「【0079】 一実施形態では、本開示の化合物は、一般式Iの化合物、またはその薬学的に許容される形態であり、 【化4】 [図:0001426783000002.jpg] 式中、 XはCHまたはNであり、 YはCHまたはNであり、 Aは、-H、-R、-NO2、-CN、-ハロ、-N3、-C1-8アルキル、-(CH2)nCO2R2、-C2-8アルケニル-CO2R2、-O(CH2)nCO2R2、-C(O)NR2R3、-C(O)NH-(CH2)n-シクロアルキル、-C(O)NH-アルキル、-C(O)NR2-C1-C5アルキル、-C(O)NR2-(CH2)n-C3-C6-シクロアルキル、-P(O)(OR2)2、-(CH2)nO(CH2)nアリール、-NR2R3、-(CH2)nOR2、-(CH2)nSR2、-N(R2)C(O)R3、-S(O2)NR2R3、-N(R2)S(O2)R3、-(CHR2)nNR2R3、-C(O)R3、-(CH2)nN(R3)C(O)R3、-N(R2)CR2R3、または置換もしくは非置換(CH2)n-シクロアルキルであり、 Bは、H、-ハロ、-CN、-NH2、-(CH2)n-C(=NR4)NHR5、-C(=NH)NH2、-(CH2)n-NHR4、-(CH2)nNHC(=NR4)NR5、-(CH2)n-OR4、C1-8置換またはC1-8非置換アルキルであり、 Zは、直接結合、O、S、NR2、S(O)、S(O2)、あるいは1個もしくは2個のC1-4置換もしくは非置換メチレン鎖または置換もしくは非置換C1-4メチレン鎖を含む、N(O)であり、 Wは、直接結合、-CHR2-、-CH=CR2-、-CR2=CH-、-CR2=CR2-、-C=C-、-O-CHR2-、-CHR2-O-、-N(R2)-C(O)-、-C(O)-N(R2)-、-C(O)-NH-、-N(R2)-CH-(R3)-、-CH2-NH-、-CH2-N(R2)-、-CH(R1)-N(R2)-、-S-CHR2-、-CHR2-S-、-S(O2)-N(R2)-、-C(O)N(R2)-(CHR2)n-、-C(R1R2)n-NR2-、-N(R2)-S(O2)-、-R2C(O)NR2-、-R2NC(O)NR2-、-CONR2CO-、-C(=NR2)NR2-、-NR2C(=NR2)NR2-、-NR2O、-N=NCHR2-、または-C(O)NR2SO2-であり、 VはR1から選択され、 Rは、-CH=CH-R2、-C=C-R2、-C(R2)=CH2、-CH=CH2、-C(R2)=C(R3)、-CH=NR2、または-C(R2)=N-R3であり、 R1は、-H、-R、-NO2、-CN、-ハロ、-N3、-C1-8アルキル、-(CH2)nCO2R2、-C2-8アルケニル-CO2R2、-O(CH2)nCO2R2、-C(O)NR2R3、-P(O)(OR2)2、-(CH2)nO(CH2)nアリール、-NR2R3、-(CH2)nOR2、-O-C1-C4アルキル、-C1-4アルコキシ、-OCH3、-(CH2)nSR2、-N(R2)C(O)R3、-S(O2)NR2R3、-N(R2)S(O2)R3、-(CHR2)nNR2R3、-C(O)R3、-C(O)OH、-(CH2)nN(R3)C(O)R3、または-N(R2)CR2R3であり、 R2が、H、-ハロ、-アルキル、-ハロアルキル、-CO(CHR1)n-OR1、-(CHR1)n-NH-CO-R1、-(CHR1)n-NH-SO2R1、-(CHR1)n-C(O)(CHR1)-NHR1、-(CHR1)n-C(S)(CHR1)-NHR1、-(CH2)nO(CH2)nCH3、-CF3、-C2-5アシル、-(CHR1)nOH、-(CHR1)nCO2R1、-(CHR1)n-O-アルキル、-O(CHR1)n-O-(CH2)n-O-アルキル、-(CHR1)n-S-アルキル、-(CHR1)n-S(O)-アルキル、-(CHR1)n-S(O2)-アルキル、-(CHR1)n-S(O2)-NHR3、-(CHR3)n-N3、-(CHR3)nNHR4、1~5個の二重結合を有する2~8個の炭素原子のアルケン鎖、1~5個の三重結合を有する2~8個の炭素原子のアルキン鎖、または飽和であっても不飽和であってもよい置換もしくは非置換-(CHR3)n-シクロアルキルであり、 R3は、-H、-OH、-CN、置換アルキル、-C2-8アルケニル、-(CH2)n-シクロアルキル、置換もしくは非置換シクロアルキル、-N(R1)R2、または5~6員の飽和置換もしくは非置換複素環式環であり、 R4およびR5は、個々に、H、-(CH2)nOH、-C(O)OR6、-C(O)SR6、-(CH2)nC(O)NR7R8、または-O-C(O)-O-R7であり、 各R6は、H、R7、-C(R7)(R8)-(CH2)n- -O-C(O)-R9、-(CH2)n-C(R7)(R8)-O-C(O)R9、-(CH2)n-C(R7)(R8)-O-C(O)-O-R9、または-C(R7)(R8)-(CH2)n-O-C(O)-O-R9であり、 各R7、R8、およびR9は、個々に、H、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、またはCH2CO2アルキルであり、 nは0~4の整数である。 ・・・ 【0083】 一実施形態ではXはCHであり、YはNであり、Zは直接結合であり、Wは-C(O)N(R2)-であり、R1は水素またはメトキシであり、RはCH=CH2であり、VはC(O)R3あり、AはC(O)NR2-C1-C5アルキルまたは-C(O)NR2(CH2)n-C3-C6シクロアルキルである。前述したものの特定の実施形態では、R1はHである。前述したものの特定の実施形態では、R1はメトキシである。 【0084】 一実施形態では、XはCHであり、YはNであり、Zは直接結合であり、Wは-C(O)NH-であり、R1は水素またはメトキシであり、RはCH=CH2であり、VはC(O)OHであり、AはC(O)NH-イソブチルまたは-C(O)NH-CH2-シクロプロピルである。前述したものの特定の実施形態では、R1はHである。前述したものの特定の実施形態では、R1はメトキシである。」 「【0092】 一実施形態では、本開示の化合物は、一般式IBの化合物、またはその薬学的に許容される形態であり、 【化5】 [図:0001426783000003.jpg] 式中、 XはCHまたはNであり、 YはCHまたはNであり、 Rは、-CH=CH-R2、-C=C-R2、-C(R2)=CH2、-CH=CH2、-C(R2)=C(R3)、-CH=NR2、または-C(R2)=N-R3であり、 R1は、-H、-R、-NO2、-CN、-ハロ、-N3、-C1-8アルキル、-(CH2)nCO2R2、-C2-8アルケニル-CO2R2、-C2-4アルコキシ、-O(CH2)nCO2R2、-C(O)NR2R3、-NR2R3、-(CH2)nOR2、-C(O)OH、-O-C1-C3アルキル、-OCH3、N(R2)C(O)R3、または-(CHR2)nであり、 Vは独立してR1から選択され、 R10は、-R2R3、-(CH2)n-シクロアルキル、-アルキル、-R2-C1-C5アルキル、-R2-(CH2)n-C3-C6-シクロアルキル、-(CH2)-シクロプロピルまたは-イソブチルであり、 R11は水素または=Oであり、 n、R2、およびR3は、上で定義したとおりである。」 「【0094】 いくつかの実施形態では、本血漿カリクレイン阻害剤はアボラルスタットである。アボラルスタットは、ヒト血漿カリクレイン活性の強力で特異性の高い阻害剤である。「BCX4161」という用語は、本明細書ではアボラルスタットという用語と同義で使用される。アボラルスタットの化学構造および化学式を以下に提供する。表1に、アボラルスタットの一般的な特性を提供する。 【化6】 [図:0001426783000004.jpg] 」 (イ)訂正前の請求項1の記載と明細書等中の他の記載との関係について 上記したように、明細書等の【0079】、【0083】及び【0084】には、本件化学構造を包含する一般式I 「 [図:0001426783000005.jpg] 式中、 XはCHまたはNであり、 ・・・である。」が記載され、この一般式IにおけるXの特定として、「XはCH」である旨の記載が複数存在する。 また、明細書等の【0092】には、本件化学構造を包含する一般式IB 「 [図:0001426783000006.jpg] 式中、 XはCHまたはNであり、 YはCHまたはNであり、 Rは、-CH=CH-R2、-C=C-R2、-C(R2)=CH2、-CH=CH2、-C(R2)=C(R3)、-CH=NR2、または-C(R2)=N-R3であり、 R1は、-H、-R、-NO2、-CN、-ハロ、-N3、-C1-8アルキル、-(CH2)nCO2R2、-C2-8アルケニル-CO2R2、-C2-4アルコキシ、-O(CH2)nCO2R2、-C(O)NR2R3、-NR2R3、-(CH2)nOR2、-C(O)OH、-O-C1-C3アルキル、-OCH3、N(R2)C(O)R3、または-(CHR2)nであり、 Vは独立してR1から選択され、 R10は、-R2R3、-(CH2)n-シクロアルキル、-アルキル、-R2-C1-C5アルキル、-R2-(CH2)n-C3-C6-シクロアルキル、-(CH2)-シクロプロピルまたは-イソブチルであり、 R11は水素または=Oであり、 n、R2、およびR3は、上で定義したとおりである。」 が記載され、この化学構造におけるXの特定として、「XはCH」である旨が記載されている。 さらに、明細書等の【0094】には、本件化学構造と置換基X以外は全て同一の化学構造である、 「 [図:0001426783000007.jpg] 」 が記載されている。 ここで、化学構造式において、炭素に結合する水素の表記を省略することはよく行われることであり、炭素が4価であることを踏まえれば、この化学構造において、本件化学構造のXに対応する位置は、「CH」であるといえる。 これらのことからみて、訂正前の請求項1の「XはCであり」との記載は、明細書等の他の記載との関係で不合理を生じているために、不明瞭となっている記載である。 ウ 小括 上記ア及びイによれば、訂正前の請求項1には明瞭でない記載が存在する。 (2)訂正後の記載について 本件訂正は、訂正前の請求項1の本件化学構造における「XはCであり」を「XはCHであり」と訂正することから、記載内容が明らかでない記載が正されたことになる。 また、本件訂正により、請求項1の記載は、明細書等の【0079】、【0083】、【0084】、【0092】、【0094】における「XはCH」との記載と整合することになるから、明細書等中の他の記載との関係で不合理を生じている記載が正されたことになる。 (3)訂正の目的のまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 2 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正後の請求項1の式Iにおける「XはCHであ」るという事項は、前記1(1)イ(ア)で指摘したとおり、明細書等の【0079】、【0083】、【0084】、【0092】、【0094】に記載される事項であるから、本件訂正は、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法126条5項の規定に適合するものである。 3 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正でないこと 前記1で述べたとおり、本件訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、また、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法126条6項の規定に適合する。 4 独立特許要件について 前記1で述べたとおり、本件訂正は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものであるから、本件訂正には、同法同条7項に規定される、いわゆる独立特許要件は課されない。 第4 むすび 以上のとおり、本件訂正は、特許法126条1項ただし書3号に掲げる事項を目的とするものに該当し、かつ、同条5項及び6項の規定に適合するものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-390066

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