特許訂正審判
2025-390039
EUV透過膜及びその使用方法、並びに露光方法
- 審判番号
- 2025-390039
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2023-562760
- 登録番号
- 7554368
- 請求日
- 2025年04月07日
- 審決日
- 2025年06月23日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日本碍子株式会社
- 【請求人代理人】高村 雅晴
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 山村 浩
- 審判官 小澤 尚由
- 分類
- P141 .853-Y (G03F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7554368号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7554368号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項7について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7554368号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、令和4年9月15日を国際出願日とする日本語特許出願であって、その請求項1~8に係る発明について、令和6年9月10日に特許権の設定登録がなされたものである。
そして、令和7年4月7日に本件訂正審判の請求がされた。
第2 請求の趣旨及び訂正の内容
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7554368号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項7について訂正することを認める、との審決を求めるものであって、その訂正の内容は、次の事項(以下「本件訂正事項」といい、本件訂正事項に係る訂正を「本件訂正」という。)からなる。なお、下線は訂正箇所を示す。
<本件訂正事項>
特許請求の範囲の請求項7に「EUV照射により前記露出した主層にEUVを透過させて、前記EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程と、」とあるのを「EUV照射により前記露出した主層にEUVを透過させて、前記EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程と、を含む、露光方法。」と訂正する。
第3 当審の判断
1 本件訂正の目的
(1) 本件訂正前請求項7の記載
本件訂正前(設定登録時)の特許請求の範囲の請求項7(以下「本件訂正前請求項7」という。)の記載は、次のとおりである。
「請求項1又は2に記載のEUV透過膜をEUV露光装置内に取り付ける工程と、
前記EUV透過膜にEUVを照射し、それにより前記保護層を除去して前記主層を露出させる工程と、
EUV照射により前記露出した主層にEUVを透過させて、前記EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程と、」
(2) 本件訂正後請求項7の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項7(以下「本件訂正後請求項7」という。)の記載は、次のとおりである。
「請求項1又は2に記載のEUV透過膜をEUV露光装置内に取り付ける工程と、
前記EUV透過膜にEUVを照射し、それにより前記保護層を除去して前記主層を露出させる工程と、
EUV照射により前記露出した主層にEUVを透過させて、前記EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程と、
を含む、露光方法。」
(3) 本件訂正の目的についての判断
ア 本件訂正前請求項7においては、前記(1)のとおり「EUV透過膜をEUV露光装置内に取り付ける工程」(以下「取付工程」という。)、「前記EUV透過膜にEUVを照射し、それにより前記保護層を除去して前記主層を露出させる工程」(以下「露出工程」という。)及び「EUV照射により前記露出した主層にEUVを透過させて、前記EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程」(以下「露光工程」という。)を含むことからみて、方法の発明が記載されていると理解できる一方で、末尾の記載が「工程と、」とされていることから、文が日本語として完結しておらず、本件訂正前請求項7に係る発明がどのような方法を対象にしたものかが不明である。したがって、本件訂正前請求項7は、それ自体その記載内容が明らかではない記載を含んでいるといえる。
イ 本件訂正前請求項7は、前記アのとおりそれ自体その記載内容が明らかではない記載を含んでいる。そこで、本件訂正前請求項7の記載について、その本来の意を、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)を参酌して検討する。
(ア) 本件明細書等には、以下の記載がある。
a 「本発明によれば、以下の態様が提供される。
…(中略)…
[態様7]
態様1~5のいずれか一つに記載のEUV透過膜をEUV露光装置内に取り付ける工程と、
前記EUV透過膜にEUVを照射し、それにより前記保護層を除去して前記主層を露出させる工程と、
EUV照射により前記露出した主層にEUVを透過させて、前記EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程と、
を含む、露光方法。」(【0010】)
b 「使用方法及び露光方法
…(中略)…
好ましい露光方法は、EUV透過膜をEUV露光装置内に取り付ける工程と、EUV透過膜にEUVを照射し、それにより保護層を除去して主層を露出させる工程と、EUV照射により露出した主層にEUVを透過させて、EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程とを含む。」(【0027】)
(イ) 前記(ア)a及び同bから、本件訂正前請求項7に記載された「取付工程」、「露出工程」及び「露光工程」は、「露光方法」に含まれる工程であることが明らかである。一方で、本件明細書等においては、「取付工程」、「露出工程」及び「露光工程」を含む方法として、「露光方法」以外の方法については開示されていない。そうすると、本件明細書等に接した当業者であれば、本件訂正前請求項7の記載から理解される「取付工程」、「露出工程」及び「露光工程」を含む方法とは、「露光方法」を意味しており、「露光方法」以外の方法と解釈する余地はないと把握することができる。したがって、本件訂正前請求項7の記載のその本来の意は、「取付工程」、「露出工程」及び「露光工程」を含む「露光方法」であると認められる。
ウ 本件訂正は、本件訂正前請求項7に記載した事項の末尾を「EUV照射により前記露出した主層にEUVを透過させて、前記EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程と、」から、「EUV照射により前記露出した主層にEUVを透過させて、前記EUV露光装置内の感光基板にパターン露光を施す工程と、を含む、露光方法。」に改めるものである。そして、本件訂正は、前記ア及びイより、本件訂正前請求項7のそれ自体記載内容が明らかでない記載を正すものと認められるから、特許法126条1項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものに該当する。
2 新規事項の追加の有無
本件訂正によって、本件訂正前請求項7に追加された「を含む、露光方法。」は、前記1(3)イ(ア)のとおり本件明細書等の【0010】及び【0027】に記載されている。そうすると、本件訂正は、本件明細書等に記載した範囲内においてしたものである。
したがって、本件訂正は、特許法126条5項の規定に適合する。
3 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否
前記1で検討したとおり、本件訂正は、本件訂正前請求項7中のそれ自体記載内容が明らかでない記載を正すものである。また、前記1(3)イ(イ)の検討を踏まえれば、本件明細書等に接した当業者であれば、本件訂正前請求項7の記載から当然に、本件訂正後請求項7の記載のとおり理解することができるし、それ以外に適切な理解がないことが把握できる。そうすると、本件訂正は、特許請求の範囲を拡張又は変更するものには該当しない。
したがって、本件訂正は、特許法126条6項の規定に適合する。
4 独立特許要件について
前記1で検討したとおり、本件訂正は、特許法126条1項ただし書3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるから、同条7項に規定する独立特許要件は課されない。
第4 むすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法126条1項ただし書3項に掲げる事項を目的とするものでありかつ、同条5項、6項の規定に適合するものであって、同条7項の規定は課されない。
したがって、本件訂正は適法にされたものであるから、本件特許の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項7について訂正することを認める。
よって、結論のとおり審決する。
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