意匠拒絶査定不服審判
2025-010802
化粧シート
- 審判番号
- 2025-010802
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2024-001785外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 1809974
- 請求日
- 2025年07月10日
- 審決日
- 2025年09月04日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- D18 .113-WY (M1-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条、意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
意願2024- 1785「化粧シート」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする令和6年(2024年)1月30日の意匠登録出願であって、その後の手続の主な経緯は以下のとおりである。
令和6年(2024年)11月 8日付け:拒絶理由の通知
同年 12月26日 :意見書の提出
令和7年(2025年) 4月15日付け:拒絶査定
同年 7月10日 :審判請求書の提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「化粧シート」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状等」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、本願意匠において物品の部分として意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)を、「赤色以外で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」としたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定における拒絶の理由及び引用の意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
「本願意匠と引用意匠とは、意匠に係る物品の用途・機能が共通し、本願意匠において意匠登録を受けようとする部分と引用意匠の相当部分(以下、これらの部分を合わせて「両部分」といいます。)の用途・機能並びに位置・大きさ・範囲が共通しています。
両部分の形状等については、略長方形状のシート表面に、天然木の板目を模した帯状模様を短手方向に反復して配し、全体として薄い黄土色を呈する点が共通しており、これらの共通点が相まって両部分の基調を形成し、類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められます。
一方、両部分は主に、当該帯状模様の具体的な態様、及び全体の色彩が若干異なりますが、これらの差異点は、両部分の印象を異ならせるほどの顕著なものではないため、類否判断に及ぼす影響が微弱なものと認められます。
よって、両部分は全体として観察した場合、共通点が差異点を凌駕し、類似するものと認められます。
※上記の内容は、本願意匠の図面の向きを引用意匠にあてはめた上で対比し、記載したものです。
(引用意匠)
著者の氏名 ARTESIVE
表題 Curved Corner Self-Adhesiv
e Vinyl Film Application(f
ull) with Hot Tensioning
掲載箇所 動画内(特に2分43秒頃)
媒体のタイプ [online]
掲載年月日 2021年3月10日
検索日 2024年11月7日
情報の情報源 インターネット
情報のアドレス https://www.youtube.com/watch?v=fJcXCpgSPo8
上記の掲載箇所に見られるフィルムの意匠のうち、本願意
匠の意匠登録を受けようとする部分に相当する部分」
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「化粧シート」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「フィルム」である。
表記は異なるが、どちらも建物の内外装や家具等に用いられる化粧シートであって、その用途及び機能は共通しているから、本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、一致する。
(2)本願意匠の意匠登録を受けようとする部分(以下「本願部分」という。)及び引用意匠の本願部分に相当する部分(以下「引用部分」といい、本願部分と合わせて「両部分」という。)の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
ア 両部分の用途及び機能
用途及び機能について、両部分は、どちらもシートの表面部分であり、建築物や物品の表面を装飾するものであるから、両部分の用途及び機能は、一致する。
イ 両部分の位置、大きさ及び範囲
位置及び範囲について、両部分は、いずれもシート全体の、裏面全面及び表面の端縁を除く部分であって、両部分の位置及び範囲は、一致する。
大きさについて、本願部分は、縦の長さが約424mm、横の長さが約516mmであるのに対し、引用部分は、縦の長さが約600mm、横の長さが約1200mmである点において相違する。
3 両部分の形状等
両部分の形状等については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
なお、引用部分の認定に際しては、本願部分と板目模様の向きが同じとなるように、動画再生開始後2分43秒時点の画像における右側を上向きとして認定する。
(1)共通点
略横長長方形のシートの表面に、上から下に向かって、柾目模様と板目模様を交互に配置した木目模様を形成したものである点、
において、共通する。
(2)相違点
(相違点ア)木目模様
本願部分が、柾目模様と板目模様を交互に3つずつ配置したものであるのに対し、引用部分が、柾目模様と板目模様を交互に4つずつ配置したものである点、
(相違点イ)柾目模様の上下方向の長さの比
本願部分の3つの柾目模様の上下方向の長さの比が、上から約1:4:4であるのに対し、引用部分の4つの柾目模様の上下方向の長さの比が、上から約1:1:1:1である点、
(相違点ウ)板目模様
本願部分が、各板目模様が節木目を左右に大小2つずつ有し、シート表面部分の左右全体にわたって概ね一定の幅で帯状に延びているのに対し、引用部分は、節木目が1つのものと節木目が2つのものが混在しており、節木目が1つのものは、シート表面部分の左右全体にわたって幅が一定ではない点、
(相違点エ)柾目模様と板目模様の上下方向の長さの比
本願部分は、幅広の柾目模様と板目模様の上下方向の長さの比が、約2.4:1であるのに対し、引用部分は、柾目模様と板目模様の上下方向の長さの比が、約2:1である点、
(相違点オ)色彩
本願部分が、やや赤みを有する茶色であるのに対し、引用部分が、明るく黄色味を有する薄茶色である点、
において、相違する。
2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、総合的に観察して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は、一致するから、同一である。
(2)両部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲
両部分の用途及び機能並びに位置及び範囲は一致するのに対し、両部分の大きさは相違するが、わずかな大きさの違いであるから、両部分の類否判断に与える影響は小さい。
(3)両部分の形状等の共通点及び相違点の評価と類否判断
ア 共通点の評価
この種物品分野において、平坦なシートの表面に、上から下に向かって、柾目模様と板目模様を交互に配置した木目模様を形成したものが、下記の参考意匠に見られるとおり、本願出願前から公然知られており、両意匠にのみ見られる態様であるとはいえず、格別、需要者の注意を惹かないから、(共通点)が、両部分の類否判断に与える影響は小さいものである。
参考意匠(別紙第3参照)
著者:Arch-LOG
表題:TH32624
掲載箇所:第1頁上の真ん中の壁紙
媒体のタイプ:[online]
発売日:2022年11月17日
検索日:[2025年8月19日]
情報の情報源:インターネット
情報のアドレス:https://www.arch-log.com/products/ja/5afac8a4b4
05404aa54ea5b5c09af250/?
のウェブページに掲載された「壁紙」の意匠
イ 相違点の評価
(相違点ア)
この種物品分野において、様々な大きさのシートが販売されているところ、シートの大きさは、内装や家具等の大きさに合うかどうか需要者が一定程度注目するものといえる。
両部分における柾目模様と板目模様を交互に配置した数の相違は、シートの大きさによるものであるから、(相違点ア)が、両部分の類否判断に一定程度影響を与えるものである。
(相違点イ)
この種物品分野において、シートの模様は、需要者が最も注意を払うものであるところ、本願部分は、3つの柾目模様の上下方向の長さの比が、上から約1:4:4であり、複数のシートを上下方向に繋げて使用する場合には、板目模様の間隔が狭い部分と広い部分が表れ、変化があるリズミカルな印象を与えているのに対し、引用部分は、4つの柾目模様の上下方向の長さの比が、上から約1:1:1:1であり、複数のシートを上下方向に繋げて使用する場合には、板目模様の間隔が一定であり、変化がない単調な印象をもたらしていることから、需要者に与える美感は大きく異なり、(相違点イ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点ウ)
本願部分は、各板目模様が節木目を左右に大小2つずつ有し、シート表面部分の左右全体にわたって概ね一定の幅で帯状に延びており、複数のシートを左右方向に繋げて使用する場合には、直線的でシャープな印象を与えているのに対し、引用部分は、板目模様の幅が一定ではなく、複数のシートを左右方向に繋げて使用する場合には、曲線的で柔和な印象をもたらしていることから、(相違点イ)と相まって、需要者に与える美感は大きく異なり、(相違点ウ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点エ)
本願部分は、幅広の柾目模様と板目模様の上下方向の長さの比が、約2.4:1であることで、板目模様の間隔が大きく広がっている印象を与えているのに対し、引用部分は、板目模様の間隔が本願部分よりも狭く、板目模様が比較的密集している印象をもたらしていることから、需要者に与える美感は大きく異なり、(相違点エ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きいものである。
(相違点オ)
この種物品分野において、色彩は、部屋や家具の雰囲気に大きく影響を与え、様々な色の色違いのシートが販売されているところ、色彩は、好みの色であるかどうか需要者が一定程度注目するものといえ、(相違点オ)が、両意匠の類否判断に一定程度影響を与えるものである。
ウ 両部分の形状等の類否判断
両部分の形状等における共通点及び相違点の評価に基づき、両部分全体を総合的に観察した場合、共通点が両部分の類否判断に与える影響は小さいのに対し、(相違点ア)及び(相違点オ)が、両部分の類否判断に与える影響は一定程度であるものの、(相違点イ)から(相違点エ)が、両部分の類否判断に与える影響は大きいことから、両部分の形状等は類似するとはいえない。
3 小括
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、両部分の位置及び範囲は一致するが、両部分の大きさは相違し、また、形状等においても、両部分は類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2025-010802