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特許拒絶査定不服審判

2025-007740

センサ素子及びセンサ素子を製造する方法

審判番号
2025-007740
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-192247
請求日
2025年05月20日
審決日
2026年01月19日
公報発行日
2026年07月31日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
  • 【請求人代理人】弁理士法人ITOH
審判長/審判官
  • 審判長 加々美 一恵
  • 審判官 遠藤 直恵
  • 審判官 萩田 裕介
分類
P18 .121-Z (G01K) / P18 .537-Z (G01K) / P18 .575-Z (G01K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023-192247「センサ素子及びセンサ素子を製造する方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 6年 1月30日出願公開、特開2024- 12570〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2021年(令和3年)8月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2020年9月2日(以下「優先日」という。)(DE)独国)を国際出願日とする特願2022-514598の一部を令和5年11月10日に新たな特許出願(特願2023-192247)としたものであって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。 令和 6年 7月25日付け 拒絶理由通知書 同年10月28日 意見書・手続補正書の提出 令和 7年 1月16日付け 補正の却下の決定・拒絶査定 同年 5月20日 審判請求書・手続補正書の提出 以下では、令和7年1月16日付け拒絶査定を「原査定」という。 第2 令和7年5月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年5月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。 「【請求項1】 温度を測定するためのセンサ素子であって、 - 上面及び下面を有する少なくとも1つの担体であって、前記上面は電気的に絶縁されて形成されている、担体と、 - 少なくとも1つの機能層であって、温度依存性の電気的な抵抗を有する材料を含み、前記機能層は前記担体上に配置されており、前記機能層は前記担体の前記上面を部分的にのみ覆っている、機能層と、 - 少なくとも2つの電極であって、前記担体上に互いに離間して形成されており、前記電極のそれぞれは複数の電極フィンガを備え、両前記電極の前記電極フィンガは交互に相対向して配置されている、電極と、 - 前記センサ素子の電気的コンタクトのための少なくとも2つのコンタクトパッドであって、前記電極のうちの1つの部分領域上に直接、それぞれ1つのコンタクトパッドが配置されている、コンタクトパッドと、を備え、 前記センサ素子は、個別コンポーネントとして電気システム内に直接組み込まれるように設計されており、前記センサ素子の厚さは100μm未満であり、 前記電極は前記機能層の直接下面に形成されており、 前記機能層は、前記担体のエッジ領域から離間して、前記電極フィンガの領域に形成されている、 センサ素子。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、出願時の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 温度を測定するためのセンサ素子であって、 - 上面及び下面を有する少なくとも1つの担体であって、前記上面は電気的に絶縁されて形成されている、担体と、 - 少なくとも1つの機能層であって、温度依存性の電気的な抵抗を有する材料を含み、前記機能層は前記担体上に配置されており、前記機能層は前記担体の前記上面を部分的にのみ覆っている、機能層と、 - 少なくとも2つの電極であって、前記担体上に互いに離間して形成されており、前記電極のそれぞれは複数の電極フィンガを備え、両前記電極の前記電極フィンガは交互に相対向して配置されている、電極と、 - 前記センサ素子の電気的コンタクトのための少なくとも2つのコンタクトパッドであって、前記電極のうちの1つの部分領域上に直接、それぞれ1つのコンタクトパッドが配置されている、コンタクトパッドと、を備え、 前記センサ素子は、個別コンポーネントとして電気システム内に直接組み込まれるように設計されており、前記センサ素子の厚さは100μm未満である、 センサ素子。」 2 補正の適否 上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「機能層」及び「電極」について、「前記電極は前記機能層の直接下面に形成されて」いること、及び、「前記機能層は、前記担体のエッジ領域から離間して、前記電極フィンガの領域に形成されている」ことの、両者の位置関係についての限定をするものである。 そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。 (2)引用文献 ア 引用文献1 (ア)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2013-197367号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審において付与した。以下同様。) a 「【0001】 本発明は、温度検知や、人感センサなどに利用され、赤外線センサに用いられている薄膜サーミスタに関する。 【背景技術】 【0002】 従来より温度センサや人感センサなど、赤外線を検知しその変化を信号として取り出す赤外線センサとして大きな負の温度係数をもつ遷移金属酸化物が用いられている。例えばMn―Co-Ni系の酸化物は一般的にNTCサーミスタと呼ばれ温度に対する急激な負の抵抗値変化を利用して多くの温度センサや赤外線センサに使用されている。」 b 「【0016】 以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。 【0017】 図1は、本実施形態の薄膜サーミスタ素子10の基本構成を示す平面図である。図2は、図1に示す薄膜サーミスタ素子10をA-A線に沿って切断した断面図である。 【0018】 薄膜サーミスタ素子10は、基板1、絶縁膜2、一対の取出し電極3、サーミスタ薄膜4、保護膜6、一対の出力端子電極5から構成され、所定の間隔をおいて形成される一対の取出し電極3と、これらの取出し電極3間に成膜されるサーミスタ薄膜4とで構成されている。 【0019】 基板1は、第1の主面1A及び、その裏面である第2の主面1Bを有しており、少なくとも第1の主面には絶縁膜2が形成されている。基板1の材質としては、適度な機械的強度を有し、且つエッチング等の微細加工に適した材質であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、シリコン(Si)単結晶基板、サファイア単結晶基板、セラミックス基板、石英基板、ガラス基板等が好適である。絶縁膜2としては、適度な機械的強度を有し、且つ公知の薄膜プロセスで容易に成膜できるものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、Si酸化膜、Si窒化膜等が好適である。」 ・・・ 【0021】 絶縁膜2の上に一対の取り出し電極3が形成され、取り出し電極3上にサーミスタ薄膜4が形成される。また、サーミスタ薄膜4を被覆して外気から遮蔽するための保護膜6が形成されている。取出し電極3の材質としては、サーミスタ薄膜4の成膜工程や熱処理工程等に耐え得る耐熱性を有し、且つ適度な伝導性を有する比較的高融点の材質が好ましく、例えば、モリブデン(Mo)、白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、又はこれらの金属を2種類以上含む合金等が好適である。また電気信号を取り出すためには取出し電極3に接続された出力端子電極5が各々の取出し電極3に接続されるように形成される。出力端子電極5の材質としては、ワイヤーボンドやフリップチップボンディング等の電気的接続が容易な材質、例えば、アルミニウム(Al)、Au等が好適である。」 ・・・ 【0027】 一般的に、サーミスタを温度センサとして使用する場合、その測定許容値はJISC1611にも記載されている階級0.3で使用することが望ましい。すなわち、階級0.3とは、温度の測定の精度を±0.3℃以内で制御できることを示す規格である。この精度を実現するためには、サーミスタの抵抗値の経時変化は小さければ小さいほど良いが、本実施形態の薄膜サーミスタ素子10を用いた場合、抵抗値の経時変化は、1.2%以下に抑制する必要がある。すなわち抵抗値の経時変化とは、薄膜サーミスタ素子10ができあがった直後の抵抗値が、高温状況下で長時間放置された後にどれだけ変化するかを示した信頼性結果である。」 c 「【実施例】 【0035】 実施形態に基づく実施例の、薄膜サーミスタ素子10の製造方法について説明する。図1と図2に示すように、基板1として、基板表面の面方位が(100)である(100)Si基板を用意し、基板1の第1の主面1A及び第2の主面1Bに絶縁膜2としてSi酸化膜を成膜する。Si酸化膜を成膜するには、例えば、熱酸化法等を適用すればよい。絶縁膜2の膜厚は、基板1との絶縁性が確保される程度に調整すればよく、例えば、0.1μm~0.5μm程度が好適である。本実施例では絶縁膜として、SiO2膜を0.5μm形成した。 【0036】 次に、第1の主面1A上の絶縁膜2に、取出し電極3を形成する。取出し電極3を形成するには、例えば、スパッタ法等を用いて絶縁膜2上に150nm~600nm程度の取出し電極3となる金属薄膜3を堆積し、フォトリソグラフィによってエッチングマスクを形成し、反応性イオンエッチングやイオンミリング等のドライエッチングでこの金属薄膜3を所定の電極形状に加工して、取出し電極3を形成する。金属薄膜3と絶縁膜2との間の密着性を高めるには、チタン(Ti)等の密着層を介在させるのが好ましい。本実施例では電極としてPt/Ti膜を使用した。Ptはスパッタ法にて0.1μm形成し、密着層として、SiO2と相性の良い、Tiを選択した。この後、ドライエッチングを用いて、電極形状を形成した。 【0037】 次に、サーミスタ薄膜4としての複合金属酸化膜4を、スパッタ法により取出し電極3上に堆積し、ウェットエッチングにより複合金属酸化膜4を所定形状にパターニングする。本実施例では、基板温度600℃、成膜圧力1.0Pa、RFパワー200Wのスパッタ条件でArガスを用い、Mn-Co-Ni系酸化物を取り出し電極3上に0.4μm堆積した。この時に用いたターゲットは混晶比率Z=0.6のものを使用して、作製した。 次に、塩化第二鉄水溶液を用いたウェットエッチングで所定形状に加工し、その後、第1のアニールすなわち、焼成炉を用いてMn-Co-Ni系酸化物膜に大気雰囲気で600℃で2時間の熱処理を施し、本実施例におけるサーミスタ薄膜4を有した、目標抵抗値が120kΩである薄膜サーミスタ素子10を形成した。なお、実施形態および、実施例、比較例の抵抗値とは、薄膜サーミスタ素子10の出力端子電極5における抵抗値である。 【0038】 保護膜6としてSiO2膜を形成する。保護膜としてはSiO2やSiN等、絶縁性、耐湿性を有する膜であれば良い。本実施例では、テトラエトキシシランという有機金属材料を用いたTEOS-CVD法により、0.4μmの膜厚でSiO2を基板全面に成膜した。本実施例では保護膜6形成後に第2のアニールを600℃で2時間行った。本実施例においては取り出し電極5の材料にAlを使用しており、600℃の第2のアニールにAlが耐えられない事を考慮した為であり、使用材料によっては最終の工程で第2のアニールを施しても問題は無い。次に、フォトリソグラフィによりエッチングマスクを形成した後、SiO2膜をウェットエッチングにより選択的に除去し、出力端子電極5が形成されるべき箇所を露出させる。そして、出力端子電極5としてAl電極を蒸着法により1μm程度形成し、リフトオフ法によりAl電極5の不要部分を除去する。」 d 「【図1】 [図:0001437121000001.jpg] 」 e 「【図2】 [図:0001437121000002.jpg] 」 上記a~eの記載事項及び図面から、以下、f~jの事項が導かれる。 f 段落【0016】には、「以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。」と記載されており、段落【0016】~【0034】において、当該「好適な実施形態」について記載されているといえる。 また、段落【0035】には、「実施形態に基づく実施例の、薄膜サーミスタ素子10の製造方法について説明する。」と記載されており、段落【0035】~【0039】において、当該「実施形態に基づく実施例」について記載されているといえる。 そして、段落【0035】~【0039】に記載の「実施形態に基づく実施例」は、実施形態に基づくものであるから、段落【0016】~【0034】に記載された「好適な実施形態」をより具体化した実施例の記載であって、両記載は、同じ実施形態についての記載であるといえる。 よって、上記を踏まえて、段落【0016】~【0039】に記載された実施形態に基づき、引用文献1に記載された発明を認定することとする。 g 段落【0001】には、「本発明は、温度検知や、人感センサなどに利用され、赤外線センサに用いられている薄膜サーミスタに関する。」と記載されており、また、段落【0027】にも、「サーミスタを温度センサとして使用する場合」と記載されているから、引用文献1には、段落【0017】に記載の「薄膜サーミスタ素子10」を、温度センサとして使用するものとする態様が記載されているといえる。 よって、引用文献1には、温度センサとして使用する薄膜サーミスタ素子10が記載されているといえる。 h 段落【0018】には、「薄膜サーミスタ素子10は、基板1、絶縁膜2、一対の取出し電極3、サーミスタ薄膜4、保護膜6、一対の出力端子電極5から構成され、所定の間隔をおいて形成される一対の取出し電極3と、これらの取出し電極3間に成膜されるサーミスタ薄膜4とで構成されている。」と記載されており、当該記載を参酌すると、第1図には、一対の取出し電極3が互いに離間しており、それぞれ他方の取り出し電極3の方向に突出する凸部を有し、それぞれの凸部は対向している点、サーミスタ薄膜4が、取り出し電極3の両方の凸部の上の、上方から見て基板1の中央部分のみに形成されている点、及び、一対の出力端子電極5がそれぞれの電極3の上に形成される点が図示されているといえる。 i 段落【0037】には、「サーミスタ薄膜4としての複合金属酸化膜4を、スパッタ法により取出し電極3上に堆積し、・・・本実施例では、・・・Mn-Co-Ni系酸化物を取り出し電極3上に0.4μm堆積した。」と記載されているから、引用文献1には、サーミスタ薄膜4がMn-Co-Ni系酸化物である点が記載されているといえる。 また、段落【0002】には、「例えばMn―Co-Ni系の酸化物は一般的にNTCサーミスタと呼ばれ温度に対する急激な負の抵抗値変化を利用して多くの温度センサや赤外線センサに使用されている。」と記載されており、段落【0037】に記載された「Mn-Co-Ni系酸化物」も、「温度に対する急激な負の抵抗値変化を利用」するものであることは、明らかである。 以上より、引用文献1には、温度に対する急激な負の抵抗値変化を利用するMn-Co-Ni系酸化物であるサーミスタ薄膜4が記載されているといえる。 j 引用文献1には、「次に、サーミスタ薄膜4としての複合金属酸化膜4を、スパッタ法により取出し電極3上に堆積し、・・・」(段落【0037】)、「保護膜6としてSiO2膜を形成する。」(段落【0038】)と記載されているから、保護膜6がサーミスタ薄膜4の上に形成されるものであることは、明らかである。 また、上記hのとおり、図1には一対の出力端子電極5がそれぞれの電極3の上に形成される点が図示されており、段落【0038】には、「保護膜6としてSiO2膜を形成する。・・・SiO2膜をウェットエッチングにより選択的に除去し、出力端子電極5が形成されるべき箇所を露出させる。そして、出力端子電極5としてAl電極を蒸着法により1μm程度形成し、」と記載されているから、引用文献1には、サーミスタ薄膜4の上に形成される保護膜6をウェットエッチングにより選択的に除去し、露出したそれぞれの電極3上の箇所に形成される、一対の出力端子電極5が記載されているといえる。 (イ)引用文献1に記載された発明 上記(ア)a~eの記載事項及び図面、f~jの認定事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「温度センサとして使用する薄膜サーミスタ素子10であって、(認定事項g) 第1の主面1A及び、その裏面である第2の主面1Bを有する基板1と、第1の主面に形成されている絶縁膜2と、(段落【0019】) 絶縁膜2の上に形成される一対の取り出し電極3であって、互いに離間しており、それぞれ他方の取り出し電極3の方向に突出する凸部を有し、それぞれの凸部は対向している、取り出し電極3と、(段落【0021】、認定事項h) 取り出し電極3の両方の凸部の上の、上方から見て基板1の中央部分のみに形成され、温度に対する急激な負の抵抗値変化を利用するMn-Co-Ni系酸化物であるサーミスタ薄膜4と、(認定事項h、i) サーミスタ薄膜4の上に形成される保護膜6をウェットエッチングにより選択的に除去し、露出したそれぞれの電極3上の箇所に形成される、一対の出力端子電極5と、を備え、(認定事項j) 絶縁膜2としてSiO2膜を0.5μm形成し、取り出し電極3となる金属薄膜3を0.1μm形成し、サーミスタ薄膜4としてのMn-Co-Ni系酸化物を0.4μm堆積し、保護膜6としてSiO2膜を0.4μmの膜厚で成膜し、出力端子電極5としてAl電極を1μm程度形成した、(段落【0035】~【0038】) 薄膜サーミスタ素子10。(段落【0017】)」 イ 引用文献2 (ア)引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開平11-329808号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに次の記載がある。 a 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、温度による感熱素子の抵抗変化を利用して赤外線量を検出する赤外線検出素子の抵抗値を調整する方法に関するものである。」 b 「【0005】 【発明の実施の形態】図1(a)及び図2(a)に示すように、本発明で用いられる基板11はSi、GaAs等の半導体又はAl2O3等の絶縁体から構成される。基板11上にはサーミスタ膜12が形成される。サーミスタ膜12は好ましくはMn-Co系、Mn-Cr系、Mn-Cu系、Mn-Ni系等のサーミスタ材料をペースト化し、スピンコート法により基板11上に成膜した後、焼成することにより形成される。なお、基板11の中央部には赤外線検出素子の発熱を効率よく放散するための開口部17が形成される。サーミスタ膜12上には一対の電極13a,13bが所定の隙間をあけて互いに噛み合うようにくし歯状に形成される。これらの電極13a,13bはAl,Cr,Au等からなる導電性膜をスパッタリング、真空蒸着等の手段でサーミスタ膜12上に堆積させた後、フォトリソグラフィ技術を用いて所望の形状にパターニングすることにより形成される。電極13aには端子電極14aが、電極13bには端子電極14bがそれぞれ電極形成と同時に形成される。このときに電極13a,13b間の抵抗値は所定の抵抗値以下になるように予め設定される。この所定の抵抗値以下には、当然所定の抵抗値を含む。 【0006】次いで、電極13a,13b間の実際の抵抗値と所定の抵抗値との差を求め、この差に応じて、くし歯部分の電極の切断長を決める。即ち、図1(a)及び図2(a)に示すように、上記一対の電極のうちいずれか一方の電極、例えば電極13bのくし歯の一部分を上記差に応じて破線Xで示すように切断する。図1(b)及び図2(b)に示すように切断された部分16の電極13bの面積が減少し、その結果、赤外線検出素子の抵抗値が増大し所定の抵抗値となる。電極のくし歯部分の切断はレーザ装置から発せられるレーザにより、又はリュータの先端に設けられたダイヤモンド砥石を回転させながらくし歯部分に接触させることにより、正確かつ短時間に行われる。実際の抵抗値が所定の抵抗値と比較して大きな差がある場合には、切断部分16を細かくして複数回切断を繰り返してもよい。」 c 「【図1】 [図:0001437121000003.jpg] 」 (イ)引用文献2に記載された事項 上記(ア)a~cの記載事項及び図面を総合すると、引用文献2には、次の事項(以下「引用文献2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「温度による感熱素子の抵抗変化を利用して赤外線量を検出する赤外線検出素子において、 サーミスタ膜12上に、一対の電極13a、13bを所定の隙間をあけて互いに噛み合うようにくし歯状に形成する点。」 (3)対比 本件補正発明と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「温度センサとして使用する薄膜サーミスタ素子10」は本件補正発明の「温度を測定するためのセンサ素子」に相当する。 イ 引用発明の「第1の主面1A」、「その裏面である第2の主面1B」及び「基板1」は、それぞれ、本件補正発明の「上面」、「下面」及び「担体」に相当する。 また、引用発明の「基板1」は、その「第1の主面に」「絶縁膜2」が「形成されている」から、「第1の主面」は「絶縁膜2」により電気的に絶縁されて形成されているといえる。 よって、引用発明において、その「第1の主面に形成されている絶縁膜2」を有し、「第1の主面1A及び、その裏面である第2の主面1Bを有する基板1」は、本件補正発明の「上面及び下面を有する少なくとも1つの担体であって、前記上面は電気的に絶縁されて形成されている、担体」に相当する。 ウ 引用発明の「温度に対する急激な負の抵抗値変化を利用するMn-Co-Ni系酸化物」は、本件補正発明の「温度依存性の電気的な抵抗を有する材料」に相当し、引用発明の「温度に対する急激な負の抵抗値変化を利用するMn-Co-Ni系酸化物であるサーミスタ薄膜4」は、本件補正発明の「温度依存性の電気的な抵抗を有する材料を含」む「機能層」に相当する。 引用発明において、「サーミスタ薄膜4」は、「基板1」の「第1の主面に形成されている絶縁膜2」「の上に形成される一対の取り出し電極3」「の両方の凸部の上」「に形成され」るものであるから、「基板1」上に配置されているといえる。また、引用発明において、「上方から見て基板1の中央部分のみに形成され」ていることは、本件補正発明において、「前記担体の前記上面を部分的にのみ覆っている」ことに相当する。 そうすると、引用発明において、「基板1」上に配置されているものである「サーミスタ薄膜4」が、「取り出し電極3の両方の凸部の上の、上方から見て基板1の中央部分のみに形成され」ていることは、本件補正発明において、「前記機能層は前記担体上に配置されており、前記機能層は前記担体の前記上面を部分的にのみ覆っている」ことに相当する。 以上より、引用発明の「取り出し電極3の両方の凸部の上の、上方から見て基板1の中央部分のみに形成され、温度に対する急激な負の抵抗値変化を利用するMn-Co-Ni系酸化物であるサーミスタ薄膜4」は、本件補正発明の「少なくとも1つの機能層であって、温度依存性の電気的な抵抗を有する材料を含み、前記機能層は前記担体上に配置されており、前記機能層は前記担体の前記上面を部分的にのみ覆っている、機能層」に相当する。 エ 引用発明の「一対の取り出し電極3」は、本件補正発明の「2つの電極」に相当する。 引用発明において、「絶縁膜2の上に形成される一対の取り出し電極3」が「互いに離間して」いることは、本件補正発明において、「2つの電極」が「前記担体上に互いに離間して形成されて」いることに相当する。 引用発明の「それぞれ他方の取り出し電極3の方向に突出する凸部」は、本件補正発明の「電極フィンガ」に相当し、引用発明において、「それぞれの凸部は対向している」ことは、本件補正発明において、「両前記電極の前記電極フィンガは」「相対向して配置されている」ことに相当する。 以上より、引用発明の「絶縁膜2の上に形成される一対の取り出し電極3であって、互いに離間しており、それぞれ他方の取り出し電極3の方向に突出する凸部を有し、それぞれの凸部は対向している、取り出し電極3」は、本件補正発明の「少なくとも2つの電極であって、前記担体上に互いに離間して形成されており、前記電極のそれぞれは複数の電極フィンガを備え、両前記電極の前記電極フィンガは交互に相対向して配置されている、電極」と、「少なくとも2つの電極であって、前記担体上に互いに離間して形成されており、前記電極のそれぞれは」「電極フィンガを備え、両前記電極の前記電極フィンガは」「相対向して配置されている、電極」である点で共通する。 オ 引用発明の「一対の出力端子電極5」は、「薄膜サーミスタ素子10」の電気的コンタクトのためのものであることは明らかであるから、本件補正発明の「前記センサ素子の電気的コンタクトのための少なくとも2つのコンタクトパッド」に相当する。 引用発明の「露出したそれぞれの電極3上の箇所」は、本件補正発明の「前記電極のうちの1つの部分領域」に相当し、引用発明において、「一対の出力端子電極5」が「露出したそれぞれの電極3上の箇所に形成される」ことは、本件補正発明において「前記電極のうちの1つの部分領域上に直接、それぞれ1つのコンタクトパッドが配置されている」ことに相当する。 以上より、引用発明の「サーミスタ薄膜4の上に形成される保護膜6をウェットエッチングにより選択的に除去し、露出したそれぞれの電極3上の箇所に形成される、一対の出力端子電極5」は、本件補正発明の「前記センサ素子の電気的コンタクトのための少なくとも2つのコンタクトパッドであって、前記電極のうちの1つの部分領域上に直接、それぞれ1つのコンタクトパッドが配置されている、コンタクトパッド」に相当する。 カ 引用発明は、「サーミスタ薄膜4」が「取り出し電極3の両方の凸部の上」「に形成され」ているから、「取り出し電極3」は、「サーミスタ薄膜4」の直接下面に形成されているといえる。 よって、引用発明は、本件補正発明における「前記電極は前記機能層の直接下面に形成されて」いるとの事項を満たすといえる。 キ 引用発明の「サーミスタ薄膜4」が「取り出し電極3の両方の凸部の上の、上方から見て基板1の中央部分のみに形成され」ていることは、本件補正発明において、「前記機能層は、前記担体のエッジ領域から離間して、前記電極フィンガの領域に形成されている」ことに相当する。 ク 一致点、相違点 上記ア~キのとおりであるから、本件補正発明と引用発明とは、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)~(ウ)の点で相違する。 (ア)一致点 「温度を測定するためのセンサ素子であって、 - 上面及び下面を有する少なくとも1つの担体であって、前記上面は電気的に絶縁されて形成されている、担体と、 - 少なくとも1つの機能層であって、温度依存性の電気的な抵抗を有する材料を含み、前記機能層は前記担体上に配置されており、前記機能層は前記担体の前記上面を部分的にのみ覆っている、機能層と、 - 少なくとも2つの電極であって、前記担体上に互いに離間して形成されており、前記電極のそれぞれは電極フィンガを備え、両前記電極の前記電極フィンガは相対向して配置されている、電極と、 - 前記センサ素子の電気的コンタクトのための少なくとも2つのコンタクトパッドであって、前記電極のうちの1つの部分領域上に直接、それぞれ1つのコンタクトパッドが配置されている、コンタクトパッドと、を備え、 前記電極は前記機能層の直接下面に形成されており、 前記機能層は、前記担体のエッジ領域から離間して、前記電極フィンガの領域に形成されている、 センサ素子。」 (イ)相違点1 電極フィンガに関して、本件補正発明は、「前記電極のそれぞれは複数の電極フィンガを備え、両前記電極の前記電極フィンガは交互に相対向して配置されている」と特定されているのに対し、引用発明における取り出し電極3のそれぞれの凸部は「複数」ではなく、そのため「交互に」相対向するものともなっていない点。 (ウ)相違点2 本件補正発明は、「前記センサ素子は、個別コンポーネントとして電気システム内に直接組み込まれるように設計されており、前記センサ素子の厚さは100μm未満であ」ると特定されているのに対し、引用発明はそのように特定されていない点。 (4)判断 ア 相違点について (ア)相違点1 a 引用文献2記載事項において、「一対の電極13a、13b」が「くし歯状」に形成されていることは、本件補正発明において、「前記電極のそれぞれは複数の電極フィンガを備え」ていることに相当し、引用文献2記載事項において、「一対の電極13a、13b」が「所定の隙間をあけて互いに噛み合うよう」な「くし歯状」であることは、「両前記電極の前記電極フィンガは交互に相対向して配置されている」ことに相当する。 よって、引用文献2記載事項は、本件補正発明における「前記電極のそれぞれは複数の電極フィンガを備え、両前記電極の前記電極フィンガは交互に相対向して配置されている」ことに相当する構成を有しているといえる。 また、電極をくし歯状とすることは、電極間の抵抗の調整のために行われるものであることは技術常識であるから(例えば、特開2000-208304の段落【0047】、特開平11-224806号公報の段落【0032】、【0037】、第2図等参照)、引用文献2記載事項において「一対の電極13a、13b」を「くし歯状」に形成したことは、電極間の抵抗の調整のために行われることであることは、当業者にとって自明である。 b 温度に対して抵抗が変化する材料からなる機能層と電極とを有するサーミスタ素子において、電極間の抵抗を適切な値に調整する必要があることは技術常識であるから、引用発明においても「一対の取り出し電極3」の抵抗を調整するとの課題を有していることは、自明である。これは、引用発明において、「取り出し電極3」を「それぞれ他方の取り出し電極3の方向に突出する凸部を有し、それぞれの凸部は対向している」形状としていることからも、明らかである。 そして、引用発明と引用文献2記載事項とは、温度に対して抵抗値が変化する材料と一対の電極とを備える温度検出のための素子である点で共通する技術分野に属するものであり、また、電極間の抵抗を調整するとの共通する課題を有するものであるから、引用発明において、「一対の取り出し電極3」の抵抗を調整するための構成として引用文献2記載事項の構成を適用し、「一対の取り出し電極3」が複数の電極フィンガを備え、両電極の電極フィンガは交互に相対向して配置されているものとし、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (イ)相違点2 a 「前記センサ素子は、個別コンポーネントとして電気システム内に直接組み込まれるように設計されて」いる点について 引用発明の「薄膜サーミスタ素子10」は、「素子」であるから、個別コンポーネントであるといえる。 また、電極を有し温度センサとして使用する素子を、電極への電圧印加と温度の検出のための電気回路、温度センサが検出した結果を利用するその他の電気回路等を含む電気システムに組み込んで用いることは、一般的に行われている技術常識であるから、引用発明の「薄膜サーミスタ素子10」を「個別コンポーネントとして電気システム内に直接組み込まれるように設計され」たものとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 b 「前記センサ素子の厚さは100μm未満であ」る点について 引用発明の「薄膜サーミスタ素子10」は「薄膜」のものである。 そして、引用発明の「薄膜サーミスタ素子10」は「絶縁膜2としてSiO2膜を0.5μm形成し、取り出し電極3となる金属薄膜3を0.1μm形成し、」「出力端子電極5としてAl電極を1μm程度形成した」ものであって、「基板1」の上面から「出力端子電極5」上面までの厚さは1.6μm程度しかないことを考慮すれば、引用発明の「薄膜サーミスタ素子10」を、「基板1」を含めた「薄膜サーミスタ素子10」の厚さが100μm未満となるような薄膜の素子とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 c 以上より、引用発明において、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者が適宜なし得たことである。 イ 効果について 本件補正発明により奏される効果も、引用発明及び引用文献2記載事項から当業者が予期し得るものであり、格別顕著なものではない。 ウ 令和7年5月20日提出の審判請求書における請求人の主張について (ア)請求人は、審判請求書において、 「しかしながら、本願発明の進歩性を評価する際に、単に引用文献2記載の発明を用いて引用文献1を改変することにより、本願発明の構成に到達できたかどうかは決定的な要素ではなく、むしろ当業者が基礎となる技術的課題の解決を期待してかかる改変を行ったであろうかどうかが決定的な要素となります。 つまり、引用文献1記載の発明は、特定の電極構造を対象としておらず、機能層4および基板1の構造及び構成に着目しています(引用文献1、段落[0010]、[0011])。 かかる引用文献1記載の発明から出発すれば、当業者は、引用文献2にくし歯状の電極が開示されていたとしても、かかる電極を引用文献1記載の発明に組み合わせることの動機付けがありません。むしろ、かかる構成を組み込むことにより、デバイス全体の構造を複雑化し、製造コストを増加させることになり、当業者がかかる構成を想起することはできません。」 との主張をしているので、検討する。 出願人の主張するとおり、引用文献1には「本発明では、Mn-Co-Ni系を用いた、薄膜サーミスタ素子の抵抗値の経時変化を抑制し、焼結体と比べて、低温でのプロセスが可能にする薄膜サーミスタ素子を提供することを目的とする。」(段落【0011】)等の記載があり、引用文献1は電極構造をその主題として記載した文献でない。しかしながら、引用発明の「薄膜サーミスタ素子10」を当業者が用いる際には、電極構造等を含む引用文献1において主題としていない構造についても考慮する必要があることは自明であるから、上記ア(ア)bで示したとおり、引用発明において、「一対の取り出し電極3」の抵抗を調整するための構成として引用文献2記載事項の構成を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、審判請求人の上記主張は採用できない。 (イ)さらに、審判請求人は、審判請求書において、 「仮に、引用文献1記載の発明に、引用文献2記載のくし歯状の電極を適用することを想起し得たとしても、前述のように、引用文献2記載の発明は、抵抗調整するという目的に基づいてくし歯状の電極18a,18bを設けていますので、レーザ又はリュータで切断するために、サーミスタ膜12の上面に形成されなければならず、したがって、引用文献1記載の発明のサーミスタ薄膜4の上に、引用文献2記載のくし歯状の一対の電極13a,13bを設ける、という構成にしかなり得ません。 したがって、引用文献1記載の発明に引用文献2記載の発明を組み合わせたとしても、本願発明の「前記電極は前記機能層の直接下面に形成されており、前記機能層は、前記担体のエッジ領域から離間して、前記電極フィンガの領域に形成されている」という構成は容易に想到し得たものではありません。」 との主張をしているので、検討する。 上記ア(ア)aで示したとおり、電極をくし歯状とすることは、電極間の抵抗の調整のために行われるものであることは技術常識であるから(例えば、特開2000-208304の段落【0047】、特開平11-224806号公報の段落【0032】、【0037】、第2図等参照)、引用文献2記載事項において「一対の電極13a、13b」を「くし歯状」に形成したことは、電極間の抵抗の調整のために行われるものであることは、当業者にとって自明である。 そして、引用文献2には、くし歯状の電極を設け、さらに、くし歯部分の電極を切断することにより抵抗値を調整することが記載されているとしても、くし歯状の電極を設けること自体が抵抗値の調節のために行われることであることを考慮すれば、引用文献2記載事項における「一対の電極13a、13bを所定の隙間をあけて互いに噛み合うようにくし歯状に形成する」との事項は、それ自体で抵抗を調節するとの機能を有するものであって、くし歯部分の電極を切断することにより抵抗値を調整するとの事項と一体不可分の事項であるともいえない。 そうすると、上記ア(ア)bで示した通り、引用発明において、「一対の取り出し電極3」の抵抗を調整するための構成として、引用文献2記載事項における「一対の電極13a、13bを所定の隙間をあけて互いに噛み合うようにくし歯状に形成する」との構成を適用することは、当業者が容易に想到し得たことであり、引用文献2にくし歯部分の電極を切断することにより抵抗値を調整する点が記載されているとしても、それが引用発明に引用文献2記載事項を適用することの阻害要因になるともいえない。 よって、審判請求人の上記主張は採用できない。 (5)小括 以上より、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 る。 3 補正の却下の決定についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~16に係る発明は、出願時の特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の[理由]1(2)に示した請求項1の記載により特定されるとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 理由2(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開2013-197367号公報 引用文献2:特開平11-329808号公報 3 引用文献の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~2の記載事項、引用文献1に記載された発明(引用発明)及び引用文献2記載事項は、上記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 (1)本願発明は、上記第2の[理由]2で独立特許要件の検討をした本件補正発明において、「前記電極は前記機能層の直接下面に形成されて」いるとの発明特定事項、及び、「前記機能層は、前記担体のエッジ領域から離間して、前記電極フィンガの領域に形成されている」との発明特定事項を削除して拡張したものである。 (2)本願発明と引用発明との対比は、上記第2の[理由]2(3)で示したとおりである。 そして、本願発明は、本件補正発明から上記(1)で示した発明特定事項を削除して拡張したものであるから、上記第2の[理由]2(4)で検討したのと同様の理由により、本願発明は、引用発明及び引用文献2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 よって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の理由及び他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-007740

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