特許拒絶査定不服審判
2020-013839
熱電対の終端/閉鎖および方法
- 審判番号
- 2020-013839
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-012797
- 請求日
- 2020年10月02日
- 審決日
- 2021年08月19日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ティーイー ワイヤー アンド ケーブル エルエルシー
- 【請求人代理人】加藤 清志
- 【請求人】シーシーピーアイ ヨーロッパ リミテッド
- 【請求人代理人】加藤 清志
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 中塚 直樹
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P18 .121-Z (G01K) / P18 .537-Z (G01K) / P18 .561-Z (G01K) / P18 .575-Z (G01K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第36条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018- 12797「熱電対の終端/閉鎖および方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月 1日出願公開、特開2019-128338〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年1月29日に出願された外国語書面出願であって(パリ優先権主張2018年1月19日、米国)、その手続の経緯の概略は次のとおりである。
平成30年 4月10日 :翻訳文の提出
平成31年 1月 4日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 7月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年 9月12日付け:拒絶理由通知書(最後)
令和 2年 3月16日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 5月27日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同年 6月 2日 :原査定の謄本の送達)
令和 2年10月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、本件補正前(令和元年7月11日付けの補正の後をいう。以下同じ。)の請求項1の記載内容を以下のように補正することを含むものである。(下線は補正箇所を示す。)
(1) 本件補正前
「 【請求項1】
熱電対ケーブルであって、
複合シース内に延在する第1の導体および第2の導体と、
金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シースと、
前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられた内部キャップおよび外部キャップとを備え、
前記第1の導体および前記第2の導体が、前記熱電対ケーブルの端部に溶接ビード熱接点を形成し、
前記内部キャップが前記ニッケル系内部シースと同じ材料から形成され、前記外部キャップが前記金属合金外部シースと同じ材料から形成される、熱電対ケーブル。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】
熱電対ケーブルであって、
複合シース内に延在する第1の導体および第2の導体と、
金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シースと、
前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられた内部キャップおよび外部キャップとを備え、
前記第1の導体および前記第2の導体が、前記熱電対ケーブルの端部に溶接ビード熱接点を形成し、
前記内部キャップが前記ニッケル系内部シースと同じ材料から形成され、前記外部キャップが前記金属合金外部シースと同じ材料から形成され、前記内部キャップは前記外部キャップより厚く、前記内部キャップおよび前記外部キャップの各厚みが均一である、熱電対ケーブル。」
2 本件補正についての当審の判断
(1) 新規事項の追加について
本件補正により、請求項1には「前記内部キャップは前記外部キャップより厚く、前記内部キャップおよび前記外部キャップの各厚みが均一であ」るとの記載が追加された。この記載は、「内部キャップ」が「外部キャップ」より厚いという関係と、それぞれのキャップの厚みが均一であるという限定をするものである。
本件補正の根拠に関し、請求人は、令和2年10月2日付け審判請求書の「(3)本願発明が特許されるべき理由」の「(b)補正の根拠の明示」において、願書に最初に添付した図面の図1、4の記載等である
と主張している。図1及び4を以下に示す。
「図1
[図:0001381362000001.jpg]
」
「図4
[図:0001381362000002.jpg]
」
まず、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、上記「内部キャップ」及び「外部キャップ」の厚さに関する直接の記載はない。
次に請求人の主張について検討すると、本願の各図面が、機器の設計図面のように厚さや大小関係などの縮尺を正確に表すものではないことは、本願の明細書の段落【0010】及び【0019】において、次の記載(下線は当審による。)があることからも明らかである。
「【0010】
本発明の実施形態は、以下の図面および説明を参照することにより、よりよく理解することができる。図の要素は、必ずしも縮尺通りではなく、当該実施形態の原理を説明することに重点が置かれている。・・・」
「【0019】
以下の本発明にかかる各種の例示的構造の説明において、本明細書の一部であり、また各種の例示的装置、システム、および本発明の様態が実施される環境を実例として示すものである添付の図面について述べる。・・・また、読み手には、添付の図面が必ずしも縮尺通りではないことを注意されたい。」
したがって、本願の図1及び図4は、発明の構成を説明するための模式図の域を出るものではなく、これらから両キャップの正確な形状やそれらの間の厚さの関係を読み取ることはできないというべきである。そうすると、補正により追加された限定については、当初明細書等には記載はなく、示唆もされていないというべきであるから、請求人の前記主張は、採用することはできない。
してみると、本件補正は、当初明細書等の記載を総合することによって導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであるから、本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
(2) 独立特許要件について
仮に本件補正が当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであるとして以下検討する。
ア 本件補正の目的
前記のとおり、本件補正は、「内部キャップ」が「外部キャップ」より厚いという関係と、それぞれのキャップの厚みが均一であるという構成を限定するものである。そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は、同一である。そうすると、本件補正のうち請求項1に係る補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について検討を行う。
イ 本件補正発明
本件補正発明は、前記1(2)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
ウ 引用刊行物
次に示す刊行物の公知日はいずれも本願の優先権主張の日より前である。
1.特表2013-527600号公報(原査定の拒絶理由で引用された引用文献1)
2.特開2008-261686号公報(原査定の拒絶理由で引用された引用文献2)
3.特開2000-227363号公報(平成31年1月4日付け拒絶理由で引用された引用文献2)
4.特開2017-116360号公報(平成31年1月4日付け拒絶理由で引用された引用文献3)
5.実用新案登録2538746号公報
6.特表2011-522261号公報
エ 引用刊行物に記載された発明等
(ア) 引用刊行物1(特表2013-527600号公報)
a 引用刊行物1には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。
「【0001】
本発明は、熱電対装置および方法に関し、特に無機絶縁金属シース(MIMS)熱電対に関する。」
「【0018】
本発明の実施形態において、熱電対は、内部シース内に延在する一対の熱電素子を備え、外部シースがこの内部シースを囲んでもよい。この内部シースおよび外部シースは、一対の同心または同軸のチューブの状態であり、互いに接触していてもよい。好適な実施形態において、内部シースおよび外部シースは二重壁シース構造の形をとってもよく、内部シースおよび外部シースは、任意で、共押出またはスエージングによって同時に形成される。」
「【0028】
現在、熱電対を形成するためには、MIMSケーブルの長さの端部は、通常、圧着または溶接(通常はTIG溶接)されて、封止端を形成する。本発明を具体化した二重シース熱電対に適用されるこの直接的な方法によると、Cr含有量の低い内部シースとCr含有量の高い外部シースとの混合により、先端部分で局地的にクロム濃度の低い(そのため、酸化耐性の低い)合金となる。この問題を解決するための封止方法としては、以下の3つが考えられる。
・内部シースの先端を除去し、先行する標準的な技術で外部シースに穴をあけて封止することにより封止を行う。MIMSケーブルがカットされると、開放端において、直径が内部シースの外径に等しいドリルまたは切削工具を用いて内部シースを所定の長さだけ除去し、ケーブルの端部に外部シースのみを残すことができる。シース内の熱電素子の端部の損傷を防ぐため、環状のドリルまたは切削工具を用いてもよい。そして、合金組成に影響を及ぼすことなく、外部シースの端部を例えば圧着および溶接することができる。
・外部シースよりもCr含有量の高い溶加材を用いる。MIMSケーブルの開放端のすき間に少量の溶加材を配置または挿入して、MIMSケーブルの端部を溶接する。溶加材の組成および質量は、Cr含有量の低い内部シースとCr含有量の高い外部シースの混合を補うように選択される。
・内部シースを圧着して溶接した後に、外部シースを封止する。これは、外部シースを溶接するが内部シースを再溶融することのないような低威力での、外部シースの圧着および溶接を伴う。また、外部シースおよび溶加材を溶接するが内部シースを再溶融することのないような低威力で外部シースを溶接する前に、溶加材を配してもよい。」
「【0036】
図1は、複合シース6内に延在する2個の熱電素子2,4を備える熱電対の横断面図である。この熱電素子は、K型またはN型熱電対などの従来の熱電対のものと同様である。熱電対の長さに沿って、熱電素子は、従来の熱電対と同様、互いにおよびシースの内表面から、絶縁セラミックス素材8によって絶縁されている。
【0037】
このシースはチューブ状をしており、内部シース10と外部シース12とを備える。外部シースはインコネル600などの従来の酸化耐性のある合金からなるが、従来の環境耐性のある合金であればどの合金からなってもよい。内部シースはニッケルベースの合金270(ニッケル270)からなるが、上述したニッケルベースの組成物のうち、どの組成物からなってもよい。この熱電対は、1000℃を越えるような高温での動作を目的としている。この温度範囲において、従来の熱電対では、インコネル600に含有されるマンガンおよびクロムにより、熱電素子の汚染、ひいてはドリフトが引き起こされる。本実施形態において、内部シースは拡散障壁となって外部シースのマンガンまたはクロムによる熱電素子の汚染を防止する。」
「
[図:0001381362000003.jpg]
」
b 引用刊行物1の前記aの記載をまとめると、引用刊行物1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
<引用発明>
「複合シース6内に延在する2個の熱電素子2,4を備える熱電対であって、(【0036】)
熱電素子は、熱電対の長さに沿って、互いにおよびシースの内表面から、絶縁セラミックス素材8によって絶縁され、(【0036】)
このシースはチューブ状をしており、内部シース10と外部シース12とを備え、外部シースはインコネル600からなり、内部シースはニッケルベースの合金270(ニッケル270)からなり(【0037】)、内部シースおよび外部シースは、互いに接触し(【0018】)、
内部シースを圧着して溶接した後に、外部シースを溶接して封止する(【0028】)、熱電対。」
(イ) 引用刊行物2~6
a 引用刊行物2(特開2008-261686号公報)には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。
「【0001】
本発明は、温度計測用のシース熱電対に関し、特に、天然ガスからガソリン等の石油製品を製造するGTL(Gas to Liquid)技術や、同じく天然ガスやバイオマス等から製造されるDME(Dimethyl Ether:ジメチルエーテル) などのグリーンエネルギーを生成する設備の温度計測に好適に使用されるシース熱電対に関する。」
「【0028】
次に、図2(c),図3(c)に示すように、従来と同様、熱電対素線21,21の先端同士を寄せて溶接して温接点22を形成した後、無機絶縁物を埋め戻し、内側シース11の先端部に当該シースと同材料からなるプラグ材13をはめ込んで封止し、これによりシース先端の測温部が形成される。プラグ材13は嵌め込んでおくだけでよく、従来のように溶接する必要はない。尚、その他の方法としては、内側シース11に予め温接点22を形成した一対の熱電対素線21を挿入した後、該温接点22を無機絶縁物3により埋没させる方法を採用することも勿論可能である。また、プラグ材13を用いる代わりに、溶接棒を用いて溶接封止してもよいし、後述する先端封止部4の形成方法と同様に内側シース11の先端部位を溶融してドーム状に封止することも可能である。また、接触型のシース熱電対を構成してもよい。この場合、プラグ材13を使用する代わりに溶接盛りなど、従来と同様の方法で内側シース先端に接触させて構成すればよい。
【0029】
そして、図2(d),図3(d)に示すように、延出した外側シース12の先端部位14を溶融し、当該外側のシース材からなる先端封止部4を形成する。この際、内側シース11に嵌め込まれたプラグ材13も一体的に溶接されることとなる。より詳しくは、先端部位14の先端縁から全周にわたって略均一に溶融させることにより、略半球形状の先端封止部4が形成される。溶融手法としては、特に制限されるものではないが、容易かつ確実に気密封止できることから溶接が用いられる。具体的には、溶接棒は用いずにアーク溶接またはTIG溶接により先端部位14を溶融させる。このように先端部位14を溶融することにより、余分な気泡の噛み込みが殆どなく気密性が高いものを作製でき、外側シース材を溶かしたものであるため先端封止部4からの浸炭やメタルダスティングを確実に防止できる。」
「図2
[図:0001381362000004.jpg]
」
「図3
[図:0001381362000005.jpg]
」
b 引用刊行物3(特開2000-227363号公報)には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、処理される半導体ウエハの温度を測定するための改良された接触温度プローブに関し、特に、より正確な温度読み取りを可能にする温度プローブに関する。」
「【0017】図3A,3Bは、図1および図2の実施形態と同様な構造を有する本発明の他の実施形態を示している。この場合、2つのリード線10',12'は、ビード13を形成するために一緒に溶接される。この溶接は、接合部での接触をより良好にし、さらに、溶接されないビード(一般的に、線を単に撚り合わすことによって作られる)を有して、その結果、電気ノイズを少なくする。」
「【図3】
[図:0001381362000006.jpg]
」
c 引用刊行物4(特開2017-116360号公報)には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。
「【0001】
本発明は、測温接点が設けられた一対の熱電対素線を有する温度センサに関する。」
「【0018】
次に、本形態の温度センサ1を製造する方法について説明する。
まず、図2に示すように、長尺状のシースピン素材を必要な長さのシースピン20に切断し、図3に示すように、シースピン20の先端部における第1充填材4Aと一対の熱電対素線3とを除去する。このとき、外管2内には凹部23が形成される。次いで、図4に示すように、シースピン20の先端部における第1充填材4Aを掻き出し、一対の熱電対素線3の先端側部分32を第1充填材4Aから突出させる。このとき、外管2内には凹部24が形成される。次いで、図5に示すように、一対の熱電対素線3の先端側部分32を折り曲げるとともに、この先端側部分32の先端部同士を互いに合わせる。そして、図6に示すように、レーザー溶接によって一対の熱電対素線3の先端を接合し、この先端に測温接点31を形成する。」
「【図6】
[図:0001381362000007.jpg]
」
d 引用刊行物5(実用新案登録2538746号公報)には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。
「【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、高温測定用のシース型熱電対の先端構造に関するものである。」
「【0010】図1(c) は、熱電対1の先端構造を示す側断面図である。図示するように、この熱電対1は、タンタル(Ta)からなる筒状のシース2内部に、二本の素線3a,3b(タングステン レニウム5%:タングステン レニウム26% )が長手方向に沿って収容されている。これら素線3a,3b(W-Re5%:W-Re26%)は、その先端部が接合(接合部4)されており、シース2内部に充填された絶縁材(後述するボロンナイトライド5とマグネシア6)によって、シース2内面に接触しないように支持されている。
【0011】上記絶縁材5,6は、素線3a,3b先端の近傍部にあってはボロンナイトライド(BN)5が用いられ、それ以外に部分にあってはマグネシア(MgO) 6が用いられている。また、筒状シース2先端の開口部7には、シース2と同じ材質の即ちタンタル製の蓋材8が溶接によって取り付けられている。」
「【0014】次に、図1(b) に示すように、シース2内部先端のマグネシア6を掻き出すことによって取り除き、露出した素線3a,3b(W-Re5%:W-Re26%)の先端同志をアルゴン溶接によって接合(接合部4)する。溶接接合後、接合部4の健全性をチェックすべく素線3a,3bの他端3x,3yにテスターを当て、接合部4の導通チェックを行う。
【0015】次に、図1(c) に示すように、シース2内部先端のマグネシア6を取り除いた部分に、代わりにボロンナイトライド5を充填する。このボロンナイトライド5の融点(3130℃)は、マグネシア6の融点(2800℃)よりもタンタル(部材2,8)の融点(2996℃)よりも高い。このボロンナイトライド5は、粉体・粒体状のものが用いられる。
【0016】その後、シース2先端の開口部7に蓋材8をあてがって、蓋材8と開口部7との周囲を溶接し、シース先端開口部7を閉塞する。なお、上記蓋材8を用いることなく、シース先端の開口部7を直接溶融して閉塞してもよい。」
「図1
[図:0001381362000008.jpg]
」
e 引用刊行物6(特表2011-522261号公報)には、以下の記載がある。下線は、当審が付した。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度センサに関するものであって、具体的には、優れた精度及び高い動作温度範囲を有し、高振動環境においても動作可能な温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
工業の処理工程における処理流体の温度は、この流体中に設けられる温度センサ或いはプローブで計測するのが一般的である。このような温度センサには、熱電対または抵抗温度検知素子(RTD検出素子)を用い、温度に相関した電気信号を発生させるようにすることもできる。」
「【0010】
MIケーブル12は、RTD温度センサ10の基部側端部(図示せず)から、RTD温度センサ10のもう一方の端部となるセンサ容器14まで延びている。MIケーブル12は、外側筒状部20、導電線22a、22b、22c及び22d、並びに無機絶縁粉末からなる充填材を有している。一実施形態において、外側筒状部20は321ステンレス鋼からなり、導電線22a~22dはニッケル線であり、無機絶縁充填材24は酸化マグネシウム(MgO)粉末からなる。
【0011】
センサ容器14は、延長筒状部30とエンドキャップ32とを備えている。延長筒状部30の一端部は外側筒状部20の端部に溶接されており、延長筒状部30の他端部にはエンドキャップ32が溶接されることによりセンサ容器14の端部が閉塞されている。一実施形態において、延長筒状部30及びエンドキャップ32は、いずれも316ステンレス鋼で形成されている。また、別の実施形態として、延長筒状部30は316Lステンレス鋼、321ステンレス鋼、或いは316Tiステンレス鋼で形成するようにしてもよい。」
「図1
[図:0001381362000009.jpg]
」
f 前記a(【0028】)、b(【0017】)、c(【0018】)、d(【0014】)の記載から、以下の技術事項は周知であるといえる。
「熱電対素線の先端同士を溶接して接点(ビード)を形成した熱電対。」(以下「周知技術1」という。)
g 前記d(【0011】、【0016】、図1(c))、e(【0011】、図1)の記載から、以下の技術事項は周知であるといえる。
「シースと同じ材質の厚みが均一である板状部材(キャップ)を溶接してなる熱電対の端部閉塞構造。」(以下「周知技術2」という。)
オ 対比・判断
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 引用発明の「熱電対」は、「複合シース6内に延在する2個の熱電素子2,4を備える」ものであって、しかも「このシースはチューブ状をして」いるものであるから、本件補正発明の「熱電対ケーブル」に相当する。
(イ) 引用発明の「内部シース10と外部シース12とを備え」る「シース」は、本件補正発明の「複合シース」に相当するから、引用発明の「複合シース6内に延在する2個の熱電素子2,4」は、本件補正発明の「複合シース内に延在する第1の導体および第2の導体」に相当する。
(ウ) 引用発明の「インコネル600からな」る「外部シース」は、本件補正発明の「金属合金外部シース」に相当し、また、引用発明の「ニッケルベースの合金270(ニッケル270)からな」り、「外部シース」と「互いに接触する」「内部シース」は、本件補正発明の「前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シース」に相当する。
(エ) 引用発明において「熱電素子は、熱電対の長さに沿って、互いにおよびシースの内表面から、絶縁セラミックス素材8によって絶縁され」ていることは、上記(ウ)をふまえると、本件補正発明において「内部シース」が「前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられ」ていることに相当する。
したがって、前記(イ)(ウ)をふまえると、引用発明の「複合シース6」は、本件補正発明の「金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シース」に相当する。
(オ) 引用発明において「内部シースを圧着して溶接した後に、外部シースを溶接して封止する」点と、本件補正発明において「前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられた内部キャップおよび外部キャップとを備え」る点とは、「内部シース」及び「外部シース」がそれぞれ溶接して封止される点で共通する。
(カ) 一致点及び相違点
前記(ア)~(オ)の対比の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、以下のとおりである。
a 一致点
「 【請求項1】
熱電対ケーブルであって、
複合シース内に延在する第1の導体および第2の導体と、
金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シースとを備え、
内部シース及び外部シースがそれぞれ溶接して封止される熱電対ケーブル。」
b 相違点
(a) 相違点1
本件補正発明においては「前記第1の導体および前記第2の導体が、前記熱電対ケーブルの端部に溶接ビード熱接点を形成」するとされているのに対し、引用発明においてはそのような接点の形成について明示されていない点。
(b) 相違点2
本件補正発明は「前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられた内部キャップおよび外部キャップとを備え」ており、「前記内部キャップが前記ニッケル系内部シースと同じ材料から形成され、前記外部キャップが前記金属合金外部シースと同じ材料から形成され、前記内部キャップは前記外部キャップより厚く、前記内部キャップおよび前記外部キャップの各厚みが均一である」とされているのに対し、引用発明においては「内部シースを圧着して溶接した後に、外部シースを溶接して封止する」とされている点で、両者は一応相違する。
(キ) 相違点についての判断
a 相違点1について
前記「エ」の「(イ)」「f」で述べたように、「熱電対素線の先端同士を溶接して接点(ビード)を形成した熱電対。」は周知(「周知技術1」)であって、引用発明の熱電対として周知技術1のものを採用し、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものであるといえる。
b 相違点2について
(a) 本願明細書の段落【0030】~【0032】において、「シース閉鎖部460を設けるために追加の材料を用いることなく設けることができる」実施例が説明されているが、当該実施例の概略寸法を示す【0032】の【表4】には、次のように記載されている。
「【表4】
[図:0001381362000010.jpg]
」
このように、【表4】においては「溶接キャップ厚み」との文言が用いられており、本願明細書においては、別部材を用いて作成された端部の閉塞構造に限らず、シースのみで追加の材料を用いることなく設けられた閉塞構造も「キャップ」と呼称されていることが明らかである。
そうすると、相違点2に係る本件補正発明の構成のうち、「前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられた内部キャップおよび外部キャップとを備え」ており、「前記内部キャップが前記ニッケル系内部シースと同じ材料から形成され、前記外部キャップが前記金属合金外部シースと同じ材料から形成され」ている点は、引用発明の「内部シースを圧着して溶接した後に、外部シースを溶接して封止する」ことによる構成と実質的に同一である。
「前記内部キャップおよび前記外部キャップの各厚みが均一である」とする点について検討すると、キャップの厚みを均一とすることは、周知(「周知技術2」)であって、自明の選択肢にすぎないから、このような構造を採用することは、当業者にとっては設計事項にすぎない。
また、「前記内部キャップは前記外部キャップより厚く」されている点について検討すると、そもそもこの点に関しては、「内部キャップ」が「外部キャップ」より厚いか、薄いか、同じ厚さであるかの3つの選択肢しかないことは自明であって、例えば各シースの厚さや要求される先端部の強度、熱伝導性能、溶接の手法など種々の条件を勘案して、この3つのいずれかを選択する程度のことは、設計時における通常の選択事項にすぎないし、「内部キャップ」を「外部キャップ」より厚くすることによる技術効果は本願の明細書には説明がなく、効果上の格別顕著性も認めることはできないから、設計上の微差にすぎない。
したがって、相違点2に係る本件補正発明の構成は、格別のものではない。
(b) また、仮に本件補正発明の「キャップ」がシースと別部材のもののみを指すとしても、前記「エ」の「(イ)」「g」で述べたように、「シースと同じ材質の厚みが均一である板状部材(キャップ)を溶接してなる熱電対の端部閉塞構造。」は周知(「周知技術2」)であって、引用発明の内部シース及び外部シースの封止に周知技術2を採用することは、当業者が容易に想到し得たものであるといえる。またその際に、それぞれのキャップの厚さをどのようなものとするかは、各シースの厚さや要求される先端部の強度、熱伝導性能など種々の条件を勘案して適宜選択されるべき設計事項にすぎない。
したがって、仮に本件補正発明の「キャップ」がシースと別部材のもののみを指すとしても、相違点2に係る本件補正発明の構成は、格別のものではない。
c 作用効果について
本件補正発明の奏する作用効果には、引用発明と周知の技術事項から予測されるものを超える格別顕著なものは認められない。
カ 独立特許要件についての判断のまとめ
よって、本件補正発明は、引用発明及び前記周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
(3) 本件補正についての当審の判断のむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
また、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
第3 本願発明について1 本願に係る発明
本件補正は、前記第2において述べたとおり却下されたので、本願の請求項1から30に係る発明(以下、請求項の番号に応じて「本件発明1」などという。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1から30に記載された事項により特定されるとおりのものであるが、本件補正前の特許請求の範囲の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
熱電対ケーブルであって、
複合シース内に延在する第1の導体および第2の導体と、
金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シースと、
前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられた内部キャップおよび外部キャップとを備え、
前記第1の導体および前記第2の導体が、前記熱電対ケーブルの端部に溶接ビード熱接点を形成し、
前記内部キャップが前記ニッケル系内部シースと同じ材料から形成され、前記外部キャップが前記金属合金外部シースと同じ材料から形成される、熱電対ケーブル。
【請求項2】
前記第1の導体および前記第2の導体がレーザー溶接され、前記溶接閉鎖領域がレーザー溶接された、請求項1に記載の熱電対ケーブル。
【請求項3】
前記第1の導体および前記第2の導体は、絶縁セラミック材料によって、互いに絶縁され、前記複合シースの内表面からも絶縁される、請求項1に記載の熱電対ケーブル。
【請求項4】
前記金属合金外部シースは、耐酸化性合金から形成される、請求項1に記載の熱電対ケーブル。
【請求項5】
前記金属合金外部シースは、耐環境性合金から形成される、請求項1に記載の熱電対ケーブル。
【請求項6】
前記内部キャップおよび前記外部キャップは、前記熱電対ケーブルにフィットするサイズである、請求項1に記載の熱電対ケーブル。
【請求項7】
前記金属合金外部シースは、インコネル600、エキゾチック金属または基準外金属のシージングから形成される、請求項1に記載の熱電対ケーブル。
【請求項8】
熱電対ケーブルであって、
複合シース内に延在する第1の導体および第2の導体と、
金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シースと、
前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられた外部キャップとを備え、
前記第1の導体および前記第2の導体が、前記熱電対ケーブルの端部に溶接ビード熱接点を形成し、
前記外部キャップが前記金属合金外部シースと同じ材料から形成される、熱電対ケーブル。
【請求項9】
前記第1の導体および前記第2の導体は、絶縁セラミック材料によって、互いに絶縁され、前記複合シースの内表面からも絶縁される、請求項8に記載の熱電対ケーブル。
【請求項10】
前記金属合金外部シースは、耐酸化性合金から形成される、請求項8に記載の熱電対ケーブル。
【請求項11】
前記金属合金外部シースは、耐環境性合金から形成される、請求項8に記載の熱電対ケーブル。
【請求項12】
前記外部キャップは、前記熱電対ケーブルにフィットするサイズである、請求項8に記載の熱電対ケーブル。
【請求項13】
前記金属合金外部シースは、インコネル600、エキゾチック金属または基準外金属のシージングから形成される、請求項8に記載の熱電対ケーブル。
【請求項14】
熱電対ケーブルであって、
複合シース内に延在する第1の導体および第2の導体と、
金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シースと、
前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられたキャップとを備え、
前記第1の導体および前記第2の導体が、前記熱電対ケーブルの端部に溶接ビード熱接点を形成し、
前記キャップが、前記金属合金外部シース材料に適合する外方部と、前記ニッケル系内部シース材料に適合する内方部とを含む、熱電対ケーブル。
【請求項15】
前記キャップの前記内方部および前記外方部は、それぞれ、前記キャップの両半分である、請求項14に記載の熱電対ケーブル。
【請求項16】
前記第1の導体および前記第2の導体は、絶縁セラミック材料によって、互いに絶縁され、前記複合シースの内表面からも絶縁される、請求項14に記載の熱電対ケーブル。
【請求項17】
前記金属合金外部シースは、耐酸化性合金から形成される、請求項14に記載の熱電対ケーブル。
【請求項18】
前記金属合金外部シースは、耐環境性合金から形成される、請求項14に記載の熱電対ケーブル。
【請求項19】
前記キャップは、前記熱電対ケーブルにフィットするサイズである、請求項14に記載の熱電対ケーブル。
【請求項20】
前記金属合金外部シースは、インコネル600、エキゾチック金属または基準外金属のシージングから形成される、請求項14に記載の熱電対ケーブル。
【請求項21】
熱電対ケーブルであって、
複合シース内に延在する第1の導体および第2の導体と、
金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シースと、
前記熱電対ケーブルの端部に設けられた冷かしめシース閉鎖部とを備え、
前記第1の導体および前記第2の導体が、前記熱電対ケーブルの端部に溶接ビード熱接点を形成し、
前記冷かしめシース閉鎖部は、前記金属合金外部シースと同じ材料から形成される上半分と、前記ニッケル系内部シースと同じ材料から形成される下半分とを含む、熱電対ケーブル。
【請求項22】
前記第1の導体および前記第2の導体は、絶縁セラミック材料によって、互いに絶縁され、前記複合シースの内表面からも絶縁される、請求項21に記載の熱電対ケーブル。
【請求項23】
前記金属合金外部シースは、耐酸化性合金から形成される、請求項21に記載の熱電対ケーブル。
【請求項24】
前記金属合金外部シースは、耐環境性合金から形成される、請求項21に記載の熱電対ケーブル。
【請求項25】
前記金属合金外部シースは、インコネル600、エキゾチック金属または基準外金属のシージングから形成される、請求項21に記載の熱電対ケーブル。
【請求項26】
熱電対ケーブルであって、
複合シース内に延在し、レーザー溶接された第1の導体および第2の導体と、
金属合金外部シースと、前記第1の導体および前記第2の導体と前記金属合金外部シースとの間に配置され、前記第1の導体および前記第2の導体に沿って前記金属合金外部シースと接触して設けられたニッケル系内部シースとを有する前記複合シースと、
前記熱電対ケーブルの溶接閉鎖領域における前記熱電対ケーブルの端部に設けられた単一の圧縮キャップとを備え、
前記第1の導体および前記第2の導体が、前記熱電対ケーブルの端部に溶接ビード熱接点を形成し、
前記単一の圧縮キャップは、前記金属合金外部シースと同じ材料から形成される上半分と、前記ニッケル系内部シースと同じ材料から形成される下半分とを含み、
前記溶接閉鎖領域はレーザー溶接される、熱電対ケーブル。
【請求項27】
前記第1の導体および前記第2の導体は、絶縁セラミック材料によって、互いに絶縁され、前記複合シースの内表面からも絶縁される、請求項26に記載の熱電対ケーブル。
【請求項28】
前記金属合金外部シースは、耐酸化性合金から形成される、請求項26に記載の熱電対ケーブル。
【請求項29】
前記金属合金外部シースは、耐環境性合金から形成される、請求項26に記載の熱電対ケーブル。
【請求項30】
前記金属合金外部シースは、インコネル600、エキゾチック金属または基準外金属のシージングから形成される、請求項26に記載の熱電対ケーブル。」
2 原査定における拒絶の理由1、2の概要
理由1
本件発明1-30は、以下の引用文献1、2に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
理由2
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
記
・請求項 7,13,20,25,30
請求項7,13,20,25,30には、「前記金属合金外部シースは、インコネル600、エキゾチック金属または基準外金属のシージングから形成される」と記載されているが、「エキゾチック金属」及び「基準外金属」という用語の定義が不明であるため、どのような金属であれば「エキゾチック金属」または「基準外金属」に含まれるのかが不明確である。
よって、請求項7,13,20,25,30に係る発明の範囲は不明確である。
<引用文献等一覧>
1.特表2013-527600号公報(前記引用刊行物1と同じ。)
2.特開2008-261686号公報(前記引用刊行物2と同じ。)
3 引用文献に記載された発明等
上記引用文献1には、前記第2の2(2)エ(ア)bにおいて示したとおりの引用発明が記載されている。
4 判断
理由1について
本件発明1は、本件補正発明における「前記内部キャップは前記外部キャップより厚く、前記内部キャップおよび前記外部キャップの各厚みが均一であ」るという限定を省いたものである。
そうすると、前記第2の2(2)オにおいて示した理由により、本件補正発明は、引用発明及び前記周知技術1、2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。
理由2について
「エキゾチック金属」及び「基準外金属」という用語の定義が不明であるため、どのような金属であれば「エキゾチック金属」または「基準外金属」に含まれるのかを特定することはできない。
したがって、本願請求項7,13,20,25,30に係る発明の範囲は不明確である。
なお、「エキゾチック金属」及び「基準外金属」という用語の定義について、審判請求人は何ら説明を行っていない。
第4 むすび
以上のとおり、本件発明1は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
また、本願請求項7,13,20,25,30の記載は特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-013839