特許拒絶査定不服審判
2024-005675
温度検出装置及び配線部品
- 審判番号
- 2024-005675
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-057397
- 請求日
- 2024年04月05日
- 審決日
- 2025年05月07日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社プロテリアル
- 審判長/審判官
- 審判長 濱野 隆
- 審判官 喜々津 徳胤
- 審判官 谷垣 圭二
- 分類
- P18 .121-Z (G01K) / P18 .575-Z (G01K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 57397「温度検出装置及び配線部品」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年10月 7日出願公開、特開2021-156730〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年3月27日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 4月17日付け:拒絶理由通知書
同年 6月16日 :意見書、手続補正書の提出
同年 8月23日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年10月 5日 :意見書、手続補正書の提出
同月31日付け:拒絶理由通知書(最後)
同年11月27日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 1月 9日付け:補正の却下の決定
同日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月16日 :原査定の謄本の送達)
同年 4月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年4月5日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年4月5日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年4月5日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年10月5日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項1】
導線の温度を検出する温度検出装置であって、
その内面に接するように前記導線を設置することができる第1の凹部を有する導線ホルダと、
前記導線の温度を検知する温度センサと、
第2の凹部を有し、前記導線ホルダと対向するセンサカバーと、
を備え、
前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔に前記導線を収容するように、前記導線を挟み込んだ状態で前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられることにより、前記導線に組み付けることができ、
前記導線ホルダは、前記導線ホルダと前記センサカバーとが対向する対向方向と交差する方向に凹む凹部を有するとともに、前記センサカバーは、前記温度センサを収容する空隙を有するとともに、前記対向方向と交差する方向に突出する突起を前記空隙よりも前記導線ホルダ側に有し、
前記突起が前記凹部に嵌め込まれることにより、前記導線ホルダに前記センサカバーが取りけられる、
温度検出装置。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】
導線の温度を検出する温度検出装置であって、
その内面に接するように前記導線を設置することができる第1の凹部を有する導線ホルダと、
前記導線の温度を検知する温度センサと、
前記温度センサを収容する空隙を有すると共に、第2の凹部を有し、前記導線ホルダと対向するセンサカバーと、
前記温度センサに接続され前記空隙から延出するリード線と、
を備え、
前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔に前記導線を収容するように、前記導線を挟み込んだ状態で前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられることにより、前記導線に組み付けることができ、
前記導線ホルダは、前記導線ホルダと前記センサカバーとが対向する対向方向と交差する方向に凹む凹部を有するとともに、前記センサカバーは、前記対向方向と交差する方向に突出する突起を前記空隙よりも前記導線ホルダ側に有し、
前記突起が前記凹部に嵌め込まれることにより、前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられ、
前記空隙内に充填され、前記温度センサと前記リード線とを覆う封止材をさらに備える、
温度検出装置。」
2 補正の目的
本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「導線の温度を検知する」ための構成について、「温度センサに接続され前記空隙から延出するリード線」を含むものに限定するとともに、同じく本件補正前の請求項1に記載された「空隙」に「温度センサを収容する」ための構成について、「空隙内に充填され、前記温度センサと前記リード線とを覆う封止材をさらに備える」ものに限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成X(X’)と構成Aから構成Gまでに分説する。また、参考図として、本願の【図3】及び【図4】を掲載する。
<本件補正発明の分説>
X’導線の温度を検出する温度検出装置であって、
A その内面に接するように前記導線を設置することができる第1の凹部を有する導線ホルダと、
B 前記導線の温度を検知する温度センサと、
C 前記温度センサを収容する空隙を有すると共に、第2の凹部を有し、前記導線ホルダと対向するセンサカバーと、
D 前記温度センサに接続され前記空隙から延出するリード線と、
を備え、
E 前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔に前記導線を収容するように、前記導線を挟み込んだ状態で前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられることにより、前記導線に組み付けることができ、
F1 前記導線ホルダは、前記導線ホルダと前記センサカバーとが対向する対向方向と交差する方向に凹む凹部を有するとともに、前記センサカバーは、前記対向方向と交差する方向に突出する突起を前記空隙よりも前記導線ホルダ側に有し、
F2 前記突起が前記凹部に嵌め込まれることにより、前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられ、
G 前記空隙内に充填され、前記温度センサと前記リード線とを覆う封止材をさらに備える、
X 温度検出装置。
<参考図>
【図3】 【図4】
[図:0001424281000001.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、温度検出装置及び配線部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転電機のコイルに組みつけて用いられ、コイルの温度を検出する温度検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の温度検出装置は、サーミスタ素子と、サーミスタ素子をコイルに保持するホルダとを備え、ホルダは、サーミスタ素子の感熱体の一部を保持する感熱体ホルダと、サーミスタ素子の電線を保持する電線ホルダとを備えている。
【0003】
また、特許文献1に記載の温度検出装置は、その製造過程においてコイルに組み付けられる。具体的には、特許文献1に記載の温度検出装置の製造工程は、サーミスタ素子を電線ホルダに組み付ける工程と、電線ホルダの把持部に平角線形状のコイル要素を嵌める工程と、感熱体ホルダの把持部に平角線形状のコイル要素を嵌める工程と、ポッティングにより樹脂を供給して硬化させることによりサーミスタ素子の感熱体をコイル要素に固定する工程と、コイル要素、感熱体ホルダ、電線ホルダ、及びサーミスタ素子が組み付けられた構造を金型の内側に配置し、樹脂モールドを射出成形することにより、これらを一体的に固定する工程などを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-12083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の温度検出装置は、その製造過程においてコイルに組み付けられるため、コイルへの組み付けに長い時間を要する。また、上記の電線ホルダや感熱体ホルダの把持部にコイル要素を嵌める工程において、把持部の先端に設けられた把持爪を平角線形状のコイル要素の裏面の縁に引っ掛けて固定するため、コイル要素が丸線形状の場合、電線ホルダや感熱体ホルダをコイル要素に固定することができない。
【0006】
したがって、本発明の目的は、温度検出対象の導線に短時間でかつ導線の形状に依らずに組み付けることができる温度検出装置、及びその温度検出装置を備えた配線部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、導線の温度を検出する温度検出装置であって、その内面に接するように前記導線を設置することができる第1の凹部を有する導線ホルダと、前記導線の温度を検知する温度センサと、前記温度センサを保持すると共に、第2の凹部を有するセンサカバーと、を備え、前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔に前記導線を収容するように、前記導線を挟み込んだ状態で前記導線ホルダに前記センサカバーを取り付けることにより、前記導線に組み付けることができる、温度検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、温度検出対象の導線に短時間でかつ導線の形状に依らずに組み付けることができる温度検出装置、及びその温度検出装置を備えた配線部品を提供することができる。」
「 【0014】
温度検出装置1は、導線ホルダ11とセンサカバー12で挟み込むことにより導線2に固定されるため、貫通孔15の形状を導線2の形状に合わせれば、導線2の形状に依らずに導線2に組み付けることができる。例えば、導線2が平角線形状を有する場合は、第1の凹部111と第2の凹部121は、貫通孔15が導線2と同じ平角線形状(直方体)になるような形状を有する。また、導線2の温度検出装置1を固定する部分がその長さ方向に沿って湾曲している場合は、それに応じて貫通孔15もその長さ方向に沿って湾曲させることができる。
【0015】
センサカバー12の第2の凹部121の内面を導線2に面接触させることにより、導線2の熱を効率的にセンサカバー12及び温度センサ13へ伝えることができ、それによって温度センサ13による導線2の温度の計測精度が向上する。
【0016】
センサカバー12は、導線ホルダ11への取付を容易かつ短時間で行うため、ネジなどの固定用部品を用いることなく導線ホルダ11に取り付けられることが好ましい。すなわち、導線ホルダ11とセンサカバー12のいずれか一方又は両方が、センサカバー12を導線ホルダ11に取り付けるための取付部を有することが好ましい。
【0017】
図1、図2に示される例では、導線ホルダ11とセンサカバー12が、スナップフィット構造を構成する取付部である、先端に突起を有する弾性部124と突起受け部112とをそれぞれ有する。このスナップフィット構造については後述する。」
「【図1】
[図:0001424281000002.jpg]
」
「【図2】
[図:0001424281000003.jpg]
」
「 【0023】
センサカバー12を導線ホルダ11に取り付ける際に、センサカバー12を弾性部124側から導線ホルダ11に押し付けると、弾性部124は外側に開くように弾性変形し、突起125を導線ホルダ11の両側面に滑らせてセンサカバー12を導線ホルダ11に近づけることができる。そして、突起125が突起受け部112に達すると、弾性変形に対する復元力により、弾性部124が内側に閉じて突起125が凹部である突起受け部112に嵌め込まれる。これによって、弾性部124が導線ホルダ11を挟み込むようにして固定され、センサカバー12が導線ホルダ11に取り付けられる。したがって、センサカバー12を導線ホルダ11側に押し込むだけで、センサカバー12が導線ホルダ11に取り付けられ、センサカバー12に保持される温度センサ13の設置ができる。」
「 【0027】
…(中略)…温度センサ13は、空隙122に収容され、封止材123に封止されることにより、センサカバー12の内部に埋め込まれる。」
「 【0031】
リード線16のリード線心線161と絶縁体162の端部の両方が空隙122に収容され、封止材123に封止されることが好ましい。これによって、リード線16の引張応力に対する耐久性を向上させ、リード線16に急激な応力などが掛かった場合でも断線を抑えることができる。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である実願平3-17248号(実開平4-106735号)のマイクロフィルム(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 段落【0001】~【0009】
「【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は電気導体温度検出器に係り、特に電線およびケーブル導体の導体温度を遠方監視に供する電気導体温度検出器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、比較的大量の電流が流れる電力および動力回路の回路を構成する電線およびケーブル導体に通電すると、電気導体固有抵抗により常時ジュール熱が発生している。
【0003】
このジュール熱は、電線およびケーブルの布設場所の環境または条件の変化により、電線およびケーブルの導体を過熱させ、当該電線およびケーブルの劣化または最悪の場合には火災を招く虞がある。
【0004】
しかし従来においては電線およびケーブルの布設場所の環境または条件の変化により電線およびケーブル導体の過熱を有効に検出する手段がなく事故を未然に防ぐことができない欠点がある。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は、前記した従来技術の欠点を解消し、電線およびケーブルの布設場所の環境または条件の変化により発生易い電気導体の過熱を遠隔的にも検出できるようにした電気導体温度検出器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本考案に係る電気導体温度検出器は、電線あるいはケーブル導体の任意箇所を圧着保持する導熱材により形成された挟着体を備えるとともに、この挟着体には熱電対または測温抵抗体の一端が差込まれる挿入部を形成し、当該挿入部に前記熱電対または測温抵抗体を固着して一体化し前記電線あるいはケーブル導体の温度検出を可能としたものである。
【0007】
【作用】
上記構成によれば、例えば前記挟着体を2分割円筒形嵌合構造とし、電線およびケーブルの導体を挟着保持する。これには熱電対または測温抵抗体の端部が挿入される挿入部が設けられ、予め溶着されているので、導体の挟着と同時に導体の温度測定状態になる。この結果、電気導体からの発熱量は熱電対あるいは測温抵抗体に熱電導される。この熱電対および測温抵抗体に接続された温度測定用リード線を介し、このリード線のもう一方の端部に接続された測定器(電圧または電流計)により温度を表示させることができる。
【0008】
またこの測定器にメータリレーを具備させ、このメータリレーに電線およびケーブルの導体過熱温度を任意に設置することにより、電線およびケーブルの導体が任意の過熱温度に達したときにメータリレーが動作し、このメータリレーと組合せた警報装置により警報表示並びに警報音で電線およびケーブルの導体過熱を容易に認識できるように構成することができる。
【0009】
このようにすることによって従来電線およびケーブルの導体過熱状態は目視によってのみ判定していたのに対し遠隔場所より客観的に容易に判定を行うことができる。」
(イ) 段落【0010】~【0013】、図1、図2
「【0010】
【実施例】
以下に本考案に係る電気導体温度検出器の具体的実施例を図1~図3を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は実施例に係る電気導体温度検出器の一実施例を示す斜視図である。この図に示すように、電気導体温度検出器10は電線およびケーブルの導体を容易に嵌合挟着できる一対の挟着板を備えている。この挟着板は当該実施例ではそれぞれ半円筒状に形成された導体嵌合上板11と導体嵌合下板12で構成され、両者を円筒状に組み付けることにより、中央に電線およびケーブルの円柱導体を嵌合させることができるようになっている。導体への着脱を容易にするため、上板11と下板12の両縁部にはフランジ11A、12Aが形成され、一方の対向フランジ11A、12Aにおいて、下板12側には逆L字状に爪部13を形成して上板11側のフランジ11Aに係合させ、他方の対向フランジ11A、12Aをボルト14、ナット15によって締め付けるようにしている。これによって温度検出器10は電線およびケーブルの導体に対し容易に且つ十分に締結される。」
「【図1】
[図:0001424281000004.jpg]
10:温度検出器
11:導体嵌合上板
12:導体嵌合下板
19:熱電対(または測温抵抗体)」
「【0012】
このような温度検出器10は銅、アルミニウムなどの導熱材により形成されている(導熱材であれば金属に限定しない)。
【0013】
また、図2に示すように、導体嵌合上板11の外周面に電線及びケーブルの導体軸方向に沿う膨出部が形成されており、この膨出部に対して熱電対(または測温抵抗体)19の挿入部17を形成している。この熱電対(または測温抵抗体)19の端面には膨出方向に孔を穿孔し、熱電対または測温抵抗体19の挿入孔18とする(当審注:「この熱電対(または測温抵抗体)19の端面」は、図2の記載からみて、「この熱電対(または測温抵抗体)19の挿入部17の端面」の誤記であると認める。)。そして、この挿入孔18より熱電対または測温抵抗体挿入部17を圧縮し圧着、固着する。」
「【図2】
[図:0001424281000005.jpg]
」
(ウ) 段落【0014】~【0019】、図3
「【0014】
次に図3を参照して電線およびケーブルの導体過熱温度を測定する方法について説明する。
【0015】
温度検出器10を前記した方法により電線およびケーブルの導体42に嵌合締結し、且つ熱電対(または測温抵抗体)19の端部は温度補償変換器36に接続する。電線およびケーブルの導体42の過熱温度はその過熱温度に比例した電圧または電流に変換された出力信号は温度計測リード線37を介して監視盤38に装備した温度計39またはメーターリレーに伝送するようにしている。
【0016】
この状態で電線またはケーブル41に通電する。その際、電線およびケーブルの導体42は布設場所の環境または条件の変化により除々に温度上昇し、その温度は熱電対または測温抵抗体19により検出され、上記温度補償変換器36で電圧または電流に変換され温度計測リード線37を介して温度計39(電圧または電流計)でその温度を容易に読み取ることができる。
【0017】
またこの温度計39をメーターリレー39Aに置き換え、このメーターリレー38Aに電線またはケーブルの導体42過熱温度を予め任意に設定すれば、電線またはケーブルの導体42が任意の過熱温度に達すると、メーターリレー39Aが動作し、メーターリレーと組合せた警報装置40により警報表示並びに警報温により電線またはケーブルの導体42の過熱を容易に認識することができることは前述したとおりである。
【0018】
図4は温度検出器の一変形例を示しもので、電気導体の形状が帯状平板形状の導体に供する温度検出器10Aを示し、電気導体挟着体43を平板状に形成したものである。このようにしても先の実施例と同様な効果が得られる。
【0019】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば電線およびケーブルの導体の任意の箇所に温度検出器を締結可能に構成したので、比較的大量の電流が流れる電力および動力回路の電線およびケーブルの導体が、環境または条件の変化により過熱した状態を目視、勘に頼ることなく容易に認識することができ、安全性を大幅に向上させることができる。」
イ 引用文献1の記載及び図面から読み取れる事項の認定
段落【0011】及び【0013】の記載を踏まえて図1及び図2を見ると、次の事項(以下「認定事項1」~「認定事項3」という。)が看取できる。
<認定事項1>「膨出部に形成された測温抵抗体19の挿入部17において、測温抵抗体19の挿入孔18が設けられていること。」
<認定事項2>「挿入孔18に測温抵抗体19が挿入されており、測温抵抗体19の導線部分が、挿入孔18から所定の長さにわたって露出していること。」
<認定事項3>「導体嵌合上板11のフランジ11Aは、挿入孔18よりも導体嵌合下板12側に配置されること。」
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、【図1】~【図3】に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「電線およびケーブル導体の導体温度の遠方監視に供する電気導体温度検出器であって、(段落【0001】)
電気導体温度検出器10は電線およびケーブルの導体を容易に嵌合挟着できる一対の挟着板を備えており、(段落【0011】)
この挟着体には測温抵抗体の一端が差込まれる挿入部を形成し、当該挿入部に測温抵抗体を固着して一体化し前記電線あるいはケーブル導体の温度検出を可能としたものであり、(段落【0006】)
この挟着板は、それぞれ半円筒状に形成された導体嵌合上板11と導体嵌合下板12で構成され、両者を円筒状に組み付けることにより、中央に電線およびケーブルの円柱導体を嵌合させることができるようになっており、(段落【0011】)
導体への着脱を容易にするため、上板11と下板12の両縁部にはフランジ11A、12Aが形成され、一方の対向フランジ11A、12Aにおいて、下板12側には逆L字状に爪部13を形成して上板11側のフランジ11Aに係合させ、他方の対向フランジ11A、12Aをボルト14、ナット15によって締め付けるようにしており、これによって温度検出器10は電線およびケーブルの導体に対し容易に且つ十分に締結されるものであり、(段落【0011】)
導体嵌合上板11の外周面に電線及びケーブルの導体軸方向に沿う膨出部が形成されており、この膨出部に対して測温抵抗体19の挿入部17を形成しており、(段落【0013】)
膨出部に形成された測温抵抗体19の挿入部17において、測温抵抗体19の挿入孔18が設けられており、(認定事項1)
挿入孔18に測温抵抗体19が挿入されており、測温抵抗体19の導線部分が、挿入孔18から所定の長さにわたって露出しており、(認定事項2)
導体嵌合上板11のフランジ11Aは、挿入孔18よりも導体嵌合下板12側に配置されるものであり、(認定事項3)
電線およびケーブルの導体42は布設場所の環境または条件の変化により除々に温度上昇し、その温度は測温抵抗体19により検出される、(段落【0016】)
電気導体温度検出器。」
(3) 引用文献5、6、11~14の記載事項及び周知技術の認定
ア 引用文献5、6、11、12に記載された事項及び周知技術1の認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である国際公開第2013/111619号(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
a 段落[0001]~[0006]
「[0001] 本発明は、ケースに収容されたセンサ素子が位置決めされた状態で保持されるセンサに関する。
…(中略)…
[0006] 本発明は、ケースに樹脂を充填することなくセンサ素子を検出感度が良好な位置に保持可能なセンサを提供することを目的としている。」
b 段落[0023]~[0038]、[図7]
「[0023] [第1実施形態]
本発明に係るセンサは、例えば車両等の車輪の回転状態を検出する回転検出センサに適用される。回転検出センサは、検出対象としての車軸に取付けられて一体回転するロータから発生される磁束の変化量を検出することによって車輪の回転状態を検出する。
…(中略)…
[0025] 図2~図6に示すように、回転検出センサ1は、センサ素子10と、センサ素子10が内装されるケース20と、ケース20の内部にセンサ素子10と共に内装されるホルダ30と、センサ素子10に電気的に接続されるケーブル40とを備える。ケース20は外面にセンサ素子10の検出面21を有する。ホルダ30は検出面21の側にセンサ素子10を押圧するよう配置されている。
[0026] ケース20は袋状に形成され、円柱状の外形であって上下に開口を有する円筒部22と、円筒部22の下方に連設される直方体状に形成されたセンサ素子収容部24とを備えている。センサ素子収容部24は、着磁ロータ3に対向する検出面21が位置する前面部26と、前面部26に対向する背面部27と、を有する。背面部27の下部には底部28に亘って内方側に突出する凸面部29が設けられている。したがって、センサ素子収容部24は前面部26と背面部27の凸面部29との間が最も狭い領域となる。
[0027] ホルダ30は、略棒状に延びるように形成され、先端側に着磁ロータ3の回転により発生する磁束の変化に応じた信号を出力するセンサ素子10としてのホールICが保持されている。ホルダ30は、先端部分においてホールIC10がケース20内に収容されるようにケース20に挿入されている。
[0028] ケース20、ホルダ30、及びケーブル40は、樹脂成形されたモールド成形部50によって被覆されている。モールド成形部50は、ケース20、ホルダ30、及びケーブル40を被覆する主被覆部51と、車両等に取付けられる固定支持部52とを備える。主被覆部51及び固定支持部52はプラスチック等の樹脂によって一体的に形成されている。このように、ケース20とケーブル40とが樹脂を用いたモールド成形部50によって一体化してあると、センサ素子(ホールIC)10を収容するケース20の姿勢とセンサ素子(ホールIC)10に電気的に接続されるケーブル40の姿勢とが共に安定するため、センサ1の検出感度を維持することができる。
…(中略)…
[0030] 図7、図8、図9及び図10に示すように、ホルダ30は、第1ホルダ部30aと、第2ホルダ部30bとを有する。第1ホルダ部30aは、ホールIC10を保持するセンサ保持部31と、ケーブル40のワイヤ41を保持する半割れの第1ワイヤ保持部33と、ケーブル40を保持する半割れの第1ケーブル保持部35とを備えられている。センサ保持部31と第1ワイヤ保持部33との間には第1接続部32が設けられており、第1ワイヤ保持部33と第1ケーブル保持部35との間には第2接続部34が設けられている。ホールIC10にはケーブル40のワイヤ41が電気的に接続される。センサ保持部31の外面であってケース20の背面部27に対向する位置には、変形可能な当接部36が備えられている。」
「[図7]
[図:0001424281000006.jpg]
」
「[0031] ホルダ30に設けられた当接部36は、ホルダ30のケース20への挿入方向に沿うよう延出されて形成された凸部である。ホルダ30をケース20内に挿入する際に当該凸部(当接部)36がホルダ30を検出面21の側に押圧しつつ案内するように働く。これにより、ケース20内へのホルダ30の挿入が容易となる。
[0032] 第2ホルダ部30bは、半割れの第2ワイヤ保持部37、半割れの第2ケーブル保持部39と、を備える。第2ワイヤ保持部37と第2ケーブル保持部39との間には、第2接続部34に向けて突出して形成された爪部38a、38aを有する第3接続部38が設けられている。爪部38a、38aが第1ホルダ部30aの第2接続部34にスナップフィットされることでホルダ30が構成され、ワイヤ41が当該ホルダ30に保持される。
[0033] 図8に示すように、回転検出センサ1は、第1ホルダ部30aのセンサ保持部31にセンサ素子10が装着された状態で、ケース20内にホルダ30のセンサ保持部31が挿入配置されて構成される。センサ素子10はホルダ30によってケース20の検出面21(前面部26の外面)側に押し付けられ位置決めされる。」
(イ) 引用文献6に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である国際公開第2012/104148号(以下「引用文献6」という。)には、次の記載がある(括弧内に当合議体が作成した日本語訳を示した。)。
a 1ページ16行
「It is an object of the present invention to provide an improved cable plug assembly.」
(本発明の目的は、改良されたケーブルプラグ組立体を提供することである。)
b 4ページ1行~35行、Figure 1、Figure 2
「Figure 1 shows a perspective view of a first cable plug 100
according to a first embodiment. The first cable plug 100 is
designed for being inserted into a seal block for providing a
sealed feedthrough of a cable that contains a plurality of fibers.
The cable may comprise a plurality of optical fibers or a plurality
of metallic electrical fibers or leads. The cable plug 100 may for
example provide a sealing level of IP55.」
(図1は、第1の実施形態による第1のケーブルプラグ100の斜視図を示す。第1のケーブルプラグ100は、複数のファイバを含むケーブルのシールされたフィードスルーを提供するためにシールブロック内に挿入されるように設計される。ケーブルは、複数の光ファイバ又は複数の金属電気ファイバ又はリードを含むことができる。ケーブルプラグ100は、例えば、IP55の封止レベルを提供することができる。)
「Figure 1
[図:0001424281000007.jpg]
」
「The first cable plug 100 comprises three sections arranged
consecutively one after another in the running direction of the
cable and the fibers of the cable. The first section comprises of a
cable sleeve 125. The second section comprises of a guidance
section 130. The third section comprises of a first fiber holder
150.The cable sleeve 125, the guidance section 130 and the first
fiber holder 150 are respectively connected to each other.
Preferentially, a base part 1 10 of the cable sleeve 125, the
guidance section 130 and the first fiber holder 150 are formed
integrally.
The cable sleeve 125 comprises of the base part 110 and a cover
part 120. The cover part 120 is shown in detail in Figure 2. The
base part 110 roughly comprises the shape of a half cylinder
barrel with an inner cable receiving section 200 comprising the
shape of a half circular cylinder. The cover part 120 also roughly
comprises the shape of a half cylinder barrel. The cover part 120
also comprises a cable receiving section 200 with the shape of a
half circular cylinder.」
(第1のケーブルプラグ100は、ケーブル及びケーブルのファイバの走行方向に連続して次々に配置された三つのセクションを含む。第1のセクションは、ケーブルスリーブ125を備える。第2のセクションは、案内セクション130を含む。第3のセクションは、第1のファイバホルダ150を備える。ケーブルスリーブ125、案内セクション130、及び第1のファイバホルダ150は、それぞれ互いに接続される。好ましくは、ケーブルスリーブ125のベース部分110、案内セクション130及び第1のファイバホルダ150は、一体的に形成される。
ケーブルスリーブ125は、ベース部110とカバー部120とからなる。
カバー部120は図2に詳細に示されている。ベース部110は、半円筒形状を有するインナーケーブル収容部200を備えた略半円筒形状を有している。また、カバー部120は、略半円筒形状を有している。また、カバー部120は、半円筒形状のケーブル収容部200を有している。)
「Figure 2
[図:0001424281000008.jpg]
」
「If the cover part 120 is connected to the base part 110, as
shown in Figure 1, the cable receiving section 200 of the base
part 110 and the cable receiving section 200 of the cover part
120 combine to form a cable receiving section 200 with the shape
of a circular cylinder. The diameter of the cable receiving section
200 is such that it matches the diameter of a cable that is to be
introduced into the first cable plug 100.
The base part 110 comprises a first locking bar and a second
locking bar. The first and second locking bars are not visible in
Figure 1. The cover part 120 comprises a first snap- fit cantilever
240 and a second snap-fit cantilever 245. The locking bars and
the snap-fit cantilevers 240, 245 together form two snap-fits for
connecting the cover part 120 to the base part 110. The
snap-fits allow for an easy and quick connection of the cover part
120 to the base part 110. In other embodiments, the cover part
120 and the base part 110 may, however, be provided with
alternative means of connecting the base part 110 and the cover
part 120 with each other, for example with a cable tie.」
(図1に示されるように、カバー部120がベース部110に接続される場合、ベース部110のケーブル受容部200とカバー部120のケーブル受容部200とが組み合わさって、円筒形状のケーブル受容部200を形成する。ケーブル受け部200の直径は、第1のケーブルプラグ100に導入されるケーブルの直径と一致するようなものである。
ベース部110は、第1のロッキングバー及び第2のロッキングバーを備える。第1及び第2のロッキングバーは図1では見えない。カバー部120は、第1のスナップフィット片持ち梁240と第2のスナップフィット片持ち梁245とを備える。ロッキングバー及びスナップフィット片持ち梁240、245は共に、カバー部120をベース部110に接続するための二つのスナップフィットを形成する。スナップフィットは、カバー部120のベース部110への容易かつ迅速な接続を可能にする。しかしながら、他の実施形態では、カバー部120及びベース部110は、ベース部110とカバー部120とを互いに接続する代替手段、例えば結束バンドを備えてもよい。)
c 5ページ36行~6ページ12行、Figure 3
「Figure 3 shows a perspective view of an enclosure 140 that
may be arranged on the guidance section 130. The enclosure 140
comprises a U-shaped cross section with a third snap-fit
cantilever 310 arranged on the end of one of the beams of the
U-shaped enclosure 140 and a fourth snap-fit cantilever 315
arranged on the end of the other beam of the U- shaped
enclosure 140. The snap-fit cantilevers 310, 315 can be snapped
onto the locking bars 300, 305 of the guidance section 130.」
(図3は、誘導セクション130上に配置され得るエンクロージャ140の斜視図を示す。エンクロージャ140は、U字形断面を備え、U字形エンクロージャ140のビームの一方の端部に配置された第3のスナップフィット片持ち梁310と、U字形エンクロージャ140の他方のビームの端部に配置された第4のスナップフィット片持ち梁315とを有する。スナップフィット片持ち梁310、315は、案内セクション130のロッキングバー300、305上にスナップフィットすることができる。)
「Figure 3
[図:0001424281000009.jpg]
」
「The guidance section 130 and the enclosure 140 may
comprise other means of connecting the guidance section 130 and
the enclosure 140 then the snap-fit connections provided by the
locking bars 300, 305 and the snap-fit cantilevers 310, 315.
The enclosure 140 serves for holding together a plurality of fibers
arranged on the guidance section 130 and prevents buckling of the
fibers in the area of the guidance section 130. In a simplified
embodiment of the first cable plug 100 the enclosure 140 may be
omitted.」
(案内セクション130及びエンクロージャ140は、案内セクション130及びエンクロージャ140を接続する他の手段、次いで、ロッキングバー300、305及びスナップフィット片持ち梁310、315によって提供されるスナップフィット接続を含み得る。
エンクロージャ140は、案内セクション130上に配置された複数のファイバを一緒に保持する働きをし、案内セクション130の領域内でのファイバの座屈を防止する。第1のケーブルプラグ1000の簡略化された実施形態では、エンクロージャ140を省略することができる。)
(ウ) 引用文献11に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2010-19409号公報(以下「引用文献11」という。)には、次の記載がある。
a 段落【0001】
「【0001】
本発明は、例えば電気機器や車体などに取り付けて、配線・配管材などの長尺体の部材を保持し固定するための長尺体保持具に関するものである。」
b 段落【0024】、【0025】、【図9】、【図10】
「【0024】
図9は本発明実施例の長尺体保持具1の使用状態、つまり、長尺体14を保持している状態を表す正面図である。
長尺体14を受け部3上に配置し、保持帯11先端にある係止爪13を、ロック部4から突出した係止凸部6にひっかけて係止させると、保持帯11、受け部3、ロック部にて囲まれている部分が、長尺体14を収納するための空間7となる。このとき、長尺体保持具1の保持帯11はヒンジ8部分を支点に受け部3側へと傾き、平仮名のくの字状に屈曲するとともに、保持帯11の裏側が長尺体14に当接するため、ヒンジ10が長尺体14の外周の形状に沿うように受け部3と反対の方向に向けて僅かに屈曲し、カーブ12は使用していない元の状態(図1)よりも僅かに開いた状態となっている。カーブ12が本体素材である樹脂の特性である弾性復元力により、元の形状(図1の状態)に戻ろうとする力が働くため、長尺体14は受け部3と保持帯11との間(空間7)に、保持帯11の裏面にて押圧されながらしっかりと挟持される。これにより長尺体14は、空間7内でガタついたり動いたりすることがない。」
「【図9】
[図:0001424281000010.jpg]
」
「【0025】
図10は本発明実施例の長尺体保持具1の使用状態を表す正面図であり、図9よりも径の大きな長尺体14を保持している状態を表す正面図である。
長尺体14を受け部3上に配置し、保持帯11先端にある係止爪13を、ロック部4から突出した係止凸部5にひっかけて係止させると、保持帯11、受け部3、ロック部にて囲まれている部分が、長尺体14を収納するための空間7となる。係止爪13を、係止凸部6よりも係止爪13に近い側にある係止凸部5に係止させたため、空間7は図9の場合より広く確保することが可能となった。
この場合、保持帯11はヒンジ8部分を支点に受け部3方向に向けて倒れるように屈曲し、長尺体14に当接する。ヒンジ9部分は屈曲せず、ヒンジ10部分が長尺体14の外周の形状に沿って、受け部3と反対の方向に向けてわずかに屈曲し、カーブ12は使用していない元の状態(図1)よりも僅かに開いた状態となっている。カーブ12が本体素材である樹脂の特性である弾性復元力により、元の形状(図1の状態)に戻ろうとする力が働くため、長尺体14は受け部3と保持帯11との間(空間7)に、保持帯11の裏面にて押圧されながらしっかりと挟持される。これにより長尺体14は、空間7内でガタついたり動いたりすることがない。」
「【図10】
[図:0001424281000011.jpg]
」
(エ) 引用文献12に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2009-192002号公報(以下「引用文献12」という。)には、次の記載がある。
a 段落【0001】
「【0001】
本発明は、配線、配管等の長尺状の結束対象物の複数本を互いに結束するために用いるクランプに関する。」
b 段落【0014】~【0019】、【図1】、【図2】
「【実施例】
【0014】
以下に、本発明の結束対象物用のクランプにかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例のクランプ1は、図1、図4に示すごとく、配線、配管等の長尺状の結束対象物5の複数本を互いに結束するために用いるものである。このクランプ1は、結束対象物5の長尺方向Lに対して直交する挟持方向Hの両側から結束対象物5を挟持する一対のクランプ挟持体2A、2Bからなる。一対のクランプ挟持体2A、2Bは、図2、図3に示すごとく、一対のクランプ挟持体2A、2Bが互いに繋がる一端部201に形成した一端側ヒンジ部24を支点にして折り合わせ、他端部202に形成した第1係止部31によって、結束対象物5を挟持した状態を維持するよう構成してある。
また、一対のクランプ挟持体2A、2Bは、結束対象物5同士の間において互いに対向する対向部22を有しており、この対向部22には、結束対象物5を挟持した状態を維持するための第2係止部41が形成してある。」
「【図1】
[図:0001424281000012.jpg]
」
「【0015】
以下に、本例の結束対象物用のクランプ1につき、図1~図4を参照して詳説する。
…(中略)…
【0019】
図2に示すごとく、第1係止部31は、一方のクランプ挟持体2Aに設けた一方側第1係止爪311Aと、他方のクランプ挟持体2Bに設けた他方側第1係止爪311Bとを係止させるよう構成してある。各第1係止爪311A、311Bは、各クランプ挟持体2A、2Bの他端部202において、各クランプ挟持体2A、2Bが互いに対向する挟持方向Hの内側に向けて突出する突出部312の先端に係止突起313を形成して構成してある。また、他方側第1係止爪311Bに対向する位置には、この他方側第1係止爪311Bとの間に一方側第1係止爪311Aを挟み込むことができる対向壁部314が形成してある。
ここで、図1においては、一方のクランプ挟持体2Aが上側に位置する状態でクランプ1を示しており、図2、図4においては、他方のクランプ挟持体2Bが上側に位置する状態でクランプ1を示している。」
「【図2】
[図:0001424281000013.jpg]
」
(オ) 周知技術1の認定
前記(ア)~(エ)に示した引用文献5、6、11、12の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)
<周知技術1>
「電気回路部品の配線を、配線の両側に配置された部材で挟持して固定する際に、配線の両側に配置された一方の部材に、配線の両側に配置された部材が対向する対向方向と交差する方向に突出する突起を設け、他方の部材に、当該突起を受けて固定するための受け部を設けること。」
イ 引用文献13、14に記載された事項及び周知技術2の認定
(ア) 引用文献13に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2016-127049号公報(以下「引用文献13」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、配管に取り付けられるサーミスタに関する。」
「【0032】
以下、本発明の実施形態にかかるサーミスタ1について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態のサーミスタ1は、図1、2に示すように、空気調和機の冷媒配管等の各種配管9に取り付けられ、配管9内を流れる流体の温度を検知するものである。サーミスタ1は、後述するサーミスタ素子5(図3参照)を収容する収容体2と、収容体2と一体的に形成された一対の取付爪3とを備えており、一対の取付爪3で配管9を挟み込むことで配管9に取り付けられる。収容体2及び取付爪3は、いずれも銅を主成分とする材料で形成されている。」
「【図1】、【図2】
[図:0001424281000014.jpg]
」
「【0033】
ここで、図3を参照しつつ、収容体2について説明する。収容体2は筒状部材であり、収容体2内には、周囲の温度を検知する素子であるサーミスタ素子5が収容されている。サーミスタ素子5には、サーミスタ素子5で検知された温度を電気信号として伝達するリード線6が電気的に接続されている。リード線6は、収容体2の内側から収容体2の外に引き出されている。また、収容体2内には、サーミスタ素子5を絶縁保護するために、エポキシ樹脂等のモールド材7が充填されている。」
「【図3】
[図:0001424281000015.jpg]
」
(イ) 引用文献14に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開平9-145486号公報(以下「引用文献14」という。)には、次の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機などの機器の配管に取付ける感温センサのホルダに関する。」
「【0017】図3において、筒体1内には、サーミスタ素子などの感温センサ5を挿入保持させ、空気調和機の室内側熱交換器に連なる冷媒輸送用配管6を受入口4から受入れ、配管6を抱え縁2の弯曲面に沿わせ、自身の有するばね作用で配管6に圧接して所定位置に保持させる。図2中7は筒体1の蓋である。」
「【図3】
[図:0001424281000016.jpg]
」
「【0018】筒体1に蓋7を設けるときには、図2に示す板状ばね材3の一側端縁に連設しておき、ばね材3の一部を筒体1に屈曲加工した後、蓋7を直角に折曲して筒体1の一方の開口を塞ぐ。蓋7は、筒体1内に挿入保持させる感温センサ5の位置決め用ストッパとしても利用できるが、感温センサ5の外装用ケースとして使用するときには、図4に示すように感温センサ5を筒体1内に挿し込み、筒体1又は蓋7と感温センサ5との隙間に樹脂8を充填して筒体1内に感温センサ5を固定する。この実施形態によれば、配線保持用の抱え縁2を有するケース付感温センサとなる。」
「【図2】
[図:0001424281000017.jpg]
」
「【図4】
[図:0001424281000018.jpg]
」
(ウ) 周知技術2の認定
前記(ア)、(イ)に示した引用文献13、14の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知であったと認められる。(以下「周知技術2」という。)
<周知技術2>
「測定対象物に温度センサを取り付けるためのホルダにおいて、ホルダに形成された空間内にセンサを固定するに際して、温度センサと温度センサのリード線を覆うようにモールド材を当該空間内に充填すること。」
(4) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成X(X’)の観点(導線の温度を検出する温度検出装置)
「導線の温度を検出する温度検出装置」の発明である本件補正発明と「電線およびケーブル導体の導体温度の遠方監視に供する電気導体温度検出器」の発明である引用発明は、「導線の温度を検出する温度検出装置」の発明である点で一致する。
(イ) 構成Aの観点
a 構成Aは、「その内面に接するように前記導線を設置することができる第1の凹部を有する導線ホルダ」を備えることである。
b 引用発明における「導体嵌合下板12」は、「導体嵌合上板11」と共に用いることで「電線およびケーブルの導体を容易に嵌合挟着できる」ようにしたものであって、「電線およびケーブルの導体を」「挟着」により保持するものであるといえるから、本件補正発明における「導線ホルダ」に相当する。
c(a) 引用発明における「導体嵌合下板12」は、「半円筒状に形成された」ものであって、凹形状といえる半円形状断面を備えるから、本件補正発明における「第1の凹部」に相当する構成を備える。
(b) そして、引用発明における「導体嵌合下板12」は、「半円筒状に形成された」ものであって、「導体嵌合上板11」と「円筒状に組み付けることにより、中央に電線およびケーブルの円柱導体を嵌合させ」て「挟着できる」ものであるから、前記(a)も踏まえると、本件補正発明における「その内面に接するように前記導線を設置することができる第1の凹部」に相当する構成を有するといえる。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「その内面に接するように前記導線を設置することができる第1の凹部を有する導線ホルダ」を備える点。
(ウ) 構成Bの観点
a 構成Bは、「前記導線の温度を検知する温度センサ」を備えることである。
b 引用発明における「電線およびケーブルの導体」「の温度」を「検出」する「測温抵抗体19」は、本件補正発明の「前記導線の温度を検知する温度センサ」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記導線の温度を検知する温度センサ」を備える点。
(エ) 構成Cの観点
a 構成Cは、「前記温度センサを収容する空隙を有すると共に、第2の凹部を有し、前記導線ホルダと対向するセンサカバー」を備えることである。
b 引用発明における「測温抵抗体19」は、本件補正発明における「温度センサ」に相当する(前記(ウ)b参照)。
c 引用発明における、「挿入部17」が「形成」された「膨出部」は、「挿入部17」に「設けられて」いる「挿入孔18」に挿入された「測温抵抗体19」を覆っていることが明らかであるから、「測温抵抗体19」をカバーしているといえ、そのような「膨出部」が「形成されて」いる「導体嵌合上板11」は、前記bも踏まえると、本件補正発明の「センサカバー」に相当する。
d そして、引用発明における「挿入孔18」が、「測温抵抗体19」を「挿入」できる程度の空隙を備えることは明らかであるから、引用発明において、「導体嵌合上板11」に「挿入孔18が設けられ」ていることは、前記cも踏まえると、本件補正発明において、「センサカバー」が「温度センサを収容する空隙を有する」ことに相当する。
e また、引用発明における「導体嵌合上板11」は、「半円筒状に形成された」ものであり、「導体嵌合下板12」と「円筒状に組み付ける」ものであるから、前記(イ)b及びcも踏まえると、本件補正発明における「第2の凹部を有し、前記導線ホルダと対向する」に相当する構成を備えることは明らかである。
f したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記温度センサを収容する空隙を有すると共に、第2の凹部を有し、前記導線ホルダと対向するセンサカバー」を備える点。
(オ) 構成Dの観点
a 構成Dは、「前記温度センサに接続され前記空隙から延出するリード線」を備えることである。
b 引用発明における「測温抵抗体19の導線部分」は、「測温抵抗体19」に接続されることが明らかであるから、本件補正発明における「前記温度センサに接続され」る「リード線」に相当する。
c また、引用発明における「測温抵抗体19の導線部分」は、「挿入孔18から所定の長さにわたって露出して」いるところ、「挿入孔18」は「測温抵抗体19」を「挿入」する空隙を備えるから(前記(エ)d参照)、本件補正発明における「前記空隙から延出する」に相当する構成を備えるといえる。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記温度センサに接続され前記空隙から延出するリード線」を備える点。
(カ) 構成Eの観点
a 構成Eは、「前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔に前記導線を収容するように、前記導線を挟み込んだ状態で前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられることにより、前記導線に組み付けることができ」ることである。
b 引用発明における「導体嵌合下板12」、「導体嵌合上板11」は、前記(イ)b、(エ)cにおいて説示したとおり、それぞれ、本件補正発明における「導線ホルダ」、「センサカバー」に相当し、前記(イ)c(a)、(エ)eにおいて説示したとおり、それぞれ、本件補正発明における「第1の凹部」、「第2の凹部」に相当する構成を備える。
c そして、引用発明における「それぞれ半円筒状に形成された導体嵌合上板11と導体嵌合下板12で構成され」た「円筒状」のものは、円筒が、その内部を貫通する孔を備えるものであることを踏まえると、本件補正発明における「前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔」に相当する構成を備えるといえる。
d そのため、引用発明において、「電線およびケーブルの導体を容易に嵌合挟着できる」「挟着板」である「導体嵌合上板11と導体嵌合下板12」の「両者を円筒状に組み付けることにより、中央に電線およびケーブルの円柱導体を嵌合させる」ことは、本件補正発明において、「前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔に前記導線を収容するように、前記導線を挟み込んだ状態で前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられることにより、前記導線に組み付けること」に相当するといえる。
e したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔に前記導線を収容するように、前記導線を挟み込んだ状態で前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられることにより、前記導線に組み付けることができ」る点。
(キ) 構成F1及びF2の観点
a 構成F1は、「前記導線ホルダは、前記導線ホルダと前記センサカバーとが対向する対向方向と交差する方向に凹む凹部を有するとともに、前記センサカバーは、前記対向方向と交差する方向に突出する突起を前記空隙よりも前記導線ホルダ側に有し」ていることであり、構成F2は「前記突起が前記凹部に嵌め込まれることにより、前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられ」ることである。
b 引用発明において「上板11と下板12の両縁部にはフランジ11A、12Aが形成され、一方の対向フランジ11A、12Aにおいて、下板12側には逆L字状に爪部13を形成して上板11側のフランジ11Aに係合させ、他方の対向フランジ11A、12Aをボルト14、ナット15によって締め付けるようにして」おり、「上板11」の「フランジ11A」が、「下板12」の「爪部13」に「係合」することにより、「上板11」と「下板12」は結合しているといえる。
c ここで、「上板11」が「導体嵌合上板11」を指し、「下板12」が「導体嵌合下板12」を指すことが明らかであることを考慮すると、「下板12」の「爪部13」は、「導体嵌合下板12」が有する一方の結合部であり、「上板11側のフランジ11A」は、「導体嵌合上板11」が有する他方の結合部であり、他方の結合部が一方の結合部と結合することにより、前記「導体嵌合下板12」に前記「導体嵌合上板11」が取り付けられるといえる。
d そして、「導体嵌合上板11のフランジ11Aは、挿入孔18よりも導体嵌合下板12側に配置される」ことを踏まえると、「導体嵌合上板11」は、他方の結合部であるフランジ11Aを挿入孔18よりも導体嵌合下板12側に有するといえる。
e 前記c及びdを踏まえると、引用発明は、次に示す「引用発明結合構成」を備えるものであるといえる。
<引用発明結合構成>
「導体嵌合下板12は一方の結合部である爪部13を有するとともに、
導体嵌合上板11は、他方の結合部であるフランジ11Aを挿入孔18よりも導体嵌合下板12側に有し、
他方の結合部が一方の結合部と結合することにより、前記導体嵌合下板12に前記導体嵌合上板11が取り付けられること。」
f ここで、前記(イ)及び(エ)より、引用発明の「導体嵌合上板11」、「導体嵌合下板12」及び「挿入孔18」が、それぞれ本件補正発明の「センサーカバー」、「導線ホルダ」及び「空隙」に相当することを踏まえると、前記eの引用発明結合構成の「一方の結合部である爪部13」は、本件補正発明の構成F1の「導線ホルダ」の「凹部」と、「下側結合部」である点で共通する。
同様に、前記eの引用発明結合構成の「他方の結合部であるフランジ11A」は、本件補正発明の構成F1の「センサーカバー」の「突起」と、「上側結合部」である点で共通する。
g そうすると、本件補正発明の構成F1及び構成F2と、前記引用発明結合構成とは、「前記導線ホルダは、下側結合部を有するとともに、前記センサカバーは、上側結合部を前記空隙よりも前記導線ホルダ側に有し、前記上側結合部が前記下側結合部と結合することにより、前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられ」る点で共通する。
h したがって、本件補正発明と引用発明は、構成F1及びF2の観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において相違する。
(a) 構成F1及びF2の観点での一致点
「前記導線ホルダは、下側結合部を有するとともに、前記センサカバーは、上側結合部を前記空隙よりも前記導線ホルダ側に有し、前記上側結合部が前記下側結合部と結合することにより、前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられ」る点。
(b) 構成F1及びF2の観点での相違点
導線ホルダとセンサカバーの結合について、
本件補正発明においては、
「下側結合部」は「前記導線ホルダと前記センサカバーとが対向する対向方向と交差する方向に凹む凹部」であり、
「上側結合部」は「前記対向方向と交差する方向に突出する突起」であり、
「上側結合部」と「下側結合部」の結合の態様が「前記突起が前記凹部に嵌め込まれる」ものであるのに対して、
引用発明においては、
「上側結合部」が「フランジ11A」であり、
「下側結合部」が「爪部13」であり、
「上側結合部」と「下側結合部」の結合の態様が、爪部13を上板11側のフランジ11Aに係合させるものである点。
(ク) 構成Gの観点
a 構成Gは、「前記空隙内に充填され、前記温度センサと前記リード線とを覆う封止材」を備えることである。
b 引用発明は、本件補正発明の構成Gに相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。
本件補正発明においては、
「前記空隙内に充填され、前記温度センサと前記リード線とを覆う封止材」を備えるのに対して、
引用発明においては、
そのような封止材を備えていない点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「導線の温度を検出する温度検出装置であって、その内面に接するように前記導線を設置することができる第1の凹部を有する導線ホルダと、前記導線の温度を検知する温度センサと、前記温度センサを収容する空隙を有すると共に、第2の凹部を有し、前記導線ホルダと対向するセンサカバーと、前記温度センサに接続され前記空隙から延出するリード線と、を備え、前記第1の凹部と前記第2の凹部により形成される貫通孔に前記導線を収容するように、前記導線を挟み込んだ状態で前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられることにより、前記導線に組み付けることができ、
前記導線ホルダは、下側結合部を有するとともに、前記センサカバーは、上側結合部を前記空隙よりも前記導線ホルダ側に有し、前記上側結合部が前記下側結合部と結合することにより、前記導線ホルダに前記センサカバーが取り付けられる温度検出装置」である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
導線ホルダとセンサカバーの結合について、
本件補正発明においては、
「下側結合部」は「前記導線ホルダと前記センサカバーとが対向する対向方向と交差する方向に凹む凹部」であり、
「上側結合部」は「前記対向方向と交差する方向に突出する突起」であり、
「上側結合部」と「下側結合部」の結合の態様が「前記突起が前記凹部に嵌め込まれる」ものであるのに対して、
引用発明においては、
「上側結合部」が「フランジ11A」であり、
「下側結合部」が「爪部13」であり、
「上側結合部」と「下側結合部」の結合の態様が、爪部13を上板11側のフランジ11Aに係合させるものである点。
b 相違点2
本件補正発明においては、
「前記空隙内に充填され、前記温度センサと前記リード線とを覆う封止材」を備えるのに対して、
引用発明においては、
そのような封止材を備えていない点。
(5) 判断
ア 相違点1について
(ア) 前記(3)ア(オ)において説示したとおり、「電気回路部品の配線を、配線の両側に配置された部材で挟持して固定する際に、配線の両側に配置された一方の部材に、配線の両側に配置された部材が対向する対向方向と交差する方向に突出する突起を設け、他方の部材に、当該突起を受けて固定するための受け部を設けること」は周知技術である(前記周知技術1参照)。
(イ) 引用発明は、「電線およびケーブルの導体を」「嵌合挟着」するために、「導体嵌合上板11」及び「導体嵌合下板12」を結合させるものであるところ、電線およびケーブルの導体を嵌合挟着させるにあたって、導体嵌合上板11及び導体嵌合下板12をどのような態様で結合させるかは、当業者が適宜決定すべき事項にすぎないから、引用発明において、導体嵌合上板11及び導体嵌合下板12の結合に際し、周知技術1に係る構成を採用して、導体嵌合上板11において、導体嵌合下板12との対向方向と交差する方向に突出する突起を設け、導体嵌合下板12において、当該突起を受けて固定するための受け部を設けることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(ウ) そして、突起状の構造を凹部で固定することは分野を問わず用いられる常套手段であるから、引用発明において周知技術1に係る構成を採用する場合に、導体嵌合下板12における突起を受けて固定するための受け部を、前記突起が突出する方向に凹む凹部とすることは、周知技術1の具体的適用に際して適宜選択できる設計変更というべきものであり、格別のものでない。
(エ) したがって、引用発明において周知技術1を採用して、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
(ア) 前記(3)イ(ウ)において説示したとおり、「測定対象物に温度センサを取り付けるためのホルダにおいて、ホルダに形成された空間内にセンサを固定するに際して、温度センサと温度センサのリード線を覆うようにモールド材を当該空間内に充填すること」は周知技術である(前記周知技術2参照)。
(イ) 引用発明の「膨出部」に「形成」された「挿入部17」は、「測温抵抗体19」を収容するものであり、「挿入孔18」が、「測温抵抗体19」を「挿入」できる程度の空隙を備えることは明らかであるところ、引用発明の上記空隙部分において周知技術2を採用して、「測温抵抗体19」と「測温抵抗体19の導線部分」とを覆うようにモールド材を当該空隙内に充填することにより、前記相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
ウ 総合評価
前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1及び相違点2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、いずれの引用文献においても、本件補正発明の「封止材」と類似する構成は何ら記載されていない旨を主張している。
しかしながら、当該主張は前記相違点2に係る構成についてのものであるところ、前記イにおいて説示したとおり、引用発明において周知技術2を採用して前記相違点2に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことであるから、請求人の主張を採用することはできない。
オ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本願補正発明は、引用発明、周知技術1及び周知技術2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(5)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由1(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1(進歩性の欠如)
本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.実願平3-17248号(実開平4-106735号)のマイクロフィルム(主たる引用文献)
引用文献5.国際公開第2013/111619号(周知技術を示す文献)
引用文献6.国際公開第2012/104148(周知技術を示す文献)
3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献1に記載された事項、引用発明、周知技術1及び周知技術2は、前記第2の3(2)ア、3(2)ウ、3(3)ア(オ)及び3(3)イ(ウ)において示したとおりである。
4 対比・判断
(1) 本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から「温度センサに接続され前記空隙から延出するリード線」及び「空隙内に充填され、前記温度センサと前記リード線とを覆う封止材をさらに備える」との限定を省いたものである。
(2) そうすると、前記第2の3(4)アの対比分析における検討結果を踏まえて、本願発明と引用発明を対比すると、本願発明と引用発明の相違点は前記相違点1のみであり、両者はその余の点において一致する。
(3) そして、前記第2の3(5)アにおいて説示したとおり、引用発明において、前記周知技術1を採用して、前記相違点1に係る構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本願発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
(4) したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-005675