特許拒絶査定不服審判
2025-006948
甲状腺疾患の診断に関する参考情報を提供する情報処理装置
- 審判番号
- 2025-006948
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-515505外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2025年05月07日
- 審決日
- 2026年03月17日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 分類
- P18 .121-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-515505「甲状腺疾患の診断に関する参考情報を提供する情報処理装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年10月27日国際公開、WO2022/225000〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、2022年(令和4年)4月21日(優先日:2021年4月21日(以下「優先日」という。))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。
令和 6年 7月30日付け 拒絶理由通知書
同年11月15日 意見書・手続補正書の提出
令和 7年 1月31日付け 拒絶査定
同年 5月 7日 審判請求書・手続補正書の提出
以下では、令和7年1月31日付け拒絶査定を「原査定」という。
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明は、令和7年5月7日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、そのうち本願の請求項2及び3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明2」及び「本願発明3」という。)は、次に特定されるとおりである。
「 【請求項2】
対象者の血液検査に関する情報から、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)に関する情報を、第4学習済モデルに入力し、前記対象者が罹患している疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力する第4判別部を有する、
情報処理装置。
【請求項3】
対象者の血液検査に関する情報から、アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)に関する情報を、第5学習済モデルに入力し、前記対象者が罹患している疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力する第5判別部を有する、
情報処理装置。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項3~6に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
上記拒絶の理由は、具体的には、この出願の請求項3~6に係る発明は、引用文献2に記載された発明及び引用文献1に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものである、というものである。さらに、拒絶の理由においては、引用文献1に関して「そして、被検者の年齢は、引用文献1に開示されているように一般健診データとして通常適用される一般的な項目である。」と説示しており、請求項3~6のうち、「年齢」について特定されているのは請求項3及び6のみであるから、引用文献1は、請求項3及び6に対してのみ引用されたものであって、請求項4及び5に係る発明については、上記の拒絶の理由は、引用文献2に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであると説示しているといえる。
また、原査定時における請求項4及び5は、令和7年5月7日提出の手続補正書による請求項の削除を目的とする補正により、請求項2及び3となった。
引用文献1:(省略)
引用文献2:渡邊 奈津子 他, 人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル, 日本内分泌学会誌, 2021.04.01, Vol.97/No.1, p.263, O2-1-3
第4 引用文献の記載等
1 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用され、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「渡邊 奈津子 他, 人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル, 日本内分泌学会誌, 2021.04.01, Vol.97/No.1, p.263, O2-1-3」には次のとおり記載されている。(下線は当審において付与した。以下同様。)
(1)「02-1-3 人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル
渡邊奈津子、吉村弘、吉原愛、松本雅子、福下美穂、鈴木菜美、星山綾子、鈴木愛、三松貴子、木下綾、三倉健太朗、吉村蘭、井上浩輔、杉野公則、伊藤公一 伊藤病院
【目的】機械学習により、甲状腺自己抗体値を用いずに、バセドウ病(GD)と無痛性甲状腺炎(PT)を鑑別する予測モデルを作成し有用性を検討する。
【対象と方法】当院に初診し診断された、GD19404例およびPT3268例を対象とし、予測モデル作成のためのTraining data用と検証のためのTest data用に約2:1にそれぞれ分配した。解析ソフトウェアはPrediction Oneを用いた。解析項目は1)一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho] のみ、2)一般血液データおよび甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)とした。Training dataより予測モデルを作成しTest dataにて検証した。【結果】予測モデル1(一般血液データのみ)において寄与度の高い項目は、ALP、MCV、TP、MCH、Lymだった。予測モデル1のAUCは84%と良好で、Test症例におけるGD正診率は91%、PT正診率は54%であった。予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)において寄与度の高い項目はFT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Moであった。予測モデル2のAUCは91%と非常に良好で、Test症例におけるGD正診率は90%、PT正診率は74%であった。【考察】健診や日常診療で甲状腺中毒症が疑われた場合に、一般血液データのみで84%でGDとPTの鑑別が可能で、甲状腺機能が加わると91%もの鑑別が可能であり有用と考えられた。【結語】機械学習を用いたGDとPTの鑑別予測モデルは有用である。」
(2)引用文献2に記載された発明
上記(1)の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の2つの発明(以下、「引用発明A」及び「引用発明B」という。)が記載されていると認められる。
ア 引用発明A
「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデルであって、
GD19404例およびPT3268例を、予測モデル作成のためのTraining data用と検証のためのTest data用に約2:1にそれぞれ分配し、解析項目を一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)とし、Training dataより予測モデルを作成しTest dataにて検証した結果、予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)において寄与度の高い項目はFT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Moであり、予測モデル2のAUCは91%と非常に良好で、Test症例におけるGD正診率は90%、PT正診率は74%であり、有用と考えられる、
鑑別予測モデル。」
イ 引用発明B
「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデルであって、
GD19404例およびPT3268例を、予測モデル作成のためのTraining data用と検証のためのTest data用に約2:1にそれぞれ分配し、解析項目を一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]とし、Training dataより予測モデルを作成しTest dataにて検証した結果、予測モデル1(一般血液データのみ)において寄与度の高い項目は、ALP、MCV、TP、MCH、Lymであり、予測モデル1のAUCは84%と良好で、Test症例におけるGD正診率は91%、PT正診率は54%であり、有用と考えられる、
鑑別予測モデル。」
第5 請求項2について
1 本願発明2において特定される事項
(1)本願発明2は、「対象者の血液検査に関する情報から、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)に関する情報を、第4学習済モデルに入力し、」と特定されている。
そして、上記の発明特定事項においては、「第4学習済モデルに入力」する情報について、「甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)に関する情報」と特定されているのみであって、「甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)」のみに関する情報を入力するとは特定されていないから、本願発明2は、「第4学習済モデルに入力」する情報が「甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)」に関する情報を含んでいれば、他の情報も含んでいても、その発明の範囲に含まれるものと認められる。
(2)また、本願の発明の詳細な説明の記載においては、例えば段落【0109】には、「第4判別部155が取得する血液学的検査に関する情報には、例えば、対象者の甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)が含まれ、このほかの情報が含まれていてもよい。」と記載されているから、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、本願発明2の上記発明特定事項は、「第4学習済モデルに入力」する情報が「甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)」のみに関する情報であることを意味するとはいえない。
(3)以上より、本願発明2の「対象者の血液検査に関する情報から、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)に関する情報を、第4学習済モデルに入力し、」との事項は、「第4学習済モデルに入力」する情報が「対象者の血液検査に関する情報から、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)」のみに関する情報であることを特定するものではなく、少なくとも「対象者の血液検査に関する情報から、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)に関する情報」を含むことを意味すると解釈し、以下検討する。
2 対比
本願発明2と引用発明Aとを対比する。
(1)引用発明Aにおいて、「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」が、鑑別すべき対象者について、「バセドウ病」であるか「無痛性甲状腺炎」であるかを鑑別するためのモデルであることは、明らかである。
引用発明Aの「一般血液データ」は、本願発明2の「対象者の血液検査に関する情報」に相当する。また、FT3、FT4、TSH、FT3/FT4は、血液検査により取得できる情報であることは技術常識であるから、「甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)」も、本願発明2の「対象者の血液検査に関する情報」に相当する。
そして、引用発明Aにおいて、「解析項目を一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)とし、Training dataより予測モデルを作成しTest dataにて検証した結果、予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)において寄与度の高い項目はFT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Moであり、予測モデル2のAUCは91%と非常に良好で、Test症例におけるGD正診率は90%、PT正診率は74%であり、有用と考えられる」との事項に基づき、作成する「鑑別予測モデル」が、一般血液データおよび甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)のうちの所定の項目を入力情報とするモデルであることは明らかである。
以上より、引用発明Aの「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」は、本願発明2の「対象者の血液検査に関する情報」が「入力」され、「前記対象者が罹患している疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力」するための「第4学習済モデル」に相当する。
(2)機械学習により作成するモデルがコンピュータの記憶装置に格納され、コンピュータのCPUによりモデルへの入出力等の処理が行われることは技術常識であるから、引用発明Aの「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」がコンピュータの記憶装置に格納され、コンピュータのCPUによりモデルへの入出力等の処理が行われることは、当業者にとって自明である。そして、当該コンピュータ及びCPUは、それぞれ、本願発明2の「情報処理装置」および「第4判別部」に相当する。
以上より、引用発明Aは、本願発明2の「対象者の血液検査に関する情報」「を、第4学習済モデルに入力し、前記対象者が罹患している疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力する第4判別部を有する」「情報処理装置」に相当する構成を備えるものといえる。
(3)一致点、相違点
上記(1)及び(2)のとおりであるから、本願発明2と引用発明Aとは、下記アの点で一致し、下記イの点で相違する。
ア 一致点
「対象者の血液検査に関する情報を、第4学習済モデルに入力し、前記対象者が罹患している疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力する第4判別部を有する、
情報処理装置。」
イ 相違点1
第4学習済モデルに入力する情報について、本願発明2は「甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)に関する情報」であると特定されているのに対し、引用発明Aはそのように特定されていない点。
3 相違点1についての判断
(1)引用発明Aの「FT3」、「FT4」、「FT3/FT4」、「ALT」及び「CRE」は、それぞれ、本願発明2の「甲状腺ホルモンFT3」、「甲状腺ホルモンFT4」、「FT3/FT4」、「アルカリホスファターゼ(ALP)」及び「クレアチニン(CREA)」に相当する。
(2)そして、引用発明Aにおいて、「GD19404例およびPT3268例を、予測モデル作成のためのTraining data用と検証のためのTest data用に約2:1にそれぞれ分配し、解析項目を一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)とし、Training dataより予測モデルを作成しTest dataにて検証した結果、予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)において寄与度の高い項目はFT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Moであり、予測モデル2のAUCは91%と非常に良好で、Test症例におけるGD正診率は90%、PT正診率は74%であり、有用と考えられる」との結果に基づき、「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」を作成する際に、「一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)」のうち、「寄与度の高い項目」である「FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」を少なくとも「鑑別予測モデル」に入力する情報として用いることは、当業者が当然になし得ることである。
さらに、「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」を作成する際に、「一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)」のうち、具体的にどの項目まで「鑑別予測モデル」に入力する情報として用いるかは、各項目それぞれのデータの入手のし易さや、「鑑別予測モデル」に必要とされる精度等を総合的に考慮して当業者が適宜決定し得ることであるから、引用発明Aにおいて、「寄与度の高い項目」である「FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」に加えて、「CRE」及び「FT4」を含む所定の項目を「鑑別予測モデル」に入力する情報として選択して「鑑別予測モデル」を作成し、上記相違点1に係る発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3)上記(2)で示したとおり、引用発明Aにおいて、「寄与度の高い項目」である「FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」に加えて、「CRE」及び「FT4」を含む所定の項目を「鑑別予測モデル」に入力する情報として選択して「鑑別予測モデル」を作成することは、当業者が容易に想到し得たことであるが、仮に、「一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)」のうち、当該所定の項目を選択的に「鑑別予測モデル」に入力する情報として用いることが容易であるとまではいえないと解釈した場合について検討する。
引用発明Aの「解析項目を一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)とし」て作成した「予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)」は、「AUCは91%と非常に良好で、Test症例におけるGD正診率は90%、PT正診率は74%であり、有用と考えられる」ものであるから、実際に使用することとなる「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」についても、有用である「予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)」と同様に「一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)」の全てをモデルに入力する情報として用いるものとして作成し、上記相違点1に係る発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
4 効果について
本願発明2は、上記1で示したとおり、「第4学習済モデルに入力」する情報が「対象者の血液検査に関する情報から、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)」のみに関する情報であることを特定するものではなく、少なくとも「対象者の血液検査に関する情報から、甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)に関する情報」を含むものであるから、本願発明2により奏される効果は、引用発明Aの「予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)」が既に有している効果であるといえる。そうすると、本願発明2により奏される効果は、引用発明Aから当業者が予期し得るものであり、格別顕著なものではない。
また、本願の発明の詳細な説明においては、「血液検査に関する情報」のうち「甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)」を選択したことの技術的な意義が記載されていないし、他の情報を選択した場合との比較結果等についても何らの記載もないから、「甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)」を選択することに、引用発明Aと比較した顕著な効果を見いだすこともできない。
5 請求人の主張について
請求人は、令和7年5月7日提出の審判請求書において、
「補正後の請求項2,3は、疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力するものであり、補正後の請求項2は甲状腺ホルモンを予測の際に考慮するモデルであり、補正後の請求項3は甲状腺ホルモンを考慮しないモデルとなります。
この点、引用文献2には、予測モデル1(一般血液データのみ)と予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)が記載されているものの、補正後の請求項2では甲状腺ホルモンFT3、甲状腺ホルモンFT4、FT3/FT4、アルカリホスファターゼ(ALP)、及びクレアチニン(CREA)を考慮するのに対して、引用文献2の予測モデル2では、FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Moを考慮する点において異なります。
また、補正後の請求項3ではアルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)を考慮するのに対して、引用文献2の予測モデル1では、ALP、MCV、TP、MCH、Lymを考慮する点において異なります。
審査官殿は、「予測の精度がより高くなるようにこれらのバイオマーカーを選択することは、当業者が適宜行うことである」と指摘していますが、引用文献2に接した当業者が引用文献2が挙げる寄与度の高い項目を敢えて変更し、補正後の請求項2,5に記載の項目とする動機づけはありませんし、そもそも引用文献2は所定の項目を選択したことを発表の趣旨としていることからすれば、予測の際に考慮する項目を変更することは引用文献2の趣旨を没却するものとなり、引用文献2から補正後の請求項2,5に記載の発明に想到するには阻害要因が認められるものと思料します。
さらに、審査官殿は、「本願請求項3請求項1-6に記載のいずれの項目についても、解析項目としたことが記載されており、具体的にどの項目を用いて解析するかは、選別したい疾患や所望の予測精度等の観点から、当業者が適宜調整することであって格別困難なことではない。」と認定しています。
しかしながら、モデルにおける説明変数の選定は、単なる変数の追加や削除ではなく、モデルの目的、対象疾患、データの性質、臨床的意義などを総合的に考慮した上で行われるものであり、当業者が容易に行えるものではなく、引用文献1に記載された説明変数を本願発明のように変更することは、当業者が通常行う範囲を超えており、当業者にとって格別なことではないとの認定は妥当ではないと思料します。
また、引用文献1および2において記載されている解析項目は、特定の研究目的や対象疾患に基づいて選定されたものであり、それらの項目を本願発明のように変更することは、単なる調整ではなく、新たな研究設計を要するものであり、単に予測精度を向上させるための調整ではありません。
以上のように、審査官殿の認定には、モデルの構築における説明変数の選定や、解析項目の変更に関する実務的な困難性が十分に考慮されていないと思料します。」
との主張をしているので、検討する。
引用発明Aは、「予測モデル作成のためのTraining data用と検証のためのTest data用に約2:1にそれぞれ分配し、解析項目を一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]および甲状腺機能検査(FT3、FT4、TSH、FT3/FT4)とし、Training dataより予測モデルを作成しTest dataにて検証した結果」について、「寄与度の高い項目はFT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」であったことを示すものであって、少なくとも「FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」をモデルへの入力情報として用いることを示唆しているといえるとしても、「FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」のみを用い、その他の項目を入力情報として用いることを排除することを示唆するものであるとはいえない。
また、上記の全ての項目を入力情報として使用する「予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)」が、「AUCは91%と非常に良好で、Test症例におけるGD正診率は90%、PT正診率は74%であり、有用と考えられる」ことからも、引用発明Aは、「鑑別予測モデル」として、「FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」以外の項目は用いないことを示唆するものとはいえない。
仮に、引用文献2は、「FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」のみをモデルへの入力情報として用いることを主題とした論文であると解釈したとしても、引用発明Aに触れた当業者が、上記の全ての項目を入力情報として使用する「予測モデル2(一般血液データおよび甲状腺機能検査)」が、「AUCは91%と非常に良好で、Test症例におけるGD正診率は90%、PT正診率は74%であり、有用と考えられる」ことから、「FT3/FT4、TSH、ALP、FT3、Mo」以外の項目を含めて入力情報として(例えば、上記の全ての項目を入力情報として)モデルを作成することは、当業者が容易に想到し得たことである。
よって、審判請求人の上記主張は採用できない。
6 小括
以上より、本願発明2は、引用発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
第6 請求項3について
1 本願発明3において特定される事項
(1)本願発明3は、「対象者の血液検査に関する情報から、アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)に関する情報を、第5学習済モデルに入力し、」と特定されている。
そして、上記の発明特定事項においては、「第5学習済モデルに入力」する情報について、「アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)に関する情報」と特定されているのみであって、「アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)」のみに関する情報を入力するとは特定されていないから、本願発明3は、「第5学習済モデルに入力」する情報が「アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)」に関する情報を含んでいれば、他の情報も含んでいても、その発明の範囲に含まれるものと認められる。
(2)また、本願の発明の詳細な説明の記載においては、例えば段落【0123】には、「第5判別部155が取得する血液学的検査に関する情報には、例えば、対象者のアルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)が含まれ、このほかの情報が含まれていてもよい。」と記載されているから、発明の詳細な説明の記載を参酌しても、本願発明3の上記発明特定事項は、「第5学習済モデルに入力」する情報が「アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)」のみに関する情報であることを意味するとはいえない。
(3)以上より、本願発明3の「対象者の血液検査に関する情報から、アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)に関する情報を、第5学習済モデルに入力し、」との事項は、「第5学習済モデルに入力」する情報が「アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)」のみに関する情報であることを特定するものではなく、少なくとも「アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)に関する情報」を含むことを意味すると解釈し、以下検討する。
2 対比
上記第5の2の対比を踏まえ、本願発明3と引用発明Bとを対比する。
(1)引用発明Bの「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」は、本願発明3の「対象者の血液検査に関する情報」が「入力」され、「前記対象者が罹患している疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力」するための「第5学習済モデル」に相当する。
(2)引用発明Bの「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」がコンピュータの記憶装置に格納され、コンピュータのCPUによりモデルへの入出力等の処理が行われることは、当業者にとって自明である。そして、当該コンピュータ及びCPUは、それぞれ、本願発明3の「情報処理装置」および「第5判別部」に相当する。
以上より、引用発明Bは、本願発明3の「対象者の血液検査に関する情報」「を、第5学習済モデルに入力し、前記対象者が罹患している疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力する第5判別部を有する」「情報処理装置」に相当する構成を備えるものといえる。
(3) 一致点、相違点
上記(1)及び(2)のとおりであるから、本願発明3と引用発明Bとは、下記アの点で一致し、下記イの点で相違する。
ア 一致点
「対象者の血液検査に関する情報を、第5学習済モデルに入力し、前記対象者が罹患している疾患がバセドウ病であるか無痛性甲状腺炎であるかの鑑別に関する情報を出力する第5判別部を有する、
情報処理装置。」
イ 相違点2
第5学習済モデルに入力する情報について、本願発明3は「アルカリホスファターゼ(ALP)、クレアチニン(CREA)、総プロテイン(TP)、γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)、白血球(WBC)に関する情報」であると特定されているのに対し、引用発明Bはそのように特定されていない点。
3 相違点2についての判断
(1)引用発明Bの「ALP」、「CRE」、「TP」、「γGTP」及び「WBC」は、それぞれ、本願発明3の「アルカリホスファターゼ(ALP)」、「クレアチニン(CREA)」、「総プロテイン(TP)」、「γグルタミルトランスペプチダーゼ(γGTP)」及び「白血球(WBC)」に相当する。
(2)そして、引用発明Bにおいて、「GD19404例およびPT3268例を、予測モデル作成のためのTraining data用と検証のためのTest data用に約2:1にそれぞれ分配し、解析項目を一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]とし、Training dataより予測モデルを作成しTest dataにて検証した結果、予測モデル1(一般血液データのみ)において寄与度の高い項目は、ALP、MCV、TP、MCH、Lymであり、予測モデル1のAUCは84%と良好で、Test症例におけるGD正診率は91%、PT正診率は54%であり、有用と考えられる」との結果に基づき、「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」を作成する際に、「一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]」のうち、「寄与度の高い項目」である「ALP、MCV、TP、MCH、Lym」を少なくとも「鑑別予測モデル」に入力する情報として用いることは、当業者が当然になし得ることである。
さらに、「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」を作成する際に、「一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]」のうち、具体的にどの項目まで「鑑別予測モデル」に入力する情報として用いるかは、各項目それぞれのデータの入手のし易さや、「鑑別予測モデル」に必要とされる精度等を総合的に考慮して当業者が適宜決定し得ることであるから、引用発明Bにおいて、「寄与度の高い項目」である「ALP、MCV、TP、MCH、Lym」に加えて、「CRE」、「γGTP」及び「WBC」を含む所定の項目を「鑑別予測モデル」に入力する情報として選択して「鑑別予測モデル」を作成し、上記相違点2に係る発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(3)上記(2)で示したとおり、引用発明Bにおいて、「寄与度の高い項目」である「ALP、MCV、TP、MCH、Lym」に加えて、「CRE」、「γGTP」及び「WBC」を含む所定の項目を「鑑別予測モデル」に入力する情報として選択して「鑑別予測モデル」を作成することは、当業者が容易に想到し得たことであるが、仮に、「一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]」のうち、当該所定の項目を選択的に「鑑別予測モデル」に入力する情報として用いることが容易であるとまではいえないと解釈した場合について検討する。
引用発明Bの「解析項目を一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]とし」て作成した「予測モデル1(一般血液データのみ)」は、「AUCは84%と良好で、Test症例におけるGD正診率は91%、PT正診率は54%であり、有用と考えられる」ものであるから、実際に使用することとなる「人工知能(機械学習)によるバセドウ病と無痛性甲状腺炎の鑑別予測モデル」についても、有用である「予測モデル1(一般血液データのみ)」と同様に「一般血液データ[RBC、Hb、Ht、MCV、MCH、MCHC、Plt、WBC、WBC分画(Neu、Lym、Mo、Eo、Ba)、TP、T-Bil、AST、ALT、LDH、γGTP、ALP、ChE、CPK、CRE、UA、Na、K、Cl、Ca、P、T-Cho]」の全てをモデルに入力する情報として用いるものとして作成し、上記相違点2に係る発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
4 効果について
上記第5の4で示したのと同様に、本願発明3により奏される効果も、引用発明Bから当業者が予期し得るものであり、格別顕著なものではない。
5 請求人の主張について
上記第5の5で示したのと同様の理由により、請求人の令和7年5月7日提出の審判請求書における主張は採用できない。
6 小括
以上より、本願発明3は、引用発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願の請求項2及び3に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2025-006948