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特許拒絶査定不服審判

2024-012560

検査装置、および検査方法

審判番号
2024-012560
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-578539外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年08月01日
審決日
2026年03月24日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-578539「検査装置、および検査方法」拒絶査定不服審判事件〔令和4年8月4日国際公開、WO2022/163859〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 15項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2022年(令和4年)1月31日(優先権主張 令和3年2月1日)を国際出願日とする出願であって、令和6年2月26日付けの拒絶理由の通知に対し、同年4月23日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、同月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月1日に審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

その後、令和7年9月1日付けの拒絶理由の通知に対し、同年10月21日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、さらに、同年12月1日付けの最後の拒絶理由の通知に対し、令和8年1月16日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされた。

第2 令和8年1月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

令和8年1月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]

1 本件補正について(補正の内容)

(1)本件補正前の請求項1に係る発明

本件補正前の請求項1に係る発明は、令和7年10月21日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものである。

「 【請求項1】
導電部材を含む検査対象からの赤外光を検出する赤外カメラが検出した赤外光の強度を取得する赤外取得部と、
前記赤外光の検出強度を判定する強度判定部と、
前記赤外光の検出強度に基づいて、前記導電部材の傷の有無を判定する傷判定部と、
を備え、
前記赤外光の波長は、前記検査対象に設けられるトップコートを透過し、前記導電部材を透過しない波長であり、
前記赤外取得部は、前記検査対象と、前記赤外カメラとの距離に応じて、前記赤外カメラの検出感度を変更し、
前記赤外カメラは、前記検査対象との間において遮光物で囲われている、
検査装置。」

(2)本件補正後の請求項1に係る発明

本件補正後の請求項1に係る発明は、令和8年1月16日に提出された手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりである。なお、下線部は補正箇所を示す。

「 【請求項1】
導電部材を含む検査対象からの赤外光を検出する赤外カメラが検出した赤外光の強度を取得する赤外取得部と、
前記赤外光の検出強度を判定する強度判定部と、
前記赤外光の検出強度に基づいて、前記導電部材の傷の有無を判定する傷判定部と、
を備え、
前記赤外光の波長は、前記検査対象に設けられるトップコートを透過し、前記導電部材を透過しない波長であり、
前記赤外取得部は、前記検査対象と、前記赤外カメラとの距離に応じて、前記赤外カメラの検出感度を変更し、
前記赤外カメラは、前記検査対象との間において遮光物で囲われており、
前記傷判定部は、前記強度判定部が判定した前記赤外光の検出強度、および前記赤外光の検出強度と、前記傷の状態との関係が段階的に区分けされたリファレンステーブルに基づいて、前記導電部材の傷の度合いを判定する、
検査装置。」

2 補正の適否

本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「傷判定部」について、「前記強度判定部が判定した前記赤外光の検出強度、および前記赤外光の検出強度と、前記傷の状態との関係が段階的に区分けされたリファレンステーブルに基づいて、前記導電部材の傷の度合いを判定する」とする機能を限定するものである。そして、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

3 本件補正発明

本件補正発明は、前記1(2)に記載したとおりのものである。

4 引用文献

(1)引用文献1

ア 引用文献1の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張の日前の2017年2月8日に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、中国特許出願公開第106383127号明細書(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載事項がある。なお、括弧内に合議体による翻訳文を付した。また、引用発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。

(ア)特許請求の範囲

「
[図:0001435654000001.jpg]
」

(1. ITO透明フィルムの欠陥画像取得システムであって、前記ITO透明フィルムは透明基板に貼り付けられ、非可視光源と、前記非可視光源から照射される非可視光を調整して照明する照明装置とを備え、前記ITO透明フィルムは前記照明装置の照明光路中に配置され、前記ITO透明フィルムと前記透明基板とは、前記非可視光に対する反射率および吸収率が異なり、前記欠陥画像取得システムは、前記ITO透明フィルムの反射光路または透過光路中に配置された撮像素子をさらに備えることを特徴とする、ITO透明フィルムの欠陥画像取得システム。

2. 前記非可視光源は赤外光源であり、前記撮像素子は前記ITO透明膜の反射光路上に配置されていることを特徴とする、ITO透明フィルムの欠陥画像取得システム。)

(イ)背景技術

「
[図:0001435654000002.jpg]
」

([0002] ITOフィルムは、すべての透明導電膜の中で導電性と透過率が最も優れた酸化膜であり、タッチパネルの導電層において極めて重要な構成要素となっている。タッチパネルの反応速度、操作の簡便性・滑らかさ、フィードバックの正確性、堅牢性・耐久性といった利点を確保するためには、導電層のいくつかの技術指標を試験する必要がある。測定対象の技術指標の中で、透過率と抵抗値は薄膜製品の品質を評価する主要基準であり、それぞれ膜層の光学特性と電気特性を表す重要なパラメータである。抵抗値の一般的な測定方法には、通常の4点プローブ法とデュアルエレクトロメトリック4点プローブ法の2種類があり、機能テスト結果から直接薄膜の品質を評価する。抵抗率が規定値に達した場合、合格と判断される。)

(ウ)詳細な実施形態

「
[図:0001435654000003.jpg]
」

([0025] 本発明の実施例は、上記の材料スペクトル特性に基づき、加工型欠陥と引渡し型欠陥の同時検出を可能な限り簡素な構造で実現する欠陥画像収集システムを設計する。研究の結果、ITO薄膜は、可視光透過率が85%以上、紫外線吸収率が85%以上、赤外光反射率が70%以上、マイクロ波減衰率が85%以上であった。したがって、ITO欠陥検出において、従来の可視光波長域は機能しないものの、薄膜材料の紫外線および赤外線特性が照明により実現可能な選択肢を提供する。紫外線および赤外線波長域がITO薄膜と相互作用する際、生じるコントラストはもはや色の差異ではなく、材料特性(反射率または透過率)の差異となる。)

「
[図:0001435654000004.jpg]
」

([0032] 本実施例では近赤外光照明を採用し、ITO透明薄膜3の赤外光に対する反射率は基板の反射率よりも高いため、撮像装置4の撮像面において一定のコントラストを形成できる。すなわち、暗い背景に対して明るいパターンが浮かび上がり、これによりITO回路パターンが識別可能となり、開路や短絡などの加工上の欠陥を検出できる。一方、赤外光は優れた透過性を有し、ガラスやプラスチックなどの透明材料を透過できる。ITO薄膜表面にキズなどの欠陥がある場合、光透過率はキズのないITO領域よりも高くなり、撮像装置4に反射されるキズ領域のエネルギーはキズのない領域よりも低くなる。これにより画素コントラストが形成され、明るいパターン上に暗いキズが現れるため、転移型欠陥を検出できる。本実施例では、赤外線帯域の明視野遠心照明または指向性照明レイアウトを採用することで、透明回路パターンと移行型欠陥の特徴を同時に観察できる。照明の均一性や空間的コンパクト性などの要素を総合的に考慮し、ITO薄膜欠陥検出照明には図3に示す同軸式明視野テレセントリックレイアウトが最適である。)

イ 引用発明1

引用文献1には、請求項1の記載を引用する請求項2に係る発明として、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「ITO透明フィルムの欠陥画像取得システムであって、前記ITO透明フィルムは透明基板に貼り付けられ、非可視光源と、前記非可視光源から照射される非可視光を調整して照明する照明装置とを備え、前記ITO透明フィルムは前記照明装置の照明光路中に配置され、前記ITO透明フィルムと前記透明基板とは、前記非可視光に対する反射率および吸収率が異なり、前記欠陥画像取得システムは、前記ITO透明フィルムの反射光路または透過光路中に配置された撮像素子をさらに備え、
前記非可視光源は赤外光源であり、前記撮像素子は前記ITO透明膜の反射光路上に配置されていることを特徴とする、ITO透明フィルムの欠陥画像取得システム。」

(2)引用文献2

ア 引用文献2の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張の日前の平成元年5月2日に頒布された引用文献である、特開平1-113641号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、引用発明の認定等に用いた箇所に下線を付した。

(ア)特許請求の範囲(第1頁左下欄第4~15行)

「 少なくとも1部に透明導電層を有する透明基材の異物、キズ等の欠点を検出する欠点検出装置において、前記透明基材の搬送手段と、この搬送手段で搬送される透明基材の透明導電層に可視光を照射する可視光源と、この可視光源で照射された透明導電層の透過光を検出する可視光検出手段と、前記搬送される透明基材の透明導電層に赤外光を照射する赤外光源と、この赤外光源で照射された透明導電層の透過光を検出する赤外光検出手段と、前記可視光検出手段及び赤外光検出手段の検出信号に基づき前記欠点を検出する欠点検出手段とを具備したことを特徴とする欠点検出装置。」

(イ)発明の技術分野(第1頁右下欄第2~5行)

「 この発明は液晶、EL板、透明タッチスイッチ等に使用される透明導電材料又はこれを加工した製品の異物、キズ等の欠点を検出する欠点検出装置に関する。」

(ウ)発明の目的(第2頁左上欄第7~11行)

「 この発明は上述のような事情からなされたものであり、この発明の目的は透明導電層に可視光と赤外光とを照射してその透過状態を検査することで、異物、キズ等の欠点を確実に検出する欠点検出装置を提供することにある。」

(エ)問題点を解決するための手段(第2頁左上欄第13行~右上欄第5行)

「 この発明は、少なくとも1部に透明導電層を有する透明基材の異物、キズ等の欠点を検出する欠点検出装置に関するもので、この発明の上記目的は、前記透明基材の搬送手段と、この搬送手段で搬送される透明基材の透明導電層に可視光を照射する可視光源と、この可視光源で照射された透明導電層の透過光を検出する可視光検出手段と、前記搬送される透明基材の透明導電層に赤外光な照射する赤外光源と、この赤外光源で照射された透明導電層の透過光を検出する赤外光検出手段と、-前記可視光検出手段及び赤外光検出手段の検出信号に基づき前記欠点を検出する欠点検出手段とを設けることにより達成される。」

(オ)発明の作用(第2頁右上欄第7~14行)

「 この発明の欠点検出検出装置は搬送手段で搬送される透明導電フィルムの透明導電層の異物、キズの検出を可視光源及び赤外光源により透明導電フィルム面に可視光及び赤外光を照射し、その透過光を可視光受光器及び赤外光受光器で受光して欠点検出手段である本体で判定し、表示したりマーキングを施したりすることによって自動的に確実な欠点検出ができる。」

(カ)発明の実施例(第2頁右上欄第16行~右下欄第18行)

「 第1図はこの発明の欠点検出装置の原理を示している。同図において20は光学グレードのポリエステルフィルムの表面に透明導電層(ITO,SnO2)が層設された透明導電フィルムを示している。上記透明導電層(ITO,SnO2)は第2図に示すような透過率(T)及び反射率(R)を有しており、可視波長(可視明域)で透過率が高く(80%以上)反射率が低い。又、赤外波長(赤外領域)で透過率が低く、反射率が高く(はとんど反射する)なっている。又、透明導電フィルムのポリエステルフィルムは一般に上記波長領域で90%以上の透過率を示している。」

合議体注:第1図は次のものである。

[図:0001435654000005.jpg]

「 第1図において、透明導電フィルム20の左上方には550nmの波長の可視光AKを発生する可視光源2が設けられており、A方向に搬送される透明導電フィルム20上に可視光AKが照射され、その透過光TAKが透明導電フィルム20下方に設けられたライセンサ等の可視光受光器3で受光され検出信号AS1が出力される。透明導電フィルム20の右上方には、5000nmの波長の赤外光SKを発生する赤外光源5が設けられておりA方向に搬送される透明導電フィルム20上に赤外光SKが照射され、その透過光TSKが透明導電フィルム20の下方に設けられたライセンサ等の赤外光受光器6で受光され、検出信号TS1が出力される。
このような構成において、正常な透明導電フィルム20の搬送では可視光AKはほぼ透明導電フィルム20を透過するので、検出信号AS1は第3図(A)に示すような波形となっている。ここで透明導電フィルム20の透明導電膜に異物21があった場合、可視光AKの一部が遮光されて、検出信号AS1は第3図(B)に示すようなパルスPl,P2を有した波形となる。従って、このパルスP1、P2により異物21を検出することができる。又、正常な透明導電フィルム20の搬送では赤外光SKは透明導電フィルム20上でほぼ反射されてしまい透過光TSKはごくわずかであり、検出信号TS1は第4図(A)に示すような波形となっている。ここで、透明導電フィルム20の透明導電層にキズ22があった場合、赤外光SHの一部が透過光TSKとして赤外光受光器6で受光され、第4図(B)に示すようなパルスP10,P11を有した波形となる。従って、このパルスP10,P11によりキズ22を検出することができる。」
合議体注:第3図及び第4図は、以下のものである。

[図:0001435654000006.jpg]

(キ)発明の実施例(第3頁左上欄第6~20行)

「 欠点検出装置には、フィルム状の透明導電フィルム20が巻取られたドラム1Aが設けられており、ドラム1Aより送出された透明導電フィルム20がA方向に搬送されドラム1Bで巻取られるようになっている。透明導電フィルム20上方には、可視光AK、赤外光SKを発する可視光源2及び赤外光源5が設けられ、透明導電フィルム20下方には上記光源2,5からの透過光TAK,TSKを受光する可視光受光器3,赤外光受光器6が設けられている。ドラム1Aの近傍にはロータリエンコーダ8が設けられ、搬送される透明導電フィルム20の位置を検出するようになっている。ドラム1Bの近傍にはマーク装置9が設けられ、搬送される透明導電フィルム20の欠点部分にマーキングを施すようになっている。・・・」

イ 引用発明2

前記ア(カ)の記載に基づけば、引用文献2には、実施例の欠陥検出装置として、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「光学グレードのポリエステルフィルムの表面に透明導電層が層設された透明導電フィルムの左上方には550nmの波長の可視光を発生する可視光源が設けられており、透明導電フィルム上に可視光が照射され、その透過光が透明導電フィルム下方に設けられた可視光受光器で受光され、検出信号が出力され、透明導電フィルムの右上方には、5000nmの波長の赤外光を発生する赤外光源が設けられており、透明導電フィルム上に赤外光が照射され、その透過光が透明導電フィルムの下方に設けられた赤外光受光器で受光され、検出信号が出力され、
透明導電フィルムの透明導電膜に異物があった場合、可視光の一部が遮光されて異物を検出することができ、正常な透明導電フィルムの搬送では赤外光は透明導電フィルム上でほぼ反射されてしまい透過光はごくわずかであり、透明導電フィルムの透明導電層にキズがあった場合、赤外光の一部が透過光として赤外光受光器で受光され、キズを検出することができる、
欠点検出装置。」

(3)撮像素子に係る周知技術

ア 引用文献1の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で引用され、本願の優先権主張の日前の2017年2月8日に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である引用文献1の明細書には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、括弧内に合議体による翻訳文を付すとともに、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)技術分野

「
[図:0001435654000007.jpg]
」

([0001] 本発明は光学的検出技術分野に属し、特にITOの透明フィルムの欠陥画像捕捉システムに関する。)

(イ)発明の内容

「
[図:0001435654000008.jpg]
」

([0012] 本発明の目的は、透明な背景上の透明なITO回路パターンを取得し、同時に転写型の欠陥画像を得ることができ、検出効率および精度を向上させることができるITO透明フィルムの欠陥画像取得システムを提供することである。

[0013] 本発明は、透明基板に貼り付けられたITO透明フィルムの欠陥画像取得システムであって、非可視光源と、非可視光源から照射される非可視光を照明用に調整する照明装置とを備える。ITO透明フィルムは、照明装置の照明光路上に配置される。ITO透明フィルムと透明基板は、非可視光に対する反射率および吸収率が互いに異なる。また、欠陥画像取得システムは、ITO透明フィルムの反射光路または透過光路上に配置される撮像素子を備える。

[0014] 本発明は、非可視光を照明として用いるものであり、ITO透明フィルムと透明基板は異なる材料から成り、非可視光に対する反射率と吸収率がそれぞれ異なり、これらの材料の光学特性の差を利用することで、共に透明なITOフィルムと基板を区別することができ、非可視光に対する反射率の差を利用して反射型撮像システムを設計することができ、また、非可視光に対する吸収率の差を利用して透過型撮像システムを設計することができる。どちらのシステムも、撮像素子が受光する光エネルギーの差に基づいて、ITO透明フィルムの高コントラストの回路パターンを生成し、対応する加工欠陥や転写欠陥を単一画像で表示することができるため、検出精度と効率を向上させることができる。)

(ウ)詳細な実施形態

「
[図:0001435654000009.jpg]
」

([0026] 上記の原理に基づき、図3に示すように、本発明のこの実施形態で提供される欠陥画像取得システムは、赤外線や紫外線などの非可視光を発することができる非可視光源1と、非可視光源1から発せられる非可視光を照明用に調整する照明装置2とを備える。照明装置2の照明光路にはITO透明フィルム3が配置され、ITO透明フィルム3は透明基板に貼り付けられている。ITO透明フィルム3と透明基板は、非可視光に対する反射率および吸収率がそれぞれ異なる。つまり、ITO透明フィルム3と基板にエッチングされた回路パターンに非可視光が照射されると、回路パターン領域で反射される光エネルギーと基板領域で反射される光エネルギーが異なる。同様に、回路パターンを透過する光エネルギーと基板を透過する光エネルギーも異なる。また、ITO透明フィルム3の反射光または透過光路上には、ITO透明フィルム3の画像を取得するための撮像装置4が設けられている。)

なお、図3は、次のとおりのものである。

[図:0001435654000010.jpg]

イ 引用文献3の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用され、本願の優先権主張の日前の平成6年8月19日に頒布された引用文献である特開平6-229933号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)産業上の利用分野

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば顕微鏡、欠陥検査装置又は露光装置のアライメント系で液晶基板等を観察する際に適用して好適な観察方法に関する。」

(イ)実施例

「【0012】
【実施例】以下、本発明による観察方法の第1実施例につき図1及び図2を参照して説明する。この第1実施例では落射照明する場合を扱う。図1は本例の観察方法が適用される観察装置の光学系を示し、この図1において、点線の光線は被検物に入射する光の共役関係、実線の光線は被検物からの光の共役関係を表す。照明用の光源1としては、赤外線を含む光を発生する白熱ランプ又はハロゲンランプ等が使用されている。
【0013】光源1から射出される光は、波長が1μm程度を超える赤外領域の光のみを透過させるフィルター2に入射し、フィルター2から射出された赤外線よりなる照明光は、照明用のリレーレンズ3を介してハーフミラー4に向かう。ハーフミラー4で反射された照明光は、対物レンズ5を経てガラス基板7上の所定範囲の照明領域をほぼ均一な照度で照明する。ガラス基板7上には、ITO膜等の透明導電膜のパターン6が形成され、ガラス基板7及び透明導電膜のパターン6より液晶基板が構成されている。
【0014】ガラス基板7及び透明導電膜のパターン6からの反射光が、対物レンズ5及びハーフミラー4を経て、2次元CCD等の撮像素子8の撮像面上にガラス基板7及び透明導電膜のパターン6の像を結像する。本例の撮像素子8は主に赤外線に対して感度を有するものでよい。図2は、透明導電膜の一般的な反射率及び透過率の特性を示し、この図2の透過率を示す曲線C1から分かるように、透明導電膜の透過率は可視光の領域では高く、波長が1μm程度を超える赤外領域では小さい。一方、図2の反射率を示す曲線C2から分かるように、透明導電膜の反射率は可視光の領域では低く、波長が1μm程度を超える赤外領域では高い。」
合議体注:図1及び図2は、以下のものである。

[図:0001435654000011.jpg]

ウ 周知技術1

前記ア及びイの記載に基づけば、本願の優先権主張の日前において、次の周知技術が存在したことが把握できる。

「赤外光を用いた欠陥検査において、受光器として撮像素子を用いること」

(4)センサ感度調整に係る周知技術

ア 引用文献4の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用され、本願の優先権主張の日前の平成5年1月14日に頒布された引用文献である特開平5-6928号公報(以下「引用文献4」という。)には、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)特許請求の範囲

「【請求項18】 同一パターンとなるように形成された2つの画像を検出し、位置合わせをして比較し、これら画像の不一致となる個所を欠陥と判定するパターン検査において、該画像の読取手段と該画像との間の距離を調整して該画像への焦点合わせを行ない、該画像に焦点が合う合焦距離からの該距離が設定距離よりも大きいとき、欠陥検出感度を変化させることを特徴とするパターン検査方法。
・・・
【請求項20】 同一パターンとなるように形成された2つの画像を検出し、位置合わせをして比較し、これら画像の不一致となる個所を欠陥と判定するパターン検査において、該画像の読取手段と該画像との間の距離を調整して該画像への焦点合わせを行なう手段と、該画像に焦点が合う合焦距離からの該距離を検出する手段と、検出された該距離が設定距離を超えたとき、欠陥検出感度を変化させる手段とを有することを特徴とするパターン検査装置。」

(イ)産業上の利用分野

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被検査パターンの欠陥の検出に係り、特に、半導体ウエハや液晶ディスプレイなどのパターンの外観検査に好適なパターン検査方法及びその装置に関する。」

(ウ)発明が解決しようとする課題

「【0005】本発明の目的は、かかる問題を解消し、位置合せなど比較検査に必要な要素を改良して、検査の信頼性を向上させることを可能としたパターン検査方法及びその装置を提供することにある。」

(エ)課題を解決するための手段

「【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、同一パターンとなるように形成された2つの画像を検出し、位置合せして比較し、これらの不一致点を欠陥と判定するに際し、定められた時間毎のこれら画像の位置ずれ量を検出して位置合せを行なうが、今回の位置ずれ量と前回の位置ずれ量との差、位置ずれ量検出の際の今回のこれら画像の不一致画素数と前回の不一致画素数との差もしくは画像検出時の画像へ合焦状態のずれ量が大きいとき、あるいはパターン密度が小さい個では、今回の位置ずれ量ばかりでなく、前回の位置ずれ量、基準となる位置ずれ量などでもって多数の位置合せ点で上記位置合せを行なうか、欠陥検出感度を変化させる。」

(オ)実施例

「【0057】既に述べたように、不一致検出回路10により、リニアイメージセンサ5の画素数Mと走査数Nとの相乗積のエリアM×N内での不一致画素がわかり、X,Y方向に±3画素入力パターンをシフトしたときの、各シフト量における不一致画素数がカウントされて不一致画素数が最小となるシフト量がわかる。この場合、高精度な画像検出のためには対物レンズ4の、図1において、自動焦点合せが不可欠であり、Zステージ(図示せず)Z方向(X,Y平面に垂直な方向)移動させる必要がある。Zステージの移動にはXY面内の変位など不要な動作も含まれる可能性があるので、これを許容する必要がある。従って、M×Nエリア内での不一致画素数の算出時にZステージの変位量が予め決められた設定値を越えた場合、これを画像位置合せに反映させることが望ましい。そこで、M×Nエリアの画像検出時にZ方向変位量が設定値を越えた場合、位置合せをより多数の位置合せ点で行なうことにする。或いは、M×Nエリアの画像検出時にZ方向変位量がこの設定値を越えた場合、定められた欠陥検出感度を変化させることにする。これにより、欠陥検出感度が低下し、正常部を欠陥とする誤検出の発生が抑圧される。
【0058】以上のように、画像位置合せ、あるいは欠陥検出感度の設定を画像のパターンマッチング結果やパターン密度、Z変位により変更させる。
【0059】なお、上記実施例は、2値化回路9a,9bで2値化された画像のエッジパターンの欠陥検出を検出するものであったが、図1に破線で示すように、濃淡画像そのものを用いて欠陥を検出するようにしてもよい。この場合、濃淡の違いが大きい領域を欠陥とすることになる。従って、この判定しきい値を変えることによって上記に述べたように欠陥検出感度を変えてもよい。なお、2値化回路9aの出力は不一致検出回路10、状態記憶回路14にのみ供給される。」

イ 引用文献5の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用され、本願の優先権主張の日前の平成5年8月20日に頒布された引用文献である特開平5-209784号公報(以下「引用文献5」という。)には、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)特許請求の範囲

「【請求項1】測定対象物に対して光を照射する光照射手段と、該光照射手段によって該測定対象物に照射された光の反射光を検出する反射光検出手段とを備え、
前記反射光検出手段により検出した光の明度に基づいて前記測定対象物を測定する反射光測定装置であって、
前記反射光検出手段は、所定の軸線を中心として該軸線に対して所定の角度をもって回動自在に設ける線状の光センサにより前記反射光の空間分布を検出する光検出部と、
該光検出部により検出する反射光の明度を該線状の光センサにおける光検出位置に基づいて補正する明度補正部と、
を有することを特徴とする反射光測定装置。
【請求項2】前記光検出部は、回転軸の端部から略弧状に設けたラインセンサであり、前記明度補正部により前記測定対象物における計測点と該ラインセンサのセンサ表面との距離に基づいて該ラインセンサの各部位におけるセンサ感度を調整することを特徴とする請求項1記載の反射光測定装置。」

(イ)産業上の利用分野

「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、反射光測定装置に係り、詳しくは、例えば、プリント配線板のパターン検査等の分野に用いて好適な、反射光を効率良く検出する反射光測定装置に関する。近年、測定対象物としてのプリント配線板等に光を照射し、照射した光の反射光を検出・測定することで、プリント配線板の表面状態を測定する反射光測定装置が数多く開発されている。」

(ウ)発明が解決しようとする課題

「【0008】すなわち、全ての方向の反射光を検出するためには、光センサとして無数のフォトセンサを配置するか、あるいは、フォトセンサの向きをその都度変えてやる必要があり、これは、計測にかかる手間と労力とを考えると実用的ではない。したがって、従来、高精度な計測を行うことが難しかった。
[目的]そこで本発明は、高精度な計測が容易な反射光測定装置を提供することを目的としている。」

(エ)課題を解決するための手段

「【0009】
【課題を解決するための手段】本発明による反射光測定装置は上記目的達成のため、測定対象物に対して光を照射する光照射手段と、該光照射手段によって該測定対象物に照射された光の反射光を検出する反射光検出手段とを備え、前記反射光検出手段により検出した光の明度に基づいて前記測定対象物を測定する反射光測定装置であって、前記反射光検出手段は、所定の軸線を中心として該軸線に対して所定の角度をもって回動自在に設ける線状の光センサにより前記反射光の空間分布を検出する光検出部と、該光検出部により検出する反射光の明度を該線状の光センサにおける光検出位置に基づいて補正する明度補正部とを有するように構成している。
【0010】なお、前記光検出部としては、回転軸の端部から略弧状に設けたラインセンサが考えられ、この場合、前記明度補正部により前記測定対象物における計測点と該ラインセンサのセンサ表面との距離に基づいて該ラインセンサの各部位におけるセンサ感度を調整することが有効である。また、前記光検出部として回転軸の端部に設けたラインセンサを考え、前記明度補正部として該ラインセンサのセンサ表面から延伸して設けた光ファイバ束の端部を前記測定対象物における計測点からの距離を一定とする位置に揃えて略円弧状に形成したものも有効である。」

ウ 周知技術2

前記ア及びイの記載に基づけば、本願の優先権主張の日前において次の周知技術が存在したことが把握できる。

「欠陥やパターンの検査を光センサを用いて行うにあたり、測定対象物とセンサとの距離に基づいてセンサ感度を調整すること」

(5)テーブルを用いた判定に係る周知技術

ア 引用文献18の記載事項

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本願の優先権主張の日前の平成27年2月12日に頒布された引用文献である特開2015-28457号公報(以下「引用文献18」という。)には、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)技術分野

「【0001】
本発明は欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。」

(イ)発明が解決しようとする課題

「【0004】
半導体等の製造工程で用いられる欠陥検査には,微小な欠陥を検出すること,検出した欠陥の寸法を高精度に計測すること,試料を非破壊で(あるいは試料を変質させること無く)検査すること,同一の試料を検査した場合に常に一定の検査結果(検出欠陥の個数,位置,寸法,欠陥種)が得られること,一定時間内に多数の試料を検査することなどが求められる。
・・・
【0006】
本発明の目的は、試料全面を短時間で走査し,試料に熱ダメージを与えることなく微小な欠陥を検出することができる欠陥検査方法及びその装置を提供することにある。」

(ウ)課題を解決するための手段

「【0007】
レーザ光源からレーザ光を射出し試料上にパルス状のレーザ照明を行う照明光学系と、前記照明光学系によりレーザ照明された該試料からの反射光また散乱光を検出する検出光学系と、前記検出光学系により検出された該反射光または散乱光に基づく出力信号を処理して該試料上の欠陥を検出する信号処理系と、を備える欠陥検査装置であって、前記照明光学系は、パルス毎に照明位置を切り替える照明位置切替系を備え、前記信号処理系は、前記照明光学系によるレーザ照明により発生する該試料の表面の異なる位置に照明された複数の照明光により発生する反射光または散乱光に基づき欠陥候補を検出する欠陥候補検出部と、該欠陥候補検出部により検出された該欠陥候補のうち異なるタイミングで検出した欠陥候補を用いて、近接した欠陥候補の情報をマージして再度欠陥判定を行う欠陥判定部と、を備えることを特徴とする欠陥検査装置である。」

(エ)発明を実施するための形態

「【0082】
また、欠陥判定部はそのピーク強度より、欠陥として判定された欠陥候補に対して、そのサイズを推定して制御部53に転送する。欠陥の光量と欠陥サイズとの対応関係は、予め、サイズが既知の欠陥サンプル、典型的にはサイズが既知の標準粒子の散乱光量をもとに求めておき、このテーブルを欠陥判定部1069に持たせることで出力させる。」

イ 引用文献19の記載事項

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本願の優先権主張の日前の平成29年2月23日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である特開2017-40480号公報(以下「引用文献19」という。)には、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)技術分野

「【0001】
本発明は、欠陥検査装置に関する。」

(イ)発明を実施するための形態

「【0028】
欠陥検出部100では、所定値以上の散乱光の強度が受光部4にて取得された際に、欠陥の存在が検出される(ステップS14)。詳細には、回転機構52による基板9の回転角度、および、移動機構53による回転機構52の移動位置を示す信号が、欠陥検出部100に常時入力されており、当該散乱光が発生した基板9上の位置、および、当該散乱光の強度から推定される欠陥の大きさが記憶される。欠陥検出部100では、例えば、散乱光の強度と、欠陥の大きさとの関係を示すテーブルが予め準備されている。実際には、所定値以上の散乱光の強度が受光部4にて取得される毎に、欠陥の位置および大きさが記憶される(すなわち、欠陥が検出される。)。」

ウ 周知技術3

前記ア(エ)の「欠陥の光量と欠陥サイズとの対応関係」は、「予め、サイズが既知の欠陥サンプル」の光量をもとに求めておいた対応関係を「テーブル」としたものである。そうすると、「欠陥の光量と欠陥サイズとの対応関係」の「テーブル」は、欠陥の光量と、欠陥サイズとの対応関係を、光量の範囲及び欠陥サイズの範囲毎に、段階的に示すものといえる。また、前記イ(イ)の「散乱光の強度と、欠陥の大きさとの関係を示すテーブル」も、散乱光の強度と欠陥の大きさとの対応関係を、テーブルとして表されるように、散乱光の強度の範囲及び欠陥の大きさの範囲毎に、段階的に示すものといえる。

以上より、前記ア及びイの記載に基づけば、本願の優先権主張の日前において、次の周知技術が存在したことが把握できる。

「測定値の強度と欠陥のサイズを段階的に対応付けたテーブルに基づいて、欠陥の度合いを判定すること」

(6)遮光物に係る周知技術

ア 引用文献15の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用され、本願の優先権主張の日前の平成12年9月22日に頒布された引用文献である特開2000-260800号公報(以下「引用文献15」という。)には、図面とともに、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)発明の属する技術分野

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体装置、特にBGA(Ball Grid Array)、FC(Flip Chip)等の半田ボールの半田付け部分における半田付け状態の評価に好適するろう付け評価装置に関する。」

(イ)発明の実施の形態

「【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
・・・
【0009】図1乃至図5において、1は熱画像測定部で、熱画像測定カメラ2がカメラ固定台3に取り付けられており、また熱画像測定カメラ2に対向する位置には、上面に載置された測定対象品である半導体装置4を加熱、冷却可能とした支持台5が設けられている。さらに、支持台5の上方には、例えば載置され加熱されている半導体装置4の熱画像を熱画像測定カメラ2で撮影する際に周囲の影響が加わらないように遮光用囲い6が設けられている。」
合議体注:図1は次のものである。

[図:0001435654000012.jpg]

イ 引用文献16の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用され、本願の優先権主張の日前の平成10年7月14日に頒布された引用文献である特開平10-185830号公報(以下「引用文献16」という。)には、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)特許請求の範囲

「【請求項1】 透明シート材の被検査物を検査する装置であって、規則的パターンを配したチャート面を有する照明手段と、前記チャート面を被検査物を介して撮像する撮像手段を有し、この撮像手段により撮像された像の光電変換信号を基に被検査物の欠陥を判定する手段とを備え、前記撮像手段を前記チャート面に対向して配置し、前記被検査物の検査面を前記チャート面に対し斜めに配置したことを特徴とする透明シート検査装置。
・・・
【請求項10】 被検査物の検査部分から撮像手段に至る光路を遮光する遮光手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の透明シート検査装置。」

(イ)発明の属する技術分野

「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明シート材の検査に関し、特に透明フィルム,透明ガラス板等の透明シート材を検査するのに好適な透明シート検査装置に関するものである。なお、半透明のものも同様に検査できるので、本発明に関し、透明は半透明を含むものとする。」

(ウ)実施例

「【0023】なお、本実施例では不図示であるが、被検査物2の検査部分からセンサ列4bに至る光路を遮光カバーで包んでいる。即ち、撮像レンズ3及びラインセンサ4と被検査物2上の検査部分及びその周辺を内面が反射防止された遮光板によって被検査物2の通り口を除いて囲い、外光を遮光している。これにより被検査物2の検査部分への外光照射によるノイズ及び撮像レンズ3への外光入射によるフレア等、外光による撮像への影響を無くしている。
・・・
【0040】また、本実施例においては、外光の遮光カバーを設けているので、多線チャートの撮像に際して外光による影響を排除しており、ノイズのない多線チャート像を撮像して測定の精度を上げている。なお、多線チャート1aを構成する2つのスリット状の開口の幅は異なっていてもよい、多線チャートは2つの開口の繰り返しで構成されておればよいからである。さらに、本実施例では2値化したパルス信号のHighレベルの時間及び周期によって異常を検出したが、Lowレベルの時間及び周期によって異常を検出することも可能である。」

ウ 引用文献17の記載事項

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令和7年12月1日付けの拒絶の理由で周知技術を示す文献として引用され、本願の優先権主張の日前の平成16年1月22日に頒布された引用文献である特開2004-20336号公報(以下「引用文献17」という。)には、以下の記載事項がある。なお、周知技術の認定に用いた箇所に下線を付した。

(ア)特許請求の範囲

「【請求項1】
被検査体を加熱する加熱部と、前記被検査体からの赤外線を検知する赤外線検知部とを備え、赤外線サーモグラフィーにより前記被検査体に存在する欠陥を検査可能なサーモグラフィー検査装置であって、
前記加熱部および前記赤外線検知部を備える装置本体を設け、
その装置本体を前記被検査体上で走行可能とする走行装置を設け、前記装置本体を走行駆動する駆動装置を設けると共に、前記装置本体を前記被検査体上で検査可能な検査姿勢に保持する姿勢保持機構を設け、
前記装置本体と前記被検査体との間を遮光する遮光部を設けてあるサーモグラフィー検査装置。」

(イ)発明の属する技術分野

「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーモグラフィー検査装置に関し、さらに詳しくは、被検査体を加熱する加熱部と、前記被検査体からの赤外線を検知する赤外線検知部とを備え、赤外線サーモグラフィーにより前記被検査体に存在する欠陥を検査可能なサーモグラフィー検査装置に関する。」

(ウ)発明が解決しようとする課題

「【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、安定して精度よく、効率的に欠陥の検査を行うことができるサーモグラフィー検査装置を提供するところにある。」

(エ)課題を解決するための手段

「【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の特徴構成は、被検査体を加熱する加熱部と、前記被検査体からの赤外線を検知する赤外線検知部とを備え、赤外線サーモグラフィーにより前記被検査体に存在する欠陥を検査可能なサーモグラフィー検査装置であって、
前記加熱部および前記赤外線検知部を備える装置本体を設け、
その装置本体を前記被検査体上で走行可能とする走行装置を設け、前記装置本体を走行駆動する駆動装置を設けると共に、前記装置本体を前記被検査体上で検査可能な検査姿勢に保持する姿勢保持機構を設け、
前記装置本体と前記被検査体との間を遮光する遮光部を設けてあるところにある。」

エ 周知技術4

前記ア~ウの記載に基づけば、本願の優先権主張の日前において、次の周知技術が存在したことが把握できる。

「カメラ又はラインセンサにおいて、検査対象との間を遮光物で囲むこと」

5 引用発明1に基づく進歩性について

(1)対比

本件補正発明と引用発明1とを対比する。

ア 検出対象

引用発明1の「ITO透明フィルム」は、欠陥画像を取得する対象である。そうすると、引用発明1の「ITO透明フィルム」は、本件補正発明の「検査対象」に相当する。また、引用発明1の「ITO」は、「導電性と光線透過率が最も優れた酸化膜」(引用文献1の段落[0002])であるから、引用発明1の「ITO透明フィルム」は、本件補正発明の「導電部材を含む」とする要件を満たしている。

イ 赤外カメラ

引用発明1の「前記ITO透明フィルムの反射光路または透過光路中に配置された撮像素子」は、「赤外光源」により照明された赤外光を取得して撮像するものである。したがって、引用発明1の「前記ITO透明フィルムの反射光路または透過光路中に配置された撮像素子」は、本件補正発明の「赤外光を検出する赤外カメラ」に相当する。

ウ 検査装置

引用発明1の「ITO透明フィルムの欠陥画像取得システム」は、ITO透明フィルムの欠陥を検査するものといえる。したがって、引用発明1の「ITO透明フィルムの欠陥画像取得システム」は、本件補正発明の「検査装置」に相当する。

エ 一致点及び相違点

以上より、本件補正発明と引用発明1とは、

「 導電部材を含む検査対象からの赤外光を検出する赤外カメラを備える、
検査装置。」

である点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。

[相違点1-1]

本件補正発明は、「赤外光の強度を取得する赤外取得部」を備えており、赤外取得部が「前記検査対象と、前記赤外カメラとの距離に応じて、前記赤外カメラの検出感度を変更する」のに対し、引用発明1は、撮像素子が検出した赤外光の強度を取得する「赤外取得部」を備えるかが明らかでなく、ITO透明フィルムと撮像素子との距離に応じて撮像素子の感度を変更していない点。

[相違点1-2]

本件補正発明は、「前記赤外光の検出強度に基づいて、前記導電部材の傷の有無を判定する傷判定部」を備えており、傷判定部が「前記強度判定部が判定した前記赤外光の検出強度、および前記赤外光の検出強度と、前記傷の状態との関係が段階的に区分けされたリファレンステーブルに基づいて、前記導電部材の傷の度合いを判定する」のに対し、引用発明1のITO透明フィルムの欠陥画像取得システムは、傷判定部を備えるかが明らかでない点。

[相違点1-3]

赤外線の波長が、本件補正発明は「前記検査対象及び前記検査対象に設けられるトップコートを透過し、前記導電部材を透過しない波長」であるのに対し、引用発明1は赤外光の波長を特定していない点。

[相違点1-4]

赤外カメラが、本件補正発明は、「前記検査対象との間において遮光物で囲われている」のに対し、引用発明1の「撮像素子」は、遮光物で囲われていない点。

(2)判断

ア [相違点1-1]について

引用発明1は「前記ITO透明フィルムと前記透明基板とは、前記非可視光に対する反射率および吸収率が異な」ることに基づいて、ITO透明フィルムの欠陥画像を取得するものである。そうすると、非可視光である赤外光に対する反射率及び吸収率を得るために、赤外光の強度を取得するための構成を有しているといえる。

また、前記4(4)ウに記載したとおり、「欠陥やパターンの検査を光センサを用いて行うにあたり、測定対象物とセンサとの距離に基づいてセンサ感度を調整すること」は、周知技術であるといえる。

引用発明1は、ITO透明フィルムからの光を撮像素子で検出することにより、欠陥画像を取得しているところ、検出される信号がITO透明フィルムと撮像素子との距離によって影響を受けることは明らかである。そうすると、引用発明1において、検査の精度を向上させるために、上記周知技術を採用し、赤外光の強度を取得する際に、ITO透明フィルムと撮像素子との距離に応じて、検出感度を変更するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ [相違点1-2]について

引用発明1は、「欠点検出装置」であって、「前記ITO透明フィルムと前記透明基板とは、前記非可視光に対する反射率および吸収率が異な」ることに基づいて、ITO透明フィルムの欠陥画像を取得するものである。そうすると、反射率及び吸収率を得るために、赤外光の検出強度を得ていることは自明であり、検出強度に基づいて、欠陥を判定するための構成を有していることも明らかである。

また、前記4(5)ウに記載したとおり、「測定値の強度と欠陥のサイズを段階的に対応付けたテーブルに基づいて、欠陥の度合いを判定すること」は周知技術であるといえる。そして、ITO透明フィルムの欠陥を検出するにあたっても、欠点の度合いを判定することは、自明の課題といえる。

そうすると、引用発明1において、上記周知技術を採用し、欠陥を検出するにあたり、反射率及び吸収率と欠点の度合いを段階的に対応付けたテーブルに基づいて、欠陥の度合いを判定するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

ウ [相違点1-3]について

引用発明1において照射される「非可視光」の波長は、ITO透明フィルムと透明基板とで、反射率および吸収率が異なるものである。また、引用文献1の段落[0025]には、ITOフィルムについて、赤外光に対する反射率が70%より大きいと記載されている。また、引用文献1の段落[0032]には、赤外光は、好ましい透過率を有し、ガラス或いはプラスチックなどの透明剤を透過することができると記載されている。そうすると、引用発明1において、「非可視光源」として用いられる「赤外光源」が照射する「非可視光」の波長は、透明基板を通過し、ITO透明フィルムを通過しない波長であるといえる。

そして、本件補正発明は、「検査装置」に関する発明であるから、検査対象の構造を特定するものではなく、検査装置の赤外取得部が、トップコートが設けられた検査対象からの赤外光を検出する赤外カメラが検出した赤外光の強度を取得することができるものであれば足りるものである。また、引用発明1の撮像素子は、ITO透明膜にトップコートが設けられていたとしても、赤外光の強度を取得することができるものである。そうすると、[相違点1-3]は、実質的な相違点ということができない。

仮に、[相違点1-3]が実質的に相違するとしても、引用発明1は、ITO透明フィルムと前記透明基板とが、非可視光に対する反射率および吸収率が異なることに基づいて、欠陥を検査するものである。そうすると、「非可視光源」として用いられる「赤外光源」が照射する「非可視光」の波長を、検査対象が備えるITO透明フィルム以外の構成である透明基板やトップコートについて透過する波長であって、ITO透明フィルムを透過しない波長とすることは、当業者が適宜選択し得ることである。また、測定対象としてどのような構造のものを対象とするかは、当業者が適宜選択し得ることである。トップコートを有する測定対象を選択することは、当業者が容易になし得たことである。

エ [相違点1-4]について

前記4(6)エに記載したとおり、「カメラ又はラインセンサにおいて、検査対象との間を遮光物で囲むことは周知技術といえる。

引用発明1においても、撮像素子が周囲の影響を受けることを防ぐ必要があることは自明の課題である。そうすると、引用発明1の「撮像素子」について、周囲の影響を受けることを防ぐために、上記周知技術を採用し、検査対象との間を遮光物で囲むように構成することは、当業者が適宜設計し得る事項である。

オ 効果について

本件補正発明の効果は、引用文献1の記載及び周知技術から予測できる範囲のものである。

(3)まとめ

以上のとおり、いずれの相違点も実質的な相違点でないか、実質的な相違点であったとしても当業者が容易に想到し得たものである。したがって、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 引用発明2に基づく進歩性について

(1)対比

本件補正発明と引用発明2とを対比する。

ア 検出対象

引用発明2の「透明導電フィルム」は、「光学グレードのポリエステルフィルムの表面に透明導電層が層設」されているものである。そうすると、引用発明2の「透明導電フィルム」は、本件補正発明における「導電部材を含む検査対象」に相当する。

イ 赤外カメラ

本件補正発明の「赤外光を検出する赤外カメラ」と引用発明2の「赤外光受光器」とは、「赤外光を検出する赤外光受光器」である点で共通する。

ウ 傷判定部

引用発明2は、赤外光の透過光が「ごくわずか」である場合に透明導電フィルムを「正常」と判定し、赤外光の透過光が「赤外光受光器で受光」された場合に透明導電フィルムに「キズがあった」と判定するように構成されている。そうすると、引用発明2は、赤外光の透過光の強度について、「ごくわずか」である場合と、「赤外光受光器で受光」された場合とを、判定する構成と、赤外光の透過光の強度に基づいて、「キズ」の有無を判定する構成とを、備えているといえる。

したがって、引用発明2は、本件補正発明の「前記赤外光の検出強度を判定する強度判定部」と、「前記赤外光の検出強度に基づいて、前記導電部材の傷の有無を判定する傷判定部」とを備えているといえる。

エ 検査装置

引用発明2の「欠点検出装置」は、「キズを検出することができる」ものである。そうすると、引用発明2の「欠点検出装置」は、本件補正発明の「検査装置」に相当する。

オ 一致点及び相違点

以上より、本件補正発明と引用発明2とは、

「 導電部材を含む検査対象からの赤外光を検出する赤外光受光器と、
前記赤外光の検出強度を判定する強度判定部と、
前記赤外光の検出強度に基づいて、前記導電部材の傷の有無を判定する傷判定部と、
を備える、
検査装置。」

である点で一致し、以下の点で相違又は一応相違する。

[相違点2-1]

赤外光受光器が、本件補正発明は「赤外カメラ」であるのに対し、引用発明2は赤外カメラではない点。

[相違点2-2]

本件補正発明は、「赤外光の強度を取得する赤外取得部」を備えており、赤外取得部が「前記検査対象と、前記赤外カメラとの距離に応じて、前記赤外カメラの検出感度を変更する」のに対し、引用発明2は、「赤外取得部」を備えるかが明らかでなく、透明導電フィルムと赤外光受光器との距離に応じて赤外光受光器の感度を変更していない点。

[相違点2-3]

本件補正発明は、傷判定部が「前記強度判定部が判定した前記赤外光の検出強度、および前記赤外光の検出強度と、前記傷の状態との関係が段階的に区分けされたリファレンステーブルに基づいて、前記導電部材の傷の度合いを判定する」のに対し、引用発明2は、リファレンステーブルに基づいて傷の度合いを判定していない点。

[相違点2-4]

赤外線の波長が、本件補正発明は「前記検査対象及び前記検査対象に設けられるトップコートを透過し、前記導電部材を透過しない波長」であるのに対し、引用発明2は赤外光の波長を特定していない点。

[相違点2-5]

赤外カメラが、本件補正発明は、「前記検査対象との間において遮光物で囲われている」のに対し、引用発明2の「赤外光受光器」は、遮光物で囲われていない点。

(2)判断

ア [相違点2-1]について

前記4(3)ウに記載したとおり、「赤外光を用いた欠陥検査において、受光器として撮像素子を用いること」は周知技術であるといえる。

引用文献2の第3頁左上欄第18~19行に「透明導電フィルム20の欠点部分にマーキングを施す」と記載されていることから、引用発明2は、欠点の位置を検出するために用いられるものである。そうすると、位置を効率よく検出するために、赤外光受光器として、周知の撮像素子、つまり、赤外カメラを採用することは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ [相違点2-2]について

前記4(4)ウに記載したとおり、「欠陥やパターンの検査を光センサを用いて行うにあたり、測定対象物とセンサとの距離に基づいてセンサ感度を調整すること」は、周知技術であるといえる。

引用発明2は、透明導電フィルムの透明導電層からの透過光を赤外光受光器で受光しているところ、受光する透過光の強度が、透明導電フィルムと赤外光受光器との距離によって影響を受けることは明らかである。そうすると、引用発明2において、検査の精度を向上させるために、上記周知技術を採用し、透過光の強度を取得する際に、透明導電フィルムと赤外光受光器との距離に応じて、検出感度を変更するように構成することは当業者が容易に想到し得たことである。

ウ [相違点2-3]について

前記4(5)ウに記載したとおり、「測定値の強度と欠陥のサイズを段階的に対応付けたテーブルに基づいて、欠陥の度合いを判定すること」は、本願の優先権主張の日前における周知技術であるといえる。

そして、透明導電フィルムのキズの検査においても、キズの度合いを判定することは、自明の課題であるといえる。

そうすると、引用発明2において、上記周知技術を採用し、透過光量とキズの度合いを段階的に対応付けたテーブルに基づいて、キズの度合いを判定するように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

エ [相違点2-4]について

引用発明2において照射される「赤外光」の波長は、正常な透明導電フィルムの搬送では赤外光は透明導電フィルム上でほぼ反射されてしまい透過光はごくわずかであり、透明導電フィルムの透明導電層にキズがあった場合、赤外光の一部が透過光として赤外光受光器で受光されるものである。そうすると、引用発明2において照射される「赤外光」の波長は、透明導電フィルムの透明導電層以外を通過し、透明導電層を通過しない波長であるといえる。

そして、本件補正発明は、「検査装置」に関する発明であるから、検査対象の構造を特定するものではなく、検査装置の赤外取得部が、トップコートが設けられた検査対象からの赤外光を検出する赤外カメラが検出した赤外光の強度を取得することができるものであれば足りるものである。また、引用発明2の赤外光受光器は、透明導電フィルムにトップコートが設けられていたとしても、赤外光の強度を取得することができるものである。そうすると、[相違点2-4]は、実質的な相違点ということができない。

仮に、[相違点2-4]が実質的に相違するとしても、引用発明2は、正常な透明導電フィルムの搬送では赤外光は透明導電フィルム上でほぼ反射されてしまい透過光はごくわずかであり、透明導電フィルムの透明導電層にキズがあった場合、赤外光の一部が透過光として赤外光受光器で受光されることに基づいて、キズを検出するものである。そうすると、赤外光の波長を、検査対象が備える透明導電層以外の構成であるトップコートについて透過する波長であって、透明導電層を透過しない波長とすることは、当業者が適宜選択し得ることである。また、測定対象としてどのような構造のものを対象とするかは、当業者が適宜選択し得ることである。トップコートを有する測定対象を選択することは、当業者が容易になし得たことである。

オ [相違点2-5]について

前記5(2)エに記載したとおり、カメラ又はラインセンサにおいて、検査対象との間を遮光物で囲むことは周知技術といえる。

引用発明2においても、赤外光受光器が周囲の影響を受けることを防ぐ必要があることは自明の課題である。そうすると、引用発明2の「赤外光受光器」について、周囲の影響を受けることを防ぐために、上記周知技術を採用し、検査対象との間を遮光物で囲むように構成することは、当業者が適宜設計し得る事項である。

カ 効果について

本件補正発明の効果は、引用文献2の記載及び周知技術から予測できる範囲のものである。

(3)まとめ

以上のとおり、いずれの相違点も実質的な相違点でないか、実質的な相違点であったとしても当業者が容易に想到し得たものである。したがって、本件補正発明は、引用文献2に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

7 むすび

以上より、本件補正発明は、引用文献1に記載された発明又は引用文献2に記載された発明と、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により独立して特許を受けることができない。

したがって、本件補正は、特許法17条の2第6項で準用する同法126条7項の規定に違反するものであり、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本件発明

1 本件発明

本件補正は、前記第2の7に記載したとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和7年10月21日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~21に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、前記第2の1(1)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

令和7年12月1日付けで通知した拒絶の理由の概要は、この出願の請求項1~21に係る発明は、本願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

なお、請求項1に係る発明について、引用文献1及び引用文献2を、それぞれ主引用発明が記載された文献として引用し、引用文献1、3~5、15~17を、周知技術が記載された文献として引用している。

<引用文献等一覧>

引用文献1 :中国特許出願公開第106383127号明細書
引用文献2 :特開平1-113641号公報
引用文献3 :特開平6-229933号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献4 :特開平5-6928号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献5 :特開平5-209784号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献6 :特開2006-349647号公報
引用文献7 :特開平9-273997号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献8 :特開2000-55815号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献9 :特開2014-2025号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献10:特開2015-81826号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献11:特開2017-120232号公報(周知技術を示す文献)
引用文献12:特開平11-183397号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献13:特開2016-004020号公報(周知技術を示す文献)
引用文献14:特開2018-9987号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献15:特開2000-260800号公報(周知技術を示す文献)
引用文献16:特開平10-185830号公報 (周知技術を示す文献)
引用文献17:特開2004-20336号公報 (周知技術を示す文献)

3 引用文献

令和7年12月1日付けで通知した拒絶の理由において引用した引用文献1~5、15~17の記載事項、及び、引用文献1及び引用文献2に記載された発明、引用文献1、3~5、15~17の記載から把握される周知技術は、前記第2の4に記載したとおりである。

4 対比・判断

本件発明は、前記第2において検討した本件補正発明から、「傷判定部」の機能について、「前記強度判定部が判定した前記赤外光の検出強度、および前記赤外光の検出強度と、前記傷の状態との関係が段階的に区分けされたリファレンステーブルに基づいて、前記導電部材の傷の度合いを判定する」とする限定を省いたものである。

そうすると、本件発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の5及び6に記載したとおり、引用文献1に記載された発明又は引用文献2に記載された発明と、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明も、引用発明1又は引用発明2及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本件発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2024-012560

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