2025-006034
アウトレット装置
- 審判番号
- 2025-006034
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-072250外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2025年04月20日
- 審決日
- 2026年02月02日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】一般社団法人水素医療研究所
- 【請求人代理人】紀田 馨
- 【請求人】特定非営利活動法人日本老化防御医科学センター
- 【請求人代理人】紀田 馨
- 分類
- P18 .121-Z (A61M)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
本願は、令和3年4月22日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、令和6年9月5日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】吸入用の水素を生成し、生成した水素をカニューレから排出する水素吸入装置に接続されるアウトレット装置であって、底面が寝具に設置される設置面として形成されるボックス部と、前記ボックス部内に設けられ、前記水素吸入装置からの水素が通過する第1管状部と、前記ボックス部内において、前記第1管状部に対して水素通過方向の下流側に位置し、かつ、前記第1管状部に連続して設けられ、前記第1管状部からの水素を通過させて外部に排出する第2管状部と、を備え、前記第2管状部は、内径が均一であって、水素通過方向の下流側に向かうにつれて、上方側かつ水平方向に対して傾斜した状態で延びる傾斜管状部を備えており、前記傾斜管状部の延びる方向と水平方向とがなす角度が、15~55度であることを特徴とするアウトレット装置。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定(令和6年12月19日付け拒絶査定)の概要は以下のとおりである。
本願請求項1、2に係る発明は、以下の引用文献1又は引用文献2に記載された発明、あるいは引用文献1、2に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.登録実用新案第3228934号公報
2.特開2019-47906号公報
第4 引用文献、引用発明
1 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、図面とともに次の事項の記載がある(下線は、当審で付した。以下同じ。)。
「【0012】水素分散提供具1は、本体部2と接続部3とを有している。本体部2は、図1の様に、ベッド形状を有している。つまり、本体部2は、長方形形状の表面F、及び、この表面Fと同じ形状の裏面Bとの間(厚さ)が、所定距離離れた、直方体形状をしている。もっとも、厚さは縦横の長さに比べると、1/10以下である。この表面Fと裏面Bとの間に、水素通路部21が形成(収納)されている。続きを表示(全34行)この表面Fと裏面Bは、四辺(端部分22)で互いに結合されている他、端部分22以外においても、ところどころ中央結合部23で結合されている。そして、これによって、互いの位置が所定距離以上ずれるのを防止している。中央結合部23は、図1のように、長方形形状の表面F又は裏面Bの短手方向に、連続的に形成されていても良い。【0013】本体部2(表面F及び裏面B)は、例えば、布、不織布で形成されており。それ自体が、水素を通過可能に形成されている。水素以外に、湿気、空気なども通過可能とすると、本体部2上に寝転ぶユーザへの快適性を増すことができるので、好適である。【0014】また、本体部2は、ユーザの少なくとも体の一部が上に載っていても、水素を供給できなくなるほどの変形をしないように作られている。もっとも、体の一部、例えば、頭のみ、足のみ、胴体のみ、上半身のみだけである必要はなく、体の全体が乗るベッドの大きさであっても良い。なお、図1で示す、本体部2は、体全体を支持することができる大きさの物を想定して記載している。【0015】接続部3は、管形状を有している。そして、接続部3の本体部2側の端部である本体側端部31は、水素通路部21に接続されている。また、接続部3の他方の端部である他端側端部32は、少なくとも水素(水素分子)を供給(発生)することかできる水素発生装置101に気密的に接続可能な形状を有している。なお、この接続部3の長さは、図1の様に長い必要はなく、水素通路部21に空いた穴のようなものであってもよい。【0016】図2は、本体部2の表面F側からの説明図である。【0017】図2の様に、表面Fと裏面Bとの間に形成されている水素通路部21は、接続部3から供給される水素を分散的に表面F側から供給可能に形成されている。より具体的には、タコ足の様に、分岐した形状を有している。分岐の方法は、このような形状である必要はなく、他の形状であっても良い。例えば、末端側肉に従い細かく分かれていく、毛細血管(樹木の枝)の様な形状であってもよい。さらには、分岐は他の形状であってもよい。さらに、分岐でなくても良い。具体的には、例えば、蛇行する管路形状であっても良い。【0018】この水素通路部21は、図2では、全ての中央結合部23の列の間に入っているわけではないが、もちろん、すべての列の間に入れることも可能である。【0019】水素通路部21には、所定間隔ごとに、表面F側のみに形成された複数の貫通孔21aを有している。この貫通孔21a部分から水素が表面F側に集中的に供給される。この穴の位置、方向、個数などは任意に変更可能である。例えば、中央付近に多く設けるなども可能である。そうすることによって、中心付近に体を横たえることが多いと思われるユーザに効果的に水素を供給することも可能となる。さらに、体の一部に特に集中的に水素を提供したいユーザの為に、所定の位置に集中的に配置することも可能である。そして、貫通孔21も、提供したい位置に向くような方向に向かって穴をあけることもできる。さらに、水素分子は小さい分子であるため、貫通孔21aを設けず、水素が通過可能な材質(ビニール等)で形成することも可能である。逆に、極めてたくさんの小さな穴を設けることも可能である。」
「[図:0001433955000001.jpg]」
「[図:0001433955000002.jpg]」
2 引用発明
上記1から、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「水素分散提供具1は、本体部2と接続部3とを有し、本体部2は、長方形形状の表面F、及び、この表面Fと同じ形状の裏面Bとの間(厚さ)が、所定距離離れた、直方体形状をしており、この表面Fと裏面Bとの間に、水素通路部21が形成(収納)されており、本体部2は、体の一部、例えば、頭のみだけである必要はなく、体の全体が乗るベッドの大きさであっても良く、接続部3の本体部2側の端部である本体側端部31は、水素通路部21に接続されており、接続部3の他方の端部である他端側端部32は、少なくとも水素(水素分子)を供給(発生)することかできる水素発生装置101に気密的に接続可能な形状を有しており、表面Fと裏面Bとの間に形成されている水素通路部21は、接続部3から供給される水素を分散的に表面F側から供給可能に形成されており、水素通路部21は、所定間隔ごとに、表面F側のみに形成された複数の貫通孔21aを有し、この貫通孔21a部分から水素が表面F側に集中的に供給されるものであり、この穴の位置、方向、個数などは任意に変更可能であり、体の一部に特に集中的に水素を提供したいユーザの為に、貫通孔21も、提供したい位置に向くような方向に向かって穴をあけることもできる水素分散提供具1。」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明1と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「接続部3の他方の端部である他端側端部32は」、「少なくとも水素(水素分子)を供給(発生)することかできる水素発生装置101に気密的に接続可能な形状を有して」おり、発生した水素が吸入用であることは明らかであるから、引用発明の「接続部3」、「水素発生装置101」は、それぞれ本願発明1の「カニューレ」、「水素供給装置」に相当する。
イ 上記アから、引用発明の「水素分散提供具1」と本願発明1の「アウトレット装置」は、「吸入用の水素を生成し、生成した水素をカニューレから排出する水素吸入装置に接続される」点で、一致する。
ウ 引用発明の「本体部2は」、「体の一部、例えば、頭のみだけである必要はなく、体の全体が乗るベッドの大きさであっても良」いから、「ユーザの頭のみ」が乗るもの、すなわち枕のようなものであっても良いといえる。枕のようなものである場合、裏面Bが寝具の上に置かれることになることは明らかであるから、引用発明の「裏面B」は本願発明1の「底面」に相当し、「裏面B」が寝具に対する「設置面」となる。
エ 上記ウから、引用発明の「本体部2」は、本願発明1の「底面が寝具に設置される設置面として形成されるボックス部」に相当する。
オ 引用発明の「水素通路部21」は、「本体部2」に「形成(収納)」され、「接続部3から供給される水素を分散的に表面F側から供給する」ものであるから、上記アからウを踏まえれば、引用発明の「水素通路部21」は、本願発明1の「ボックス部内に設けられ、水素吸入装置からの水素が通過する第1管状部」に相当する。
カ 引用発明の「貫通孔21」は、「水素通路部21」に形成されたものであり、「この貫通孔21a部分から水素が表面F側に集中的に供給されるものであ」り、「水素を提供したいユーザの為に」、「提供したい位置に向くような方向に向かって」あけられるものであるから、上記オを踏まえれば、引用発明の「貫通孔21」と、本願発明の「第2管状部」は、「ボックス部内において、第1管状下部に対して水素通過方向の下流側に位置し、かつ、第1管状部に対して連続して設けられ、第1管状部からの水素を通過させて外部に排出する」点で一致する。
キ 上記カを踏まえれば、引用発明の「貫通孔21」は、「裏面B」に対して「表面F」の方向及び「提供したい位置に向けて」あけられるものであるといえる。そして、「表面F」は、「裏面B」の上方側にあり、水素が供給される側である。よって、引用発明の「貫通孔21」は、本願発明1の「第2管状部」と、「水素通過方向の下流側に向かうにつれて、上方側かつ水平方向に対して傾斜した状態で延びる傾斜管状部を備え」る点で一致する。
ク 上記アからキを踏まえれば、引用発明の「水素分散提供具1」と、本願発明1の「アウトレット装置」は、次の相違点1、2で相違し、その余の点で一致する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「吸入用の水素を生成し、生成した水素をカニューレから排出する水素吸入装置に接続されるアウトレット装置であって、底面が寝具に設置される設置面として形成されるボックス部と、前記ボックス部内に設けられ、前記水素吸入装置からの水素が通過する第1管状部と、前記ボックス部内において、前記第1管状部に対して水素通過方向の下流側に位置し、かつ、前記第1管状部に連続して設けられ、前記第1管状部からの水素を通過させて外部に排出する第2管状部と、を備え、前記第2管状部は、水素通過方向の下流側に向かうにつれて、上方側かつ水平方向に対して傾斜した状態で延びる傾斜管状部を備えているアウトレット装置。」
(相違点1)
本願発明1では、「第2管状部」の「内径が均一」であるのに対し、引用発明では、「内径」について特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1では、傾斜管状部の延びる方向と水平方向とがなす角度が、15~55度であるのに対し、引用発明では、角度について特定されていない点。
2 判断
(1) 相違点について
ア 相違点1
「孔」の形状として、内径が均一なものは、一般的な構成に過ぎないから、引用発明における「貫通孔21」の「内径」を「均一」なものとすることに、格別の困難性はなく、当業者が適宜決定できた設計的事項に過ぎない。
イ 相違点2
ユーザが鼻や口から水素を吸入することは、一般的な事項であるから、引用発明において、集中的に水素を提供したい体の一部を、鼻や口とし、枕の上に寝ているユーザの鼻や口に集中的に水素を提供するために、貫通孔21を、鼻や口の位置に向くような方向に向かって穴をあけるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。そして、枕に寝ているユーザの鼻や口に向けて穴をあけた際に、穴の角度を枕の設置面に対して、15~55度とすることは、当業者が通常なし得る創造性の発揮の範囲内のことである。
(2) 効果について
これらの相違点を総合的に勘案しても、本件発明1の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(3) 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において「引用文献2の0019段落には、貫通孔21も、提供したい位置に向くような方向に向かって穴をあけることもできると記載されている。しかしながら、これはあくまでユーザに密着した本体部に開口した穴の方向についての記載であり、本願発明に特有のユーザから離れた場所に設置されることを前提として、その上でなお、ユーザの鼻腔位置周辺の水素濃度を高くたもつための具体的構成について示唆するものでも、その内容を開示するものでもないことは明らかである。」旨を主張している(以下、「主張1」とする。)
また、「引用文献1、2のいずれにも本願発明者らが膨大な数の実験を繰り返すことによって得られた知見である第2管状部の角度に関する具体的数値については何ら記載がない。」旨を主張している(以下、「主張2」とする。)
上記主張について検討する。
主張1について、本願発明1は、特有のユーザから離れた場所に設置されることを前提としていることは特定されていないため、上記主張1を採用することはできない。
主張2について、上記(1)イで述べたように、第2管状部の角度を、15~55度とすることは、当業者が通常なし得る創造性の発揮の範囲内のことであるから、主張2を採用することはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本件発明1は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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