特許拒絶査定不服審判
2025-004241
電力を超音波トランスデューサに供給するための装置および方法
- 審判番号
- 2025-004241
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-506185外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2025年03月18日
- 審決日
- 2025年11月10日
- 公報発行日
- 2026年04月24日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ユニヴェルシテ パリ-サクレー
- 【請求人代理人】山口 健次郎
- 【請求人代理人】尾崎 祐朗
- 【請求人】サントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シアンティフィク
- 【請求人代理人】山口 健次郎
- 【請求人代理人】尾崎 祐朗
- 分類
- P18 .113-Z (H04R)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-506185「電力を超音波トランスデューサに供給するための装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 2月 3日国際公開、WO2022/023316、令和 5年10月 3日国内公表、特表2023-541515〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2021年(令和3年)7月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2020年7月30日、フランス(FR))を国際出願日とする出願であって、令和5年7月3日に手続補正がされ、令和6年8月28日付けで拒絶理由が通知され、令和6年10月7日に意見書が提出され、令和7年1月10日付けで拒絶査定がされ、これを不服として、同年3月18日に本件審判請求がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし12に係る発明は、令和5年7月3日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項12に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。
[本願発明]
供給信号と呼ばれるアナログ電力信号を超音波トランスデューサ(302)に供給するための方法であって、
駆動信号と呼ばれる正弦波信号をデルタシグマ変調し、制御信号と呼ばれる信号を提供するステップと、
前記デルタシグマ変調制御信号により電力インターフェースを制御し、前記供給信号を提供するステップと
を含むことを特徴とする、方法。
第3 拒絶査定の理由の概要
1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1,2,4-7,12
・引用文献等 1
●理由2(進歩性)について
・請求項 3
・引用文献等 1
・請求項 8-11
・引用文献等 1,2
<引用文献等一覧>
1.特開平10-5218号公報
2.特表2019-530505号公報
第4 引用発明
1.引用文献1の記載事項
拒絶査定の理由に引用された引用文献1である特開平10-5218号公報には、図面とともに次の事項が記載されている。なお、下線は当審により付したものである。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波振動子駆動方法および装置並びに超音波撮像装置に関し、特に、リニア(linear)性と電力効率を両立させた超音波振動子駆動方法および装置並びに超音波撮像装置に関する。」
「【0026】図2において、駆動信号メモリ(memory)131に駆動基準信号が記憶されるようになっている。駆動基準信号としては例えば図3に示すような波形を持つRF(radio frequecy)信号が設定され、それがディジタルデータとして記憶される。このRF信号の周波数は超音波振動子12の中心周波数に相当し、例えば2~10MHzである。振幅および波数は超音波振動子12を駆動する電圧の振幅および波数を決めるものである。このRF信号は本発明における駆動基準信号の実施の形態の一例である。
【0027】駆動基準信号は制御部16によって書き込まれる。制御部16はメモリを書き替えることによって駆動基準信号を変更できるようになっている。これによって、駆動基準信号の周波数、振幅および波数が撮像条件に合わせて調節される。このように駆動信号メモリ131にディジタルデータで駆動基準信号を記憶する方法は多様な撮像条件に適応する点で好ましい。駆動基準信号データは送波のタイミング(timing)に従って制御部16により駆動信号メモリ131から読み出される。
【0028】読み出された駆動基準信号はΔ-Σ(デルタ・シグマ)変換器132によってパルス密度信号に変換されるようになっている。Δ-Σ変換器132は本発明におけるΔ-Σ変換手段の実施の形態の一例である。Δ-Σ変換器は例えばCDプレーヤー(compact disc player) のようなオーディオ(audio) 機器においてオーディオ信号の変換に多用されている。本発明におけるΔ-Σ変換もそれに準じている。
【0029】Δ-Σ変換によって、例えば図4に示すように、駆動基準信号の各瞬時値が1と-1のパルスの出現頻度(パルス密度)に変換される。パルス間隔は一定である。両パルスの密度の差が駆動基準信号の瞬時値に相当する。正の値に対しては1のパルスの密度が-1のパルスの密度よりも高くなる。負の値に対しては-1のパルスの密度が1のパルスの密度よりも高くなる。駆動基準信号が0のときは両パルスの密度が等しくなる。
【0030】このようにして、駆動基準信号はシリアル(serial)なパルス列信号に変換される。Δ-Σ変換のサンプリングレート(sampling rate) を決めるクロック(clock) は被変換信号の数十倍の周波数となるように設定されており、駆動基準信号の周波数が2~10MHzである場合は、例えば160MHzのクロックが使用される。
【0031】これによって、オーバーサンプリング(over sampling) でΔ-Σ変換が行われ、駆動基準信号の各瞬時値を表すディジタルデータがそれぞれ数十個のシリアルパルスに展開された形で表現される。クロック周波数の設定を含みΔ-Σ変換器132の動作は制御部16によって制御される。
【0032】なお、駆動信号メモリ131に代えてアナログ(analog)型の信号発生器を用いるようにしても良い。アナログ信号発生器の使用は機能を限定して構成を簡素化する点で好ましい。その場合、Δ-Σ変換器132はアナログ入力対応のものが使用される。
【0033】Δ-Σ変換器132の出力信号は遅延回路133に入力されるようになっている。遅延回路133は本発明における遅延手段の実施の形態の一例である。遅延回路133は複数の単位遅延回路DL1~DLnで構成されている。単位遅延回路DL1~DLnの個数は送波開口を形成する超音波振動子121~12nの個数に対応する。
【0034】単位遅延回路DL1~DLnの遅延時間は制御部16によって個々に調節できるようになっている。遅延時間の調節は送波のビームフォーミングに合わせて行われる。単位遅延回路DL1~DLnは例えば可変長のシフトレジスタ(shift register)によって実現するのが遅延時間を精密に調節する点で好ましい。
【0035】ここで、この可変長シフトレジスタのシフトクロックの周波数は当然、前記のパルス列信号の周波数に合わせる必要上、一例として160MHzを必要とし、従って1クロック分の時間調整で得られる時間分解能は6.25nSとなる。
【0036】このため、従来のフェイズドアレイ装置において送信信号を単純なバイナリー表現で扱う場合において汎用される30~40MHz(25~33nS)程度のシフトクロックの単位では出せない微細な時間分解能が実現できる。
【0037】これにより従来のフェイズドアレイ装置において遅延時間のさらなる微調整のために必要とされた補間器が、本発明の実施により不要となるという副次効果を発揮する。
【0038】単位遅延回路DL1~DLnのパルス列出力信号はスイッチングアンプ134における単位アンプA1~Anに入力されるようになっている。スイッチングアンプ134は本発明におけるスイッチング増幅手段の実施の形態の一例である。
【0039】単位アンプAi(i:1~n)は、例えば図5に示すように、FET(field-effect transistor) スイッチQ1,Q2を用いて構成される。FETスイッチQ1としてはNチャンネル(channel)のFETが用いられる。FETスイッチQ2としてはPチャンネルのFETが用いられる。
【0040】FETスイッチQ1,Q2のゲート(gate)Gが共通に接続されて入力端子INを生成(当審注:形成の誤記と認められる。)している。FETスイッチQ1,Q2のソース(source)Sが共通に接続されて出力端子OUTを形成している。FETスイッチQ1のドレイン(drain)Dには正の電源案圧(当審注:電源電圧の誤記と認められる。)Vccが与えられている。FETスイッチQ2のドレインDには負の電源案圧(当審注:電源電圧の誤記と認められる。)-Vccが与えられている。
【0041】この回路は、入力パルスが1のときFETスイッチQ1がオン(on)、FETスイッチQ2がオフ(off)となって出力端子OUTから正の電源電圧+Vccを出力する。また、入力パルスが-1のときはFETスイッチQ1がオフ、FETスイッチQ2がオンとなって出力端子OUTから負の電源電圧-Vccを出力する。すなわち、入力パルスの極性に応じて正負の電源電圧をスイッチング出力するスイッチングアンプとなる。
【0042】したがって、単位アンプA1~Anは入力パルス列信号に従ってそれぞれスイッチング動作を行い、入力パルスの1および-1に対応してそれぞれ正および負の電源電圧を出力する。すなわち、単位アンプA1~Anはおのおの入力パルス列信号を電力増幅したパルス列信号を出力する。出力パルス列信号の周波数は例えば160MHzである。
【0043】これらのパルス列信号がフィルタ135の単位フィルタF1~Fnを通じてそれぞれ超音波振動子121~12nに駆動信号として印加される。フィルタ135は本発明における低域濾波手段の実施の形態の一例である。単位フィルタF1~FnはΔ-Σ変換器132のクロック周波数(例えば160MHz)に関して低域濾波器(ローパスフィルタ(low-pass filter) )として機能するものである。
【0044】そのようなフィルタとして例えばコイル等のインダクタンス(inductance)素子が用いられる。インダクタンス素子を用いるのは、簡易な構成のコイルでローパスフィルタを実現できる点で好ましい。クロックの周波数が極めて高いことにより、簡単なコイルで十分に所望のローパス効果を達成することができる。
【0045】このような単位フィルタF1~Fnを通過したとき、単位アンプA1~Anのパルス列出力信号は、ローパスフィルタの平均化作用により例えば図6に示すようにパルス密度に比例した瞬時値を有するアナログ電圧となる。
【0046】パルス密度はΔ-Σ変換により駆動基準信号の瞬時値を表しているから、それを平均してアナログ化することにより駆動基準信号がアナログ電圧として再生される。すなわち、駆動基準信号を電力増幅したアナログ電圧が得られる。」
「
[図:0001433913000001.jpg]
」
「
[図:0001433913000002.jpg]
」
「
[図:0001433913000003.jpg]
」
「
[図:0001433913000004.jpg]
」
「
[図:0001433913000005.jpg]
」
2.引用発明
上記記載事項(特に、下線部)によれば、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、後の参照のため記号a~eを付した。また、( )内は対応する段落番号や図面番号である。
[引用発明]
a 超音波振動子駆動方法であって、(0001)
b 駆動基準信号としては図3に示すような波形を持つRF信号が設定され、駆動基準信号はΔ-Σ変換器132によってパルス密度信号に変換され、Δ-Σ変換によって、駆動基準信号の各瞬時値が1と-1のパルスの出現頻度(パルス密度)に変換され、(0026、0028、0029、図2、図3、図4)
c Δ-Σ変換器132の出力信号は遅延回路133に入力され、遅延回路133は複数の単位遅延回路DL1~DLnで構成されており、単位遅延回路DL1~DLnのパルス列出力信号はスイッチングアンプ134における単位アンプA1~Anに入力され、(0033、0038、図2)
d 単位アンプAi(i:1~n)は、FETスイッチQ1,Q2を用いて構成され、FETスイッチQ1としてはNチャンネルのFETが、FETスイッチQ2としてはPチャンネルのFETが用いられ、FETスイッチQ1,Q2のゲートGが共通に接続されて入力端子INを形成し、FETスイッチQ1,Q2のソースSが共通に接続されて出力端子OUTを形成し、FETスイッチQ1のドレインDには正の電源電圧Vccが、FETスイッチQ2のドレインDには負の電源電圧-Vccが与えられており、この回路は、入力パルスが1のときFETスイッチQ1がオン、FETスイッチQ2がオフとなって出力端子OUTから正の電源電圧+Vccを出力し、また、入力パルスが-1のときはFETスイッチQ1がオフ、FETスイッチQ2がオンとなって出力端子OUTから負の電源電圧-Vccを出力し、すなわち、単位アンプA1~Anはおのおの入力パルス列信号を電力増幅したパルス列信号を出力し、(0039、0040、0041、0042、図2、図5)
e これらのパルス列信号がフィルタ135の単位フィルタF1~Fnを通じてそれぞれ超音波振動子121~12nに駆動信号として印加され、このような単位フィルタF1~Fnを通過したとき、単位アンプA1~Anのパルス列出力信号は、ローパスフィルタの平均化作用によりパルス密度に比例した瞬時値を有するアナログ電圧となる、(0043、0045、図6)
a 方法。
第5 本願発明と引用発明との対比
1.方法について
引用発明の「超音波振動子」(a)は、本願発明の「超音波トランスデューサ(302)」に相当する。
また、引用発明では、「単位アンプA1~Anはおのおの入力パルス列信号を電力増幅したパルス列信号を出力」(d)し、「これらのパルス列信号がフィルタ135の単位フィルタF1~Fnを通じてそれぞれ超音波振動子121~12nに駆動信号として印加され、このような単位フィルタF1~Fnを通過したとき、単位アンプA1~Anのパルス列出力信号は、ローパスフィルタの平均化作用によりパルス密度に比例した瞬時値を有するアナログ電圧となる」(e)ことから、引用発明の「超音波振動子121~12nに駆動信号として印加」される信号は、本願発明でいう「アナログ電力信号」であって、超音波振動子に供給する「供給信号」と呼ぶことができるのは明らかである。
したがって、上記d及びeの構成を含む引用発明の「超音波振動子駆動方法」(a)は、本願発明の「供給信号と呼ばれるアナログ電力信号を超音波トランスデューサ(302)に供給するための方法」に相当する。
2.デルタシグマ変調について
引用発明では、「駆動基準信号としては図3に示すような波形を持つRF信号が設定され、駆動基準信号はΔ-Σ変換器132によってパルス密度信号に変換」(b)される。ここで、引用発明の「Δ-Σ変換」は、本願発明の「デルタシグマ変調」に相当する。また、引用発明の「図3に示すような波形」は、図3によれば「正弦波」といえるから、引用発明の「図3に示すような波形を持つRF信号が設定」された「駆動基準信号」は、本願発明の「駆動信号と呼ばれる正弦波信号」に相当する。
さらに、引用発明では、「Δ-Σ変換器132の出力信号は・・・スイッチングアンプ134における単位アンプA1~Anに入力され」(c)、「単位アンプAi(i:1~n)は、FETスイッチQ1,Q2を用いて構成され、・・・FETスイッチQ1,Q2のゲートGが共通に接続されて入力端子INを形成し、・・・入力パルスが1のときFETスイッチQ1がオン、FETスイッチQ2がオフ・・・入力パルスが-1のときはFETスイッチQ1がオフ、FETスイッチQ2がオン」(d)となるから、Δ-Σ変換器132から出力されて単位アンプAi(i:1~n)のFETスイッチQ1,Q2のゲートGに入力される信号は、FETスイッチQ1,Q2のオン/オフを制御する信号であって、単位アンプAi(i:1~n)を制御する「制御信号」といい得るものである。
したがって、本願発明と、上記b, c, dの構成を含む引用発明は、「駆動信号と呼ばれる正弦波信号をデルタシグマ変調し、制御信号と呼ばれる信号を提供するステップ」を含む点で一致する。
3.電力インターフェースについて
本願発明の「前記デルタシグマ変調制御信号」は、上記2.で検討した、本願発明の「駆動信号と呼ばれる正弦波信号をデルタシグマ変調し、制御信号と呼ばれる信号を提供するステップ」で提供される信号であると理解できるから、上述したように、引用発明の、Δ-Σ変換器132から出力されて単位アンプAi(i:1~n)のFETスイッチQ1,Q2のゲートGに入力される、「制御信号」といい得る信号は、本願発明の「前記デルタシグマ変調制御信号」に相当する。また、「単位アンプAi(i:1~n)」は、「おのおの入力パルス列信号を電力増幅したパルス列信号を出力」(d)するものであるから、「電力インターフェース」と称することができる。
さらに、単位アンプAi(i:1~n)により、電力増幅された「これらのパルス列信号がフィルタ135の単位フィルタF1~Fnを通じてそれぞれ超音波振動子121~12nに駆動信号として印加」(e)される。
そうすると、上記1.で述べたとおり、超音波振動子121~12nに駆動信号として印加される信号は、「供給信号」と呼ぶことができるから、本願発明と、上記b, c, d, eの構成を含む引用発明は、「前記デルタシグマ変調制御信号により電力インターフェースを制御し、前記供給信号を提供するステップ」を含む点で一致する。
第6 当審の判断
上記対比によれば、本願発明と引用発明は全ての発明特定事項で一致し、相違する点はない。
よって、本願発明は、引用文献1に記載された発明である。
第7 請求人の主張について
1.請求人の主張
請求人は、本願発明について、審判請求書で次のように主張している。
「すなわち、引用文献1は、電力インターフェース用の制御信号を開示していません。デルタシグマコンバータ132によって生成される信号は、増幅前の供給信号、すなわちパルス密度信号です。」(審判請求書第5頁下から3行目~下から1行目)
「さらに、引用文献1の図4は、デルタシグマコンバータに入力される信号の例を示しており、図6は、トランスデューサに供給される信号を示しています。
これらの2種類の信号を観察すると、図6の信号は増幅後の図4の信号に相当することが明らかです。したがって、引用文献1は、単にトランスデューサに供給される供給信号を増幅することを記載しているにすぎず、これに対し、本願発明は、供給信号とは異なる制御信号によって制御される電力インターフェースにおける供給信号の生成を記載しており、その供給信号は、供給信号および制御信号とは異なる駆動信号の変調によって自ら取得されます。
本願出願人は、本願の図2を注記します。この図は、本願請求項1に記載された信号の例、すなわち、駆動信号202、制御信号204、および供給信号206を示しています。本願請求項1に記載された各信号は、引用文献1の図4および6に示された信号とは異なり、互いに全く異なるものです。」(審判請求書第6頁第13行目~第24行目)
「また、本願請求項12に記載の発明は、『駆動信号と呼ばれる正弦波信号をデルタシグマ変調し、制御信号と呼ばれる信号を提供するステップと、
前記デルタシグマ変調制御信号により電力インターフェースを制御し、前記供給信号を提供するステップと』を含んでおり、同様に、引用文献1~2に対して新規性および進歩性を有します。」(審判請求書第7頁第3行目~第7行目)
2.当審の見解
上記「第5 2.デルタシグマ変調について」で述べたように、引用文献1における、Δ-Σ変換器132から出力されて単位アンプAi(i:1~n)に入力されるパルス密度信号は、「制御信号」といい得、上記「第5 3.電力インターフェースについて」で述べたように、単位アンプAi(i:1~n)は、「電力インターフェース」と称することができるから、、引用発明は、単位アンプAi(i:1~n)に入力される制御信号、すなわち、本願発明でいう、電力インターフェース用の制御信号を提供するステップを含む点において、本願発明と相違しない。
引用発明の信号の変化をまとめると、駆動基準信号(図3、図4上)がΔ-Σ変換器132によってパルス密度信号(図4下)に変換され、遅延回路133を介してスイッチングアンプ134に入力され、その出力がフィルタ135を介して超音波振動子121~12nに駆動信号(図6上)として印加される。
これらの信号、すなわち、駆動基準信号(図3、図4上)、パルス密度信号(図4下)、駆動信号(図6上)が、それぞれ、本願発明(請求項12)の「駆動信号」、「制御信号」、「供給信号」(本願の実施例では、駆動信号202、制御信号204、供給信号206)に相当するものであることは上述したとおりであり、この点において本願発明と引用発明は何ら異なるものではない。
したがって、請求人の主張は、採用できない。
第8 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項12に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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