特許異議申立
2024-700521
タグおよびその設置方法
- 審判番号
- 2024-700521
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-165942
- 登録番号
- 7403901
- 請求日
- 2024年06月03日
- 審決日
- 2024年12月19日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】テンタック株式会社
- 【権利者代理人】清流国際弁理士法人
- 【異議申立人】弁理士法人 みのり特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 林 毅
- 審判官 大塚 俊範
- 審判官 吉田 美彦
- 分類
- P1651.113-ZC (G09F) / P1651.121-ZC (G09F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法113条2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7403901号発明「タグおよびその設置方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7403901号の請求項1、5、6に係る特許を取り消す。
特許第7403901号の請求項2~4、7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7403901号の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和5年9月27日に出願され、令和5年12月15日にその特許権の設定登録がされ、同年12月25日に特許掲載公報が発行され、その後、令和6年6月3日に特許異議申立人弁理士法人みのり特許事務所(以下「申立人」という。)による請求項1~7に係る特許に対する特許異議の申立てがなされ、同年9月17日付け取消理由通知書が通知されたが、これに対し、特許権者からの応答はなかった。
第2 本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1ないし7に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明7」といい、これらを総称して「本件特許発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。
1 本件特許発明1
上下方向およびこの上下方向に直交する左右方向に延在する平板状の基材と、この基材に配置されて且つ前記基材の上下方向の下方側に配置される第一アンテナと、前記基材に配置されて且つ前記基材の上方側に配置される第二アンテナと、前記基材に配置されて且つ前記第一アンテナおよび前記第二アンテナと接続されるICチップとを備えるタグにおいて、
前記基材は、左右方向を軸方向とする棒状体を保持可能に構成されて且つ前記第一アンテナの近傍に配置される保持構造を有していて、
前記第一アンテナは、前記保持構造の近傍に形成される接続部を有することを特徴とするタグ。
2 本件特許発明2
前記保持構造は、前記基材の左右方向に間隔をあけて形成される一対の貫通部で構成される請求項1に記載のタグ。
3 本件特許発明3
前記貫通部は、略三角形に形成される請求項2に記載のタグ。
4 本件特許発明4
前記接続部は一対の前記貫通部の間に配置されていて、
前記基材の左右方向において、一対の前記貫通部の間の長さが、前記基材の長さの50%以上に設定されている請求項2または3に記載のタグ。
5 本件特許発明5
前記接続部は、前記第一アンテナの途中部分に形成される請求項1~3のいずれかに記載のタグ。
6 本件特許発明6
上下方向およびこの上下方向に直交する左右方向に延在する平板状の基材と、この基材に配置されて且つ前記基材の上下方向の下方側に配置される第一アンテナと、前記基材に配置されて且つ前記基材の上方側に配置される第二アンテナと、前記基材に配置されて且つ前記第一アンテナおよび前記第二アンテナと接続されるICチップとを備えるタグであり、
前記基材の左右方向を軸方向とする棒状体を保持可能に構成されて且つ前記第一アンテナの近傍に配置される保持構造を前記基材が有していて、前記保持構造の近傍に形成される接続部を前記第一アンテナが有していて、前記基材および前記第一アンテナを有する前記タグを、前記棒状体に設置する設置方法であって、
前記保持構造が前記棒状体を保持することで前記棒状体に前記タグが設置される設置ステップと、
前記接続部を介して前記第一アンテナが前記棒状体に近接する状態で配置される接続ステップとを備えることを特徴とする設置方法。
7 本件特許発明7
前記基材の左右方向に間隔をあけて形成される一対の貫通部で前記保持構造が構成されていて、
前記設置ステップは、一方の前記貫通部に対して前記棒状体を前記基材の表面側から裏面側に貫通させて、他方の前記貫通部に対して前記棒状体を前記基材の裏面側から表面側に貫通させる構成を有する請求項6に記載の設置方法。
第3 特許異議の申立ての理由の概要及び証拠方法
1 特許異議の申立ての理由の概要
特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由の概要は次のとおりのものと認められる。
(1)本件特許発明1、6は、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術(甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号又は同条2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(2)本件特許発明2、4、7は、甲第1号証に記載された発明、甲第5号証に記載された発明及び周知技術(甲第4号証、甲第6号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項2、4、7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(3)本件特許発明3は、甲第1号証に記載された発明、甲第5号証に記載された発明及び周知技術(甲第4号証、甲第6号証、甲第7号証、甲第8号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
(4)本件特許発明5は、甲第1号証に記載された発明、甲第5号証に記載された発明及び周知技術(甲第4号証、甲第9号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるので、同法第113条第2号の規定により取り消されるべきものである。
2 証拠方法
申立人は、証拠として、以下の文献を提出している。以下、甲各号証の番号に応じて、甲第1号証ないし甲第9号証をそれぞれ、「甲1」ないし「甲9」という場合がある。
甲1:中国実用新案第213715973号明細書
甲2:次のURLで示されるYouTube動画をウェブブラウザ上でキャプチ
ャした画像
https://www.youtube.com/watch?v=YDRcVkwHV6A
甲3:次のURLで示されるAlibaba.comのWEBサイトをキャプチャした画
像
https://chinese.alibaba.com/product-detail/860-960mhz-UHF-RF
ID-Glasses-Label-1601114073093.html?spm=a2700.7724857.0.0.49
8c2e26pD2rH2
甲4:特開2019-41230号公報
甲5:実開平1-136966号公報
甲6:実開平6-84476号公報
甲7:次のURLで示されるAmazon.comのWEBサイトをキャプチャした画
像
https://www.amazon.com/Suitable-Glasses-Eyeglass-Frames-
Spectacle/dp/B07HPB42S2
甲8:次のURLで示されるLazada.comのWEBサイトをキャプチャした画
像
https://www.lazada.com.ph/products/optical-frame-slip-on-lab
el-base-eyewear-eye-glasses-slide-over-price-tag-jewelry-sof
t-strip-labels-temple-plastic-holder-mount-i2633568801.html
甲9:特許第6590122号
3 甲第3号証について
申立人は、特許異議申立書(以下、単に「申立書」という。)において、甲第3号証について以下のように述べている。
「甲第3号証(ウェブブラウザ上でキャプチャした画像)
甲第2号証のRFIDジュエリータグの具体的使用例。」(申立書第2ページ)
「甲第3号証は、公開時が不明なものの「甲第1号証と同種のRFIDジュエリータグの使用例」を開示している。この使用例において、「このRFIDジュエリータグは、甲第1号証の第2折り曲げ部242と同様のテールハンガーラインによって眼鏡のテンプルに保持されている。すなわち、甲第1号証の第2折り曲げ部242は、棒状材に対するRFIDジュエリータグの保持構造の役割を果たしている点」が開示されている。また、この使用例において、「RFIDジュエリータグのアンテナの放射領域が折りたたまれた眼鏡から、下方に「突き出して配置されている通常の使用例」」が開示されている。」(申立書第12ページ)
申立人のいうとおり、甲第3号証は公開日が不明であるから、本件特許の出願時に公開されていたかどうか不明である。また、甲第3号証に開示されている「眼鏡のテンプルに取り付けられたタグ」が、甲第1号証あるいは甲第2号証に開示されている「RFIDジュエリータグ」と同一のものであるとする証拠もない。
したがって、甲第3号証は、本件特許発明の新規性及び進歩性を否定する証拠とすることはできない。
4 甲第8号証について
申立人は、特許異議申立書において、甲第8号証について以下のように述べている。
「本証拠は、公開日が不明であり、甲第7号証のタグの使用例を補うことを目的としている。」(申立書第第17ページ)
申立人のいうとおり、甲第8号証は公開日が不明であるから、本件特許の出願時に公開されていたかどうか不明である。また、甲第8号証に開示されている「タグ」が、甲第7号証に開示されている「タグ」と同一のものであるとする証拠もない。
したがって、甲第8号証は、本件特許発明の新規性及び進歩性を否定する証拠とすることはできない。
第4 甲号証の記載
1 甲第1号証について
(1)甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、図面とともに、次の事項が記載されている。(なお、下線は、強調のため当審が付与した。以降においても同様。)
「
[図:0001425738000001.jpg]
」
(当審訳)
「 請求項1
整合性の高いRFIDジュエリータグであって、以下のことを特徴するものである。
上層、第1の接着層、UHFタグ、第2の接着層及び下層が順に設けられており、
前記UHFタグはRFIDチップ、金属ライン及びPET基材を含み、
前記金属ラインはPET基材に設置され、前記金属ラインはインピーダンスマッチングリング、放射領域及びテールハンガーラインを含み、前記インピーダンスマッチングリングはRFIDチップを接続することに用いられ、前記放射領域及びテールハンガーラインはそれぞれインピーダンスマッチングリングに接続され;
前記テールハンガーラインは一体成形された第1折り曲げ部及び第2折り曲げ部を含み、前記第1折り曲げ部は上層と下層との間に位置し、前記第2折り曲げ部は下層に位置し、
前記第1折り曲げ部とインピーダンスマッチングリングとの間に間隔が設けられている。」
「
[図:0001425738000002.jpg]
」
(当審訳)
「[0036] 前記上層1は矩形体を含み,前記下層は第1矩形体31及び第2矩形体32を含む。」
「
[図:0001425738000003.jpg]
」
(当審訳)
「[0039] テールハンガーラインの役割により、上層と下層の形状や構造が異なるため、実際には第2折り曲げ部の下にある下層は、折り曲げにより、上層として機能する。」
「
[図:0001425738000004.jpg]
」
(当審訳)
「[0043] 小さいメアンダラインは、タグの全体的な性能を向上させるためと、使用時に顧客がリングジュエリーを通してこのテールを折り曲げることを容易にするために使用される。」
「図1(時計回りに90度回転)
[図:0001425738000005.jpg]
」
(当審訳 略)
「 図2(時計回りに90度回転)
[図:0001425738000006.jpg]
」
(当審訳 略)
(2)甲1発明
上記(1)の図1、2から、「第2矩形体」(32)は、「第2折り曲げ部」(242)に対応した位置にあることが看取されるところ、上記(1)の[0039]の「第2折り曲げ部の下にある下層」及び、同[0043]において、使用時に顧客がリングジュエリーを通して折り曲げられる「テール」は、いずれも、「第2矩形体」に対応した部分であると認められる。
よって、上記(1)の特に下線部に着目すれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「 リングジュエリーに使用されるRFIDジュエリータグであって、
上層、第1の接着層、UHFタグ、第2の接着層及び下層が順に設けられており、
前記UHFタグは、RFIDチップ、金属ライン及びPET基材を含み、
前記金属ラインはPET基材に設置され、前記金属ラインはインピーダンスマッチングリング、放射領域及びテールハンガーラインを含み、
前記インピーダンスマッチングリングはRFIDチップを接続することに用いられ、前記放射領域及び前記テールハンガーラインはそれぞれ前記インピーダンスマッチングリングに接続されており、
前記テールハンガーラインは一体成形された第1折り曲げ部及び第2折り曲げ部を含み、前記第1折り曲げ部は上層と下層との間に位置し、前記第2折り曲げ部は下層に位置し、
前記第1折り曲げ部とインピーダンスマッチングリングとの間に間隔が設けられており、
前記下層は、第1矩形体及び第2矩形体を含み、
前記第2折り曲げ部の下にある前記第2矩形体は、折り曲げにより、上層として機能するものであり、
使用時に顧客がリングジュエリーを通して前記第2矩形体を折り曲げるものである、
RFIDジュエリータグ。」
2 甲第2号証について
(1)甲第2号証の開示事項
本件特許出願前に日本国内又は外国において頒布された「「RFID Jewelry Tags For Retail Inventory Management」 https://www.youtube.com/watch?v=YDRcVkwHV6A、2022年12月27日、Youtube.com」(異議申立書における甲第2号証としてキャプチャされた画像のキャプチャ元の動画。以下、当該動画を単に甲第2号証、または、「甲2」と呼ぶ。)は、以下のとおりの画面を開示するものである。
ア 「 動画再生時1秒時点の画面
[図:0001425738000007.jpg]
」
イ 「 動画再生時22秒時点の画面
[図:0001425738000008.jpg]
」
ウ 「 動画再生時23秒時点の画面
[図:0001425738000009.jpg]
」
エ 「 動画再生時33秒時点の画面
[図:0001425738000010.jpg]
」
オ 「 動画再生時37秒時点の画面
[図:0001425738000011.jpg]
」
(2)甲2に開示されている事項
ア 上記(1)のア~オの画面下部に係る「RFID Jewelry Tags Inventory Management」とのテキストからして、甲2は、「在庫管理に用いるRFIDジュエリータグ」に関する動画であると認められる。
イ 上記(1)ア~エより、甲2には、RFIDジュエリータグをアクセサリーに設置することが開示されている。
ウ 上記(1)オより、甲2には、RFIDジュエリータグは、眼鏡への使用にも適していることが開示されている。
エ 上記ア~ウより、甲2には、以下の事項が開示されていると認められる。
「在庫管理に用いるRFIDジュエリータグは、眼鏡への使用にも適している。」
3 甲第4号証の記載事項
(1)甲第4号証の記載事項
甲第4号証には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【0003】
無線通信を阻害させる特性を有する商品に対応させたRFIDタグラベルとして,例えば,特許文献1において,放射素子とマッチング回路からなる部分アンテナと金属筐体とでダイポールアンテナを形成するように構成されたRFIDタグラベルが開示されているが,金属面をアンテナの一部として機能させるRFIDタグラベルを金属以外の面に貼り付けると,RFIDタグラベルの通信性能が悪化してしまう。」
「【0025】
図2(c)で図示したように,本実施形態に係るインレット10のアンテナ101は,小型のダイポールアンテナで,2つの放射素子(第1放射素子101aと第2放射素子101b)の間にインダクタンス素子101cを配置した構成になっている。第1放射素子101aと第2放射素子101bは,電力供給と信号の送受信に用いられる素子で,第1放射素子101aと第2放射素子101bは幅が広い帯状の形状(矩形)になっている。インダクタンス素子101cは,入力端子間にキャパシタンスが存在するICチップ100と接続した状態におけるアンテナ101の共振周波数を所定周波数近傍(ここでは,UHF帯域近傍)に調整するための素子で,図2(c)において,インダクタンス素子101cはループ形状になっている。」
「【0039】
図7(a)で図示したように,RFIDタグラベル2の表面は表層シート12で覆われ,RFIDタグラベル2の表層シート12には,印刷工程P2で印刷した印刷絵柄(例えば,バーコード120a)が印刷されている。また,図7(b)で図示したように,RFIDタグラベル2の裏面には,アンテナ101の第2放射素子101bを覆うように粘着剤層14がむき出しの状態で,インレットシート11の片側に形成されている。また,インレットシート11の幅を表層シート12の幅よりも短くしているため,インレットシート11と接着していない表層シート12の両端側が現れており,RFIDタグラベル2は,両端を手で持って商品に貼付できるようになっている。」
「【0040】
図8は,RFIDタグラベル2を商品3に貼り付けた状態を説明する図である。RFIDタグラベルシート1を発行した得られたRFIDタグラベル2は,小売店の商品管理に利用される際,図8で図示したように,裏面に形成した粘着剤層14が利用され,粘着剤層14が形成されていな側を商品から突出させた状態で商品3に貼り付けられる。このように,RFIDタグラベル2を商品3に貼り付けることで,インダクタンス素子101cが配置されている領域の裏側には商品3が存在しないので,無線通信を阻害させる特性を有する商品3にRFIDタグラベル2を貼り付けても,RFIDタグラベル2が動作しづらくなってしまうことはない。」
「【図7】
[図:0001425738000012.jpg]
」
「【図8】
[図:0001425738000013.jpg]
」
(2)甲4に記載されている事項
上記(1)より、甲4には、以下の事項が記載されていると認められる。
「導体にダイポールアンテナの片方のアンテナを近接させて、もう片方のアンテナを導体より突出させるもの。」
4 甲第5号証について
(1)甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【実用新案登録請求の範囲】
1 下記の要件を有する値札ケース2と、この値札ケース2内に挿脱自在に構成された値札カード3とから構成されていることを特徴とする値札。
イ 上記値札ケース2は透視可能な合成樹脂材のシートを素材としてなる収納部4と、この収納部4の上辺に連設された係止部5とから構成され、上記収納部4は正面方形の表面部4Aと、裏面部4Bを重ね、これらにヒートシール4Cを施して袋状に構成され、上記収納部4に連設された上記係止部5にはメガネ6のつる6Aが、挿脱するべき左右の係止用縦切り込み5D,5Eが刻設されていること。
ロ 上記値札カード3は上記収納部4内の寸法に構成され、表面には価格表示欄3A等が形成され、裏面にはバーコード表示欄3Cが形成されていること。」
「本願は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、次のような事のできるものを提供しようとするものである。
1)挿脱時間の短縮を図る。
2)値札の整列を図る。
3)顧客への不快感防止を図る。
4)価格部分の裏返し防止と実施棚卸時間の短縮を図る。」
「[考案の効果]
本考案は、上述の通り構成されているので次に記載する効果を奏する。
1)顧客の頬に付かない。
2)挿脱か簡便となる。
3)値札における価格表示欄が裏返しとならないので、見やすい。
4)値札が整列となっている。」
「
[図:0001425738000014.jpg]
」
「
[図:0001425738000015.jpg]
」
「
[図:0001425738000016.jpg]
」
「
[図:0001425738000017.jpg]
」
(2)甲5に記載されている事項
上記(1)より、甲5には、以下の事項が記載されていると認められる。
「透視可能な合成樹脂材のシートを素材としてなる収納部4と、この収納部4の上辺に連設された係止部5とから構成され、上記収納部4に連設された上記係止部5にはメガネ6のつる6Aが、挿脱するべき左右の係止用縦切り込み5D,5Eが刻設されている、値札ケース2。」
5 甲第6号証の記載事項
(1)甲第6号証の記載事項
甲第6号証には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【請求項1】 値札カード(2)を挿抜自在に収容する値札ケース(1)と、該値札ケース(1)に連設され、左右一対の係止孔(31),(32)が設けられた係止部(3)とよりなり、上記両係止孔(31),(32)にわたってメガネのつる(T)を挿通させてメガネに取り付けるようにした値札において、
上記値札ケース(1)と係止部(3)との境界位置の左右両端部から所定長さの切込(4)を形成したことを特徴とする値札。
【請求項2】 上記左右の切込(4)を、係止部(3)の側縁から少なくとも係止孔(31),(32)の直下までの長さとした請求項1に記載の値札。」
「
[図:0001425738000018.jpg]
」
「
[図:0001425738000019.jpg]
」
(2)甲6に記載されている事項
上記(1)より、甲6には、以下の事項が記載されていると認められる。
「値札ケース(1)と、該値札ケース(1)に連設され、左右一対の係止孔(31),(32)が設けられた係止部(3)とよりなり、上記両係止孔(31),(32)にわたってメガネのつる(T)を挿通させてメガネに取り付けるようにした値札。」
6 甲第7号証の開示事項
甲第7号証には、次の事項が開示されている。
「
[図:0001425738000020.jpg]
」
「
[図:0001425738000021.jpg]
」
7 甲第9号証の記載事項
甲第9号証には、図面とともに、次の事項が記載されている。
「【請求項1】
物品の金属面に取り付けられるRFIDタグであって、
無線ICチップと、
前記無線ICチップと電気的に接続されるアンテナパターンと、
前記無線ICチップと前記アンテナパターンとの整合をとる整合回路と、
前記アンテナパターンと接続され、前記金属面と容量結合する容量結合部と、
前記アンテナパターンおよび前記容量結合部が形成された絶縁基材と、を備え、
前記アンテナパターンは、
前記整合回路を介して前記無線ICチップと接続される第1アンテナパターンと、
一端が前記整合回路を介して前記無線ICチップと接続され、他端が前記容量結合部に接続される第2アンテナパターンと、を有し、
前記RFIDタグは、前記第1アンテナパターンと前記容量結合部との間に容量を有する容量部を有し、
前記アンテナパターンと前記容量結合部と前記容量部とは、ループ状に接続されている、
RFIDタグ。」
「
[図:0001425738000022.jpg]
」
「【図2】
[図:0001425738000023.jpg]
」
「【図6】
[図:0001425738000024.jpg]
」
「【図8】
[図:0001425738000025.jpg]
」
「【図12】
[図:0001425738000026.jpg]
」
第5 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由について
(1)特許法第29条第1項第3号(本件特許発明1、5、6についての甲第1号証を主引用例とする新規性欠如)
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
以下、本件特許発明1と甲1発明とを対比する。
a 「基材」が、この技術分野においては、部材を設置、支持する平板状の板材であることは本件特許出願時における技術常識であり、当該技術常識と、甲1発明の「前記金属ラインはPET基材に設置され」との構成によれば、甲1発明の「PET基材」は、「金属ライン」を設置し、支持することができる程度の広がりを有した平板状の板材であると認められる。そして、そのような広がりを有している以上、どの方向を上下又は左右とするかに関わらず、上下方向およびこの上下方向に直交する左右方向に延在していることは明らかである。
よって、甲1発明の「PET基材」は、本件特許発明1の「上下方向およびこの上下方向に直交する左右方向に延在する平板状の基材」に相当する。
b 甲1発明は、「RFIDジュエリータグ」に係るものであって、「RFID」「タグ」が、RFIDチップが金属のアンテナを介して無線で通信を行うものであることは本件特許出願時における技術常識であること、及び、甲1発明の「前記インピーダンスマッチングリングはRFIDチップを接続することに用いられ、前記放射領域及び前記テールハンガーラインはそれぞれ前記インピーダンスマッチングリングに接続されており」との構成によれば、「金属ライン」を構成する「インピーダンスマッチングリング」、「放射領域」及び「テールハンガーライン」は、直接又は間接的に「RFIDチップ」に接続されていることからすれば、当該「金属ライン」は、「アンテナ」として機能するものといえる。
よって、甲1発明の「金属ライン」のうち、上記第4の1(1)で摘記した図面上、「RFIDチップ」より上方側の部分(「放射領域」及び「RFIDチップ」に接続する「インピーダンスマッチングリング」の上半分を含む。)と、「RFIDチップ」より下方側の部分(「テールハンガーライン」及び「RFIDチップ」に接続する「インピーダンスマッチングリング」の下半分を含む。)は、それぞれ、本件特許発明1の「前記基材に配置されて且つ前記基材の上方側に配置される第二アンテナ」、「この基材に配置されて且つ前記基材の上下方向の下方側に配置される第一アンテナ」に相当する。
c 上記bを参酌すれば、甲1発明の「RFIDチップ」は、接続される「金属ライン」とともに「PET基材」に設置されているといえるから、上記ア及びイを参酌すれば、甲1発明の「RFIDチップ」は、本件特許発明1の「前記基材に配置されて且つ前記第一アンテナおよび前記第二アンテナと接続されるICチップ」に相当する。
d 甲1発明の「RFIDジュエリータグ」は、本件特許発明1の「タグ」に相当する。
よって、上記aないしcを総合すると、甲1発明の「RFIDジュエリータグ」は、本件特許発明1の「上下方向およびこの上下方向に直交する左右方向に延在する平板状の基材と、この基材に配置されて且つ前記基材の上下方向の下方側に配置される第一アンテナと、前記基材に配置されて且つ前記基材の上方側に配置される第二アンテナと、前記基材に配置されて且つ前記第一アンテナおよび前記第二アンテナと接続されるICチップとを備えるタグ」に相当する。
e 甲1発明の「前記下層は、第1矩形体及び第2矩形体を含み、前記第2折り曲げ部の下にある前記第2矩形体は、折り曲げにより、上層として機能するものであり、使用時に顧客がリングジュエリーを通して前記第2矩形体を折り曲げるものである」との構成によれば、「使用時」には、「リングジュエリーを通して」、「下層」を構成する「第2矩形体」を折り曲げることにより、折り返された部分が「上層」として機能するものと解されるところ、「第2矩形体」の折り返された部分(上層)と折り返されない部分(下層)との間に「リングジュエリー」の「リング」の部分を挟み込む状態となるものと認められる。
また、甲1発明の「上層、第1の接着層、UHFタグ、第2の接着層及び下層が順に設けられ」との構成によれば、折り曲げていない状態において、「第2矩形体」(下層)の上には、「UHFタグ」の一部である、「PET基材」と「金属ライン」のうち「第2矩形体」に対応した位置にある「テールハンガーライン」とがこの順に設置されているところ、「第2矩形体」とともにこれに対応する「PET基材」の部分も一緒に折り曲げられて、「リングジュエリー」の「リング」の部分を挟み込む状態となるものといえる。そして、そのような状態において、「PET基材」は、「リング」の部分を“保持”しているといえるから、「リング」の部分を“保持可能”に構成された“保持構造”といい得るものである。
また、上記cを参酌すれば、前記“保持構造”は、「テールハンガーライン」(本件特許発明1の「第1アンテナ」に対応。)の近接に配置されているといえる。
さらに、折り曲げる方向を上下方向とすれば、「リング」の部分は、局所的に見れば、“左右方向を軸方向とする棒状体”であるといえる。
以上を総合すれば、甲1発明の「PET基材」は、本件特許発明1の「前記基材は、左右方向を軸方向とする棒状体を保持可能に構成されて且つ前記第一アンテナの近傍に配置される保持構造を有していて」に対応した構造を備えているといえる。
f 本件特許発明1における「保持構造の近傍に形成される接続部」について、本件特許明細書の段落【0021】に「保持構造8の近傍とは、接続部6aが、保持構造8に保持される棒状体との間で容量結合などの電気的な接続を実現可能とする位置を言う。接続部6aは、棒状体と直接接触してもよく、直接接触しなくてもよい。」、【0027】に「棒状体9aが、眼鏡の金属製のツルなど導体で構成される場合は、接続部6aを介して第一アンテナ6に電気的に接続される。」、【0028】に「棒状体9aが、眼鏡の樹脂製のツルなど不導体で構成される場合は、アンテナとしては機能しない。」と記載されているところ、本件特許発明1における「保持構造の近傍に形成される接続部」とは、「棒状体と直接接触してもしなくてもよいが、棒状体が導体の場合は、棒状体との間で容量結合などの電気的な接続を実現可能とする位置に形成される」ものであると認められる。
ここで、上記eを参酌すれば、甲1発明において、「使用時に顧客がリングジュエリーを通して前記第2矩形体を折り曲げる」ときに、「テールハンガーライン」は、「リング」の部分に直接接触するか又は接触しなくても近接する位置にある部分を有し、当該部分は、「リング」が金属である場合、電気的な接続を構成することは明らかである。
よって、甲1発明において、「使用時に顧客がリングジュエリーを通して前記第2矩形体を折り曲げる」ときに、「テールハンガーライン」が、「リング」の部分に直接接触するか又は接触しなくても近接する位置にある部分を有することは、本件特許発明1の「前記第一アンテナは、前記保持構造の近傍に形成される接続部を有する」ことに相当する。
(イ)一致点
以上から、本件特許発明1と甲1発明とは、以下の点において一致する。
「 上下方向およびこの上下方向に直交する左右方向に延在する平板状の基材と、この基材に配置されて且つ前記基材の上下方向の下方側に配置される第一アンテナと、前記基材に配置されて且つ前記基材の上方側に配置される第二アンテナと、前記基材に配置されて且つ前記第一アンテナおよび前記第二アンテナと接続されるICチップとを備えるタグにおいて、
前記基材は、左右方向を軸方向とする棒状体を保持可能に構成されて且つ前記第一アンテナの近傍に配置される保持構造を有していて、
前記第一アンテナは、前記保持構造の近傍に形成される接続部を有することを特徴とするタグ。」
(ウ)むすび
以上のとおり、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
イ 本件特許発明5について
甲1発明の「使用時に顧客がリングジュエリーを通して前記第2矩形体を折り曲げる」ときに、「テールハンガーライン」の、「リング」の部分に直接接触するか又は接触しなくても近接する位置にある部分(接続部)は、本件特許発明5の「(接続部は、)前記第一アンテナの途中部分に形成される」構成に相当する。
その余の点については、上記1で述べたとおりである。
よって、本件特許発明5は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項5に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
ウ 本件特許発明6について
上記ア(ア)e、fを参酌すれば、甲第1号証には、甲1発明に係る「RFIDジュエリータグ」を、「使用時」には、「第2矩形体」とともにこれに対応する「PET基材」の部分も一緒に折り曲げられて、「リングジュエリー」の「リング」の部分を挟み込む状態となり、「PET基材」は、「リング」の部分を“保持”する状態にされるとともに、「テールハンガーライン」は、「リング」の部分に直接接触するか又は接触しなくても近接する位置にある部分を有する状態となり、当該部分は、「リング」が金属である場合、電気的な接続が構成される状態となる方法の発明が開示されており、当該方法の発明は、本件特許発明6の「前記保持構造が前記棒状体を保持することで前記棒状体に前記タグが設置される設置ステップと、前記接続部を介して前記第一アンテナが前記棒状体に近接する状態で配置される接続ステップとを備えることを特徴とする設置方法」に相当する。
本件特許発明6のうち、「タグ」の構成については、上記アで述べたとおりである。
よって、本件特許発明6は、甲第1号証に記載された発明であるから、請求項6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
(2)特許法第29条第2項(本件特許発明1、5、6についての甲第1号証を主引用例とする進歩性欠如)
ア 本件特許発明1、5、6について
上記(1)で述べたように、本件特許発明1、5、6は、新規性を有しない以上、進歩性も有しない。
なお、上記(1)ア(ア)eについて、本件特許発明1の「左右方向を軸方向とする棒状体」が、仮に「直線上」の「棒状体」であると限定解釈した場合、この点は、甲1発明との相違点となり得るが、当該相違点に関し、甲第2号証には、RFIDジュエリータグは、眼鏡への使用にも適していることが開示されており、甲1発明において、RFIDジュエリータグを、「左右方向を軸方向とする(直線上の)眼鏡」のツルの部分に使用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、本件特許発明1は、当業者が甲第1号証に記載された発明に基づいて、又は、甲第1号証に記載された発明および甲第2号証の開示事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。
また、本件特許発明1の奏する作用効果は、甲1発明、甲2号証から把握できる事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件特許発明1は、当業者が甲第1号証に記載された発明又は甲第1号証に記載された発明及び甲2号証の開示事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
請求項5、6に係る特許についても同様である。
2 取消理由通知書で採用しなかった申立理由(上記第3の1(2)及び(3))について
本件特許発明2と甲1発明とを対比する。
甲1発明は、“保持構造は、前記基材の左右方向に間隔をあけて形成される一対の貫通部で構成される”構成を有するものとはいえず、少なくともこの点において本件特許発明2と相違する(以下、この相違点を「相違点1」という。)。
当該相違点について検討する。
上記第4の4及び5の記載によれば、左右方向に間隔をあけて形成される一対の貫通部を備えた眼鏡のつるに取り付けられる値札は、本件特許出願時の周知技術であると認められる。
しかしながら、甲1発明は、「RFIDチップ」を備えたタグに関するものであるのに対し、上記周知技術に係る値札は、「RFIDチップ」を備えたものとは認められないため、甲1発明と、上記周知技術とは、前提となる技術分野が異なるところ、当業者といえども、甲1発明に上記周知技術を適用する動機付けを見いだすことはできない。
加えて、上記1(1)ア(ア)eに記載したとおり、甲1発明は、本件特許発明2の「保持構造」に相当する構成(「第2矩形体」の折り返された部分(上層)と折り返されない部分(下層)との間に「リングジュエリー」の「リング」の部分を挟み込む状態となることにより、形成されるもの)をすでに備えているにも関わらず、当業者といえども、当該「保持構造」に相当する構成に替えて、又は当該構成に加えて、「前記基材の左右方向に間隔をあけて形成される一対の貫通部」を採用すべき理由が存在しない。
さらに、仮に、甲1発明に上記周知技術を適用して上記相違点に係る本件特許発明2の構成とするためには、甲1発明のPET基材に「左右方向に間隔を空けて形成される一対の貫通部」を形成する必要があるが、甲1発明のPET基材には、金属ラインが設置され、当該金属ラインの設置箇所には「貫通部」を設けることができないと解されるところ、当該金属ラインと競合することなく、かつ、棒状体(「リングジュエリー」の「リング」の部分)を保持し得る「一対の貫通部」を甲1発明のPET基材にどのように形成するのか、当業者といえども容易に想到することができたとはいえない。
そして、第4の2~7に記載した甲第2、4~7、9号証の開示又は記載事項を含め、上記相違点1に係る本件特許発明2の構成が、本件特許出願前に周知技術であったとする証拠もない。よって、本件特許発明2は、上記甲第2、4~7、9号証の開示又は記載事項を参酌しても、甲1発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
本件特許発明2の構成をすべて含む本件特許発明3及び4、並びに、「前記基材の左右方向に間隔をあけて形成される一対の貫通部で前記保持構造が構成されていて」との構成を有する本件特許発明7についても同様である。
なお、甲第3号証及び甲第8号証は、他の甲号証を補完する証拠にすぎないため、仮に、甲第3号証及び/又は甲第8号証の開示事項が、本件特許出願時において公知のものであったとしても、上記の判断を左右しない。
したがって、本件特許発明2~4、7は、甲第1号証に記載された発明に基づいて、他の甲号証に開示又は記載された事項を参酌することにより、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 むすび
上記第5のとおり、本件請求項1、5、6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号及び/又は第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
また、本件請求項2~4、7に係る特許は、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。
さらに、他に本件請求項2~4、7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700521