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特許異議申立

2024-700354

空気調和機

審判番号
2024-700354
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-153804
登録番号
7401812
請求日
2024年04月17日
審決日
2025年07月30日
公報発行日
2025年10月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ダイキン工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
  • 【異議申立人】伊藤 裕美
審判長/審判官
  • 審判長 大山 健
  • 審判官 槙原 進
  • 審判官 正木 裕也
分類
P1651.121-YAA(F28F) / P1651.851-YAA(F28F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7401812号発明「空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7401812号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-15〕について訂正することを認める。 特許第7401812号の請求項1-15に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7401812号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~15に係る特許についての出願は、令和4年9月27日(優先権主張令和4年3月31日)に出願され、令和5年12月12日にその特許権の設定登録がされ、令和5年12月20日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和6年4月17日 : 特許異議申立人伊藤 裕美(以下、単に「申立人」という。)による請求項1~15に係る特許に対する特許異議の申立て 令和6年8月29日付け : 取消理由通知 令和6年11月1日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和6年12月23日付け: 取消理由通知(決定の予告) 令和7年2月25日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 令和7年4月9日 : 申立人による意見書の提出 なお、令和6年11月1日に提出された訂正請求書による訂正請求については、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和7年2月25日に提出された訂正請求書による訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~15について訂正すること(以下、「本件訂正」という。)を求めるものであって、その訂正の内容は、以下の訂正事項1~3のとおりである。なお、下線は当審において付したものである(以下同様。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1について、訂正前の「前記第1カラー部は、前記第1伝熱管に沿って延びる第2立上部と、前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、を有する、空気調和機(1)」を、「前記第1カラー部は、前記第1伝熱管に沿って延びる第2立上部と、前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、を有し、前記第1フィンは、前記第1伝熱管の前記第1犠牲層と接触し、前記第1フィンの前記第2立上部は、前記第1伝熱管に接し、前記第1フィンの前記第2立上部と、前記第1フィンの前記フランジ部との連結部分に、隙間を有する、空気調和機(1)」に訂正する(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2~13及び15も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項13について、訂正前の「前記第2カラー部は、前記第2カラー部は、」を、「前記第2カラー部は、」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項14について、訂正前の「前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、前記第2フィンよりも電位的に貴である第2犠牲層が設けられている、請求項1または2に記載の空気調和機。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1伝熱管(210)と、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第1フィン(220)と、を有する第1熱交換器(200)を含む室外機(2)と、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管(310)と、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第2フィン(320)と、を有する第2熱交換器(300)を含む室内機(3)と、を備え、前記第1伝熱管の表面には、前記第1伝熱管の母材(211)よりも電位的に卑であり、かつ、前記第1フィンよりも電位的に卑である第1犠牲層(212)が設けられ、前記第1フィンのフィンピッチ(P1)は、前記第2フィンのフィンピッチ(P2)よりも大きく、複数の前記第1フィンは、前記第1伝熱管の延びる第1方向に積層され、前記第1伝熱管を通す第1カラー部を有し、前記第1カラー部は、前記第1伝熱管に沿って延びる第2立上部と、前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、を有し、前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、前記第2フィンよりも電位的に貴である第2犠牲層が設けられている、空気調和機(1)。」に訂正する。 2 訂正の目的、新規事項の追加の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項1に記載された「第1フィン」に関し、訂正後の請求項1において、「前記第1フィンは、前記第1伝熱管の前記第1犠牲層と接触し、前記第1フィンの前記第2立上部は、前記第1伝熱管に接し、前記第1フィンの前記第2立上部と、前記第1フィンの前記フランジ部との連結部分に、隙間を有する」という事項(以下、「特定事項A」という。)を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1で付加された特定事項Aに関し、特許明細書等には、以下の記載がある。 ・「【0042】 図5に示すように、第1伝熱管210は、第1母材211と、第1犠牲層212と、を有している。第1犠牲層212は、第1伝熱管210の表面に設けられている。第1犠牲層212は、第1伝熱管210の表面全体に設けられてもよく、図5に示すように、第1伝熱管210の表面の一部に設けられてもよい。換言すると、第1犠牲層212は、露出する外表面の全体に形成されてもよく、図5に示すように、露出する外表面の一部に形成されてもよい。第1犠牲層212は、第1伝熱管210の外表面から冷媒の流れる内表面に向かう厚み方向の一部に形成されており、肉厚全体には形成されていない。換言すると、第1伝熱管210において、冷媒の流れる内表面の少なくとも一部には第1犠牲層212は形成されていない。本実施形態では、第1伝熱管210の内表面の全体に、第1犠牲層212は形成されていない。」 ・「【0053】 複数の第1フィン220は、フィン本体221と、第1カラー部222と、を含む。フィン本体221は、平板状の部材である。第1カラー部222は、第1伝熱管210を通す。詳細には、第1カラー部222は、第1伝熱管210を通すための貫通穴を有している。 【0054】 図6及び図7に示すように、第1カラー部222は、第1立上部223と、平坦部224と、第2立上部225と、フランジ部226と、を有している。第1立上部223、平坦部224、第2立上部225、及びフランジ部226は、1つの部材で構成されている。ここでは、第1立上部223、平坦部224、第2立上部225、及びフランジ部226は、ネスティング加工されてなる。」 ・「【0057】 第2立上部225は、平坦部224から第1伝熱管210に沿って延びる。第2立上部225は、第1伝熱管210に接する。ここでは、第2立上部225は、平坦部224と直交する。第2立上部225と平坦部224との連結部分は、湾曲形状を有している。」 ・「【0095】 そこで、本実施形態の空気調和機1では、室外に設置された室外機2の第1熱交換器200が、室内に設置された室内機3の第2熱交換器300よりも塩害の影響を受けやすいので、第1熱交換器200の第1フィン220のフィンピッチP1を、第2熱交換器300の第2フィン320のフィンピッチP2よりも大きくしている。このため、第1フィン220の枚数を少なくすることによって、第1伝熱管210の第1犠牲層212と接触している第1フィン220の表面積を減らすことができる。したがって、第1フィン220と第1犠牲層212とに跨るように水滴が付着して電位差が発生しても、第1フィン220による第1犠牲層212の消耗を抑制できる。このようにして、本実施形態では、第1犠牲層212の腐食を抑制することができる。」 ・「【0116】 第1フィン220及び第2フィン320がこのような構造を有すると、積層される第1フィン220及び第2フィン320の第2立上部225、325とフランジ部226、326との連結部分に隙間が生じる。この隙間に水滴が付着することに起因して、腐食の課題が大きくなる。」 ・「【図5】 [図:0001427931000001.jpg] 【図6】 [図:0001427931000002.jpg] 」 ここで、段落【0042】及び図5の記載によれば、第1伝熱管210は第1犠牲層212を有するものであることが認められる。 そして、段落【0095】及び図6の記載から、第1フィン220は、第1伝熱管210の第1犠牲層212と接触していることが認められる。 また、段落【0053】、【0054】及び【0057】並びに図6の記載から、第1フィン220の第2立上部225は、第1伝熱管210に接していることが認められる。 さらに、段落【0116】の記載における、第1フィン220の第2立上部225と第1フィン220のフランジ部226との連結部分に生じる隙間について、図6の記載から、第1フィン220の第2立上部225と第1フィン220のフランジ部226との連結部分は、第1伝熱管210との間で隙間を形成していることが見て取れる。 そうすると、特定事項Aは、これら特許明細書等の記載に基づくものであるから、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、訂正前の請求項1に対して、特定事項Aを直列的に付加するものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項13において、「前記第2カラー部は、」という記載が重複している明らかに誤った記載を、訂正後の請求項13において、重複箇所の一方を削除することで正しい記載に訂正するものであるから、誤記の訂正を目的とするものである。 イ 願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、上記アのとおり記載が重複している明らかに誤った記載の一方を削除することで正しい記載に訂正するものであるから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、上記アのとおり記載が重複している明らかに誤った記載の一方を削除することで正しい記載に訂正するものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項14が訂正前の請求項1又は2を引用していたものを、訂正後の請求項14において、訂正前の請求項2を引用したものを削除するものであり、引用する請求項の選択肢を削除する訂正であるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項3は、訂正前の請求項14が訂正前の請求項1を引用したものについて、訂正後の請求項14において、引用関係を解消し、訂正前の請求項1に記載された発明特定事項を取り込み、独立形式の請求項の記載とした訂正であるから、「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないもとのとすること。」を目的とするものである。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、上記アのとおり引用する請求項の選択肢を削除するとともに、独立形式の請求項の記載とした訂正であるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、上記アのとおり引用する請求項の選択肢を削除するとともに、独立形式の請求項の記載とした訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 3 一群の請求項について 訂正前の請求項1~15について、請求項2~15はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~15に対応する訂正後の請求項1~15は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~15〕についてされたものである。 4 申立人の主張について 申立人は、令和7年4月9日付け意見書の4頁6~8行において、「本件特許明細書等には、第1フィン220又は第2フィン320の何れか一方にのみ隙間を生じることは、全く記載されていません。」と主張し、同意見書の5頁12行~18行において、「段落0116の記載に基づく訂正の請求であれば、「第1フィン及び第2フィンの両方に隙間が存在する」とすべきところ、「第1フィンに隙間が存在する」とのみ訂正し、第2フィンに隙間が存在する形態が訂正後の請求項1から削除されています。上記のように、「隙間の存在」は発明の課題解決に不可欠又は必須の構成でありますが、特許請求の範囲に記載から「第2フィンに隙間が存在すること」を記載しないことは、上記各裁判例に照らし、新規事項を追加する訂正の請求と思料します。」と主張する。 しかしながら、上記2(1)イで検討したとおり、第1フィンの第2立上部と、第1フィンのフランジ部との連結部分に、隙間を有することは、特許明細書等の記載に基づくものである。ここで、特許明細書等には、第2フィンの第2立上部と、第2フィンのフランジ部との連結部分に、隙間を有することが合わせて記載されているものの、第2フィンに係る隙間は、室内機の第2の熱交換器に形成されるものであって、室外機の第1熱交換器に形成される第1フィンに係る隙間とは、互いに関連しない別個のものである。そして、本件特許は、伝熱管がアルミニウムまたはアルミニウム合金製の場合に、伝熱管が腐食しやすいことを課題としているところ(段落【0003】を参照)、塩害の影響の受けやすさを踏まえてフィンピッチを設定し、フィンのカラー部に隙間を有する伝熱管に犠牲層を設けることにより、上記課題を解決するものと認められる(段落【0004】-【0006】を参照)から、当該第2フィンに係る隙間が、室外機の第1熱交換器において課題を解決する際の発明の課題解決に不可欠又は必須の構成であるとは認められない。そうすると、一方の第1フィンに係る隙間についてのみ訂正後の請求項1において特定することが、新規事項の追加であるということはできず、申立人の上記主張は採用することができない。 5 小括 以上のとおりであるから、本件訂正の訂正事項1~3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、結論のとおり、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~15〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 本件訂正により訂正された請求項1~15に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明15」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1伝熱管(210)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第1フィン(220)と、 を有する第1熱交換器(200)を含む室外機(2)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管(310)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第2フィン(320)と、 を有する第2熱交換器(300)を含む室内機(3)と、 を備え、 前記第1伝熱管の表面には、前記第1伝熱管の母材(211)よりも電位的に卑であり、かつ、前記第1フィンよりも電位的に卑である第1犠牲層(212)が設けられ、 前記第1フィンのフィンピッチ(P1)は、前記第2フィンのフィンピッチ(P2)よりも大きく、 複数の前記第1フィンは、前記第1伝熱管の延びる第1方向に積層され、前記第1伝熱管を通す第1カラー部を有し、 前記第1カラー部は、 前記第1伝熱管に沿って延びる第2立上部と、 前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、 を有し、 前記第1フィンは、前記第1伝熱管の前記第1犠牲層と接触し、 前記第1フィンの前記第2立上部は、前記第1伝熱管に接し、 前記第1フィンの前記第2立上部と、前記第1フィンの前記フランジ部との連結部分に、隙間を有する、 空気調和機(1)。 【請求項2】 前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管は、円筒形状を有する、 請求項1に記載の空気調和機。 【請求項3】 前記第1フィンの表面には、樹脂を含む第1表面層(220b)が設けられている、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項4】 前記第2フィンの表面には、樹脂を含む第2表面層(320b)が設けられており、 前記第1表面層の厚み(W220b)は、前記第2表面層の厚み(W320b)よりも大きい、 請求項3に記載の空気調和機。 【請求項5】 前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材(311)よりも電位的に卑であり、かつ、前記第2フィンよりも電位的に卑である第2犠牲層(312)が設けられている、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項6】 前記第1フィンのフィンピッチと、前記第2フィンのフィンピッチとの差は、0.1mm以上0.3mm以下である、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項7】 前記第1フィンのフィンピッチは、前記第2フィンのフィンピッチの1.0倍を超え1.3倍未満である、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項8】 前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材よりも電位的に卑である第2犠牲層が設けられ、 前記第1犠牲層の厚みと、前記第2犠牲層の厚みとは、同じである、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項9】 前記第1伝熱管の外径と、前記第2伝熱管の外径とは、同じである、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項10】 前記第1伝熱管の材質と、前記第2伝熱管の材質とは、同じである、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項11】 前記室外機は、水を受ける第1ドレンパン(22)をさらに含み、 前記室内機は、水を受ける第2ドレンパン(32)をさらに含み、 前記第1伝熱管及び前記第2伝熱管は、複数であり、 複数の前記第1伝熱管の最下端は、前記第1ドレンパンの水位よりも上方に位置し、 複数の前記第2伝熱管の最下端は、前記第2ドレンパンの水位よりも上方に位置する、請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項12】 前記第1カラー部は、 フィン本体(221)から前記第1方向に延びる第1立上部(223)と、 前記第1立上部から前記第1伝熱管に向けて延びる平坦部(224)と、 をさらに有し、 1つの前記平坦部(224)は、隣接する別の前記第1フィンの前記フランジ部(226)に接し、 複数の前記第2フィンは、前記第2伝熱管の延びる第2方向に積層され、前記第2伝熱管を通す第2カラー部(322)を有し、 前記第2カラー部は、 フィン本体から前記第2方向に延びる第1立上部(323)と、 前記第1立上部から前記第2伝熱管に向けて延びる平坦部(324)と、 前記平坦部から前記第2伝熱管に沿って延びる第2立上部(325)と、 前記第2立上部から外方に延びるフランジ部(326)と、 を有し、 1つの前記平坦部(324)は、隣接する別の前記第2フィンの前記フランジ部(326)に接する、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項13】 複数の前記第2フィンは、前記第2伝熱管の延びる第2方向に積層され、前記第2伝熱管を通す第2カラー部を有し、 前記第2カラー部は、 前記第2伝熱管に沿って延びる第2立上部と、 前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、 を有し、 前記第1カラー部及び前記第2カラー部の前記第2立上部と前記フランジ部との連結部分は、曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有する、 請求項1または2に記載の空気調和機。 【請求項14】 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1伝熱管(210)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第1フィン(220)と、 を有する第1熱交換器(200)を含む室外機(2)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管(310)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第2フィン(320)と、 を有する第2熱交換器(300)を含む室内機(3)と、 を備え、 前記第1伝熱管の表面には、前記第1伝熱管の母材(211)よりも電位的に卑であり、かつ、前記第1フィンよりも電位的に卑である第1犠牲層(212)が設けられ、 前記第1フィンのフィンピッチ(P1)は、前記第2フィンのフィンピッチ(P2)よりも大きく、 複数の前記第1フィンは、前記第1伝熱管の延びる第1方向に積層され、前記第1伝熱管を通す第1カラー部を有し、 前記第1カラー部は、 前記第1伝熱管に沿って延びる第2立上部と、 前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、 を有し、 前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、前記第2フィンよりも電位的に貴である第2犠牲層が設けられている、 空気調和機(1)。 【請求項15】 前記第1フィンの亜鉛含有率は、前記第2フィンの亜鉛含有率よりも多い、 請求項1または2に記載の空気調和機。」 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由等について 1 取消理由の概要 当審が令和6年12月23日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 理由(進歩性) 本件特許の請求項1~13及び15に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~13及び15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 記 (引用文献については「引用文献一覧」を参照) ・請求項1について 本件特許の請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ・請求項2、5~10及び15について 本件特許の請求項2、5~10及び15に係る発明は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項及び甲4に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ・請求項3及び4について 本件特許の請求項3及び4に係る発明は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項及び甲4に記載された事項、並びに甲6及び7に例示された周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ・請求項11について 本件特許の請求項11に係る発明は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項及び甲4に記載された事項、並びに甲9及び10に例示された周知技術2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ・請求項12について 本件特許の請求項12に係る発明は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項及び甲4に記載された事項、並びに甲11に例示された周知技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 ・請求項13について 本件特許の請求項13に係る発明は、甲1に記載された発明、甲1に記載された事項及び甲4に記載された事項、周知技術3、並びに例示文献1及び例示文献2に例示された周知技術4に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 <引用文献一覧> (1)特開2016-99037号公報(甲第1号証であって、以下、「甲1」という。) (2)国際公開第2019/239990号(甲第4号証であって、以下、「甲4」という。) (3)特開2011-2146号公報(甲第6号証であって、以下、「甲6」という。) (4)特開平11-211377号公報(甲第7号証であって、以下、「甲7」という。) (5)特開2020-67203号公報(甲第9号証であって、以下、「甲9」という。) (6)特開2018-197634号公報(甲第10号証であって、以下、「甲10」という。) (7)国際公開第2015/097821号(甲第11号証であって、以下、「甲11」という。) (8)特開2008-267716号公報(当審で周知技術を例示するために追加した文献であって、以下、「例示文献1」という。) (9)特表2018-517114号公報(当審で周知技術を例示するために追加した文献であって、以下、「例示文献2」という。) 2 引用文献等について (1)甲1について ア 甲1の記載 甲1には、次の記載がある。 なお、下線は当審で付したものである(以下同様。)。 「【0002】 従来、空気調和機などの冷凍サイクル装置に使用される熱交換器として、一般に、複数のアルミニウム(以下アルミニウム合金を含む)製フィンと複数本の銅製伝熱管とから構成されるクロスフィンチューブ型熱交換器が知られている。クロスフィンチューブ型熱交換器は、薄板状の多数のフィンを複数本の銅製伝熱管が接触しつつ貫通して構成されている。そして、冷媒が銅製伝熱管内を流れ、多数の大きな伝熱面積をもつフィンを介して外気と冷媒との熱交換が行われている。 【0003】 ところで、近年、熱交換器の軽量化や低コスト化を目的に、伝熱管の材料を銅からアルミニウムに変更した熱交換器が使用されるようになっている。一般的に、アルミニウムは、イオン化傾向が大きいため、マグネシウム、カリウムなどの一部を除くほとんどの金属より腐食傾向が大きい。すなわち、アルミニウムは、陽イオンとなって溶出し易く腐食電位が低い。そのため、銅製の伝熱管に比べアルミニウム製の場合、腐食する傾向が大きく、結果として伝熱管に微小な貫通孔が発生し易く冷媒が漏洩する可能性が高い。 【0004】 その対策として、アルミニウム製の伝熱管表面に、アルミニウムより腐食傾向が大きい、すなわち腐食電位が低い(陽イオンとなり易い)亜鉛を含む犠牲防食層を形成する。或いは、フィン材自体に亜鉛などを添加することで犠牲防食効果を発現させて伝熱管の耐食性を向上させることが行われている。(特許文献1、非特許文献1参照)」 「【0013】 以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。 本発明は、冷凍サイクルを用いた空気調和機などの冷凍サイクル装置に使用されるアルミニウム製伝熱管を有する熱交換器の構造に係るものである。 【0014】 <<実施形態1>> 図1は、本発明の実施形態1に係る冷凍サイクル装置の系統図である。 実施形態1の冷凍サイクル装置Rは、室外機1と室内機2とが、冷媒配管である液側接続配管3とガス側接続配管4により接続されている。 なお、冷媒配管とは冷媒が流れる配管をいう。 【0015】 室外機1には、アキュムレータ5、圧縮機6、四方弁7、室外側熱交換器8、第1の膨張弁9などが備えられている。また、室外機1には、液側接続配管3に接続される液阻止弁10と、ガス側接続配管4と接続されるガス阻止弁11とが備えられている。 室内機2には、利用側熱交換器12と第2の膨張弁13とが備えられている。」 「【0021】 <熱源側熱交換器8> 図2は、熱源側熱交換器に使用されるクロスフィンチューブ型熱交換器の要部斜視図である。 冷凍サイクル装置Rの熱源側熱交換器8は、クロスフィンチューブ型熱交換器を用いている。 クロスフィンチューブ型熱交換器の熱源側熱交換器8は、複数本の伝熱管30と、伝熱管30を通すための貫通孔20aが形成される複数枚のフィン20とを備えている。 【0022】 複数本の伝熱管30は、アルミニウム系材料(以下、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む)で構成されている。また、複数枚のフィン20はアルミニウム系材料(以下、アルミニウムまたはアルミニウム合金を含む)で構成されている。」 「【0025】 図3に示すように、複数本の伝熱管30と複数枚のフィン20とは、ろう材15によりろう付けされ結合されている。 ここで、折り曲げ部20bの先端20b1と伝熱管30の外面との距離h(図3参照)が大き過ぎる場合、隣接する2枚のフィン20と伝熱管30に囲まれた領域の体積が大きくなる。そのため、溶融したろう材15が凝固した際、当該領域を充填しきれず隙間(未充填空間)が残る。 【0026】 この隙間(未充填空間)に腐食を誘発する物質を含んだ水分が浸入すると、該水分が腐食電位が低いアルミニウム製の伝熱管30に直に触れることとなる。そのため、水分中の腐食を誘発する物質の働きで、アルミニウム製の伝熱管30のアルミニウム陽イオンが溶出し、腐食が早期に発生するおそれがある。 【0027】 以上のことから、ろう材15の未充填空間をなくすため、フィン折り曲げ部20bの先端20b1と伝熱管30の表面の距離hは凝固したろう材(フィレット)15で充填できる程度小さいさく設定することが好ましい。 【0028】 そこで、フィン折り曲げ部20bの先端20b1と伝熱管30の表面の距離hを、0.1mm以下に設定している。これにより、隣接する2枚のフィン20と伝熱管30に囲まれた領域の体積を充分小さし、未充填空間をなくすことができる。」 「【0030】 まず、図4(a)に示すように、アルミニウム系材料で構成されている複数本の伝熱管30となる素材のパイプ30aと、アルミニウム系材料で構成された複数枚のフィン20を用意する。素材のパイプ30aは、完成時の伝熱管30の径より小さいの径のものを準備する。 フィン20には、アルミニウム系材料で構成された金属板の心材21の表面に、主成分がアルミニウムで心材21より融点が低いろう材層22を貼り合わせたブレージングシートを使用する。ブレージングシートを用いることで、ろう材層22の形成が容易となる。 【0031】 このブレージングシートをプレス加工して、拡管前の伝熱管30の素材のパイプ30aの外径より大きい径の貫通孔20aと折り曲げ部20bを有するフィン20を形成する。 そして、図4(a)に示すように、伝熱管30となる素材のパイプ30aを、フィン20の貫通孔20aに通し、複数枚のフィン20が折り曲げ部20bにより一定間隔で積層された状態で伝熱管30の拡管前の素材のパイプ30aにセットする。この状態では、フィン20の貫通孔20aと、素材のパイプ30aとの間には隙間16が形成されている。 【0032】 その後、機械的拡管方式などにより、図4(b)に示すように,素材のパイプ30aの外径が貫通孔20aの径より大きくなるように拡管することで、フィン20が弾性変形または塑性変形して拡管後の伝熱管30と接合される。この際、隣接するフィン20が折り曲げ部20bで接触し合って積層されている。 つまり、隣接するフィン20の心材21表面に形成されるろう材層22同士が接触し合っている。 これにより、伝熱管30とフィン20とが強固に接合される。 【0033】 この際、フィン20の折り曲げ部20bの先端20b1と伝熱管30の外面との距離hを0.1mm以下に設定する。 この状態の熱交換器全体を、不図示の加熱炉に入れて加熱し、その後、冷却する。 【0034】 これにより、図3に示すように、溶融したろう材層22がフィン20と伝熱管30との間の隙間を完全に充填するようにろう材(フィレット)15として凝固し、両者を密着させて接合部分をろう付けにより、固定することができる。 【0035】 上記構成によれば、伝熱管30を拡管前の素材のパイプ30aの外径よりも大きい内径の貫通孔20aを有するフィン20を通すようにしているため、熱交換器の組立て作業を容易に行うことができる。 【0036】 また、フィン20と伝熱管30との間に形成される隙間を、ろう材(フィレット)15で完全に充填させることができる。そのため、腐食を誘発する物質を含んだ水分が、伝熱管30とフィン20との間に進入せず、伝熱管30の腐食寿命を延ばすことができる。 【0037】 また、フィン20の腐食電位が伝熱管30の腐食電位よりも低くなるように、フィン20と伝熱管30を異なるアルミニウム合金で構成すれば、フィン20が先に腐食し、伝熱管30の腐食が抑制される。 従って、熱源側熱交換器8の長寿命化が図れ、信頼性が高い熱源側熱交換器8が得られる。」 「【0049】 実施形態3の熱源側熱交換器38では、伝熱管50をその周囲に亜鉛犠牲層52を形成したものである。これにより、亜鉛犠牲層52を腐食させることでの心材管51そのものの腐食を抑制している。 上記以外の構成は、実施形態1と同様であり、詳細な説明は省略する。 【0050】 熱源側熱交換器38において、複数のフィン20には、伝熱管50を挿通する貫通孔20aが形成されている。そして、貫通孔20aに折り曲げ部25bが一方方向に突出して円筒状に形成されている。 【0051】 複数のフィン20の貫通孔20aには伝熱管50が貫通される。伝熱管50は、中央部の心材管51の周りに、亜鉛を含有したアルミニウムを主成分とする亜鉛犠牲層52が形成されている。亜鉛犠牲層52は、伝熱管50の心材管51より亜鉛濃度を高くすることで腐食傾向が大きく(腐食電位が低く)なるように設定されている。 【0052】 亜鉛犠牲層52は、伝熱管50の心材管51の表面に亜鉛を溶射した後加熱することで形成する。例えば、まず、心材管51の表面に溶けた亜鉛を噴射して付着させる。その後、熱処理により、付着した亜鉛を心材管51に染み込ませ拡散させる。 【0053】 或いは、伝熱管50の心材管51よりも亜鉛濃度が高いアルミニウム合金を心材管51に貼り合わせることで形成することが可能である。例えば、クラッドにより、亜鉛濃度が高いアルミニウム系材を、アルミニウム系材料で形成される心材管51の廻りに圧延で接合する。 上述の如く形成される亜鉛犠牲層52と心材管51とは、原子間接合しているので、剥離するおそれはない。」 「【0054】 実施形態3においても、実施形態1の熱源側熱交換器8と同様、熱源側熱交換器38を製作することができる。すなわち、貫通孔20aと折り曲げ部20bを設けた複数枚のフィン20に、複数本の拡管前の伝熱管50である素材管50aを通す。その後、機械的拡管方式などにより素材管50aを拡管することで、フィン20の貫通孔20aの周囲が弾性変形または塑性変形することで、フィン20の貫通孔20aが伝熱管50と接合される。これにより、伝熱管50とフィン20とが強固に接合される。この際、伝熱管50表面にろう材層を形成した場合には隣接するフィン20が折り曲げ部20bで接触し合って積層されている。 或いは、フィン20の心材の表面にろう材層を形成した場合には隣接するフィン20の表面に形成されるろう材層同士が接触し合っている。この場合、ろう付け後、図6(b)に示す状態となる。 【0055】 この際、フィン20の折り曲げ部20bの先端20b1と伝熱管表面の距離h2を0.1mm以下に設定する。 この状態の熱源側熱交換器38全体を、不図示の加熱炉に入れて加熱する。その後、冷却することで、図6に示すように,溶融したろう材(フィレット)15が、フィン20と伝熱管50との間の隙間を未充填隙間なく完全に充填するように凝固させ、両者を密着固定させる。この場合、伝熱管50表面にろう材層を形成した場合には、図6(a)に示すように、隣接するフィン20が折り曲げ部20bで接触し合って積層されている。隣接するフィン20が折り曲げ部20bで接触するので、フィン20と伝熱管50との間にろう材15の未充填領域がより形成しにくい。 【0056】 前記したように、従来技術では、アルミニウム製伝熱管の表面に腐食傾向が大きい(腐食電位が低い)亜鉛を含む犠牲防食層を、伝熱管の表面に形成することで伝熱管の腐食寿命を延ばそうとしている。しかし、フィンと伝熱管との間に隙間がある場合には、腐食を誘発する物質を含んだ水分が侵入することにより、亜鉛犠牲層の犠牲防食効果が早期に消失してしまうおそれがある。 【0057】 しかし、本実施形態3によれば、フィン20の折り曲げ部20bの先端20b1と伝熱管表面の距離h2を0.1mm以下に設定することで、溶融後に凝固したろう材(フィレット)15によりフィン20と伝熱管50の間の隙間を確実に充填させることができる。 【0058】 また、フィン20と伝熱管50の間の隙間に腐食を誘発する物質を含んだ水分が侵入した場合にも、亜鉛濃度が高いアルミニウム合金が腐食し、心材管51の腐食が抑制されるので、伝熱管50としての長寿命化が図れる。従って、熱源側熱交換器38の長寿命化が図れ、信頼性を高めることが可能である。 【0059】 また、フィン20の腐食電位が伝熱管50の腐食電位よりも低くなるように、フィン20と伝熱管50を異なるアルミニウム合金で構成すれば、フィン20が先に腐食し、伝熱管50の腐食が抑制される。そのため、さらに熱源側熱交換器38の伝熱管50の腐食寿命を延ばすことができ、熱源側熱交換器38の長寿命化を図ることができる。 なお、実施形態3においても、実施形態1の作用効果は同様に奏する。」 「【0062】 3.前記実施形態1~3では、熱源側熱交換器28に、本発明を適用した例について説明したが、利用側熱交換器12に本発明を適用してもよい。」 「【図1】 [図:0001427931000003.jpg] 【図2】 [図:0001427931000004.jpg] 【図3】 [図:0001427931000005.jpg] 」 「【図6】 [図:0001427931000006.jpg] 」 イ 上記アから認められること (ア)段落【0013】及び【0014】並びに図1の記載によれば、甲1には、室外機1と、室外機2とを備えた冷凍サイクルを用いた空気調和機が認められる。 (イ)段落【0015】の記載によれば、室外機1は、熱源側熱交換器38を含むことが認められる。 (ウ)段落【0021】、【0022】の記載によれば、熱源側熱交換器38は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱管50を有することが認められる。 (エ)段落【0021】、【0022】の記載によれば、熱源側熱交換器38は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数のフィン20を有することが認められる。 (オ)段落【0062】の「実施形態1~3では、熱源側熱交換器28に、本発明を適用した例について説明したが、利用側熱交換器12に本発明を適用してもよい。」との記載及び図1の記載を、上記ア~エと合わせみると、室内機2は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱管(以下、「利用側の伝熱管」という。)と、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数のフィン(以下、「利用側のフィン」という。)と、を有する利用側熱交換器12を含むことが認められる。 (カ)段落【0049】及び【0051】並びに図6の記載によれば、伝熱管50の表面には、伝熱管50の心材管51よりも腐食電位が低い亜鉛犠牲層52が設けられることが認められる。 (キ)図6の記載から、複数のフィン20は、伝熱管50の延びる方向に積層されていることが看て取れる。 (ク)段落【0050】及び図6の記載によれば、フィン20は、伝熱管50を挿通する貫通孔20aに一方方向に突出して円筒状に形成された折り曲げ部20bを有し、折り曲げ部20bは、伝熱管50に沿って延びる円筒状の部分と、円筒状の部分から外方に延びる先端20b1と、を有することが認められる。 (ケ)段落【0032】、【0051】、【0052】及び【0054】並びに図6の記載によれば、フィン20の貫通孔20aが、心材管51の表面に亜鉛犠牲層52が形成された伝熱管50と接合されるから、フィン20は、伝熱管50の亜鉛犠牲層52と接触することが認められる。 (コ)段落【0051】、【0052】及び【0054】並びに図6の記載と、上記(ケ)とを合わせてみると、フィン20の折り曲げ部20bは、亜鉛犠牲層52が形成された伝熱管50に接していることが認められる。 (サ)段落【0025】~【0028】、【0034】及び【0055】~【0057】並びに図3、6の記載によれば、フィン20と伝熱管50との間の隙間をろう材15により完全に充填することが認められる。 ウ 甲1発明 上記ア及びイを総合すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。 「アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱管50と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数のフィン20と、 を有する熱源側熱交換器38を含む室外機1と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の利用側の伝熱管と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の利用側のフィンと、 を有する利用側熱交換器12を含む室内機2と、 を備え、 前記伝熱管50の表面には、前記伝熱管50の心材管51よりも腐食電位が低い亜鉛犠牲層52が設けられ、 複数の前記フィン20は、前記伝熱管50の延びる方向に積層され、前記伝熱管50を挿通する貫通孔20aに一方方向に突出して円筒状に形成された折り曲げ部20bを有し、 前記折り曲げ部20bは、 前記伝熱管50に沿って延びる円筒状の部分と、 前記円筒状の部分から外方に延びる先端20b1と、 を有し、 前記フィン20は、前記伝熱管50の前記亜鉛犠牲層52と接触し、 前記フィン20の前記折り曲げ部20bは、前記亜鉛犠牲層52が形成された前記伝熱管50に接し、 前記フィン20と前記伝熱管50との間の隙間をろう材15により完全に充填する、 冷凍サイクルを用いた空気調和機。」 (2)甲4について ア 甲4の記載 甲4には、次の記載がある。 「[0130] (5-7) 本実施形態の室内熱交換器51を備える空気調和装置1では、室内熱交換器51の複数の室内フィン60の板厚方向におけるピッチは、室外熱交換器11の複数の室外フィン91の板厚方向におけるピッチよりも小さいことが好ましい。この場合、例えば、室内フィン60のピッチは1.0mm~1.8mmに設定され、室外フィン91のピッチは1.2mm~2.0mmに設定される。室内フィン60をコンパクトにして、スリット(メインスリット62及び連通位置スリット63)の伝熱を促進することで、室内フィン60の伝熱性能を向上させるためには、室内フィン60の幅を室外フィン91の幅より小さくすることに加えて、室内フィン60のピッチを室外フィン91のピッチより小さくする必要がある。」 イ 甲4の技術事項 上記アによれば、甲4には、次の事項(以下、「甲4の技術事項」という。)が記載されていると認める。 「空気調和装置1において、室内フィン60の伝熱を促進するために、室内熱交換器51の複数の室内フィン60の板厚方向におけるピッチは、室外熱交換器11の複数の室外フィン91の板厚方向におけるピッチよりも小さくされること(すなわち、室外熱交換器11の複数の室外フィン91の板厚方向におけるピッチは、室内熱交換器51の複数の室内フィン60の板厚方向におけるピッチよりも大きくされること)。」 (3)他の引用文献について 甲6、7及び9~11並びに例示文献1及び2についての記載等は、取消理由通知(決定の予告)のとおりであり、記載を省略する。 (4)申立人の提出した他の証拠方法について 取消理由で採用しなかった、申立人の提出した他の証拠方法は以下のとおりである。なお、記載は省略する。 甲第2号証;軽金属 Vol.42,No.6 357頁(1992年発行)(以下、「甲2」という。) 甲第3号証:特許第7012529号公報(以下、「甲3」という。) 甲第5号証:特開2001-304783号公報(以下、「甲5」という。) 甲第8号証:特開2002-71208号公報(以下、「甲8」という。) 甲第12号証:住友軽金属技法 Vol.35 No.1,No.2 65頁、66頁(1994年6月発行)(以下、「甲12」という。) 甲第13号証:特開2022-36619号公報(以下、「甲13」という。) 3 対比・判断 (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 (ア)後者の「伝熱管50」は、前者の「第1伝熱管(210)」に相当し、同様に、「フィン20」は「第1フィン(220)」に、「熱源側熱交換器38」は「第1熱交換器(200)」に、「室外機1」は「室外機(2)」に、「利用側の伝熱管」は「第2伝熱管(310)」に、「利用側のフィン」は「第2フィン(320)」に、「利用側熱交換器12」は「第2熱交換器(300)」に、「室内機2」は「室内機(3)」に、「冷凍サイクルを用いた空気調和機」は「空気調和機(1)」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「アルミニウムまたはアルミニウム合金製の伝熱管50と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数のフィン20と、 を有する熱源側熱交換器38を含む室外機1と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の利用側の伝熱管と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の利用側のフィンと、 を有する利用側熱交換器12を含む室内機2と、 を備え」た、「冷凍サイクルを用いた空気調和機」は、 前者の「アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1伝熱管(210)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第1フィン(220)と、 を有する第1熱交換器(200)を含む室外機(2)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管(310)と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第2フィン(320)と、 を有する第2熱交換器(300)を含む室内機(3)と、 を備え」た、「空気調和機(1)」に相当する。 (イ)後者の「心材管50」は、前者の「母材(211)」に相当し、同様に、「腐食電位が低い」ことは、「電位的に卑であ」ることに、「亜鉛犠牲層52」は、「第1犠牲層(212)」に、それぞれ相当する。 そして、後者の「前記伝熱管50の表面には、前記伝熱管50の心材管51よりも腐食電位が低い亜鉛犠牲層52が設けられ」たことと、 前者の「前記第1伝熱管の表面には、前記第1伝熱管の母材(211)よりも電位的に卑であり、かつ、前記第1フィンよりも電位的に卑である第1犠牲層(212)が設けられ」たこととは、 「前記第1伝熱管の表面には、前記第1伝熱管の母材よりも電位的に卑である第1犠牲層が設けられ」たという限りにおいて一致する。 (ウ)後者の「前記伝熱管50の延びる方向」は、前者の「前記第1伝熱管の延びる第1方向」に相当する。 また、後者の「前記伝熱管50を挿通する貫通孔20aに一方方向に突出して円筒状に形成された折り曲げ部20b」は、伝熱管50を通すことから、前者の「前記第1伝熱管を通す第1カラー部」に相当する。 さらに、後者の「円筒状の部分」は、前者の「第2立上部」に相当し、同様に、「先端20b1」は、「フランジ部」に相当する。 そして、後者の「複数の前記フィン20は、前記伝熱管50の延びる方向に積層され、前記伝熱管50を挿通する貫通孔20aに一方方向に突出して円筒状に形成された折り曲げ部20bを有し、 前記折り曲げ部20bは、 前記伝熱管50に沿って延びる円筒状の部分と、 前記円筒状の部分から外方に延びる先端20b1と、 を有する」ことは、 前者の「複数の前記第1フィンは、前記第1伝熱管の延びる第1方向に積層され、前記第1伝熱管を通す第1カラー部を有し、 前記第1カラー部は、 前記第1伝熱管に沿って延びる第2立上部と、 前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、 を有する」ことに相当する。 (エ)後者の「前記フィン20は、前記伝熱管50の前記亜鉛犠牲層52と接触」することは、前者の「前記第1フィンは、前記第1伝熱管の前記第1犠牲層と接触」することに相当する。 (オ)後者の「前記フィン20の前記折り曲げ部20bは、前記亜鉛犠牲層52が形成された前記伝熱管50に接」することは、前者の「前記第1フィンの前記第2立上部は、前記第1伝熱管に接」することに相当する。 以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第1伝熱管と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第1フィンと、 を有する第1熱交換器を含む室外機と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の第2伝熱管と、 アルミニウムまたはアルミニウム合金製の複数の第2フィンと、 を有する第2熱交換器を含む室内機と、 を備え、 前記第1伝熱管の表面には、前記第1伝熱管の母材よりも電位的に卑である第1犠牲層が設けられ、 複数の前記第1フィンは、前記第1伝熱管の延びる第1方向に積層され、前記第1伝熱管を通す第1カラー部を有し、 前記第1カラー部は、 前記第1伝熱管に沿って延びる第2立上部と、 前記第2立上部から外方に延びるフランジ部と、 を有し、 前記第1フィンは、前記第1伝熱管の前記第1犠牲層と接触し、 前記第1フィンの前記第2立上部は、前記第1伝熱管に接する、 空気調和機。」 [相違点1] 「第1犠牲層」が、本件発明1では、「前記第1フィンよりも電位的に卑である」のに対して、甲1発明では、かかる事項は特定されていない点。 [相違点2] 本件発明1では、「前記第1フィンのフィンピッチ(P1)は、前記第2フィンのフィンピッチ(P2)よりも大きく」されるのに対して、甲1発明では、フィン20について、フィンピッチの特定はされていない点。 [相違点3] 本件発明1では、「前記第1フィンの前記第2立上部と、前記第1フィンの前記フランジ部との連結部分に、隙間を有する」のに対して、甲1発明では、「前記フィン20と前記伝熱管50との間の隙間をろう材15により完全に充填する」点。 イ 判断 事案に鑑み、まず相違点3について検討する。 (ア)相違点3について 甲1の段落【0025】~【0028】、【0036】、【0056】及び【0057】並びに図3、6の記載によれば、相違点3に係る甲1発明の「前記フィン20と前記伝熱管50との間の隙間をろう材15により完全に充填する」との発明特定事項は、フィンと伝熱管との間に隙間があると、腐食を誘発する物質を含んだ水分が侵入することにより、亜鉛犠牲層の犠牲防食効果が早期に消失してしまうおそれがあるため、伝熱管の腐食寿命を延ばすべく、フィンと伝熱管との間の隙間をなくし、腐食を誘発する物質を含んだ水分が、フィンと伝熱管との間に進入しないようにする機能を奏するものである。 そうすると、甲1発明において、フィン20(第1フィン)の折り曲げ部20b(第2立上部)と、フィン20の先端20b1(フランジ部)との連結部分に、ろう材を充填しない隙間を有するように設計変更することは、上記機能を喪失することになるから、阻害要因があるというべきである。 また、甲1~13、例示文献1及び例示文献2に記載された他の事項を参酌しても、甲1発明が、ろう材を充填しない隙間を有するように設計変更することを動機付けるような記載は見当たらない。 したがって、甲1発明において、上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たこととは認められない。 (イ)申立人の主張について 申立人は、令和7年4月9日付け意見書の8頁8行~21行において、次の主張をする。 「甲1号証の段落0025~0027の記載の解釈として、上記のように、「隙間」の一部のみをろう材で充填することは排除されていないと思料します。しかし、仮に、段落0025~0027の記載事項が、隙間が完全にろう材で充填され、未充填領域が存在しないと解釈できた場合であっても、甲1号証の他の記載から、「隙間」の一部のみをろう材で充填することを読み取ることができます。 具体的には、段落0058には、「また、フィン20と伝熱管50の間の隙間に腐食を誘発する物質を含んだ水分が侵入した場合にも、亜鉛濃度が高いアルミニウム合金が腐食し、心材管51の腐食が抑制されるので、伝熱管50としての長寿命化が図れる。」と記載されており、フィンと伝熱管との間に、ろう材を充填しない隙間が存在することが記載されています。このため、甲1発明では、ろう材を充填しない隙間の存在を完全に排除しているのではなく、甲1発明には、ろう材を充填しない隙間が存在する場合(段落0058の記載事項)、及び、存在しない場合(段落0025~0027)、の双方の発明が含まれると解することが自然です。」 しかしながら、甲1発明は、上記2(1)ウのとおり「前記フィン20と前記伝熱管50との間の隙間をろう材15により完全に充填する」ものであり、甲1の明細書の段落【0058】の記載は「フィン20と伝熱管50の間の隙間に腐食を誘発する物質を含んだ水分が侵入した場合」という、意図しない状態となった場合を想定して説明をしたものにすぎず、通常の状態である甲1発明において、フィン20(第1フィン)の折り曲げ部20b(第2立上部)と、フィン20の先端20b1(フランジ部)との連結部分に、ろう材を充填しない隙間が存在するように設計変更することはできないから、申立人の上記主張は採用することができない。 (ウ)まとめ したがって、本件発明1は、上記相違点1及び2について検討するまでもなく、甲1発明及び甲4の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、甲1~13、例示文献1及び例示文献2に記載された他の事項を参酌しても、本件発明1は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 そうすると、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 (2)本件発明2~13、15について 本件発明2~13、15は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるから、上記(1)の検討を踏まえると、同様の理由により、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 (3)本件発明14について 本件発明14と、甲1発明とは、上記(1)アと同様に対比すると、上記(1)アと同様の一致点で一致し、相違点1、2と同様の相違点で相違し、加えて以下の相違点4で相違する。 [相違点4] 本件発明14では、「前記第2伝熱管の表面には、前記第2伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、前記第2フィンよりも電位的に貴である第2犠牲層が設けられている」のに対して、甲1発明では、係る事項は特定されていない点。 事案に鑑み、相違点4について検討する。 甲1の段落【0062】の「実施形態1~3では、熱源側熱交換器28に、本発明を適用した例について説明したが、利用側熱交換器12に本発明を適用してもよい。」との記載から、利用側熱交換器12が、利用側の伝熱管と、利用側のフィンと、を有し、前記利用側の伝熱管の表面に、利用側の伝熱管の心材管よりも腐食電位が低い亜鉛犠牲層を設けることは認められるとしても、当該亜鉛犠牲層を、「前記第2伝熱管の母材よりも電位的に卑であり、かつ、前記第2フィンよりも電位的に貴である第2犠牲層」とすることが当業者にとって容易になし得たということはできない。 また、相違点4に係る本件発明14の構成は、甲1~13、例示文献1及び例示文献2にも記載されていない。 したがって、本件発明14は、相違点1、2について検討するまでもなく、甲1発明並びに甲1~13、例示文献1及び例示文献2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められず、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえない。 4 小括 上記3によると、本件発明1~15は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものとはいえないから、本件特許の請求項1~15に係る特許は、同条第2項の規定に違反してされたものとはいえず、同法第113第2号に該当しない。 第5 令和7年4月9日に申立人より提出された意見書の主張について 1 申立人による意見書の主張の概要 申立人は、令和7年4月9日に提出された意見書の5頁下から2行~6頁16行において、訂正後の請求項1の記載の明確性について、次の主張をする。 「特許権者は、本件訂正請求書により、「前記第1フィンの前記第2立上部と、前記第1フィンの前記フランジ部との連結部分に、隙間を有する」との訂正を請求しました。 ここで、フランジ部は、上記訂正後の請求項1に記載のように、「第2立上部から外方に延びる」部分ですから、第2立上部とフランジ部とは、一体的、一様、連続的に形成されていると認められます。そして、「隙間」とは、複数の部材同士の間に形成されるものであるところ、例えば一体的に形成される第2立上部とフランジ部との連結部分に形成される「隙間」とは、一体何であるのかを観念できません。 また、本件意見書に添付された訂正特許請求の範囲に記載の請求項13の7~8行日にも同様の記載がありますが、当該記載と、請求項1の当該記載との違いも不明です。即ち、請求項1の「隙間」は、請求項13の「曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有する」と読むこともできますが、このように読んだ場合、意味が全く不明です。 以上より、本件特許発明1において特定される構造が明確ではなく、本件特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていませんから、本件特許は取り消されるべきと思料します(同法第114条第4号)。」 2 当審の判断 (1)上記第2の2(1)イの検討で述べたように、第1フィン220の第2立上部225と第1フィン220のフランジ部226との連結部分は、第1伝熱管210との間で隙間を形成していることが認められるから、隙間は当該連結部分と第1伝熱管210との間で形成されるものとして明確に理解できる。 (2)また、訂正後の請求項13に記載された「前記第1カラー部及び前記第2カラー部の前記第2立上部と前記フランジ部との連結部分は、曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有する」との事項については、文言どおり、当該連結部分が、曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有するものとして理解するのが合理的であり、訂正後の請求項1に記載された「隙間」が「曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有する」と解する余地はない。 したがって、訂正後の請求項1における「前記第1フィンの前記第2立上部と、前記第1フィンの前記フランジ部との連結部分に、隙間を有する」との事項と、訂正後の請求項13における「前記第1カラー部及び前記第2カラー部の前記第2立上部と前記フランジ部との連結部分は、曲率半径が0.2mm以上の湾曲形状を有する」との事項との関係が不明確であるともいえない。 (3)よって、令和7年4月9日に提出された意見書における申立人の主張によっては、訂正後の請求項1の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとすることはできない。 第6 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1~15に係る特許は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、特許法第29条第第2項の規定に違反してされたものとはいえないから、同法第113条第2号に該当せず、取り消すことができない。 また、他に本件特許の請求項1~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700354

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