審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2025-700317

熱交換器及び空気調和機

審判番号
2025-700317
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-159143
登録番号
7583287
請求日
2025年03月18日
審決日
2025年08月18日
公報発行日
2025年09月26日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】ダイキン工業株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
  • 【異議申立人】小倉 良則
  • 【異議申立人代理人】原田 寛
  • 【異議申立人代理人】中村 政美
審判長/審判官
  • 審判長 平瀬 知明
  • 審判官 水野 治彦
  • 審判官 槙原 進
分類
P1651.113-Y (F28F) / P1651.121-Y (F28F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第113条第2項、特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7583287号発明「熱交換器及び空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7583287号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。

理由

理 由 理 由 第1 手続の経緯 特許第7583287号の請求項1ないし請求項5の特許(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、令和3年9月29日に出願され、令和6年11月6日にその特許権の設定登録がされ、令和6年11月14日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和7年3月18日に特許異議申立人小倉良則(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 特許異議の申立てについて 1.本件発明 本件特許の請求項1ないし請求項5に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明5」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「 【請求項1】 軸方向に延びる複数の伝熱管(20)と、 前記軸方向におけるピッチを規定する第1バーリング部(42)を有し、前記伝熱管(20)に接続される複数のフィン(40)と、 前記軸方向において前記フィン(40)の一端側に配置されて前記伝熱管(20)の直管部(21)を支持し、前記一端側に延びる前記伝熱管(20)の外周面に沿って前記一端側に延びる第2バーリング部(34)を有する板材(30)と、を備え、 前記第2バーリング部(34)の立上げ量(L2)が、前記第1バーリング部(42)の立上げ量(L1)の2倍以上である、熱交換器(10)。 【請求項2】 前記第2バーリング部(34)の板厚(D2)が、前記板材(30)の前記第2バーリング部(34)以外の部分(41)の板厚(D1)の1/2以下である、請求項1に記載の熱交換器(10)。 【請求項3】 前記第2バーリング部(34)の立上げ量(L2)が3mm以上である、請求項1又は請求項2に記載の熱交換器(10)。 【請求項4】 前記伝熱管(20)の材質がアルミニウムを主体とするアルミニウム合金である、請求項1~3の何れか一項に記載の熱交換器(10)。 【請求項5】 利用側熱交換器(51a)を有する利用側ユニット(51)と、熱源側熱交換器(52a)を有する熱源側ユニット(52)と、前記利用側熱交換器(51a)及び前記熱源側熱交換器(52a)を接続する冷媒配管(53)と、を含む冷媒回路(54)で冷媒を循環させて、前記利用側ユニット(51)が配置される対象空間(S1)の空気調和を行う空気調和機(50)であって、 前記利用側熱交換器(51a)が、請求項1~4の何れか一項に記載の前記熱交換器(10)である、空気調和機(50)。」 2.特許異議の申立ての概要 本件特許1ないし本件特許5に対して特許異議申立人が申し立てた特許異議は、特許異議申立書の全体から見て、大略、次のとおりである。 (1)本件発明1及び本件発明3は、その出願前日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないから、特許法第113条第2項の規定により、その発明に係る特許は取り消すべきものである(以下、「異議理由1」という。)。 (2)本件発明1ないし本件発明5は、その出願前日本国内又は外国において頒布された甲第1号証、甲第5号証及び甲第7号証ないし甲第10号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、特許法第113条第2項の規定により、その発明に係る特許は取り消すべきものである(以下、「異議理由2」という。)。 (3)本件発明1ないし本件発明5は、その出願前日本国内又は外国において頒布された甲第2号証、甲第1号証及び甲第3号証ないし甲第11号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、特許法第113条第2項の規定により、その発明に係る特許は取り消すべきものである(以下、「異議理由3」という。)。 甲第1号証:国際公開第2013/118762号 甲第2号証:特開2017-125634号公報 甲第3号証:特開2005-233524号公報 甲第4号証:特開平4-3893号公報 甲第5号証:特開昭62-124040号公報 甲第6号証:特開2015-132416号公報 甲第7号証:特開平11-14190号公報 甲第8号証:特開2011-80121号公報 甲第9号証:国際公開第2018/101406号 甲第10号証:国際公開第2019/130456号 甲第11号証:特開2008-267716号公報 第3 当審の判断 特許異議申立人の申立てについて、以下、検討する。 1 甲第1号証ないし甲第11号証 (1)甲第1号証 甲第1号証には、「フィンチューブ型熱交換器」に関し、次の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は、当審で付与した。以下同様。)。 ア 「[0001] 本発明は、CO2冷媒を用いた空調機、冷凍機、ヒートポンプ、給湯機等の空気熱交換器に適用して好適なフィンチューブ型熱交換器に関する。」 イ 「[0019] 以下に、本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。 図1には、本発明の一実施形態に係るフィンチューブ型熱交換器の斜視図が示され、図2には、そのヘッダ側枝管接続部分の拡大断面図が示されている。 フィンチューブ型熱交換器1は、U字状に曲げ加工された所定長さのヘアピンチューブからなる多数の伝熱管2と、伝熱管2が挿通される薄板を短冊状に打抜き成形した多数のプレートフィン(フィン)3と、プレートフィン3の両側部に配設される側板4と、伝熱管2の端部同士を互いに接続するU字状のベント管5と、伝熱管2からの冷媒を合流させるヘッダ6と、ヘッダ6と所定の伝熱管2との間を接続するヘッダ側枝管(枝管)7と、伝熱管2に冷媒を分配するディストリビュータ8と、ディストリビュータ8と所定の伝熱管2との間を接続するディストリビュータ側枝管(枝管)9とから構成されている。 [0020] ヘアピンチューブとされた伝熱管2は、外径が8Φ、肉厚が0.45mm以下のJIS;H3300、合金番号C5110の伝熱チューブが使用されており、プレートフィン3および側板4が挿通された後、所定寸法だけ拡管され、伝熱管2とプレートフィン3および側板4とが密着されるようになっている。プレートフィン3は、アルミ合金製の薄板を短冊状に打抜き成形したもので、伝熱管2の本数に対応した数のバーリング付き挿通穴が穿設されており、伝熱管2の外周に所定ピッチで多数枚挿通され、伝熱管2の拡管により密着されるようなっている。 [0021] 側板4は、所定の強度を有する板厚の鉄板等により構成されるものであり、所定ピッチで多数枚配設されたプレートフィン3の両側部にそれぞれ配設され、熱交換器のコア部を形作るとともに、熱交換器を据え付け設置する際の設置機能を担うものである。この側板4は、プレートフィン3と同様の外形および伝熱管2の挿通穴4Aを有しており、各々の挿通穴4Aの周りには、外側に向って突出加工された所定高さのバーリング4Bが設けられた構成とされている。 [0022] ベント管5は、隣接する伝熱管2の端部同士を互いに接続し、複数本のヘアピンチューブ同士を蛇行状に繋ぐことにより、熱交換器のコア部において所定長さの冷媒流路を形成するものである。ベント管5は、伝熱管2よりも肉厚の管で構成されており、伝熱管2の端部に設けられている拡管部2Aに対して内挿され、冷媒漏れが発生しないように全周ろう付けにより接続されるようになっている。」 ウ 「[0023] さらに、本実施形態においては、外周部に抑えがなく、しかも肉厚が薄く、かつろう材が廻り難いことにより、強度が弱くなる伝熱管2とベンド管5および/または枝管7,9との接続部分における強度を確保するために、伝熱管2とベンド管5および/または枝管7,9との接続部分の管軸方向長さ、すなわち側板4のバーリング4Bの端部と、ベンド管5および/または枝管7,9の端部(ろう付け部7Aおよびその相当部分の端部)との間の寸法Lを、最小寸法の0~5mmの範囲に設定することによって、当該接続部分の受圧面積を小さくし、強度を確保する構成としている。」 エ 「[図2] [図:0001426848000001.jpg] 」 オ イの記載事項及びエの図示事項から、プレートフィン3は、伝熱管2の軸方向に延びる部分の外周に、所定ピッチで多数枚挿通されているといえる。 カ イの記載事項及びエの図示事項から、プレートフィン3に穿設されるバーリング付き挿通穴のバーリングは、プレートフィンのピッチを規定するものといえる。 上記記載事項、図示事項及び認定事項を総合し、整理すると、甲第1号証には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 「 多数の伝熱管2と、 バーリング付き挿通穴が穿設され、伝熱管2の軸方向に延びる部分の外周に所定ピッチで多数枚挿通されるプレートフィン3と、 前記伝熱管2の挿通穴4Aを有し、各々の挿通穴4Aの周りには、外側に向って突出加工された所定高さのバーリング4Bが設けられた側板4と、を備えた、フィンチューブ型熱交換器1。」 (2)甲第2号証 甲第2号証には、「熱交換器」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「【0009】 実施の形態1. 図1は本発明の実施の形態1による熱交換器を説明するための組立過程における伝熱管と接続配管との接続部を模式的に示す要部断面図である。図において、熱交換器は、所定間隔で積層された薄板状の複数のフィン1と、複数のフィン1を積層方向に貫通して、図における上端部がフィン1の積層体10の上端部10aから突出された突出部21を有する伝熱管2と、積層体10の上端部10aに配設され、伝熱管2の挿通位置に対応するようにバーリング加工によって突出形成された円筒状の挿通孔3aを形成している挿通孔形成部からなる拡管部保護部材5を有するサイドプレート3と、伝熱管2の突出部21に矢印A方向へ挿入して接続される接続配管4を備えている。」 イ 「【0012】 伝熱管2の材料としては、断面円形状の例えば銅管やアルミ管などが好適に用いられるが、材質や内周面の形状等は特に限定されるものではない。例えば、伝熱管2の内周面形状は平滑または微細な突起形状を持つものが用いられ、微細な突起形状を持つものは伝熱促進の働きを有する。また、帯板状に成形されたフィン1としては、主にアルミが用いられ、板厚は0.1~0.2mm程度が一般的である。積層される個々のフィン1には、伝熱管2が挿通される孔(図示省略)が所定間隔で1列または複数列予め開口されている。その孔は、伝熱管2の外径寸法に対して、例えば0.1~0.5mm程度大きい寸法である。また、その孔は拡管時の伝熱管2との接触面積を大きくするために孔の周縁部がバーリング加工によってスカート状に突出されたものなども用いられる。」 ウ 「【0014】 本発明の実施の形態1においては、サイドプレート3として、伝熱管2を挿通させる箇所に、バーリング加工によって突出形成した円筒状の挿通孔3aを形成している挿通孔形成部からなる拡管部保護部材5を有するものを用いたことを第1の特徴部分としている。また、前述の接続配管包囲部材6を、伝熱管2の突出部21によって構成すると共に、接続配管4の先端部を受入れてその外周囲を包囲する配管包囲部21aは、内径が伝熱管2のフィン1を貫通する部分の外径よりも大に拡管したことを第2の特徴部分としている。さらに、拡管部保護部材5によって、伝熱管2の突出部21を二次拡管して配管包囲部21aを成形するときの径方向への拡管寸法を規制したことを第3の特徴部分としている。」 エ 「【図1】 [図:0001426848000002.jpg] 」 上記記載事項及び図示事項を総合し、整理すると、甲第2号証には、以下の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 「 複数のフィン1を積層方向に貫通して、上端部がフィン1の積層体10の上端部10aから突出された突出部21を有する伝熱管2と、 伝熱管2が挿通される孔が所定間隔で1列または複数列予め開口され、孔の周縁部がバーリング加工によってスカート状に突出されたものなども用いられる複数のフィン1と、 伝熱管2を挿通させる箇所に、バーリング加工によって突出形成した円筒状の挿通孔3aを形成している挿通孔形成部からなる拡管部保護部材5を有するサイドプレート3を用いた、熱交換器。」 (3)甲第3号証 甲第3号証には、「空気調和機の熱交換器用脇板」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「【0001】 本発明は空気調和機等に使用され、熱交換器用脇板の伝熱管貫通部の構造に係わり、これを備えた伝熱フィンの段方向の長さが大きく伝熱管の段数の多い多通路クロスフィンチュ-ブ式熱交換器に関する。」 イ 「【0010】 伝熱管2の熱交換器用脇板3貫通部はバ-リング穴もしくは心円穴となっており、伝熱管2を伝熱フィン1側から熱交換器用脇板3を貫通するまで内径拡管し、伝熱フィン1と熱交換器用脇板3の各々に密着させている。」 ウ 「【図2】 [図:0001426848000003.jpg] 」 (4)甲第4号証 甲第4号証には、「熱交換器」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「[産業上の利用分野] 本発明は、胴部内を流れる流体と、貫通パイプ内を流れる流体とを熱交換させる熱交換器に関し、例えば給湯器や、空気調和装置の熱交換器に用いて好適なものである。 [従来の技術] 従来技術として、実開昭57-145183号公報に開示された技術が知られている。 この技術を、第4図を用いて、簡単に説明する。 まず、多数枚のフィン101および胴部102を、U字型パイプ103(貫通パイプ)で貫通する。次いで、貫通パイプ103の端部を胴部102の外部において拡大する。続いて、拡大部104の内部にベントパイプ105(接続パイプ)を挿入し、ろう付等の接合技術によって、貫通パイプ103と接続パイプ105とを接続したものである。 [発明が解決しようとする課題] 従来の熱交換器は、貫通パイプ103の端部に形成される拡大部104が、胴部102の外で設けられていた。 このため、接続パイプ105との接続部が、胴部102の外方に設けられることになり、結果として、熱交換器の外形寸法が大きくなってしまう。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、外形寸法の小さな熱交換器の提供にある。」(1ページ左欄19行-2ページ左上欄5行) イ 「第4図 [図:0001426848000004.jpg] 」 (5)甲第5号証 甲第5号証には、「コイニングドローレスフインの製造方法」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「〔発明の利用分野〕 本発明は、空気調和機等に使用するクロスフィンチューブ式熱交換器のフィン製造方法に関し、特にフィンカラー部の減肉を防止して、好適なフィン形状としたフロスフィンチューブ式熱交換器製造方法に関するものである。 〔発明の背景〕 空気調和機用熱交換器の蒸発器および空冷疑縮器には、クロスフィンチューブ式熱交換器が広く使用されている。クロスフィンチューブ熱交換器は、一般にアルミ材等の薄板で適宜面積を有するプレートフィンをフィンピッチ数mmにして多数枚並設し、この並設フィンに鋼管等の複数の伝熱管を貫通し、貫通部を拡管等で密着して形成されている。更に、並設フィンを貫通した伝熱管の開口端部にはU字状のリターンパイプを持続して熱交換器内伝熱管路を蛇行状に構成している。上記伝熱管には冷水、温水あるいは冷媒等を流通させ、一方管外にはフィン間に空気等を強制流通させ、両流体を管壁およびフィンを介して互いに熱交換させる。 而して、この種の熱交換器に要望されることは、伝熱性能の向上と、原価低減のための薄肉化である。また、加工工程を増加させず、金型コストも安くする。関連するものに特開昭56-12994号公報等があるが、これらにはフィンカラー側壁部全体の肉厚確保という点については配慮されていない。従来、最も一般的に用いられているカラ一部の成形工程は、第5図、第6図に示すように、素材1に下穴2をあけ、バーリングと同時にカラ一部の側壁3をシゴキ加工により素材1の板厚より薄くシゴキ、所定の立上り寸法Hを得るための必要バーリング高さH1とし、カーリング4により所定の立上り寸法Hとする方法があるが、カラ一部先端5及び側壁3が極めて薄くなるため、カラ一部の強度が弱く、第2図組立状態にてカラ一部6を多数保有するフィン7にパイプ8を挿通した後、パイプ8を拡管してカラ一部6とパイプ8とを機械的に密着させて熱交換器としているが、カラ一部6が薄いため密着圧力が低下し、伝熱性能に悪影響を与えることと、薄肉化されたカラ一部先端5の耐食性に大きな問題がある。」(1ページ左欄16行-2ページ左上欄17行) イ 「第5図 [図:0001426848000005.jpg] 」 ウ 「第6図 [図:0001426848000006.jpg] 」 (6)甲第6号証 甲第6号証には、「熱交換器およびこれを備えた温水装置」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「【0027】 図4に示すように、第1の熱交換部A1の伝熱管11aは、フィン2Aに貫通する直状管であり、各伝熱管11aの両端は缶体6の側壁部60a,60bを貫通し、かつ略U字状の連結用管体12aを介して一連に繋がっている。複数の伝熱管11aは、水平な姿勢とされ、かつ略平行に並んで缶体6の幅方向(同図の左右方向)に列をなしている。複数の伝熱管11aは、図1などに示されているように、上下単段(1段)の配列である。缶体6の側壁部60c寄りの伝熱管11aに接続された連結用管体12a'の一端は、入水口15aとされており、この入水口15aに供給された湯水は、複数の伝熱管11aおよび連結用管体12aを順次通過し、缶体6の中央寄りに位置する伝熱管11aを通過した後に、出湯口16aから流出する。このような流通過程において、前記湯水は加熱される。」 イ 「【図4】 [図:0001426848000007.jpg] 」 (7)甲第7号証 甲第7号証には、「空気調和機用熱交換器」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、空気調和機用熱交換器に関する。」 イ 「【0016】これにより、冷房運転モード時には、矢印で示す如く、圧縮機1から吐出された冷媒は、四方弁9を介して室外熱交換器3→絞り装置5→室内熱交換器7を通り、再び圧縮機1に戻る冷凍サイクルを構成する。」 ウ 「【0023】伝熱管13を一列に配列する形状は、必ずしも、中心線上に臨む配列でなくてもよい。例えば、図4に示す如く、一部分の伝熱管13aが中心線に対して若干左右に偏位した配列としたり、あるいは、図6に示す如く、最上位の伝熱管13が右側にずれた配列としたり、あるいは、図7に示す如く、全体又は、図示していない一部分が湾曲している配列であってもよい。」 エ 「【図3】 [図:0001426848000008.jpg] 」 (8)甲第8号証 甲第8号証には、「フィンチューブ型エアコン熱交換器用押出チューブ及び熱交換サイクル用冷媒配管」に関し、次の記載事項がある。 ア 「【0001】 本発明は、熱交換器に組み込まれる伝熱管に関し、特にエアコン用の熱交換サイクルに組み込まれるのが好適な、強度及び耐食性に優れるアルミニウム合金製のフィンチューブ型エアコン熱交換器用押出チューブ及び熱交換サイクル用冷媒配管に関する。」 イ 「【0016】 したがって、本発明は、Fe:0.01~1.2質量%、Mn:0.01~1.5質量%、Cr:0.01~0.3質量%、Si:0.2質量%以下、残部がAlおよび不可避不純物からなる組成を有するアルミニウム合金から構成されるフィンチューブ型エアコン熱交換器用押出チューブである。 本発明フィンチューブ型エアコン熱交換器用押出チューブでは、アルミニウム合金におけるCuの含有量が0.05質量%以下であること、さらにはNaの含有量が10質量ppm以下であることが好ましい。また本発明フィンチューブ型エアコン熱交換器用押出チューブでは、Zn:0.1~1.0質量%を含有することが好ましい。Znの含有は耐食性の向上に効果がある。」 ウ 「【0029】 なお、本発明のチューブおよび配管は、以上の元素の他に強度や成形性、耐食性の向上のために微量添加元素としてそれぞれ0.3質量%以下のZr、Ti、V、Sr、Biを添加することもできる。」 エ 「【0035】 図3は熱交換サイクルの構成を示す冷媒回路図である。図3に示す冷媒回路10において、圧縮器11で圧縮された冷媒は、気液混相の状態で冷媒配管12aに吐出され、冷媒配管12aを介して凝縮器13に流入する。凝縮器13のチューブ(図示せず)内を放熱しながら通過し液化の進んだ冷媒は、冷媒配管12bを介して膨張弁14に流入する。膨張弁14に流入した冷媒は、膨張弁14の微小なノズル穴から噴射され冷媒配管12cを介して蒸発器15のチューブ(図示せず)に流入し、室内空気から吸熱して蒸発(気化)する。その結果、室内空気は冷却される。蒸発器15で蒸発した冷媒は、冷媒配管12dを介して圧縮器11に流入し、圧縮器11において圧縮され、再び気液混相の状態となる。なお、暖房の場合には、冷媒が以上と逆に流れる。 【0036】 以上説明のとおり、熱交換サイクルは、凝縮器、蒸発器などの熱交換器や圧縮器、膨張弁などの機器を、冷媒が冷媒配管を介して循環することによって成り立っている。本発明のチューブは、強度や耐食性に優れ、ろう付け性にも優れるので、凝縮器、蒸発器などの熱交換器に好適である。また熱交換器用のチューブとして好適な性能を有する本発明の組成範囲を有するアルミニウム合金は、チューブと同様の環境下で使用される冷媒配管にも好適である。 【0037】 熱交換サイクルにおいて、凝縮器、蒸発器などの熱交換器として本発明のチューブを備える熱交換器と、本発明の配管とを組み合わせることが好ましいが、本発明のチューブ以外を用いた熱交換器と本発明の配管とを組み合わせてもよいし、本発明のチューブを備える熱交換器と本発明以外の配管とを組み合わせてもよい。」 (9)甲第9号証 甲第9号証には、「伝熱管、熱交換器および伝熱管の製造方法」に関し、次の記載事項がある。 ア 「[0001] 本発明は、エアコン用の熱交換器に組み込まれる表層部にZnの犠牲陽極層を有する伝熱管と、熱交換器および伝熱管の製造方法に関する。 本願は、2016年11月30日に、日本に出願された特願2016-233686号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。」 イ 「[0035] 伝熱管10は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるものを用いることができる。伝熱管10にアルミニウム合金を用いる場合は、そのアルミニウム合金に特に制限はなく、JISで規定される1050、1100、1200等の純アルミニウム系、あるいは、これらにMnを添加した3003に代表される3000系のアルミニウム合金等を適用できる。また、これら以外にJISに規定されている5000系~7000系のアルミニウム合金のいずれかを用いて伝熱管10を構成しても良い。なお、本明細書において「アルミニウム」とは、アルミニウム合金および純アルミニウムからなるものを包含する概念とする。」 (10)甲第10号証 甲第10号証には、「空気調和機」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「[0015] 図1に、本発明に係る実施形態の空気調和機Cの室内機Ciと室外機Coを示す。 実施形態の空気調和機Cは、室内機Ciと室外機Coとを具備している。」 イ 「[0018] 図2に、室外機Coの外郭キャビネット1の前板1mと上板1uを外した状態を示す。図3に、室外機Coの外郭キャビネット1を外し、送風室11と機械室12の内部の機器を取り外した状態を示す。図4Aに、図3のI方向から見た図を示す。図4Bに、図3のII部の拡大斜視図を示す。 室外機Co(図2参照)と室内機Ci(図1参照)の内部には、冷媒が流れる配管2で接続される冷凍サイクルが構成されている。」 ウ 「[0032] 熱交換器側面板13は、熱交取付板13aと、熱交取付板13aに連続して曲って形成されるキャビネット取付板13bとを有している。」 エ 「[0035] また、熱交取付板13aには、複数の熱交換器パイプ2pが挿通されるパイプ取付穴13a2が形成されている。また、熱交取付板13aには、熱交換器パイプ2pが固定される凸形の固定用孔13a3が形成されている。凸形の固定用孔13a3は、熱交換器パイプ2pが挿通して拡径されて固定されるように、熱交換器パイプ2pより若干小さい径をもってバーリング加工で形成されている。」 オ 「[図1] [図:0001426848000009.jpg] 」 カ 「[図6] [図:0001426848000010.jpg] 」 (11)甲第11号証 甲第11号証には、「クロスフィンチューブ型熱交換器」に関し、次の記載事項及び図示事項がある。 ア 「【0001】 本発明は、家庭用エアコンや自動車用エアコン、パッケージエアコン等の空調用機器や冷蔵庫、ヒートポンプ式給湯機等に好適に用いられるクロスフィンチューブ型熱交換器に関するものである。」 イ 「【0019】 先ず、図1には、本発明の適用される一般的なクロスフィンチューブ式熱交換器の外観の一例が、その断面図の形態において概略的に示されている。即ち、かかる図1において、伝熱管12は、要求される伝熱性能等に応じて、銅や銅合金等の中から適宜に選択された、所定の金属材質にて構成される内面溝付伝熱管であって、ここでは、そのような伝熱管12は、U字形状において用いられている。一方、板状の放熱フィンであるプレートフィン14は、従来と同様に、アルミニウム若しくはその合金等の所定の金属材料にて形成されていると共に、その平坦なフィン本体部16に対して、図1に示されているように、複数の組付孔18が所定間隔を隔てて設けられ、更に、それら複数の組付孔18の周りには、図2に示されている如く、フィンカラー20がそれぞれ一体的に立設せしめられてなる構造において、形成されている。」 ウ 「【0023】 また、プレートフィン14と伝熱管12とが接触するフィンカラー20部分は、図2や図3の拡大された断面図に示される如く、実際に伝熱管に接触している所定高さの円筒形状とされたカラー本体部24と、隣接するプレートフィン14に当接してフィンピッチ(p)を安定して保つ効果を発揮する、カラー本体部24の先端に形成されたフレアー部26と、カラー本体部24をプレートフィン14のフィン本体部16に所定の曲率半径:R(ここでは、およそ0.25mm)をもって滑らかに接続しているカラー接続部28とから、構成されている。」 エ 「【0034】 先ず、数値流体シミュレーションを実行するために、図1に示されるようなクロスフィンチューブ型熱交換器をモデル化したものを作製することとした。ここで、熱交換器を構成する伝熱管の材質には純銅を、プレートフィンの材質には純アルミニウムを用いることとし、更にフィンや伝熱管の大きさや間隔は、図7に示されるように、プレートフィンの厚さ(t):0.1mm、プレートフィンの間隔(フィンピッチ:p):1.4mm、伝熱管ピッチ(p2 ):25mm、伝熱管の外径(D):8.45mmとした。」 オ 「【図2】 [図:0001426848000011.jpg] 」 カ 「【図3】 [図:0001426848000012.jpg] 」 2 対比及び判断 (1)異議理由1 ア 本件発明1について 本件発明1と甲1発明とを対比する。 後者の「多数の伝熱管2」は、プレートフィン3が挿通される軸方向に延びる部分の外周を備えた多数の伝熱管2であるから、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「軸方向に延びる複数の伝熱管」に相当する。 後者の「バーリング」は、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「第1バーリング部」に相当する。そうすると、後者の「バーリング付き挿通穴が穿設され」ることは、前者の「第1バーリング部を有」することに相当する。また、後者の「プレートフィン3」は、前者の「フィン」に相当する。 そうすると、後者の「バーリング付き挿通穴が穿設され、伝熱管2の軸方向に延びる部分の外周に所定ピッチで多数枚挿通されるプレートフィン3」は、プレートフィン3に穿設されたパーリング付き挿通穴でピッチを規定されたプレートフィン3が多数枚伝熱管2の軸方向に延びる部分の外周に挿通されることであるから、前者の「前記軸方向におけるピッチを規定する第1バーリング部を有し、前記伝熱管に接続される複数のフィン」に相当する。 後者の「バーリング4B」は、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「第2バーリング部」に相当する。同様に、後者の「側板4」は前者の「板材」に相当する。 そうすると、後者の「伝熱管2の挿通穴4Aを有し、各々の挿通穴4Aの周りには、外側に向って突出加工された所定高さのバーリング4Bが設けられた側板4」は、側板4が有するバーリング4Bが設けられた挿通穴4Aにプレートフィン3が多数枚挿通された伝熱管2の軸方向に延びる部分を挿通して支持する側板4であり、伝熱管2を挿通穴4Aに挿通することで、バーリング4Bは伝熱管2の一端側に延びることになるから、前者の「前記軸方向において前記フィンの一端側に配置されて前記伝熱管の直管部を支持し、前記一端側に延びる前記伝熱管の外周面に沿って前記一端側に延びる第2バーリング部を有する板材」に相当する。 後者の「フィンチューブ型熱交換器1」は、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「熱交換器」に相当する。 そうすると、両者は 「 軸方向に延びる複数の伝熱管と、 前記軸方向におけるピッチを規定する第1バーリング部を有し、前記伝熱管に接続される複数のフィンと、 前記軸方向において前記フィンの一端側に配置されて前記伝熱管の直管部を支持し、前記一端側に延びる前記伝熱管の外周面に沿って前記一端側に延びる第2バーリング部を有する板材と、を備える、熱交換器。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 前者は、「前記第2バーリング部の立上げ量が、前記第1バーリング部の立上げ量の2倍以上である」のに対し、後者がかかる事項を備えるか不明な点。 したがって、本件発明1は甲1発明ではない。 イ 本件発明3 本件発明3は、本件発明1を請求項3に記載される発明特定事項により特定したものである。そうすると、本件発明3も、本件発明1の上記相違点1を有する。 したがって、本件発明3は甲1発明ではない。 (2)異議理由2 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲1発明を対比すると、両者は(1)アで述べたとおりの一致点及び相違点1を有する。 (イ)判断 相違点1について判断する。甲第1号証ないし甲第11号証には、「伝熱管を板材が備えるバーリング部の立上げ量を、伝熱管に接続されるフィンのバーリング部の立上げ量の2倍以上」とすることは、記載も示唆もない。 そうすると、甲1発明に基いて、或いは甲1発明及び甲第1号証ないし甲第11号証に記載された事項に基いて、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 そして、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項により、本件発明1は「伝熱管の出代部分の強度を向上させることができる」等の格別顕著な効果を奏する。 そうすると、本件発明1は、甲1発明から、或いは甲1発明及び甲第1号証ないし甲第11号証に記載される事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2ないし本件特許5について 本件発明2ないし本件発明5は、それぞれ、本件発明1を請求項2ないし請求項5に記載される発明特定事項により特定したものである。そうすると、本件発明2ないし本件発明5も、本件発明1の上記相違点1に係る発明特定事項を有する。 そして、上記相違点1は、ア(イ)で述べたとおり、甲1発明に基いて、或いは甲1発明及び甲第1号証ないし甲第11号証に記載された事項に基いて、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 そうすると、本件発明2ないし本件発明5は、甲1発明から、或いは甲1発明及び甲第1号証ないし甲第11号証に記載される事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)異議理由3 ア 本件発明1 (ア)対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 後者の「複数のフィン1を積層方向に貫通して、上端部がフィン1の積層体10の上端部10aから突出された突出部21を有する伝熱管2」は、複数のフィン1を積層方向に貫通する、すなわち軸方向に貫通する伝熱管2であるから、前者の「軸方向に延びる複数の伝熱管」とは、「軸方向に延びる伝熱管」という限りで一致する。 後者の「孔の周縁部がバーリング加工によってスカート状に突出されたもの」は、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「第1バーリング部」に相当する。そうすると、後者の「孔の周縁部がバーリング加工によってスカート状に突出されたものなども用いられ」ることは、前者の「第1バーリング部を有」することに相当する。また、後者の「フィン1」は、前者の「フィン」に相当する。 そうすると、後者の「伝熱管2が挿通される孔が所定間隔で1列または複数列予め開口され、孔の周縁部がバーリング加工によってスカート状に突出されたものなども用いられるフィン1」は、孔の周縁部がバーリング加工によってスカート状に突出されたものなども用いられるフィン1が伝熱管2に挿通されることであるから、前者の「前記軸方向におけるピッチを規定する第1バーリング部を有し、前記伝熱管に接続される複数のフィン」とは、「第1バーリング部を有し、前記伝熱管に接続される複数のフィン」という限りで一致する。 後者の「バーリング加工によって突出形成した円筒状の挿通孔3aを形成している挿通孔形成部からなる拡管部保護部材5」は、その機能、構成又は技術的意義からみて前者の「第2バーリング部」に相当する。同様に、後者の「サイドプレート3」は前者の「板材」に相当する。 そうすると、後者の「伝熱管2を挿通させる箇所に、バーリング加工によって突出形成した円筒状の挿通孔3aを形成している挿通孔形成部からなる拡管部保護部材5を有するサイドプレート3を用いた」ことは、サイドプレート3が有する各幹部保護部材5に多数挿通された、軸方向に延びる伝熱管2を挿通して支持することであるから、前者の「前記軸方向において前記フィンの一端側に配置されて前記伝熱管の直管部を支持し、前記一端側に延びる前記伝熱管の外周面に沿って前記一端側に延びる第2バーリング部を有する板材」に相当する。 そうすると、両者は 「 軸方向に延びる伝熱管と、 第1バーリング部を有し、前記伝熱管に接続される複数のフィンと、 前記軸方向において前記フィンの一端側に配置されて前記伝熱管の直管部を支持し、前記一端側に延びる前記伝熱管の外周面に沿って前記一端側に延びる第2バーリング部を有する板材と、を備える、熱交換器。」 である点で一致し、以下の3点で相違する。 [相違点2] 「伝熱管」に関し、前者は「複数の伝熱管」であるのに対し、後者は「伝熱管」である点。 [相違点3] 「第1バーリング部」に関し、前者は「前記軸方向におけるピッチを規定する」のに対し、後者はかかる事項を備えるか不明な点。 [相違点4] 前者は、「前記第2バーリング部の立上げ量が、前記第1バーリング部の立上げ量の2倍以上であ」るのに対し、後者がかかる事項を備えるか不明な点。 (イ)判断 事案に鑑み、上記相違点4について検討する。 甲第1号証ないし甲第11号証には、「伝熱管を板材が備えるバーリング部の立上げ量を、伝熱管に接続されるフィンのバーリング部の立上げ量の2倍以上」とすることは、記載も示唆もない。 そうすると、甲2発明に基いて、或いは甲2発明及び甲第1号証ないし甲第11号証に記載された事項に基いて、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 そして、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項により、本件発明1は「伝熱管の出代部分の強度を向上させることができる」等の格別顕著な効果を奏する。 そうすると、本件発明1は、甲2発明から、或いは甲1発明及び甲第1号証ないし甲第11号証に記載される事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2ないし本件特許5について 本件発明2ないし本件発明5は、それぞれ、本件発明1を請求項2ないし請求項5に記載される発明特定事項により特定したものである。そうすると、本件発明2ないし本件発明5も、本件発明1の上記相違点4に係る発明特定事項を有する。 そして、上記相違点4は、ア(イ)で述べたとおり、甲2発明に基いて、或いは甲2発明及び甲第1号証ないし甲第11号証に記載された事項に基いて、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を当業者が容易に想到し得たものとはいえない。 そうすると、本件発明2ないし本件発明5は、甲2発明から、或いは甲2発明及び甲第1号証ないし甲第11号証に記載される事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)特許異議申立人の主張について 特許異議申立人は、特許異議申立書において、概略次のとおり主張している。 ア 甲第1号証の[図2]から、バーリング4Bの立上げ量が、プレートフィン3のバーリングの立上げ量の2倍以上であることが認められる。(2(1)イ「甲第1号証に記載された発明の認定」) イ 甲第3号証の【図2】から、熱交換器用脇板3のバーリングの立上げ量が伝熱フィン1のバーリングの立上げ量の2倍以上であることが認められる。(2(3)イ「甲第3号証に記載された事項」) ウ 甲第2号証の【図1】を参照すると、拡管保護部材5の立上げ量がフィン1同士のピッチの2倍以上あることは明らかである。そのため、甲第2号証の【図1】におけるフィン1にバーリング加工された部分を設けて当該部分によってフィン1にピッチを規定した場合、拡管保護部材5の立上げ量が2倍以上となる蓋然性は極めて高い。(4(1)エ) そこで、これら主張について検討する。 はじめに、主張「ア」について、甲第1号証の[図2]から、バーリング4Bの立上げ量が、プレートフィン3のバーリングの立上げ量の2倍以上であることが認められるかを確認する。 甲第1号証の段落[0019]には、「本発明の一実施形態について、図1および図2を参照して説明する。」と記載されている。そして、甲第1号証における「本発明」は、その段落[0009]に記載されるとおりのものであるから、[図2]の図示事項から「バーリング4Bの立上げ量が、プレートフィン3のバーリングの立上げ量の2倍以上である」と直ちに解することはできない。そして、甲第1号証には、「バーリング4Bの立上げ量が、プレートフィン3のバーリングの立上げ量の2倍以上である」ことを直接又は間接的に示す記載はなく、[図2]は、バーリング4Bの立上げ量と解される部分の長さがプレートフィン3のバーリングの立上げ量と解される部分の長さの2倍以上であると信じるに足る精度を持って、バーリング4B及びプレートフィン3が図示されていると解すべき事情もない。そうすると、甲第1号証の[図2]の図示事項から、バーリング4Bの立上げ量が、プレートフィン3のバーリングの立上げ量の2倍以上であると認めることはできない。 次に、主張「イ」について、甲第3号証の【図2】から、熱交換器用脇板3のバーリングの立上げ量が伝熱フィン1のバーリングの立上げ量の2倍以上であることが認められるかを確認する。 甲第3号証の段落【0009】には、「従来技術の実施形態を図2に示す。」と記載されている。そして、段落【0010】に記載されるとおり、【図2】は、伝熱管2の熱交換器用脇板3貫通部の形状或いは構成に関するものである。そうすると、【図2】の図示事項から、「熱交換器用脇板3のバーリングの立上げ量が伝熱フィン1のバーリングの立上げ量の2倍以上である」と直ちに解することはできない。そして、甲第3号証には、「熱交換器用脇板3のバーリングの立上げ量が伝熱フィン1のバーリングの立上げ量の2倍以上である」ことを直接又は間接的に示す記載はなく、【図2】は、熱交換器用脇板3のバーリングの立上げ量と解される部分の長さが伝熱フィン1のバーリングの立上げ量と解される部分の長さの2倍以上であると信じるに足る精度を持って、熱交換器用脇板3及び伝熱フィン1が図示されていると解すべき事情もない。そうすると、甲第3号証の【図2】の図示事項から、熱交換器用脇板3のバーリングの立上げ量が伝熱フィン1のバーリングの立上げ量の2倍以上であると認めることはできない。 そして、主張「ウ」について、甲第2号証の【図1】から、拡管保護部材5の立上げ量がフィン1同士のピッチの2倍以上あることが明らかであり、そのため、甲第2号証の【図1】におけるフィン1にバーリング加工された部分を設けて当該部分によってフィン1にピッチを規定した場合、拡管保護部材5の立上げ量が2倍以上となる蓋然性は極めて高いと認められるかを確認する。 甲第2号証の段落【0009】には、【図1】は本発明の実施の形態1による熱交換器を説明するための組立過程における伝熱管と接続配管との接続部を模式的に示す要部断面図であることが記載されている。当該記載から、甲第2号証の【図1】は、拡管保護部材5とフィン1との間の位置、構造上の関係を具体的に示すものではないと理解できる。そして、甲2号証の段落【0012】の「積層される個々のフィン1には、伝熱管2が挿通される孔(図示省略)が所定間隔で1列または複数列予め開口されている。」、「また、その孔は拡管時の伝熱管2との接触面積を大きくするために孔の周縁部がバーリング加工によってスカート状に突出されたものなども用いられる。」との記載から【図1】に図示されるフィン1として、伝熱管2との接触面積を大きくするために孔の周縁部がバーリング加工によってスカート状に突出された部分を備えたフィン1を用いることができることは理解できるものの、当該「バーリング加工によってスカート状に突出された部分」は伝熱管2との接触面積を大きくするための部分であって、フィン1のピッチを規定するものといえるかは明らかでなく、さらに、【図1】に図示されるフィン1は、「バーリング加工によってスカート状に突出された部分」が具体的に図示されているともいえないことから、図示事項からフィン1のピッチを規定するものと解することもできない。そうすると、甲第2号証の【図1】におけるフィン1にバーリング加工された部分を設けて当該部分によってフィン1にピッチを規定した場合、拡管保護部材5の立上げ量が2倍以上となる蓋然性を見出すことがそもそもできない。 したがって、特許異議申立人のアないしウに係る主張は採用できない。 (5)まとめ 以上のとおり、本件発明1及び本件発明3は甲1発明でない。また、本件発明1ないし本件発明5は、甲1発明及び甲第1号証ないし甲第11号証の記載された事項、或いは甲2発明及び甲第1号証ないし甲第11号証の記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第4 むすび 以上のとおり、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によって、本件特許1ないし本件特許5を取り消すことはできない。 他に、本件特許1ないし本件特許5を取り消すべき理由は発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2025-700317

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決727件(ダイキン工業株式会社、小倉 良則)
  • 2023-700712異議申立 / 2024-09-02 / 訂正認容電装品および冷凍装置
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社、小倉 良則
  • 2025-700467異議申立 / 2026-06-09 / 訂正認容連動制御方法、プログラム、装置、およびシステム
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
  • 2025-700679異議申立 / 2026-05-28 / 訂正認容冷凍サイクル装置
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
  • 2025-700851異議申立 / 2026-05-27 / 訂正認容電力調整システム
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
  • 2025-700675異議申立 / 2026-05-27 / 訂正認容冷凍サイクル装置
    同じ当事者: ダイキン工業株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)115件(113・F28F、121・F28F)
  • 2021-700577異議申立 / 2022-06-10 / 請求成立(取消)熱交換器
    共通の審決分類: 113・F28F、121・F28F
  • 2024-015272拒絶査定不服審判 / 2026-05-07 / 請求不成立熱交換器
    共通の審決分類: 113・F28F、121・F28F
  • 2023-021402拒絶査定不服審判 / 2026-04-06 / 原査定取消(特許/登録すべき)熱交換器
    共通の審決分類: 113・F28F、121・F28F
  • 2023-005306拒絶査定不服審判 / 2024-07-04 / 原査定取消(特許/登録すべき)マイクロチャンネル扁平管及びマイクロチャンネル熱交換器
    共通の審決分類: 113・F28F、121・F28F
  • 2022-013913拒絶査定不服審判 / 2023-11-27 / 原査定取消(特許/登録すべき)熱交換器
    共通の審決分類: 113・F28F、121・F28F

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存