特許異議申立
2024-700073
シンチレータユニット、及び放射線検出器
- 審判番号
- 2024-700073
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-141821
- 登録番号
- 7321818
- 請求日
- 2024年01月30日
- 審決日
- 2025年02月28日
- 公報発行日
- 2025年08月29日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】キヤノン株式会社
- 【権利者代理人】阿部 琢磨
- 【権利者代理人】高橋 佳子
- 【権利者代理人】中辻 七朗
- 【権利者代理人】冨田 一史
- 【権利者代理人】大朋 靖尚
- 【権利者代理人】黒岩 創吾
- 【異議申立人】寺澤 佳奈美
- 審判長/審判官
- 審判長 波多江 進
- 審判官 山村 浩
- 審判官 松川 直樹
- 分類
- P1651.113-ZDA(G21K) / P1651.121-ZDA(G21K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第113条第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7321818号発明「シンチレータユニット、及び放射線検出器」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7321818号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3~49について訂正することを認める。
特許第7321818号の請求項1、2、10、11に係る特許を取り消す。
特許第7321818号の請求項3~9、12~49に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7321818号(以下「本件特許」という。)の請求項1~8に係る特許についての出願は、令和元年7月31日に出願され、令和5年7月28日にその特許権の設定登録がされ、令和5年8月7日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年 1月30日付け:特許異議申立人 寺澤 佳奈美(以下「申立人」という。)による特許異議の申立て
同年 4月12日付け:取消理由通知書(以下、この通知書に係る取
消理由を「第1次取消理由」という。)
同年 6月13日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出
同年 6月27日付け:手続補正指令書(方式)
同年 7月10日 :訂正請求書及び意見書についての手続補正書
(方式)の提出
同年 8月28日付け:申立人による意見書の提出
同年10月31日付け:取消理由通知書(決定の予告。以下、この通
知書に係る取消理由を「第2次取消理由」と
いう。)
なお、当審において、第2次取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容について
令和6年7月10日に提出された手続補正書(方式)により補正された令和6年6月13日付け訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の登録時の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~8(以下、それぞれ「訂正前請求項1」~「訂正前請求項8」という。)を、次のとおりの請求項1~49(以下、それぞれ「訂正後請求項1」~「訂正後請求項49」という。)に訂正するものである(下線は、訂正箇所を示すものとして当合議体が付した。)。
ここで、本件訂正は、訂正請求書の記載によれば、訂正の対象となる訂正前請求項1~8に係る訂正事項をそれぞれ訂正事項1~8としているが、本項においてはこれらの訂正事項を次のように整理し直して検討を行う。
訂正事項1:訂正前請求項2に係る訂正事項。
訂正事項2:「前記低屈折率層の膜厚が300nm以上5μm以下である」ことを発明特定事項として追加する訂正事項。
訂正事項3:「前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含」むことを発明特定事項として追加する訂正事項。
訂正事項4:訂正前請求項5~7を独立形式とする訂正事項。
なお、本件訂正は、一群の請求項である訂正後請求項1~7、9~49と、訂正後請求項8について請求されたものであるが、訂正後請求項3~7、9~49については別の訂正単位とする求めがなされている。
以下、本件特許の登録時の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「本件明細書等」といい、本件訂正後の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面を「本件訂正後明細書等」という。
(1) 訂正事項1(訂正前請求項2に係る訂正)
訂正前請求項2において、「前記柱状結晶の延伸方向の先端部と接着層との間に前記低屈折率層を有する請求項1に記載のシンチレータユニット」であった記載を、「前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有することを特徴とする請求項1に記載のシンチレータユニット」に訂正する。
(2) 訂正事項2
ア 訂正事項2-1(訂正前請求項1に係る訂正)
訂正前請求項1において、「を有することを特徴とする」であった記載を、「を有し、
前記低屈折率層の膜厚が300nm以上5μm以下であることを特徴とする」に訂正する。
訂正前請求項1の記載を直接的に引用する訂正前請求項2についても同様に訂正する。
イ 訂正事項2-2(訂正後請求項10及び11に係る訂正)
上記(1)及び上記アの訂正をした上で、訂正前請求項1の記載を引用する訂正前請求項4を独立形式として訂正後請求項10に訂正するとともに、訂正前請求項1及び2の記載を引用する訂正前請求項4を独立形式として訂正後請求項11に訂正する。
(3) 訂正事項3
ア 訂正事項3-1(訂正後請求項3及び9に係る訂正)
訂正前請求項3において、「前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含む請求項1又は2に記載のシンチレータユニット。」であった記載を、「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。」に訂正し、上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1の記載を引用する訂正前請求項3を独立形式として訂正後請求項3に訂正するとともに、訂正前請求項1及び2の記載を引用する訂正前請求項3を独立形式として訂正後請求項9に訂正する。
イ 訂正事項3-2(訂正後請求項4及び12に係る訂正)
訂正前請求項4において、「前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシンチレータユニット。」であった記載を、「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含み、前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。」に訂正し、上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1及び3の記載を引用する訂正前請求項4を独立形式として訂正後請求項4に訂正するとともに、訂正前請求項1、2及び3の記載を引用する訂正前請求項4を独立形式として訂正後請求項12に訂正する。
ウ 訂正事項3-3(訂正後請求項8に係る訂正)
訂正前請求項8において、「前記検出部が、前記シンチレータを介して前記低屈折率層と対向していることを特徴とする放射線検出器。」であった記載を、「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含み、前記検出部が、前記シンチレータを介して前記低屈折率層と対向していることを特徴とする放射線検出器。」に訂正する。
(4) 訂正事項4
ア 訂正事項4-1(訂正後請求項5~7に係る訂正)
訂正前請求項1の記載を直接的に引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項5に訂正し、訂正前請求項1の記載を直接的に引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項6に訂正し、訂正前請求項1の記載を直接的に引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項7に訂正する。
イ 訂正事項4-2(訂正後請求項14、16、18、21、23、25、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48に係る訂正後請求項13~49に係る訂正)及び訂正事項4-3(訂正後請求項13、15、17、19、20、22、24、26、27、29、31、33、35,37,39、41、43、45、47、49に係る訂正)
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1の記載を間接的に引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項13~19に訂正し、訂正前請求項1の記載を間接的に引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項20~26に訂正し、訂正前請求項1の記載を間接的に引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項27~49に訂正する。
詳細には、以下のような訂正を行うものである。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1及び2の記載を引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項13に訂正する。
訂正前請求項1及び3の記載を引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項14に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2及び3の記載を引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項15に訂正する。
訂正前請求項1及び4の記載を引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項16に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2及び4の記載を引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項17に訂正する。
訂正前請求項1、3及び4の記載を引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項18に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、3及び4の記載を引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項19に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1及び2の記載を引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項20に訂正する。
訂正前請求項1及び3の記載を引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項21に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2及び3の記載を引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項22に訂正する。
訂正前請求項1及び4の記載を引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項23に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2及び4の記載を引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項24に訂正する。
訂正前請求項1、3及び4の記載を引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項25に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、3及び4の記載を引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項26に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1及び2の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項27に訂正する。
訂正前請求項1及び3の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項28に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2及び3の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項29に訂正する。
訂正前請求項1及び4の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項30に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2及び4の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項31に訂正する。
訂正前請求項1、3及び4の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項32に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、3及び4の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項33に訂正する。
訂正前請求項1及び5の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項34に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2及び5の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項35に訂正する。
訂正前請求項1、3及び5の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項36に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、3及び5の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項37に訂正する。
訂正前請求項1、4及び5の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項38に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、4及び5の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項39に訂正する。
訂正前請求項1、3、4及び5の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項40に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、3、4及び5の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項41に訂正する。
訂正前請求項1及び6の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項42に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2及び6の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項43に訂正する。
訂正前請求項1、3及び6の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項44に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、3及び6の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項45に訂正する。
訂正前請求項1、4及び6の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項46に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、4及び6の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項47に訂正する。
訂正前請求項1、3、4及び6の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項48に訂正する。
上記(1)の訂正をした上で、訂正前請求項1、2、3、4及び6の記載を引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項49に訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1) 訂正事項1
ア 訂正の目的について
訂正前請求項2における「接着層」を「前記接着層」とする訂正は、訂正前請求項2がその記載を引用する訂正前請求項1に既出の「接着層」との関係が不明確であったところ、これを明確にするものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正前請求項2における「を有する請求項1に記載のシンチレータユニット。」を「を有することを特徴とする請求項1に記載のシンチレータユニット。」とする訂正は、訂正前請求項2がその記載を引用する訂正前請求項1における「ことを特徴とするシンチレータユニット。」と記載を整合させるものであって、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
上記アに照らせば、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないか否かについて
訂正事項1は、上記ア及びイに照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。
(2) 訂正事項2
ア 訂正事項2-1(訂正後請求項1に係る訂正)
(ア) 訂正の目的について
訂正前請求項1における訂正事項2-1は、「低屈折率層」に関して「膜厚が300nm以上5μm以下であ」るとの限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項2-1は、本件明細書等の段落【0036】の「[低屈折率層104]図1及び2に示す本発明の構成において、低屈折率層104の厚さT1は、300nm以上5μm以下であることが好ましい。」との記載に照らして、本件明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないか否かについて
訂正事項2-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。
イ 訂正事項2-2(訂正後請求項10及び11に係る訂正)
訂正事項2-2のうち、上記アの訂正をする訂正事項を訂正事項2-2Aといい、上記(1)の訂正をする訂正事項を訂正事項2-2Bといい、訂正前請求項1の記載を引用する訂正前請求項4を独立形式として訂正後請求項10に訂正するとともに、訂正前請求項1、2の記載を引用する訂正前請求項4を独立形式として訂正後請求項11に訂正する訂正事項を訂正事項2-2Cという。
(ア) 訂正の目的について
訂正事項2-2Aは、上記ア(ア)で検討したとおり特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項2-2Bは、上記(1)アで検討したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正事項2-2Cは、引用形式であった請求項を独立形式の請求項にするための訂正であるから、請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項2-2A、Bは、上記ア(イ)及び上記(1)イで検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。また、訂正事項2-2Cは、上記(ア)で述べたとおり、引用形式で記載されていた請求項を独立形式で記載した請求項に変更するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないか否かについて
訂正事項2-2は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。
(3) 訂正事項3
ア 訂正事項3-1(訂正後請求項3及び9に係る訂正)
訂正事項3-1のうち、訂正前請求項3において、「前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含む請求項1又は2に記載のシンチレータユニット。」であった記載を、「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。」に訂正する訂正事項を訂正事項3-1Aといい、上記(1)の訂正をする訂正事項を訂正事項3-1Bといい、訂正前請求項1の記載を引用する訂正前請求項3を独立形式として訂正後請求項3に訂正するとともに、訂正前請求項1及び2の記載を引用する訂正前請求項3を独立形式として訂正後請求項9に訂正する訂正事項を訂正事項3-1Cという。
(ア) 訂正の目的について
訂正事項3-1Aは、訂正前の「反射層、又は光吸収層」を「前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項3-1Bは、上記(1)アで検討したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正事項3-1Cは、引用形式であった請求項を独立形式の請求項にするための訂正であるから、請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項3-1Aは、本件明細書等の段落【0027】の「支持体101の少なくとも一部は、反射層、又は光吸収層を含むことが好ましい。支持体101が光を反射する反射層を含むと、接着層にまで漏れ出た光が反射して再びシンチレータ内にもどって光取り出し面へ進行するため、検出される光が増え、放射線に対する感度を高めることができる。」との記載に照らして、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。
訂正事項3-1Bは、上記(1)イで検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。また、訂正事項3-1Cは、引用形式で記載されていた請求項を独立形式で記載した請求項に変更するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないか否かについて
訂正事項3-1は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。
イ 訂正事項3-2(訂正後請求項4及び12に係る訂正)
訂正事項3-2のうち、訂正前請求項4において、「前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシンチレータユニット。」であった記載を、「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含み、前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。」に訂正する訂正事項を訂正事項3-2Aといい、上記(1)の訂正をする訂正事項を訂正事項3-2Bといい、訂正前請求項1及び3の記載を引用する訂正前請求項4を独立形式として訂正後請求項4に訂正するとともに、訂正前請求項1、2及び3の記載を引用する訂正前請求項4を独立形式として訂正後請求項12に訂正する訂正事項を訂正事項3-2Cという。
(ア) 訂正の目的について
訂正事項3-2Aは、訂正前の「支持体」を「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含[む]」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、訂正事項3-2Bは、上記(1)アで検討したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正事項3-2Cは、引用形式であった請求項を独立形式の請求項にするための訂正であるから、請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項3-2Aは、上記アで検討した訂正事項3-1Aと同じ訂正であるから、上記ア(イ)で検討したのと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。
訂正事項3-2Bは、上記(1)イで検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。また、訂正事項3-2Cは、引用形式で記載されていた請求項を独立形式で記載した請求項に変更するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないか否かについて
訂正事項3-2は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。
ウ 訂正事項3-3(訂正後請求項8に係る訂正)
訂正事項3-3は、上記アで検討した訂正事項3-1Aと同じ訂正であるから、上記アで検討したのと同様の理由により、訂正要件を満たすものである。
(4) 訂正事項4
ア 訂正事項4-1及び4-2(訂正後請求項5~7、14、16、18、21、23、25、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48に係る訂正)
(ア) 訂正の目的について
訂正事項4-1及び4-2は、いずれも、引用形式であった請求項を独立形式の請求項にするための訂正であるから、請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項4-1及び4-2は、上記(ア)で述べたとおり、引用形式で記載されていた請求項を独立形式で記載した請求項に変更するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないか否かについて
訂正事項4-1及び4-2は、上記ア及びイにも照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。
イ 訂正事項4-3(訂正後請求項13、15、17、19、20、22、24、26、27、29、31、33、35,37,39、41、43、45、47、49に係る訂正)
訂正事項4-3のうち、その記載を引用する訂正前請求項2に関する訂正事項1の訂正を訂正事項4-3Aといい、訂正前請求項1、2の記載を直接的又は間接的に引用する訂正前請求項5を独立形式として訂正後請求項13、15、17、19に訂正し、訂正前請求項1、2の記載を直接的又は間接的に引用する訂正前請求項6を独立形式として訂正後請求項20、22、24、26に訂正し、訂正前請求項1、2の記載を直接的又は間接的に引用する訂正前請求項7を独立形式として訂正後請求項27、29、31、33、35,37,39、41、43、45、47、49に訂正する訂正事項を訂正事項4-3Bという。
(ア) 訂正の目的について
訂正事項4-3Aは、上記(1)アで検討したとおり明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、訂正事項4-3Bは、引用形式であった請求項を独立形式の請求項にするための訂正であるから、 請求項間の引用関係の解消を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるか否かについて
訂正事項4-3Aは、上記(1)イで検討したとおり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。また、訂正事項4-3Bは、上記(ア)で述べたとおり、引用形式で記載されていた請求項を独立形式で記載した請求項に変更するものであり、本件明細書等に記載した事項の範囲内で訂正を行うものである。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更する訂正ではないか否かについて
訂正事項4-3は、上記(ア)及び(イ)に照らせば、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものには該当しない。
3 訂正の適否についての判断の小括
以上のとおり、本件訂正は、訂正要件を満たすものである。そして、前記1のとおり、特許権者は、訂正後請求項3~7、9~49については別の訂正単位として扱われることを求めている。
よって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2〕、3~49について訂正することを認める。
第3 本件発明
本件訂正後の請求項1~49に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」~「本件発明49」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、次のとおりのものである
【請求項1】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層の膜厚が300nm以上5μm以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項2】
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有することを特徴とする請求項1に記載のシンチレータユニット。
【請求項3】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項4】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項5】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項6】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層が、中空粒子を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項7】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項8】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットと、前記シンチレータから発生した光を検出する検出部とを備える放射線検出器であって、
前記シンチレータユニットが、前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含み、
前記検出部が、前記シンチレータを介して前記低屈折率層と対向していることを特徴とする放射線検出器。
【請求項9】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項10】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層の膜厚が300nm以上5μm以下であり、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項11】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層の膜厚が300nm以上5μm以下であり、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項12】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項13】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項14】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項15】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項16】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項17】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項18】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項19】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項20】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記低屈折率層が、中空粒子を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項21】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項22】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項23】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項24】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項25】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項26】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含むことを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項27】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項28】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項29】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項30】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項31】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項32】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項33】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項34】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項35】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項36】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項37】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項38】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項39】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項40】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項41】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項42】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記低屈折率層が、中空粒子を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項43】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記低屈折率層が、中空粒子を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項44】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項45】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項46】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項47】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項48】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
【請求項49】
シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有し、
前記支持体の少なくとも一部が、反射層、又は光吸収層を含み、
前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含み、
前記低屈折率層が、中空粒子を含み、
前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下であることを特徴とするシンチレータユニット。
第4 第2次取消理由及び第1次取消理由の要旨並びに申立人が提出した証拠について
1 本件訂正後の請求項1、2、10、11に係る特許に対して、当審において特許権者に通知した第2次取消理由の要旨は、次のとおりである(なお、その余の請求項に係る特許に対しては、第2次取消理由は通知されていない。)。以下、証拠番号の「第」及び「号証」は略して表記する。また、以下に掲げる証拠及び参考文献は、いずれも、本願の出願前に日本国内若しくは外国において発行されたものである。
(進歩性)
本件訂正後の請求項1、2、10、11に係る発明は、甲1又は甲10に記載された発明及び周知技術並びに必要に応じて甲4に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該各請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 本件特許の登録時の請求項1~4、8に係る特許に対して、当審において特許権者に通知した第1次取消理由の要旨は、次のとおりである。
(1)理由1(新規性)
本件特許の登録時の請求項1、2、3及び8に係る発明は、甲1又は甲10に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、当該各請求項に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)理由2(進歩性)
本件特許の登録時の請求項1、2、3、4及び8に係る発明は、甲1又は甲10に記載された発明及び必要に応じて甲4に記載された技術的事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、当該各請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 申立人が提出した証拠
申立人が提出した証拠は、次のとおりである。なお、特許権者は証拠を提出していない。
甲1:特許第2680228公報
甲2:キヤノンオプトロン株式会社のウェブサイト中の「事業内容」の下の「蒸着材料」の下の「製品一覧」のウェブページ
URL:https://optron.canon/ja/evaporation/productlist.html
甲3:ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー(DOW)社のウェブサイト中の「各種サポート」の下の「テクニカルデータシート」のウェブページ中の「各種サポート」の下の「テクニカルデータシート」ウェブページ中の「SYLGARDTM 184Silicone Elastomerテクニカルデータシート」
URL:https://www.dow.com/ja-jp/document-viewer.html?docPath=/content/dam/dcc/documents/11/11-3184-42-sylgard-184-elastomer.pdf
甲4:特開2009-25258号公報
甲5:特開2000-180555号公報
甲6:再公表特許第2013/080565号
甲7:特開2017-161407号公報
甲8:Filmetrics社のウェブサイト中の「製品技術」の下の「屈折率一覧表」のうち「アルミニウム屈折率」のウェブページ
URL:http://www.filmetricsinc.jp/refractive-index-database/Al/Aluminium-%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%82%A6%E3%83%A0
甲9:特開2018-36198号公報
甲10:特開2012-127698号公報
甲11:華陽物産株式会社のウェブサイト中の「技術情報」内の「プラスチック物性一覧表(熱可塑性)」のウェブページ中の「PDFカタログ:プラスチック物性一覧表(熱可塑性)」
URL:https://www.kayo-corp.co.jp/common/pdf/pla_propertylist01.pdf
参考文献1:特開2006-258618号公報
参考文献2:特開2017-122733号公報
参考文献3:特開2003-75592号公報
参考文献4:特開2016-172928号公報
第5 第2次取消理由に対する当審の判断
当審において、第2次取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかった。
そして、第2次取消理由は妥当なものと認められるので、本件発明1、2、10、11に係る特許は、以下に示すとおり、第2次取消理由によって取り消すべきものである。
1 甲号証に記載された事項及び甲号証に記載された発明等
(1) 甲1の記載内容及び甲1発明の認定
ア 甲1の記載内容
甲1には次の記載がある(下線は当合議体が付した。以下同じ。)。
「【0002】
【産業上の利用分野】この発明は、放射線作像(イメージング)システムに関し、特にこのようなシステムに用いる光検出器と結合したシンチレータに関する。」
「【0011】
【具体的な構成】図面はこの発明の放射線イメージング装置の断面図である。この放射線イメージング装置10は、基板15の上に配置された光検出器配列20と、光検出器配列の上に配置されたシンチレータ30と、シンチレータの上に配置された光反射層52および水分シール層54を有する防湿バリヤ50とを備える。光検出器配列20は処理回路80に接続され、処理回路80は電気信号をディスプレーおよび分析装置90に適切な形態に処理する。」
「【0013】シンチレータ30は、光検出器配列20に隣接して配置され、かつそれに光学的に結合されている。ここで、「光検出器配列20に光学的に結合されている」とは、これら2つの配列を、シンチレータからの光学的光子がすぐに光検出器に入るように配設することを、意味する。光結合は、シンチレータから光検出器への光子の効率よい移送を助ける材料の別の層(図示せず)を含んでもよい。シンチレータ30は、図示のように、複数の個別のシンチレータ素子32に分割するのが有利であるが、あるいは、シンチレータ材料の単一の実質的に均質なブロック(図示せず)としてもよい。シンチレータ素子32は、シンチレータ材料の大きなブロックからダイシングまたは切断しても、蒸着またはスパッタリングなどの既知の方法により個別に柱状構造に成長または堆積してもよい。堆積工程後のシンチレータの表面はでこぼこである、すなわち突起をもっていてもよい。シンチレータ30は、光検出器配列20の上に直接成長または堆積しても、あるいは個別に形成した後、光検出器配列20と位置合わせし接合してもよい。シンチレータ素子32を、光検出器配列20の配置に実質的に一致する配列に配設する。シンチレータは、第1端または表面34と、それとは反対側の第2端または表面36とを有し、第1表面34を通ってX線またはγ線の入射放射線70が入り、第2表面36を通って光子が隣接する光検出器配列20に通過する。シンチレータ30を形成するのに用いる材料はヨウ化セシウムが代表的であるが、他の既知のシンチレータ材料から構成してもよい。
【0014】この発明によれば、防湿バリヤ50が少なくともシンチレータ配列30の頂部に配置され、シンチレータ30の第1表面34に延在して、シンチレータをイメージング装置10の周囲の雰囲気中に存在する水分からシールする。特に、シンチレータ素子32を柱状構造に堆積した場合のように、シンチレータの第1表面34が粗い、すなわちでこぼこな形状を持つ場合には、シンチレータの第1表面34上に薄膜層40を配置するのが有利である。薄膜層40はシンチレータのでこぼこな表面によく付着し、一方防湿バリヤ50が付着できる安定な表面、すなわちしっかりした十分に滑らかな表面を与える。薄膜層40は、極めて薄いのが代表的で、たとえば厚さ約200-600オングストロームで、ニトロセルロース、ポリ(p-キシレン)またはオルガノポリシロキサン-ポリカーボネートなどの有機材料から形成するか、あるいはクリオライト(kryolite)などの無機材料から形成する。薄膜層40は、通常の方法で、たとえば水浴槽の上に薄層を形成し、その層を所定の位置に移すことにより、形成することができる。」
「【0016】図に示すように、防湿バリヤ50は光反射層52と水分シール層54とからなる。光反射層52は、銀、金、アルミニウムなどの高反射率金属から作るのが有利であるが、多層誘電体ミラーとして形成してもよい。金属反射層の厚さは約100-2000オングストロームの範囲とするのが好適である。銀は化学的に反応性であるので、層52を2つ以上の構成層52A、52Bから形成するのが好ましく、この場合、下層52Aを銀とするのが好ましく、上層52Bを金または同様の反応性の低い金属とするのがよい。反射層52が多層誘電体ミラーである場合、隣接する構成層を屈折率がいちじるしく異なる材料から形成する。たとえば、これらの構成層を、屈折率約1.45の二酸化けい素および屈折率約2.6の酸化チタンから形成するのが有利である。あるいはまた、チタニアの代わりに酸化タンタルを用いることができる。気相から薄膜として堆積することのできる適当な屈折率の他の材料を、代わりに用いてもよい。誘電体ミラーの設計は当業者によく知られており、層の厚さおよび数は反射すべき波長の範囲によって決まる。このようなミラーは約10-20層とするのがよい。
【0017】水分シール層54はシンチレータ30の上に配置され、少なくとも光反射層52の上に延在する。水分シール層54は、シンチレータ30の外端、つまり側壁38のまわりに、第1表面34から第2表面36までのシンチレータの長さに沿って延在するのが好ましい。光検出器配列20の上に配置された包囲壁58が、シンチレータの外端38にほぼ平行に延びている。包囲壁58は、水分シール層54(少なくとも最初に塗工されたとき液体形態にあり、塗工後に硬質状態に硬化する)をシンチレータ側壁38に対して保持する作用をなす。たとえば、包囲壁58を、シンチレータの外端のまわりに設けたエポキシのビードまたはダムとすることができるが、これに限らない。こうしてシンチレータを封入して、シンチレータ材料が装置10のまわりの周囲環境または雰囲気中に存在する湿気にさらされる位置を最小限に抑える。シンチレータ30を光検出器配列20に光結合することにより形成される界面は、結果として、シンチレータ配列を界面に沿って湿気からシールすることになる。
【0018】水分シール層54は、GE社のSilicone Gel RTV6157やDowCorning社のSylgardなどのシリコーンポッティング材、または実質的に水分不透過性であり、この構造内でシール層がさらされる放射線束にたいして反応性でない同様の材料、とするのが好ましい。シール層54の厚さを約0.25-1mmとするのが代表的である。
【0019】放射線透過窓60を防湿バリヤ50の頂部表面に重ねて、水分シール層54の上に硬化した保護表面を設ける。図に示すように、窓60は包囲壁58に接触しているので、装置10の構造的強度を増すことができる。あるいは、窓60を水分シール層54の頂面だけに配置してもよい。窓を装置上に設けるには、水分シール層54を光反射層52に被着した後、窓60を装置の上に配置するか、あるいは、まず水分シール層54を窓60に被着し、つぎに水分シール層54が硬化し終る前にその窓を装置10の上に配置してもよい。窓60の製造に用いるのに好適な放射線透過性材料としては、石英ガラス、アルミニウム、酸化アルミニウムセラミック、ベリリウムなどがある。
【0020】作動にあたっては、装置10をここで対象としている入射放射線70の通路内に配置する。放射線はX線、γ線またはシンチレータおよび光検出器を用いて検出可能な他の放射線で、これが窓60、防湿バリア50、薄膜層40を通過して、シンチレータ30に入り、そこでシンチレータ材料と相互作用して、吸収される。相互作用の結果として、光学的光子が多かれ少なかれランダムな方向に放出される。シンチレータ30の第1表面34に向かって発生する光子や、シンチレータの壁にぶつかってその方向に反射された光子は、薄膜層を通過するが、光反射層52で反射されてシンチレータ中に戻される。こうして光子はシンチレータの第2方面36に差し向けられ、ここで光子はシンチレータから外に出て、シンチレータに隣接して装着された光検出器に入る。光検出器は、入射放射線のエネルギーレベルに対応する電気信号を発生し、その信号を処理回路80で処理する。回路80はイメージング兼分析装置90に連結されており、イメージング兼分析装置90は処理回路80に発生した電気信号に応答する。」(なお【0019】の「水分バリヤ50」は、「防湿バリヤ50」の明らかな誤記であるから誤記を正して摘記した。)
【図1】
[図:0001425727000001.jpg]
イ 甲1発明の認定
上記アによれば、甲1には、図1で示される放射線イメージング装置に関して、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる(なお、参考までに、引用発明の認定に用いた甲1の記載に係る段落番号等を括弧内に付してある。以下同じ。)。
「基板15の上に配置された光検出器配列20と、光検出器配列の上に配置されたシンチレータ30と、前記シンチレータ30の上に配置された光反射層52および水分シール層54を有する防湿バリヤ50とを備える放射線イメージング装置10における光検出器配列の上に配置される構造であって、(【0011】)
前記シンチレータ30は、第1端または表面34と、それとは反対側の第2端または表面36とを有し、第1表面34を通ってX線またはγ線の入射放射線70が入り、第2表面36を通って光子が隣接する光検出器配列20に通過し、前記シンチレータ30を形成するのに用いる材料はヨウ化セシウムであり、(【0013】)
前記防湿バリヤ50は、少なくともシンチレータ30の頂部に配置され、シンチレータ素子32を柱状構造に堆積した場合のように、シンチレータの第1表面34が粗い、すなわちでこぼこな形状を持つ場合には、シンチレータの第1表面34上に薄膜層40を配置し、前記薄膜層40は、防湿バリヤ50が付着できる安定な表面を与え、クリオライト(kryolite)から形成され、(【0014】)
前記光反射層52は、アルミニウムから作られ、(【0016】)、
前記水分シール層54はシンチレータ30の上に配置され、少なくとも光反射層52の上に延在し、(【0017】)
前記水分シール層は、GE社のSilicone Gel RTV6157やDow Corning社のSylgardなどのシリコーンポッティング材から形成し、(【0018】)
放射線透過窓60を前記防湿バリヤ50の頂部表面に重ねて、前記水分シール層54の上に硬化した保護表面を設け、窓を装置上に設けるには、まず前記水分シール層54を前記放射線透過窓60に被着し、つぎに前記水分シール層54が硬化し終る前にその放射線透過窓60を放射線イメージング装置10の上に配置し、前記放射線透過窓60の製造に用いる放射線透過性材料は、石英ガラス、アルミニウム、酸化アルミニウムセラミック、ベリリウムであり、(【0019】)
前記シンチレータ30の第1表面34に向かって発生する光子や、シンチレータの壁にぶつかってその方向に反射された光子は、薄膜層を通過するが、光反射層52で反射されてシンチレータ中に戻され、前記光子はシンチレータから外に出て、シンチレータに隣接して装着された光検出器に入る、(【0020】)
放射線イメージング装置10における光検出器配列の上に配置される構造。」
(2) 甲10の記載内容及び甲10発明の認定
ア 甲10の記載内容
甲10には次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は放射線検出装置およびその製造方法に関する。」
「【0008】
以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。まず、図1を用いて本実施形態に係る放射線検出装置100の構造を説明する。放射線検出装置100はセンサパネル110、接着層120、シンチレータ層130、反射層140、および保護層150を備えうる。センサパネル110は、絶縁基板111、無機絶縁層112、有機絶縁層113、無機絶縁層114、スイッチ素子115、電極116、および光電変換素子117を備えうる。ガラスや樹脂などの絶縁基板111の上にスイッチ素子115が配置され、スイッチ素子115を覆うようにSiNやSiOなどの無機絶縁層112が配置され、さらにその上に有機絶縁層113が配置される。有機絶縁層113の上に可視光を電気信号に変換する光電変換素子117が配置され、光電変換素子117を覆うようにSiNやSiOなどの無機絶縁層114が配置される。スイッチ素子115と光電変換素子117とはタングステン等の電極116を介して接続される。複数の光電変換素子117によって光電変換部118が構成されうる。
【0009】
センサパネル110の光電変換部118を覆う位置に、接着層120を介してシンチレータ層130が配置される。シンチレータ層130は例えば蛍光体の柱状結晶131の集合体により構成される。シンチレータ層130は入射した放射線を可視光に変換可能である。シンチレータ層130を覆うように、反射層140が配置される。反射層140はシンチレータ層130により放射線から変換された可視光を反射して光電変換部118へ導く。さらに、反射層140を覆うように、保護層150が配置される。保護層150はシンチレータ層130の耐湿性を高める。本実施形態に係る放射線検出装置100は、後述する方法で製造することによって、接着層120が柱状結晶131の柱間に入り込んでいる。これによって、柱状結晶131とセンサパネル110との密着力を向上することが可能となる。
【0010】
続いて、図2を用いて本実施形態に係る放射線検出装置100の製造方法の例を説明する。図2(a)に示されるように、まず、基台200の上に真空蒸着法等によりCsIやNaI等にタリウムやナトリウムをドープして蛍光体の柱状結晶131の集合体を形成する。蒸着温度は例えば200℃以上とする。基台200の材料には蛍光体の蒸着が可能な材料の中から、柱状結晶131との密着力が弱く、柱状結晶131を基台200から容易に剥離可能な材料となるものを選択する。このような材料として、例えば金属、金属箔、樹脂、テフロン(登録商標)等がある。金属として、アルミニウム、クロム、チタン、窒化チタン、タングステン、モリブデン、またはこれらのうちの2種類以上の合金を用いうる。また、樹脂として、PET、ポリイミド、パリレン、ポリ尿素、蒸着ポリイミド、ホットメルト樹脂等を用いうる。
【0011】
次に、図2(b)に示されるように、柱状結晶131の集合体を覆うように、反射層140と保護層150とが形成される。反射層140および保護層150は、真空蒸着法やスパッタ法等により形成してもよいし、シート等を柱状結晶131の集合体に貼り合わせてもよい。また、反射層140と保護層150とを貼りあわせてから柱状結晶131の集合体に貼り合せてもよい。反射層140は、例えばアルミニウム、クロム、チタン、窒化チタン、タングステン、モリブデン、またはこれらの2種類以上の合金等を用いて形成されうる。保護層150は、例えばPET、ポリイミド、パリレン、ポリ尿素、蒸着ポリイミド、ホットメルト樹脂、アクリル、またはこれらの2種類以上の積層構造等を用いて形成されうる。また、保護層150は、PET、アルミニウム、およびホットメルト樹脂の積層構造等を用いて形成されうる。」
[図:0001425727000002.jpg]
イ 甲10発明の認定
上記アによれば、甲10には、図1で示される放射線検出装置に関して、次の発明(以下「甲10発明」という。)が記載されていると認められる。
「センサパネル110、接着層120、シンチレータ層130、反射層140、および保護層150を備える放射線検出装置100におけるシンチレータ層130、反射層140および保護層150からなる構造であって、(【0008】)
前記シンチレータ層130は蛍光体の柱状結晶131の集合体により構成され、シンチレータ層130を覆うように、反射層140が形成され、前記反射層140はシンチレータ層130により放射線から変換された可視光を反射して光電変換部118へ導き、さらに、前記反射層140を覆うように、前記保護層150が配置され、保護層150はシンチレータ層130の耐湿性を高め、(【0009】)
前記蛍光体の柱状結晶131の集合体は、CsIやNaI等にタリウムやナトリウムをドープして形成され、(【0010】)
前記柱状結晶131の集合体を覆うように、反射層140と保護層150とが形成され、前記反射層140と前記保護層150とを貼りあわせてから前記柱状結晶131の集合体に貼り合せ、前記反射層140は、アルミニウムを用いて形成され、前記保護層150は、PET、アルミニウム、およびホットメルト樹脂の積層構造を用いて形成される、(【0011】)
構造。」
(3) 甲4の記載内容及び甲4に記載された技術的事項の認定
ア 甲4の記載内容
甲4には次の記載がある。
「【0029】
次に、図1には、X線検出器11の一部の断面図を示す。」
「【0032】
また、蛍光変換膜14上には、周辺部が光電変換基板13に密着して蛍光変換膜14を密閉する光反射層33が積層形成されている。この光反射層33は、透明かつ粘着性を有する粘着物質34と、この粘着物質34より屈折率が高い無機物質35の粉末との混合体によって構成されている。粘着物質34は、粘着性を有する粘着性ゲルによって構成されており、流動性が少なく、蛍光変換膜14の柱状結晶30間に浸透することはない。また、無機物質35の粉末は、蛍光変換膜14で変換された可視光の利用効率を高めるもので、反射特性に優れた例えば金属物質によって構成されている。」
「【0035】
このX線検出器11では、蛍光変換膜14上に形成する光反射層33により、水分遮断性を確保して蛍光変換膜14の劣化を防止できるとともに、蛍光変換膜14で変換された可視光の利用効率を改善できる。しかも、粘着物質34で構成された光反射層33は蛍光変換膜14の内部へ浸透しない。これらによって、X線検出器11のX線解像度を改善できる。
【0036】
また、光反射層33上には、保護フィルム38を粘着させて積層形成することができる。この保護フィルム38を、アルミニウムを主成分とする金属物質で構成した場合、水分遮断性をより向上できる。」
イ 甲4に記載された技術的事項の認定
上記アによれば、甲4には、次の技術的事項(以下「甲4に記載された技術的事項」という。)が記載されていると認められる。
「X線検出器において、(【0029】)
蛍光変換膜上には、蛍光変換膜を密閉する光反射層が積層形成されており、この光反射層は、透明かつ粘着性を有する粘着物質と、この粘着物質より屈折率が高い無機物質の粉末との混合体によって構成されているおり、無機物質の粉末は、蛍光変換膜で変換された可視光の利用効率を高めるもので、反射特性に優れた例えば金属物質によって構成されており、(【0032】)
蛍光変換膜上に形成する光反射層により、水分遮断性を確保して蛍光変換膜の劣化を防止でき、(【0035】)
光反射層上には、保護フィルムを粘着させて積層形成すること。(【0036】)」
2 対比・判断
(1) 本件発明1について
ア 甲1発明を主引用発明とした場合
(ア) 対比
a 本件発明1の「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって」との特定事項について
甲1発明の「放射線イメージング装置10における光検出器配列20の上に配置される構造」は、「シンチレータ30」、「防湿バリヤ50」及び「放射線透過窓60」を備える構造であるから、本件発明1の「シンチレータユニット」に相当する。
甲1発明の「シンチレータ30」は、本件発明1の「シンチレータ」に相当する。
甲1発明の「防湿バリヤ50の頂部表面に重ねて、前記水分シール層54の上に硬化した保護表面を設け[る]」「放射線透過窓60」は、当該「硬化した保護表面」で「シンチレータ30」を支持するものであるといえるから、本件発明1の「支持体」に相当する。
甲1発明は、「窓を装置上に設けるには、まず、前記水分シール層54を前記放射線透過窓60に被着し、つぎに前記水分シール層54が硬化し終る前にその放射線透過窓60を放射線イメージング装置10の上に配置」するものであるところ、その「水分シール層54」は、硬化することにより放射線透過窓60を放射線イメージング装置に接着する機能を有する層であると解されるから、本件発明1の「シンチレータと支持体との間」に備えられる「接着層」に相当する。
したがって、甲1発明は、本件発明1の上記特定事項を満たす。
b 本件発明1の「前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有する」との特定事項について
(a) 本件発明1の「屈折率」の意味から検討すると、本件発明1の技術的意義は、シンチレータから接着層への光の漏れを抑制する(【0009】)という課題を解決するために、シンチレータと接着層との間に接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するという手段を採用する(【0010】)ことにより、シンチレータと低屈折率層との界面で、全反射が生じやすくなり、シンチレータからの光が反射されやすくなって、シンチレータから接着層に光が漏れにくくなる(【0014】・【0015】)ということにあると認められる。ここで、屈折率が波長に依存することが技術常識である。
そうすると、本件発明1の「屈折率」は、シンチレータからの光の波長に対応したものとして観念すべきものであり、典型的には、そのピーク波長付近に対応したものとして観念するものと解するのが相当である。
(b) 以上を甲1発明についてみると、甲1発明の「シンチレータ30」は「シンチレータ30を形成するのに用いる材料はヨウ化セシウムであ[る]」ところ、ヨウ化セシウム(CsI)の発光スペクトルは350~700nmでピーク波長は550nmであることは本件特許出願時の技術常識である。そうすると、甲1発明において本件発明1の「低屈折率層」に相当する層が存在するといえるためには、その層が「シンチレータ30」と「水分シール層54」(本件発明1の「接着層」)との間に存在していることに加えて、その層の550nm付近における屈折率が「水分シール層54」の550nm付近の屈折率よりも低いことを要し、かつ、それで足りることになる。
そこで、まず、甲1発明の「水分シール層54」の550nm付近の屈折率をみると、少なくとも1.4を超えるものであると認められる。すなわち、当該「水分シール層54」は、「GE社のSilicone Gel RTV6157やDow Corning社のSylgardなどのシリコーンポッティング材」とされるものであるところ、ダウケミカルカンパニーのSYLGARDTM184 Silicone Elastomer(ポッティング材)の波長589nm(上記説示のとおり、ヨウ化セシウム(CsI)の発光スペクトル350~700nmの範囲内でピーク波長550nm近傍にあるといえる。)での屈折率は1.4118である(甲3参照。なお、甲3が本件特許出願前に発行された文献であるかどうかは不明であるが、屈折率は物性値であるから、甲3の発行日に関わらず、甲1発明のDow Corning社のSylgardの屈折率は甲3に記載されている値と同じ値であると認められる。)。また、GE社のSilicone Gel RTV6157(ポッティング材)に関して、同社のRTV615(RTV6157と同様のポッティング材)の波長587.6nmでの屈折率は1.4303である
(URL:https://refractiveindex.info/?shelf=organic&book=polydimethylsiloxane&page=Schneider-RTV615参照)。なお、同URLの内容が本件特許出願前に公開されていたかどうかは不明であるが、屈折率は物性値であるから、同URLの内容の公開日に関わらず、甲1発明のGE社のSilicone Gel RTV6157(ポッティング材)の屈折率は同URLに開示されている値と同程度の値であり、少なくとも1.4を越えると認められる。)。
このように、甲1発明の「水分シール層54」の550nm付近の屈折率は、少なくとも1.4を超えるものであるところ、以下(c)のとおり、甲1発明の「光反射層52」は、「シンチレータ30」と「水分シール層54」との間に存在し、550nm付近の屈折率は、1.4未満であることから、本件発明1の「低屈折率層」に相当するといえる。
(c) 甲1発明は、「前記シンチレータ30の上に配置された光反射層52および水分シール層54を有する防湿バリヤ50」を備え、「水分シール層54はシンチレータ30の上に配置され、少なくとも光反射層52の上に延在[する]」ものであることを踏まえると、甲1発明の「光反射層52」は、甲1発明の「構造」が、「シンチレータ30」と「水分シール層54」の間に有する層であるといえる。
さらに、甲1発明の「光反射層52」は「アルミニウムから作られ[る]」ところ、アルミニウムの波長500~600nmでの屈折率は0.8~1.2である(甲8参照。なお、甲8が本件特許出願前に発行された文献であるかどうかは不明であるが、屈折率は物性値であるから、甲8の発行日に関わらず、甲1発明のアルミニウムの屈折率は甲8に記載されている値と同じ値であると認められる。)。したがって、甲1発明の「光反射層52」の屈折率は、「ヨウ化セシウム」で形成される「シンチレータ30」の発光波長のピーク波長付近(550nm付近)において、「水分シール層54」の屈折率よりも低いといえる。
そのため、甲1発明の「光反射層52」は、本件発明1の「低屈折率層」に相当する。
(d) したがって、甲1発明は、本件発明1の上記特定事項を満たす。
(イ) 一致点・相違点
以上によれば、本件発明1と甲1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点A-1>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット」である点。
<相違点A-1>
低屈折率層の膜厚が、本件発明1は「300nm以上5μm以下である」のに対し、甲1発明は「光反射層52」の膜厚が特定されない点。
(ウ) 判断
甲1発明の「光反射層52」の厚さについて甲1には、「金属反射層の厚さは約100-2000オングストロームの範囲とするのが好適である。」(【0016】)と記載されているが、厚さを約100-2000オングストロームの範囲とすることの特段の技術上の意義は記載されていない。そして、甲1発明の「光反射層52」は、「前記シンチレータ30の第1表面34に向かって発生する光子や、シンチレータの壁にぶつかってその方向に反射された光子」であって、「薄膜層を通過する」光子が、光反射層52で「反射されてシンチレータ中に戻され」るためのものであることを勘案すれば、当業者は、「光反射層52」の厚さは、光子を反射する機能を奏する範囲で適宜選択され得るものであることを理解する。
そして、甲1発明の「光反射層52」はアルミニウムからなるところ、甲1発明の「光反射層52」と同様に、材料としてヨウ化セシウムを用いたシンチレータの上に配置されたアルミニウムからなる光反射層の厚みとしては、0.3~5μmの範囲に含まれるものが本件特許出願時の周知技術であるから(例えば、参考文献1(特開2006-258618号公報)の【0041】「上記金属膜としては、Al,Ag,Cr,Cu,Ni,Ti,Mg,Rh,Pt,Au等の金属膜が挙げられる。特に好ましいのはAg、Al膜であり、さらに好ましくはAg膜である。・・・金属膜の厚さは0.01~3μmが好ましい。」、参考文献2(特開2017-122733号公報)の【0073】・【0076】・【0077】「本発明に係る放射線画像変換パネル10は、・・・上記支持体11及びシンチレータ層12の間に、反射層13・・・を有していてもよい。反射層13として用いることができる材質・・・としては、アルミニウム(Al)・・・が挙げられる。・・・反射層の膜厚については、付着方法にもよるが、真空蒸着の場合は通常50nm~400nm、スパッタ蒸着の場合は通常20nm~200nmである。」、参考文献3(特開2003-75592号公報)の【0073】「つぎに、スパッタ法等で絶縁層102上に反射層103となるアルミニウム薄膜を約300nmの厚さで成膜する。」を参照。)、甲1発明において、アルミニウムからなる「光反射層52」を0.3~5μmの範囲の適宜の厚みとすることは当業者が容易になし得たことである。
(エ) 作用効果について
本件発明1のシンチレータと支持体から接着層への光漏れを防止できるという作用効果(本件訂正後明細書等【0012】)や、低屈折率層の厚さを5μm以下とすることにより解像度の低下を防止できること(本件訂正後明細書等【0036】)は、本件発明1の構成が奏するものとして、甲1発明及び周知技術から当業者が予測し得た事項にすぎない。なお、低屈折率層の厚さを300nm以上とすることにより全反射効率を十分に高めることができること(本件訂正後明細書等【0036】)については、本件発明1では低屈折率層における反射が全反射であることは特定されていないから、本件発明1の構成が奏するものとはいえない。
(オ) 小括
以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲10発明を主引用発明とした場合
(ア) 対比
a 本件発明1の「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって」との特定事項について
甲10発明の「シンチレータ層130、反射層140および保護層150からなる構造」は、本件発明1の「シンチレータユニット」に相当する。
甲10発明の「シンチレータ層130」は、本件発明1の「シンチレータ」に相当する。
甲10発明の「PET、アルミニウム、およびホットメルト樹脂の積層構造等を用いて形成される」「保護層150」における「PET、アルミニウム」は、「シンチレータ層130」を支持するものであるといえるから、本件発明1の「支持体」に相当する。
甲10発明の「保護層150」は、「PET、アルミニウム、およびホットメルト樹脂の積層構造を用いて形成される」ところ、「前記反射層140と前記保護層150とを貼りあわせてから前記柱状結晶131の集合体に貼り合せ[る]」から、ホットメルト樹脂により反射層140と保護層150のPET、アルミニウムとが貼りあわせられるものと認められる。そうすると、「ホットメルト樹脂」は、反射層140とPET、アルミニウムとを接着する層であるといえるから、本件発明1の「接着層」に相当する。そして、ホットメルト樹脂はシンチレータ層30と(反射層140を介して)PET、アルミニウムの間に備えられるものである。
したがって、甲10発明は、本件発明1の上記特定事項を満たす。
b 本件発明1の「前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有する」との特定事項について
(a) 本件発明1の「屈折率」は、シンチレータからの光の波長に対応したものとして観念すべきものであり、典型的には、そのピーク波長付近に対応したものとして観念するものと解するのが相当であることは前記ア(ア)b(a)で説示したとおりである。
これを甲10発明についてみると、甲10発明の「シンチレータ層130」は「CsIにタリウムやナトリウムをドープして蛍光体の柱状結晶131の集合体を形成するものであ[る]」ところ、ヨウ化セシウム(CsI)の発光スペクトルは350~700nmでピーク波長は550nmであることは本件特許出願時の技術常識であることも前記ア(ア)b(b)で説示したとおりである。そうすると、甲10発明において本件発明1の「低屈折率層」に相当する層が存在するといえるためには、その層が「シンチレータ層130」と「ホットメルト樹脂」(本件発明1の「接着層」)との間に存在していることに加えて、その層の550nm付近における屈折率が「ホットメルト樹脂」の550nm付近の屈折率よりも低いことを要し、かつ、それで足りることになる。そこで、これらの点について以下で検討する。
(b) 甲10発明は、「シンチレータ層130を覆うように、反射層140が形成され」、「前記反射層140を覆うように、前記保護層150が配置され[る]」から、「シンチレータ層130」、「反射層140」及び「保護層150」の順に配置されていると解される。
したがって、甲10発明の「シンチレータ層130、反射層140および保護層150からなる構造」は、「シンチレータ層130」と「保護層150」の一部である「ホットメルト樹脂」との間に、「反射層140」を有するといえる。
(c) 甲10発明の「ホットメルト樹脂」としてポリプロピレン等の樹脂が周知の部材であるところ、例えばポリプロピレンの波長589nm(上記説示のとおり、ヨウ化セシウム(CsI)の発光スペクトル350~700nmの範囲内でピーク波長550nm近傍であるといえる。なお、樹脂の屈折率は通常D線(589nm)における値が用いられることが技術常識である。)での屈折率は、1.49である(甲11参照。なお、甲11が本件特許出願前に発行された文献であるかどうかは不明であるが、屈折率は物性値であるから、甲11の発行日に関わらず、ポリプロピレンの屈折率は甲11に記載されている値と同じ値であると認められる)。そして、ホットメルト樹脂として用いられる樹脂材料の類似性に鑑みれば、ホットメルト樹脂の589nmにおける屈折率は一般に、少なくとも1.2よりは大きいものと認められる。
さらに、甲10発明の「反射層140」は、「アルミニウムを用いて形成され[る]」ところ、アルミニウムの波長500~600nmでの屈折率は0.8~1.2である(甲8参照。前記ア(ア)b(c)も参照。)。
そうすると、甲10発明の「反射層140」の屈折率は、ヨウ化セシウム(CsI)で形成される「シンチレータ層130」の発光波長のピーク波長(550nm)付近において、一般に1.2よりは大きい「ホットメルト樹脂」の屈折率よりも低いと解される。
(d) したがって、甲10発明の「反射層140」は、本件発明1のシンチレータユニットが「前記シンチレータと前記接着層との間」に有する「前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層」に相当するから、甲10発明は、本件発明1の上記特定事項を満たす。
(イ) 一致点・相違点
以上によれば、本件発明1と甲10発明の、一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点B-1>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット」である点。
<相違点B-1>
低屈折率層の膜厚が、本件発明1は「300nm以上5μm以下である」のに対し、甲10発明は「反射層140」の膜厚が特定されない点。
(ウ) 判断
甲10発明の「反射層140」の厚さについて甲10には特段の記載がなく、甲10発明を実施するに際しては、その具体的な厚みを定める必要があるところ、甲10発明の「反射層140」は、「シンチレータ層130により放射線から変換された可視光を反射」するためのものであることを勘案すれば、当業者は、「反射層140」の厚さは、可視光を反射する機能を奏する範囲で適宜選択され得るものであると理解する。
そして、甲10発明の「反射層140」はアルミニウムからなるところ、甲10発明の「反射層140」と同様に、材料としてCsIを用いたシンチレータの上に配置されたアルミニウムからなる光反射層の厚みとしては、0.3~5μmの範囲に含まれるものが本件特許出願当時に周知技術であったから(上記ア(ウ)参照)、甲10発明において、アルミニウムからなる「反射層140」を0.3~5μmの範囲の適宜の厚みとすることは当業者が容易になし得たことである。
(エ) 作用効果について
本件発明1のシンチレータと支持体から接着層への光漏れを防止できるという作用効果(本件訂正後明細書等【0012】)や、低屈折率層の厚さを5μm以下とすることにより解像度の低下を防止できること(本件訂正後明細書等【0036】)は、本件発明1の構成が奏するものとして、甲10発明及び上記の周知技術から当業者が予測し得た事項にすぎない。なお、低屈折率層の厚さを300nm以上とすることにより全反射効率を十分に高めることができること(本件訂正後明細書等【0036】)については、本件発明1では低屈折率層における反射が全反射であることは特定されていないから、本件発明1の構成が奏するものとはいえない。
(オ) 小括
上記のとおりであるから、本件発明1は、甲10発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 本件発明2について
ア 甲1発明を主引用発明とした場合
甲1発明は、「シンチレータ素子32を柱状構造に堆積した場合のように、シンチレータの第1表面34が粗い、すなわちでこぼこな形状を持つ場合には、シンチレータの第1表面34上に薄膜層40を配置[する]」ことから、甲1発明は、本件発明2で追加的に特定された事項を満たす。
したがって、本件発明2は、甲1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲10発明を主引用発明とした場合
甲10発明の「シンチレータ層130」は「蛍光体の柱状結晶131の集合体により構成され[る]」から、甲10発明は、本件発明2で追加的に特定された事項を満たす。
したがって、本件発明2は、甲10発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 本件発明10について
ア 甲1発明を主引用発明とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比と同様にして、本件発明10と甲1発明を対比すると、本件発明10と甲1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点A-2>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット」である点。
<相違点A-2>
低屈折率層の膜厚が、本件発明10は「300nm以上5μm以下である」のに対し、甲1発明は「光反射層52」の膜厚が特定されない点。
<相違点A-3>
接着層が、本件発明10は「光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含む」のに対し、甲1発明は「前記水分シール層は、GE社のSilicone Gel RTV6157やDow Corning社のSylgardなどのシリコーンポッティング材から形成」する点。
(イ) 判断
a 相違点A-2について
相違点A-2は、本件発明1と甲1発明の相違点A-1と同様であり、前記(1)ア(ウ)で検討したとおり、甲1発明において、アルミニウムからなる「光反射層52」を0.3~5μmの範囲の適宜の厚みとすることは当業者が容易になし得たことである。
b 相違点A-3について
甲4には、甲4に記載された技術的事項が記載されているところ、甲4に記載された技術的事項の「光反射層」と甲1発明の「水分シール層」は、いずれも水分シール及び接着層として機能する層であるから、甲1発明において、可視光の利用効率を高めるために甲4に記載された技術的事項を適用して、「水分シール層54」の「シリコーンポッティング材」に「反射特性に優れた金属物質によって構成」されている「無機物質の粉末」を混合することは、当業者が容易に想到し得たことである。
このとき、当該「無機物質の粉末」、「シリコーンポッティング材」及び「水分シール層54」が、本件発明10の「光散乱粒子」、「バインダ樹脂」及び「散乱層」にそれぞれ相当するから、本件発明10の「前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含む」との構成を満たすこととなる。
(ウ) 小括
したがって、本件発明10は、甲1発明、甲4に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲10発明を主引用発明とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比と同様にして、本件発明10と甲10発明を対比すると、本件発明10と甲10発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点B-2>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット」である点。
<相違点B-2>
低屈折率層の膜厚が、本件発明10は「300nm以上5μm以下である」のに対し、甲10発明は「反射層140」の膜厚が特定されない点。
<相違点B-3>
接着層が、本件発明10は「光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含む」のに対し、甲10発明は「ホットメルト樹脂」である点。
(イ) 判断
a 相違点B-2について
相違点B-2は、本件発明1と甲10発明の相違点B-1と同様であり、前記(1)イ(ウ)で検討したとおり、甲10発明において、アルミニウムからなる「反射層140」を0.3~5μmの範囲の適宜の厚みとすることは当業者が容易になし得たことである。
b 相違点B-3について
甲4には、甲4に記載された技術的事項が記載されているところ、甲4に記載された技術的事項の「光反射層」と甲10発明の「ホットメルト樹脂」の層は、いずれも水分シール及び接着層として機能する層であるから、甲10発明において、可視光の利用効率を高めるために甲4に記載された技術的事項を適用して、「ホットメルト樹脂」に「反射特性に優れた金属物質によって構成」されている「無機物質の粉末」を混合することは、当業者が容易に想到し得たことである。
このとき、当該「無機物質の粉末」、「ホットメルト樹脂」、「ホットメルト樹脂」の層が、本件発明10の「光散乱粒子」、「バインダ樹脂」及び「散乱層」にそれぞれ相当するから、本件発明10の「前記接着層が、光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含む」との構成を満たすこととなる。
(ウ) 小括
したがって、本件発明10は、甲10発明、甲4に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 本件発明11について
ア 甲1発明を主引用発明とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比と同様にして、本件発明11と甲1発明を対比して、さらに、前記(2)アの本件発明2についての検討を踏まえると、本件発明11と甲1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点A-3>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有するシンチレータユニット」である点。
<相違点A-4>
低屈折率層の膜厚が、本件発明11は「300nm以上5μm以下である」のに対し、甲1発明は「光反射層52」の膜厚が特定されない点。
<相違点A-5>
接着層が、本件発明11は「光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含む」のに対し、甲1発明は「水分シール層54は、GE社のSilicone Gel RTV6157やDow Corning社のSylgardなどのシリコーンポッティング材から形成」する点。
(イ) 判断
a 相違点A-4について
相違点A-4は、本件発明1と甲1発明の相違点A-1と同様であり、前記(1)ア(ウ)で検討したとおり、甲1発明において、アルミニウムからなる「光反射層52」を0.3~5μmの範囲の適宜の厚みとすることは当業者が容易になし得たことである。
b 相違点A-5について
相違点A-5は、本件発明10と甲1発明の相違点A-3と同様であり、前記(3)ア(イ)bで検討した理由により、甲1発明に甲4に記載された技術的事項を適用することにより当業者が容易になし得たことである。
(ウ) 小括
したがって、本件発明11は、甲1発明、甲4に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 甲10発明を主引用発明とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比と同様にして、本件発明11と甲10発明を対比して、さらに、前記(2)イの本件発明2についての検討を踏まえると、本件発明11と甲10発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点B-3>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有し、
前記シンチレータが、複数の柱状結晶を含み、
前記柱状結晶の延伸方向の先端部と前記接着層との間に前記低屈折率層を有するシンチレータユニット」である点。
<相違点B-4>
低屈折率層の膜厚が、本件発明11は「300nm以上5μm以下である」のに対し、甲10発明は「反射層140」の膜厚が特定されない点。
<相違点B-5>
接着層が、本件発明11は「光散乱粒子とバインダ樹脂を含有する散乱層を含む」のに対し、甲10発明は「ホットメルト樹脂」である点。
(イ) 判断
a 相違点B-4について
相違点B-4は、本件発明1と甲10発明の相違点B-1と同様であり、前記(1)イ(ウ)で検討したとおり、甲10発明において、アルミニウムからなる「反射層140」を0.3~5μmの範囲の適宜の厚みとすることは当業者が容易になし得たことである。
b 相違点B-5について
相違点B-5は、本件発明10と甲10発明の相違点B-3と同様であり、前記(3)イ(イ)bで検討した理由により、甲10発明に甲4に記載された技術的事項を適用することにより当業者が容易になし得たことである。
(ウ) 小括
したがって、本件発明11は、甲10発明、甲4に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 第2次取消理由に対する当審の判断の小括
以上検討のとおり、本件発明1、2、10、11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきものである。
第6 第1次取消理由(第2次取消理由に係るものを除く。)に対する当審の判断
第1次取消理由は、本件特許の登録時の請求項1、2、3及び8に係る発明に対する新規性欠如、本件特許の登録時の請求項1、2、3、4及び8に係る発明に対する進歩性欠如であるところ、当該請求項1、2、3、4、8に係る発明は、本件訂正により本件発明1~4、8~12に訂正された。このうち、本件発明1、2、10、11に対する当審の判断は、前記第5に示したとおりである。
そこで、本件発明3、4、8、9、12の新規性及び進歩性について検討すると、以下に示すとおり、本件発明3、4、8、9、12は、甲1に記載された発明又は甲10に記載された発明ではなく、また、本件発明3、4、8、9、12は、甲1に記載された発明及び甲1~11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、又は甲10に記載された発明及び甲1~11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
1 甲号証に記載された事項及び甲号証に記載された発明等
甲号証に記載された事項及び甲1、10に記載された発明等は、前記第5の1に記載したとおりである。
2 対比・判断
(1) 本件発明3、4、8、9、12について
本件発明3、4、8、9、12はいずれも、「前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有[する]」こと、及び「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含[む]」ことを発明特定事項として有するものであるところ、事案に鑑みこれらの発明についてまとめて検討する。
ア 甲1を主引用例とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記第5の2(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比と同様にして、本件発明3、4、8、9、12と甲1発明を対比すると、本件発明3、4、8、9、12と甲1発明は少なくとも次の一致点A-4で一致し、少なくとも次の相違点A-6において相違する。
<一致点A-4>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット」である点。
<相違点A-6>
本件発明3、4、8、9、12は「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含[む]」のに対し、本件発明3、4、8、9、12の「支持体」に相当する甲1発明の「放射線透過窓60」は、当該「放射線透過窓60の製造に用いる放射線透過性材料は、石英ガラス、アルミニウム、酸化アルミニウムセラミック、ベリリウム」であって、「シンチレータ30の第1表面34に向かって発生する光子や、シンチレータの壁にぶつかってその方向に反射された光子は、薄膜層を通過するが、光反射層52で反射されてシンチレータ中に戻され、前記光子はシンチレータから外に出て、シンチレータに隣接して装着された光検出器に入る」点。
(イ) 判断
前記第5の2(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明3、4、8、9、12の「支持体」及び「低屈折率層」に相当する甲1発明の構成は、それぞれ「放射線透過窓60」及び「光反射層52」となり、また、「光取り出し面」に相当する甲1発明の構成は、「シンチレータ」の「第2表面36」となることから、甲1発明から出発した当業者が相違点A-6に係る本件発明3、4、8、9、12の構成に至るためには、「放射線透過窓60」に「反射層」を設けるとともに、この「反射層」が「前記シンチレータで発生する光を反射する」ものであることを要するといえる。また、そうである以上、甲1発明の「光反射層52」に入射した後の光が「放射線透過窓60」に至ることも要することになる。
しかしながら、甲1発明の当該「光反射層52」は「アルミニウム」から作られているものであり、これは「高反射率金属」である(甲1の【0016】)ことから、当該「光反射層52」に入射した後の光が「放射線透過窓60」に至るとは直ちには言えない。そうすると、「放射線透過窓60」に何らかの反射機能がある構造が存在するとしても、その構造が「前記シンチレータで発生する光を反射する」とも言い難い。そして、当該「光反射層52」は、シンチレータからの光を反射させるものであるから、わざわざ光がこれを透過するようにすることは想定し得ず、また、当業者にとって容易であるとはいえないから、当該構造を「前記シンチレータで発生する光を反射する」ものとすることの動機付けもない。
甲1の他の記載及び甲2~甲11、参考文献1~4の記載をみても、上記判断を左右するものはない。
なお、甲1には、「光反射層52」を多層誘電体ミラーとして形成することも記載されているが(【0016】)、前記一致点A-4の「前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有する」ことは、甲1において「前記光反射層52は、アルミニウムから作られ[る]」ことを前提としたものであり(前記第5の2(1)ア(ア)b参照。)、「光反射層52」を多層誘電体ミラーで形成した場合について、「前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有する」との構成を備えることや、当該構成とすることを当業者が容易になし得たことであることを裏付ける証拠はない。
したがって、甲1発明から出発した当業者が、甲1~11及び参考文献1~4の記載に基づいて、相違点A-6に係る本件発明3、4、8、9、12の構成に容易に至るとはいえない。
(ウ) 申立人の主張について
a 申立人は、甲1には放射線透過窓60の製造に用いる放射線透過性材料としてアルミニウムが記載されており、アルミニウムが光の反射性の高い金属であることは技術常識である旨を主張している。
しかしながら、甲1の放射線透過窓60の製造に用いる放射線透過性材料としてアルミニウムを採用する場合のように、「放射線透過窓60」に何らかの反射機能がある構造が存在するとしても、その構造が「前記シンチレータで発生する光を反射する」とは言い難く、当該構造を「前記シンチレータで発生する光を反射する」ものとすることの動機付けもないことは前記(イ)で検討したとおりである。
b 申立人はまた、令和6年8月29日提出の意見書において、参考文献2及び参考文献4を示しつつ、放射検出装置の分野において、光反射層の外層にさらに反射機能を有する層を設ける構成とすることは周知技術である旨主張する。
しかしながら、参考文献2、4に開示されるアルミニウム等で構成される層は、外光の侵入を防ぐために設けられる遮光層であって、「前記シンチレータで発生する光を反射する」ものとはいえないし、前記(イ)で検討したのと同様の理由により、当該アルミニウム等で構成される層を「前記シンチレータで発生する光を反射する」ものとすることの動機付けもない。
c また、前記(イ)における検討は、甲1発明の「前記光反射層52」が本件発明の「低屈折率層」に相当することを前提としたものであるところ、申立人は、甲1発明の「薄膜層40」が本件発明の「接着層よりも屈折率の低い低屈折率層」に相当することも主張している。
しかしながら、その場合についても、「放射線透過窓60」に何らかの反射機能がある構造が存在するとしても、その構造が「前記シンチレータで発生する光を反射する」とは言い難く、当該構造を「前記シンチレータで発生する光を反射する」ものとすることの動機付けもないことは、前記(イ)で検討したのと同様である。
d したがって、前記申立人の主張は採用できない。
(エ) 小括
そして、甲1に記載されたいずれの発明を引用発明として認定しても、前記説示を左右するものはない。
以上によれば、本件発明3、4、8、9、12は、甲1に記載された発明ではない。また、本件発明3、4、8、9、12は、甲1に記載された発明及び甲1~甲11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 甲10を主引用例とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記第5の2(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比と同様にして、本件発明3、4、8、9、12と甲10発明を対比すると、本件発明3、4、8、9、12と甲10発明は少なくとも次の一致点B-4で一致し、少なくとも次の相違点B-6において相違する。
<一致点B-4>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット。」
<相違点B-6>
本件発明3は「前記支持体の少なくとも一部が、前記シンチレータで発生する光を反射することで光取り出し面に前記光を進行させる反射層を含む」のに対し、本件発明3、4、8、9、12の「支持体」に相当する甲10発明の「PET、アルミニウム、およびホットメルト樹脂の積層構造等を用いて形成される」「保護層150」は、「PET、アルミニウムおよびホットメルト樹脂の積層構造を用いて形成され」、「反射層140」が「シンチレータ層130により放射線から変換された可視光を反射して光電変換部118へ導き、さらに、前記反射層140を覆うように、前記保護層150が配置され[る」]点。
(イ) 判断
前記第5の2(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比を踏まえると、本件発明3、4、8、9、12の「支持体」及び「低屈折率層」に相当する甲10発明の構成は、「PET、アルミニウム、およびホットメルト樹脂の積層構造等を用いて形成される」「保護層150」における「PET、アルミニウム」及び「反射層140」となり、また、「光取り出し面」に相当する甲10発明の構成は、「シンチレータ層130」の「センサパネル110」側の面となることから、甲10発明から出発した当業者が相違点B-6に係る本件発明3、4、8、9、12の構成に至るためには、「PET、アルミニウム、およびホットメルト樹脂の積層構造等を用いて形成される」「保護層150」における「PET、アルミニウム」に「反射層」を設けるとともに、この「反射層」が「前記シンチレータで発生する光を反射する」ものであることを要するといえること、また、そうである以上、甲10発明の「反射層140」に入射した後の光が「PET、アルミニウム、およびホットメルト樹脂の積層構造等を用いて形成される」「保護層150」における「PET、アルミニウム」に至ることも要することになることは、前記ア(イ)で本件発明3、4、8、9、12と甲1発明の相違点A-6について説示したのと同様である。
そして、前記ア(イ)で検討したのと同様の理由により、甲10発明において、「反射層140」を光が透過するようにすることは想定し得ず、また、当業者にとって容易であるとはいえないから、「保護層150」を「前記シンチレータで発生する光を反射する」反射層を含むものとすることの動機付けもない。
甲10の他の記載及び甲1~甲9、甲11、参考文献1~4の記載をみても、上記判断を左右するものはない。
したがって、甲10発明から出発した当業者が、甲1~11及び参考文献1~4の記載に基づいて、相違点B-6に係る本件発明3、4、8、9、12の構成に容易に至るとはいえない。
(ウ) 申立人の主張について
申立人は令和6年8月29日提出の意見書において、前記ア(ウ)と同様の旨主張しているが、前記ア(ウ)で説示したとおりであって、前記申立人の主張は採用できない。
(エ) 小括
そして、甲10に記載されたいずれの発明を引用発明として認定しても、前記説示を左右するものはない。
以上によれば、本件発明3、4、8、9、12は、甲10に記載された発明ではない。また、本件発明3、4、8、9、12は、甲10に記載された発明及び甲1~甲11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2) 第1次取消理由(第2次取消理由に係るものを除く。)に対する当審の判断の小括
以上検討のとおり、本件発明3、4、8、9、12に対する第1次取消理由は理由がない(なお、第2次取消理由では、本件発明3、4、8、9、12に対する取消理由を通知していない。)。
第7 第1次取消理由及び第2次取消理由において採用しなかった特許異議申立理由についての判断
第1次取消理由及び第2次取消理由において採用しなかった特許異議申立理由は、本件特許の登録時の請求項5~7に係る発明に対する進歩性欠如であるところ、当該請求項5~7に係る発明は、本件訂正により本件発明5~7、13~49に訂正された。そこで、本件発明5~7、13~49の進歩性について検討すると、以下に示すとおり、本件発明5~7、13~49は、甲1に記載された発明及び甲1~11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、又は甲10に記載された発明及び甲1~11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
1 甲号証に記載された事項及び甲号証に記載された発明等
甲号証に記載された事項及び甲号証に記載された発明等は、前記第5の1に記載したとおりである。
2 対比・判断
(1) 本件発明5、13~19、34~41について
本件発明5、13~19、34~41はいずれも、「前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有[する]」こと、及び「前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含[む]」ことを発明特定事項として有するものであるところ、事案に鑑みこれらの発明についてまとめて検討する。
ア 甲1を主引用例とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記第5の2(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比と同様にして、本件発明5、13~19、34~41と甲1発明を対比すると、本件発明5、13~19、34~41と甲1発明は少なくとも次の一致点A-5で一致し、少なくとも次の相違点A-7において相違する。
<一致点A-5>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット。」
<相違点A-7>
本件発明5、13~19、34~41は「前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含[む]」のに対し、本件発明1の「低屈折率層」に相当する甲1発明の「光反射層52」は「アルミニウムから作られ」る点。
(イ) 判断
前記第5の2(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明5、13~19、34~41の「低屈折率層」に相当する甲1発明の構成は「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」となるところ、甲1発明から出発した当業者が相違点A-7に係る本件発明5、13~19、34~41の構成に至るためには、「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」が「二酸化ケイ素を含む」ものであることを要するといえる。しかしながら、甲1発明の「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」を「二酸化ケイ素を含む」ものとすることを当業者が容易になし得たことであることを裏付ける証拠はなく、また、このようにする動機もない。
甲1の他の記載及び甲2~甲11、参考文献1~4の記載をみても、上記判断を左右するものはない。この点、甲1に「光反射層52」を多層誘電体ミラーとして形成することも記載されていることについては、前記第6の2(1)ア(イ)で説示したとおりである。
したがって、甲1発明から出発した当業者が、甲1~11及び参考文献1~4の記載に基づいて、相違点A-7に係る本件発明5、13~19、34~41の構成に容易に至るとはいえない。
(ウ) 申立人の主張について
申立人は特許異議申立書において、甲7には反射層13が二酸化ケイ素を含む拡散反射層を備えることが、甲9には反射層が二酸化ケイ素等の光散乱粒子を含むことが、それぞれ記載されており、シンチレータからの光を反射する光反射層に二酸化ケイ素を含有させることは本件出願時において周知技術であった旨主張しているが、甲7、甲9はいずれも、甲1発明のような、アルミニウムから作られる光反射層を「二酸化ケイ素」を含むものとすることを開示するものではない。仮に申立人の主張を、「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」に代えて、あるいは、加えて、二酸化ケイ素を含む拡散反射層を備えるようにすることは当業者が容易になし得たことであるとの主張と解したとしても、そのような「光反射層52」の屈折率はもはや、前記第5の2(1)ア(ア)b(c)で説示したアルミニウムの屈折率(0.8~1.2)とは異なることとなり、「前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層」ものであるかどうかは不明というほかないし、そのようにすることが当業者が容易に想到し得たことであるとの証拠も示されていない。
また、前記(イ)における検討は、甲1発明の「前記光反射層52」が本件発明5、13~19、34~41の「低屈折率層」に相当することを前提としたものであるところ、申立人は特許異議申立書において、甲1発明の「薄膜層40」が本件発明5、13~19、34~41の「接着層よりも屈折率の低い低屈折率層」に相当すること、及び、甲7に記載されている「シンチレータからの光を反射させる光反射層に二酸化ケイ素を含有させる」との技術的事項に基づいて、甲1発明の「薄膜層40」に二酸化ケイ素を含有させることは容易であった旨主張している。しかしながら、甲1発明の「薄膜層40」は、「十分に滑らかな表面を与える」ものであって、「極めて薄いのが代表的で、たとえば厚さ約200-600オングストローム」(甲1【0013】)であり、反射を目的として設けられた層ではないから、甲1発明に甲7に記載された技術的事項を適用して、「薄膜層40」と別途に二酸化ケイ素を含有させた反射層を設けることは考えられるとしても、「薄膜層40」に二酸化ケイ素を含有させて反射層とすることの動機はないし、甲1発明の「薄膜層40」が滑らかな表面で極めて薄いものであることを勘案すれば、ここに反射層として機能する程度の大きさの二酸化ケイ素を含有させると滑らかな表面で極めて薄いものとすることが困難になるおそれがあるため、そのようにすることには阻害要因があるといえる。したがって、甲1発明の「薄膜層40」を本件発明5、13~19、34~41の「接着層よりも屈折率の低い低屈折率層」に相当させたとしても、本件発明5、13~19、34~41は、甲1発明及び甲1~11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(エ) 小括
そして、甲1に記載されたいずれの発明を引用発明として認定しても、前記説示を左右するものはない。
以上によれば、本件発明5、13~19、34~41は、甲1に記載された発明及び甲1~甲11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 甲10を主引用例とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記第5の2(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比と同様にして、本件発明5、13~19、34~41と甲1発明を対比すると、本件発明5、13~19、34~41と甲10発明は少なくとも次の一致点B-5で一致し、少なくとも次の相違点B-7において相違する。
<一致点B-5>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット。」
<相違点B-7>
本件発明5、13~19、34~41は「前記低屈折率層が、二酸化ケイ素を含む」のに対し、本件発明1の「低屈折率層」に相当する甲10発明の「反射層140」は、「アルミニウムを用いて形成され」る点。
(イ) 判断
前記第5の2(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比を踏まえると、本件発明5、13~19、34~41の「低屈折率層」に相当する甲10発明の構成は「アルミニウム等を用いて形成され[る]」「反射層140」となるところ、甲10発明から出発した当業者が相違点B-7に係る本件発明5、13~19、34~41の構成に至るためには、「アルミニウムを用いて形成され[る]」「反射層140」が「二酸化ケイ素を含む」ものであることを要するといえる。しかしながら、甲10発明の「アルミニウムを用いて形成され[る]」「反射層140」を「二酸化ケイ素を含む」ものとすることを当業者が容易になし得たことであることを裏付ける証拠はなく、また、このようにする動機もない。
甲10の他の記載及び甲1~甲9、甲11、参考文献1~4の記載をみても、上記判断を左右するものはない。
したがって、甲10発明から出発した当業者が、甲1~11及び参考文献1~4の記載に基づいて、相違点B-7に係る本件発明5、13~19、34~41の構成に容易に至るとはいえない。
(ウ) 申立人の主張について
申立人は特許異議申立書において、甲7には反射層13が二酸化ケイ素を含む拡散反射層を備えることが、甲9には反射層が二酸化ケイ素等の光散乱粒子を含むことが記載されており、シンチレータからの光を反射する光反射層に二酸化ケイ素を含有させることは本件出願時において周知技術であった旨主張しているが、これに対する判断は前記ア(ウ)で説示したのと同様である。
(エ) 小括
そして、甲10に記載されたいずれの発明を引用発明として認定しても、前記説示を左右するものはない。
以上によれば、本件発明5、13~19、34~41は、甲10に記載された発明及び甲1~甲11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2) 本件発明6、20~26、42~49について
本件発明6、20~26、42~49はいずれも、「前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有[する]」こと、及び「前記低屈折率層が、中空粒子を含む」ことを発明特定事項として有するものであるところ、事案に鑑みこれらの発明についてまとめて検討する。
ア 甲1を主引用例とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記第5の2(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比と同様にして、本件発明6、20~26、42~49と甲1発明を対比すると、本件発明6、20~26、42~49と甲1発明は少なくとも次の一致点A-6で一致し、少なくとも次の相違点A-8において相違する。
<一致点A-6>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット。」
<相違点A-8>
本件発明6、20~26、42~49は「前記低屈折率層が、中空粒子を含む」のに対し、本件発明6の「低屈折率層」に相当する甲1発明の「光反射層52」は「アルミニウムから作られ」る点。
(イ) 判断
前記第5の2(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明6、20~26、42~49の「低屈折率層」に相当する甲1発明の構成は「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」となるところ、甲1発明から出発した当業者が相違点A-8に係る本件発明6、20~26、42~49の構成に至るためには、「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」が「中空粒子を含む」ものであることを要するといえる。しかしながら、甲1発明の「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」を「中空粒子を含む」ものとすることを当業者が容易になし得たことであることを裏付ける証拠はなく、また、このようにする動機もない。
甲1の他の記載及び甲2~甲11、参考文献1~4の記載をみても、上記判断を左右するものはない。この点、甲1に「光反射層52」を多層誘電体ミラーとして形成することも記載されていることについては、前記第6の2(1)ア(イ)で説示したとおりである。
したがって、甲1発明から出発した当業者が、甲1~11及び参考文献1~4の記載に基づいて、相違点A-8に係る本件発明6、20~26、42~49の構成に容易に至るとはいえない。
(ウ) 申立人の主張について
申立人は特許異議申立書において、甲7には反射層13が中空粒子を含む拡散反射層を備えることが記載されており、シンチレータからの光を反射する光反射層に中空粒子を含有させることは本件出願時において公知技術であった旨主張しているが、これに対する判断は、前記(1)ア(ウ)で説示したのと同様である。
また、前記(イ)における検討は、甲1発明の「前記光反射層52」が本件発明6、20~26、42~49の「低屈折率層」に相当することを前提としたものであるところ、申立人は特許異議申立書において、甲1発明の「薄膜層40」が本件発明6、20~26、42~49の「接着層よりも屈折率の低い低屈折率層」に相当すること、及び、甲7に記載されている「シンチレータからの光を反射させる光反射層に中空粒子を含有させる」との技術的事項に基づいて、甲1発明の「薄膜層40」に中空粒子を含有させることは容易であった旨主張しているが、これに対する判断も前記(1)ア(ウ)で説示したのと同様である。したがって、甲1発明の「薄膜層40」を本件発明6、20~26、42~49の「接着層よりも屈折率の低い低屈折率層」に相当させたとしても、本件発明6、20~26、42~49は、甲1発明及び甲1~11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(エ) 小括
そして、甲1に記載されたいずれの発明を引用発明として認定しても、前記説示を左右するものはない。
以上によれば、本件発明6、20~26、42~49は、甲1に記載された発明及び甲1~甲11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 甲10を主引用例とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記第5の2(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比と同様にして、本件発明6、20~26、42~49と甲10発明を対比すると、本件発明6、20~26、42~49と甲10発明は少なくとも次の一致点B-6で一致し、少なくとも次の相違点B-8において相違する。
<一致点B-6>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット。」
<相違点B-8>
本件発明6、20~26、42~49は「前記低屈折率層が、中空粒子を含む」のに対し、本件発明6の「低屈折率層」に相当する甲10発明の「反射層140」は「アルミニウムを用いて形成され」る点。
(イ) 判断
前記第5の2(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比を踏まえると、本件発明6、20~26、42~49の「低屈折率層」に相当する甲10発明の構成は「アルミニウムを用いて形成され[る]」「反射層140」であるところ、甲10発明から出発した当業者が相違点B-8に係る本件発明6、20~26、42~49の構成に至るためには、「アルミニウムを用いて形成され[る]」「反射層140」が「中空粒子を含む」ものであることを要するといえる。しかしながら、甲10発明の「アルミニウムを用いて形成され[る]」「反射層140」を「中空粒子を含む」ものとすることを当業者が容易になし得たことであることを裏付ける証拠はなく、また、このようにする動機もない。
甲10の他の記載及び甲1~甲9、甲11、参考文献1~4の記載をみても、上記判断を左右するものはない。
したがって、甲10発明から出発した当業者が、甲1~11及び参考文献1~4の記載に基づいて、相違点B-8に係る本件発明6、20~26、42~49の構成に容易に至るとはいえない。
(ウ) 申立人の主張について
申立人は特許異議申立書において、甲7には反射層13が中空粒子を含む拡散反射層を備えることが記載されており、シンチレータからの光を反射する光反射層に中空粒子を含有させることは本件出願時において公知技術であった旨主張しているが、これに対する判断は、前記(1)ア(ウ)で説示したのと同様である。
(エ) 小括
そして、甲10に記載されたいずれの発明を引用発明として認定しても、前記説示を左右するものはない。
以上によれば、本件発明6、20~26、42~49は、甲10に記載された発明及び甲1~甲11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3) 本件発明7、27~49について
本件発明7、27~49はいずれも、「前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有[する]」こと、及び「前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下である」ことを発明特定事項として有するものであるところ、事案に鑑みこれらの発明についてまとめて検討する。なお、本件発明42~49については前記(2)でも検討済みであるが、改めて検討する。
ア 甲1を主引用例とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記第5の2(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比と同様にして、本件発明7、27~49と甲1発明を対比すると、本件発明7、27~49と甲1発明は少なくとも次の一致点A-7で一致し、少なくとも次の相違点A-9において相違する。
<一致点A-7>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット。」
<相違点A-9>
本件発明7、27~49は「前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下である」のに対し、本件発明7の「低屈折率層」に相当する甲1発明の「光反射層52」は「アルミニウムから作られ」る点。
(イ) 判断
前記第5の2(1)ア(ア)の本件発明1と甲1発明の対比を踏まえると、本件発明7、24~29の「低屈折率層」に相当する甲1発明の構成は「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」となるところ、甲1発明から出発した当業者が相違点A-9に係る本件発明7、27~49の構成に至るためには、「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」が「空隙率が、60.0%以上95.0%以下である」ものであることを要するといえる。しかしながら、甲1発明の「アルミニウムから作られ[る]」「光反射層52」を「空隙率が、60.0%以上95.0%以下である」ものとすることを当業者が容易になし得たことであることを裏付ける証拠はなく、また、このようにする動機もない。
甲1の他の記載及び甲2~甲11、参考文献1~4の記載をみても、上記判断を左右するものはない。この点、甲1に「光反射層52」を多層誘電体ミラーとして形成することも記載されていることについては、前記第6の2(1)ア(イ)で説示したとおりである。
したがって、甲1発明から出発した当業者が、甲1~11及び参考文献1~4の記載に基づいて、相違点A-9に係る本件発明7、27~49の構成に容易に至るとはいえない。
(ウ) 申立人の主張について
申立人は特許異議申立書において、甲7には反射層13が空隙を含む拡散反射層を備えることが、甲9には反射層が空隙を含むことが記載されており、シンチレータからの光を反射する光反射層に空隙を含有させることは本件出願時において周知技術であった旨主張しているが、これに対する判断は、前記(1)ア(ウ)で説示したのと同様である。
また、前記(イ)における検討は、甲1発明の「前記光反射層52」が本件発明7、27~49の「低屈折率層」に相当することを前提としたものであるところ、申立人は特許異議申立書において、甲1発明の「薄膜層40」が本件発明7、27~49の「接着層よりも屈折率の低い低屈折率層」に相当すること、及び、甲7に記載されている「シンチレータからの光を反射させる光反射層に空隙を含有させる」との技術的事項に基づいて、甲1発明の「薄膜層40」に空隙を含ませることは容易であった旨主張しているが、これに対する判断も前記(1)ア(ウ)で説示したのと同様である。
(エ) 小括
そして、甲1に記載されたいずれの発明を引用発明として認定しても、前記説示を左右するものはない。
以上によれば、本件発明7、27~49は、甲1に記載された発明及び甲1~甲11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 甲10を主引用例とした場合
(ア) 対比、一致点・相違点
前記第5の2(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比と同様にして、本件発明7、27~49と甲10発明を対比すると、本件発明7、27~49と甲10発明は少なくとも次の一致点B-7で一致し、少なくとも次の相違点B-9において相違する。
<一致点B-7>
「シンチレータと支持体との間に接着層を備えるシンチレータユニットであって、
前記シンチレータと前記接着層との間に前記接着層よりも屈折率の低い低屈折率層を有するシンチレータユニット。」
<相違点B-9>
本件発明7、27~49は「前記低屈折率層の空隙率が、60.0%以上95.0%以下である」のに対し、本件発明7の「低屈折率層」に相当する甲10発明の「反射層140」は「アルミニウムを用いて形成され」る点。
(イ) 判断
前記第5の2(1)イ(ア)の本件発明1と甲10発明の対比を踏まえると、本件発明7、27~49の「低屈折率層」に相当する甲10発明の構成は「アルミニウムから作られ[る]」「反射層140」であるところ、甲10発明から出発した当業者が相違点B-9に係る本件発明7、27~49の構成に至るためには、「アルミニウムを用いて形成され[る]」「反射層140」が「空隙率が、60.0%以上95.0%以下である」ものであることを要するといえる。しかしながら、甲10発明の「アルミニウムを用いて形成され[る]」「反射層140」を「空隙率が、60.0%以上95.0%以下である」ものとすることを当業者が容易になし得たことであることを裏付ける証拠はなく、また、このようにする動機もない。
甲10の他の記載及び甲1~甲9、甲11、参考文献1~4の記載をみても、上記判断を左右するものはない。
したがって、甲10発明から出発した当業者が、甲1~11及び参考文献1~4の記載に基づいて、相違点B-9に係る本件発明7、27~49の構成に容易に至るとはいえない。
(ウ) 申立人の主張について
申立人は特許異議申立書において、甲7には反射層13が空隙を含む拡散反射層を備えることが、甲9には反射層が空隙を含むことが記載されており、シンチレータからの光を反射する光反射層に空隙を含ませることは本件出願時において周知技術であった旨主張しているが、これに対する判断は前記(1)ア(ウ)で説示したのと同様である。
(エ) 小括
そして、甲10に記載されたいずれの発明を引用発明として認定しても、前記説示を左右するものはない。
以上によれば、本件発明7、27~49は、甲10に記載された発明及び甲1~甲11、参考文献1~4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(4) 第1次取消理由及び第2次取消理由において採用しなかった特許異議申立理由についての判断の小括
以上検討のとおり、本件発明5~7、13~49に対する特許異議申立理由は理由がない。
第8 まとめ
以上のとおり、本件発明1、2、10及び11についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、これらの発明についての特許は特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、第1次取消理由及び特許異議申立理由によっては、本件発明3~9、12~49についての特許を取り消すことができない。また、他に本件発明3~9、12~49についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700073