審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2024-700064

照明器具取付装置及び照明器具

審判番号
2024-700064
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-146274
登録番号
7316874
請求日
2024年01月26日
審決日
2024年04月23日
公報発行日
2024年05月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】三菱電機株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【権利者】三菱電機照明株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
  • 【異議申立人】松田 寛之
審判長/審判官
  • 審判長 中村 則夫
  • 審判官 一ノ瀬 覚
  • 審判官 横溝 顕範
分類
P1651.121-Y (F21S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7316874号発明「照明器具取付装置及び照明器具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7316874号の請求項1~9に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7316874号の請求項1~9に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和1年8月8日に出願されたものであって、令和5年7月20日に特許権の設定登録がされ、同年7月28日に特許掲載公報が発行され、令和6年1月29日(受付日)に特許異議申立人松田寛之(以下「申立人」という。)による特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される、以下のとおりのものと認められる。 「【請求項1】 柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置であって、 前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備え、 前記器具取付部は、 前記被取付部が当接する上面部と、 前記被取付部に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部と、を備え、 前記補強部は、 前記上面部よりも前記被取付部側に突出して形成された複数のリブであり、 前記複数のリブは、 前記上面部に対し垂直方向から見たときに、前記被取付部が延びる方向に対して交差する方向に延びる、照明器具取付装置。 【請求項2】 前記補強部は、 前記上面部に対し交差する方向に立ち上がるように形成されている、請求項1に記載の照明器具取付装置。 【請求項3】 前記補強部は、 前記上面部に対し垂直方向から見たときに、前記被取付部の延びる方向に対して交差する、請求項1又は2に記載の照明器具取付装置。 【請求項4】 前記補強部は、 前記器具取付部の外周縁から前記照明器具本体が位置する側に立ち上がるように形成された立上部を含む、請求項1~3の何れか1項に記載の照明器具取付装置。 【請求項5】 前記補強部は、 前記上面部よりも前記被取付部側に突出して形成されたリブを含み、 前記リブは、 前記上面部に対し垂直方向から見たときに、前記被取付部が延びる方向に対して交差する方向に延びる、請求項1~4の何れか1項に記載の照明器具取付装置。 【請求項6】 前記器具取付部と前記被取付部とを接続する取付金具を、更に備え、 前記取付金具は、 前記被取付部の上面に当接する支持部と、 前記支持部の両端から前記被取付部の側面に沿って延びる2つの接続部と、 前記接続部の下端から前記接続部に交差する方向に延びる固定部と、を備え、 前記固定部は、 前記器具取付部に固定部材で取り付けられた際、前記固定部材の締め付けによる変形量が前記器具取付部よりも大きい、請求項1~5の何れか1項に記載の照明器具取付装置。 【請求項7】 請求項1~6の何れか1項に記載の照明器具取付装置と、 前記器具取付部に取り付けられた前記照明器具本体と、を備える、照明器具。 【請求項8】 前記照明器具本体は、 筐体カバーと、 前記器具取付部と前記筐体カバーとの間に挟まれて配置される本体パッキンと、を備える、請求項7に記載の照明器具。 【請求項9】 前記複数のリブは、 間隔を置いて互いに平行に配置されている、請求項1~6の何れか1項に記載の照明器具取付装置。」 第3 特許異議申立理由の概要 申立人が特許異議申立書で主張する特許異議申立理由の要旨は、次のとおりである。以下、申立人が提出した甲第○号証は甲○と略記する。 (進歩性)本件の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 記 申立人が進歩性欠如を主張する、請求項に係る発明と提出した証拠との関係は、次のとおりであり、主たる証拠は甲1~甲5の5つとなっている。 請求項1:甲1または甲2または甲3または甲4または甲5 請求項2:甲1または甲2または甲3または甲4または甲5 :甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲1 :甲1または甲3または甲4または甲5、及び、甲2 :甲1または甲2または甲4または甲5、及び、甲3 :甲1または甲2または甲3または甲5、及び、甲4 :甲1または甲2または甲3または甲4、及び、甲5 :甲1または甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲6 請求項3:甲1または甲2または甲3または甲4または甲5 :甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲1 :甲1または甲3または甲4または甲5、及び、甲2 :甲1または甲2または甲4または甲5、及び、甲3 :甲1または甲2または甲3または甲5、及び、甲4 :甲1または甲2または甲3または甲4、及び、甲5 :甲1または甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲7 請求項4:甲1または甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲6 :甲1または甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲7 請求項5:甲1または甲2または甲3または甲4または甲5 :甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲1 :甲1または甲3または甲4または甲5、及び、甲2 :甲1または甲2または甲4または甲5、及び、甲3 :甲1または甲2または甲3または甲5、及び、甲4 :甲1または甲2または甲3または甲4、及び、甲5 :甲1または甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲8 請求項6:甲1または甲3または甲4または甲5、及び、甲2 請求項7:甲1または甲2または甲3または甲4または甲5 :甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲1 :甲1または甲3または甲4または甲5、及び、甲2 :甲1または甲2または甲4または甲5、及び、甲3 :甲1または甲2または甲3または甲5、及び、甲4 :甲1または甲2または甲3または甲4、及び、甲5 :甲1または甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲6 請求項8:甲1または甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲9 請求項9:甲1または甲2または甲3または甲4 :甲2または甲3または甲4または甲5、及び、甲1 :甲1または甲3または甲4または甲5、及び、甲2 :甲1または甲2または甲4または甲5、及び、甲3 :甲1または甲2または甲3または甲5、及び、甲4 証拠一覧 甲1:特開2009-238544号公報 甲2:特開2007-287421号公報 甲3:特開2004-207202号公報 甲4:特開平10-64325号公報 甲5:特開2014-63720号公報 甲6:特開2014-229386号公報 甲7:特表2015-529939号公報 甲8:特開2016-21365号公報 甲9:特開2018-97923号公報 第4 当審の判断 1 甲1を主たる証拠とした場合 (1)本件発明1について ア 甲1発明 甲1の請求項1、2、【0017】~【0025】及び図1、2の記載からみて、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認める。 「内向きに折り返してなる一対の内鍔2を有した溝形に形成されて建物の天井空間に設置されるレースウェイ1に照明器具3を取り付けるための取付装置21であって、 照明器具3を保持する保持手段と、レースウェイ1に保持手段を固定する固定手段とから構成され、保持手段は、下方に開口し、且つ開口内に挿入される照明器具の器具本体を弾性狭持するバネ体9を有し、固定手段は、レースウェイ1の内鍔2に係止する係止片5が長手方向の両端に形成された係止部材4と、前記係止部材4を保持手段に連結する連結部材とを有し、 前記連結部材に、レースウェイ1の内鍔21を係止片5との間で狭持する狭持板7が水平面内で回動自在に支持され、前記狭持板7はレースウェイ1及び係止片5と対向する上面に、回動中心から離れるに従って高さを増す隆起部8が設けられ、少なくとも隆起部8がレースウェイ1の内鍔21に当接する位置と当接しない位置との間で回動自在である、照明器具3の取付装置21。」 イ 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 ・後者の「レースウェイ1」は、前者の「柱状の被取付部」及び「被取付部」に相当し、以下同様に、「照明器具3」は「照明器具本体」に、「照明器具3を取り付けるための取付装置21」及び「照明器具3の取付装置21」は「照明器具取付装置」に、「挟持板7」は「器具取付部」に、それぞれ相当する。 上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 ・後者の「内向きに折り返してなる一対の内鍔2を有した溝形に形成されて建物の天井空間に設置されるレースウェイ1に照明器具3を取り付けるための取付装置21」は、前者の「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置」に相当する。 ・後者の「挟持板7」は「照明器具3」の上面側に位置していることは自明のことである。また、後者の「挟持板7」に設けられた「隆起部8」が「レースウェイ1の内鍔21に当接する位置」にあるときは、「レースウェイ1」と接しているものである。 そうすると、後者の「前記連結部材に、レースウェイ1の内鍔21を係止片5との間で狭持する狭持板7が水平面内で回動自在に支持され、前記狭持板7はレースウェイ1及び係止片5と対向する上面に、回動中心から離れるに従って高さを増す隆起部8が設けられ、少なくとも隆起部8がレースウェイ1の内鍔21に当接する位置と当接しない位置との間で回動自在である」ことは、前者の「前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備え」ていることに相当する。 以上のことから、本件発明1と甲1発明は、次の一致点1で一致し、少なくとも相違点1で相違するものと認める。 〔一致点1〕 「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置であって、 前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備えている、照明器具取付装置。」 〔相違点1〕 器具取付部について、本件発明1は、「前記被取付部が当接する上面部と、前記被取付部に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部と、を備え、前記補強部は、前記上面部よりも前記被取付部側に突出して形成された複数のリブであ」るのに対し、甲1発明は、「レースウェイ1」(被取付部)に当接するのは、「挟持板7」(器具取付部)に設けられた「隆起部8」であり、「挟持板7」の上面は「レースウェイ1」に当接しておらず、「隆起部8」はあるものの「レースウェイ1」に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部の特定もない点。 ウ 判断 上記相違点1について検討する。 甲1発明は、「挟持板7」(器具取付部)に設けられた「隆起部8」を「レースウェイ1の内鍔21に当接する位置と当接しない位置との間で回動自在」としたものであるから、甲2~9の記載事項にかかわらず、そもそも「挟持板7」の上面を「レースウェイ1」(被取付部)に接するように変更する動機付けは存在しない。また、動機付けの点を措くとしても、そのような変更をしようとすると、「隆起部8」を設けることができなくなって、「狭持板7を回動すれば、隆起部8がレースウェイ1の内鍔2に当接する位置まで移動し、隆起部8と係止片5との間でレースウェイ1の内鍔2が狭持されるため、取付装置21をレースウェイ1に強固に固定することができる。」(【0025】)という作用効果が棄損されることになるから、変更には阻害要因があるといえる。 したがって、甲1発明において、上記相違点1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 よって、本件発明1は、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~9について 本件発明2~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲1発明及び甲2~9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 甲2を主たる証拠とした場合 (1)本件発明1について ア 甲2発明 甲2の請求項1、【0014】~【0019】及び図1~6の記載からみて、甲2には、図6の実施形態3に係る次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されているものと認める。 「建物の天井空間に配設されたレースウェイ10に長尺の照明器具本体15を取り付ける照明器具取付装置29において、 前記取付装置29は前記レースウェイ10のレースウェイ本体11に固定する固定部材30と前記照明器具本体15を取り付ける取付部材34とから構成され、 該固定部材30は該レースウェイ本体11の上方から下向きに該レースウェイ本体11を嵌合するように設けられた着脱自在な固定部31と、該固定部31を該レースウェイ本体11に固定するねじ手段と、該固定部31からレースウェイ本体11の直交方向の両側に延長した延長部32とからなり、 延長部32の辺縁には折曲縁33を設け、 取付部材34の両側辺には折曲縁33に嵌合させて係止する折返縁35を設け、 取付部材34の折返縁35を延長部32の折曲縁33に嵌合させながら摺動させて連結する、照明器具取付装置29。」 イ 対比 本件発明1と甲2発明とを対比する。 ・後者の「レースウェイ10」及び「レースウェイ本体11」は前者の「柱状の被取付部」及び「被取付部」に相当し、以下同様に、「照明器具本体15」は「照明器具本体」に、「照明器具取付装置29」は「照明器具取付装置」に、「取付部材34」は「器具取付部」に、それぞれ相当する。 上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 ・後者の「建物の天井空間に配設されたレースウェイ10に長尺の照明器具本体15を取り付ける照明器具取付装置29」は、前者の「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置」に相当する。 ・後者の「取付部材34」は、「照明器具本体15」の上面側に位置しているのは自明のことである。 そうすると、後者の「前記取付装置29は前記レースウェイ10のレースウェイ本体11に固定する固定部材30と前記照明器具本体15を取り付ける取付部材34とから構成され」ていることと、前者の「前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備え」ていることとは、「前記照明器具本体の上面側に位置している器具取付部を備え」ていることにおいて共通する。 以上のことから、本件発明1と甲2発明は、次の一致点2で一致し、少なくとも相違点2で相違するものと認める。 〔一致点2〕 「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置であって、 前記照明器具本体の上面側に位置している器具取付部を備えている、照明器具取付装置。」 〔相違点2〕 器具取付部について、本件発明1は、「前記被取付部と接する」ものであり、「前記被取付部が当接する上面部と、前記被取付部に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部と、を備え、前記補強部は、前記上面部よりも前記被取付部側に突出して形成された複数のリブであ」るのに対し、甲2発明は、「取付部材34」(器具取付部)は、「レースウェイ本体11」(被取付部)に当接していることの特定はなく、「折曲縁33に嵌合させて係止する折返縁35」はあるものの「レースウェイ本体11」に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部の特定もない点。 ウ 判断 上記相違点2について検討する。 甲2発明の「取付部材34」(器具取付部)の「折返縁35」は、「延長部32の折曲縁33に嵌合させながら摺動させて連結する」ものであるから、当然、「取付部材34」の「折返縁35」の上端の位置は、「レースウェイ本体11」(被取付部)の下端の位置と同程度かあるいは低い位置にあることは自明のことである。そうすると、仮に、「取付部材34」の「折返縁35」の上端の位置は、「レースウェイ本体11」(被取付部)の下端の位置と同程度の位置にあって、「取付部材34」の「折返縁35」が「レースウェイ本体11」に当接していたとしても、「取付部材34」の上面部は「レースウェイ本体11」に当接するものではない。 そうすると、甲2発明の「取付部材34」(器具取付部)は、以上のような取り付けの態様を前提とするものであるから、甲1や甲3~9の記載事項にかかわらず、「取付部材34」の上面部を「レースウェイ本体11」(被取付部)に当接させるよう変更する動機付けは存在しない。また、動機付けの点を措くとしても、そのような変更をしようとすると、「レースウェイ本体11」の下端の位置よりも、「取付部材34」の「折返縁35」が高く位置することになり、上述した嵌合させながら摺動させて連結することができなくなるため、変更には阻害要因があるといえる。 したがって、甲2発明において、上記相違点2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 よって、本件発明1は、甲2発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~9について 本件発明2~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲2発明及び甲1、甲3~9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 甲3を主たる証拠とした場合 (1)本件発明1について ア 甲3発明 甲3の請求項1、【0005】及び図1~3の記載からみて、甲3には、実施の形態の天井照明装置の取付装置に係る次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認める。なお、符号32の部材は、【0005】と【符号の説明】で用語が異なっているが、前者の用語を用いた。 「天井に配置される長尺かつ水平な支持梁10を備え、前記支持梁10にその下面側から弾発的に装着される一対の取付金具30を備え、 前記各取付金具30にその下面側から固定される補助金具50を備え、 長尺な器具本体70とその下面側を覆う樋状の逆富士形反射板90とを含む逆富士形蛍光灯器具の天井照明装置の取付装置であって、 支持梁10に装着された一対の取付金具30下面側32にねじ部34を具備し、 各補助金具50上面側に支持梁10の下部12と係合して該補助金具50の姿勢を安定させる切欠き52が形成された補助金具50は、取付金具30に具備されたねじ部34と補助金具36により補助金具50を装着させる取付孔54を形成し、補助金具50には器具本体70を装着させるための取付ボルト56が補助金具50の下面側に突出するよう具備させた、天井照明装置の取付装置。」 イ 対比 本件発明1と甲3発明とを対比する。 ・後者の「支持梁10」は前者の「柱状の被取付部」及び「被取付部」に相当し、以下同様に、「逆富士形蛍光灯器具」は「照明器具本体」に、「天井照明装置の取付装置」は「照明器具取付装置」に、「補助金具50」は「器具取付部」に、それぞれ相当する。 上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 ・後者の「補助金具50」は、「逆富士山形蛍光灯器具」の上面側に位置しているのは自明のことである。また、当該「補助金具50」は、「各補助金具50上面側に支持梁10の下部12と係合して該補助金具50の姿勢を安定させる切欠き52が形成された」ものであるから、「支持梁10」と接するものである。 そうすると、後者の「天井に配置される長尺かつ水平な支持梁10を備え、前記支持梁10にその下面側から弾発的に装着される一対の取付金具30を備え、長尺な器具本体70とその下面側を覆う樋状の逆富士形反射板90とを含む逆富士形蛍光灯器具を備えた天井照明装置の取付装置であって、前記各取付金具30にその下面側から固定される補助金具50を備え、支持梁10に装着された一対の取付金具30下面側32にねじ部34を具備し、各補助金具50上面側に支持梁10の下部12と係合して該補助金具50の姿勢を安定させる切欠き52が形成された補助金具50」を具備させたことは、前者の「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置であって、前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備え」ていることに相当する。 以上のことから、本件発明1と甲3発明は、次の一致点3で一致し、少なくとも相違点3で相違するものと認める。 〔一致点3〕 「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置であって、 前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備えている、照明器具取付装置。」 〔相違点3〕 器具取付部について、本件発明1は、「前記被取付部が当接する上面部と、前記被取付部に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部と、を備え、前記補強部は、前記上面部よりも前記被取付部側に突出して形成された複数のリブであ」るのに対し、甲3発明は、「支持梁10」(被取付部)に当接するのは、「補助金具50」(器具取付部)に設けられた「切欠き52」であり、「補助金具50」の上面は「支持梁10」に当接しておらず、「切欠き52」が形成された板状の部材はあるものの「支持梁10」に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部の特定もない点。 ウ 判断 上記相違点3について検討する。 甲3発明は、「支持梁10に装着された一対の取付金具30下面側32にねじ部34を具備し、各補助金具50上面側に支持梁10の下部12と係合して該補助金具50の姿勢を安定させる切欠き52が形成された補助金具50は、取付金具30に具備されたねじ部34と補助金具36により補助金具50を装着させる取付孔54を形成し」たものであって、「補助金具50」と「支持梁10」との間に「取付金具30」が介在することを前提とするものであるから、甲1、2や甲4~9の記載事項にかかわらず、「補助金具50」(器具取付部)の上面を「支持梁10」(被取付部)に接するように変更する動機付けは存在しない。また、動機付けの点を措くとしても、そのような変更をしようとすると、「一対の取付金具30下面側32」を設けることができなくなるし、さらに、その構成からみて、甲3発明の「切欠き52」は、短手方向と高さ方向の2方向の姿勢を安定させると認められるのに対し、「補助金具50」の上面を「支持梁10」に接するようにした場合、短手方向のみの姿勢の安定にしか効を奏さないものとなるため、変更には阻害要因があるといえる。 したがって、甲3発明において、上記相違点3の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 よって、本件発明1は、甲3発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~9について 本件発明2~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲3発明及び甲1、2、4~9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 甲4を主たる証拠とした場合 (1)本件発明1について ア 甲4発明 甲4の請求項1、【0011】~【0015】及び図1~3の記載からみて、甲4には第1の実施の形態の照明器具の取付装置に係る次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているものと認める。 「両フランジ下端に内向きに折り返してなる一対の内鍔14を有した略下向き溝形のレースウェイ13と、 このレースウェイ13の下方に配置し、ウェブ10aの中央にボルト取付孔11を有し、ウェブ10aの表面の中心軸に対し略対称な位置に一対の取付け当接用突出部12を有した略下向き溝形の器具本体10と、 前記レースウェイ13と前記器具本体10との間に介装し、外周面が前記両内鍔14の表面に当接する外形寸法を有し、中心にボルト挿通孔31を有した弾性体からなる位置決め具30と、 上端に前記両内鍔14の裏面に係止する係止片21を有し、前記ボルト挿通孔31ならびに前記ボルト取付孔11に挿通し、下端からナット23を締結して前記位置決め具30を弾性変形状態で挟持して、前記器具本体10を前記レースウェイ13に吊持したボルト20とを備えた照明器具の取付装置であって、 位置決め具30は、取付け当接用突出部12より若干高い高さ寸法Hを有する中層部33と、中層部33より小径で外周のテーパ面32aがレースウェイ13の両内鍔14,14の表面に当接する上層部32と、器具本体10のボルト取付孔11より若干大径の下層部34とから構成される、照明器具の取付装置。」 イ 対比 本件発明1と甲4発明とを対比する。 ・後者の「レースウェイ13」は前者の「柱状の被取付部」及び「被取付部」に相当し、以下同様に、「器具本体10」は「照明器具本体」に、「照明器具の取付装置」は「照明器具取付装置」に、「位置決め具30」は「器具取付部」に、それぞれ相当する。 上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 ・後者の「位置決め具30」は、「器具本体」の上面側に位置しているのは自明のことである。また、当該「位置決め具30」は、「前記レースウェイ13と前記器具本体10との間に介装し、外周面が前記両内鍔14の表面に当接する外形寸法を有し」、「弾性変形状態で挟持」されるものであるから、「両内鍔14」を有する「レースウェイ13」と接するものである。 そうすると、後者の「両フランジ下端に内向きに折り返してなる一対の内鍔14を有した略下向き溝形の取付チャネルとなるレースウェイ13と、このレースウェイ13の下方に配置し、ウェブ10aの中央にボルト取付孔11を有し、ウェブ10aの表面の中心軸に対し略対称な位置に一対の取付け当接用突出部12を有した略下向き溝形の器具本体10と、前記レースウェイ13と前記器具本体10との間に介装し、外周面が前記両内鍔14の表面に当接する外形寸法を有し、中心にボルト挿通孔31を有した弾性体からなる位置決め具30と、上端に前記両内鍔14の裏面に係止する係止片21を有し、前記ボルト挿通孔31ならびに前記ボルト取付孔11に挿通し、下端からナット23を締結して前記位置決め具30を弾性変形状態で挟持して、前記器具本体10を前記レースウェイ13に吊持したボルト20とを備えた照明器具の取付装置であ」ることは、前者の「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置であって、前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備え」ていることに相当する。 以上のことから、本件発明1と甲4発明は、次の一致点4で一致し、少なくとも相違点4で相違するものと認める。 〔一致点4〕 「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置であって、 前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備えている、照明器具取付装置。」 〔相違点4〕 器具取付部について、本件発明1は、「前記被取付部が当接する上面部と、前記被取付部に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部と、を備え、前記補強部は、前記上面部よりも前記被取付部側に突出して形成された複数のリブであ」るのに対し、甲4発明は、「レースウェイ13」(被取付部)に当接するのは、「位置決め具30」(器具取付部)の「上層部32」の「テーパ面32a」を含む部分であり、「レースウェイ13」に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部の特定もない点。 ウ 判断 甲4発明の「位置決め具30」は、「弾性変形状態で挟持」することにより、「照明器具の電気部品等が発生する振動によってレースウェイ13と器具本体10が当たって振動音が発生するのを防ぐ」(【0015】)ためのものであり、また、その「上層部32」は、「外周のテーパ面32aが、両内鍔14のテーパ状の表面に当接しており、テーパ面どうしが誘い込みによって器具本体10の位置決めが容易に行え、器具本体10のボルト取付孔11ならびに位置決め具30のボルト挿通孔31の直径が、ボルト20の直径より大きくても、器具本体10の中心とレースウェイ13の中心が一致し、正確に器具本体10をレースウェイ13に取付けることができる」(【0014】)ためのものである。 すなわち、「位置決め具30」の「上層部32」は、「レースウェイ13」に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部ではないし、ましてや複数のリブでもない。そして、上述した振動音発生防止の作用、機能を鑑みれば、甲1~3や甲5~9の記載事項にかかわらず、当該「上層部32」を「レースウェイ13」に取り付けられたときに生じる変形を抑制する複数のリブからなる補強部に変更する動機付けはなく、むしろ変更には阻害要因があるといえる。 したがって、甲4発明において、上記相違点4の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 よって、本件発明1は、甲4発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~9について 本件発明2~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲4発明及び甲1~3、5~9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 5 甲5を主たる証拠とした場合 (1)本件発明1について ア 甲5発明 甲5の請求項1、2、【0018】~【0024】及び図1~5の記載からみて、甲5には実施形態の照明器具の取付装置に係る次の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されているものと認める。 「複数のLEDが平板状の基板に実装された光源部41と、 前記光源部41を保持する器具本体21と、を備えた、天井の取付面に取り付けられる照明器具11の取付装置であって、 前記器具本体21は、照明器具11の照射面側に突出する光源取付面部22aを有する複数の光源取付部22を備え、 前記光源部41は、前記光源取付部22に取り付けられ、 前記複数の光源取付部22の間にリブ部25が配置され、 リブ部25は、器具本体21を補強するための補強用リブとしての機能を有し、 光源取付部22は、照射面側に突出して形成することで、照明器具11を天井等の取付面に取り付けた状態において、器具本体21の取付面側に空間Sが形成され、 照明器具11を天井に取り付ける場合は、照明器具用の天井配線器具(引っ掛けシーリング)にアダプタを取付け、器具本体21の取付孔24にアダプタを差し込むようにして取り付ける、照明器具11の取付装置。」 イ 対比 本件発明1と甲5発明とを対比する。 ・後者の「天井」は前者の「被取付部」に相当し、以下同様に、「器具本体21」は「照明器具本体」に、「照明器具11の取付装置」は「照明器具取付装置」に、「アダプタ」は「器具取付部」に、それぞれ相当する。 上記の相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 ・後者の「複数のLEDが平板状の基板に実装された光源部41と、前記光源部41を保持する器具本体21と、を備えた、天井の取付面に取り付けられる照明器具11の取付装置」と、前者の「柱状の被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置」とは、「被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置」で共通する。 ・後者の「アダプタ」は、「器具本体21」の上面側に位置しているのは自明のことである。 そうすると、後者の「照明器具11を天井に取り付ける場合は、照明器具用の天井配線器具(引っ掛けシーリング)にアダプタを取付け、器具本体21の取付孔24にアダプタを差し込むようにして取り付ける」ことと、前者の「前記照明器具本体の上面側に位置し、前記被取付部と接する器具取付部を備え」ることとは、「前記照明器具本体の上面側に位置している器具取付部を備え」ることで共通する。 以上のことから、本件発明1と甲5発明は、次の一致点5で一致し、少なくとも相違点5-1、5-2で相違するものと認める。 〔一致点5〕 「被取付部に照明器具本体を取り付ける照明器具取付装置であって、 前記照明器具本体の上面側に位置している器具取付部を備えている、照明器具取付装置。」 〔相違点5-1〕 被取付部について、本件発明1は、「柱状の被取付部」であるのに対し、甲5発明は、「天井」である点。 〔相違点5-2〕 器具取付部について、本件発明1は、「被取付部と接する」ものであり、「前記被取付部が当接する上面部と、前記被取付部に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部と、を備え、前記補強部は、前記上面部よりも前記被取付部側に突出して形成された複数のリブであ」るのに対し、甲5発明の「アダプタ」(器具取付部)は、「天井配線器具(引っ掛けシーリング)」に取付けられるものであるから、「天井」(被取付部)と接するものではなく、「天井」に取り付けられたときに生じる変形を抑制する補強部の特定もない点。 ウ 判断 事案に鑑み、相違点5-2から検討する。 甲5発明は、「照明器具用の天井配線器具(引っ掛けシーリング)にアダプタを取付け、器具本体21の取付孔24にアダプタを差し込むようにして取り付ける」ものであり、「アダプタ」は「天井配線器具(引っ掛けシーリング)」と「器具本体21」(照明器具本体)とを接続する中間部材であるから、甲1~4や甲6~9の記載事項にかかわらず、「天井配線器具(引っ掛けシーリング)」を廃して、「アダプタ」を「天井」(被取付部)に接するように変更する動機付けはない。また、動機付けの点を措くとしても、当該「アダプタ」の機能は、予め設置された「天井配線器具(引っ掛けシーリング)」に「アダプタ」を取付け、その「アダプタ」に照明器具を取り付けることにより、簡単に照明器具を設置できるものであることが技術常識であるところ、そのような変更をしたなら、上述した機能が棄損されることになり、変更には阻害要因があるといえる。 したがって、甲5発明において、相違点5-2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 よって、本件発明1は、相違点5-1を検討するまでもなく、甲5発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~9について 本件発明2~9は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲5発明及び甲1~4、6~9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件請求項1~9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1~9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2024-700064

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決940件(三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社、松田 寛之)
  • 2026-700042異議申立 / 2026-07-06 / 維持照明制御システムおよび照明制御プログラム
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
  • 2024-701025異議申立 / 2026-04-28 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
  • 2025-700140異議申立 / 2026-04-16 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
  • 2024-700450異議申立 / 2026-04-14 / 訂正認容照明器具
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
  • 2024-700946異議申立 / 2026-03-31 / 訂正認容照明器具及び照明装置
    同じ当事者: 三菱電機株式会社、三菱電機照明株式会社
同じ論点・分野の審決(審決分類)249件(121・F21S)
  • 2026-700375異議申立 / 2026-08-10 / 維持照明装置
    共通の審決分類: 121・F21S
  • 2026-700115異議申立 / 2026-05-28 / 維持道路照明装置および道路照明システム
    共通の審決分類: 121・F21S
  • 2024-701025異議申立 / 2026-04-28 / 訂正認容照明器具
    共通の審決分類: 121・F21S
  • 2025-700140異議申立 / 2026-04-16 / 訂正認容照明器具
    共通の審決分類: 121・F21S
  • 2024-700946異議申立 / 2026-03-31 / 訂正認容照明器具及び照明装置
    共通の審決分類: 121・F21S

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存