特許訂正審判
2024-390102
燃料電池セパレータ用前駆体シートおよび燃料電池セパレータ
- 審判番号
- 2024-390102
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2023-140012
- 登録番号
- 7501758
- 請求日
- 2024年09月06日
- 審決日
- 2024年11月07日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】日清紡ケミカル 株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人英明国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 岩間 直純
- 審判官 畑中 博幸
- 審判官 篠原 功一
- 分類
- P141 .852-Y (H01M)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第3項、特許法第126条第5項、特許法第126条、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7501758号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
特許第7501758号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7501758号に係る出願は、令和5年8月30日に出願され、令和6年6月10日に特許権の設定登録がなされ、令和6年9月6日に訂正審判(以下、「本件訂正審判」という。)の請求がなされたものである。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、特許第7501758号の特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1ないし6について訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正事項(以下、「本件訂正事項」という。)は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
特許請求の範囲の請求項1に、
「前記水溶性樹脂が、融点もしくはガラス転移点が100℃以上の熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂であり、」とあるのを、
「前記非水溶性樹脂が、融点もしくはガラス転移点が100℃以上の熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂であり、」
に訂正する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2ないし6も同様に訂正する)。
第4 当審の判断
1 一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6は、請求項1の記載を引用しているものであって、本件訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1ないし6に対応する訂正後の請求項1ないし6は、特許法第126条第3項に規定する一群の請求項である。
2 本件訂正事項について
(1)訂正の目的について
ア 訂正前の請求項1の「非水溶性樹脂」に関し、本件特許明細書には以下の記載がある。なお、下線は当審が付与した。
「【0014】
[2]粒子状または繊維状の非水溶性樹脂
粒子状または繊維状の非水溶性樹脂は、粒子状または繊維状であり、かつ、水に溶解しない樹脂であれば特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよい。
熱可塑性樹脂としては、前駆体シートを作製する際の乾燥時に粒子状または繊維状を保持可能な耐熱性を有するという点から、融点またはガラス転移点が100℃以上の樹脂が好ましい。
その具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルイミドおよびポリスルフォン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ABS樹脂、ポリシクロオレフィンおよびポリエーテルスルホン、並びにこれらの誘導体のうち融点が100℃以上であるものや、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリフェニレンオキシド、並びにこれらの誘導体のうちガラス転移点が100℃以上であるもの等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、融点またはガラス転移点の上限は特に限定されないが、前駆体シートおよび燃料電池セパレータの生産性の点から、300℃以下が好ましい。
【0015】
熱硬化性樹脂としては、従来、カーボンセパレータ等のバインダ樹脂として汎用されているものから適宜選択することができる。
その具体例としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シリコーン樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、耐熱性および機械的強度に優れていることから、エポキシ樹脂やフェノール樹脂が好ましい。」(下線は、当審が付与。)
イ また、訂正前の請求項1の「水溶性樹脂」に関し、本件特許明細書には以下の記載がある。なお、下線は当審が付与した。
「【0018】
[3]水溶性樹脂
水溶性樹脂は、黒鉛粒子と粒子状または繊維状の非水溶性樹脂を均一に分散させてシート化する観点から、分散性、増粘性、接着性を有することが好ましい。本発明における「水溶性」とは、25℃の水に少なくとも1質量%の濃度で完全に溶解することを意味する。
水溶性樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリルアミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類等の水性樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。これらの中でも、特に少ない添加量で黒鉛粒子と粒子状または繊維状の非水溶性樹脂を均一に分散しシート化する観点から、アクリル樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、カルボキシメチルセルロース等の多糖類が好ましい。」
ウ 上記ア、イによれば、訂正前の請求項1の「前記水溶性樹脂が、融点もしくはガラス転移点が100℃以上の熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂であり、前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルイミドおよびポリスルフォン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ABS樹脂、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリフェニレンオキシド、並びにこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上であり、前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シリコーン樹脂、ビニルエステル樹脂およびベンゾオキサジン樹脂から選ばれる1種または2種以上であり、」との記載は、本件特許明細書の段落【0014】、【0015】及び【0018】の記載と整合しないことは明らかである。そして、訂正後の請求項1の「前記非水溶性樹脂が、融点もしくはガラス転移点が100℃以上の熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂であり、前記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニルサルフォン、ポリエーテルイミドおよびポリスルフォン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ABS樹脂、ポリシクロオレフィン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリスチレンおよびポリフェニレンオキシド、並びにこれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上であり、前記熱硬化性樹脂が、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、シリコーン樹脂、ビニルエステル樹脂およびベンゾオキサジン樹脂から選ばれる1種または2種以上であり、」との記載は、上記した明細書の各記載とも整合するものであるから、訂正前の請求項1の「前記水溶性樹脂が、融点もしくはガラス転移点が100℃以上の熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂であり、」とは「前記非水溶性樹脂が、融点もしくはガラス転移点が100℃以上の熱可塑性樹脂、または熱硬化性樹脂であり、」の誤記であることは明らかである。
エ よって、本件訂正事項は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものである。
(2)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて
本件訂正事項は、上記(1)のとおり「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであり、願書に最初に添付した明細書の段落【0014】、【0015】に基づいて訂正するものであることから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。
したがって、本件訂正事項は、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
(3)実質上特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
本件訂正事項は、上記(1)のとおり「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであり、本件訂正事項に係る訂正により、特許請求の範囲の内容が実質的に拡張・変更されるものではないことは明らかである。
したがって、本件訂正事項は、特許法126条6項の規定に適合するものである。
(4)独立特許要件について
本件訂正事項は「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものであるところ、訂正後における特許請求の範囲の請求項に記載される事項により特定される発明について、特許要件の適否について見直すべき新たな事情は存在せず、特許出願の際独立して特許を受けることができないとする理由を発見しない。
したがって、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、本件訂正事項は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第3項及び同条第5項から第7項までの規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2024-390102