特許拒絶査定不服審判
2024-019850
区分所有投資情報処理装置、区分所有オフィス情報処理システム、区分所有投資情報処理方法、プログラムおよび記憶媒体
- 審判番号
- 2024-019850
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2023-198803
- 請求日
- 2024年12月10日
- 審決日
- 2026年02月19日
- 公報発行日
- 2026年05月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ボルテックス
- 【請求人代理人】弁理士法人友野国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 松田 直也
- 審判官 田川 泰宏
- 審判官 藤原 拓也
- 分類
- P18 .14 -WZ (G06Q) / P18 .536-WZ (G06Q) / P18 .537-WZ (G06Q) / P18 .538-WZ (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項、特許法第2条、特許法第1条、特許法第2条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2023-198803「区分所有投資情報処理装置、区分所有オフィス情報処理システム、区分所有投資情報処理方法、プログラムおよび記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔令和 7年 6月 5日出願公開、特開2025- 85136〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和5年11月24日に出願された特願2023-198803号であって、その手続の経緯の概略は、以下のとおりである。
令和6年 2月27日付け 拒絶理由通知
令和6年 7月 4日 意見書及び手続補正書の提出
令和6年 9月 3日付け 拒絶査定(以下、「原査定」という。)
令和6年12月10日 審判請求書及び手続補正書の提出
令和7年 1月20日 手続補正書(方式)の提出
令和7年10月16日付け 拒絶理由通知
令和7年12月22日 意見書及び手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明は、令和7年12月22日提出の手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであり、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
【請求項1】
ネットワークを介して管理システム及び端末システムが結び付いて構成され、区分所有物件を保有や投資の対象として販売する販売者が区分所有物件を自ら使用する場合のみならず区分所有事務所を賃貸物件として賃貸しする場合を含めて検討することを支援するための情報処理システムであって、
前記管理システムは、管理装置データベース、管理装置サーバ、管理出力装置、スキャナを含む管理入力装置、管理装置インターフェースを備えてなり、
前記端末システムは、端末装置メモリ、端末装置プロセッサ、端末出力装置、スキャナを含む端末入力装置、端末装置インターフェースを備えてなり、
前記管理システムは、オフィスビルの区画を複数の所有主が分割して前記区分所有物件として所有する際の情報を処理するための機能である区分所有オフィス情報処理機能を備え、
前記区分所有オフィス情報処理機能は、
前記端末装置メモリもしくは前記管理装置データベース上の物件基礎情報一覧中の特定コードにより指定されるデータテーブルに、前記区分所有物件に係る物件所在場所情報、物件種別情報、総専有面積情報、共用部分情報、竣工図面に係る情報を含む竣工情報、司法書士図面に係る情報を含む司法書士情報、CAD図面に係る情報を含むCAD情報、測量図面に係る情報を含む測量情報、面積一覧図面に係る情報を含む面積一覧情報、承認図面に係る情報を含む承認に係る情報、を格納する機能と、
前記竣工図面に係る情報に従って、該当する不動産物件を購入して区分所有とした場合、或いは該当する不動産物件を購入して区分所有としたうえでさらに賃貸物件として賃貸する場合、前記竣工図面における専有部分としての具体的な範囲、前記竣工図面における共用部分としての具体的な範囲、賃貸面積範囲として確保すべき具体的数値についての検討結果を反映した情報を前記販売者が格納する旨の指示を行ったことを受けて、前記端末装置プロセッサが前記端末装置メモリ上の、もしくは前記管理装置サーバが前記管理装置データベース上の、前記物件基礎情報一覧中の特定コードにより指定されるデータテーブルにおける前記竣工情報により指定される記憶エリアに格納する機能と、
最終的な各階毎の前記専有部分、共用部分、賃貸面積範囲から得られる専有面積、賃貸面積範囲について承認された結果に係る情報を前記販売者が格納する旨の指示を行ったことを受けて、前記端末装置プロセッサが前記端末装置メモリ上の、もしくは前記管理装置サーバが前記管理装置データベース上の、前記物件基礎情報一覧中の前記承認に係る情報に係る特定コードにより指定されるデータテーブルに格納する機能と
を備え、
前記司法書士情報において、前記司法書士図面に係る専有面積範囲に係る情報は司法書士によって確定される情報であり、
前記司法書士図面に係る専有面積範囲を確定することを司法書士に依頼するに当たっては、前記管理装置サーバが前記管理出力装置に区分ごとの専有面積範囲に関する確定依頼に関する情報を、専有面積範囲を壁芯により囲まれた範囲として赤線を引いて表示するように、手書きで前記赤線を引かれた図面が前記管理入力装置に係るスキャナから入力されることを通して前記管理システムが前記竣工図面に表示する、もしくは前記端末入力装置に係るスキャナから入力されることを通して前記端末システムが前記竣工図面に表示する、ことを特徴とする
情報処理システム。
第3 令和7年10月16日付け拒絶理由通知の概要
令和7年10月16日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由通知」という。)の理由5は、概略、次のとおりのものである。
「5.(発明該当性)この出願の下記の請求項に記載されたものは、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。
記
●理由5(発明該当性)について
・請求項 1~5」
第4 当審の判断
1 本願明細書等の記載事項等について
本願明細書には、次のとおりの記載がある(なお、下線は当審で付与した。以下同様。)。
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
<専用部と共用部との区分け情報>
しかしながら、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4のいずれも、区分所有オフィスの専用部(以下適宜「専有部」とも表現する)と共用部(以下適宜「共有部」とも表現する)との区分け(線引き)に関しては「如何にして実情に合わせるか」にのみ着目していて、他の観点からの検討は為されていない。
【0012】
すなわち、供給側における物件全体に対する専用部と共用部との区分け関係については、充分な検討がなされていない。また、このことにより、購入側では、物件に関する保有や投資の評価において、充分な情報を得ることが困難な状況となっている。」
「【0022】
ここでは、まず、複数の所有主が共有して認識可能な共用部を定義する共用部定義を設定するが、この場合の定義は、従来のように「如何にして実情に合わせるか」の観点で定義するのではなく、「管理規約(不動産登記等の公的手続等に関する規約も含む)における専用部と共用部の定義を如何にすれば、不動産物件としての保有価値を高めることができ、区分所有者間の費用負担等の公平を図ることができるか」の観点で定義する。
【0023】
言い換えると、現状では専用部として扱われている部分を共用部に変更したり、その逆に現状では共用部として扱われている部分を専用部に変更して、保有価値を高め、公平を図ることができるように定義し得る。または、一部の所有主に共有だった部分を全員の共有にしたり、その逆に、全員の共用だった部分を一部の共有に変更して定義し得る。」
「【発明の効果】
【0049】
本発明の各態様によれば、区分所有オフィス事業を含む不動産投資関連において、環境に柔軟に対応しつつ、高精度でありながら、簡易で利用し易い評価が可能になる。」
「【0056】
次に、図2は、図1内の管理システムの基本構成の一例を示す機能ブロック図である。この管理システム20が、本発明の一実施形態に係る区分所有オフィス情報処理システムの一例に該当する。
【0057】
図示のように、管理システム20は、管理装置データベース(以下、「管理装置DB」という。)21、管理装置サーバ22、管理出力装置23、管理入力装置24、管理装置インターフェース26を備える。
【0058】
管理装置サーバ22は、プロセッサ等により区分所有オフィスの管理に関するデータの処理を行い、管理装置DB21は、区分所有オフィスを保有あるいは投資対象として受給側の企業等に供給するための、専有部分、共用部分、さらに賃貸面積等の情報、さらに共用部分の設備に関する情報と各検討結果等を記憶する。
【0059】
管理出力装置23は、ディスプレイ、プリンタ等を備えて構成され、必要に応じて各種情報を出力する。また、管理入力装置24は、キーボード、バーコードリーダ、スキャナ等を備えて構成され、必要に応じて情報の入力を行うが、情報の入力を可能とするすべての装置を含むものとする。なお、管理システム20は、最終的に区分所有オフィス情報処理システムとしての業務遂行が可能であれば、単独でも複数のシステムから構成されていてもかまわない。」
「【0061】
図示のように、端末システム30は、端末装置メモリ(端末装置データベースとも称する)31、端末装置プロセッサ32、端末出力装置33、端末入力装置34、端末装置インターフェース36を備える。
【0062】
端末装置プロセッサ32は、例えば管理システム20から送られる情報等を処理し、例えば端末出力装置33に情報を表示する。端末出力装置33は、ディスプレイ、プリンタ等を備えて構成され、必要に応じて各種情報を出力する。また、端末入力装置34は、キーボード、バーコードリーダ、スキャナ等を備えて構成され、必要に応じて情報の入力を行うが、情報の入力を可能にするすべての装置を含むものとする。」
「【0101】
図6は、図4の具体的な運用例の面積情報検討機能~方針情報検討機能に対応する、現場での共用部定義の実用上の適合性を確認するための運用形態の一例の概要を示す実務運用フロー図である。実務運用フロー図120は、ここでの説明のための図としてばかりでなく、実用上も運用時に各欄に情報を書き込んで適宜更新し、後段または後日の運用に利用される図の一例である。
【0102】
そして、図4の区分所有投資情報処理機能(装置/方法)<250/S250>では、図6で以下に説明する各種参考情報の収集・分析・計算・格納(記録)・フォーマット化その他の各種処理やデータベース化等の機能を実行する機能自体、あるいはその機能を実質的に支援(サポート)するための機能、およびこれらに関連する各種情報を収集・分析・格納(記憶・記録)するための機能、並びに、その後の各情報(データ)の更新機能等の全て(あるいは一部)を含むことができる。
【0103】
[(2)面積情報検討機能(部/工程)<252/S252>]
図6に示すように、まず区分所有事務所という不動産物件を供給する会社、事業体等において、例えば中古不動産物件のうち、区分所有事務所に適する物件を選択して供給するためには、上記会社、事業体等における面積に関する検討を行う部署12202において、下記の検討を行う。
【0104】
[(2)面積情報検討機能-(2-1)竣工情報検討機能(部/工程)<2521/S2521>]
図6に示すように、例えば中古不動産物件の建設を行った施工会社12201等に対し、竣工図等を要求する(122021)。竣工図を要求された竣工会社12201は、例えば竣工図を上記面積検討部署12202に例えば出図する。
【0105】
図5に示すように、さらに、面積確定欄4305には、例えば、該当物件の面積等の状況を確認するための竣工情報コードがSN170001で、竣工情報に関する図面コードがSNZ170001-001であった場合、「竣工情報:SN170001 図面:SNZ170001-001」という情報を格納する。
【0106】
[(2)面積情報検討機能-(2-2)司法書士情報検討機能(部/工程)<2522/S2522>]
図6に示すように、上記面積検討部署12202では、出図された竣工図をもとに、該当不動産物件を例えば賃貸物件として貸し出すことをも想定して、賃貸面積範囲に関する検討・見直しを行い(122022)、上記検討・見直し内容から専有面積範囲を確定する作業(122031)を、例えば司法書士12203に依頼する。上記司法書士12203は依頼内容に基づいて確定作業を行い、上記確定内容に従って上記会社、事業体等として、該当する不動産物件の面積を確定する(122023)。」
「【0124】
[3.運用例に関する付記説明]
図5は、本発明の一実施形態に係る物件基礎情報一覧である。
【0125】
まず、図5に示す物件基礎情報一覧40について説明する。物件基礎情報一覧40は、物件基礎情報一覧の対象となる基礎情報を格納する物件基礎情報コード欄41、物件基礎情報の各項目を格納する物件基礎情報管理欄42、対象物件の基礎情報詳細を示す、例えば物件所在場所欄4301、物件種別欄4302、総専有面積欄4303、共用部分欄4304、面積確定欄4305、設備確定欄4306、・・・、等を備え、さらに面積確定欄4305は、竣工欄43051、司法書士欄43052、CAD欄43053、測量欄43054、面積一覧欄43055、承認欄43056、・・・、等を、設備確定欄406には、検討欄43061、承認欄43062、・・・、等とを備えている。また、物件基礎情報管理欄42は、項目欄421、内容欄422、・・・等を、さらに備えて構成される。
【0126】
次に、物件基礎情報一覧40に格納する各種情報の内容を、以下に示す。まず、物件基礎情報コード欄41には、例えば物件基礎情報の作成年月日が2017年1月1日、更新年月日が2017年2月1日、物件コードが08170001-001、名称が南飯田橋オフィスビルであった場合、例えば「物件基礎情報 作成年月日:2017.01.01 更新年月日:2017.02.01 物件コード:08170001-001 名称:南飯田橋オフィスビル」という情報を格納する。
【0127】
次に、物件基礎情報管理欄42の項目欄421には例えば「項目」、内容欄422には例えば「内容」という情報をそれぞれ格納する。さらに、項目欄421の、物件所在場所欄4301には例えば「物件所在場所」、物件種別欄4302には例えば「物件種別」、総専有面積欄4303には例えば「総専有面積」、共用部分欄4304には例えば「共用部分」、面積確定欄4305には例えば「面積確定」、設備確定欄4306には例えば「設備確定」、・・・、という情報を、またさらに、面積確定欄4305の、竣工欄4351の項目として例えば「竣工」、司法書士欄43052の項目として例えば「司法書士」、CAD欄43053の項目として例えば「CAD」、測量欄43054の項目として例えば「測量」、面積一覧欄43055の項目として例えば「面積一覧」、承認欄4356の項目として例えば「承認」、・・・、という情報を、それぞれ格納する。
【0128】
さらに、設備確定欄4306の、検討欄43061の項目として例えば「検討」、承認欄43062の項目として例えば「承認」、・・・、という情報を、それぞれ格納する。次に、具体的な情報である内容欄422の、物件所在場所欄4301には、例えば物件所在場所が東京都千代田区南飯田橋1-2-3であった場合「東京都千代田区南飯田橋12-3」、物件種別欄4302には、例えば物件種別が区分所有事務所の地上9階であった場合「区分所有事務所 地上9階」、総専有面積欄4303には、例えば総専有面積が1,234.56平方メートルであった場合「1,234.56平方メートル」、共用部分欄4304には、例えば共用部分が駐車場なし、看板あり等であった場合「駐車場:無 看板:有・・・」、・・・、という情報を、それぞれ格納する。
【0129】
さらに、面積確定欄4305の、竣工欄43051、司法書士欄43052、CAD欄43053、測量欄43054、面積一覧欄43055、承認欄43056、・・・、等の各欄に情報を格納するが、竣工欄43051には、例えば、該当物件の面積等の状況を確認するための竣工情報コードがSN170001で、竣工情報に関する図面コードがSNZ170001-001あった場合「竣工情報:SN170001 図面:SNZ170001-001」、という情報を格納する。
【0130】
またさらに、設備確定欄4306の、検討欄43061、承認欄43062、・・・、等の各欄にも情報を格納するが、検討欄43061には、例えば、該当物件の設備等の状況を確認し検討するための検討情報コードがKT170001で、検討情報に関する図面コードがKTZ170001-001あった場合「検討情報:KT170001 図面:KTZ170001-001」、・・・、という情報を格納する。次に、まず上記竣工情報コードおよび画面コードに関し、以下に説明する。
【0131】
上記の通り、本願によれば、例えば中古不動産物件を区分所有事務所として提供するために、該当する不動産物件を販売する会社、事業体の担当者によって、該当する物件を区分所有単位に区切り、販売するためのさまざまな検討を行う必要があるが、そのためには、資料となる、例えば該当する不動産物件の施工業者が作成した図面を入手する。この図面は、一般的に1階平面図、屋階平面図、2階平面図、・・・、等を備えており、紙による図面として入手の上、これを保管、管理してもよいが、紙による図面を、例えば管理装置DB21に格納されたプログラムに従って、管理装置サーバ22により、管理入力装置24の例えばスキャナから取り込み、この取り込んだ情報を、例えば管理出力装置23のディスプレイに対象竣工画表示画面(図示せず)に表示し、読み取った内容の確認を行った上、管理装置DB21に格納されたプログラムに従い、管理装置サーバ22により、管理装置DB21上に格納する。
【0132】
また、例えば管理装置DB21に格納されたプログラムに従って管理装置サーバ22により、例えば施工業者作成のCADによる竣工図面情報、または、例えば手書きの竣工図面を操作者が読み取って、管理出力装置23のディスプレイに表示する竣工図面設定画面(図示せず)に従って、例えば管理システム20の管理入力装置24のキーボードから、例えばCAD用として入力した情報を、管理装置DB21に格納されたプログラムに従い、管理装置サーバ22により、管理装置DB21上に格納するものとする。
【0133】
さらに、必要に応じて、竣工図面設定画面(図示せず)に従った竣工図面表示画面(図示せず)に従って入力した竣工図面を、例えば端末システム30の端末出力装置33、管理システム20の管理出力装置23に表示するものとする。なお、竣工図面は、管理システム20側で入力、メモリ格納してもかまわないし、また、端末システム30側で入力、格納した情報を、例えばネットワーク10を介して、管理システム20側に送信してもかまわない。
【0134】
さらに、管理システム20側で入力、格納した情報を、端末システム30側に送信してもかまわない。さらにまた、例えば関連機関システム202から入力された情報を、例えばネットワーク10を介して、管理システム20、端末システム30等に送信し、おのおので格納してもかまわない。以上、竣工図面について説明したが、この竣工図面作成に関する情報が、竣工情報コードSN170001、図面コードSNZ170001-001であり、上記の通り竣工欄43051に格納されることとなる。
【0135】
このように竣工欄43051に格納された図面情報に従って、例えば該当する不動産物件を購入して区分所有とした場合、さらに例えば賃貸物件として賃貸する場合、専有部分、共用部分、賃貸面積範囲等の検討、さらに、例えば従来では専有部分に属する設備等を共用とすることで、総合的な利便性が向上するよう検討を行う。
【0136】
上記検討のうち、不動産物件の専有面積部分に関する検討等の作業を、例えば本願に従って区分所有事務所の販売を行う担当者が行い、上記各階毎等の、専有部分、共用部分、賃貸面積範囲等に関する検討結果を例えば、竣工情報コードSN170001の指定するデータテーブル等に格納するとともに、竣工図面コードSNZ17001-001の指定する図面に追記等を行う。なお、上記検討内容に従って追記された図面は、例えば竣工図面コードSNZ17001-002のように、コードの枝番を追加することにより、管理するものとする。このように検討結果を反映した情報は、竣工欄43051に格納される各コードにより指定される記憶エリア(図示せず)等に格納されることとなる。
【0137】
以上、上記各階毎等の、専有部分、共用部分、賃貸面積範囲等に関する検討が終了すると、上記専有面積範囲に関しては、上記竣工欄43051に格納された情報に従って、例えば公的な資格を有する司法書士等に、専有面積範囲の確定を依頼する。上記司法書士等により専有面積範囲が確定すると、上記専有面積範囲の確定結果を例えば、司法書士情報コードSS170001の指定するデータテーブル(図示せず)等に格納するとともに、司法書士図面コードSSZ17001-001の指定する図面にとする。このように、司法書士による専有部分確定結果が反映された情報に関する各コードは、司法書士欄43052に格納される。」
「【0163】
次に、上記に示す、例えば公的な資格を有する司法書士等に、専有面積範囲の確定を依頼するための情報を図面に図示する方法について、説明する。まず、上記の通り、例えば区分ごとの専有面積範囲に関する確定依頼に関する情報を、例えば竣工A図面欄50A3に表示した、例えば対象不動産物件の1階平面図に、例えば赤線により、上記検討内容を明示するものとする。
【0164】
上記赤線により明記する場合、例えば専有面積範囲は壁芯により囲まれた範囲であったとして赤線を引いた場合、特許願書における図面は着色できないため、例えば専有面積範囲を示すそれぞれの赤線による壁芯が交差する点を、例えば竣工A図面欄50A3において、指示1円50A31、指示2円50A32、指示3円50A33、・・・、指示6円50A36等により図示している。ただし、実際の例えば竣工A図面欄50A3には、上記指示円は表示されないものとする。
【0165】
次に、上記説明のための指示円について、図13Cに示す円506に従って説明する。円506の指示円5061は、例えば司法書士等へ専有面積確定を依頼するための対象部分を示す指示6円50A36を拡大して示しており、さらに壁面、柱のみを抽出し、その他を省略した図面である。例えば区分所有事務所として販売する予定の対象不動産物件の、1階部分の外部壁面を実線50621、内部壁面を実線50622、柱を実線5063により、それぞれを示している。
【0166】
この外部壁面を示す実線50621と内部壁面を示す実線50622との中心を通る壁芯を、例えば一点鎖線50641および一点鎖線50642により示し、壁芯が交差する交点5064が、司法書士等へ専有面積の確定を依頼する指示点の1つとなる。同様に、指示1円50A31、指示2円50A32、指示3円50A33、・・・、指示5円50A35等に関しても、指示6円50A36に準じて、各指示点を示すものとする(図示せず)。
【0167】
なお、例えば専有部分を司法書士等への指示内容を示す、例えば一点鎖線50641、一点鎖線50642、・・・、等を例えば赤線で線引きする方法としては、例えばCAD入力に準じて、例えば司法書士欄43052の司法書士情報:SS170001と関連するデータテーブル(図示せず)に格納された専有部分に関する情報に従って、例えば管理装置DB21もしくは端末装置メモリ31等に格納されている例えば竣工A図面50A30を、例えば管理出力装置23、端末出力装置33の例えばディスプレイ等に表示し、例えば管理入力装置24、端末入力装置34から、例えば操作者が入力した情報に従って赤線による指示を行い、司法書士図面コードSSZ17001-001として、司法書士情報コードSS17001とともに、物件基礎情報一覧40の面積確定欄4305の司法書士欄43052に格納するものとする。
【0168】
なお、上記説明における、上記赤線に関する情報として、例えば画像デジタル情報であっても、または画像アナログ情報であっても、あるいは数字による表記は文字コード情報であっても、例えば独自に設定したコード等の情報であっても、あるいは、文字コード列に、独自に設定したコード等の情報をさらに付加したものであってもかまわない。あるいは、例えば竣工欄43051の情報に従って印刷された、紙による平面図(図示せず)に、手書きで赤線を引いてもかまわない。この場合、赤線引きされた紙による平面図は、そのまま保管してもよいし、あるいは、例えば管理入力装置24、端末入力装置34の例えばスキャナ等により改めて入力してもよい。さらに、例えば関連機関システム202において、赤線引き、スキャナ入力を行ってもかまわない。
【0169】
以上、司法書士等への専有部分の確定に関する指示について説明したが、例えば専有部分と賃貸範囲部分が異なる場合には、別途この情報を司法書士等へ指示する(図示せず)ものとする。また、これら指示内容が、例えば壁心ではなく内法であった場合には、図面に赤線を引く位置を変更するとともに、例えば司法書士欄43052の情報コードSS170001と関連するデータテーブル(図示せず)にも、上記内法である情報を格納するものとする。」
「
[図:0001434885000001.jpg]
」(【図1】)
2 本願発明の概要
上記1の記載によれば、本願発明の概要は以下のようなものである。
(1)発明が解決しようとする課題について
本願は、「区分所有オフィスの専用部(以下適宜「専有部」とも表現する)と共用部(以下適宜「共有部」とも表現する)との区分け(線引き)に関しては「如何にして実情に合わせるか」にのみ着目していて、他の観点からの検討は為されていない。」(【0011】)、「すなわち、供給側における物件全体に対する専用部と共用部との区分け関係については、充分な検討がなされていない。」(【0012】)との事項を、発明が解決しようとする課題(以下、「本件課題」という。)とするものである。
(2)課題を解決するための手段について
本願は、上記(1)の本件課題を解決するために、「複数の所有主が共有して認識可能な共用部を定義する共用部定義を設定するが、この場合の定義は、従来のように「如何にして実情に合わせるか」の観点で定義するのではなく、「管理規約(不動産登記等の公的手続等に関する規約も含む)における専用部と共用部の定義を如何にすれば、不動産物件としての保有価値を高めることができ、区分所有者間の費用負担等の公平を図ることができるか」の観点で定義する。」(【0022】)、「言い換えると、現状では専用部として扱われている部分を共用部に変更したり、その逆に現状では共用部として扱われている部分を専用部に変更して、保有価値を高め、公平を図ることができるように定義し得る。または、一部の所有主に共有だった部分を全員の共有にしたり、その逆に、全員の共用だった部分を一部の共有に変更して定義し得る。」(【0023】)との事項を、課題を解決するための手段として採用するものである。
(3)効果について
本願は、上記(2)の課題を解決する手段を採用することで、「区分所有オフィス事業を含む不動産投資関連において、環境に柔軟に対応しつつ、高精度でありながら、簡易で利用し易い評価が可能になる。」(【0049】)との効果を奏するものである。
(4)発明の詳細な説明等に記載された技術的意義について
本願発明は、発明の詳細な説明等の記載(特に、【0056】~【0059】、【0061】、【0062】、【0101】~【0106】、【0124】~【0137】、【0163】~【0169】、【図1】の記載)を参照すると、次のとおりの技術的意義を有するものといえる。
すなわち、
管理システム20と端末システム30を含む情報処理システムにおいて(【図1】)、
管理システム20は、管理装置DB21、管理装置サーバ22、管理出力装置23、スキャナを含む管理入力装置24、管理装置インターフェース26を備え(【0057】、【0059】)、
端末システム30は、端末装置メモリ31、端末装置プロセッサ32、端末出力装置33、端末入力装置34、端末装置インターフェース36を備え(【0061】、【0062】)、
管理システム20(区分所有オフィス情報処理システム)の面積情報検討機能として、会社、事業体等における面積検討部署12202において(【0103】)、中古不動産物件の建設を行った施工会社12201等に対し、竣工図等を要求し(【0104】)、面積検討部署12202では、出図された竣工図をもとに、該当不動産物件を例えば賃貸物件として貸し出すことをも想定して、賃貸面積範囲に関する検討・見直しを行い(122022)、上記検討・見直し内容から専有面積範囲を確定する作業(122031)を、例えば司法書士12203に依頼するものであり、そのために、物件基礎情報一覧40に所定の情報(【0127】参照)を格納し、(【0106】、【0124】~【0128】)、
竣工欄43051に格納された竣工図面に関する図面情報(【0129】、【0134】参照)に従って、区分所有事務所の販売を行う担当者(販売担当者)が、専有部分、共用部分、賃貸面積範囲等の検討(不動産物件の専有面積部分に関する検討等)をし、検討結果を格納し(【0135】~【0136】)、
竣工欄43051に格納された情報に従って、例えば公的な資格を有する司法書士に、専有面積範囲の確定を依頼し(【0137】)、
司法書士への専有面積範囲の確定の依頼に関する情報を、竣工A図面欄50A3に表示した、対象不動産物件の1階平面図に赤線により検討内容を明示するものであって(【0163】)、専有面積範囲を壁芯により囲まれた範囲とするもの(【0164】~【0168】)と、壁心ではなく内法であった場合には、図面に赤線を引く位置を変更するもの(【0169】)とがあり、赤線は、紙による平面図に、手書きで赤線を引いてもかまわず、赤線引きされた紙による平面図は、管理入力装置24、端末入力装置34のスキャナ等により改めて入力してもよい(【0168】)とするものである。
3 当審拒絶理由通知の理由5(発明該当性(特許法第29条第1項柱書に規定する要件))について
(1)発明該当性についての当審の判断
ア 特許制度は、新しい技術である発明を公開した者に対し、その代償として一定の期間、一定の条件の下に特許権という独占的な権利を付与し、他方、第三者に対してはこの公開された発明を利用する機会を与えるものであり、特許法は、このような発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的とする(特許法第1条)。また、特許の対象となる「発明」とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」であり(同法第2条第1項)、一定の技術的課題の設定、その課題を解決するための技術的手段の採用及びその技術的手段により所期の目的を達成し得るという効果の確認という段階を経て完成されるものである。
そうすると、請求項に記載された特許を受けようとする発明が、同法第2条第1項に規定する「発明」といえるか否かは、前提とする技術的課題、その課題を解決するための技術的手段の構成及びその構成から導かれる効果等の技術的意義に照らし、全体として考察した結果、「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するといえるか否かによって判断すべきものである。
そして、「発明」は、上記のとおり、「自然法則を利用した技術的思想の創作」であるところ、単なる人の精神活動、意思決定、抽象的な概念や人為的な取決めそれ自体は、自然法則とはいえず、また、自然法則を利用するものでもないから、直ちには「自然法則を利用した」ものということはできない。
したがって、請求項に記載された特許を受けようとする発明が、そこに何らかの技術的思想が提示されているとしても、上記のとおり、その技術的意義に照らし、全体として考察した結果、その課題解決に当たって、専ら、人の精神活動、意思決定、抽象的な概念や人為的な取決めそれ自体に向けられ、自然法則を利用したものといえない場合には、特許法第2条第1項所定の「発明」に該当するとはいえない。
以上の観点から、本願発明の発明該当性について、以下、検討する。
イ 本願発明は、上記2(1)のとおりの、区分所有オフィスの専用部と共用部との区分けに関しては「如何にして実情に合わせるか」にのみ着目して、他の観点からの検討は為されていない、すなわち、供給側における物件全体に対する専用部と共用部との区分け関係については、充分な検討がなされていないとの本件課題の解決をするために、本願発明の構成を採用したものである。
ウ 本願発明が採用した構成について詳細をみると、本願発明は、ネットワークを介して管理システム及び端末システムが結び付いて構成される「情報処理システム」であって、「ネットワークを介して管理システム及び端末システムが結び付いて構成され」ており、管理システム及び端末システムは、それぞれ、管理装置データベース、管理装置サーバ、管理出力装置、管理入力装置、管理装置インターフェースを備え、端末システムは、端末装置メモリ、端末装置プロセッサ、端末出力装置、端末入力装置、端末装置インターフェースを備えるものであって、このようなシステムによって、「物件基礎情報」に各情報を「格納する機能」、「検討結果を反映した情報を前記販売者が格納する旨の指示を行ったことを受けて」「竣工情報により指定される記憶エリアに格納する機能」、「承認された結果に係る情報を」「特定コードにより指定されるデータテーブルに格納する機能」を備える「区分所有オフィス情報処理機能」を実行させ、「専有面積範囲を確定することを司法書士に依頼」するに当たり、「専有面積範囲を壁芯により囲まれた範囲として赤線を引いて表示するように」、「手書きで前記赤線を引かれた図面」を「スキャナから入力されることを通して前記端末システムが前記竣工図面に表示する」処理を実行させる発明である。
そして、発明の詳細な説明においても、上記2(4)のとおりの事項が記載されるのみであって、本願発明の「情報処理システム」は、物件基礎情報一覧40に所定の情報を格納し、竣工図をもとに、該当不動産物件を賃貸物件として貸し出すことをも想定して、賃貸面積範囲に関する検討・見直しを行い、その検討結果を格納し、検討内容を、竣工図に専有面積範囲を壁芯又は内法によって赤線で明示して、司法書士に専有面積範囲の確定の依頼として表示するものであり、また、壁芯又は内法によって専有面積範囲を明示する赤線は、管理入力装置24、端末入力装置34から操作者が入力したり、紙による平面図に手書きで赤線を引いたりしたものであり、赤線引きされた紙による平面図は、管理入力装置24、端末入力装置34のスキャナにより改めて入力される。
エ これによって、本願発明は、上記2(3)のとおり、区分所有オフィス事業を含む不動産投資関連において、環境に柔軟に対応しつつ、高精度でありながら、簡易で利用し易い評価が可能になるとの効果を奏するものである。
オ しかしながら、本願発明は、上述したとおり、「管理規約(不動産登記等の公的手続等に関する規約も含む)における専用部と共用部の定義を如何にすれば、不動産物件としての保有価値を高めることができ」るかについての区分け関係については充分な検討されていないとの課題を解決するために、区分所有オフィスの専用部として扱われている部分を共用部に変更したり、その逆に現状では共用部として扱われている部分を専用部に変更することとしては、賃貸面積範囲に関する検討・見直しを行い、その検討結果を格納することや、紙による平面図に手書きで赤線を引いたりして、検討内容を明示して、司法書士が専用面積範囲の確定をするための依頼をするのみであって、本願発明は、発明の詳細な説明の記載を参照しても、これらの機能を実現するために、(a)コンピュータが本来持っている(情報処理システムの)情報を格納する機能を用いて、区分所有物件に関する業務上必要な情報を格納すること、すなわち、業務上必要な情報を格納すること、(b)コンピュータが本来持っている(情報処理システムの)情報を格納する機能を用いて、販売担当者による不動産物件の専有面積部分に関する検討結果を反映した情報を、販売担当者の指示を受けて格納すること、すなわち、検討は販売担当者が行うものであって、情報処理システムは、販売担当者の指示に基づいて検討結果に関する情報を格納するのみで、検討についての情報処理を行うものではなく、(c)コンピュータが本来持っている(情報処理システムの)情報を表示する機能を用いて、検討・見直し内容から専有面積範囲の確定を司法書士に依頼するに当たり、手書きで赤線を引くことで検討内容を明示した、例えば対象不動産物件の1階平面図を表示するものであること、すなわち、情報処理システムは、手書きで赤線を引かれた図面を表示するのみで、赤線を引く手書きを技術的に支援するものではなく、当該図面に基づいて何らかの情報処理を実行するものでもない。
カ ここで、本願発明の「赤線」の意義について確認する。
本願発明は、上記2(1)のとおりの本件課題を解決しようとするものである。
そして、本件課題における「管理規約(不動産登記等の公的手続等に関する規約も含む)における専用部と共用部の定義を如何にすれば、不動産物件としての保有価値を高めることができ」るかについて、本願の発明の詳細な説明には、上記1で摘記した段落【0136】、【0137】、【0163】~【0169】に加え、次のとおりの記載がある。
「【0093】
言い換えると、現状では専用部として扱われている部分を共用部に変更したり、その逆に現状では共用部として扱われている部分を専用部に変更して、保有価値を高め、公平を図ることができるように定義し得る。または、一部の所有主に共有だった部分を全員の共有にしたり、その逆に、全員の共用だった部分を一部の共有に変更して定義し得る。」
このように、発明の詳細な説明には、管理規約(不動産登記等の公的手続等に関する規約も含む)における専用部と共用部の定義を如何にすれば、不動産物件としての保有価値を高めるために、現状では専用部として扱われている部分を共用部に変更したり、その逆に現状では共用部として扱われている部分を専用部に変更するものであって、販売担当者が、変更するために行われた検討結果を明示するために、竣工図面に赤線を引くものである。
そして、赤線は、竣工図面における、現状では専用部として扱われている部分を共用部に変更したり、その逆に現状では共用部として扱われている部分を専用部に変更することを検討した結果を示すものである。
キ 以上を踏まえると、本願発明の技術的意義は、区分所有物件の販売担当者が、不動産物件としての保有価値を高めるために、格納されている竣工図面に対する検討(現状では専用部として扱われている部分を共用部に変更したり、その逆に現状では共用部として扱われている部分を専用部に変更したりという検討)を行い、その検討内容を手書きで赤線を引いて明示することで、司法書士に専有面積範囲の確定を依頼する対象箇所が視覚的に分かるようにしたというものである(すなわち、区分所有物件の販売担当者が、不動産物件としての保有価値を高めるための検討を行い、司法書士にその検討内容の確認を依頼するものである)から、その本質は、専ら人為的取決め、又は、人間の精神活動そのものに向けられたものであり、自然法則を利用するものとはいえない。
(2)審判請求人の主張について
ア 審判請求人は、令和7年12月22日提出の意見書において、次のように主張する。
「補正後請求項1に係る発明は、「前記区分所有オフィス情報処理機能は、
前記端末装置メモリもしくは前記管理装置データベース上の物件基礎情報一覧中の特定コードにより指定されるデータテーブルに、前記区分所有物件に係る物件所在場所情報、物件種別情報、総専有面積情報、共用部分情報、竣工図面に係る情報を含む竣工情報、司法書士図面に係る情報を含む司法書士情報、CAD図面に係る情報を含むCAD情報、測量図面に係る情報を含む測量情報、面積一覧図面に係る情報を含む面積一覧情報、承認図面に係る情報を含む承認に係る情報、を格納する機能と、
前記竣工図面に係る情報に従って、該当する不動産物件を購入して区分所有とした場合、或いは該当する不動産物件を購入して区分所有としたうえでさらに賃貸物件として賃貸する場合、前記竣工図面における専有部分としての具体的な範囲、前記竣工図面における共用部分としての具体的な範囲、賃貸面積範囲として確保すべき具体的数値についての検討結果を反映した情報を前記販売者が格納する旨の指示を行ったことを受けて、前記端末装置プロセッサが前記端末装置メモリ上の、もしくは前記管理装置サーバが前記管理装置データベース上の、前記物件基礎情報一覧中の特定コードにより指定されるデータテーブルにおける前記竣工情報により指定される記憶エリアに格納する機能と、
最終的な各階毎の前記専有部分、共用部分、賃貸面積範囲から得られる専有面積、賃貸面積範囲について承認された結果に係る情報を前記販売者が格納する旨の指示を行ったことを受けて、前記端末装置プロセッサが前記端末装置メモリ上の、もしくは前記管理装置サーバが前記管理装置データベース上の、前記物件基礎情報一覧中の前記承認に係る情報に係る特定コードにより指定されるデータテーブルに格納する機能と」
を備えることで、周囲条件など環境が変われば、それに伴って変化する本質的な特性である投資評価属性を参照することを可能とし、これにより、環境に柔軟に対応でき、その対応をきめ細かく行うことにより、評価精度を向上させることができるから(原明細書の第0075段落等)、「区分所有オフィス事業を含む不動産投資関連において、環境に柔軟に対応しつつ、高精度でありながら、簡易で利用し易い評価が可能になる」(原明細書の第0049段落)という独自の効果を奏するものです。したがって、本願の補正後請求項1で規定される「情報処理システム」は、人為的な取り組みではなく、コンピュータシステムという自然法則を利用した技術的思想の創作に該当するものであるから、上記ご指摘は補正後請求項1については妥当しないものと思料いたします。」
イ 審判請求人による上記アの主張について、以下に検討する。
本願発明は、上記(1)キのとおり、本願発明は、区分所有物件の販売担当者が、不動産物件としての保有価値を高めるために、格納されている竣工図面に対する検討(現状では専用部として扱われている部分を共用部に変更したり、その逆に現状では共用部として扱われている部分を専用部に変更したりという検討)を行い、その検討内容を手書きで赤線を引いて明示することで、司法書士に専有面積範囲の確定を依頼の対象箇所が視覚的に分かるようにしたというものであることを本質とするものである。そして、審判請求人が主張する効果も、販売担当者が区分けの変更を検討すること、赤線を引くことによって奏する効果にすぎない。
ウ したがって、審判請求人の上記アの主張は採用できない。
(3)小括
以上のとおり、本願発明は、自然法則を利用するものとはいえないから、特許法第2条で定義される「発明」に該当しない
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第2条で定義される「発明」に該当しないから、同法第29条第1項柱書に規定する「産業上利用することができる発明」に該当せず、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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