特許拒絶査定不服審判
2023-022375
映像符号化方法及び装置、並びに映像復号化方法及び装置
- 審判番号
- 2023-022375
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-089918
- 請求日
- 2023年12月28日
- 審決日
- 2025年03月24日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】エレクトロニクス アンド テレコミュニケーションズ リサーチ インスチチュート
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】吉元 弘
- 【請求人】ユニバーシティ-インダストリー コーオペレイション グループ オブ キョンヒ ユニバーシティ
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】関根 毅
- 【請求人代理人】吉元 弘
- 審判長/審判官
- 審判長 高橋 宣博
- 審判官 坂本 聡生
- 審判官 畑中 高行
- 分類
- P18 .121-Z (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 89918「映像符号化方法及び装置、並びに映像復号化方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 8月 9日出願公開、特開2022-116271〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2013年(平成25年)7月2日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2012年7月2日(KR)大韓民国、2013年7月2日(KR)大韓民国)を国際出願日とする特願2015-520053号の一部を平成30年3月5日に新たな特許出願とした特願2018-38922号の一部をさらに令和元年12月2日に新たな特許出願とした特願2019-218313号の一部をさらに令和2年2月20日に新たな特許出願とした特願2020-27478号の一部をさらに令和4年6月1日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年 3月31日付け:拒絶理由通知書
同年 6月30日 :意見書の提出
同年 8月28日付け:拒絶査定
同年12月28日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 2月27日付け:前置報告
同年 4月18日 :上申書の提出
第2 令和5年12月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和5年12月28日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正前の請求項の記載
本件補正は、特許請求の範囲を補正するものであり、本件補正前の本件の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
なお、各構成の記号A~D13は、分説するために当審にて付した。以下、「構成A」~「構成D13」という。
「【請求項1】
A 映像復号化方法であって、
B 現在ブロックの逆量子化変換係数を取得するステップ;
C 前記現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報を取得するステップ;
D 前記情報が、前記現在ブロックに前記変換を行うことを示す場合、前記現在ブロックの変換のタイプを決定するステップ;
E 前記決定された変換のタイプに基づいて、前記逆量子化変換係数に前記変換を行うことにより、前記現在ブロックの残差サンプルを取得するステップ;
を含み、
D13 前記現在ブロックの前記変換のタイプは、イントラ予測モードに依存しない整数離散余弦変換(Discrete Cosine Transform;DCT)、又はイントラ予測モードに依存しない整数離散正弦変換(Discrete Sine Transform;DST)に決定される
A ことを特徴とする映像復号化方法。」
(2)本件補正後の請求項の記載
本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
なお、下線は、補正箇所を示す目的で請求人が付したものである。
「【請求項1】
A 映像復号化方法であって、
B 現在ブロックの逆量子化変換係数を取得するステップ;
C 前記現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報を取得するステップ;
D 前記情報が、前記現在ブロックに前記変換を行うことを示す場合、前記現在ブロックの変換のタイプを決定するステップ;
E 前記決定された変換のタイプに基づいて、前記逆量子化変換係数に前記変換を行うことにより、前記現在ブロックの残差サンプルを取得するステップ;
を含み、
D1 前記現在ブロックの前記変換のタイプは、垂直方向と水平方向に対してそれぞれ決定され、
D11 前記現在ブロックがイントラ予測されない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDCT(整数離散余弦変換、Discrete Cosine Transform)として決定され、
D12 前記現在ブロックがイントラ予測される場合、前記現在ブロックの前記変換のタイプは、前記現在ブロックのブロックサイズに基づいて決定され、
D121 前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4である場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDST(整数離散正弦変換、DiscreteSine Transform)として決定され、
D122 前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4ではない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは両方ともDCTとして決定され、
D13 前記現在ブロックの前記変換のタイプは、イントラ予測モードに依存しないDCT、又はイントラ予測モードに依存しないDSTに決定される
A ことを特徴とする映像復号化方法。」
2 補正の適否
(1)補正事項
本件補正は、以下の補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
補正前の請求項1に
「 D1 前記現在ブロックの前記変換のタイプは、垂直方向と水平方向に対してそれぞれ決定され、
D11 前記現在ブロックがイントラ予測されない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDCT(整数離散余弦変換、Discrete Cosine Transform)として決定され、
D12 前記現在ブロックがイントラ予測される場合、前記現在ブロックの前記変換のタイプは、前記現在ブロックのブロックサイズに基づいて決定され、
D121 前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4である場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDST(整数離散正弦変換、Discrete Sine Transform)として決定され、
D122 前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4ではない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは両方ともDCTとして決定され、」
との構成(以下、「構成1」という。)を追加する補正。
なお、各構成の記号D1~D122は、上記1(1)のように、分説するために当審にて付したものである。
(2)新規事項について
ア 本件補正により追加された構成1のうち、構成D11の「前記現在ブロックがイントラ予測されない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDCT(整数離散余弦変換、Discrete Cosine Transform)として決定され、」、D121の「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4である場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDST(整数離散正弦変換、Discrete Sine Transform)として決定され、」及びD122の「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4ではない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは両方ともDCTとして決定され、」は、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲または図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載も示唆もされていない。
この点に関して、当初明細書等には、以下の記載がある。なお、下線は、強調のため当審にて付したものである。
(ア)「【0003】
現在MPEG(Moving Picture Experts Group)とVCEG(Video Coding Experts Group)は、共同に次世代ビデオコーデックであるHEVC(High Efficiency Video Coding)を標準化しており、UHD映像まで含む映像をH.264/AVC対比2倍の圧縮効率で符号化をすることを目標としている。これはHD、UHD映像だけでなく、3D放送及び移動通信ネットワークでも現在より低い周波数で高画質の映像を提供することができる。」
(イ)「【0084】
前記のように、イントラ予測モードに基づいて予測が実行されることによって取得された信号に対する予測映像は、原映像との差分値を有することができる。このような予測映像と原映像との間の差分値を有する差分映像は、周波数領域変換と量子化を経てエントロピー符号化されることができる。このとき、周波数領域変換の符号化効率を上げるために、整数変換、整数離散余弦変換(Discrete Cosine Transform;DCT)、整数離散正弦変換(Discrete Sine Transform;DST)、またはイントラ予測モード従属的なDCT/DSTなどをブロック大きさによって選択的、適応的に適用することができる。」
(ウ)「【0152】
他の例として、該当ブロックに適用されるスケールファクタ値は、該当ブロックの信号に対する色相特性を誘導することができる情報(例えば、色相成分インデックスcIdx)値によって下記のように設定されることができる。色相成分インデックスcIdxは、その値によって輝度信号(Y信号)または色差信号(Cb信号またはCr信号)を示す。
【0153】
-例1:該当ブロックの信号が明るさ信号(輝度信号)であるかどうかによって基本スケールファクタ値を‘Ty’または‘Tc’に設定する。例えば、明るさ信号の場合、基本スケールファクタ値を‘Ty’に設定し、明るさ信号でない場合(色差信号の場合)、基本スケールファクタ値を‘Tc’に設定する。
【0154】
-例2:該当ブロックの色相成分別に基本スケールファクタ値を設定する。例えば、輝度信号(Y信号)の場合、基本スケールファクタ値を‘Ty’に設定し、色差信号がCb信号の場合、基本スケールファクタ値を‘Tcb’に設定し、色差信号がCr信号の場合、基本スケールファクタ値を‘Tcr’に設定する。
【0155】
ここで、Ty、Tc、Tcb及び/またはTcr値は、符号化器が決定してシグナリングしてもよく、予め決められた値を使用してもよい。ビットストリームを介してシグナリングされる場合、復号化器は、ビットストリームをパーシングしてTy、Tc、Tcb及び/またはTcr値を求めることができる。
【0156】
前述した本発明の実施例による符号化パラメータによって基本スケールファクタを決定する方法は、独立的に適用されてもよく、組み合わせて適用されてもよいが、同じ変換スキップブロックに対してはブロック(符号化または復号化対象ブロック)内の係数(または、信号)の位置に関係なく常に同じスケールファクタ値が適用されなければならない。
【0157】
前述した本発明の実施例を反映した変換係数のスケーリング過程(Scaling Process for transform coefficients)は、下記のように実行されることができる。
【0158】
変換係数のスケーリング過程
【0159】
ここでの入力は、下記の通りである。
【0160】
-現在変換ブロックの幅Width;nW
【0161】
-現在変換ブロックの高さHeight;nH
【0162】
-要素(element)cijを有する変換係数の配列;(nW×nH)array d
【0163】
-現在変換ブロックの変換スキップ適用可否情報
【0164】
-現在ブロックの輝度信号及び色差信号に対するインデックス;cIdx
【0165】
もし、cIdxが‘0’の場合、輝度信号を意味し、cIdxが‘1’であり、またはcIdxが‘2’の場合、色差信号を意味する。また、cIdxが‘1’の場合、色差信号でCbを意味し、cIdxが‘2’の場合、色差信号でCrを意味する。
【0166】
-量子化パラメータ;qP
【0167】
ここでの出力は、下記の通りである。
【0168】
-スケールされた変換係数に対する配列;(nW×nH)array dij
【0169】
変数log2TrSizeは、log2TrSize=(Log2(nW)+Log2(nH))>>1を介して誘導される。変数shiftは、cIdxによって異なるように誘導される。cIxが‘0’の場合(輝度信号の場合)、shift=BitDepthY+log2TrSize-5から誘導され、その以外の場合(色差信号の場合)、shift=BitDepthC+log2TrSize-5から誘導される。ここで、BitDepthYとBitDepthCは、現在映像に対するサンプルのビット数(例えば、8ビット)を意味する。」
(エ)「【0196】
もし、cIdxが‘0’の場合、輝度信号を意味し、cIdxが‘1’であり、またはcIdxが‘2’の場合、色差信号を意味する。また、cIdxが‘1’の場合、色差信号でCbを意味し、cIdxが‘2’の場合、色差信号でCrを意味する。
【0197】
ここでの出力は、下記の通りである。
【0198】
-スケールされた変換係数を逆変換して求められた残余ブロックに対する配列;(nW×nH)array r
【0199】
現在ブロックに対する符号化モード(PredMode)が画面内予測モード(Intra)であり、Log2(nW*nH)値が‘4’であり、cIdx値が‘0’の場合、輝度信号の画面内予測方向モード(イントラ予測モード)によって、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、以下の表3を介して求められる。もし、その以外の場合、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、‘0’に設定する。
【0200】
表3は、イントラ予測モードによるhorizTrTypeとvertTrType値の一例を示す。
【0201】
【表3】
[図:0001426390000001.jpg]
【0202】
現在ブロックに対する残余信号は、下記のような順序に求められる。
【0203】
まず、もし、現在ブロックに対する変換スキップが適用された場合は、下記を適用する。
【0204】
1.もし、cIdxが‘0’の場合、shift=13-BitDepthYであり、その以外の場合、shift=13-BitDepthCである。
【0205】
2.残余ブロックに対する配列rij(i=0..(nW)-1,j=0..(nH)-1)は、下記のように設定する。
【0206】
-もし、shiftが‘0’より大きい場合、rij=(dij+(1<<(shift-1)))>>shiftであり、その以外の場合、rij=(dij<<(-shift)である。
【0207】
もし、現在ブロックに対する変換スキップが適用されない場合は、下記を適用する。
【0208】
1.変数horizTrTypeとvertTrType値を有してスケールされた変換係数に対する逆変換過程を実行する。まず、現在ブロックの大きさ(nW,nH)とスケールされた変換係数配列(nW×nH array d)、変数horizTrTypeの入力を受けて水平方向に1次元逆変換を実行することで、配列(nW×nH array e)を出力する。
【0209】
2.次に、配列(nW×nH array e)の入力を受けて配列(nW×nH array g)を以下の数式16のように誘導する。
【0210】
【数16】
[図:0001426390000002.jpg]
【0211】
3.次に、現在ブロックの大きさ(nW,nH)と配列(nW×nH array g)、変数vertTrTypeの入力を受けて垂直方向に1次元逆変換を実行する。
【0212】
4.次に、cIdxによって残余ブロックに対する配列(nW×nH)array rを以下の数式17のように設定する。
【0213】
【数17】
[図:0001426390000003.jpg]
【0214】
ここで、shiftは、cIdxが‘0’の場合、shift=20-BitDepthYであり、その以外の場合、shift=20-BitDepthC値を有する。BitDepthは、現在映像に対するサンプルのビット数(例えば、8ビット)を意味する。」
イ 上記ア(ア)によれば、本件は、HEVCに関する技術を前提とするものであるから、変換ブロックは、その幅と高さの値が同じである正方形である。そのため、上記ア(ウ)の「現在変換ブロックの幅Width;nW」(【0160】)と「現在変換ブロックの高さHeight;nH」(【0161】)とは、同じ値をとり、上記ア(エ)の「Log2(nW*nH)値が‘4’」(【0199】)であることは、変換ブロックの大きさが4×4であることを示している。
ウ 上記ア(エ)の段落【0199】によれば、以下の3つの条件、
(i)現在ブロックに対する符号化モードが画面内予測モード(Intra)であること、
(ii)Log2(nW*nH)値が‘4’であること、すなわち、上記イによると、変換ブロックの大きさが4×4であること、
(iii)cIdx値が‘0’であること、すなわち、上記ア(ウ)の段落【0165】及び上記ア(エ)の段落【0196】によると、輝度信号であること、
が満たされる場合、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、表3を介して求められ、上記段落【0199】の「その以外の場合」とは、「それ以外の場合」の誤記であり(以下、誤記として「それ以外の場合」とする。)、その意味するところは、上記段落【0199】の「現在ブロックに対する符号化モード(PredMode)が画面内予測モード(Intra)であり、Log2(nW*nH)値が‘4’であり、cIdx値が‘0’の場合」以外の場合のことであるから、上記3つの条件のいずれか又は全てが満たされない場合、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、‘0’に設定するといえる。
そして、表3によれば、イントラ予測モードの‘0’~‘34’に基づいて、変数horizTrTypeとvertTrTypeとを、‘0’又は‘1’に設定するといえる。
しかしながら、上記ア(ウ)及び(エ)や表3には、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’又は‘1’の場合に、いかなる変換が行われるかについて、何ら記載されていない。
エ 上記ア(イ)によれば、周波数領域変換の符号化効率を上げるために、整数変換、整数離散余弦変換(Discrete Cosine Transform;DCT)、整数離散正弦変換(Discrete Sine Transform;DST)、またはイントラ予測モード従属的なDCT/DSTなどをブロック大きさによって選択的、適応的に適用することができるが、具体的に、ブロックの大きさがいかなる場合に、どの変換が選択的、適応的に適用されるのか不明である。
また、イントラ予測モード従属的なDCT/DSTを除くと、ブロックの大きさ以外の条件については、何ら記載されていない。
そして、イントラ予測モード従属的なDCT/DSTについては、上記ウのとおり、イントラ予測モードの‘0’~‘34’に基づいて、変数horizTrTypeとvertTrTypeとを、‘0’又は‘1’に設定するといえるが、上記ア(ウ)及び(エ)や表3には、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’又は‘1’の場合に、いかなる変換が行われるかについて、何ら記載されていない。
オ 上記ウ及びエによれば、構成D11、D121及びD122に関して以下のことがいえる。
(ア)構成D11について
構成D11の「前記現在ブロックがイントラ予測されない場合」は、上記ウの3つの条件のうちの条件(i)を満たさないから、「上記3つの条件のいずれか又は全てが満たされない場合」に相当し、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、‘0’に設定される。
しかしながら、上記ウのように、上記ア(ウ)及び(エ)や表3には、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’の場合に、いかなる変換が行われるかについて、何ら記載されていないから、構成D11の「前記現在ブロックがイントラ予測されない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDCT(整数離散余弦変換、Discrete Cosine Transform)として決定され」ることは、記載されているとはいえない。
また、当初明細書等のその他の記載を見ても、構成D11について記載も示唆もされておらず、また、構成D11のようにすることが、技術常識であるともいえない。
(イ)構成D121について
a 構成D121の「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4である場合」は、上記ウの3つの条件のうちの条件(i)及び(ii)を満たし、映像符号化・復号化の技術分野において、符号化・復号化の対象信号は、何も記載がなければ輝度信号であることが一般的であるから、条件(iii)も満たしているといえ、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、表3を介して求められる。
しかしながら、上記ウのように、上記ア(ウ)及び(エ)や表3には、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’ 又は‘1’の場合に、いかなる変換が行われるかについて、何ら記載されていないから、構成D121の「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4である場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDST(整数離散正弦変換、Discrete Sine Transform)として決定され」ることは、記載されているとはいえない。
また、当初明細書等のその他の記載を見ても、構成D121について記載も示唆もされておらず、また、構成D121のようにすることが、技術常識であるともいえない。
b 上記エのように、表3では、イントラ予測モードの‘0’~‘34’に基づいて、変数horizTrTypeとvertTrTypeとを、‘0’又は‘1’に設定し、表3には、イントラ予測モードの値に応じて、変数horizTrTypeとvertTrTypeとの値の組は、(horizTrType,vertTrType)=(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)の4組のうちの1組を取ることが記載されていることから、「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4である場合」であっても、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプとを両方とも同じものとして決定する場合だけでなく、異なるものとして決定する場合があることが記載されている。
してみると、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプとを決定するためには、上記ウの条件(i)~(iii)だけでなく、イントラ予測モードの値も必須の条件となる。
しかしながら、当該イントラ予測モードの値を条件としない構成D121の「前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDST」「として決定され」ることでは、イントラ予測モードの値によらず、すべてのイントラ予測モードの値に対して、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプを両方とも同じDSTとして決定することも含むこととなり、また、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプとを異なるものとして決定することや、両方ともDSTとして決定することのみを選択することが当初明細書等には記載されていないことから、当初明細書等に記載されていない新たな技術的事項を導入することになるといえる。
(ウ)構成D122について
構成D122の「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4ではない場合」は、上記ウの3つの条件のうちの条件(ii)を満たさないから、「上記3つの条件のいずれか又は全てが満たされない場合」に相当し、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、‘0’に設定される。
しかしながら、上記(ア)と同様に、上記ア(ウ)及び(エ)や表3には、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’の場合に、いかなる変換が行われるかについて、何ら記載されていないから、構成D122の「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4ではない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは両方ともDCTとして決定され」ることは、記載されているとはいえない。
また、当初明細書等のその他の記載を見ても、構成D122について記載も示唆もされておらず、また、構成D122のようにすることが、技術常識であるともいえない。
カ 当初明細書等には、明確に記載されていないものの、変換のタイプとして、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’の場合がDCT、‘1’の場合がDSTであると仮定した場合について以下で検討する。
(ア)構成D11について
上記オ(ア)のように、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、‘0’に設定
されるから、変換のタイプはDCTである。
してみると、構成D11の「前記現在ブロックがイントラ予測されない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDCT(整数離散余弦変換、Discrete Cosine Transform)として決定され」ることは、記載されているといえる。
(イ)構成D121について
上記オ(イ)bのように、表3では、イントラ予測モードの‘0’~‘34’に基づいて、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’又は‘1’に設定されるから、イントラ予測モードの値に応じて、変換のタイプがDCT又はDSTに設定されるといえる。
しかしながら、上記オ(イ)bのように、表3には、イントラ予測モードの値に応じて、変数horizTrTypeとvertTrTypeとの値の組が、(horizTrType,vertTrType)=(0,0)、(0,1)、(1,0)、(1,1)の4組のうちの1組を取ることが記載されていることから、「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4である場合」、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプとについて、以下の3パターンがあるといえる。
(i)(horizTrType,vertTrType)=(0,0):両方ともDCTとして決定する。
(ii)(horizTrType,vertTrType)=(0,1)、(1,0):一方がDCTで他方がDST、又は一方がDSTで他方がDCTという異なる変換のタイプとして決定する。
(iii)(horizTrType,vertTrType)=(1,1):両方ともDSTとして決定する。
してみると、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプとを決定するためには、上記ウの条件(i)~(iii)だけでなく、イントラ予測モードの値も必須の条件となる。
しかしながら、当該イントラ予測モードの値を条件としない構成D121の「前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは、両方ともDST」「として決定され」ることでは、イントラ予測モードの値によらず、すべてのイントラ予測モードの値に対して、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプとを両方ともDSTとして決定することも含むこととなり、また、上記(i)及び(ii)を選択せず、上記(iii)の両方ともDSTとして決定することのみを選択することが当初明細書等には記載されていないことから、当初明細書等に記載されていない新たな技術的事項を導入することになるといえる。
(ウ)構成D122について
上記オ(ウ)のように、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、‘0’に設定
されるから、変換のタイプはDCTである。
してみると、構成D122の「前記現在ブロックがイントラ予測であり、前記現在ブロックのサイズが4×4ではない場合、前記現在ブロックの水平方向の前記変換のタイプと垂直方向の前記変換のタイプは両方ともDCTとして決定され」ることは、記載されているといえる。
キ 構成D13に「前記現在ブロックの前記変換のタイプは、イントラ予測モードに依存しないDCT、又はイントラ予測モードに依存しないDSTに決定される」と記載されていることから、構成D11~D122について、イントラ予測がされるかされないかは、変換のタイプの決定の条件となるが、イントラ予測モードは、条件とならない場合について以下で検討する。
イントラ予測モードが条件とならないことから、上記ア(エ)の段落【0199】~【0201】の表3を介して求められる場合は、構成1の根拠とならない。
そのため、構成1の根拠として考えられる記載は、上記段落【0199】の「その以外の場合、変数horizTrTypeとvertTrTypeは、‘0’に設定する。」と上記ア(イ)の段落【0084】の記載となる。
ここで、上記段落【0199】の「その以外の場合」とは、上記ウのように「それ以外の場合」の誤記であり、その意味するところは、上記段落【0199】の「現在ブロックに対する符号化モード(PredMode)が画面内予測モード(Intra)であり、Log2(nW*nH)値が‘4’であり、cIdx値が‘0’の場合」以外の場合のことであり、cIdx値が‘0’の場合については、上記オ(イ)aのように、映像符号化・復号化の技術分野において、符号化・復号化の対象信号は、何も記載がなければ輝度信号であることが一般的であるから、ここでは条件として考慮しない。
してみると、上記段落【0199】のそれ以外の場合とは、以下の3パターンがあるといえる。
(i)符号化モードが画面内予測モード以外であり、変換ブロックの大きさが4×4の場合。
(ii)符号化モードが画面内予測モード以外であり、変換ブロックの大きさが4×4以外の場合。
(iii)符号化モードが画面内予測モードであり、変換ブロックの大きさが4×4以外の場合。
そして、上記カのように、変換のタイプとして、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’の場合がDCT、‘1’の場合がDSTであると仮定すると、上記(i)及び(ii)が構成D11の根拠となり、上記(iii)が構成D122の根拠となるが、構成D121の根拠は、上記段落【0199】には記載されていないといえる。
そのため、上記段落【0084】の記載を参照すると、「ブロック大きさによって」、「整数変換」、「DCT」、「DST」、または「イントラ予測モード従属的なDCT/DST」などを「選択的、適応的に適用することができる」と記載されているものの、ブロックの大きさがいかなる大きさの場合に、上記それぞれの変換をどのように選択的、適応的に適用することができるのか記載されておらず、また、変換ブロックの大きさが4×4に限定した場合について何ら記載されていないことから、構成D121について記載されているとはいえない。
加えて、当初明細書等のその他の記載を見ても、構成D121について記載も示唆もされておらず、また、構成D121のようにすることが、技術常識であるともいえない。
なお、上記カのように、変換のタイプとして、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’の場合がDCT、‘1’の場合がDSTであること自体、仮定であって、当初明細書等には、明確に記載されていない事項である。
ク 上記段落【0201】の表3が上記段落【0084】の「イントラ予測モード従属的なDCT/DST」に相当し、上記段落【0199】のそれ以外の場合で、変換のタイプとして、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’の場合がイントラ予測モードに依存しないDCTである場合について以下で検討する。
上記カのように、変換のタイプとして、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’の場合がDCT、‘1’の場合がDSTであると仮定すると、上記段落【0199】の記載から、変換ブロックの大きさが4×4の場合、表3のように「イントラ予測モード従属的なDCT/DST」が変換のタイプとなり、変換ブロックの大きさが4×4以外の場合、イントラ予測モードに依存しないDCTが変換のタイプとなるが、変換のタイプがイントラ予測モードに依存しないDSTとなるのは、変換ブロックの大きさがいかなる場合であるのか記載されていない。
したがって、構成D121について記載されているとはいえない。
また、当初明細書等のその他の記載を見ても、構成D121について記載も示唆もされておらず、また、構成D121のようにすることが、技術常識であるともいえない。
なお、上記カのように、変換のタイプとして、変数horizTrTypeとvertTrTypeとが、‘0’の場合がDCT、‘1’の場合がDSTであること自体、仮定であって、当初明細書等には、明確に記載されていない事項である。
ケ 以上のとおり、本件補正により追加された発明特定事項(構成1)は、当初明細書等には記載がなく、当初明細書等から自明でもないから、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。
したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
よって、構成1を追加する補正を含む本件補正は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
(3)独立特許要件について
請求人は、審判請求書において「この補正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。」と主張していることから、請求項1についての本件補正が仮に特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、同項の規定に該当するものであるとして、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
本件補正により追加された構成1のうち、少なくとも構成D121は、上記(2)で検討したとおり、明細書の発明の詳細な説明に記載されているとはいえない事項であるから、当該構成1を含む本件補正発明は、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。
したがって、本件補正は、特許法第36条第6項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
3 本件補正についてのむすび
上記2(2)のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
また、上記2(3)のとおり、本件補正発明は、特許法第36条第6項第1号の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和5年12月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、本件の願書に最初に添付した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の1(1)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1及び2に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
引用文献1:Benjamin Bross et al., "High efficiency video coding (HEVC) text specification draft 7", Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC), 2012-06-01, [JCTVC-I1003_d2] (version 3), pp.144-146
引用文献2:特開2011-223068号公報
3 引用文献及び引用発明
(1)引用文献1について
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、以下の事項が記載されている。なお、下線は、当審にて付したものである。以下、同じ。
(ア)8.6.4 Transformation process for scaled transform coefficients
Inputs of this process are:
- a variable nW specifying the width of the current transform unit,
- a variable nH specifying the height of the current transform unit,
- a (nW)x(nH) array d of scaled transform coefficients with elements dij.
- a variable transSkipFlag specifying whether transform is applied to the current block,
- a variable cIdx specifying the chroma component of the current block.
Output of this process is residual samples as a (nW)x(nH) array r with elements rij.
Depending on PredMode and IntraPredMode, the following applies:
- If PredMode is equal to MODE_INTRA, Log2(nW*nH) is equal to 4, and cIdx is equal to 0, the variables horizTrType and vertTrType are specified as Table 8-12 with IntraPredMode as input. [Ed. (WJ): DST is applied only for luma 4x4 block]
- Otherwise, the variables horizTrType and vertTrType are set equal to 0.
Table 8-12 - Specification of horizTrType and vertTrType
[図:0001426390000004.jpg]
(当審訳
8.6.4 スケーリングされた変換係数の変換プロセス
このプロセスの入力は以下のとおりである。
- 現在の変換単位の幅を指定する変数nWと、
- 現在の変換ユニットの高さを指定する変数nHと、
- 要素dijを有するスケーリングされた変換係数のa(nW)x(nH)配列d。
- 現在のブロックに変換が適用されるかどうかを指定する変数transSkipFlagと、
- 現在ブロックの前記クロマ成分を指定する変数cIdx。
このプロセスの出力は、要素rijを有する(nW)x(nH)配列rとしての残差サンプルである。
PredModeおよびIntraPredModeに応じて、以下が適用される。
- PredModeがMODE_INTRAに等しくLog2(nW*nH)が4に等しく、cIdxが0に等しい場合、変数horizTrTypeおよびvertTrTypeは、intraPredModeを入力として表8 -12のように指定される。[Ed. (WJ): DSTは、輝度4×4ブロックに対してのみ適用される。]
- そうでない場合変数horizTrTypeおよびvertTrTypeは0に等しく設定される。
表8 -12 - horizTrTypeおよびvertTrTypeの指定
[図:0001426390000005.jpg]
)
(イ)The constructed residual samples are derived as specified in the following ordered steps.
- If transSkipFlag is equal to 1, the following applies.
1. The variable shift is derived as follows:
- If cIdx is equal to 0,
shift = 13-BitDepthY (8-269)
- Otherwise,
shift = 13-BitDepthC (8-270)
2. The residual sample value rijwith i=0..(nW)-1, j=0..(nH)-1 is derived as follows.
rij = (dij+(1<<(shift-1))) >> shift (8-271)
- Otherwise (transSkipFlag is equal to 0), the following applies.
1. Each (horizontal) row of scaled transform coefficients dij(i=0..nW-1,j=0..nH-1) is transformed to eij (i=0..nW-1,j=0..nH-1) by invoking the one-dimensional transformation process as specified in subclause 8.6.4.1 according to the width of the transform unit nW, with the (nW)x(nH) array d and the transform type variable horizTrType as the inputs and the output is the (nW)x(nH) array e.
2. The intermediate sample values gij (i=0..nW-1, j=0..nH-1) are derived by
gij = Clip3(-32768,32767,(eij+64)>>7) (8-272)
3. Each (vertical) column of the resulting matrix gij (i=0..nW-1, j=0..nH-1) is transformed to fij (i=0..nW-1, j=0..nH-1) by invoking the one-dimensional transformation process as specified in subclause 8.6.4.1 according to the height of the transform unit nH, with the (nW)x(nH) array e and the transform type variable vertTrType as the inputs and the output is the (nW)x(nH) array f.
4. The variable shift is derived as follows:
- If cIdx is equal to 0,
shift = 20-BitDepthY (8-273)
- Otherwise,
shift = 20-BitDepthC (8-274)
5. The residual sample value rijwith i=0..(nW)-1, j=0..(nH)-1 is derived as follows.
rij = (fij+(1<<(shift-1))) >> shift (8-275)
(当審訳
構築された残差サンプルは、以下の順序付けられたステップで指定されるように導出される。
- transSkipFlagが1に等しい場合、以下が適用される。
1. 変数shiftは、以下のように導出される。
- cIdxが0に等しい場合、
shift = 13 - BitDepthY (8-269)
- そうでない場合、
shift = 13 - BitDepthC (8-270)
2. i=0..(nW)-1、j=0..(nH)-1である残差サンプル値rijは、以下のように導出される。
rij = ( dij + (1 << ( shift - 1) ) ) >> shift (8-271)
- そうでない場合(transSkipFlagが0に等しい)、以下が適用される。
1. 変数スケーリングされた変換係数dij(i=0..nW-1,j=0..nH-1)の各(水平)行は、(nW)x(nH)配列dおよび変換タイプ変数horizTrTypeを入力とし、出力が(nW)x(nH)配列eである、変換単位nWの幅に従って8.6.4.1節で指定される1次元変換プロセスを呼び出すことによって、eij(i=0..nW-1,j=0..nH-1)に変換される。
2. 中間サンプル値gij(i=0..nW-1,j=0..nH-1)は、次式によって導出される。
gij = Clip3( -32768, 32767, ( eij + 64 ) >> 7 ) (8-272)
3. 得られた行列gij(i=0..nW-1,j=0..nH-1)の各(垂直)列は、(nW)x(nH)配列eおよび変換タイプ変数vertTrTypeを入力とし、出力を(nW)x(nH)配列fとして、変換単位nHの高さに従って、8.6.4.1節で指定される1次元変換プロセスを呼び出すことによって、fij(i=0..nW-1,j=0..nH-1)に変換される。
4. 変数shiftは、以下のように導出される。
- cIdxが0に等しい場合、
shift = 13 - BitDepthY (8-273)
- そうでない場合、
shift = 13 - BitDepthC (8-274)
5. i=0..(nW)-1、j=0..(nH)-1である残差サンプル値rijは、以下のように導出される。
rij = ( fij + (1 << ( shift - 1) ) ) >> shift (8-275)
)
(ウ)8.6.4.1 Transformation process
Inputs of this process are:
- a variable nS specifying the sample size of scaled transform coefficients,
- an array of scaled transform coefficients x with elements xi, with i=0..nS-1.
- a transform type variable trType
Output of this process is an array of samples of the residual samples y with elements yi, with i=0..nS-1.
Depending on trType, the following applies:
- If nS is equal to 4 and trType is equal to 1, the following ordered steps apply:
1. A set of intermediate values c0, c1, c2 and c3 is calculated as follows:
c0 = x0+x2 (8-276)
c1 = x2+x3 (8-277)
c2 = x0-x3 (8-278)
c3 = 74*x1 (8-279)
2. The output values yi with i=0..3 are then specified as follows:
y0 = 29*c0+55*c1+c3 (8-280)
y1 = 55*c2-29*c1+c3 (8-281)
y2 = 74*(x0-x2+x3) (8-282)
y3 = 55*c0+29*c2-c3 (8-283)
- Otherwise (nS is not equal to 4 or trType is not equal to 1), the following applies:
[図:0001426390000006.jpg]
where k = 1<<(5-Log2(nS))*i and the transform coefficient matrix c is specified as:
[図:0001426390000007.jpg]
(当審訳
8.6.4.1 変換プロセス
このプロセスの入力は以下のとおりである。
- スケーリングされた変換係数の前記サンプルサイズを指定する変数nSと、
- 要素xi(i=0..nS-1)を有するスケーリングされた変換係数xのアレイである。
- 変換タイプ変数trType
このプロセスの出力は、要素yi(i=0..nS-1)を有する残差サンプルyのサンプルのアレイである。
trTypeに応じて、以下が適用される。
- nSが4に等しく、trTypeが1に等しい場合、以下の順序付けられたステップが適用される。
1. 中間値c0、c1、c2およびc3のセットが以下のように計算される。
c0 = x0 + x2 (8-276)
c1 = x2 + x3 (8-277)
c2 = x0 - x3 (8-278)
c3 = 74 * x1 (8-279)
2. 次いで、i=0..3である出力値yiが以下のように指定される。
y0 = 29*c0 + 55*c1 + c3 (8-280)
y1 = 55*c2 - 29*c1 + c3 (8-281)
y2 = 74*( x0 - x2 + x3 ) (8-282)
y3 = 55*c0 + 29 * c2 - c3 (8-283)
- そうでない場合(nSが4に等しくないか、またはtrTypeが1に等しくない)、以下が適用される。
[図:0001426390000008.jpg]
ここで、k = 1 << ( 5 - Log2( nS ) ) * i であり、変換係数行列cは以下のように指定される。)
(変換係数行列cは省略)
イ 引用発明の認定
(ア)引用文献1は、ITU-Tすなわち国際電気通信連合(ITU)下部組織の電気通信標準化部門におけるJoint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC)すなわち映像符号化・復号化に関する共同作業部会において提案された文献であるため、映像復号化方法に関する文献であるといえる。
(イ)上記ア(ア)は、変換係数の変換プロセスに関する記載であり、引用文献1の表題に含まれる国際標準規格のHEVCの映像復号化において、変換係数は、逆量子化を行うことによって得られることが通常であるから、上記ア(ア)の「変換係数」は、現在ブロックの逆量子化変換係数であるといえる。
(ウ)上記ア(ア)の表8-12から、変数horizTrTypeおよびvertTrTypeは、intraPredModeに依存して指定されるといえる。
上記ア(ア)~(ウ)の摘記事項及び上記(ア)~(ウ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
なお、各構成の末尾に、対応する項目を付し、記号a~cは分説するために当審にて付した。以下、「構成a」~「構成c」という。
「a 映像復号化方法であって((ア))、
b 現在ブロックの逆量子化変換係数dijと(ア(ア)、ア(イ)、(イ))、
c 現在のブロックに変換が適用されるかどうかを指定する変数transSkipFlagと、を入力し(ア(ア)、ア(イ))、
d PredModeがMODE_INTRAに等しくLog2(nW*nH)が4に等しく、cIdxが0に等しい場合、変数horizTrType及びvertTrTypeは、intraPredModeを入力としてintraPredModeに依存して指定され、そうでない場合、変数horizTrType及びvertTrTypeは0に等しく設定され(ア(ア)、(ウ))、
e transSkipFlagが1に等しい場合、変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを使用せずに、残差サンプル値rijが導出され(ア(イ))、
f transSkipFlagが0に等しい場合、逆量子化変換係数dijは、変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを入力とし、8.6.4.1節で指定される1次元変換プロセスを呼び出し、当該1次元変換プロセスでは、変換タイプ変数trTypeを入力とし、変換タイプ変数trTypeが1に等しい場合と1に等しくない場合とで異なる変換を行って、残差サンプル値rijが導出される(ア(イ)、ア(ウ))
a 映像復号化方法。」
(2)引用文献2について
ア 引用文献2に記載された事項
同じく、原査定の拒絶理由に引用された引用文献2には、変換に関して以下の事項が記載されている。
(ア)【0060】
本発明によれば、演算負担をさほど増大させることなく、DCTベースの符号化方式ではエネルギー集中度が十分でないような画像信号に対しても、最適な直交変換係数を判断して符号化及び復号することができる。
(イ)【0063】
本発明による符号化装置10は、フレーム画像を小領域に分割した符号化対象ブロックに対して予測画像を生成し、該符号化対象ブロックと前記予測画像の差分信号を符号化する符号化装置であり、この差分信号に対して第1の直交変換処理(例えば、DCT)を施して符号化するか、又は当該差分信号に対して第1の直交変換処理に対してn次の基底同士が直交関係にある第2の直交変換処理(例えば、DST)を施して符号化するかを切り替える切替スイッチと、フレーム画像に対して符号化を行う場合のコスト計算を行って、より少ない符号量となるよう前記差分信号ごとに切替スイッチの切り替えを制御するコスト算出部とを備える。第1の直交変換処理(例えば、DCT)は、第2の直交変換処理(例えば、DST)よりも少ない係数で直流成分を表現する基底に基づいており、例えば、このDCT及びDSTの選択基準の方法例として、DCT及びDSTの双方の直交変換係数のエネルギー分布を算出して決定する方法(技法1)、画素値レベルでアクティビティを比較して決定する方法(技法2)、及び、DCT及びDSTの双方の直交変換係数の量子化及びエントロピー符号化による符号量を算出し、その際のレート歪み最適化法に基づくコスト値を比較して効率の良いほうを選択する方法(技法3)がある。いずれの場合も、最適な直交変換係数を判断して符号化することができる。
尚、レート歪み最適化法に基づくコスト算出は、例えば、
http://www.tom.comm.waseda.ac.jp/~tsukuba/source/avm20050609.pdf
を参照されたい。
イ 引用文献2に記載された技術事項
上記アの摘記事項から、引用文献2には、次の技術事項(以下、「引用文献2技術事項」という。)が記載されている。
「演算負担をさほど増大させることなく、DCTベースの符号化方式ではエネルギー集中度が十分でないような画像信号に対しても、最適な直交変換係数を判断して符号化及び復号するために、差分信号に対してDCTを施して符号化するか、又は当該差分信号に対してDSTを施して符号化するかを切り替える際に、このDCT及びDSTの選択基準の方法例として、DCT及びDSTの双方の直交変換係数のエネルギー分布を算出して決定する方法(技法1)、画素値レベルでアクティビティを比較して決定する方法(技法2)、及び、DCT及びDSTの双方の直交変換係数の量子化及びエントロピー符号化による符号量を算出し、その際のレート歪み最適化法に基づくコスト値を比較して効率の良いほうを選択する方法(技法3)があること。」
4 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明とを、以下で対比する。
ア 構成A~Cについて
引用発明の構成cにおける「現在のブロックに変換が適用されるかどうかを指定する変数transSkipFlag」は、本願発明の構成Cにおける「現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報」に相当し、引用発明の構成cにおける「入力し」は、本願発明の構成Cにおける「取得し」と同様の意味といえるから、引用発明の構成a~cは、それぞれ本願発明の構成A~Cに相当するといえる。
イ 構成D及びEについて
引用発明の構成e及びfにおける「transSkipFlagが1に等しい場合」及び「transSkipFlagが0に等しい場合」が、それぞれ変換処理を行わない場合と行う場合であることは明らかであり、構成eによると、「transSkipFlagが1に等しい場合」、すなわち変換処理を行わない場合には、「変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを使用せずに、残差サンプル値rijが導出され」、構成fによると、「transSkipFlagが0に等しい場合」、すなわち変換処理を行う場合には、変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを」使用して「残差サンプル値rijが導出される」。
また、引用発明の構成dによると、「変数horizTrType及びvertTrType」は、「PredModeがMODE_INTRAに等しくLog2(nW*nH)が4に等しく、cIdxが0に等しい場合」、という条件を満たす場合、「intraPredModeを入力としてintraPredModeに依存して指定され」、当該条件を満たさない場合、「0に等しく設定され」ることから、現在ブロックの変換のタイプを決定しているといえる。
してみると、引用発明は、現在ブロックの変換のタイプを決定し、決定された変換のタイプに基づいて、逆量子化変換係数に変換を行うことにより、現在ブロックの残差サンプルを取得するという点において、本願発明と一致している。
一方、引用発明では、上記のように、変換処理を行わない場合に変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを使用せず、変換処理を行う場合に変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを使用するものの、現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報が、現在ブロックに変換を行うことを示す場合に、変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeの決定を行うことは特定されていない点で本願発明の構成Dと相違している。
ウ 構成D13について
引用発明では、構成dのように変換のタイプが決定され、構成fのように変換を行うものの、本願発明のように当該変換のタイプが、「イントラ予測モードに依存しない整数離散余弦変換(Discrete Cosine Transform;DCT)、又はイントラ予測モードに依存しない整数離散正弦変換(Discrete Sine Transform;DST)に決定され」ない点で本願発明と相違している。
(2)一致点及び相違点
以上のことから、本願発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「A 映像復号化方法であって、
B 現在ブロックの逆量子化変換係数を取得するステップ;
C 前記現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報を取得するステップ;
D’ 前記現在ブロックの変換のタイプを決定するステップ;
E 前記決定された変換のタイプに基づいて、前記逆量子化変換係数に前記変換を行うことにより、前記現在ブロックの残差サンプルを取得するステップ;
を含む
A 映像復号化方法。」
<相違点1>
「現在ブロックの変換のタイプ」の「決定」を、本願発明では、「現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報」が、「前記現在ブロックに前記変換を行うことを示す場合」に行うのに対し、引用発明では、そのような場合に決定を行うとは特定されていない点。
<相違点2>
「変換のタイプ」が、本願発明では、「イントラ予測モードに依存しない整数離散余弦変換(Discrete Cosine Transform;DCT)、又はイントラ予測モードに依存しない整数離散正弦変換(Discrete Sine Transform;DST)に決定される」のに対し、引用発明では、そのような変換タイプに決定されない点。
(3)相違点についての判断
上記相違点について以下で検討する。
ア 相違点1について
引用発明の構成eによると、transSkipFlagが1に等しい場合、すなわち、「現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報」が「前記現在ブロックに前記変換を行うこと」を「示さない場合」には、変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを使用せずに、残差サンプル値rijが導出され、transSkipFlagが0に等しい場合、すなわち「現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報」が「前記現在ブロックに前記変換を行うこと」を「示す場合」に変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを使用して残差サンプル値rijが導出される。
そして、transSkipFlagが1に等しい場合、すなわち、「現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報」が「前記現在ブロックに前記変換を行うこと」を「示さない場合」に変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを決定しても、残差サンプル値rijの導出のために使用しないのであるから、当該決定のための処理は無駄であり、無駄な処理を行わないことは、演算などの処理負荷を軽減するために通常行われることである。
してみると、transSkipFlagが1に等しい場合、すなわち、「現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報」が「前記現在ブロックに前記変換を行うこと」を「示さない場合」に変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを決定せず、transSkipFlagが0に等しい場合、すなわち「現在ブロックに変換を行うかどうかを示す情報」が「前記現在ブロックに前記変換を行うこと」を「示す場合」にのみ変換タイプ変数horizTrType及びvertTrTypeを決定することは、演算などの処理負荷を軽減するために、当業者が適宜なし得ることである。
イ 相違点2について
引用文献2技術事項において、「DCT」及び「DST」は、ともにイントラ予測モードに依存するか依存しないかを特定していないが、一般的な「DCT」及び「DST」は、イントラ予測モードに依存しない変換であることが技術常識であるから、引用文献2技術事項における「DCT」及び「DST」についても当該一般的な「DCT」及び「DST」であって、イントラ予測モードに依存しない変換であるとみなすことが自然である。
そして、引用発明の構成dによると、「変数horizTrType及びvertTrType」は、「PredModeがMODE_INTRAに等しくLog2(nW*nH)が4に等しく、cIdxが0に等しい場合」や「そうでない場合」という条件に基づいて決定されており、また、引用文献2技術事項においても、「DCT」及び「DST」の選択は、技法1~技法3という基準に基づいて行われている。
さらに、引用文献1の表題に含まれる国際標準規格のHEVCは、符号化・復号化効率等が最適な符号化・復号化方式を規定することを目的とした規格であるから、引用発明も当該規定の目的に則した変換を行うことを目的とするものであり、また、引用文献2技術事項も、「最適な直交変換係数を判断して符号化及び復号する」ことを目的とする技術である。
してみると、引用発明において、映像の変換という同一の技術分野に属し、最適な変換を行うという共通の目的を有する引用文献2技術事項を適用して、変換のタイプを、「イントラ予測モードに依存しない整数離散余弦変換(Discrete Cosine Transform;DCT)、又はイントラ予測モードに依存しない整数離散正弦変換(Discrete Sine Transform;DST)に決定される」ようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。
なお、映像符号化の技術を映像復号化においても使用することは常套手段であるから、映像符号化における技術である引用文献2技術事項を、映像復号化における技術である引用発明に適用することは当業者が適宜なし得ることである。
(4)請求人の主張について
ア 令和5年12月28日に提出された審判請求書において、請求人は、「上記手続補正書における特許請求の範囲の請求項1~3における補正事項は、出願当初の明細書における段落[0094]~[0099]、[0152]~[0169]、[0196]~[0214]における記載に基づくものであり、本願発明の主題から逸脱するものではなく新規事項を導入するものではない。」と主張しているが、上記第2の2(2)で説示したように、新規事項を導入するものであるから、上記請求人の当該主張を採用することはできない。
イ 上記審判請求書において、請求人は、「引用文献2は、DCTまたはDSTの変換方式を現在ブロックに適用することができることを示唆しているに過ぎず、現在ブロックの変換タイプと現在ブロックのイントラ予測モードとの間の関係については開示されていない。
また、引用文献1には、変換のタイプがイントラ予測モードに基づいて決定されることのみが開示されている。」
と主張しているが、上記(3)イで説示したように、一般的な「DCT」及び「DST」は、イントラ予測モードに依存しない変換であることが技術常識であり、引用文献2技術事項における「DCT」及び「DST」についても当該一般的な「DCT」及び「DST」であって、イントラ予測モードに依存しない変換であるとみなすことが自然であるから、上記請求人の引用文献2についての主張を採用することはできない。
また、引用文献1に変換のタイプがイントラ予測モードに基づいて決定されることのみが開示されているとしても、上記(3)イで説示したように、引用発明に引用文献2技術事項を適用することは当業者にとって容易に想到し得ることであり、当該適用によって、変換のタイプは、イントラ予測モードに依存しないものとされるから、上記請求人の引用文献1についての主張も採用することはできない。
(5)本願発明についてのまとめ
以上のことから、本願発明は、引用発明及び引用文献2技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-022375