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特許拒絶査定不服審判

2025-015263

住宅の省エネ方法

審判番号
2025-015263
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2024-082991
請求日
2025年09月26日
審決日
2026年03月19日
公報発行日
2026年06月26日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】杉本 耕治
  • 【請求人代理人】入江 一郎
審判長/審判官
  • 審判長 澤田 真治
  • 審判官 家田 政明
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P18 .561-WZ (E04B) / P18 .575-WZ (E04B) / P18 .121-WZ (E04B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
データ出所
審決公報(XML)

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特願2024- 82991「住宅の省エネ方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 7年12月 9日出願公開、特開2025-178567〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本件出願は、令和6年5月22日を出願日とする出願であって、手続の概要は、以下のとおりである。 (1)令和6年 7月29日付け; 拒絶理由通知 (2) 同年 9月18日受付; 意見書・手続補正書の提出 以下、同意見書を「意見書1」、同手続補正書による補正を「補正1」という。 (3) 同年11月19日付け; 拒絶理由通知 (4)令和7年 1月24日受付; 意見書・手続補正書の提出 以下、同意見書を「意見書2」、同手続補正書による補正を「補正2」という。 (5) 同年 3月 4日付け; 拒絶理由通知 (6) 同年 4月14日受付; 意見書・手続補正書の提出 以下、同意見書を「意見書3」、同手続補正書による補正を「補正3」という。 (7) 同年 5月 9日付け; 拒絶理由通知(最後) (8) 同年 7月16日受付; 意見書・手続補正書の提出 以下、同意見書を「意見書4」、同手続補正書による補正を「補正4」という。 (9) 同年 8月 1日付け; 補正の却下の決定(補正4を却下) (10) 同日付け; 拒絶査定(同月19日発送) (11) 同年 9月26日受付; 審判請求書・手続補正書の提出 以下、同手続補正書による補正を「補正5」という。 (12) 同年11月20日付け; 補正の却下の決定(補正5を却下) (13) 同日付け; 拒絶理由通知(最後) (14) 同年12月25日受付; 意見書・手続補正書の提出 以下、同意見書を「意見書5」、同手続補正書による補正を「補正6」という。 (15)令和8年 1月26日受付; 意見書の提出 以下、同意見書を「意見書6」という。 (16) 同月27日受付; 意見書の提出 以下、同意見書を「意見書7」という。 第2 令和7年12月25日受付で提出された手続補正書による補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和7年12月25日受付で提出された手続補正書による補正(補正6;以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正に先立つ令和7年9月26日受付の手続補正書による補正5、及び同年7月16日受付の手続補正書による補正4は、いずれも却下されているから、本件補正は、同年4月14日受付の手続補正書による補正3後(以下、「本件補正前」という。)の明細書及び特許請求の範囲を、補正するものである。 本件補正の内容は、以下のとおりである(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。)。 (1)補正事項1 特許請求の範囲の請求項1の記載を、以下の本件補正前のものから、本件補正後のものへと補正する。 ア 本件補正前 「【請求項1】 略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、 この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、 冬、前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して前記屋根裏部屋内に形成された暖気を前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導く ことを特徴とする住宅の省エネ方法。」 イ 本件補正後 「【請求項1】 略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、 この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、 冬、前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して前記屋根裏部屋内に形成された暖気を蓄熱材に蓄熱することなく、前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導く ことを特徴とする住宅の省エネ方法。」 (2)補正事項2 明細書の段落【0008】の記載を、以下の本件補正前のものから、本件補正後のものへと補正する。 ア 本件補正前 「【0008】 請求項1記載の住宅の省エネ方法は、略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、冬、前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して前記屋根裏部屋内に形成された暖気を前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導くものである。」 イ 本件補正後 「【0008】 請求項1記載の住宅の省エネ方法は、略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、冬、前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して前記屋根裏部屋内に形成された暖気を蓄熱材に蓄熱することなく、前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導くものである。」 2 本件補正の適否1-新規事項の追加の有無 (1)はじめに 本件補正は、補正事項1及び補正事項2のいずれについても、「冬、前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して前記屋根裏部屋内に形成された暖気」を「前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導く」ことに関し、「蓄熱材に蓄熱することなく」という事項を追加するものである。 そこで、上記事項の追加が、願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「当初明細書等」という。)に記載した事項の範囲内であるか否かについて、判断する。 (2)当初明細書等の記載及び図示 当初明細書等には、以下の記載及び図示がある。 なお、文章の改行及び字下げについては、当審で適宜に調整した箇所がある。 ア 特許請求の範囲 「【請求項1】 略密閉空間の屋根裏部屋を有する省エネ住宅であって、 前記屋根裏部屋に設けられ、前記屋根裏部屋内の空気を前記屋根裏部屋の外側へ排気する排気口と、 前記屋根裏部屋の前記略密閉空間の床の一部に設けられた開口部と、 この開口部を開閉する蓋体とを備え、 夏、前記蓋体を前記開口部から離間して、住宅の暖気を前記開口部、前記略密閉空間、前記排気口を介して、前記屋根裏部屋の外側へ導いて、住宅内部の温度上昇を防ぐ ことを特徴とする省エネ住宅。 【請求項2】 略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた省エネ住宅であって、 前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、 この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、 冬、前記屋根上部屋に前記光透過部材を介して前記屋根上部屋内に形成された暖気を前記送風機を作動させて、前記通路を介して前記下位の部屋に導く ことを特徴とする省エネ住宅。 【請求項3】 略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた省エネ住宅であって、 前記屋根裏部屋の前記略密閉空間の床の一部に設けられ、少なくとも、人の出入りを許容する大きさの開口部と、 この開口部を開閉する蓋体とを備え、 冬、前記屋根上部屋に前記光透過部材を介して前記屋根上部屋内に暖気を形成する ことを特徴とする省エネ住宅。 【請求項4】 略密閉空間の屋根裏部屋を有する住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋に設けられ、前記屋根裏部屋内の空気を前記屋根裏部屋の外側へ排気する排気口と、 前記屋根裏部屋の前記略密閉空間の床の一部に設けられた開口部と、 この開口部を開閉する蓋体とを備え、 夏、前記蓋体を前記開口部から離間して、住宅の暖気を前記開口部、前記略密閉空間、前記排気口を介して、前記屋根裏部屋の外側へ導いて、住宅内部の温度上昇を防ぐ ことを特徴とする住宅の省エネ方法。 【請求項5】 略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、 この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、 冬、前記屋根上部屋に前記光透過部材を介して前記屋根上部屋内に形成された暖気を前記送風機を作動させて、前記通路を介して前記下位の部屋に導く ことを特徴とする住宅の省エネ方法。 【請求項6】 略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋の前記略密閉空間の床の一部に設けられ、少なくとも、人の出入りを許容する大きさの開口部と、 この開口部を開閉する蓋体とを備え、 冬、前記屋根上部屋に前記光透過部材を介して前記屋根上部屋内に暖気を形成し、前記屋根上部屋を乾燥室又は読書部屋として利用する ことを特徴とする住宅の省エネ方法。」 イ 明細書 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、省エネ住宅及び住宅の省エネ方法に係り、特に、省エネ効果を図った省エネ住宅及び住宅の省エネ方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、例えば、夏季高温時に室内の暑さを和らげ、居住性を改善し得る屋根裏部屋の冷却構造がある(特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開平11-93286号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記屋根裏部屋の冷却構造にあっては、屋根裏部屋(10)の棟木(14)下方の高所に屋根の裏側面(野地板)(26)に接する空間室(12)を設けると共に、野地板(26)と該野地板(26)下方に所定間隔を隔てて配置した断熱材(28)との間に空気の通り得る通気層(30)を形成し、通気層(30)の下端部から入った屋外空気が上端部から空間室(12)に入るようにし、しかも空間室(12)内の空気を換気フアン(46)により屋外に排出可能に構成したものである。 しかしながら、上記屋根裏部屋の冷却構造にあっては、屋根裏部屋の冷却のみであって、自然換気という観点が欠如しており、省エネ効果が少ないというという問題点が生じた。 【0005】 本発明は、前記問題点を考慮してなされた省エネ住宅及び住宅の省エネ方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 請求項1記載の省エネ住宅は、略密閉空間の屋根裏部屋を有する省エネ住宅であって、前記屋根裏部屋に設けられ、前記屋根裏部屋内の空気を前記屋根裏部屋の外側へ排気する排気口と、前記屋根裏部屋の前記略密閉空間の床の一部に設けられた開口部と、この開口部を開閉する蓋体とを備え、夏、前記蓋体を前記開口部から離間して、住宅の暖気を前記開口部、前記略密閉空間、前記排気口を介して、前記屋根裏部屋の外側へ導いて、住宅内部の温度上昇を防ぐものである。 【0007】 また、請求項2記載の省エネ住宅は、略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた省エネ住宅であって、前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、冬、前記屋根上部屋に前記光透過部材を介して前記屋根上部屋内に形成された暖気を前記送風機を作動させて、前記通路を介して前記下位の部屋に導くものである。 【0008】 また、請求項3記載の省エネ住宅は、略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた省エネ住宅であって、前記屋根裏部屋の前記略密閉空間の床の一部に設けられ、少なくとも、人の出入りを許容する大きさの開口部と、この開口部を開閉する蓋体とを備え、冬、前記屋根上部屋に前記光透過部材を介して前記屋根上部屋内に暖気を形成するものである。 【0009】 また、請求項4記載の住宅の省エネ方法は、略密閉空間の屋根裏部屋を有する住宅の省エネ方法であって、前記屋根裏部屋に設けられ、前記屋根裏部屋内の空気を前記屋根裏部屋の外側へ排気する排気口と、前記屋根裏部屋の前記略密閉空間の床の一部に設けられた開口部と、この開口部を開閉する蓋体とを備え、夏、前記蓋体を前記開口部から離間して、住宅の暖気を前記開口部、前記略密閉空間、前記排気口を介して、前記屋根裏部屋の外側へ導いて、住宅内部の温度上昇を防ぐものである。 【0010】 また、請求項5記載の住宅の省エネ方法は、略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、冬、前記屋根上部屋に前記光透過部材を介して前記屋根上部屋内に形成された暖気を前記送風機を作動させて、前記通路を介して前記下位の部屋に導くものである。 【0011】 また、請求項6記載の住宅の省エネ方法は、略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、前記屋根裏部屋の前記略密閉空間の床の一部に設けられ、少なくとも、人の出入りを許容する大きさの開口部と、この開口部を開閉する蓋体とを備え、冬、前記屋根上部屋に前記光透過部材を介して前記屋根上部屋内に暖気を形成し、前記屋根上部屋を乾燥室又は読書部屋として利用するものである。 【発明の効果】 【0012】 請求項1記載の省エネ住宅によれば、夏、蓋体を開口部から離間して、住宅の暖気を前記開口部、略密閉空間、排気口を介して、屋根裏部屋の外側へ導いて、住宅内部の温度上昇を防いで、省エネ効果を得ることができる。 【0013】 また、請求項2記載の省エネ住宅によれば、冬、屋根上部屋に光透過部材を介して屋根上部屋内に形成された暖気を送風機を作動させて、通路を介して下位の部屋に導いて、省エネ効果を得ることができる。 【0014】 また、請求項3記載の省エネ住宅によれば、冬、屋根上部屋に光透過部材を介して屋根上部屋内に暖気を形成するため、冬、屋根上部屋内の暖気を利用して、乾燥室、読書部屋等として、省エネ効果を得ることができる。 【0015】 また、請求項4記載の住宅の省エネ方法によれば、夏、蓋体を開口部から離間して、住宅の暖気を前記開口部、略密閉空間、排気口を介して、屋根裏部屋の外側へ導いて、住宅内部の温度上昇を防ぐことができる。 【0016】 また、請求項5記載の住宅の省エネ方法によれば、冬、屋根上部屋に光透過部材を介して屋根上部屋内に形成された暖気を送風機を作動させて、通路を介して下位の部屋に導いて、省エネ効果を得ることができる。 【0017】 また、請求項6記載の住宅の省エネ方法によれば、冬、屋根上部屋に光透過部材を介して屋根上部屋内に暖気を形成するため、冬、屋根上部屋内の暖気を乾燥室又は読書部屋として利用し、省エネ効果を得ることができる。 【図面の簡単な説明】 【0018】 【図1】図1は、本発明の一実施例の省エネ住宅の概略的断面図である。 【図2】図2は、夏、図1の蓋体を開けた状態の概略的断面図である。 【図3】図3は、本発明の一実施例の冬の省エネ住宅の概略的断面図である。 【図4】図4は、図3を住宅の外側から見た概略的図である。 【図5】図5は、図4を右側から見た概略的図である。 【図6】図6は、図1の排気口付近の概略的図である。 【図7】図7は、図6と異なる他の実施例の概略的図である。 【図8】図8は、図7の実施例と異なる他の実施例の概略的一部拡大図である。 【図9】図9は、図8と異なる他の実施例の概略的図である。 【発明を実施するための形態】 【0019】 本発明の一実施例の省エネ住宅及び住宅の省エネ方法を図1乃至図9を参照して説明する。 【0020】 図1、図2に示すHは、略密閉空間Pの屋根裏部屋1を有する省エネ住宅で、省エネ住宅Hは、屋根裏部屋1に設けられ、屋根裏部屋1内の空気を屋根裏部屋1の外側へ排気する排気口2と、屋根裏部屋1の略密閉空間Pの床3の一部に設けられた開口部4と、この開口部4を開閉する蓋体5とを備えている(図1及び図2参照)。 夏、図2に示すように、蓋体5を開口部4から離間して、住宅の暖気を開口部4、略密閉空間P、排気口2を介して、屋根裏部屋Pの外側へ導いて、住宅内部の温度上昇を防ぐことができる。 【0021】 従って、上述した省エネ住宅(住宅の省エネ方法)Hによれば、夏、図2に示すように、蓋体5を開口部4から離間して、住宅の暖気を開口部4、略密閉空間P、排気口2を介して、屋根裏部屋Pの外側へ導いて、住宅内部(屋根裏部屋P、部屋8、9)の温度上昇を防いで、省エネ効果を得ることができる。以下の実施例も同様である。 なお、換気は、煙突20でも良く、また、図7に示す棟換30でも良い。換気は、自然換気でも良いが、排気口2に換気ファン50を設け、夏、換気ファン50を作動させて、強制的に換気しても良い。 また、冬においては、換気しないように、排気口2に蓋20で蓋をするようにすると良い(図8、図9参照)。 【0022】 次に、図3~図5を参照して、省エネ住宅(住宅の省エネ方法)Hを説明する。 図4、図5に示す6は、屋根裏部屋1内に臨むように設けられた光透過部材で、7は、屋根裏部屋1と屋根裏部屋1の下位の部屋8、9とを接続する通路で、図2に示す10は、通路7内の空気を下位の部屋8、9に送る送風機である。冬、屋根上部屋1に光透過部材6を介して屋根上部屋1内に形成された暖気を送風機10を作動させて、通路7、通路口71、72を介して下位の部屋8、9に導くようにする。 【0023】 従って、上述した省エネ住宅(住宅の省エネ方法)Hによれば、冬、図3に示すように、屋根上部屋1に光透過部材6を介して屋根上部屋1内に形成された暖気を送風機10を作動させて、通路7を介して下位の部屋8、9に導いて、省エネ効果を得ることができる。 【0024】 また、冬、屋根上部屋1に光透過部材6を介して屋根上部屋1内に暖気を形成、つまり、貯留して、屋根上部屋1を乾燥室、読書部屋等として利用するようにしても良い。 即ち、上述した省エネ住宅(住宅の省エネ方法)Hによれば、冬、屋根上部屋1に光透過部材6を介して屋根上部屋1内に暖気を形成するため、冬、屋根上部屋1内の暖気を利用して、乾燥室、読書部屋等として使用することができ、省エネ効果を得ることができる。 【符号の説明】 【0025】 H 省エネ住宅 P 略密閉空間 1 屋根裏部屋 2 排気口 3 床 4 開口部 5 蓋体 6 光透過部材 7 通路 8 部屋 9 部屋 10 送風機 20 蓋」 ウ 図面 【図1】~【図9】のうち、【図1】、【図2】及び【図3】の図示は、以下のとおりである。 なお、【図4】~【図9】については、ここでの摘記は省略する。 (ア)【図1】 「 [図:0001436087000001.jpg] 」 (イ)【図2】 「 [図:0001436087000002.jpg] 」 (ウ)【図3】 「 [図:0001436087000003.jpg] 」 (3)「蓄熱材に蓄熱」しないことの導入の可否 上記記載によれば、当初明細書等には、住宅の省エネに関し、夏季高温時に屋根裏部屋の冷却を行う従来技術に言及したうえで、冬に屋根裏の暖気を利用した省エネ効果を得ることが、記載されている(段落【0002】~【0005】、【0023】、【0024】等参照)。 また当初明細書等には、冬に暖気が形成される屋根裏部屋を、乾燥室や読書部屋として利用することが、記載されている(【0011】、【0017】等参照)。 しかしながら、当初明細書等には、冬に屋根裏部屋等に暖気をためて利用するうえで、蓄熱性能を有する部材を配置するか否か、また屋根裏部屋等の素材の一部として蓄熱性能を有する部材を用いるか否かについては、何らの記載もされていない。 そして、【図1】等の図面を含めた当初明細書等の全体を考慮しても、屋根裏部屋等に使用又は配置する部材に関し、蓄熱性能を有する部材を使用又は配置してよいか否かについて、全く何らの記載もされていないのであるから、当初明細書等には、蓄熱性能を有する部材の使用又は配置の可否について、そもそも検討された形跡を見いだすことができず、屋根裏部屋等に蓄熱性能を有する部材の使用又は配置をするという技術思想、及び、屋根裏部屋等に蓄熱性能を有する部材の使用又は配置をしないという技術思想のいずれも、当初明細書等に示されていたとはいえない。 この点に関し、当初明細書等には、構造の簡素化及び低コスト化を徹底的に進めるべきことがきわめて強く示されているわけではなく、単に冬に屋根裏の暖気を利用することが述べられているにとどまるから、特に明示や言及がない素材や部材について、仕様や配置の可否について検討された形跡がないにもかかわらず、積極的に使用も配置もしないという技術思想が示されていたと理解すべき事情があるとはいえない。 また、【図1】や【図3】等は、上記(2)ウに示したとおりの概略図に過ぎないから、これらの概略図に特に明示されていない素材や部材について、単に概略図に明示されていないことを根拠として、使用や配置の可否について検討された形跡がないにもかかわらず、積極的に使用も配置もしないという技術思想が示されていたということはできない。 さらに、冬に屋根裏に形成する暖気を利用することを単に言及するだけの当初明細書等において、使用や配置の可否について何ら検討された形跡がない素材や部材について、技術常識を考慮すれば、積極的に使用も配置もしないという技術思想が示されていたということもできない。 そうであるところ、本件補正において、「冬、前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して前記屋根裏部屋内に形成された暖気」を「前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導く」ことに関し、「蓄熱材に蓄熱」しないことを積極的に特定する事項を追加することは、当初明細書等において使用や配置の可否について何ら検討された形跡がない「蓄熱」性能を有する部材について、積極的に仕様や配置を排除するという新たな技術思想を追加して導入するものであるから、当初明細書等に記載された全ての事項を総合することにより導出される事項との関係において、新たな技術的事項の導入に該当する。 したがって、本件補正は、本願当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (4)請求人の主張について 請求人は、令和7年12月25日受付の意見書5の「2)新請求項2の補正の根拠」(当審注;「請求項2」は「請求項1」の誤記と解する)の箇所、及び令和8年1月26日受付の意見書6の「2)新請求項1の補正の根拠」の箇所において、本件補正に関し、「・・・補正事項は、本願発明の明細書にも、本願発明の特に図3にも記載されていないことを根拠にしています。」と主張している。 しかしながら、当初明細書等の【図3】は、上記(2)ウ(ウ)に示したとおり、簡易な概略図に過ぎない。 そして、当初明細書等の全体を考慮しても、使用や配置の可否について何ら検討された形跡がない蓄熱性能を有する部材について、特に【図3】に図番を付しての明示等がされていないからといって、積極的に使用も配置もしないという技術思想が当初明細書等に示されていたとはいえない。 同様に、蓄熱性能を有する部材の使用や配置の可否について、当初明細書等に特段の記載がないことを根拠として、仕様や配置の可否について何ら検討された形跡がないにもかかわらず、当該部材を積極的に使用も配置もしないという技術思想が示されていたということはできない。 したがって、上記請求人の主張について考慮しても、本件補正が新規事項の追加であるか否かについて、上記(3)の判断を変更すべき事情は見いだせない。 (5)新規事項追加(特許法17条の2第3項)の有無についてのまとめ 以上のとおり、本件補正は特許法17条の2第3項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により、却下すべきものである。 3 本件補正の適否2-独立特許要件 (1)補正目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明について、「冬、前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して前記屋根裏部屋内に形成された暖気」を「前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導く」ことに関し、「蓄熱材に蓄熱することなく」という事項を追加して限定する補正であるから、上記2に指摘したとおり新規事項を追加するものではあるが、請求項1についての補正の目的としては、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的としたものと認める。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明が、特許出願の際に独立して特許を受けることができたか否かについて、以下に判断する。 (2)本願補正発明 本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1(1)イに示した、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるべきものである。 (3)本願補正明細書等の記載、及び本願補正発明の技術的意義 ア 本願補正明細書等の記載 (ア)補正による当初明細書等からの変更 本件補正後の明細書及び図面(以下、「本願補正明細書等」という。)は、補正4及び補正5が却下されているから、上記第2の2(2)イ及びウに示した当初明細書等の記載に対して、補正の却下の決定がされていない補正1~補正3、及び本件補正によって、特許請求の範囲の記載を別として、次のa~eの変更がされたものとなる。 a 当初明細書等からの変更1 【発明の名称】、段落【0001】及び【0005】中の「省エネ住宅及び住宅の省エネ方法」の記載を、「住宅の省エネ方法」に補正する(補正3)。 b 当初明細書等からの変更2 段落【0006】及び【0007】を削除する(補正1)。 c 当初明細書等からの変更3 段落【0008】の記載を、上記第2の1(2)イに示した本件補正後のものとする(本件補正)。 d 当初明細書等からの変更4 段落【0009】~【0017】を削除する(補正1~補正3)。 e 当初明細書等からの変更5 段落【0019】における「省エネ住宅及び住宅の省エネ方法」の記載を、「省エネ方法」に補正する(補正3)。 (イ)本願補正明細書等の発明の詳細な説明の記載 上記(ア)の補正の結果、本願補正明細書等における、発明の詳細な説明の記載は、段落【0018】における【図面の簡単な説明】及び段落【0025】における【符号の説明】を別として、以下のものとなる。 「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、住宅の省エネ方法に係り、特に、省エネ効果を図った住宅の省エネ方法に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、例えば、夏季高温時に室内の暑さを和らげ、居住性を改善し得る屋根裏部屋の冷却構造がある(特許文献1参照)。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0003】 【特許文献1】 特開平11-93286号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記屋根裏部屋の冷却構造にあっては、屋根裏部屋(10)の棟木(14)下方の高所に屋根の裏側面(野地板)(26)に接する空間室(12)を設けると共に、野地板(26)と該野地板(26)下方に所定間隔を隔てて配置した断熱材(28)との間に空気の通り得る通気層(30)を形成し、通気層(30)の下端部から入った屋外空気が上端部から空間室(12)に入るようにし、しかも空間室(12)内の空気を換気フアン(46)により屋外に排出可能に構成したものである。 しかしながら、上記屋根裏部屋の冷却構造にあっては、屋根裏部屋の冷却のみであって、自然換気という観点が欠如しており、省エネ効果が少ないというという問題点が生じた。 【0005】 本発明は、前記問題点を考慮してなされた住宅の省エネ方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 (削除) 【0007】 (削除) 【0008】 請求項1記載の住宅の省エネ方法は、略密閉空間の屋根裏部屋を有すると共に、前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材とを備えた住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、冬、前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して前記屋根裏部屋内に形成された暖気を蓄熱材に蓄熱することなく、前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導くものである。 【0009】 (削除) 【0010】 (削除) 【0011】 (削除) 【発明の効果】 【0012】 (削除) 【0013】 (削除) 【0014】 (削除) 【0015】 (削除) 【0016】 (削除) 【0017】 (削除) 【図面の簡単な説明】 【0018】 ・・・・(当審注;摘記省略)・・・ 【発明を実施するための形態】 【0019】 本発明の一実施例の省エネ方法を図1乃至図9を参照して説明する。 【0020】 図1、図2に示すHは、略密閉空間Pの屋根裏部屋1を有する省エネ住宅で、省エネ住宅Hは、屋根裏部屋1に設けられ、屋根裏部屋1内の空気を屋根裏部屋1の外側へ排気する排気口2と、屋根裏部屋1の略密閉空間Pの床3の一部に設けられた開口部4と、この開口部4を開閉する蓋体5とを備えている(図1及び図2参照)。 夏、図2に示すように、蓋体5を開口部4から離間して、住宅の暖気を開口部4、略密閉空間P、排気口2を介して、屋根裏部屋Pの外側へ導いて、住宅内部の温度上昇を防ぐことができる。 【0021】 従って、上述した省エネ住宅(住宅の省エネ方法)Hによれば、夏、図2に示すように、蓋体5を開口部4から離間して、住宅の暖気を開口部4、略密閉空間P、排気口2を介して、屋根裏部屋Pの外側へ導いて、住宅内部(屋根裏部屋P、部屋8、9)の温度上昇を防いで、省エネ効果を得ることができる。以下の実施例も同様である。 なお、換気は、煙突20でも良く、また、図7に示す棟換30でも良い。換気は、自然換気でも良いが、排気口2に換気ファン50を設け、夏、換気ファン50を作動させて、強制的に換気しても良い。 また、冬においては、換気しないように、排気口2に蓋20で蓋をするようにすると良い(図8、図9参照)。 【0022】 次に、図3~図5を参照して、省エネ住宅(住宅の省エネ方法)Hを説明する。 図4、図5に示す6は、屋根裏部屋1内に臨むように設けられた光透過部材で、7は、屋根裏部屋1と屋根裏部屋1の下位の部屋8、9とを接続する通路で、図2に示す10は、通路7内の空気を下位の部屋8、9に送る送風機である。冬、屋根上部屋1に光透過部材6を介して屋根上部屋1内に形成された暖気を送風機10を作動させて、通路7、通路口71、72を介して下位の部屋8、9に導くようにする。 【0023】 従って、上述した省エネ住宅(住宅の省エネ方法)Hによれば、冬、図3に示すように、屋根上部屋1に光透過部材6を介して屋根上部屋1内に形成された暖気を送風機10を作動させて、通路7を介して下位の部屋8、9に導いて、省エネ効果を得ることができる。 【0024】 また、冬、屋根上部屋1に光透過部材6を介して屋根上部屋1内に暖気を形成、つまり、貯留して、屋根上部屋1を乾燥室、読書部屋等として利用するようにしても良い。 即ち、上述した省エネ住宅(住宅の省エネ方法)Hによれば、冬、屋根上部屋1に光透過部材6を介して屋根上部屋1内に暖気を形成するため、冬、屋根上部屋1内の暖気を利用して、乾燥室、読書部屋等として使用することができ、省エネ効果を得ることができる。」 なお、本願補正明細書等において、【図1】~【図9】については補正による変更はなく、そのうち【図1】~【図3】は、上記2(2)ウ(ア)~(ウ)に示したとおりである。 イ 本願補正発明の技術的意義 本願補正明細書等の段落【0002】~【0005】の記載より、本願補正明細書等において解決しようとする課題は、夏季高温時の屋根裏部屋の冷却とは異なる、住宅の省エネ方法を提供することであると、理解される。 また、本願補正明細書等の記載及び図示より、本願補正発明は、本願補正発明の構成により、冬に屋根裏部屋に形成される暖気を下位の部屋に導くことで、下位の部屋を温めるという省エネ効果を得るという技術的意義を有するものと、認められる。 (4)引用文献の記載及び引用発明 当審において、令和7年11月20日付けの拒絶理由通知書で通知した最後の拒絶理由(以下、「拒絶理由」という。)で引用した文献は、以下の文献である。 ・引用文献1; 実公昭54-25167号公報 ・引用文献2; 特開昭62-223567号公報 ・引用文献3; 実願昭54-41624号(実開昭55-139386号)のマイクロフィルム ・引用文献4; 特開2000-144957号公報 ア 引用文献1 (ア)記載及び図示 本願の出願前に頒布された引用文献1には、次の記載及び図示がある(下線は当審において付した。以下、同様。)。 a 考案の詳細な説明(第1欄下から12行~第3欄第18行) 「この考案は冬期に太陽熱による屋根裏の暖気を各室内に送風する太陽熱を利用した暖房家屋に関するものである。 従来、太陽熱を利用することは温水器等で各種実施されているが、確実に所期の目的を達成するものがなく、且つ多大の設備を必要とし大変不経済である。 そこで一般住宅に於て、日照面積の大なる屋根を利用し、その吸熱力を利用し暖房とすることに着目したものである。また現在の建築では屋根の裏側に断熱材を使用するのが普通であるが、この考案は屋根の断熱材の取付位置を天井の裏面に直接装着せしめ、屋根裏に加温空気を集中せしめ、これをダクトを通じて各室に排出して暖房する如くしたものである。 したがつて冬期を暖くすると共に、暖熱費の節約と、家屋内部の換気を強制的に施すことによつて家屋の老化を防止する等の役目を果すものである。 次に、この考案の実施例を図面について説明すると、1は家屋本体で、屋根2を有し、前記屋根2と天井4との間に屋根裏3を形成せしめる、該天井4の裏側に蓄熱及び保温の役目もする各種材料の断熱材5を張設せしめる。また屋根裏3の適宜な個所に加温された空気を吸入する吸熱口18を設置する。この吸熱口18に1階叉は2階の高さに応じた排気のダクト7を壁面14の内部に挿入し、更にダクト7の壁面14との間に通気隙間15を形成せしめ、更にはダクト7を暖房を施す室内に延長せしめて配設せしめると共に、各室内に向つて開閉ルーバー9を設けた排出口8を配置せしめる。6は吸込フアンでダクト7の所定位置に装設されている。10は2階の床を示し、11は1階の天井12の間に形成される天井裏である。また13は1階の床を示し、16は胴差、17は床下、19は土台を示したもので、20はダクト7より屋外に向つて形成された開閉蓋付の外部排出口である。 この考案は以上のような構成からなり、その作用を説明すれば、ダクト7の所定位置に設置した吸込フアン6を作動せしめて、太陽で熱しられた吸熱屋根2により屋根裏3の空気は加温され、この加温された空気は屋根裏3の所定位置に設けられた吸熱口18より吸込され、ダクト7を通過して各暖房室の排出口8,8・・・より各室内に排出して室温を上昇せしめ暖房効果を上げるようにしたものである。この時吸熱口18より吸込れた屋根裏3に家屋の通気隙問15の冷気は上昇すると共に、家屋内に空気は流動するため湿気等は適度に調節する作用もする。更に夏期に於ける場合は、前記と同様な操作で屋根裏3の暖気を吸込フアン6の作動でダクト7の内部を吸引せしめる、この時各排出口8,8の開閉ルーバー9,9を閉蓋し、室外に向つて設けられている外部排出口20を開放せしめ、戸外に暖気を放出せしめる。したがつて室内を暖房することなく、壁面14内部の通気隙間15から室内の空気が上昇気流を起し屋根裏3に向つて対流するため室内は涼しさを得ることができる。 この考案によれば、冬期間中に太陽熱による屋根裏の温度が上昇した暖気を屋根裏の吸熱口よりダクトを得て自由に送風でき、各室を温風を以つて暖房し、室温を容易に上昇せしめる効果と、室内に温風を送出するので室内の気圧が高まり、室外の冷気が隙間より侵入するのを防止し、暖房及び保温効果を著しく向上せしめると云う優れた効果もある。」 b 図面 図面の図示は、次のとおりである。 「 [図:0001436087000004.jpg] 」 (イ)図より看取される事項 上記(ア)aの記載を踏まえると、上記(ア)bの図面より、次の事項が看取される。 ・家屋本体1は、屋根裏3より下に2階の室及び1階の室が配置されていること。 ・屋根裏3で加温された空気は、ダクト7内を下り、2階の床10より上の排出口8から、暖房される2階の室内に排出され、1階の床13より上の排出口8から、暖房される1階の室内に排出されること。 (ウ)記載された発明 上記(ア)で下線を付した記載について、「冬期」に「暖熱費の節約」をすることに着目すると、引用文献1には、「家屋本体1」について、「冬期」の「暖熱費の節約」をする方法が記載されていると認められる。 当該方法について、上記(ア)で下線を付した事項、及び上記(イ)のとおり図面から看取される事項を整理すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 <引用発明1> 屋根2と天井4との間に屋根裏3を有する家屋本体1の、冬期の暖熱費の節約をする方法であって、 屋根裏3に加温された空気を吸入する吸熱口18を設置し、吸熱口18に1階叉は2階の高さに応じた排気のダクト7を暖房を施す室内に延長せしめて配設し、ダクト7の所定位置に吸込フアン6を装設し、 天井4の裏側に蓄熱及び保温の役目もする各種材料の断熱材5が張設され、 太陽で屋根裏3の空気は加温され、ダクト7の所定位置に設置した吸込フアン6を作動せしめて、加温された空気は屋根裏3に設けられた吸熱口18より吸込され、ダクト7を通過して排出口8,8・・・より各室内に排出して室温を上昇せしめ暖房効果を上げるものであり、 家屋本体1は、屋根裏3より下に2階の室及び1階の室が配置されており、屋根裏3で加温された空気は、ダクト7内を下り、2階の床10より上の排出口8から、暖房される2階の室内に排出され、1階の床13より上の排出口8から、暖房される1階の室内に排出され、 冬期間中に太陽熱による屋根裏の温度が上昇した暖気を屋根裏の吸熱口よりダクトを得て自由に送風でき、各室を温風を以つて暖房し、室温を容易に上昇せしめる効果が得られる、 家屋本体1の、冬期の暖熱費の節約をする方法。 イ 引用文献2 本願の出願前に頒布された引用文献2には、次の記載及び図示がある。 (ア)特許請求の範囲 「屋根に設けた採光窓を通して太陽光を屋根裏のサンルーム内に導き、このサンルーム内に導いた室内の空気を加熱して室内に導くようにした太陽熱利用暖房装置において、 上記サンルームの周壁を蓄熱層で構成したことを特徴とする太陽熱利用暖房装置。」 (イ)第1頁左下欄下から4行~最終行 「(従来の技術) 従来の太陽熱利用暖房装置は第2図に示すようになっていた。すなわち屋根1に採光窓を有するサンルーム3を設け、・・・・」 (ウ)第2頁右上欄第4行~同頁左下欄第10行 「この発明の実施例を第1図を参照しながら説明する。 21は住宅の屋根部分で、採光部22が設けられている。23は屋根裏に設けられているサンルームで太陽光の当たる部分に蓄熱層24の表面には選択吸収面32がはられている。・・・・。 このような構成の太陽熱利用暖房装置にすれば採光窓22から入った太陽光により選択吸収面31が暖められ、サンルーム23内の空気が暖められると共に、蓄熱層24に蓄熱される。部屋を暖める必要のある時はダンパ31をダクト29側に切り換えてファン28により送風する。」 (エ)第1図 「 [図:0001436087000005.jpg] 」 ウ 引用文献3 本願の出願前に頒布された引用文献3には、次の記載及び図示がある。 (ア)明細書第2頁最終行~第3頁第14行 「1は住宅の屋根であり、2は屋根の一部に設けられた天窓でガラス戸がはめ込まれている。3は屋根裏空間の床であり、2階の天井裏と共用されている。・・・・。図において、太陽熱エネルギーは天窓2から屋内へ直接入射し・・・屋根裏面からの輻射熱と共に屋根裏空間を加熱することになる。その場合熱エネルギーの部は床蓄熱材3aにも貯えられる。この床蓄熱材3aとしてはコンクリート等熱容量の大きな材料が使用される。また下方への熱移動を防止し蓄熱機能を向上させているのが断熱材3bであり、3cはそれを支える構造材である。」 (イ)第1図 「 [図:0001436087000006.jpg] 」 (ウ)第2図 「 [図:0001436087000007.jpg] 」 エ 引用文献4 本願の出願前に頒布された引用文献4には、次の記載及び図示がある。 (ア)段落【0034】-【0036】 「【0034】第2は、小屋裏4から1階の屋内に至る還流路8である。この還流路8は、一端が小屋裏4に開口し、他端が複数本に分岐してそれぞれ1階の天井付近から1階の屋内に向かって開口した還流ダクト81と、この還流ダクト81内に装備された還流ファン82から構成されている。 ・・・・ 【0036】また、冬季には、還流ファン82を作動させ、還流ダクト81を通じて小屋裏4の空気を再び1階の屋内に還流させることにより、屋内の熱損失を抑えることができる。・・・・」 (イ)【図1】 「 [図:0001436087000008.jpg] 」 (5)対比 本願補正発明と、引用発明1とを、対比する。 ア 引用発明1における「屋根2と天井4との間」の「屋根裏3」は、本願補正発明における「屋根裏部屋」に、相当する。 イ 引用発明1における「家屋本体1」は、本願補正発明における「住宅」に、相当する。 ウ 引用発明1における「冬期の暖熱費の節約をする方法」は、冬期の暖熱費の節約をするうえで暖房に使用するエネルギー量を一部省くことが明らかであるから、本願補正発明における「省エネ方法」に、相当する。 エ 引用発明1において、「屋根裏3より下」に「配置」されている「2階の室」及び「1階の室」は、いずれも本願補正発明において、「前記屋根裏部屋の下位の部屋」に、相当する。 オ 本願補正発明の「通路」に関し、本願補正明細書等では、段落【0021】~【0023】において、「通路7」が「屋根裏部屋1」の「暖気」を「下位の部屋8、9に導く」ことが説明されているにとどまり、それ以上の特段の定義や説明等はされていない。当初明細書等から補正がない【図2】及び【図3】には、「通路7」が「屋根裏部屋1」から下方に向かって、省エネ住宅の1階の床と思われる横線の付近まで延びる様子が示されているが、「通路7」が壁の中にあるのか外にあるのか等は示されていない。また、【図2】及び【図3】は概略図であるから、「通路7」について、実際の省エネ住宅の部屋の配置にかかわらず、上下方向にのみ延在し、水平方向に延在する部分は決して持たないことが示されているものではなく、水平方向に延在する部分がある場合に1階の天井裏には配置しないことが示されているわけではない。 そのうえで、本願補正発明を特定する請求項1の記載に戻れば、「通路」は「屋根裏部屋」と「屋根裏部屋の下位の部屋」とを「接続」し、「屋根裏部屋に形成された暖気」を「通路を介して」「下位の部屋に導く」ものであって、「通路」が壁の中等にあるか否か、及び「通路」が水平方向に延びる箇所を有するか否かなどは、特定されていない。 以上を踏まえると、引用発明1における「ダクト7」は、「加温された空気は屋根裏3に設けられた吸熱口18より吸込され、ダクト7を通過して排出口8,8・・・より各室内に排出して室温を上昇せしめ」るから、「屋根裏3」と「各室内」とを接続して「加温された空気」を通過させることが明らかであり、「屋根裏3で加温された空気」を「2階の床10より上の排出口8から、暖房される2階の室内に排出」するまでの部分、及び、「屋根裏3で加温された空気」を「階の床13より上の排出口8から、暖房される1階の室内に排出」するまでの部分の、いずれもが、本願補正発明における「前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路」に相当する。 カ 引用発明1において、「ダクト7の所定位置に設置した吸込フアン6」は、これを「作動せしめて、加温された空気は屋根裏3に設けられた吸熱口18より吸込され、ダクト7を通過して排出口8,8・・・より各室内に排出」するから、ダクト7内の空気を各室内へと送っていることが明らかであり、本願補正発明における「この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機」に、相当する。 キ 引用発明1において、「冬期」に、「太陽で屋根裏3の空気は加温され、ダクト7の所定位置に設置した吸込フアン6を作動せしめて、加温された空気は屋根裏3に設けられた吸熱口18より吸込され、ダクト7を通過して排出口8,8・・・より各室内に排出して室温を上昇せしめ」ることは、本願補正発明において、「冬」に「前記屋根裏部屋内に形成された暖気」を「前記送風機を作動させて」「前記通路を介して前記下位の部屋に導く」ことに相当する。 以上を整理すると、本願補正発明と引用発明1とは、下記の一致点において一致する。 <一致点> 「屋根裏部屋を有する住宅の省エネ方法であって、 前記屋根裏部屋と前記屋根裏部屋の下位の部屋とを接続する通路と、 この通路内の空気を前記下位の部屋に送る送風機とを備え、 冬、前記屋根裏部屋内に形成された暖気を前記送風機を作動させて、前記通路を介して前記下位の部屋に導く 住宅の省エネ方法。」 そして、本願補正発明と引用発明1とは、以下の点で、相違する。 <相違点1> 「屋根裏部屋」に関し、 本願補正発明においては、「略密閉空間の」と特定されているのに対し、 引用発明1においては、そのように特定されていない点。 <相違点2> 「屋根裏部屋内」の「暖気」の「形成」に関し、 本願補正発明においては、「屋根裏部屋」が「前記屋根裏部屋内に臨むように設けられた光透過部材」を備えており、「前記屋根裏部屋に前記光透過部材を介して」暖気が形成されると特定されているのに対し、 引用発明1においては、そのように特定されていない点。 <相違点3> 「屋根裏部屋内に形成された暖気」を「前記送風機を作動させて」「前記通路を介して前記下位の部屋に導く」に際して、 本願補正発明においては、「蓄熱材に蓄熱することなく」と特定されているのに対して、 引用発明1においては、「天井4の裏側」に「蓄熱及び保温の役目もする各種材料の断熱材5」が張設されている点。 <相違点4> 「屋根裏部屋内に形成された暖気」を「前記送風機を作動させて」「前記通路を介して前記下位の部屋に導く」に際して、 本願補正発明においては、「床下に導くことなく」と特定されているのに対して、 引用発明1においては、そのように特定されていない点。 (6)相違点についての判断 ア 相違点1について (ア)「略密閉空間」の技術的意義 上記相違点1に係る、本願補正発明の「略密閉空間」について、本願補正明細書等に特段の定義や具体的な説明はされておらず、「略」という語によってどの程度の密閉性を有することを意味するのかも説明されていない。 そして、本願補正明細書の段落【0020】~【0021】では、夏に床の「開口部」と「排気口」を介して住宅の空気を屋根裏部屋から屋外へと排出する場面においても、「屋根裏部屋」は「略密閉空間」と表現されている。 また、冬においても、本願補正明細書の段落【0022】~【0023】に記載されるように、「屋根裏部屋」の空気は「送風機」により「通路」を介して下位の部屋に送られており、送られた空気に略等しい量の空気が自然換気等の何らかの換気経路を通じて屋根裏部屋に流入することは明らかである。 このように、本願補正明細書等において、「略密閉空間」について特段の定義や具体的説明がないこと、及び、夏に屋根裏部屋を通して住宅の空気を屋外へと積極的に排出し、冬に通路と送風機により暖気を下位の部屋に送ることに伴い当然に屋根裏部屋に換気が生じるにもかかわらず、単に屋根裏部屋が「略密閉空間」と表現されていることからすると、本願補正明細書においては、完全な開放空間とまではいえないような屋根裏部屋を、単に「略密閉空間」と表現したにとどまり、「略密閉空間」の語を付したことによって、屋根裏部屋の構造や密閉の程度、屋根裏部屋から通路を介して下位の部屋に導く空気の量、及びそれに伴って屋根裏部屋に生じる換気の程度を、具体的に特定しているとはいえない。また、本願補正明細書等からは、屋根裏部屋に「略密閉空間」という表現を付すことに関し、屋根裏部屋の構造や密閉の程度、屋根裏部屋から通路を介して下位の部屋に導く空気の量、及びそれに伴って屋根裏部屋に生じる換気の程度について、何らかの検討がされた形跡を見いだすこともできない。 以上の事情より、相違点1に係る本願補正発明の構成として、屋根裏部屋に「略密閉空間」の語が付された技術的意義は、本願補正明細書等の記載より、屋根裏部屋が完全な開放空間とまではいえないことを特定したものであって、屋根裏部屋の構造や密閉の程度、屋根裏部屋から通路を介して下位の部屋に導く空気の量、及びそれに伴って屋根裏部屋に生じる換気の程度を、具体的に特定したものではないと、理解することが妥当である。 また、屋根裏部屋に「略密閉空間」の語を付したことによって、本願補正発明の技術的意義が、本願補正明細書等から理解される、冬に屋根裏部屋に形成される暖気を下位の部屋に導くことで、下位の部屋を温めるという省エネ効果を得ること(上記(3)イ参照)とは異なるものとなったり、本願補正明細書等において解決しようとする課題が、夏季高温時の屋根裏部屋の冷却とは異なる住宅の省エネ方法を提供すること(上記(3)イ参照)とは異なるものとなるような事情はない。 (イ)上記(ア)の技術的意義を踏まえた判断 引用発明1において、「屋根裏3」は、「加温された空気」を「ダクト7」を介して「各室内に排出して室温を上昇せしめ」ていても、「冬期」に「太陽で屋根裏3の空気」が「加温」されるのに支障がない程度に、空気の流入や流出が顕著でないことが明らかであり、「加温された空気」を送り出したことに対応する自然換気等による空気の流入があったとしても、前述の事情に変わりはない。 そうすると、「冬期」に「太陽で屋根裏3の空気」が「加温」されるのに支障がない程度に、空気の流入や流出が顕著でないことが明らかである、引用発明1における「屋根裏3」の空間は、本願補正発明において「屋根裏部屋」についていう「略密閉空間」に相当する。 したがって、上記相違点1は、一応の相違点として検討したが、実質的な相違点でない。 また、引用発明1において、「屋根裏3」の空間に対する空気の流入や流出の程度について、本願補正発明にいう「略密閉空間」と、仮に若干の差があったとしても、引用発明1において、「加温された空気」を「ダクト7」を介して「各室内に排出」しながら、「冬期」に「太陽で屋根裏3の空気」が「加温」されるのに支障がない程度に、「屋根裏3」の空 間に対する空気の流入や流出の程度を押さえたものとし、もって上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。 (ウ)効果について 引用発明1において、「屋根裏3」の空間に対する空気の流入や流出の程度を、「加温された空気」を「ダクト7」を介して「各室内に排出」しながら、「冬期」に「太陽で屋根裏3の空気」が「加温」されるのに支障がない程度に押さえたものとすることは、上記(イ)に指摘したとおり、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。 そして、そうしたことによる効果は、引用発明1において、「加温された空気」を「ダクト7」を介して「各室内に排出」しながら、「冬期」に「太陽で屋根裏3の空気」が「加温」されるのに支障がないようにして、暖房効果を上げるという観点から、事前に予測される範囲を超える格別のものではない。 この点に関し、本願補正明細書等において、屋根裏部屋についていう「略密閉空間」の具体的構造や空気の流通(密閉)の程度、「略密閉空間」の語を付したことに依拠した具体的な効果などは、何ら示されていない。 したがって、効果について検討しても、上記相違点1に係る本願発明の構成について、上記(イ)の判断を変更すべき事情はない。 イ 相違点2について 引用発明1は、「太陽」で「屋根裏3の空気」が「加温」されることを前提とし、「屋根裏3で加温された空気」を用いて「冬期の暖熱費の節約」をすることを意図しているから、「屋根裏3の空気」を「太陽」で「加温」するうえで、適宜好適な公知の手段を、採用する動機付けがある。 また、引用文献1には、「また現在の建築では屋根の裏側に断熱材を使用するのが普通であるが、この考案は屋根の断熱材の取付位置を天井の裏面に直接装着せしめ、屋根裏に加温空気を集中せしめ、これをダクトを通じて各室に排出して暖房する如くしたものである。」(第1欄下から3行~第2欄上から3行)とも記載されているから、引用文献1において、引用発明1の「屋根」について、太陽の熱等を通して屋根裏3の空気を暖めやすいようにすることが示唆されている。 そして、上記(4)イに摘記した引用文献2の記載、及び上記(4)ウに摘記した引用文献3の記載に示されるように、太陽を利用して屋根裏の空間の空気を温めるうえで、屋根裏の空間に臨むように太陽光を通す窓を設け、当該窓を介して屋根裏の空間の空気を温めることは、本願出願時点における周知技術である。 そうすると、引用発明1において、「屋根裏3の空気」を「太陽」で「加温」するうえで、適宜好適な公知の手段を採用する観点から、上記引用文献2及び引用文献3に示される周知技術を適用し、もって上記相違点2に係る本願補正発明の構成に至ることは、当業者であれば十分に動機付けがあり、かつ、想到困難性のなかった事項である。 そして、そうしたことによる効果は、引用発明1、及び、屋根裏の空気を太陽で暖めるうえで太陽光を通す窓を用いるという上記周知技術から、事前に予測される範囲を超える格別のものではない。 また相違点2に係る構成について、本願補正明細書等においては、光透過部材を介して屋根上部屋内に暖気を形成する旨の記載がされているにとどまり、相違点2に係る構成に依拠した効果や技術的意義が具体的に説明されているものではない。 そのため、相違点2に係る構成について、本願補正明細書等に記載されない格別の効果や技術的意義を有するものということはできない。また、相違点2に係る構成に依拠して、本願補正明細書等における課題や本願補正発明の技術的意義が、上記(3)イに示した本願補正明細書等から理解される課題及び技術的意義とは異なるものとなるような事情はない。 したがって、引用発明1において、上記相違点2に係る構成とすることは、上記周知技術に基づいて、当業者であれば想到容易である。 ウ 相違点3について 引用発明1では、「天井4の裏側に蓄熱及び保温の役目もする各種材料の断熱材5が張設され」ている。 ここで、「断熱材」は断熱機能を有するものであって、例えば上記(4)ウ(ア)に摘記した引用文献3に「この床蓄熱材3aとしてはコンクリート等熱容量の大きな材料が使用される。また下方への熱移動を防止し蓄熱機能を向上させているのが断熱材3bであり、3cはそれを支える構造材である。」と記載されているように、断熱材と蓄熱材とは一般的に区別されること、及び、引用発明1では「太陽で屋根裏3の空気」が「加温され」るところ、「断熱材5」により保温がされれば「屋根裏3の空気」への蓄熱もされることが明らかであることを踏まえると、引用発明1における「断熱材5」は、断熱機能を有することに依拠して「屋根裏3の空気」について「蓄熱及び保温の役目もする」ことが特定されているのであって、必ずしも「断熱材5」がそれ自体「蓄熱」材として機能する部材であることが特定されているのではないと、理解される。 また、引用発明1において、「蓄熱及び保温の役目もする各種材料の断熱材5」として、それ自体「蓄熱」材としても機能する「断熱材5」を用いる場合があるとしても、引用文献1では、「多大の設備を必要と」すると「不経済である」ことが意識されているから(第1欄下から7行~6行)、コストと性能とのバランスをとるという一般的な観点から、「断熱材5」として、それ自体が「蓄熱」機能を有さず、断熱機能のみを有するものを用いることは、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。 また、引用発明1における「屋根裏3」や「ダクト7」等、「屋根裏3」から暖房を行う「2階の室」または「1階の室」まで空気を送る経路において、特に引用文献1に明記されない蓄熱部材の使用や配置を控えることは、引用文献1において「多大の設備を必要と」すると「不経済である」こと(第1欄下から7行~6行)が意識されていることを考慮すると、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。 そして、そうしたことにより、「屋根裏3」の「加温された空気」を用いた暖房に関し、蓄熱性能を有する部材の使用や配置を控えない場合に比較して、暖房の効率や立ち上がり時間・持続時間等に若干の変化が生じるとしても、使用又は配置する部材のコストを抑えることができる、という効果は、引用文献1における「多大の設備を必要と」すると「不経済である」という示唆(第1欄下から7行~6行)、及び使用する素材または部材とコストとに関する技術常識に基づいて、事前に十分に予測される範囲を超える格別顕著なものではない。 また相違点3に係る構成について、本願補正明細書等においては、段落【0008】に請求項1と同じ記載がされているにとどまり、相違点3に係る構成に依拠した効果や技術的意義が具体的に説明されているものではなく、相違点3に係る構成の技術的意義について検討がされた形跡も見いだせない。 そのため、相違点3に係る構成について、本願補正明細書等に記載されない格別の効果や技術的意義を有するものということはできない。また、相違点3に係る構成に依拠して、本願補正明細書等における課題や本願補正発明の技術的意義が、上記(3)イに示した本願補正明細書等から理解される課題及び技術的意義とは異なるものとなるような事情はない。 したがって、引用発明1において、上記相違点3に係る構成とすることは、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。 エ 相違点4について (ア)相違点4に係る構成により特定される事項 a 「床下に導くことなく」という事項の前後を含む本願補正発明の構成は、「前記屋根裏部屋内に形成された暖気を」「前記送風機を作動させて、床下に導くことなく、前記通路を介して前記下位の部屋に導く」という構成であるから、「屋根裏部屋内に形成された暖気を・・・通路を介して前記下位の部屋に導く」うえで、「床下に導くことなく」とするものである。 b 上記構成によれば、「屋根部屋内に形成された暖気」を「通路」を介して「下位の部屋に導く」過程において、当該「暖気」が「床下」に導かれなければよいから、本願補正発明の上記構成において、当該「暖気」を「通路」を介して「下位の部屋」に導いた後に、自然換気等により、「暖気」を含む空気が「床下」に至ることが、排除されているものではない。 c また、上記構成において、「下位の部屋」に関し、全ての下位の部屋に暖気を導くうえで暖気を床下には導かないことが特定されているものではないから、本願補正発明の上記構成において、住宅に複数の部屋がある場合に、いずれかの「下位の部屋」に暖気を導くうえでは暖気を床下に導かない、という構成が、排除されているものではない。 d 「床下に導くことなく」という構成により、「前記屋根裏部屋内に形成された暖気を」「前記下位の部屋に導く」際に、「通路」が壁の中に配置されることが排除されているわけではない。 e 「床下に導くことなく」という構成に関し、請求人は1階の天井裏に導くことも排除している旨を主張するが(令和7年12月25日受付の意見書の「3-4)本願発明の進歩性を否定できない理由5」)、「床下に導くことなく」という構成は、「床下及び天井裏のいずれにも導くことなく」という構成と同一ではない。 また、本願補正明細書等においては、段落【0008】に「床下に導くことなく」という記載がされているにとどまり、具体的な説明がされているわけではないし、「床下」が天井裏を含むと定義されているわけでもない。 そして、本願補正明細書等が想定する、1階及び2階と屋根裏とを有して自然換気がされる(段落【0004】参照)ような住宅においては、住宅全体の基礎となる1階の床下と、屋内を区切るだけの1階の天井裏及び2階の天井裏とは、構造及び熱伝達のいずれの面においても同視できるとはいえないところ、1階と2階及び屋根裏部屋を有するような住宅において、「床下」という語が必ず1階の天井裏を含む、という技術常識があるわけではない。 経緯についてみれば、「床下に導くことなく」という構成は、令和7年4月14日受付の補正3により、当初明細書等の【図3】を根拠として、令和6年7月29日付け拒絶理由通知で提示された特開平9-41506号公報に開示される、熱伝達の通路について建物の床下空間を介する先行技術との区別を意図して、導入された構成である(補正3と同日の意見書3第2頁第8行~第3頁第23行)。 上記先行技術(特開平9-41506号公報)の【図3】(a)の図示は、次のとおりである。 「 [図:0001436087000009.jpg] 」 当初明細書等の【図3】の図示は、上記第2の2(2)ウ(ウ)に示したとおりであり、本願補正明細書等においても変わっていない。同【図3】は概略図であって、上下方向に延びる「通路7」について、住宅1階の床を示すと思われる横線の下までは延びていないことが看取されるとしても、「通路7」が壁の中にあるか壁の外にあるか、実際の部屋の配置に応じて「通路7」に水平方向に延在する部分が設けられるか否か、及び、「通路7」を1階の天井裏に配置するか否かを示しているとはいえない。 以上の事情を総合すると、「床下に導くことなく」という構成は、「床下及び天井裏のいずれにも導くことなく」という構成とは異なり、「屋根裏部屋内に形成された暖気」を「下位の部屋に導く」までの「通路」について、住宅1階の床下に配置することを排除しているが、住宅1階の天井裏に配置することは排除していないと理解することが妥当である。 ただし、請求人が「床下に導くことなく」という構成により、「通路」として1階の天井裏に配置することを排除している旨を主張していることを考慮し、後記(エ)において、「通路」を1階の天井裏に配置しない場合についても、容易想到性を予備的に判断することとする。 (イ)相違点4に係る構成の技術的意義 相違点4に係る構成について、本願補正明細書等においては、段落【0008】に請求項1と同じ記載がされているにとどまり、相違点4に係る構成に依拠した効果や技術的意義が具体的に説明されているものではなく、相違点4に係る構成の技術的意義について検討がされた形跡も見いだせない。 相違点4に係る構成自体から導かれる効果として、「屋根裏部屋内に形成された暖気を」「通路を介して前記下位の部屋に導く」うえで、当該暖気が導かれる「下位の部屋」について、暖気が「床下に導くことなく」当該下位の部屋へと導かれるから、仮に暖気をあえて建物の床下に導いてから当該下位の部屋へと導くという迂遠な「通路」を採用する場合に比較すれば、暖気を当該部屋に導くまでの「通路」を簡素なものとすることができる、という効果を奏するということはできる。 しかしながら、相違点4に係る構成について、本願補正明細書等に記載されない格別の効果や技術的意義を有するものということはできない。 また、相違点4に係る構成に依拠して、本願補正明細書等における課題や本願補正発明の技術的意義が、上記(3)イに示した本願補正明細書等から理解される課題及び技術的意義とは異なるものとなるような事情はない。 (ウ)上記(ア)及び(イ)を踏まえた判断 a 2階の室に着目して 引用発明1において、「屋根裏3で加温された空気は、ダクト7内を下り、2階の床10より上の排出口8から、暖房される2階の室内に排出され」る構成は、「2階の室」に着目して、「屋根裏3で加温された空気」が「ダクト7内を下り、2階の床10より上の排出口8から、・・・排出され」るまでの間に、家屋本体1の1階の床下を経由していないことが明らかである。また、仮に家屋本体1の1階の床下を経由する迂遠な経路で2階の室へと加温された空気を導く場合に比較して、加温された空気を2階の室に導くまでの流路を簡素とすることができることも、明らかである。 したがって、引用発明1において、「屋根裏3で加温された空気」を「2階の室」へと導く流路の構成は、上記相違点4に係る本願補正発明の構成に相当する。 なお、引用発明1において、仮に「2階の室」へと導かれた空気が、その後に自然換気等によって、家屋本体1の1階の床下に至ることがあったとしても、上記(ア)bに示したとおり、相違点4に係る本願補正発明の構成は、「暖気」を「通路」を介して「下位の部屋」に導いた後に、自然換気等により「暖気」を含む空気が「床下」に至ることを排除するものではないから、上記相違点4に係る本願補正発明の構成に対して、実質的な相違点が生じるものではない。 そして、上記相違点4に係る本願補正発明の構成と、引用発明1において「ダクト7」を介して「2階の室」へと空気を導く構成とが、技術的意義から実質的に相違するとはいえない。 よって、引用発明1の「2階の室」に着目すれば、上記相違点4は、実質的な相違点ではない。 b 1階の室に着目して 引用発明1において、「屋根裏3で加温された空気は、ダクト7内を下り、・・・1階の床13より上の排出口8から、暖房される1階の室内に排出され」る構成は、「屋根裏3で加温された空気」が「ダクト7内を下り、・・・1階の床13より上の排出口8から、・・・排出され」るまでの間に、家屋本体1の1階の床下を経由していないことが明らかである。また、仮に家屋本体1の1階の床下を経由する迂遠な経路で1階の室へと暖気を導く場合に比較して、暖気を1階の室に導くまでの流路を簡素とすることができることも、明らかである。 したがって、引用発明1において、「屋根裏3で加温された空気」を「1階の室」へと導く流路の構成は、上記相違点4に係る本願補正発明の構成に相当する。 なお、引用発明1において、仮に「1階の室」へと導かれた空気が、その後に自然換気等によって、家屋本体1の1階の床下に至ることがあったとしても、上記(ア)bに示したとおり、相違点4に係る本願補正発明の構成は、「暖気」を「通路」を介して「下位の部屋」に導いた後に、自然換気等により「暖気」を含む空気が「床下」に至ることを排除するものではないから、上記相違点4に係る本願補正発明の構成に対して、実質的な相違点が生じるものではない。 また、上記相違点4に係る本願補正発明の構成と、引用発明1において「ダクト7」を介して「1階の室」へと空気を導く構成とが、技術的意義から実質的に相違するとはいえない。 よって、引用発明1の「1階の室」に着目しても、上記相違点4は、実質的な相違点ではない。 c 1階の室及び2階の室の両方に着目して 上記aのとおり、引用発明1の「2階の室」に着目して、相違点4は実質的な相違点ではなく、上記bのとおり、引用発明1の「1階の室」に着目して、相違点4は実質的な相違点ではないから、引用発明1の「1階の室」及び「2階の室」の両方に着目した場合にも、上記相違点4は、実質的な相違点ではない。 d 1階の室及び2階の室を複数設ける場合について 引用発明1において、1階の室及び2階の室を複数設け、複数の2階の室及び1階の室へと、「ダクト7」を介して「屋根裏3で加温された空気」を送る場合について検討しても、「2階の室」に対して「屋根裏3で加温された空気」を送る「ダクト7」について、あえて家屋本体1の床下を経由させる迂遠な経路とする必要性はない。 また、複数の「1階の室」に対して空気を送るために、「ダクト7」を水平方向に配置する箇所を設けるとしても、「屋根裏3で加温された空気」を「ダクト7」を通して「1階の床13より上の排出口8から・・・排出」するまでの経路について、あえて「ダクト」に「1階の床13より上の排出口8」より下となる家屋本体1の床下を経由させる、迂遠な経路とする必要性はない。 さらに、複数の「1階の室」に対して空気を送るために、「ダクト7」を水平方向に配置する箇所を設ける際に、仮に上記(4)エに示した引用文献4の【図1】に示される「還流ダクト81」の水平部分のように、1階の天井裏を経由させることを選択した場合であっても、上記(ア)eに指摘したとおり、本願補正発明の「床下に導くことなく」という構成が、「通路」の一部を「床下」ではない1階の天井裏に配置することを除外しているとはいえないから、上記相違点4に係る本願補正発明の構成に対して、実質的な相違点が生じるものではない。 したがって、引用発明1において、複数の「1階の室」と「2階の室」を設け、全ての「1階の室」及び「2階の室」に対して、「ダクト7」を介した「屋根裏3で加温された空気」の導入を、「ダクト7」をあえて家屋本体1の床下を経由する遠回りのものとせず、もって複数の「1階の室」と「2階の室」の全てに対して上記相違点4に係る本願補正発明の構成に相当する構成とすることは、当業者が適宜になし得た設計事項程度である。 そして、そうしたことによる効果は、上記(イ)に示した相違点4に係る構成の技術的意義を考慮しても、格別のものとはいえない。 e 小括 したがって、引用発明1の2階の室に着目した場合、1階の室に着目した場合、1階の室及び2階の室の両方に着目した場合について、相違点4は実質的な相違点ではない。 また、引用発明1において、複数の2階の室と1階の室とを設ける場合について検討しても、相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜になし得た設計事項程度である。 (エ)1階の天井裏を通さない場合についての予備的判断 相違点4に係る「床下に導くことなく」という構成について、「通路」を1階の天井裏に配置することが排除される旨を請求人が主張していること(令和7年12月25日受付の意見書の「3-4)本願発明の進歩性を否定できない理由5」)を考慮し、「通路」を1階の天井裏に配置しない場合についても、容易想到性を予備的に判断する。 a 2階の室に着目して 引用発明1において、「屋根裏3で加温された空気は、ダクト7内を下り、2階の床10より上の排出口8から、暖房される2階の室内に排出され」る構成に関し、「2階の室」に着目すると、「屋根裏3で加温された空気」が「ダクト7内を下り、2階の床10より上の排出口8から、・・・排出され」るまでの間に、「ダクト7」が「2階の床10より上の排出口8」より下の、1階の天井裏を通っていないことが明らかである。 なお、引用文献1の図面において、「ダクト7」が通らない1階の天井裏11に横方向の矢印が記載されているのは、自然換気による空気の流れを示しているものであって、「屋根裏3で加温された空気」を「ダクト7」により2階の室内に排出するまでの経路について、「ダクト7」を1階の天井裏11に通しているものではない。 したがって、「通路」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、上記相違点4に係る本願補正発明の構成は、引用発明1における「2階の室」に着目して、実質的な相違点を生じるものではない。 b 1階の室に着目して 引用発明1において、「屋根裏3で加温された空気は、ダクト7内を下り、・・・1階の床13より上の排出口8から、暖房される1階の室内に排出され」る構成に関し、「1階の室」に着目すると、引用文献1の図面において、「屋根裏3で加温された空気」が「ダクト7内」を下り「1階の室内に排出され」るまでの間に、「ダクト7」は1階の天井裏を通っていない。 そして、引用発明1において、引用文献1の図面に示される具体例についてみると、「屋根裏3で加温された空気」が「ダクト7内」を下り「1階の室内に排出され」るまでの間に、「ダクト7」を1階の天井裏に通す必要はない。 したがって、「通路」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、上記相違点4に係る本願補正発明の構成は、引用発明1における「1階の室」に着目して、実質的な相違点を生じるものではない。 また、仮に何らか相違点を生じたとしても、当該相違点は、当業者が適宜になし得た設計事項程度である。 c 1階の室及び2階の室の両方に着目して 上記aのとおり、引用発明1の「2階の室」に着目して、「通路」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、相違点4は実質的な相違点ではない。 また、上記bのとおり、引用発明1の「1階の室」に着目して、「通路」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、相違点4は実質的な相違点ではないか設計事項程度である。 したがって、引用発明1の「1階の室」及び「2階の室」の両方に着目して、「通路」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、上記相違点4は実質的な相違点ではないか設計事項程度である。 (d)1階の室及び2階の室を複数設ける場合について 引用発明1において、1階の室及び2階の室を複数設け、複数の2階の室及び1階の室へと、「ダクト7」を介して「屋根裏3で加温された空気」を送る場合について検討する。 複数の「1階の室」に対して空気を送るために、「ダクト7」に水平方向に延在する箇所を設けるとしても、例えば上記(4)エに示した引用文献4の【図1】に示される「還流ダクト81」の水平部分のように、必ず「ダクト7」の水平方向延在部分を1階の天井裏に通す必要がある、というものではない。 引用発明1を出発点として、「ダクト7」に水平方向延在部分を設ける場合であっても、天井の下など、1階の天井裏以外の適宜の箇所に水平方向延在部分を配置することは、当業者であれば適宜に選択し得た設計事項程度である。 そして、そうしたことによる効果は、「ダクト7」の配置に要する手間や配置後の「ダクト7」が直接視認されるか否かといった点を含めて、事前に予測される範囲を超えるものではない。 またこの点に関し、本願補正明細書等には、特許請求の範囲の請求項1と明細書の段落【0008】に「床下に導くことなく」という文言が記載されているにとどまり、当該文言以上の具体的な記載や特段の技術的意義などが示されているものではない。 したがって、引用発明1において複数の「1階の室」及び「2階の室」を設け、全ての「1階の室」及び「2階の室」に対して、「ダクト7」を介した「屋根裏3で加温された空気」の導入を、「ダクト7」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、上記相違点4は、当業者が適宜に選択し得た設計事項程度である。 e 小括 したがって、引用発明1の2階の室に着目した場合、1階の室に着目した場合、1階の室及び2階の室の両方に着目した場合について、「通路」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、上記相違点4は実質的な相違点ではないか設計事項程度である。 また、引用発明1において、複数の2階の室と1階の室とを設ける場合について、「通路」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、相違点4に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が適宜になし得た設計事項程度である。 (オ)相違点4についてのまとめ 以上のとおり、相違点4は実質的な相違点ではないか、設計事項程度である。 また、相違点4に関し、「通路」を1階の天井裏を通さない場合について予備的に判断しても、相違点4は実質的な相違点ではないか、設計事項程度である。 (7)意見書における請求人の主張について 請求人は、令和7年11月20日付けの拒絶理由通知に対し、同年12月25日受付の意見書5、令和8年1月26日受付の意見書6、及び同月27日受付の意見書7を提出している。 意見書7は、冒頭に本件補正が却下された場合の意見書である旨が記載されているが、実質的な内容は意見書6と変わるところがない。 ア 意見書5における請求人の主張について (ア)課題について a 請求人の主張 請求人は、意見書5の「3-1)本願発明の進歩性を否定できない理由1~2」において、進歩性の判断においては発明の課題がきわめて重要なものであるとして、以下の旨を主張している(改行及び字下げは、当審において適宜に調整した。以下、同様。)。 「・・・・。 特に、『発明の課題』が重要なものであります。 何となれば、主引用発明の発明の課題と出願に係る発明の課題が共通でなければ、先行技術から出発して,出願に係る発明の先行技術に対する特徴点(先行技術と相違する構成)に到達することが容易でないからであります。 即ち、本願発明の課題は、『簡易的な手段により、設備的に大掛かりとならず、その上、短い暖房通路により暖房の立ち上がり時間も短く、しかも、短い暖房通路により熱ロスを少なくして、暖房の効率化を図った住宅の省エネ方法の提供』にあります。 これに対して、主引用発明である引用文献1記載の発明の課題は、『冬期を暖くすると共に、暖熱費の節約と、家屋内部の換気を強制的に施すことによって家屋の老化を防止する(引用文献1の第2欄第4行乃至第6行)こと』にあります。 両者は、別異の発明であり、課題の共通性がないばかりか、両者は、課題が大きく異なる、つまり、両者は、発想が大きく異なる(発想の方向が異なる。)から、主引用発明である引用文献1記載の発明『・・・・』から出発して主引用発明と発想が大きく異なる(発想の方向が異なる。)別異の発明である本願発明の『・・・・』に到達できないことは、論理的に明らかであり、本願発明は、主引用例である引用発明1、及び周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものでもないものと思料いたします(本願発明の進歩性を否定できない理由1)。」 b 上記主張についての検討 上記請求人の主張について、検討する。 (a)本願補正発明の課題について 本願補正明細書等の記載は、上記(3)ア(イ)に示したとおりであり、本願補正明細書等の図示は、上記第2の2(2)ウに示した当初明細書等における図示と同様である。 本願補正明細書等に示される、発明が解決しようとする課題は、本願補正明細書等の記載を総合すれば、住宅の省エネ方法に関し、屋根裏部屋の冷却とは異なる、冬期の省エネ方法を提供することであると、理解される。 そして、上記(6)ア(ア)において本願補正発明の「略密閉空間」という構成の技術的意義について説示したとおり、夏に屋根裏部屋を通して住宅の空気を屋外へと積極的に排出し、冬に通路と送風機により暖気を下位の部屋に送ることに伴い当然に換気が生じる屋根裏部屋について、具体的な構成や密閉の程度を何ら特定することなく「略密閉空間」の語を付したことによって、本願補正明細書等において解決しようとする課題が、屋根裏部屋の冷却とは異なる冬期の住宅の省エネ方法を提供することとは、異なるものとなるような事情はない。 また、上記(6)ウにおいて本願補正発明の「蓄熱材に蓄熱することなく」という構成の容易想到性の判断で説示したとおり、単に段落【0008】に同じ語が記載されているにとどまり、当該構成に依拠した効果や技術的意義が具体的に説明されているものではなく、技術的意義について検討がされた形跡も見いだせない「蓄熱材に蓄熱することなく」という構成に依拠して、本願補正明細書等において解決しようとする課題が、屋根裏部屋の冷却とは異なる冬期の住宅の省エネ方法を提供することとは、異なるものとなるような事情はない。 また、上記(6)エ(イ)において本願補正発明の「床下に導くことなく」という構成の技術的意義について説示したとおり、単に段落【0008】に同じ語が記載されているにとどまり、当該構成に依拠した効果や技術的意義が具体的に説明されているものではなく、技術的意義について検討がされた形跡も見いだせない「床下に導くことなく」という構成に依拠して、本願補正明細書等において解決しようとする課題が、屋根裏部屋の冷却とは異なる冬期の住宅の省エネ方法を提供することとは、異なるものとなるような事情はない。 請求人が上記aに主張する、「簡易的な手段により、設備的に大掛かりとならず、その上、短い暖房通路により暖房の立ち上がり時間も短く、しかも、短い暖房通路により熱ロスを少なくして、暖房の効率化を図った住宅の省エネ方法の提供」が、発明の課題であることは、本願補正明細書等には何ら記載されておらず、令和7年4月14日受付の補正3で【図3】等を根拠に「床下に導くことなく」という構成を追加した以降に、審判請求書等において請求人が特徴として言及する事項にとどまるから、当該事項を課題として明記する引用文献がなければ、本願補正発明に至ることはない旨をいう請求人の主張は、失当である。 (b)本願補正発明の課題と引用発明1の課題とが異なるかについて 引用発明1は、引用文献1の第1欄下から12行~10行に「この考案は冬期に太陽熱による屋根裏の暖気を各室内に送風する太陽熱を利用した暖房家屋に関するものである。」と記載されるとおり、冬期に屋根裏の暖気を利用して家屋の暖房を図るものであるから、課題や技術分野について、本願補正明細書等から把握される内容と概略変わるところはない。 引用発明1の課題に関し、引用文献1の効果に関する記載の一部を切り出して、引用発明1の課題が強制的な換気により家屋の老化を防止することのみであるかのようにいう、上記請求人の主張は、失当である。 また、「屋根裏」の暖気を「送風」することは、本願補正発明及び引用発明1で共通する構成であるところ、引用発明1の「送風」で生じる換気の程度が、本願補正発明において「送風」の程度が特定されない「送風機」により生じる換気の程度とは顕著に異なるとして、その点において本願補正発明と引用発明1とは発想自体が大きく異なる旨をいう点でも、上記請求人の主張は、失当である。 したがって、本願補正発明と引用発明1とについて、課題及び発想が大きく異なるとして、本願補正発明の進歩性が否定されない旨をいう、請求人の縷々の主張は、いずれも採用することができない。 (イ)示唆の欠如について a 請求人の主張 請求人は意見書5において、「3-1)本願発明の進歩性を否定できない理由1~2」の上記(ア)aに示した主張に続く部分で、進歩性の判断においては、発明の特徴点に到達できる試みをしたであろうという推測が成り立つのみでは十分ではなく、当該発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等が存在することが必要であるところ、引用文献1及び周知技術(引用文献2~4)には本願補正発明の特徴点に到達するためにしたはずであるという示唆等が存在しないから、本願補正発明の進歩性は否定されない旨を主張している。 b 上記主張についての検討 本願補正発明と引用発明1との相違点1及び相違点4は、上記(6)ア及びエに説示したとおり、実質的な相違点ではないか、当業者が適宜に選択し得た設計事項程度である。 本願補正発明と引用発明1との相違点2は、上記(6)イに示したとおり、引用発明1を出発点として、「屋根裏3の空気」を「太陽」で「加温」するうえで適宜好適な公知の手段を採用するという動機付け、及び、「屋根」について太陽の熱等を通して「屋根裏3の空気」を暖めやすいようにするという引用文献1の示唆に基づいて、周知技術を適用して想到容易である。 本願補正発明と引用発明1との相違点3は、上記2に示したとおり当初明細書等に記載されたものではない新規事項の追加であるが、引用発明1を出発点として進歩性を検討する場合、上記(6)ウに示したとおり、「多大の設備を必要と」すると「不経済である」という引用文献1中の示唆、及びコストと性能とのバランスをとるという一般的な観点から、使用する素材についてシンプルな機能のものを選択し、また特段明記のない部材の使用や配置を控えるという選択をすることで、当業者が適宜に選択し得たはずの設計事項程度である。 したがって、本願補正発明の進歩性について、請求人が上記aに主張する示唆の欠如により、上記(6)の判断を変更すべき事情はない。 (ウ)周知技術か否か、及び課題に依拠した組み合わせの困難性について a 請求人の主張 請求人は意見書5において、「3-2)本願発明の進歩性を否定できない理由3」の部分で、相違点2について考慮した周知技術(太陽を利用して屋根裏の空間の空気を温めるうえで、屋根裏の空間に臨む窓を設けて、当該窓を介して屋根裏の空間の空気を温めること)について、提示した文献が引用文献2及び3の2件のみであるから、公知技術ではあっても、周知技術とはいえない旨を主張している。 また、引用発明に周知技術または公知技術を組み合わせる際には、十分な動機付けが必要であるところ、引用文献1~4は課題が共通しないから組み合わせる動機付けがないとして、以下の旨を主張している。 「・・・・。 即ち、主引用発明である引用文献1の発明の課題は、『冬期を暖くすると共に、暖熱費の節約と、家屋内部の換気を強制的に施すことによって家屋の老化を防止する(引用文献1の第2欄第4行乃至第6行)こと』にあります。 これに対して、引用文献2の発明の課題は、『ダクトを短くし施工も簡単にした太陽熱利用暖房装置の提供(引用文献2の左欄第6行乃至第7行)』にあります。 また、引用文献3の発明の課題は、『太陽熱を熱源とした省エネルギー型屋内乾燥室を提供すること(引用文献3の第2頁欄第7行乃至第8行)』にあります。 また、引用文献4の発明の課題は、『季節ごとに換気状態を調整して通年にわたり良好な居住性を得ることができるとともに、屋内と外気との間の断熱性を高めることにより、特に冬季においても屋内の熱損失を小さくし、結露等の発生も防止することのできる、新規な住宅の通気構造を提供する(引用文献4の段落番号0006)』にあります。 従って、引用文献1の発明の課題と引用文献2の発明の課題と引用文献3の発明の課題と引用文献4の発明の課題とは、共通しないから、動機付けがなく、引用文献1の発明と引用文献2の発明と引用文献3の発明と引用文献4の発明とを組み合わせることができず、本願発明の進歩性を否定できない。」 b 上記主張についての検討 上記aの請求人の主張について、検討する。 (a)周知技術について 上記(6)イにおいて、相違点2について考慮した、太陽を利用して屋根裏の空間の空気を温めるうえで、屋根裏の空間に臨むように太陽光を通す窓を設け、当該窓を介して屋根裏の空間の空気を温めるという技術に関し、例示した文献は引用文献2及び引用文献3の2つである。 しかしながら、太陽光で空気を暖めるうえで、太陽光を遮断せず通すことは、特別な技術的知識がなくとも日常的に利用されている程度の単純な事項であり、引用文献2において繰り返し使用される「サンルーム」の語からも、太陽光による加温のために太陽光を通すことが違和感なく自然に理解される程度に、広く知られた周知技術である。 したがって、例示した文献が引用文献2及び引用文献3の2つであることを根拠として、相違点2について考慮した周知技術が周知技術でない旨をいう請求人の主張は、失当である。 (b)課題に依拠した組み合わせの困難性について 引用文献2及び引用文献3を例示して、相違点2について考慮した周知技術は、上記(6)イで示したとおり、引用発明1を出発点として、適用する動機付けがあったものである。 引用文献4は、上記(6)エで相違点4について検討するうえで、相違点4は引用発明1との実質的な相違点ではないことを示したうえで(上記(6)エ(ウ)a~c及び上記(6)エ(エ)a~b)、仮に引用発明1において「1階の室」及び「2階の室」を複数設けて「ダクト7」に水平方向に延在する部分を設ける場合について、当該水平方向に延在する部分を引用文献4のように1階の天井裏に配置したとしても、「通路」を建物の1階の床下に配置することには該当しないことを説示し(上記(6)エ(ウ)d)、引用文献4のように水平方向に延在する部分を1階の天井裏に配置しない場合には、「通路」を建物の1階天井裏に配置することには該当しないことを説示する(上記(6)エ(エ)d)文脈において、例示した文献に過ぎない。そのため、引用発明1に引用文献4を組み合わせる積極的な動機付けがなければ、上記(6)エの判断を変更すべき事情が生じるというものではない。 そして、引用発明1について、上記aで請求人が主張する課題は、上記(ア)bに指摘したとおり適切ではない。引用発明1の課題は、上記(ア)b(b)に示したとおり、冬期に屋根裏の暖気を利用して家屋の暖房を図ることであって、本願補正発明の課題と特段相違するものではなく、適宜の公知技術や周知技術を組み合わせるうえで、課題の観点から特段の阻害要因が生じるものではない。 さらに、引用発明1を出発点として、本願出願の時点において当業者が引用文献2または引用文献3に示される周知技術を適用し、あるいは引用文献4に示される配管の水平延在部分の配置を参酌するうえで、引用文献2~4の課題を上記aに請求人が主張する極端に狭い課題と解して拘束される必要はないし、各引用文献に直接明示される最も狭い課題が共通していない限り、引用発明1を出発点とする当業者が、上記周知技術や公知技術を参酌できないこととなる事情はない。 したがって、課題に依拠した組み合わせの困難性から、本願補正発明が進歩性を有する旨をいう請求人の主張は、採用することができない。 (エ)引用文献1~4を本願補正発明から排除した旨の主張について a 請求人の主張 請求人は意見書5において、「3-3)本願発明の進歩性を否定できない理由4」の部分で、本願補正発明は「蓄熱材に蓄熱することなく」という構成により引用文献2及び引用文献3を排除し、「床下に導くことなく」という構成により引用文献1及び4を排除したから、引用文献1~4によって進歩性が否定されることはない旨を主張している。 b 上記主張についての検討 引用発明1を出発点とした、本願補正発明の進歩性については、上記(5)及び(6)に対比・判断したとおりであり、上記aの請求人の主張について考慮しても、上記(5)及び(6)の対比・判断を変更すべき事情はない。 (オ)「床下」について a請求人の主張 請求人は意見書5において、「3-4)本願発明の進歩性を否定できない理由5」の部分で、本願補正発明の「床下に導くことなく」という構成に関し、「床下」は2階の床の下であって1階の天井の上方に位置する空間も含むから、本願補正発明は「通路」を1階の天井裏に配置しないものであって、引用文献1~4から想到容易ではなく、また特段の効果を奏する旨を主張している。 b 上記主張についての検討 上記bの請求人の主張について、検討する。 上記(6)エ(ア)eに示した理由から、本願補正発明における「床下に導くことなく」という構成は、「屋根裏部屋内に形成された暖気を」「通路を介して前記下位の部屋に導く」うえで、建物の床下を経由する遠回りなものとはしない趣旨と解するのが妥当であり、当該構成の容易想到性は、上記(6)エ(ウ)に示したとおりである。 また、請求人の上記aの主張を考慮して、本願補正発明における「床下に導くことなく」という構成に関し、「屋根裏部屋内に形成された暖気を」「通路を介して前記下位の部屋に導く」うえで、1階の天井裏にも「通路」を通さない場合について予備的に判断しても、当該構成の容易想到性は、上記(6)エ(エ)に示したとおりである。 そして、効果を含めて本願補正発明の進歩性を検討しても、上記(5)及び(6)に示した対比・判断を変更すべき事情はない。 (カ)意見書5における請求人の主張についてのまとめ 以上のとおり、請求人の意見書5における主張について検討しても、本願補正発明の進歩性について、上記(5)及び(6)の対比・判断を変更すべき事情はない。 イ 意見書6における請求人の主張について (ア)課題について a 請求人の主張 請求人は意見書6において、「4)当方の主張」の「1.拒絶理由の全体について」の箇所で、「本願発明の課題は、『屋根裏部屋に滞留する限られた熱量の暖気という乏しい熱源を、如何に無駄なく居住空間の暖房に集中的に利用するかという点にあり、住宅における省エネルギー性の向上を目的とすること』にあります。」と主張している。 そして請求人は、意見書6中の各所において、本願補正発明の課題が引用文献1等とは顕著に異なることを根拠として、本願補正発明は容易に発明できたものではない旨を主張している。 b 上記主張についての検討 上記aの請求人の主張について、検討する。 請求人が上記aに主張する、「屋根裏部屋に滞留する限られた熱量の暖気という乏しい熱源を、如何に無駄なく居住空間の暖房に集中的に利用するかという点にあり、住宅における省エネルギー性の向上を目的とすること」が、発明の課題であることは、本願補正明細書等には何ら記載されていない。 本願補正明細書等に示される、発明が解決しようとする課題は、上記ア(ア)b(a)において説示したとおり、本願補正明細書等の記載を総合すれば、住宅の省エネ方法に関し、屋根裏部屋の冷却とは異なる、冬期の省エネ方法を提供することであると、理解される。 そして、引用発明1の課題及び発想が、本願補正発明の課題及び発想と大きく変わるものではなく、課題及び発想の顕著な相違に依拠して、本願補正発明の進歩性が否定されないものではないことについては、上記ア(ア)b(b)において説示したとおりである。 したがって、本願補正発明と引用発明1とについて、課題及び発想が大きく異なるとし、課題及び発想が異なることを根拠として、本願補正発明の進歩性が否定されない旨をいう請求人の主張は、いずれも採用することができない。 (イ)相違点1に係る「略密閉空間」について a 請求人の主張 請求人は意見書6において、「4)当方の主張」の「2.相違点1の認定の妥当性」の部分で、本願補正発明の相違点1に係る「略密閉空間」に関し、次の旨を主張している。 (a)「(4)本願発明の「略密閉空間」の技術的意義」の箇所 「本願発明における「略密閉空間」とは、暖気を効率的に形成し、かつ滞留させることを前提として、屋根裏空間への空気流入が構造的に抑制された状態を意味します。 これは、送風に伴う必要最小限の自然換気を否定するものではありませんが、引用発明1のように、家屋換気を目的として複数の流入経路を積極的に設け、屋根裏空間を空気流通経路の一部として利用する構成とは、技術思想を明確に異にします。 すなわち、 本願発明: 暖気の形成・滞留を優先する消極的換気(自然換気)を前提とする空間 引用発明1: 家屋全体の換気を目的として空気流通を積極的に許容する積極的換気空間 であり、両者は換気思想及び熱利用思想において本質的に異なります。」 (b)「設計事項と評価することの誤り(法的評価の誤り)」の箇所 「空気流入を積極的に許容する換気空間と、暖気滞留を重視する略密閉空間との相違は、単なる程度差ではなく、技術思想の相違であります。 このような技術思想に関わる構成を、設計事項として矮小化することは、進歩性判断における相違点の評価を誤るものであります。」 (c)「(6)効果判断の誤り及び理由不備」の箇所 「本願発明においては、空気流入を抑制することによる暖気熱量の維持屋根裏で得られる熱量の限られた即時性を有する暖気を利用するための前提条件として「略密閉空間」が機能しており、相違点2及び3に係る構成と相互に関連して、暖房効率向上という効果を奏します。 これを相違点1単独で切り離し、効果がないと評価することは、発明の全体的技術思想を分断して評価するものであり、理由不備に該当します。」 そして、本願補正発明に係る「略密閉空間」の構成は、引用発明1の換気を許す構成とは技術思想として根本的に異なっており、上記(b)のとおり設計事項ではないし、上記(c)のとおり想到容易でもない旨を主張している。 b 上記主張についての検討 上記aの請求人の主張について、検討する。 本願補正発明における「略密閉空間」の技術的意義については、上記(6)ア(ア)に説示したとおりである。本願補正明細書等からは、屋根裏部屋に「略密閉空間」という表現を付すことに関し、屋根裏部屋の構造や密閉の程度、屋根裏部屋から通路を介して下位の部屋に導く空気の量、及びそれに伴って屋根裏部屋に生じる換気の程度等について、何らかの検討がされた形跡を見いだすこともできない。 そして、本願補正明細書の記載の全体から見て、本願補正発明において「屋根裏部屋」に「略密閉空間」の語を付したことにより、請求人が上記a(a)に主張するように、「暖気を効率的に形成し、かつ滞留させることを前提として、屋根裏空間への空気流入が構造的に抑制された状態」であって、引用発明1とは「換気思想及び熱利用思想において本質的に異な」ることが特定されているとはいえない。 また、本願補正明細書の記載の全体から見て、本願補正発明において「屋根裏部屋」に「略密閉空間」の語を付したことにより、請求人が上記a(b)に主張するように、「暖気滞留を重視する」ものであって、引用発明1とは「単なる程度差ではなく、技術思想の相違」を有することが特定されているとはいえない。 また、本願補正明細書の記載の全体から見て、本願補正発明において「屋根裏部屋」に「略密閉空間」の語を付したことにより、「空気流入を抑制することによる暖気熱量の維持屋根裏で得られる熱量の限られた即時性を有する暖気を利用するための前提条件として」機能するものとして特定されているとはいえない。 したがって、請求人が意見書6において、相違点1に係る本願補正発明の「略密閉空間」について主張する点は、上記a(a)~(c)に示した点について、本願補正明細書等の開示及び本願補正発明における特定に基づかない主張であり、「略密閉空間」に関するその余の請求人の主張を含めて考慮しても、上記(5)及び(6)における進歩性の対比・判断を変更すべき事情はない。 (ウ)相違点2に係る「光透過部材」について a 請求人の主張 請求人は意見書6において、相違点2に係る「光透過部材」を介する構成について、次の旨を主張している。 (a)「4)当方の主張」の「3.相違点2の認定の妥当性」の箇所 本願補正発明は、光透過部材を介して屋根裏で得られる熱量の限られた即時性を有する暖気を、居住空間以外に分散させないという技術思想の中核とし、暖気の熱量を低下させる要因、暖気の利用を時間的に遅延させる要因を排除することが、技術課題として明確に存在する。 これに対して、引用文献2及び3に記載された技術は、いずれも、太陽エネルギーを蓄熱材に蓄えること、蓄熱材からの熱伝導による放熱を暖房に利用することを前提とするから、暖房効果の即時性を重視せず、熱量の一部損失及び時間遅れを許容するという技術思想に立脚し、引用発明1に適用する動機付けがない。 (b)「4)当方の主張」の「5.周知事項の認定の妥当性」の箇所 「太陽を利用して屋根裏の空間の空気を温めるうえで、屋根裏の空間に臨む窓を設けて、当該窓を介して屋根裏の空間の空気を温めること」を周知技術であると認定することは、引用文献2が「サンルームの周壁を蓄熱層で構成する」という技術思想であること、引用文献3が「窓を通して入射した太陽光が当たる部分に蓄熱材を設ける」という技術思想であることを捨象して上位概念化しているから、不当である。 (c)「4)当方の主張」の「6.動機付けの認定の妥当性」の前半箇所 本件拒絶理由は、「太陽を利用して屋根裏の空間の空気を温めるうえで、屋根裏の空間に臨む窓を設けて、当該窓を介して屋根裏の空間の空気を温めること」を周知技術であると認定し、引用発明1に当該周知技術を適用することで本願補正発明は容易想到であるとする。 しかしながら、本願補正発明と引用発明1とは課題が異なり、引用発明1からは、「屋根裏の限られた熱量を、換気や家屋全体への循環ではなく、居住空間の暖房に優先的・集中的に利用する」という本願補正発明特有の課題設定自体が導かれるものではなく、当業者が、引用発明1の課題及び技術思想から本願補正発明の課題を認識し、当該課題を解決するために引用発明や周知技術を適用しようとする動機付けは生じない。 b 上記主張についての検討 上記aの請求人の主張について、検討する。 本願補正明細書等に示される本願補正発明の課題は、上記(ア)bに指摘したとおり、住宅の省エネ方法に関し、屋根裏部屋の冷却とは異なる、冬期の省エネ方法を提供することであり、引用発明1の課題及び発想が、本願補正発明の課題及び発想と大きく変わるものではない。 引用文献2及び引用文献3は、「光透過部材」の使用について周知技術であることを示すために例示した文献であるところ、太陽光で空気を暖めるうえで、太陽光を遮断せず通すことは、特別な技術的知識がなくとも日常的に利用されている程度の単純な事項であるから、引用文献2及び引用文献3で例示される太陽光を通す窓について、請求人が主張する蓄熱材の使用と区別して把握できないような事情はないし、他の文献との組み合わせが蓄熱材を使用する場合に限られるというものではない。 したがって、上記(6)イに判断したとおり、引用発明1において、「屋根裏3の空気」を「太陽」で「加温」するうえで、適宜好適な公知の手段を採用する観点から、上記引用文献2及び引用文献3に示される周知技術を適用し、もって上記相違点2に係る「光透過部材」を用いる本願補正発明の構成に至ることは、当業者であれば十分に動機付けがあり、かつ、想到困難性のなかった事項である。 よって、上記aの請求人の主張について検討しても、本願補正発明の進歩性について、上記(5)及び(6)の対比・判断を変更すべき事情はない。 (エ)相違点4に係る「床下に導くことなく」について a 請求人の主張 請求人は意見書6において、相違点4に係る「床下に導くことなく」の構成について、次の旨を主張している。 (a)「4)当方の主張」の「4.相違点3の認定の妥当性」の箇所 本願補正発明の「床下に導くことなく」という構成は、「屋根裏で得られた限られた熱量の暖気を、居住空間に集中的に利用するため、床下(2階の床と1階の天井裏との間)、構造体の壁面に沿った空間に一切導かない」という技術課題に基づくものである。 引用発明1においては、屋根裏で加温された空気が、下位の居住空間に供給されるとともに、2階の床と1階の天井裏との間、構造体の壁面に沿った空間にも供給され得る構成が採用されており、屋根裏の暖気が、居住空間以外に分散しても、なお十分な暖房効果が得られるとの暗黙の前提に立脚している。 本願補正発明の「床下に導くことなく」という構成は、暖気が必然的に天井裏を左右に流れるか否かを問題としているのではなく、暖気が2階の床と1階の天井裏との間、構造体の壁面に沿った空間といった非居住空間に供給・滞留する構成自体を排除する点に技術的意義があり、2階の床と1階の天井裏との間、構造体の壁面に沿った空間への暖気供給を許容する引用発明1の技術思想とは相反する。 したがって、引用発明1から出発した当業者にとって、本願補正発明の「床下に導くことなく」という構成に至ることは、阻害要因を伴うものであり、容易に想到し得るものではない。 (b)「4)当方の主張」の「6.動機付けの認定の妥当性」の後半箇所 本願補正発明において、特許請求の範囲に「床下に導くことなく」と規定した点は、単なる暖気送風経路の設計上の都合によるものではない。本願補正発明は、屋根裏に滞留する暖気は熱量が乏しく、これを非居住空間である床下等に分散させるべきではないという技術的認識に基づくものである。 引用発明1における技術思想は、屋根裏暖気を床下(2階の床と1階の天井裏との間)や構造体の壁面全体に導くことを肯定する方向にあり、これを「床下に導かない」とする本願補正発明の構成は、引用発明の技術思想とは逆方向のものであるから、引用発明1を出発点として当業者が容易に想到し得るものではない。 b 上記主張についての検討 上記aの請求人の主張について、検討する。 本願補正明細書等に示される本願補正発明の課題は、上記(ア)bに指摘したとおり、住宅の省エネ方法に関し、屋根裏部屋の冷却とは異なる、冬期の省エネ方法を提供することであり、引用発明1の課題及び発想が、本願補正発明の課題及び発想と大きく変わるものではない。 本願補正発明における「床下に導くことなく」という構成は、上記(6)エ(ア)aに指摘したとおり、「屋根裏部屋内に形成された暖気を・・・通路を介して前記下位の部屋に導く」うえで、「床下に導くことなく」とするものであるから、当該「通路」が壁面内に配置されることを排除するものではなく、また、「暖気」を「通路」を介して「下位の部屋」に導いた後に、住宅内の空気が壁面や1階の天井裏に流れることを排除するものでもない。 また、本願補正明細書等の記載を考慮しても、「床下に導くことなく」という構成に関し、段落【0008】に同じ記載が含まれ、また【図3】の概略図において、上下方向に延びる「通路7」が、住宅1階の床を示すと思われる横線の下までは延びていないことが看取されるにとどまるから、請求人が上記aに主張する事項は、本願補正明細書等において検討された形跡も示されていない。 したがって、上記aに請求人が主張する事項は、本願補正明細書等の記載、及び本願補正発明の「床下に導くことなく」という構成により特定される事項に基づかないものである。 よって、上記aの請求人の主張について検討しても、本願補正発明の進歩性について、上記(5)及び(6)の対比・判断を変更すべき事情はない。 (オ)効果について a 請求人の主張 請求人は意見書6において、本願補正発明の効果について、次の旨を主張している。 (a)「4)当方の主張」の冒頭の箇所 本願補正発明は、「設備的に大掛かりとならず、その上、短い暖房通路により暖房の立ち上がり時間も短く、しかも、短い暖房通路により熱ロスを少なくして、暖房の効率化を図った(以下「引用文献1、2、3、4と比較した有利な効果」という。)」ものであるから、進歩性を有する。 (b)「4)当方の主張」の「3.相違点2の認定の妥当性」の「(5)作用効果の予測困難性」の箇所 本願補正発明は、設備構成を大掛かりにすることなく、暖房立ち上がり時間を短縮し、短い通路によって熱ロスを抑制しつつ、光透過部材を介して屋根裏で得られる熱量の限られた即時性を有する暖気を居住空間以外に分散させないで体感可能な暖房効果を実現する、という効果を奏する。 この効果は、引用発明1及び引用文献2・3の蓄熱方式又は開放的屋根裏空間を前提とする技術思想からは、事前に予測し得ないから、本願補正発明は進歩性を有する。 b 上記主張についての検討 上記aの請求人の主張について、検討する。 本願補正発明における「床下に導くことなく」という構成は、「通路」の長さ等に関し、上記(6)エ(イ)に指摘したとおり、仮に暖気をあえて建物の床下に導いてから当該下位の部屋へと導くという迂遠な「通路」を採用する場合に比較すれば、暖気を当該部屋に導くまでの「通路」を簡素なものとすることができるであろうことを示すにとどまるから、引用発明1において、「屋根裏3で加温された空気」が「ダクト7内」を下り「排出口8」から「暖房される2階の室内」または「1階の室内」に排出されるまでの、「ダクト7」との対比において、本願補正発明の「通路」の長さが短いことを特定してはいない。 また、本願補正発明において、「屋根裏部屋内に形成された暖気」が「通路」を介して「下位の部屋」に導かれるうえで「床下に導」かれないことは特定されていても、暖気を居住空間以外に分散させないことは特定されていないし、暖気を居住空間以外に分散させないことは本願補正明細書等においても何ら記載されていない。 暖房立ち上がり時間についても、屋根裏部屋の広さや通路の長さ、送風量等の種々のパラメータに応じて変わるものであるから、本願補正発明の構成により、引用発明1より顕著に短くなることが特定されているとはいえない。 そして、上記aで請求人が主張する効果に関し、本願補正明細書等においては記載されておらず、検討された形跡も示されていない。 したがって、上記aで請求人が主張する効果は、大部分が本願補正発明の構成に基づかない効果であり、当該請求人の主張について検討しても、本願補正発明の進歩性について、上記(5)及び(6)の対比・判断を変更すべき事情はない。 (カ)意見書6における請求人の主張についてのまとめ 以上のとおり、請求人の意見書6における主張について検討しても、本願補正発明の進歩性について、上記(5)及び(6)の対比・判断を変更すべき事情はない。 ウ 意見書7における請求人の主張について 意見書7は、冒頭に本件補正が却下された場合の意見書である旨が記載されているが、実質的な内容は意見書6と変わるところがない。 したがって、上記イにおいて意見書6における請求人の主張について指摘したのと同じ理由で、請求人の意見書7における主張について検討しても、本願補正発明の進歩性について、上記(5)及び(6)の対比・判断を変更すべき事情はない。 エ 請求人の主張についてのまとめ 上記ア~ウのとおり、請求人の意見書における主張について検討しても、本願補正発明の進歩性について、上記(5)及び(6)の対比・判断を変更すべき事情はない。 (8)独立特許要件のまとめ 以上のとおり、本願補正発明は、引用発明1及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 したがって、本願補正発明は、特許法29条2項の規定により、特許出願の際に独立して特許を受けることができたものではない。 よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 4 補正の却下の決定のまとめ 上記2及び3のとおり、本件補正は、特許法17条の2第3項の規定、及び同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願について 1 本願発明 上記第2のとおり、本件補正は却下された。 また、本件補正に先立つ令和7年9月26日受付の手続補正書による補正5、及び同年7月16日受付の手続補正書による補正4は、いずれも却下されているから、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、本件補正前の令和7年4月14日受付の手続補正書による補正3の後の、特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるべきものである。 本願発明を特定する、特許請求の範囲の請求項1の記載は、上記第2の1(1)アに摘記したとおりである。 2 拒絶の理由の概要 当審において、令和7年11月20日付けで通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 ・進歩性欠如 本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 なお、引用文献1、及び周知技術に関して拒絶理由で示した引用文献2~4は、上記第2の3(4)~(8)で本願補正発明の進歩性について検討した際の引用文献1~4と同じである。 3 当審の判断 本願発明は、本願補正発明から一部の構成を削除したものであり、本願補正発明から削除した構成は、上記第2の3(5)に示した相違点3に係る構成である。 本願補正発明から、相違点3に係る構成を除いた構成は、上記第2の3(2)~(8)に示したとおり、引用発明1及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 なお、請求人は令和8年1月27日受付の意見書7において、冒頭に本件補正が却下された場合についての意見である旨を記載したうえで意見を述べているが、意見書7における実質的な主張の内容は、同月26日受付の意見書6と変わるものではないから、当該意見書7における主張の内容について考慮しても、本願発明についての進歩性の判断を変更すべき事情はない。 したがって、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 4 本願発明についてのまとめ 上記3のとおり、本願発明は、当審が通知した拒絶理由により、拒絶されるべきものである。 第4 結び 以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2025-015263

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