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特許拒絶査定不服審判

2024-016598

肉中のXR/MDでは検出不能な異物の検出

審判番号
2024-016598
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-502043外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年10月17日
審決日
2025年10月15日
公報発行日
2026年04月24日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (G01N) / P18 .121-Z (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第5項第4号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-502043「肉中のXR/MDでは検出不能な異物の検出」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 1月14日国際公開、WO2021/007500、令和 4年 9月15日国内公表、特表2022-540482〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 14項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本件出願(以下「本願」という。)は、2020年(令和2年)7月10日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年7月10日(以下「優先日」という。)(US)米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概要は以下のとおりである。

令和 6年 2月20日付け 拒絶理由通知書

同年 5月27日 意見書・手続補正書の提出

同年 6月 7日付け 拒絶査定

同年10月17日 審判請求書・手続補正書の提出

令和 7年 3月19日 上申書の提出

以下では、令和6年6月7日付け拒絶査定を「原査定」という。

第2 令和6年10月17日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)について

1 本件補正の内容

(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された

(下線部は、補正箇所である。また、各構成単位冒頭の「A」などは便宜のため当審にて付した分説番号であり、以下、各構成単位について該分説番号を用いて「構成A」などということがある。引用発明についても同様である。)。

「【請求項1】
A 検査システム(100)であって、
B 検査ゾーン(104)に隣接して位置決めされたバックグラウンド(102)を含み、前記検査ゾーン(104)は、物体を前記検査ゾーン中に搬送可能に受け入れるよう構成されるとともに配置され、
C EMRを発生させて該EMRを前記検査ゾーン(104)中に方向づけるよう構成された照明源(200)を含み、前記EMRは、前記バックグラウンドと相互作用するとともに前記物体が前記検査ゾーン中に移動しているときの前記物体と相互作用するようになっており、
D 前記バックグラウンド(102)からバックグラウンドEMRを受け取り、前記検査ゾーン(104)中に移動する物体から物体EMR受け取るよう構成された画像捕捉装置(106)、を含み、
E 前記バックグラウンド(102)は、バックグラウンド放射度、バックグラウンド吸収度、およびバックグラウンド反射度によって規定されるバックグラウンド特性を具備し、前記バックグラウンド特性は、EMRが前記検査ゾーン(104)中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致しており、前記物体は、物体放射度、物体吸収度、および物体反射度によって規定される物体特性を具備し、
F 前記画像捕捉装置(106)は、前記検査ゾーン(104)中に搬送されたときの物体内に存在する異物を前記物体EMRからの前記バックグラウンドEMRの差し引きによって検出するよう構成されているプロセッサを含む、
G 検査システム。」

(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載

本件補正前の、令和6年5月27日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである。

「【請求項1】
検査システム(100)であって、
検査ゾーン(104)に隣接して位置決めされたバックグラウンド(102)を含み、前記検査ゾーン(104)は、前記検査ゾーンは、物体を前記検査ゾーン中に搬送可能に受け入れるよう構成されるとともに配置され、
EMRを発生させて該EMRを前記検査ゾーン(104)中に方向づけるよう構成された照明源(200)を含み、前記EMRは、前記バックグラウンドと相互作用するとともに前記物体が前記検査ゾーン中に移動しているときの前記物体と相互作用するようになっており、
前記バックグラウンド(102)からバックグラウンド電磁線を受け取り、前記検査ゾーン(104)中に移動する物体から物体EMR受け取るよう構成された画像捕捉装置(106)、を含み、
前記バックグラウンド(102)は、バックグラウンド放射度、バックグラウンド吸収度、およびバックグラウンド反射度によって規定されるバックグラウンド特性を具備し、前記バックグラウンド特性は、EMRが前記検査ゾーン(104)中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致しており、前記物体は、物体放射度、物体吸収度、および物体反射度によって規定される物体特性を具備し、
前記画像捕捉装置(106)は、前記検査ゾーン(104)中に搬送されたときの物体内に存在する異物を前記物体EMRからの前記バックグラウンドEMRの差し引きによって検出するよう構成されているプロセッサを含む、検査システム。」

2 本件補正の適否

(1)上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「前記検査ゾーン(104)は、前記検査ゾーンは、」について、「前記検査ゾーン(104)は、」とする(以下「補正事項A」という。)とともに、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「バックグラウンド電磁線」について、「バックグラウンドEMR」とした(以下「補正事項B」という。)ものである。

(2)上記補正事項Aは、令和6年6月7日付けの拒絶査定において、「また、請求項1における「前記検査ゾーン(104)は、前記検査ゾーンは、」は誤記と解される。」とされたことに対応したものであって、明りょうでない記載であるとされた「前記検査ゾーン(104)は、前記検査ゾーンは、」を明りょうな記載とするためにしたものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正である。

(3)上記補正事項Bは、令和6年6月7日付けの拒絶査定において、「すなわち、請求項1及び10に「前記バックグラウンドEMR」との記載があるが、この記載よりも前に「バックグラウンドEMR」の記載が無く、「前記バックグラウンドEMR」が何を指し示しているのかが不明確である。」とされたことに対応したものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明において、「電磁線」及び「EMR」について用語が統一されていなかったため、明りょうでない記載となっていたところ、「バックグラウンド電磁線」を「バックグラウンドEMR」とし、用語を統一して明りょうな記載とするためにしたものであるから、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正である。

(4)以上のとおりであるから、請求項1に係る本件補正は、特許法第17条の2第5項第4号に掲げる、明りょうでない記載の釈明を目的とする補正である。

したがって、請求項1に係る本件補正は適法になされたものである。

第3 本願発明

上記第2のとおり、請求項1に係る本件補正は適法になされたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は上記第2の1(1)に記載されたとおりである。

第4 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由1は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、という理由を含むものである。

また、原査定の拒絶の理由2は、この出願の請求項1に係る発明は、その出願(優先日)前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願(優先日)前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。

引用文献1:特開2006-26469号公報

第5 引用文献の記載等

1 引用文献1

(1)引用文献1の記載

優先日前に頒布され、原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された特開2006-26469号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに次の記載がある。

ア 「【0011】
図1及び図2において、ペレット選別機1は供給ホッパー2及フィーダー3からなる供給部4と、該供給部4から供給されたペレットを無端状のベルトコンベア5により一定流量で、かつ、一定速度で搬送する搬送部6と、該搬送部6から放出されるペレットの放物線軌跡Lを挟んで設けられる複数の光学検出部7と、該複数の光学検出部7により検出された不良ペレットの検出結果に基づいて当該不良ペレットを放物線軌跡Lより除外する除去部8と、を備えている。」
イ 「【0014】
前記搬送部6の終端部から放出されるペレットの放物線軌跡Lの中途には複数の光学検出部7が設けられる。すなわち、ペレット表面側を観察するための第1検出部7Aと、ペレット裏面側(搬送部6においてベルトコンベア5と接していた面)を観察するための第2検出部7Bとを、放物線軌跡Lを挟んで、流下方向の上流側と下流側にずらして配設する。
【0015】
第1検出部7Aは、ペレット表面を照明する蛍光管ランプ16A,16B及び該蛍光管ランプ16A,16Bをそれぞれ取り付けたランプハウジング17A,17Bからなる第1照明手段と、ペレットの表面側を観察するためのCCDラインセンサー18Aと、該CCDラインセンサー18Aに対向して前記放物線軌跡Lを挟んで設けられる第1バックグラウンド19Aとから構成されている。」
ウ 「【0020】
蛍光管ランプ16C,16Dからの光は、バックグラウンド19Bを照射しており、CCDラインセンサー18Bは、バックグラウンド19Bからの光量を受光している。そして、ベルトコンベア5終端部から放出されたペレットが放物線軌跡L上の検出位置に到達すると、蛍光管ランプ16C,16Dの光はペレットの裏面を均一に照射するとともに、CCDラインセンサー18Bはその反射光を受光することになる。このとき、バックグラウンド19Bがペレットに接近しているので、ペレットに対して多方向から光が照射されることを抑制し、透明度の高い樹脂ペレットであってもペレット内部での光の乱反射を抑えることができ、正常ペレットが不良ペレットとして認識されることがない。
次に、ペレット裏面に直径1mm程度の微小な黒点が付着した不良ペレットが流下してきた場合は、CCDラインセンサー18Bはバックグラウンド19Bと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別することが可能となる。また、バックグラウンド19Bは放物線軌跡Lの流下方向に沿って凹状に湾曲させて形成してあるから、バックグラウンド19Bの直下を流下中のペレットには、少なくとも蛍光管16Aからの光の照射が遮られ、ペレットに対して表裏両方向から同時に光を照射することを抑制し、正常ペレットと不良ペレットとの誤判別をなくすことが可能となる。」
エ 「【0022】
CCDラインセンサー18Bを通過したペレットはさらに放物線軌跡L上を落下して、CCDラインセンサー18Aの検査領域に至る。この検査領域において、蛍光管ランプ16A,16Bからの光は、バックグラウンド19Aを照射しており、CCDラインセンサー18Aは、バックグラウンド19Aからの光量を受光している。そして、ペレットが検出位置に到達すると、蛍光管ランプ16A,16Bの光はペレットの裏面を均一に照射するとともに、CCDラインセンサー18Aはその反射光を受光することになる。そして、上記同様、バックグラウンド19Aがペレットに接近しているので、透明度の高い樹脂ペレットであってもペレット内部での乱反射を抑えることができ、正常ペレットが不良ペレットとして認識されることがない。
次に、ペレット表面に直径1mm程度の微小な黒点が付着した不良ペレットが流下してきた場合、CCDラインセンサー18Aはバックグラウンド19Aと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別することが可能となる。また、バックグラウンド19Aは放物線軌跡Lの流下方向に沿って凸状に湾曲させて形成してあるから、バックグラウンド19A直上を流下中のペレットには、少なくとも蛍光管16Dからの光の照射が遮られ、ペレットに対して表裏両方向から同時に光を照射することを抑制し、正常ペレットと不良ペレットとの誤判別をなくすことが可能となる。」
オ 「【0024】
そして、放物線軌跡L上のペレットを不良ペレットと判別した場合、CCDラインセンサー18Bの検査領域に対応するエジェクター20がわずかに遅延して作動し、当該ペレットを不良品排出樋22内に噴き飛ばす。
【0025】
バックグラウンド19A,19Bはその形状があらかじめ決められており、角度等の変更はできないので、蛍光管ランプ16A~16Dによって光量調節を行うとよい。例えば、蛍光管ランプの電源電圧を変化させて光量を上下させるか、蛍光管ランプの種類を変化させて明るさを選択することが考えられる。そして、バックグラウンド19B,19Aの光量と原料ペレットの中で多数を占める正常ペレットとの光量とを常に一致させておくとよい。」
カ 「
[図:0001433737000001.jpg]
」

上記ア~カの記載事項及び図面から、以下の事項が導かれる。

キ 段落【0022】には、「そして、ペレットが検出位置に到達すると、蛍光管ランプ16A,16Bの光はペレットの裏面を均一に照射するとともに、CCDラインセンサー18Aはその反射光を受光することになる。」と記載されている。また、段落【0015】には「ペレット表面を照明する蛍光管ランプ16A,16B」と記載されており、図1には、蛍光管ランプ16A、16BとCCDラインセンサー18Aとは、共に放物線軌跡Lの上方側に設けられている点が図示されているから、段落【0022】の上記記載における「ペレットの裏面」が、「ペレットの表面」の誤記であることは明らかである。

これは、段落【0020】には「蛍光管ランプ16C,16Dの光はペレットの裏面を均一に照射する」と記載されており、図1において、蛍光管ランプ16C、16Dは、放物線軌跡Lを挟んで蛍光管ランプ16A、16Bと反対側に示されていることからも明らかである。

(2)引用文献1に記載された発明

上記(1)ア~カの記載事項及び図面、キの認定事項を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「a 光学検出部7により不良ペレットを検出し、当該不良ペレットを除外するペレット選別機1であって、(段落【0011】)
b CCDラインセンサー18Aに対向し、搬送部6の終端部から放出されるペレットの放物線軌跡Lを挟んで設けられる第1バックグラウンド19Aを含み、(段落【0014】、【0015】)
c 第1バックグラウンド19Aを照射し、放物線軌跡L上のCCDラインセンサー18Aの検査領域のペレット表面を照明する蛍光管ランプ16A、16Bを含み、(段落【0022】、認定事項キ)
d 蛍光管ランプ16A、16Bからの光により照射されたバックグラウンド19Aからの光量を受光し、ペレットが検出位置に到達すると、ペレットの表面を均一に照射する蛍光管ランプ16A、16Bの光の反射光を受光するCCDラインセンサー18Aを含み、(段落【0022】、認定事項キ)
e バックグラウンド19Aの光量と原料ペレットの中で多数を占める正常ペレットとの光量とを一致させておき、(段落【0025】)
f ペレット表面に微小な黒点が付着した不良ペレットが流下してきた場合、CCDラインセンサー18Aはバックグラウンド19Aと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別し、放物線軌跡L上のペレットを不良ペレットと判別した場合、エジェクター20が作動し、当該ペレットを不良品排出樋22内に噴き飛ばす、(段落【0022】、【0024】)
g ペレット選別機1。(段落【0011】)」

第6 対比、判断

1 対比

本願発明と引用発明とを対比する。

(1)構成A、Gについて

引用発明の「ペレット選別機1」は、「光学検出部7により不良ペレットを検出」するとの検査を行う機能を有するものであるから、本願発明の「検査システム」に相当する。

(2)構成Bについて

引用発明の「放物線軌跡L上のCCDラインセンサー18Aの検査領域」(構成c)は、本願発明の「検査ゾーン」に相当する。

また、引用発明において、「放物線軌跡L」における「CCDラインセンサー18A」に対向する位置が上記「検査領域」であることは明らかであるから、「CCDラインセンサー18Aに対向し、搬送部6の終端部から放出されるペレットの放物線軌跡Lを挟んで設けられる第1バックグラウンド19A」は、「検査領域」に隣接して位置決めされたものといえる。

引用発明の「ペレット」は、本願発明の「物体」に相当する。

引用発明において、「検査領域」を有する「放物線軌跡L」に「ペレット」が「搬送部6の終端部から放出され」得ることは、本願発明において、「前記検査ゾーンは、物体を前記検査ゾーン中に搬送可能に受け入れるよう構成されるとともに配置され」ていることに相当する。

以上より、引用発明において、「CCDラインセンサー18Aに対向し、搬送部6の終端部から放出されるペレットの放物線軌跡Lを挟んで設けられる第1バックグラウンド19Aを含」むことは、本願発明において、「検査ゾーン(104)に隣接して位置決めされたバックグラウンド(102)を含み、前記検査ゾーン(104)は、物体を前記検査ゾーン中に搬送可能に受け入れるよう構成されるとともに配置され」ていることに相当する。

(3)構成Cについて

引用発明の「蛍光管ランプ16A、16B」及び「蛍光管ランプ16A、16B」が照射する光は、本願発明の「照明源」及び「EMR」に相当する。

引用発明において、「蛍光管ランプ16A、16B」が、「第1バックグラウンド19Aを照射し、放物線軌跡L上のCCDラインセンサー18Aの検査領域のペレット表面を照明する」際に、「蛍光管ランプ16A、16B」が照射した光が「第1バックグラウンド19A」及び「ペレット表面」から反射、すなわち、相互作用することは、明らかである。また、引用発明における「放物線軌跡L上のCCDラインセンサー18Aの検査領域のペレット」が、「放物線軌跡L」に沿って移動している状態において、「検査領域」にある「ペレット」を意味することは、明らかである。

以上より、引用発明において、「第1バックグラウンド19Aを照射し、放物線軌跡L上のCCDラインセンサー18Aの検査領域のペレット表面を照明する蛍光管ランプ16A、16Bを含」むことは、本願発明において、「EMRを発生させて該EMRを前記検査ゾーン中に方向づけるよう構成された照明源を含み、前記EMRは、前記バックグラウンドと相互作用するとともに前記物体が前記検査ゾーン中に移動しているときの前記物体と相互作用するようになって」いることに相当する。

(4)構成Dについて

引用発明の「蛍光管ランプ16A、16Bからの光により照射されたバックグラウンド19Aからの光量」及び「検出位置に到達」した「ペレットの表面を均一に照射する蛍光管ランプ16A、16Bの光の反射光」は、それぞれ、本願発明の「バックグラウンドEMR」及び「前記検査ゾーン中に移動する物体から」の「物体EMR」に相当する。

引用発明の「CCDラインセンサー18A」は、本願発明の「画像捕捉装置」に相当する装置に含まれるものといえる。

よって、引用発明の「蛍光管ランプ16A、16Bからの光により照射されたバックグラウンド19Aからの光量を受光し、ペレットが検出位置に到達すると、ペレットの表面を均一に照射する蛍光管ランプ16A、16Bの光の反射光を受光するCCDラインセンサー18Aを含」むことは、本願発明の「前記バックグラウンドからバックグラウンドEMRを受け取り、前記検査ゾーン中に移動する物体から物体EMR受け取るよう構成された画像捕捉装置、を含」むことに相当する。

(5)構成Eについて

ア(ア)本願発明は、「EMRが前記検査ゾーン(104)中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致しており、」と特定されている。

また、本願発明は、「EMR」について、「照明源」が「発生させ」る「EMR」、「バックグラウンドEMR」及び「物体EMR」の3種類が特定されているものである。

そして、本願の明細書、段落【0020】には、「肉である物体だけが検査ゾーン104を通過するとき、画像捕捉装置は、バックグラウンドEMRおよび物体EMRを受け取ったEMRとして受け取り、この場合、バックグラウンドEMRを受け取ったEMRから差し引くと、その結果として、ゼロの読みが生じ、と言うのは、バックグラウンドEMRと物体EMRが一致しているからであり、このゼロ読みもまた、負の読みとして規定できる。」と記載されていることを参酌すると、上記事項の「EMR」は、「バックグラウンドEMR」を意味することは、明らかである。

(イ)本願発明は、「前記バックグラウンド特性は、EMRが前記検査ゾーン(104)中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致しており、」と特定されており、当該事項において、「一致して」いるのは、「EMR」と「物体EMR」であって、当該「一致」させるための構成が「前記バックグラウンド特性」であることは明らかであるから、上記事項は、「前記バックグラウンド特性は、EMRが前記検査ゾーン(104)中に搬送されるべき物体の物体EMRと一致して」いるように構成されていることを意味することは、明らかである。

(ウ)上記(ア)、(イ)より、本願発明における「前記バックグラウンド特性は、EMRが前記検査ゾーン(104)中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致しており、」との事項は、前記バックグラウンド特性は、バックグラウンドEMRが前記検査ゾーン(104)中に搬送されるべき物体の物体EMRと一致しているように構成されていることを意味すると解釈し、以下対比をする。

なお、当該解釈は、令和7年3月19日提出の上申書において、上記事項を「前記バックグラウンド特性は、前記バックグラウンドEMRが前記検査ゾーン(104)中に搬送されるべき物体の物体EMRと一致するように構成されており、」と補正する旨が示されていることとも整合するものである。

イ 引用発明において、「バックグラウンド19Aの光量」及び「正常ペレット」の「光量」は、それぞれ、本願発明の「バックグラウンドEMR」の光量、及び、「検査ゾーン中に搬送されるべき物体の物体EMR」の光量に相当する。

よって、引用発明において、「バックグラウンド19Aの光量と原料ペレットの中で多数を占める正常ペレットとの光量とを一致させて」おくことは、本願発明において、「(バックグラウンド)EMRが前記検査ゾーン中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致して」いることに相当する。

また、引用発明において、「バックグラウンド19A」及び「正常ペレット」が、それぞれ放射度、吸収度、反射度からなる光学的な特性を有しており、それぞれが有する当該光学的な特性の結果として、「(バックグラウンド)EMRが前記検査ゾーン中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致」することは、自明である。

以上より、引用発明において、「バックグラウンド19Aの光量と原料ペレットの中で多数を占める正常ペレットとの光量とを一致させてお」くことは、本願発明において、「前記バックグラウンドは、バックグラウンド放射度、バックグラウンド吸収度、およびバックグラウンド反射度によって規定されるバックグラウンド特性を具備し、前記バックグラウンド特性は、EMRが前記検査ゾーン中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致しており、前記物体は、物体放射度、物体吸収度、および物体反射度によって規定される物体特性を具備」することに相当する。

(6)構成Fについて

引用発明において、「ペレット表面に」「付着した」「微小な黒点」は、本願発明の「前記検査ゾーン中に搬送されたときの物体内に存在する異物」に相当する。

引用発明は、「当該ペレットを不良品と判別し、放物線軌跡L上のペレットを不良ペレットと判別した場合、エジェクター20が作動し、当該ペレットを不良品排出樋22内に噴き飛ばす」ものであって、「不良品」の「判別」を、「放物線軌跡L上のペレット」が「エジェクター20」の位置に到達する前に自動的に瞬時に行うものであるから、「CCDラインセンサー18Aはバックグラウンド19Aと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別」するためのプロセッサを含んでいることは明らかである。また、当該プロセッサと「CCDラインセンサー18A」とを合わせたものが、本願発明の「画像捕捉装置」に相当する。

そして、当該プロセッサは、「CCDラインセンサー18Aはバックグラウンド19Aと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別」するものであるから、「バックグラウンド19A」からの光量と、「ペレット」からの光量との「光量差」の算出によって、すなわち、両者の差し引きによって「不良品」の「判別」を行っていることは、明らかである。

以上より、引用発明は、「ペレット表面に微小な黒点が付着した不良ペレットが流下してきた場合、CCDラインセンサー18Aはバックグラウンド19Aと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別し、放物線軌跡L上のペレットを不良ペレットと判別した場合、エジェクター20が作動し、当該ペレットを不良品排出樋22内に噴き飛ばす」との構成を有することから、本願発明における「前記画像捕捉装置は、前記検査ゾーン中に搬送されたときの物体内に存在する異物を前記物体EMRからの前記バックグラウンドEMRの差し引きによって検出するよう構成されているプロセッサを含む」ことに相当する構成を有しているといえる。

2 一致点、相違点

上記1のとおりであるから、本願発明と引用発明とは、

「A 検査システムであって、
B 検査ゾーンに隣接して位置決めされたバックグラウンドを含み、前記検査ゾーンは、物体を前記検査ゾーン中に搬送可能に受け入れるよう構成されるとともに配置され、
C EMRを発生させて該EMRを前記検査ゾーン中に方向づけるよう構成された照明源を含み、前記EMRは、前記バックグラウンドと相互作用するとともに前記物体が前記検査ゾーン中に移動しているときの前記物体と相互作用するようになっており、
D 前記バックグラウンドからバックグラウンドEMRを受け取り、前記検査ゾーン中に移動する物体から物体EMR受け取るよう構成された画像捕捉装置、を含み、
E 前記バックグラウンドは、バックグラウンド放射度、バックグラウンド吸収度、およびバックグラウンド反射度によって規定されるバックグラウンド特性を具備し、前記バックグラウンド特性は、EMRが前記検査ゾーン中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致しており、前記物体は、物体放射度、物体吸収度、および物体反射度によって規定される物体特性を具備し、
F 前記画像捕捉装置は、前記検査ゾーン中に搬送されたときの物体内に存在する異物を前記物体EMRからの前記バックグラウンドEMRの差し引きによって検出するよう構成されているプロセッサを含む、
G 検査システム。」

の点で一致し、相違する点はない。

3 小括

以上より、本願発明は、引用発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。

また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

4 審判請求人の主張について

(1)審判請求人は、令和6年10月17日提出の審判請求書において、新規性、進歩性について、「(2)この前提に立って、主引例として引用された上記引用文献1は、しかしながら、上記意見書で申し述べたように、この観点「物体内に存在する異物を前記物体EMRからの前記バックグラウンドEMRの差し引きによって検出する」を決して考えていない。実際、引用文献1は、隔絶された不純物を検出するといういかなる技術的解決手段を提供することにも、このようなことを行うことに関心ももっていない。したがって、本願の補正された独立請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明でも、引用文献1を主引例とする引用文献1-3に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものでもなく、特許性を十分具備するものである」と主張しているので検討する。

引用発明は、「CCDラインセンサー18Aはバックグラウンド19Aと微小黒点との光量差を検出し、当該ペレットを不良品と判別」するものであるから、「光量差を検出」することを、物体EMRとバックグラウンドEMRとの差し引きによって行っていることは、明らかである。よって、請求人の「上記引用文献1は、・・・「物体内に存在する異物を前記物体EMRからの前記バックグラウンドEMRの差し引きによって検出する」を決して考えていない。」との主張は、採用できない。

(2)審判請求人は、令和7年3月19日提出の上申書において、

「このように、本発明では、バックグラウンドEMRと物体EMRとが一致するように、すなわち、バックグラウンドの放射度、吸収度および反射度という具体的な光学的特性が物体と一致するように、バックグラウンド放射度、バックグラウンド吸収度、およびバックグラウンド反射度によって規定されるバックグラウンド特性(光学的特性)が設定されています。
これに対して、引用文献1では、せいぜいバックグラウンドの光量と正常ペレットの光量とを一致させることが開示されているだけであり、本発明のように、より具体的に、放射度、吸収度および反射度により、両者のEMRを一致させることまでは開示がありません。また、引用文献2には、バックグラウンドと選別される製品の色が適合するようにすることが記載されているだけであり、本発明のように、放射度、吸収度および反射度により、両者のEMRを一致させることまでは開示がありません。また、引用文献3にも本発明の構成の開示がありません。」

と主張しているので検討する。

本願発明は、「前記バックグラウンド特性は、EMR(バックグラウンドEMR)が前記検査ゾーン中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致」するように構成されていることを特定するものであって、「バックグラウンド特性」の放射度、吸収度および反射度と、「物体」の放射度、吸収度および反射度とを、それぞれ一致させることを特定するものではない。そして、引用発明において、「バックグラウンド19Aの光量と原料ペレットの中で多数を占める正常ペレットとの光量とを一致させて」おくことは、本願発明において「EMR(バックグラウンドEMR)が前記検査ゾーン中に搬送されるべき物体の物体EMRに一致して」いることに相当するから、構成Eに関して、引用発明と本願発明とに差異があるとは認められない。

また、仮に本願発明が、「バックグラウンド」の放射度、吸収度および反射度と、「物体」の放射度、吸収度および反射度とを、それぞれ一致させることを特定するものと解釈したとしても、引用発明において、「バックグラウンド19Aの光量と原料ペレットの中で多数を占める正常ペレットとの光量とを一致させ」るために、「バックグラウンド19A」の光学的な特性を「正常ペレット」の光学的な特性に一致させようとすることは、当業者が当然になし得ることであるから、引用発明において、「バックグラウンド19A」の放射度、吸収度および反射度と「正常ペレット」の放射度、吸収度および反射度とを、それぞれ一致させることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、審判請求人の上記主張は採用できない。

また、上記上申書には、「以上により、上記拒絶理由は解消されるものと思料致しますので、補正の機会を与えてくださいますよう御願い致します。」と記載されているが、上申書に記載された補正案のとおりに特許請求の範囲を補正したとしても、前記1ないし3で説示したのと同様の理由により新規性、進歩性の拒絶理由を解消するものとは認められないから、当審において上記補正案のとおりに補正する機会を与えるためのさらなる拒絶理由を通知すべき理由は認められない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、又は特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

したがって、他の理由及び他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2024-016598

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