特許拒絶査定不服審判
2025-017325
情報処理システムおよびプログラム
- 審判番号
- 2025-017325
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2025-063774
- 請求日
- 2025年10月31日
- 審決日
- 2026年01月06日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】aiwell株式会社
- 【請求人代理人】岸 真太郎
- 【請求人】国立大学法人東京科学大学
- 【請求人代理人】岸 真太郎
- 審判長/審判官
- 審判長 宮澤 浩
- 審判官 伊藤 幸仙
- 審判官 松本 隆彦
- 分類
- P18 .113-Z (G01N) / P18 .121-Z (G01N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2025- 63774「情報処理システムおよびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和 7年 8月 7日出願公開、特開2025-115992〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和4年6月21日に出願された特願2022-99319号の一部を、令和7年4月8日に新たな特許出願としたものであって、その手続等の経緯は、概略、次のとおりである。
令和7年 4月 8日 早期審査に関する事情説明書の提出
同年 4月 9日 上申書の提出
同年 6月16日付け 拒絶理由通知書
同年 7月29日 意見書及び手続補正書の提出
同年 9月17日付け 拒絶査定
同年10月31日 審判請求書及び早期審理に関する事情説明書の提出
同年12月17日付け 審理終結通知
同年12月23日 上申書の提出
なお、令和7年12月23日提出の上申書において、請求項10に対して、審査段階における特許性の有無の判断が行われておらず、当該請求項に対して、反論や補正の機会を求める旨の主張がなされている。しかし、本審決は、以下の第5に示すとおり、審査において特許性の判断が示された請求項1に対する当審の判断を示すものであり、審理の再開の必要があるとは判断しない。
第2 本願発明
本願の請求項1~12に係る発明は、令和7年7月29日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~12に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
特定の生体の複数の生体分子について第1種の物理量および前記第1種の物理量とは種類が異なる第2種の物理量の何れの分布も示された分布画像を、複数の時点の前記分布について取得する取得手段と、
複数の時点の前記分布について取得された複数の分布画像に基づいて前記特定の生体の状態の特定を行う特定手段と、
を備え、
前記分布画像は、前記複数の生体分子について、生体分子を示す画像として表示された分子画像から前記第1種の物理量および前記第2種の物理量が特定される画像であり、
前記分子画像は、前記分布画像において、少なくとも前記第1種の物理量に応じた領域に表示され、
前記特定手段による前記特定は、前記複数の分布画像から特定される前記第2種の物理量の変化について定められた条件が前記分布画像における何れの領域で満たされるかに応じた前記状態に特定されるように行われる、情報処理システム。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明に対する理由(新規性及び進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1:(新規性)この出願の請求項1~9、11~12に係る発明は、その原出願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1、2又は3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2:(進歩性)この出願の請求項1~9、11~12に係る発明は、その原出願の出願日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1、2又は3に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特表2016-536598号公報
引用文献2.特表2021-503610号公報
引用文献3.特開2010-71953号公報
第4 引用文献1の認定事項及び引用発明の認定
1 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用文献1として引用された、本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特表2016-536598号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は、当審で付した。以下同様。)。
(引1-ア)
「【0081】
多数の定性化および定量化技術を用いて、単離された分子およびバイオマーカーのレベルを同定することができることが明らかである。これらの技術は、2D DGE、多反応モニタリング質量分析(MRM-MS)などの質量分析(MS)、リアルタイム(RT)-PCR、核酸アレイ;ELISA、機能的アッセイ、酵素アッセイ、様々な免疫学的方法、またはキャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、超拡散クロマトグラフィー、2次元液相電気泳動(2-D-LPE)もしくはゲル電気泳動におけるその移動パターンなどの生化学的方法を含んでもよい。ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)は、複雑な混合物からタンパク質を分離するための広く用いられているアプローチである。
【0082】
しかしながら、単離された分子およびバイオマーカーのレベルを同定するために用いられる適切な技術は分子の特徴に依存することが、当業者には明らかである。例えば、単離された分子がタンパク質である場合、2D DGEまたは質量分析を用いて、単離された分子のレベルを定量することができる。
【0083】
好ましくは、バイオマーカーのレベルの定量化を、1または2次元(2-D)構成で実施することができる。あまり複雑でないタンパク質調製物については、1次元のSDS-PAGEがより単純であるため、2-Dゲルよりも好ましい。好ましい実施形態においては、第1の次元においては等電点電気泳動(IEF)を含み、第2の次元においてはSDS-PAGEを含む2-Dゲル電気泳動が用いられ、電荷およびサイズによるバイオマーカーの分離をもたらす。
【0084】
バイオマーカーのレベルの決定を、例えば、バイオマーカーがポリペプチドであった場合、2-Dゲル電気泳動上などでのその等電点(pI)およびその分子量(MW)に基づくバイオマーカーの特性評価に従うことによって行うこともできる。この例においては、試料中に存在するバイオマーカーの量を、2-Dゲル上でのポリペプチドスポットの強度を測定することなどによる、視覚的分析によって決定することができる。」
(引1-イ)
「【0118】
分子の比を決定する様式の例においては、2つの個々の分子を画像分析により定量化し、2Dゲルからの特定のタンパク質スポットの強度の測定を提供する。そのような例においては、分子レベルの定量化されたレベルに基づく比を、
(分子1のレベル/分子2のレベル)=分子の比
として表すことができる。」
(引1-ウ)
「【0121】
さらに、バイオマーカーの診断能力を特徴付ける際に、当業者はバイオマーカーに関する診断カットオフを算出することができる。このカットオフは、値、レベルまたは範囲であってもよい。診断カットオフは、可能性のある疾患または障害を決定または同定することを試みるプロセスを補助する値、レベルまたは範囲を提供するべきである。」
(引1-エ)
「【0198】
従って、哺乳動物に由来する生物試料に由来する任意の1つまたは複数のこれらのバイオマーカーのレベルの変化を用いて、認知機能を評価する、神経疾患を診断するか、またはその予後診断もしくは診断を補助する、および/あるいは患者における神経疾患をモニタリングする(例えば、哺乳動物における疾患進行を追跡する、および/または哺乳動物における医学的もしくは外科的療法の効果を追跡する)ことができる。」
(引1-オ)
「【0200】
バイオマーカーのレベルを、1つより多い時点で哺乳動物から取得することもできることが企図される。そのような連続的サンプリングは、哺乳動物における神経疾患の進行のモニタリングと関連する本発明の方法により実現可能であると考えられる。連続的サンプリングを、毎月、年4回(すなわち、3カ月毎)、半年毎、1年毎、2年毎、またはそれ以下の頻度などの任意の所望の予定表上で実施することができる。測定されたレベルと所定の比との比較を、新しい試料が測定される各時点で実行するか、またはレベルに関するデータをより低い頻度の分析のために保持することができる。」
(引1-カ)
「【0225】
従って、本発明の方法を、哺乳動物に由来する試料に由来する少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルを定量化すること、2つの関連する形態のバイオマーカー間の比を得ること、およびシステムにおけるこれらのものを、対照哺乳動物に由来する規定の比または既知の神経状態を示す試料から作成された参照比と比較することにより、哺乳動物における神経疾患の進行をモニタリングするためのシステムにおいて適用することができる。例えば、その哺乳動物に由来する比の減少または増加は、哺乳動物における神経疾患の進行(例えば、重症度の増大)を示すか、または示唆する。一例においては、哺乳動物の神経疾患状態のモニタリングを、2つの関連する形態のバイオマーカーの値の測定によってモニタリングして、神経疾患状態が、SUVRより大きいもの(陽性の神経疾患状態の可能性を示す)からSUVRより小さいもの(正常または陰性の神経疾患状態ではない可能性を示す)への変化などの、実際の、予測された、または理論的なSUVRスコアにより確認される(as ascertained)かどうかを決定することができる。さらなる例においては、哺乳動物における神経疾患の状態をモニタリングして、神経疾患状態が、SUVRより小さいもの(正常または陰性の神経疾患状態ではない可能性を示す)から、SUVRより大きいもの(陽性の神経疾患状態の可能性を示す)に変化するように、神経疾患状態が悪化するかどうかを決定することができる。」
2 引用発明
上記1を総合勘案すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「哺乳動物に由来する試料に由来する少なくとも2つの関連する形態のバイオマーカーのレベルを定量化すること、2つの関連する形態のバイオマーカー間の比を得ること、およびシステムにおけるこれらのものを、対照哺乳動物に由来する規定の比または既知の神経状態を示す試料から作成された参照比と比較することにより、哺乳動物における神経疾患の進行をモニタリングするためのシステムであって、(【0225】)
バイオマーカーのレベルを、1つより多い時点で哺乳動物から取得するものであり、(【0200】)
バイオマーカーのレベルの決定を、2-Dゲル電気泳動上などでのその等電点(pI)およびその分子量(MW)に基づくバイオマーカーの特性評価に従うことによって行うものであり、(【0084】)
2つの個々の分子を画像分析により定量化し、2Dゲルからの特定のタンパク質スポットの強度の測定が提供され分子レベルの定量化されたレベルに基づく比を、
(分子1のレベル/分子2のレベル)=分子の比
として表し、(【0118】)
モニタリングは、バイオマーカーのレベルの変化を用いるものである(【0198】)
システム。」
第5 対比・判断
1 対比
(1)「特定の生体の複数の生体分子について第1種の物理量および前記第1種の物理量とは種類が異なる第2種の物理量の何れの分布も示された分布画像を、複数の時点の前記分布について取得する取得手段」について
引用発明の「分子1」と「分子2」は、「哺乳動物に由来する生体試料」に由来するものであるから、本願発明の「特定の生体の複数の生体分子」に相当する。
引用発明の「2-Dゲル電気泳動」はバイオマーカーの「その等電点(pI)およびその分子量(MW)」に基づく分離を行うものであり、そのスポットの強度は、分子の量を示すものである。そうすると、「等電点(pI)」と「分子量(MW)」が、本願発明の「第1種の物理量」、スポットの強度で示される「分子の量」が本願発明の「第2種の物理量」に相当する。そして、引用発明は、「画像分析」により「スポットの強度の測定が提供され」るから、「2-Dゲル電気泳動」のゲルを撮像して画像を取得することは明らかであり、引用発明の「2-Dゲル電気泳動」の「ゲル」の画像が、本願発明の「分布画像」に相当する。そして、引用発明は、「バイオマーカーのレベルを、1つより多い時点で」、つまり複数の時点で「取得」するものであるから、複数の時点での試料から、「ゲル」の画像を取得することは明らかである。
したがって、引用発明は、本願発明の「特定の生体の複数の生体分子について第1種の物理量および前記第1種の物理量とは種類が異なる第2種の物理量の何れの分布も示された分布画像を、複数の時点の前記分布について取得する取得手段」に相当する構成を有するものである。
(2)「複数の時点の前記分布について取得された複数の分布画像に基づいて前記特定の生体の状態の特定を行う特定手段」について
引用発明は、「1つより多い時点で哺乳動物から取得」した「バイオマーカーのレベルの変化」に着目して、「哺乳動物における神経疾患の進行をモニタリングする」」ものであるから、患者神経疾患の進行を特定するものである。
また、引用発明は、上記(1)で説示したように複数の時点での試料から取得した「ゲル」の画像を画像分析して、バイオマーカーのレベルを定量化するものである。
してみると、引用発明は、本願発明の「複数の時点の前記分布について取得された複数の分布画像に基づいて前記特定の生体の状態の特定を行う特定手段」に相当する構成を有するものである。
(3)「前記分布画像は、前記複数の生体分子について、生体分子を示す画像として表示された分子画像から前記第1種の物理量および前記第2種の物理量が特定される画像であり、」について
引用発明における「2-Dゲル電気泳動」が行われた「ゲル」は、試料に含まれる物質の「その等電点(pI)およびその分子量(MW)」に基づく分離が行われ、分離された分子がスポットとして存在するゲルであり、「ゲル」の画像は、これらの分離された状態を画像化したものであるから、スポットの位置から、(「第1種の物理量」に相当する)「等電点(pI)」と「分子量(MW)」が特定され、スポットの強度から(「第2種の物理量」に相当する)分子の量が特定されるものである。そうすると、引用発明において撮像された「ゲル」の画像は、本願発明の「分子画像」に相当し、「前記複数の生体分子について、生体分子を示す画像として表示された分子画像から前記第1種の物理量および前記第2種の物理量が特定される画像」であるとする要件を満たしている。
(4)「前記分子画像は、前記分布画像において、少なくとも前記第1種の物理量に応じた領域に表示され、」について
引用発明のゲルの「画像」における「その等電点(pI)およびその分子量(MW)に基づ」いて分離されたもののスポットの分布する領域は、本願発明の「少なくとも前記第1種の物理量に応じた領域」に相当する。
(5)「前記特定手段による前記特定は、前記複数の分布画像から特定される前記第2種の物理量の変化について定められた条件が前記分布画像における何れの領域で満たされるかに応じた前記状態に特定されるように行われる、」について
引用発明は、「2つの個々の分子を画像分析により定量化し、2Dゲルからの特定のタンパク質スポットの強度の測定が提供され分子レベルの定量化されたレベルに基づく比を、
(分子1のレベル/分子2のレベル)=分子の比
として表」して、「バイオマーカーのレベルの変化」を用いて「神経疾患の進行をモニタリングする」ものであり、「分子1」及び「分子2」は、2Dゲル上においてスポットとして存在しており、比は、スポットの強度の相対的な関係である。そして、引用発明は、「分子1」及び「分子2」に対応する領域の強度の相対的な関係を、「対照哺乳動物に由来する規定の比または既知の神経状態を示す試料から作成された参照比」で示される基準と比較することに基づいて神経疾患をモニタリングするものであり、これは、「分子1」及び「分子2」に対応する領域が本願発明の「何れの領域」に相当し、神経疾患をモニタリングする際の「バイオマーカーのレベルの変化」の判断の基準である「対照哺乳動物に由来する規定の比または既知の神経状態を示す試料から作成された参照比」が、本願発明の「前記複数の分布画像から特定される前記第2種の物理量の変化について定められた条件」に相当する。そうすると、引用発明は、本願発明の「前記複数の分布画像から特定される前記第2種の物理量の変化について定められた条件が前記分布画像における何れの領域で満たされるかに応じた前記状態に特定される」ことに相当する構成を有するといえる。
(6)「情報処理システム」について
引用発明は、「システム」がゲルの撮像を行い、画像分析によりスポットの強度を測定し、測定結果に基づいて神経疾患の進行をモニタリングするものであるから、情報処理が行われることは明らかであるので、引用発明の「システム」は、本願発明の「情報処理システム」に相当する。
してみると、本願発明と引用発明の間に差異はなく、両者は同一であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。また、仮に、両者の間に差異があるとしても、そのような差異は当業者が容易に想到しえたことであり、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
2 請求人の主張について
(1)請求人の主張
請求人は審判請求書の請求の理由において、概略、以下の主張をしている。
主張1:「引用文献1に記載の技術は、「生体の状態の診断に用いるものとして事前に決定したバイオマーカーを分析してレベルの変化を特定し、特定した変化に応じて生体の状態を診断する」ものであり、本願発明のように、「特定手段による特定は、複数の分布画像から特定される第2種の物理量の変化について定められた条件が分布画像における何れの領域で満たされるかに応じた状態に特定されるように行われる」ものではありません。」
主張2:「複数の分布画像から特定される第2種の物理量の変化について定められた条件が分布画像における何れの領域で満たされるかに着目することや、変化について定められた条件が分布画像における何れの領域で満たされるかに応じた状態に生体の状態が特定されることについて、引用文献1には、開示がなく、示唆もされていません。」
主張3:「引用文献1には、診断対象に含まれる状態と、診断に用いられるバイオマーカーとがバリエーションとして記載されているに過ぎません。
そのため、「事前に決定したバイオマーカーのレベルの変化に応じて生体の状態を診断する」引用文献1において、診断対象に含まれる状態と診断に用いられるバイオマーカーとのバリエーションとしての記載に基づいて、本願発明のように、複数の分布画像から特定される第2種の物理量の変化について定められた条件が分布画像における「何れの領域で満たされるか」に着目し、情報処理システムとして「条件が分布画像における何れの領域で満たされるかに応じた状態に特定される」ようにすることは、当業者が容易に想到し得るものではないと思料します。」
(2)主張についての判断
請求人の主張1~3は、要するに引用文献1には、本願発明の「前記特定手段による前記特定は、前記複数の分布画像から特定される前記第2種の物理量の変化について定められた条件が前記分布画像における何れの領域で満たされるかに応じた前記状態に特定されるように行われる」構成が記載も示唆もされておらず、引用文献1から、この構成は容易に想到し得ないと主張するものであるから、以下に、まとめて検討する。
請求人の主張における本願発明の構成については、上記1(5)で対比したとおりであり、引用発明は、複数のバイオマーカーである「分子1」及び「分子2」に対応するスポットの強度を測定するものであるから、「分子1」及び「分子2」に対応するスポット領域の強度の相対的な変化が所定の条件に合致するか否かに着目しているものである。そうすると、引用発明がバイオマーカーである「分子1」及び「分子2」に対応するスポットの強度を測定することは、本願発明の「複数の分布画像から特定される第2種の物理量の変化について定められた条件が分布画像における何れの領域で満たされるかに着目する」ことに相当するといえるので、引用発明は、本願発明のように、「特定手段による特定は、複数の分布画像から特定される第2種の物理量の変化について定められた条件が分布画像における何れの領域で満たされるかに応じた状態に特定されるように行われる」構成を備えるものといえる。
また、本願発明が奏する効果は、引用発明から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、格別なものとはいえない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができず、また、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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