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特許拒絶査定不服審判

2024-013950

成型品検査装置

審判番号
2024-013950
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2023-126280外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年08月30日
審決日
2025年09月08日
公報発行日
2025年12月26日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (G01N) / P18 .121-WZ (G01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2023-126280「成型品検査装置」拒絶査定不服審判事件〔令和6年3月13日出願公開、特開2024-35102〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 10項目
理 由

第1 手続の経緯

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本件出願(以下「本願」と記す。)は、令和4年9月1日の実用新案登録出願である実願2022-2896号を令和5年8月2日に特許出願に変更した出願(特願2023-126280号)であって、令和5年11月14日付けで拒絶理由が通知され、これに対し令和6年1月17日に意見書及び手続補正書が提出され、同年2月5日付けで最後の拒絶理由が通知され、これに対し同年4月11日に意見書及び手続補正書が提出され、同年5月23日付けで同年4月11日提出の手続補正書による補正に対する補正の却下の決定がなされると同時に拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、同年8月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出され、当審より令和7年6月3日付けで拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対し同年8月4日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。

第2 当審拒絶理由(令和7年6月3日付け拒絶理由)の概要

当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由1:(新規性)本件出願の請求項1に係る発明は、引用文献3に記載された発明又は引用文献4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2:(進歩性)本件出願の請求項1及び2に係る発明は、引用文献3に記載された発明及び周知慣用の技術から、又は引用文献4に記載された発明及び周知慣用の技術から、又は引用文献3に記載された発明と引用文献4に記載された発明と周知慣用の技術とから、その出願の原出願日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

理由3:(明確性要件)本件出願は、特許請求の範囲の請求項1の記載の、「成形品に欠肉が生じていると判定する」ことと「成形品の欠損の有無を判定する」こととが、等価であるのか異なることであるのかが不明であり、そのため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

引用文献3 特開2011-2262号公報

引用文献4 特開平8-43322号公報

第3 本願発明について

本願の請求項1及び2に係る発明(以下「補正後本願発明1及び2」という。)は、令和7年8月4日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されたとおりのものであり、補正後本願発明1は以下のとおりのものである。

「【請求項1】
成形機で成形された成形品の欠損の有無を判定する成形品検査装置において、
成形機から取出した成形品の温度分布を撮像するためのサーモグラフィーカメラと、
サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布から成形品の欠損の有無を判定するための判定機と、
を有し、
サーモグラフィーカメラが、成形機で溶融後に所定形状に成形され常温まで冷却されるまでの間で成形品が所定範囲内の温度を有している時に成形品から発せられる熱の分布を温度分布として撮像し、
その後、判定機は、サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布の平均温度が所定温度範囲内でない場合、又は、サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布における所定温度範囲内の画素数が所定個数範囲内でない場合、若しくは、サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の現実の温度分布の画像と欠損の無い正常品の理想の温度分布とを差分抽出した画像の面積や画素数が所定以上の場合、に成形品に欠損が生じていると判定することを特徴とする成形品検査装置。」

なお、補正後本願発明2は補正後本願発明1を引用する発明である。

第4 引用文献3及び引用文献4の記載及び引用文献3及び引用文献4に記載された発明について

1.引用文献3の記載及び引用文献3に記載された発明について

本願の出願の原出願日前に頒布された刊行物である特開2011-2262号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている(下線は当審で付与した。以下同様。)。

(1)「【0001】
本発明は、成形機で成形されたまだ熱いガラス製品を、徐冷炉で徐冷する前に、傷、泡、異物、合目線、肉厚不良、形状不良などの欠陥の有無を検査するガラス製品検査装置に関する。」
(2)「【0010】
本発明者らは、ホットエンドでの赤外線を用いた検査で誤判定が多くなる現象を研究した結果、主に次の2つの原因によることを発見した。
その第一の原因は、まだ熱いガラス製品の輪郭部分から放射される赤外線の強さが、種々の要因により不安定なことである。単純に赤外線カメラで撮像した画像と基準画像を比較して良否を判定しても、輪郭部分の赤外線強度の不安定さによって、良品を不良品と誤判定し、又はその逆の誤判定が起こりやすい。
その第二の原因は、成形機で成形されたガラス製品はコンベア上を一列に並んで搬送されてくるが、そのガラス製品を赤外線カメラで撮像すると、隣(コンベア上の前後)のガラス製品の熱放射が撮像するガラス製品に映り込み、この映り込みによって良品を不良品と誤判定し、又はその逆の誤判定が起こりやすい。
本発明は、これらの点に鑑みて完成されたものである。」
(3)「【0011】
〔請求項1〕
本発明は、成形機で成形され、搬送されているガラス製品を徐冷炉の手前で撮像する赤外線カメラと、その撮像した画像を処理する処理手段を有し、該処理手段が、前記画像の輪郭の内側に検査領域を設定し、該検査領域内において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定するものであることを特徴とするガラス製品検査装置である。
【0012】
続きを表示(全12行)
赤外線カメラで撮像した画像の輪郭の内側に検査領域を設定し、その検査領域内において明るさ閾値、及び画素数閾値によって良否判定を行うので、赤外線強度の不安定な輪郭部分の赤外線強度が検査結果に影響を及ぼさず、良否判定の精度が向上する。
【0013】
〔請求項2〕
また本発明は、成形機で成形され、搬送されているガラス製品を徐冷炉の手前で撮像する赤外線カメラと、その撮像した画像を処理する処理手段を有し、該処理手段が、現在検査中のガラス製品を撮像した現在画像と過去に撮像したガラス製品の過去画像の差分画像を作成し、該差分画像において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定するものであることを特徴とするガラス製品検査装置である。
【0014】
差分画像とは、現在画像の各画素の明るさと、過去画像の対応する各画素の明るさの差を、各画素の明るさとして作成した画像である。
【0015】
現在画像と過去画像の差分である差分画像は、隣のガラス製品の熱放射の映り込みがほぼ削除された画像となり、この差分画像において明るさ閾値、及び画素数閾値によって良否判定を行うので、映り込みにほとんど影響されない良否判定が可能となり、良否判定の精度が向上する。」
(4)「【0036】
図1は、IS成形機によるガラス製品(ガラスびん)成形のホットエンドの概略を示している。
IS成形機6は、この場合第1セクションから第10セクションの10個のセクション(図1における丸数字はセクション番号を表す。)を有し、第1セクションがコンベアの最も下流側、第10セクションが最も上流側になっている。
製成形6の各セクションで成形されたガラス製品Gは、図1の矢印のようにコンベア7の上に送り出され、下流側に向かって一列で搬送されて行き、プッシャー9によって徐冷炉8の中に送り込まれる。
続きを表示(全48行)
ガラス製品は、徐冷炉に入る手前において、必要に応じ、コーティングチャンバ10でコーティング(いわゆるホットエンドコーティング)が行われる。
【0037】
本発明の検査装置において、赤外線カメラ1はIS成形機6と徐冷炉8の間のコンベア7上を搬送されているガラス製品Gを撮像するように設置される。
赤外線カメラ1が設置される環境は高温であるので、カメラはクーリングボックス(図示せず)内に収納するなどして冷却することが望ましい。
赤外線カメラ1の下流側には、リジェクタ3及び廃棄部5が設けられる。リジェクタ3は不良品と判定されたガラス製品を廃棄部5に向かって吹き飛ばし、コンベア7上から排除するものである。
【0038】
図2は、実施例の検査装置の構成の概略を示している。
この検査装置は、赤外線カメラ1、処理手段2、リジェクタ3、表示手段4、入力手段を有する。
赤外線カメラ1は市販品で、0.8~1.7μmの波長の赤外線を捉えるものであり、コントローラが附属している。
処理手段2は市販のコンピュータ(パーソナルコンピュータ)で、表示手段4(モニタ)及び入力手段(キーボード、マウス)が接続されている。
【0039】
IS成形機6に附属している制御システムは、セクション信号、タイミング信号、リセット信号を有する。
セクション信号は、各セクションで成形したびんをコンベア上に送り出すたびに出力される、そのびんを成形したセクション番号(セクションに複数のステーションがある場合はステーション記号を含む)を表す信号である。
タイミング信号は、IS成形機の動作速度に同期したパルス信号で、例えば、1周期の動作を完了する間(全てのセクションで1回成形を完了する間)に1800パルスを出力する。
ゴブを切断するシャーカットのタイミング、成形機の全ての部分の動作やコンベア7の搬送速度などはこのタイミング信号に同期している。
リセット信号は、IS成形機6が1周期の動作を完了するごとに1パルス出力されるものである。
【0040】
処理手段2は、IS成形機6の制御システムからセクション信号、タイミング信号及びリセット信号を受け取ることで、あるガラス製品Gが赤外線カメラ1の正面まで搬送されてシャッターを切るタイミング、そのガラス製品Gがどのセクション(及びステーション)で成形されたものか、そのガラス製品Gが不良品であるときにリジェクタ3の正面まで搬送されてリジェクタを動作させるタイミングを把握できる。
【0041】
処理手段2は、ガラス製品Gが赤外線カメラ1の正面に来たときに、赤外線カメラのコントローラに対して撮像信号を送る。これにより赤外線カメラはシャッターを切り、その画像データを処理手段2に送る。
【0042】
図3は撮像されたガラス製品Gを示し、太い実線が輪郭11である。
処理手段2は、輪郭11の内側に、検査領域12を設定する。
検査領域は、ガラス製品の形状などを考慮して、赤外線放射が不安定な輪郭部分を排除するように予め定めておく。この場合は、水平方向において、ガラス製品の径を約90%に縮めた領域としている。場合によっては垂直方向のみ、又は水平と垂直方向に縮めた領域としてもよい。
【0043】
〔判定方法1〕
処理手段2は、検査領域12において、所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定する。
明るさ閾値は、検査領域を複数の区域に分割し、各区域ごとに定めることができる。図3は、検査領域を口部、首部、胴上部、胴下部及び底部の5つの区域に分割した例である。
明るさ閾値は、例えば次のようにして定めることができる。明るさの階調が14ビット(2の14乗=16384)で、胴上部の平均明るさが4000の場合、閾値をその10%の範囲内とし、3600~4400から外れた画素数を欠陥部分と判定する。他の区域についても同様に定めることができる。
画素数閾値は、どの程度までの欠陥があっても良品とするかによって、任意に定めればよい。
【0044】
〔判定方法2〕
図4の左上の「現在画像」は、前記と同様にして設定したガラス製品の検査領域12の画像である。左右両側に、隣のガラス製品(コンベア7上の前後のガラス製品)の映り込み13がうっすらと明るく表れている。
図4右上の「過去画像」は、現在画像のガラス製品の直前に撮像された同じセクションで成形された2個のガラス製品の検査領域の平均画像である。平均画像は、複数(この場合は2個)の画像の各対応する画素の明るさの平均により作成したものである。
図4の下部の「差分画像」は、現在画像と過去画像の各対応する画素の明るさを引き算して作成したものである。差分画像では映り込み13がほぼ消去され、欠陥14の部分だけが明るく表示される。
処理手段2は、差分画像において、所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品と判定する。
この場合の明るさ閾値は、正常部分を欠陥部分と判定しない程度の明るさ、例えば、明るさの階調が14ビット(2の14乗=16384)で、500とし、0~500から外れた画素数を欠陥部分と判定する。
画素数閾値は、どの程度までの欠陥があっても良品とするかによって、任意に定めればよい。
【0045】
本発明では、傷、泡、異物(窯のレンガ片など)、合目線(仕上型の合目線が強く出たもの)、肉厚不良、形状不良などの欠陥の有無を検査できる。
傷、泡、異物、合目線は、いずれも当該部分の赤外線放射が強くなり、撮像した画像に明るく表示される。
肉厚不良(局部的な肉厚の乱れ)は、厚い部分は明るく、薄い部分は暗くなる。
形状不良(窪み、突起など)は、当該部分又はその周辺が明るくなる。
本発明の検査装置は、このような欠陥部分の明るさの乱れを検出し、その欠陥の程度が所定の程度を越えている場合に不良品と判定する。」
(5)「【図1】
[図:0001429692000001.jpg]
」
(6)「【図2】
[図:0001429692000002.jpg]
」

(7)以上「(1)ないし(6)」の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献3には以下の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。

「IS成形機6で成形され、搬送されているガラス製品を徐冷炉8の手前で撮像し、その画像データを処理手段2に送る赤外線カメラ1と、
赤外線カメラ1から送られたその画像データを処理する処理手段2を有し、
該処理手段2が、前記画像の輪郭の内側に検査領域を設定し、該検査領域内において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定するものである、または
該処理手段2が、現在検査中のガラス製品を撮像した現在画像と過去に撮像したガラス製品の過去画像の差分画像を作成し、該差分画像において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定するものである、
成形機で成形されたまだ熱いガラス製品を、徐冷炉で徐冷する前に、傷、泡、異物、合目線、肉厚不良、形状不良などの欠陥の有無を検査するガラス製品検査装置。」

2.引用文献4の記載及び引用文献4に記載された発明について

本願の出願の原出願日前に頒布された刊行物である特開平8-43322号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。

(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新たに形成された熱いガラス容器の欠陥を検査する装置及び方法に関する。更に詳しくは、本発明は、熱いガラス容器の熱放射又は赤外線(IR)自己発光を、検査の目的で感知する装置及び方法に関する。本発明による装置及び方法を用いれば、寸法上の欠陥とガラス配分上の欠陥との両方を検出することが可能であり、それによって、欠陥のあるガラス容器を、一列に並んでいる容器の流れから除去することが可能になる。更に、ビン形成機械で用いられる複数の熱いガラス鋳造用空洞のパフォーマンスに対する傾向を分析することにより、その空洞の任意のもので生じる初期欠陥に関して警告することが可能になる。」
(2)「【0005】
【発明の概要】本発明の目的は、新たに形成されたガラス容器の検査装置及び方法を提供し、寸法上の及びガラス配分上の欠陥を検出することである。
【0006】本発明の別の目的は、新たに形成されたガラス容器の検査装置及び方法を提供し、各ガラス成形空洞のパフォーマンスの傾向を分析することによって、空洞内に生じる初期欠陥のすべてについて警告できるようにすることである。
【0007】本発明の第1の特徴によれば、熱いガラス容器の欠陥を検査する装置が提供され、この装置は、検査ゾーンと、検査ゾーンを通過する熱いガラス容器の移動経路の反対側に配置された赤外線放射感知性のカメラと、赤外線カメラによって捕捉された各熱いガラス容器の画像を複数の領域に分割し各領域に対して得られたデータを所定のパラメータと比較して当該ガラス容器が欠陥を有するかどうかを決定する電子的手段と、を備えている。
【0008】本発明の第2の特徴によれば、熱いガラス容器の欠陥を検査する方法が提供され、熱いガラス容器は検査ゾーンを通過して移動する際に赤外線感知性のカメラによって見られ、赤外線カメラによって捕捉された各熱いガラス容器の画像は複数の領域に分割され、各領域からのデータは所定のパラメータと比較され、当該ガラス容器が欠陥を有するかどうか決定する。
【0009】各領域の内部では、2つの測定ツール、すなわち、「パス」(又は、キャリパス、calliper)と「ウィンドウ」(window)とが用いられる。パス測定は、熱いガラス容器の明瞭なエッジの間の距離、又は1つのエッジと基準となる別のパスとの間の距離を決定する。ウィンドウ測定は、熱いガラス容器の相対的な輝度(brightness)とグレー・スケール変動との両方を決定する。
・・・
【0012】上述のように、カメラの画像は、熱いガラス容器によって発せられるIR放射を感知することによって形成される。カメラの画像の輝度は、したがって、視野にある容器によって発せられたIR放射の量の関数であり、よって、視野にあるガラスの温度と量との関数である。IR自己発光を使用するということは、付加的な人工的照明は不要であることを意味する。更に、フリント(クリア)ガラスと同程度の画像の質で色付き又は不透明のガラスを感知するのにも、それを用いることができる。
【0013】したがって、本発明による装置及び方法の重要な点は、透明、色付き、及び不透明なガラスに関して、付加的な又は人工的な照明を用いることなく、熱いガラス容器を感知し検査する能力を有している点にある。」
(3)「【0014】
【実施例】図1は、本発明の装置を図示しており、この装置は、本質的には、電子制御ユニット2に接続された赤外線カメラ1から成り、電子制御ユニット2は、情報処理用電子装置とソフトウェアとから成る。赤外線カメラ1は、オンライン・ユニット3に設置され、熱いガラス容器をビン形成機械5から冷却用の徐冷窯(図示せず)に運ぶコンベア4の反対側に置かれる。ビン形成機械5は、複数のガラス成形空洞6を有する。これらの空洞6の内部で形成されたビンは、コンベア4の上に押し出され、単一の均一に離間した列を作る。制御ユニット2は、ビン形成機械5に接続されており、赤外線カメラ1の出力がガラス成形空洞6の動作に同期化されていることを保証する。
【0015】赤外線カメラ1の動作は、ビン形成機械5の各動作サイクルを開始させるマスタ・パルス信号をモニタすることによってガラス成形空洞6の動作に同期化されている。このサイクルは、各空洞に1つずつの、多数の時間スロットに分割され、任意の与えられた時刻において、赤外線カメラ1によって監視されたビンがどの空洞6から生じたかを決定することが可能になる。これを以下で説明する。
【0016】赤外線カメラ1の出力は、電子制御装置2に関連するソフトウェアによってコンスタントにサンプリングされ、その視野の中のガラス容器の存在を示し検査プロセスを開始させるのに十分な程度に変化したかどうかが調べられる。
続きを表示(全15行)
【0017】検査のために、情報処理用のソフトウェアが、赤外線カメラが捕捉したガラス容器の画像を複数の検査領域に分割する。図2から図5に図解されているようなビンに関しては、検査領域は、ネック(図2)と、ショルダ(図3)と、側壁(図4)と、底部(図5)と、ボディ(図6)と、側壁垂直部(図7)と、から成る。各領域において、2つの測定ツールである、「パス」と「ウィンドウ」とが用いられる。
【0018】パスは、2つの目的で用いられる。
【0019】i)画像上の2点間の距離を測定し、よって、ガラス容器の寸法上のパラメータが所定のパラメータの範囲内に含まれることを保証する。
【0020】ii)1つのエッジを配置し基準にして、ウィンドウや他のパスを正確に位置付ける。
【0021】ウィンドウもまた、2つの目的で用いられる。
【0022】i)ウィンドウ内の相対的に明るい面積の大きさを測定する。
【0023】ii)画像におけるすべての用いられたウィンドウの全体の平均からのグレー・スケールの変動を決定する。
【0024】光学的なパスは、画像の強度の急激な変化に起因する明瞭なエッジを見つけることにより機能する。いったんエッジが見つかれば、その位置が教示された基準と比較される。ガラス容器は、教示された値と測定された値との差が予め設定した公差よりも小さい場合にだけ、パス測定を合格させる。
【0025】検査ウィンドウは、ウィンドウ内の局所化された明るい又は暗い領域の面積を測定することによって機能する。この面積は、教示された基準と比較される。また、ガラス容器は、教示された値と測定された値との差が予め設定した公差よりも小さい場合にだけ、ウィンドウを合格させる。
【0026】ウィンドウによれば、グレー・スケール変動の計算をすることが可能になる。これは、ウィンドウの予め定義したグループの全体的な平均から、1つのウィンドウの平均のグレー・スケール変動を計算することによってなされる。検査されているビンに対して1つのウィンドウの内部で測定された変動は、次に、この教示された平均のグレー・スケール変動と比較され、ビンは、この2つの値の間の差が予め設定した公差の範囲内である場合にだけパスする。
【0027】ガラス配分アルゴリズムは、他の領域との関係での、容器の領域における輝度レベルの変化を測定する。これは、したがって、容器内のガラスの量と温度との変動の測度である。」
(4)「【図1】
[図:0001429692000003.jpg]
」
(5)「【図4】
[図:0001429692000004.jpg]
」

(6)以上「(1)ないし(5)」の記載事項及び図面を総合勘案すると、引用文献4には以下の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。

「新たに形成された熱いガラス容器の熱放射又は赤外線(IR)自己発光を、検査の目的で感知して熱いガラス容器の欠陥すなわち寸法上の欠陥とガラス配分上の欠陥を検査する装置において、
この装置は、本質的には、電子制御ユニット2に接続された赤外線カメラ1から成り、電子制御ユニット2は、情報処理用電子装置とソフトウェアとから成り、赤外線カメラ1は、オンライン・ユニット3に設置され、熱いガラス容器をビン形成機械5から冷却用の徐冷窯に運ぶコンベア4の反対側に置かれ、ビン形成機械5は、複数のガラス成形空洞6を有し、これらの空洞6の内部で形成されたビンは、コンベア4の上に押し出され、単一の均一に離間した列を作り、
制御ユニット2は、ビン形成機械5に接続されており、赤外線カメラ1の出力がガラス成形空洞6の動作に同期化されていることを保証し、
検査のために、情報処理用のソフトウェアが、赤外線カメラが捕捉したガラス容器の画像を複数の検査領域(ビンに関しては、検査領域は、ネックと、ショルダと、側壁と、底部と、ボディと、側壁垂直部と、から成る検査領域)に分割し、各検査領域において、2つの測定ツールである、「パス」と「ウィンドウ」とが用いられ、
ウィンドウ測定は、熱いガラス容器の相対的な輝度(brightness)とグレー・スケール変動との両方を決定し、
検査ウィンドウは、ウィンドウ内の局所化された明るい又は暗い領域の面積を測定し、この面積は、教示された基準と比較され、教示された値と測定された値との差が予め設定した公差よりも小さい場合にだけ、ウィンドウを合格させ、
また、検査ウィンドウは、画像におけるすべての用いられたウィンドウの全体の平均からの、1つのウィンドウの平均のグレー・スケールの変動を計算することによってなされ、検査されているビンに対して1つのウィンドウの内部で測定された変動は、次に、この教示された平均のグレー・スケール変動と比較され、ビンは、この2つの値の間の差が予め設定した公差の範囲内である場合にだけパスする、
装置。」

第5 当審拒絶理由についての判断

1.理由1(新規性)について

(1)補正後本願発明1と引用発明3との対比及び判断

補正後本願発明1と引用発明3とを比較する。

ア 引用発明3の「IS成形機6」は、補正後本願発明1の「成形機」に相当する。

イ 引用発明3の「IS成形機6で成形され、搬送されているガラス製品」は、補正後本願発明1の「成形機で成形された成形品」に相当する。

ウ 引用発明3の「IS成形機6で成形され、搬送されているガラス製品を徐冷炉8の手前で撮像し、その画像データを処理手段2に送る赤外線カメラ1」は、補正後本願発明1の「成形機から取出した成形品の温度分布を撮像するためのサーモグラフィーカメラ」に相当する。また、「IS成形機6で成形され、搬送されているガラス製品を徐冷炉8の手前で撮像し、その画像データを処理手段2に送る赤外線カメラ1」は、IS成形機6で成形された時のガラス製品温度と徐冷炉8の手前の時のガラス製品温度との間の温度であるガラス製品を撮像するものであるから、引用発明3と補正後本願発明1とは、「サーモグラフィーカメラが、成形機で溶融後に所定形状に成形され常温まで冷却されるまでの間で成形品が所定範囲内の温度を有している時に成形品から発せられる熱の分布を温度分布として撮像」する点で一致する。

エ 引用発明3の「赤外線カメラ1から送られたその画像データを処理する処理手段2」は、「前記画像の輪郭の内側に検査領域を設定し、該検査領域内において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定するものである」、または「現在検査中のガラス製品を撮像した現在画像と過去に撮像したガラス製品の過去画像の差分画像を作成し、該差分画像において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定するものであ」ることから、補正後本願発明1の「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布から成形品の欠損の有無を判定するための判定機」に相当する。

オ 引用発明3の処理手段が行う「前記画像の輪郭の内側に検査領域を設定し、該検査領域内において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定する」処理は、赤外線カメラ1で撮影した画像の検査領域内において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定することから、所定の温度範囲の温度であることを示す画素(所定の明るさ閾値内)以外の画素の数を計上し、その計上した画素数が閾値(所定の画素数閾値)を超えた場合に不良品と判定している。引用発明3の不良品は、「傷、泡、異物、合目線、肉厚不良、形状不良などの欠陥」を「有」するものであることから、引用発明3の処理手段2が行う上記処理は、赤外線カメラ1で撮影した画像の検査領域内において、所定の温度範囲外の画素数を閾値と比較し、閾値を超えた場合に成形品に肉厚不良、形状不良などの欠陥がある不良品と判定するものである。ゆえに、引用発明3の「処理手段2」と、補正後本願発明1の「判定機」とは、「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布における所定温度範囲内の画素数が所定個数範囲内でない場合」「に成形品に欠損が生じていると判定する」点で一致する。

カ 引用発明3の処理手段が行う「現在検査中のガラス製品を撮像した現在画像と過去に撮像したガラス製品の過去画像の差分画像を作成し、該差分画像において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合に不良品であると判定する」処理において、「過去に撮像したガラス製品」は通常は不良品ではないガラス製品であることから、「過去に撮像したガラス製品の過去画像」は、不良品ではない正常品の理想の温度分布を示す画像であり、また「該差分画像において所定の明るさ閾値から外れる画素数を求め、その画素数が所定の画素数閾値を超えた場合」とは、差分画像において通常の差分画像とは異なる表示となっている画素(所定の明るさ閾値から外れる画素)の数が所定以上(所定の画素数閾値を超えた)であることと等価である。ゆえに、引用発明3の「処理手段2」と、補正後本願発明1の「判定機」とは、「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の現実の温度分布の画像と欠損の無い正常品の理想の温度分布とを差分抽出した画像の面積や画素数が所定以上の場合」「に成形品に欠損が生じていると判定する」点で一致する。

キ 引用発明3の「成形機で成形されたまだ熱いガラス製品を、徐冷炉で徐冷する前に、傷、泡、異物、合目線、肉厚不良、形状不良などの欠陥の有無を検査するガラス製品検査装置」は、補正後本願発明1の「成形機で成形された成形品の欠損の有無を判定する成形品検査装置」に相当する。

ク すると、引用発明3と補正後本願発明1とは、

「成形機で成形された成形品の欠損の有無を判定する成形品検査装置において、
成形機から取出した成形品の温度分布を撮像するためのサーモグラフィーカメラと、
サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布から成形品の欠損の有無を判定するための判定機と、
を有し、
サーモグラフィーカメラが、成形機で溶融後に所定形状に成形され常温まで冷却されるまでの間で成形品が所定範囲内の温度を有している時に成形品から発せられる熱の分布を温度分布として撮像し、
その後、判定機は、サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布における所定温度範囲内の画素数が所定個数範囲内でない場合、又は、サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の現実の温度分布の画像と欠損の無い正常品の理想の温度分布とを差分抽出した画像の面積や画素数が所定以上の場合、に成形品に欠損が生じていると判定する
成形品検査装置。」

の点で一致し、相違する点はない。

ケ よって、引用発明3は補正後本願発明1である。ゆえに、補正後本願発明1は、引用文献3に記載された発明であることから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)補正後本願発明1と引用発明4との対比及び判断

補正後本願発明1と引用発明4とを比較する。

ア 引用発明4の「ビン形成機械5」は、補正後本願発明1の「成形機」に相当する。

イ 引用発明4の「新たに形成された熱いガラス容器」は、補正後本願発明1の「成形機で成形された成形品」に相当する。

ウ 引用発明4の「赤外線カメラ1」は、「オンライン・ユニット3に設置され、熱いガラス容器をビン形成機械5から冷却用の徐冷窯に運ぶコンベア4の反対側に置かれ」、「ガラス容器の画像」を「捕捉」することから、補正後本願発明1の「成形機から取出した成形品の温度分布を撮像するためのサーモグラフィーカメラ」に相当する。また、「赤外線カメラ1」は、ビン形成機械5で新たに形成された時のガラス容器温度と冷却用の徐冷窯の手前の時のガラス容器温度との間の温度であるガラス容器を撮像するものであるから、引用発明4と補正後本願発明1とは、「サーモグラフィーカメラが、成形機で溶融後に所定形状に成形され常温まで冷却されるまでの間で成形品が所定範囲内の温度を有している時に成形品から発せられる熱の分布を温度分布として撮像」する点で一致する。

エ 引用発明4の「情報処理用電子装置とソフトウェアとから成」る「電子制御ユニット2」は、「情報処理用のソフトウェアが、赤外線カメラが捕捉したガラス容器の画像を複数の検査領域(ビンに関しては、検査領域は、ネックと、ショルダと、側壁と、底部と、ボディと、側壁垂直部と、から成る検査領域)に分割し、各検査領域において、2つの測定ツールである、「パス」と「ウィンドウ」とが用いられ」、「検査ウィンドウは、ウィンドウ内の局所化された明るい又は暗い領域の面積を測定し、この面積は、教示された基準と比較され、教示された値と測定された値との差が予め設定した公差よりも小さい場合にだけ、ウィンドウを合格させ」、また「検査ウィンドウは、画像におけるすべての用いられたウィンドウの全体の平均からの、1つのウィンドウの平均のグレー・スケールの変動を計算することによってなされ、検査されているビンに対して1つのウィンドウの内部で測定された変動は、次に、この教示された平均のグレー・スケール変動と比較され、ビンは、この2つの値の間の差が予め設定した公差の範囲内である場合にだけパスする」ことから、補正後本願発明1の「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布から成形品の欠損の有無を判定するための判定機」に相当する。

オ 引用発明4の「電子制御ユニット2」の「情報処理用のソフトウェア」が行う「ウィンドウ内の局所化された明るい又は暗い領域の面積を測定し、この面積は、教示された基準と比較され、教示された値と測定された値との差が予め設定した公差よりも小さい場合にだけ、ウィンドウを合格させ」る処理は、赤外線カメラ1で撮影した画像のウインドウ内において所定の明るさ閾値から外れる明るい領域又は暗い領域の面積(画素数)を求め、その面積(画素数)が教示された値との差が公差より小さい場合に欠陥無しと判定することから、所定の温度範囲の温度であることを示す画素(所定の明るさ閾値内)以外の画素の数を計上し、その計上した画素数が閾値(教示された値+公差)を超えた場合に欠陥ありと判定している。引用発明4の欠陥は、「寸法上の欠陥とガラス配分上の欠陥」であることから、引用発明4の「電子制御ユニット2」が行う上記処理は、赤外線カメラ1で撮影した画像のウインドウ内において、所定の温度範囲外の画素数を閾値と比較し、閾値を超えた場合に成形品に寸法上の欠陥やガラス配分上の欠陥などの欠陥があると判定するものである。ゆえに、引用発明4の「電子制御ユニット2」と、補正後本願発明1の「判定機」とは、「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布における所定温度範囲内の画素数が所定個数範囲内でない場合」「に成形品に欠損が生じていると判定する」点で一致する。

カ 引用発明4の「電子制御ユニット2」の「画像におけるすべての用いられたウィンドウの全体の平均からの、1つのウィンドウの平均のグレー・スケールの変動を計算することによってなされ、検査されているビンに対して1つのウィンドウの内部で測定された変動は、次に、この教示された平均のグレー・スケール変動と比較され、ビンは、この2つの値の間の差が予め設定した公差の範囲内である場合にだけパスする」処理において、「グレー・スケール変動」は赤外線カメラ1の出力の画像におけるグレー・スケールの変動であるから、各ウインドウにおけるグレー・スケール変動は各ウインドウにおける温度分布の平均温度と等価なものとなる。よって、上記処理における「画像におけるすべての用いられたウィンドウの全体の平均からの、1つのウィンドウの平均のグレー・スケールの変動を計算」し「教示された平均のグレー・スケール変動と比較」して「この2つの値の間の差が予め設定した公差の範囲内である場合にだけパスする」ことは、赤外線カメラ1で検査されているビンを撮影した画像における全ウインドウの温度分布の平均温度と、あるウインドウにおける温度分布の平均温度とを比較し、ウインドウにおける温度分布の平均温度が、赤外線カメラ1で検査されているビンを撮影した画像における全ウインドウの温度分布の平均温度より、公差以上高い、又は公差以上低い場合(所定温度範囲内でない場合)に欠陥ありと判定することと等価である。ゆえに、引用発明4の「電子制御ユニット2」と、補正後本願発明1の「判定機」とは、「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布の平均温度が所定温度範囲内でない場合」「に成形品に欠損が生じていると判定する」点で一致する。

キ 引用発明4の「新たに形成された熱いガラス容器の熱放射又は赤外線(IR)自己発光を、検査の目的で感知して熱いガラス容器の欠陥すなわち寸法上の欠陥とガラス配分上の欠陥を検査する装置」は、補正後本願発明1の「成形機で成形された成形品の欠損の有無を判定する成形品検査装置」に相当する。

ク すると、引用発明4と補正後本願発明1とは、

「成形機で成形された成形品の欠損の有無を判定する成形品検査装置において、
成形機から取出した成形品の温度分布を撮像するためのサーモグラフィーカメラと、
サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布から成形品の欠損の有無を判定するための判定機と、
を有し、
サーモグラフィーカメラが、成形機で溶融後に所定形状に成形され常温まで冷却されるまでの間で成形品が所定範囲内の温度を有している時に成形品から発せられる熱の分布を温度分布として撮像し、
その後、判定機は、サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布の平均温度が所定温度範囲内でない場合、又は、サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布における所定温度範囲内の画素数が所定個数範囲内でない場合、に成形品に欠損が生じていると判定する
成形品検査装置。」

の点で一致し、相違する点はない。

ケ よって、引用発明4は補正後本願発明1である。ゆえに、補正後本願発明1は、引用文献4に記載された発明であることから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(3)理由1についてのまとめ

以上のことから、補正後本願発明1は、引用発明3である、または引用発明4である、ことから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。したがって、補正後本願発明1に対する当審拒絶理由の理由1は解消されていない。

2.理由2(進歩性)について

(1)補正後本願発明1について

ア 前記「1.(1)及び(2)」で説示したとおり、補正後本願発明1は、引用発明3である、または引用発明4である。

イ 仮に、補正後本願発明1の判定機が

(ア)「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布の平均温度が所定温度範囲内でない場合」

(イ)「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の温度分布における所定温度範囲内の画素数が所定個数範囲内でない場合」

(ウ)「サーモグラフィーカメラで撮像した成形品の現実の温度分布の画像と欠損の無い正常品の理想の温度分布とを差分抽出した画像の面積や画素数が所定以上の場合」

の全ての判定を行う場合について検討する。なお、本願の明細書の段落【0022】の記載は

「この判定機8は、サーモグラフィーカメラ7で撮像した成形品3の温度分布から成形品3の欠損の有無を判定できればよく、たとえば、サーモグラフィーカメラ7で撮像した温度分布の平均温度に基づいて成形品3の欠損の有無を判定してもよく、また、サーモグラフィーカメラ7で撮像した温度分布における所定温度範囲内の画素数に基づいて成形品3の欠損の有無を判定してもよく、あるいは、サーモグラフィーカメラ7で撮像した画像(現実画像)を欠損の無い正常品の画像(理想画像)と比較して成形品3の欠損の有無を判定してもよい。」(下線は当審で付与した。)

であることから、当該記載からは、上記「(ア)ないし(ウ)」の全ての判定を判定機が行うとは読み取ることができないと当審は判断している。

ウ 前記「イ」の場合、補正後本願発明1と引用発明3とを対比すると、相違点は、引用発明3の処理手段2が前記「イ(ア)」の技術事項を備えていない点(以下「相違点1」という。)であるが、前記「イ(ア)」の技術事項は、前記「3.(1)イ(カ)」で説示したとおり、引用発明4が備える技術である。引用発明3と引用発明4とは、共に成形され冷却される前のビンを赤外線カメラで撮像して検査する装置の分野で共通の技術分野に属する発明であることから、引用発明3に引用発明4が備える技術を適用して、上記相違点1に係る技術事項を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。そして、補正後本願発明1の効果は、引用発明3及び引用発明4から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。

エ また、前記「イ」の場合、補正後本願発明1と引用発明4とを対比すると、相違点は、引用発明4の電子制御ユニット2が前記「イ(ウ)」の技術事項を備えていない点(以下「相違点2」という。)であるが、前記「イ(ウ)」の技術事項は、前記「3.(1)ア(カ)」で説示したとおり、引用発明3が備える技術である。引用発明4と引用発明3とは、共に成形され冷却される前のビンを赤外線カメラで撮像して検査する装置の分野で共通の技術分野に属する発明であることから、引用発明4に引用発明3が備える技術を適用して、上記相違点2に係る技術事項を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことである。そして、補正後本願発明1の効果は、引用発明4及び引用発明3から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。

オ 以上のことから、補正後本願発明1は、引用発明3から、引用発明4から、又は引用発明3及び4から当業者が容易になし得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

(2)理由2についてのまとめ

以上のことから、補正後本願発明1及び2は、引用発明3から、又は引用発明4から、又は引用発明3と引用発明4とから、当業者が容易になし得た発明であるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。したがって、補正後本願発明1に対する当審拒絶理由の理由2は解消されていない。

3.令和7年8月4日提出の意見書における審判請求人の主張について

(1)審判請求人(以下「請求人」という。)は、令和7年8月4日提出の意見書において、

「そこで、本願発明では、成形機で溶融後に所定形状に成形され常温まで冷却されるまでの間で成形品が所定範囲内の温度を有している時に成形品から発せられる熱の分布を温度分布として撮像することによって、表面での赤外線が乱放射せずにある程度の強度をもった赤外線が放射される範囲で温度分布を撮像することができ、サーモグラフィーカメラで正確に温度分布を撮像することができるといった効果を奏します。
また、所定温度範囲を成形品の材質に応じて変更することで、様々な材質の成形品の温度分布を正確に撮像することができるといった効果を奏します。
これに対して、引用文献には、上記構成についての開示がなく、それを示唆する記載もありません。」

旨主張する。

(2)当該主張について検討する。

ア 補正後本願発明1では、「サーモグラフィーカメラが」「成形品から発せられる熱の分布を温度分布として撮像」する時点を、「成形機で溶融後に所定形状に成形され常温まで冷却されるまでの間で成形品が所定範囲内の温度を有している時」と特定している。この特定された技術事項については、前記「1.(1)ウ」及び「1.(2)ウ」で説示したとおり、引用発明3及び引用発明4が備える技術事項である。

イ また、「所定範囲内の温度」については、令和7年8月4日提出の意見書の「(2)補正の根拠」に記載されているように、本願の明細書の段落【0015】及び【0016】の記載に基づくと請求人は主張する。以下に当該段落の記載を記す。

「【0015】
成型品3は、溶融した合成樹脂等を成形機2で所定形状に成形して製造され、その後、搬出機4で成形機3から取出されてコンベア5に搬出され、その後、コンベア5で搬送される。成形機2で成形された直後の成形品3は、100℃程度の温度となっており、その後、コンベア5で搬送されながら常温程度にまで自然に冷却される。なお、この成形機2では、1個の製品に組み付けられる左右対称形状の1対(2個)の成形品3,3を左右同時に成形し、左右の成形品3,3を搬出機4のアーム6で同時に搬出するようにしている。
【0016】
成型品検査装置1では、成形機2で成形されてから搬出機4でコンベア5に搬出されるまでの間において、成形品3が所定範囲内の温度(たとえば、70℃程度)を有している時に、成形品3の欠損の有無を検査するようにしている。」(下線は当審で付与した。)

ウ 前記「イ」に示した本願明細書の記載より、「所定範囲内の温度」については、「(たとえば、70℃程度)」と記載されているように、「成形機2で成形された直後の成形品3」の「100℃程度の温度」と、「常温程度」との温度の間で、サーモグラフィーカメラで成形品の温度分布が撮像できる温度範囲の温度であれば良いことが示されているにすぎず、請求人が主張するような「成形品の材質に応じて変更する」という意図で設定する温度範囲の温度であることは、明細書の記載から読み取ることはできないし、当該明細書の記載から自明であるということもできない。

エ さらに、当該主張において、請求人は「成形品が所定範囲内の温度を有している時」の「所定範囲内の温度」は「成形品の材質に応じて変更することで、様々な材質の成形品の温度分布を正確に撮像することができるといった効果を奏します」と効果の主張をしている。

オ 補正後本願発明1においては、「所定範囲内の温度」を成形品の材質に応じて変更することを特定しておらず、その特定していない技術事項に基づく効果の主張は、補正後本願発明1が必ず奏する効果とは認められないことから、当該効果についての請求人の主張は採用することはできない。

(3)請求人の主張についてのまとめ

以上のことから、令和7年8月4日提出の意見書における請求人の主張は採用することができない。

第6 むすび

以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献3に記載された発明、又は引用文献4に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

また、本願の請求項1に係る発明は、引用文献3に記載された発明に基いて、又は引用文献4に記載された発明に基いて、又は引用文献3及び引用文献4に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、当審拒絶理由におけるその余の拒絶の理由、及びその余の請求項に係る発明に対する拒絶の理由について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2024-013950

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