特許拒絶査定不服審判
2024-015084
情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
- 審判番号
- 2024-015084
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-113433
- 請求日
- 2024年09月20日
- 審決日
- 2025年04月14日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ソニーグループ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 篠塚 隆
- 審判官 村松 貴士
- 審判官 北元 健太
- 分類
- P18 .561-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第44条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-113433「情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔令和4年10月19日出願公開、特開2022-160459、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
1 出願の分割の経緯
本願は、令和4年7月14日にされた特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成25年6月11日に出願した特願2013-122746号を最先の出願とする、いわゆる第5世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯の概略は、次のとおりである(括弧内は当該出願の提出日を示す。)。
最先の出願 特願2013-122746号(平成25年 6月11日)
第1世代 特願2017-108905号(平成29年 6月 1日)
第2世代 特願2018-115906号(平成30年 6月19日)
第3世代 特願2019-189943号(令和 元年10月17日)
第4世代 特願2020-214193号(令和 2年12月23日)
本願 特願2022-113433号(令和 4年 7月14日)
2 出願後の手続の経緯
本願の出願後の手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和4年 8月 1日 手続補正書の提出
令和5年10月 4日付け 拒絶理由通知書
令和5年12月18日 意見書、手続補正書の提出
令和6年 3月 7日付け 拒絶理由通知書(最後)
令和6年 4月25日 意見書の提出
令和6年 6月20日付け 拒絶査定
令和6年 9月20日 審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年9月20日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年9月20日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「第1のユーザ操作に応答して、第1の表示制御モードにおいて、タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に表示されたコンテンツ領域内のコンテンツをスクロールさせ、
前記コンテンツ領域、前記コンテンツ領域の上方に表示されるメニュー領域、および前記メニュー領域の上方に表示されるステータス領域を表示し、
前記第1のユーザ操作とは異なり、前記ステータス領域の下方の表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作に応答して開始される第2の表示制御モードにおいて、前記表示されたコンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域を、前記画面の上端から離れて一緒に下方に移動させ、
前記表示されたコンテンツ領域と一緒に前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記ステータス領域に対して実行される第3のユーザ操作に応答して、通知を表示する
ように構成された電気回路を備え、前記第1のユーザ操作、および前記第2のユーザ操作は、前記タッチスクリーンディスプレイによって受け付けられ、
前記第2の表示制御モードにおいて、前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示範囲は、前記第1の表示制御モードにおける表示範囲よりも小さく前記画面上に表示され、かつ、前記第1の表示制御モードから前記第2の表示制御モードに移行する際に、当該表示範囲の縦横比は維持されて表示されることを特徴とする情報処理システム。」
2 当初明細書等に記載された事項
本件補正により追加された「前記第1の表示制御モードから前記第2の表示制御モードに移行する際に、当該表示範囲の縦横比は維持されて表示される」という事項について、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)には、次の記載がある。
(1)「【0083】
(5-2.自動停止およびスペーサの表示)
図11は、本開示の他の実施形態における自動停止およびスペーサの表示の例を示す図である。図示された例では、ステータスバー601からのスクロール移動が実行される。図11Aでは、ステータスバー601のスクロール移動のモードは開始されておらず、コンテンツリスト領域605に表示された画像コンテンツのサムネイル(P10~P17)がスクロール表示されている。ここで、上述したような所定の操作、例えば指の腹での長押しや、指の腹でのスクロール、タップしながら端末装置100をシェイクするなどの操作が取得されると、制御部120がステータスバー601のスクロール移動のモードを開始させる。
【0084】
図11Bは、ステータスバー601のスクロール移動のモードが開始されたときの表示例である。このとき、ステータスバー601、メニューバー603、およびコンテンツリスト領域605が、(キャプチャされたときのように)表示内容を保ったまま少し下方に移動する。移動によって生じた空白部分には、スペーサ607が表示される。図示された例において、スペーサ607は、画面600の上端からステータスバー601を吊るす紐のような画像でありうる。図11Bの時点では、この紐はかなり弛んでいる。」
(2)「【図11】
[図:0001422297000001.jpg]
」
(3)「【0093】
(5-5.大型画面の場合の表示)
図16は、本開示の他の実施形態における大型画面の表示例を示す図である。図16Aの例では、大型画面800で右下に接触領域(Touch)がある場合、表示内容が右下にスクロール移動し、空いたL字状の部分にスペーサ807が表示される。また、図16Bの例では、大型画面800で左下に接触領域(Touch)がある場合、表示内容が左下にスクロール移動し、空いたL字状の部分にスペーサ807が表示される。このように、上述した本開示の実施形態は、タブレット端末などの端末装置100において、縦横両方へのスクロールがありうる大型画面にも適用可能である。この場合、スクロール移動の移動方向は、上記の例のように、所定のユーザ操作が実行されたタッチスクリーンディスプレイ上またはタッチスクリーンディスプレイの周囲の筐体上の位置に応じて決定されうる。」
(4)「【図16】
[図:0001422297000002.jpg]
」
3 補正の適否
(1)上記2(1)の記載によれば、コンテンツリスト領域605に表示された画像コンテンツのサムネイルがスクロール表示されているとき、図11Aのように表示され、ステータスバー601のスクロール移動のモードが開始されたとき、図11Bのように表示される。また、上記2(2)の記載によれば、ステータスバー601、メニューバー603及びコンテンツリスト領域605の表示範囲は、図11Aと図11Bで、横幅は同一であるが、縦幅は異なる(図11Aにおける縦幅よりも図11Bにおける縦幅が短い)から、その縦横比は異なる。
してみれば、上記2(1)及び(2)には、「前記第1の表示制御モードから前記第2の表示制御モードに移行する際」の「当該表示範囲の縦横比」について記載されているといえるが、「当該表示範囲の縦横比」が「維持されて」いることは記載されていない。したがって、上記2(1)及び(2)の記載は、本件補正により追加された「前記第1の表示制御モードから前記第2の表示制御モードに移行する際に、当該表示範囲の縦横比は維持されて表示される」という事項を含むものではない。
(2)上記2(3)の記載によれば、大型画面800の右下又は左下に接触領域(Touch)がある場合に、表示内容が右下又は左下にスクロール移動する。また、上記2(4)の記載によれば、大型画面800の表示内容がスクロール移動する方向は、黒矢印によって示される方向であり、大型画面800の対角線とは一致しない方向であるから、スクロール移動の前後でスペーサ807を除いた表示範囲の縦横比は異なる。
してみれば、上記2(3)及び(4)には、「表示範囲の縦横比」について記載されているといえるが、「表示範囲の縦横比」が「維持されて」いることは記載されていない。また、上記2(3)及び(4)には、大型画面800の右下又は左下に接触領域(Touch)がある場合に「前記第1の表示制御モードから前記第2の表示制御モードに移行する」ことも、表示内容がスクロール移動する前に大型画面800が「前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示」をしていることも、記載されていない。したがって、上記2(3)及び(4)の記載は、本件補正により追加された「前記第1の表示制御モードから前記第2の表示制御モードに移行する際に、当該表示範囲の縦横比は維持されて表示される」という事項を含むものではない。
(3)上記2に示した記載のほか、当初明細書等には「前記第1の表示制御モードから前記第2の表示制御モードに移行する際」において「前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示範囲」の「縦横比は維持され」ることの記載はなく、このことは当初明細書等から自明でもない。
(4)以上のとおり、本件補正による「前記第1の表示制御モードから前記第2の表示制御モードに移行する際に、当該表示範囲の縦横比は維持されて表示される」という事項の追加は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものでないとはいえない。したがって、本件補正は、当初明細書等に記載された事項の範囲内においてするものとはいえず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
4 本件補正についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 原査定の概要
原査定(令和6年6月20日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願の請求項1-16に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.房野麻子,「"最新の日本製スマートフォン"なARROWSのニューフェースを徹底評価!」,ITmedia,日本,アイティメディア株式会社,2013年05月24日,2/3,[検索日 2023年10月4日] インターネット <URL: http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1305/23/news008_2.html>
2.国際公開第2009/044770号
3.特開2012-108674号公報
第4 本願発明
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明16」という。)は、令和5年12月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定される発明であり、次のとおりの発明である。
「 【請求項1】
第1のユーザ操作に応答して、第1の表示制御モードにおいて、タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に表示されたコンテンツ領域内のコンテンツをスクロールさせ、
前記コンテンツ領域、前記コンテンツ領域の上方に表示されるメニュー領域、および前記メニュー領域の上方に表示されるステータス領域を表示し、
前記第1のユーザ操作とは異なり、前記ステータス領域の下方の表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作に応答して開始される第2の表示制御モードにおいて、前記表示されたコンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域を、前記画面の上端から離れて一緒に下方に移動させ、
前記表示されたコンテンツ領域と一緒に前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記ステータス領域に対して実行される第3のユーザ操作に応答して、通知を表示する
ように構成された電気回路を備え、前記第1のユーザ操作、および前記第2のユーザ操作は、前記タッチスクリーンディスプレイによって受け付けられ、
前記第2の表示制御モードにおいて、前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示範囲は、前記第1の表示制御モードにおける表示範囲よりも小さく前記画面上に表示されることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記電気回路はさらに、前記ステータス領域の下向きの動きが限界に達したことを示すようなグラフィック効果を前記タッチスクリーンディスプレイ上に表示させるように構成されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記電気回路はさらに、第4のユーザ操作に応答して、前記第2の表示制御モードにおいて、前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域を、前記画面の上端に向かって一緒に上方に移動させ、
前記ステータス領域が前記画面の上端まで移動されると、前記第2の表示制御モードを終了するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記グラフィック効果は、前記タッチスクリーンディスプレイの上辺と、前記第2の表示制御モードにおいて移動された前記ステータス領域との間に表示されることを特徴とする請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記電気回路はさらに、前記第3のユーザ操作に応答して、前記第2の表示制御モードにおける前記ステータス領域の位置を変更するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記第2の表示制御モードでは、L字形状の部分が、前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域とは別に、前記タッチスクリーンディスプレイ上に表示されることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記L字形状の部分の少なくとも一部の位置は、前記第2のユーザ操作が行われた側に対する前記タッチスクリーンディスプレイの反対側に含まれることを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記L字形状の部分は、前記L字形状を含むスペーサであることを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記L字形状の部分は、
少なくとも前記タッチスクリーンディスプレイにおける上側の辺である第1の辺と、前記第2のユーザ操作における右または左に対応する前記タッチスクリーンディスプレイにおける右辺または左辺である第2の辺とを含み、
前記第2のユーザ操作が前記タッチスクリーンディスプレイにおける下側領域の右側領域を起点とする場合、前記第2の辺が前記左辺であり、前記第2のユーザ操作が前記タッチスクリーンディスプレイにおける下側領域の左側領域を起点とする場合、前記第2の辺が前記右辺であることを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記電気回路はさらに、前記L字形状の部分に広告情報を表示させるように構成されることを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記電気回路はさらに、前記第2のユーザ操作が行われる前に前記タッチスクリーンディスプレイ上に表示されていない操作子を前記L字形状の部分に表示させるように構成されることを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記コンテンツ領域は操作子を含み、
前記電気回路はさらに、前記第2のユーザ操作によって移動された前記コンテンツ領域においても前記操作子を操作可能に維持することを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記タッチスクリーンディスプレイは、前記タッチスクリーンディスプレイが備えられた筐体がユーザの手により把持された状態で前記ユーザが前記タッチスクリーンディスプレイを操作可能となるように前記筐体に備えられることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記第1のユーザ操作、前記第2のユーザ操作、および前記第3のユーザ操作は、前記タッチスクリーンディスプレイの縁に設けられたタッチセンサ上でのドラッグ操作およびフリック操作の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項15】
コンピュータによって実行される情報処理方法であって、
第1のユーザ操作に応答して、第1の表示制御モードにおいて、タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に表示されたコンテンツ領域内のコンテンツをスクロールさせ、
前記コンテンツ領域、前記コンテンツ領域の上方に表示されるメニュー領域、および前記メニュー領域の上方に表示されるステータス領域を表示し、
前記第1のユーザ操作とは異なり、前記ステータス領域の下方の表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作に応答して開始される第2の表示制御モードにおいて、前記表示されたコンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域を、前記画面の上端から離れて一緒に下方に移動させ、
前記表示されたコンテンツ領域と一緒に前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記ステータス領域に対して実行される第3のユーザ操作に応答して、通知を表示する
ことを含み、前記第1のユーザ操作、および前記第2のユーザ操作は、前記タッチスクリーンディスプレイによって受け付けられ、
前記第2の表示制御モードにおいて、前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示範囲は、前記第1の表示制御モードにおける表示範囲よりも小さく前記画面上に表示されることを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
第1のユーザ操作に応答して、第1の表示制御モードにおいて、タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に表示されたコンテンツ領域内のコンテンツをスクロールさせ、
前記コンテンツ領域、前記コンテンツ領域の上方に表示されるメニュー領域、および前記メニュー領域の上方に表示されるステータス領域を表示し、
前記第1のユーザ操作とは異なり、前記ステータス領域の下方の表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作に応答して開始される第2の表示制御モードにおいて、前記表示されたコンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域を、前記画面の上端から離れて一緒に下方に移動させ、
前記表示されたコンテンツ領域と一緒に前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記ステータス領域に対して実行される第3のユーザ操作に応答して、通知を表示する
処理をコンピュータに実行させ、前記第1のユーザ操作、および前記第2のユーザ操作は、前記タッチスクリーンディスプレイによって受け付けられ、
前記第2の表示制御モードにおいて、前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示範囲は、前記第1の表示制御モードにおける表示範囲よりも小さく前記画面上に表示されることを特徴とするプログラム。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。
ア 「オーソドックスなホーム画面とステータスパネル
ホーム画面には「docomo Palette UI」と独自の「NX!ホーム」、Android標準の「ランチャー」を用意しているが、ARROWS NXの機能をフルに活用するならNX!ホームも使ってみたい。通知パネルが使いやすく、カスタマイズも可能だ。
通知パネルにはWi-FiやBluetoothなど各種機能のオン/オフボタンを最大8個まで配置できるだけでなく、ユーザーの使い勝手に合わせて場所の入れ替えも可能だ。Android 4.2で対応した通知パネルの着信履歴から折り返し電話やメールの冒頭の確認も利用できる。
ARROWS NXでは、画面下部に3つある操作ボタンの右脇に、下向き矢印のアイコンを新たに配置している。これは「スライドディスプレイ」ボタンといい、タッチすると表示画面全体を引き下げられる。スマートフォンを片手で操作していると、画面上部をタッチするのが難しいが、そのような場合でも、画面を引き下げてタッチしやすくするための機能だ。引き下げる距離は上部の隙間を動かして調整できる。通常、画面上部に表示する通知パネルも下がってくるので、この部分をよく利用するユーザーには使い勝手を大きく向上してくれるだろう。」
イ 「
[図:0001422297000003.jpg]
ホーム、メニュー、戻るの3つのボタンはセンサーキーで搭載。さらに画面を下に引き下げることができる「スライドディスプレイ」ボタンを右端に配置し、片手操作をしやすくした」
ウ 「
[図:0001422297000004.jpg]
各種機能のオン/オフボタンは、自分がよく使うものに入れ替えたり、使いやすい場所に移動できたりできる(写真=左)。不在着信にも通知パネルから折り返し電話やSMSの送信が可能だ(写真=右)」
エ 「
[図:0001422297000005.jpg]
スライドディスプレイボタンにタッチすると、画面が下に降りてきて、画面上部のタッチ操作や通知パネルを引き出す操作がしやすくなる(写真=左)。グレイの部分を上下にドラッグして、引き下げる距離を設定できる(写真=右)。画面を元の位置に戻すには、再びスライドディスプレイボタンにタッチする」
オ 上記イ及びエの画像から、引き下げられた表示画面全体の表示範囲は、引き下げられる前の表示画面全体の表示範囲より小さいことが理解できる。
(2)引用発明
上記(1)から、特に下線を付した記載に着目すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「スライドディスプレイボタンという、タッチすると表示画面全体を引き下げられる下向き矢印のアイコンを画面下部に配置し、
スライドディスプレイボタンにタッチすると、画面が下に降りてきて、通知パネルを引き出す操作がしやすくなり、
引き下げられた表示画面全体の表示範囲は、引き下げられる前の表示範囲より小さい、
ARROWS NX。」
2 引用文献2-3
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。
ア 「[0009] しかし、表示画面がタッチパネルを兼ねる型の装置では、リンクの選択を行う場合、マウス等のポインティングデバイスを用いる装置のようにカーソルの移動およびクリックという2段階の操作を行うことができない。すなわち、ブラウザ表示画面上のリンク設定箇所にタッチすれば直ちにリンク先への移行が実行されてしまう。このことは、リンクの選択という点では迅速な操作が行えるので好ましいが、リンクの選択を誤った場合にはユーザの意思に反したリンク先への移行動作が行われるため、却って操作が煩雑になるという欠点にもなる。
[0010] 特に、スマートフォンのような携帯端末では、その表示画面サイズは従来の携帯電話端末より大きいとはいえ、PCで利用される表示画面サイズに比べれば比較にならないほど小さい。にもかかわらず、PC用のWebサイトのページも表示できるようになっており、画面からはみ出した画像を見るためにスクロール操作は必須であり、その操作性が極めて重要となる。そこで、タッチパネルをリンクの選択とスクロール操作とに共用する際に、スクロールバーを用いない直感的なスクロール操作を採用しようとすると、両操作の競合が生じる。
[0011] また、タッチパネルはリンクの選択やスクロールの操作以外の操作にも利用可能であり、その場合にも操作の競合が生じうる。
[0012] 本発明はこのような背景においてなされたものであり、その目的は、タッチパネルを兼ねた表示画面上にリンクの設定された文書を画像として表示する端末装置において、タッチ操作の競合を解消しつつ良好なリンク選択等の操作を実現することにある。」
イ 「[0042] 図1は、通話機能、データ通信機能、および、マークアップ言語文書の表示処理を行うWebブラウザ機能を備えた端末装置の一例としての携帯端末100の概略構成を示したブロック図である。この携帯端末100は、筐体10内に、スピーカ11、タッチパネルの機能を備えた表示デバイス15、マイク16、操作ボタン17~19を内蔵した、いわゆるスマートフォンと呼ばれる多機能の携帯電話端末である。ハードウェアのキーボードやテンキー等は備えておらず、文字入力が必要な場合には表示デバイス15の表示画面上にソフトウェアキーボード(図示せず)を表示してタッチ入力を行うことができる。」
ウ 「[図1]
[図:0001422297000006.jpg]
」
エ 「[0061] 図4は、図1に示した携帯端末100の表示デバイス15の表示画面300の表示例を示している。この表示画面300において、上辺部の横長帯状の領域310は、携帯電話の電波の受信強度、時刻、電池残量等の表示を行うエリアである。その下の横長帯状の領域320と、さらにその下の主要領域330がブラウザ画面である。少なくともブラウザ画面の全体がタッチパネル領域となっている。
[0062] 領域320は、主要領域330に現在表示されているWebページのタイトルを表示するタイトル表示領域321と、操作領域322とを含んでいる。この例では操作領域322にはこの位置をタッチすると、操作領域322が領域320内で拡大され、そこに他の操作用ボタン等(図示せず)が表示されるようになっている。
[0063] 主要領域330には、例えばPC用のWebサイトにアクセスして得られるような、画面からはみ出す大きなサイズのWebページの一部(左上部分)を表示した例を示している。図のWebページの左側の「製品概要」「OS」「Browser」「サービス」「ダウンロード」等の各文字列、および中央から右下の「Platform」「Browser」「サービス」「ip…」等の各文字列にはそれぞれリンクが設定されているものとする。図中に四角マーク(□)で示す各図形にもリンクが設定されていてもよい。このようなリンクの設定された文字や図形等の位置に有効なタッチが行われると、そのリンク設定箇所のリンク先への移行が行われ、現在のWebページに代えて、リンク先のWebページが表示される。」
オ 「[図4]
[図:0001422297000007.jpg]
」
カ 「[0076] 次に、図9により本実施の形態における第2のスクロール操作の例を説明する。この第2のスクロール操作は先の(第1の)スクロール操作にとって代わるものである。第1のスクロール操作はリンク有効領域外へ移動した指がタッチ状態にある間、スクロールが継続するものであるが、第2のスクロール操作は指の移動に同期して指が移動している間だけスクロールを行うものである。ここに「同期」とは指の移動量および移動方向が表示画像のそれらとリアルタイムに一致することを意味する。
[0077] 図9の画面300fに示すように、指350をブラウザ画面上の1点にタッチし、このタッチ状態を維持したままリンク有効領域360の境界を越えて移動ベクトル380の方向に指350を移動させたとき、画面300gに示すように、その移動量だけその移動方向へ画像がスクロールされる。このとき指350のタッチが継続していれば、さらにスクロール操作を継続することができる。タッチが離脱すれば、当該スクロール処理は終了し、次回のタッチでは再度、リンク有効領域の表示から始まる。このように第2のスクロール操作では第1のスクロール操作と異なり、その移動方向は移動ベクトル380と同じになる。この操作は画像の載った紙を手でずらすような操作と類似している。」
キ 「[図9]
[図:0001422297000008.jpg]
」
(2)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には、次の事項が記載されている。
ア 「【0010】
[発明の概要]
本発明は、タッチスクリーンを有する表示端末において、ユーザが表示端末を左右のいずれの手で把持しているかを判断し、端末を把持している手(以下「持ち手」という。)に応じた画面表示を実現するものである。具体的には、本発明は、ユーザの持ち手を判断し、操作によく用いられる描画オブジェクトをその持ち手で操作しやすい位置に表示したり、あるいは、いわゆる「閉じるボタン(アイコン)」のような、ユーザが頻繁に操作せず、うっかり操作してしまうことを避けるべき描画オブジェクトを持ち手の指が触れにくい位置に表示したりすることを可能にするものである。なお、本発明において、ユーザの持ち手による操作は、親指(母指、第一指)で行われることが主に想定されている。」
イ 「【0014】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態である携帯端末の主要なハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示す携帯端末10は、タッチスクリーンを有する携帯可能な表示端末であり、例えば、携帯電話機や、携帯型の音楽プレーヤやゲーム機などである。携帯端末10は、図1に示すように、制御部100と、記憶部200と、表示部300と、タッチスクリーン部400とを少なくとも備える。また、携帯端末10は、図1に示す構成のほかに、他の携帯電話機と通信するための手段や、音声を再生する手段などを含み得る。
【0015】
制御部100は、携帯端末10の各部の動作を制御する手段である。制御部100は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置やメモリ(主記憶装置)を備え、プログラムを実行することによって表示部300の画面表示などを制御する。また、制御部100は、リアルタイムクロックを有し、日時(日付及び時刻)を特定可能である。記憶部200は、補助記憶装置に相当する記憶手段であり、制御部100が画像を表示するために用いるデータ等を記憶する。
【0016】
表示部300は、画像を表示する手段である。表示部300は、液晶表示素子や有機EL(Electroluminescence)表示素子を用いた表示パネルとその駆動手段を備え、制御部100から供給される画面データに応じた画面を表示領域に表示する。タッチスクリーン部400は、表示部300の表示パネルに重ねて設けられたタッチスクリーンを備え、ユーザの接触位置を示す座標信号を制御部100に供給する。
【0017】
本実施形態において、表示部300は、長方形の縦長の表示領域を有するものとする。以下においては、この長方形の表示領域の左右方向(短辺方向)をx軸方向、上下方向(長辺方向)をy軸方向とした2次元直交座標系を接触位置等の座標の説明に用いる。また、説明の便宜上、この座標系は、表示領域の左下の頂点を原点とし、右方向及び上方向を正方向とする。ただし、表示領域の形状は、縦長の長方形に限定されるわけではない。」
ウ 「【図1】
[図:0001422297000009.jpg]
」
エ 「【0042】
図7は、把持情報を例示する図である。制御部100は、図5に示した処理を実行することにより、「識別情報」、「把持位置座標」、「操作半径」及び「時刻情報」からなる把持情報を記録することが可能である。なお、識別情報及び時刻情報は、把持情報に必須の情報ではない。例えば、識別情報は、把持位置座標から計算により求めることが可能であるため、あえて記録しておかなくてもよい。しかし、識別情報を記録しておけば、把持位置座標から計算によって持ち手をその都度求める必要がなくなる。
【0043】
なお、把持情報のうち、特に把持位置座標のx座標(cx)については、持ち手が変わらない限りは、ほとんど変わらない数値であるといえる(携帯端末10を左右で支える場合)。そこで、制御部100は、持ち手のそれぞれについてx座標をいったん記録したら、以降は同じ数値を持ち手に応じて用いるようにし、再度の記録(すなわち更新)を省略してもよい。
【0044】
ところで、ユーザは、携帯端末10をいつまでも同じ態様で把持し続けるとは限らない。それゆえ、把持情報は、時間とともに信頼性が失われていく情報であるといえる。そこで、制御部100は、記録済みの把持情報を所定時間の経過後に消去するようにしてもよい。ただし、この場合においても、把持位置座標のx座標については、制御部100が消去しないようにしてもよい。
【0045】
図8は、把持情報の内容を図解して示す図である。図8は、持ち手が左手であった場合の例である。把持位置座標Cと操作半径rにより、表示領域10Aのうちユーザにとって操作がしやすい領域を特定することが可能である。図8において、表示領域10Aのうち、把持位置座標Cを中心とし、中心角が90°の扇形と重なる領域A1は、領域A2、A3に比べ、ユーザが操作しやすい領域である。ユーザは、把持位置座標Cから操作半径r以下の範囲の領域(すなわち領域A1)であれば、指を必要以上に伸ばしたり、携帯端末10の持ち方を変えたりしなくても、当該領域に触れることが容易である。そこで、携帯端末10は、操作画像(特に、ユーザがよく操作に用いるもの)が領域A1に描画されるように画面表示を制御する。以下においては、図8にハッチングで示す領域A1のことを「特定領域」という。なお、特定領域は、図8に示す扇形に代えて把持位置座標Cを中心とする操作半径rの円を用い、表示領域10Aのうちのこの円と重なる領域であってもよい。
【0046】
図9は、図8に示した把持情報が用いられる場合における操作画像の表示例を示す模式図である。ここにおいて、操作画像W1、W2、W3は、それぞれウィンドウを表している。なお、ウィンドウ内には、ボタン等の他の操作画像がさらにあってもよい。例えば、携帯端末10は、図9(a)に示すように、操作画像W1の全体が特定領域内に表示されるように、操作画像W1の配置やサイズを調整することができる。また、携帯端末10は、図9(b)に示すように、操作画像W2の一部が特定領域内に表示されるようにしてもよい。つまり、携帯端末10は、操作画像の全部又は一部が特定領域内に表示されるようにすればよい。
【0047】
また、携帯端末10は、操作画像の一部を特定領域外に表示する場合においては、図9(c)に示すように、閉じるボタンB1を特定領域外に表示することも可能である。このようにすれば、ユーザが意図せずに閉じるボタンB1を操作してしまう可能性を低減させることが可能である。このような描画制御を行う場合、携帯端末10は、持ち手が右手である場合と左手である場合とで閉じるボタンB1の表示位置を異ならせてもよい。」
オ 「【図7】
[図:0001422297000010.jpg]
【図8】
[図:0001422297000011.jpg]
【図9】
[図:0001422297000012.jpg]
」
第6 対比及び判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「表示画面全体を引き下げ」る前の状態は、本願発明1の「第1の表示制御モード」に相当する。
引用発明の「画面」は、その「下部に配置」された「アイコン」を「タッチする」ことができるものであるから、本願発明1の「タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面」に相当する。
引用発明の「表示画面全体」は、「画面」上に表示された領域の全体であるといえるから、本願発明1の「タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に表示されたコンテンツ領域」、「前記コンテンツ領域の上方に表示されるメニュー領域」及び「前記メニュー領域の上方に表示されるステータス領域」と、「タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に表示された」「領域」である限度で一致する。
してみれば、引用発明における「表示画面全体を引き下げ」る前に「表示画面全体」を表示することは、本願発明1の「第1のユーザ操作に応答して、第1の表示制御モードにおいて、タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に表示されたコンテンツ領域内のコンテンツをスクロールさせ、前記コンテンツ領域、前記コンテンツ領域の上方に表示されるメニュー領域、および前記メニュー領域の上方に表示されるステータス領域を表示」することと、「第1の表示制御モードにおいて、タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に」「領域を表示」する点で一致し、後記(2)イ及びウの点で相違する。
イ 引用発明の「スライドディスプレイボタン」は、「画面下部に配置」されたものであるから、本願発明1の「前記ステータス領域の下方の表示領域」と、「表示領域」である限度で一致する。
引用発明における「スライドディスプレイボタンにタッチする」ことは、本願発明1の「前記第1のユーザ操作とは異なり、前記ステータス領域の下方の表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作」と、「表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作」である限度で一致する。
引用発明における「表示画面全体を引き下げ」ることは、上記アを踏まえると、本願発明1における「前記表示されたコンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域を、前記画面の上端から離れて一緒に下方に移動させ」ることと、「前記」「領域を、前記画面の上端から離れて」「下方に移動させ」ることである限度で一致する。 引用発明における「表示画面全体を引き下げ」た状態は、「スライドディスプレイボタンにタッチ」したことにより開始したものであるから、本願発明1の「第2のユーザ操作に応答して開始される第2の表示制御モード」に相当する。
してみれば、引用発明における「スライドディスプレイボタンにタッチ」して「表示画面全体を引き下げ」た状態とすることは、本願発明1における「前記第1のユーザ操作とは異なり、前記ステータス領域の下方の表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作に応答して開始される第2の表示制御モードにおいて、前記表示されたコンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域を、前記画面の上端から離れて一緒に下方に移動させ」ることと、「表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作に応答して開始される第2の表示制御モードにおいて、前記」「領域を、前記画面の上端から離れて」「下方に移動させ」る点で一致し、後記(2)エ及びオの点で相違する。
ウ 引用発明における「通知パネルを引き出す」ことは、引き出された通知パネルが表示されるといえるから、本願発明1における「通知を表示する」ことに相当する。
引用発明の「通知パネルを引き出す操作」は、「画面が下に降り」た状態で行われるものといえるから、上記アを踏まえると、本願発明1の「前記表示されたコンテンツ領域と一緒に前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記ステータス領域に対して実行される第3のユーザ操作」と、「前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記」「領域に対して実行される第3のユーザ操作」である限度で一致する。
してみれば、引用発明における「画面が下に降り」た状態で「通知パネルを引き出す操作」をすることは、本願発明1における「前記表示されたコンテンツ領域と一緒に前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記ステータス領域に対して実行される第3のユーザ操作に応答して、通知を表示する」ことと、「前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記」「領域に対して実行される第3のユーザ操作に応答して、通知を表示する」点で一致し、後記(2)カの点で相違する。
エ 引用発明の「ARROWS NX」が備える電子回路は、本願発明1の「電子回路」に相当する。
引用発明における「スライドディスプレイボタンにタッチする」ことは、上記イを踏まえると、本願発明1の「前記第1のユーザ操作、および前記第2のユーザ操作は、前記タッチスクリーンディスプレイによって受け付けられ」ることと、「前記第2のユーザ操作は、前記タッチスクリーンディスプレイによって受け付けられ」る点で一致し、後記(2)キの点で相違する。
オ 引用発明の「引き下げられた表示画面全体の表示範囲」は、上記イを踏まえると、本願発明1の「前記第2の表示制御モード」における「前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示範囲」と、「前記第2の表示制御モード」における「前記」「領域の表示範囲」である限度で一致する。
引用発明の「引き下げられる前の表示画面全体の表示範囲」は、上記アを踏まえると、本願発明1の「前記第1の表示制御モードにおける」「前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示範囲」と、「前記第1の表示制御モードにおける」「前記」「領域の表示範囲」である限度で一致する。
してみれば、引用発明における「引き下げられた表示画面全体の表示範囲は、引き下げられる前の表示画面全体の表示範囲より小さい」ことは、本願発明1における「前記第2の表示制御モードにおいて、前記コンテンツ領域、前記メニュー領域、および前記ステータス領域の表示範囲は、前記第1の表示制御モードにおける表示範囲よりも小さく前記画面上に表示される」ことと、「前記第2の表示制御モードにおいて、前記」「領域の表示範囲は、前記第1の表示制御モードにおける表示範囲よりも小さく前記画面上に表示される」点で一致し、後記(2)クの点で相違する。
(2)一致点及び相違点
上記(1)から、本願発明1と引用発明の間には、次のアのとおりの一致点及びイ-クのとおりの相違点があるといえる。
ア 一致点
「タッチスクリーンディスプレイ上に表示された画面上に領域を表示し、
表示領域に対するタッチ操作である第2のユーザ操作に応答して開始される第2の表示制御モードにおいて、前記領域を、前記画面の上端から離れて下方に移動させ、
前記第2の表示制御モードにおいて下方に移動された前記領域に対して実行される第3のユーザ操作に応答して、通知を表示する
ように構成された電気回路を備え、前記第2のユーザ操作は、前記タッチスクリーンディスプレイによって受け付けられ、
前記第2の表示制御モードにおいて、前記領域の表示範囲は、前記第1の表示制御モードにおける表示範囲よりも小さく前記画面上に表示されることを特徴とする情報処理システム。」
イ 相違点1
本願発明1では、第1の表示制御モードにおいて、ステータス領域、メニュー領域及びコンテンツ領域を画面の上方からこの順に表示するのに対し、引用発明では、引き下げる前の表示画面全体が、ステータス領域、メニュー領域及びコンテンツ領域をこの順に有することが特定されていない点。
ウ 相違点2
本願発明1では、第1のユーザ操作に応答して、第1の表示制御モードにおいて、コンテンツ領域内のコンテンツをスクロールさせるのに対し、引用発明では、コンテンツをスクロールさせていない点。
エ 相違点3
本願発明1では、第2の表示制御モードを開始するタッチ操作が、コンテンツをスクロールさせる第1のユーザ操作とは異なる、ステータス領域の下方に対するものであるのに対し、引用発明では、表示画面全体を引き下げた状態を開始するスライドディスプレイボタンのタッチが、コンテンツをスクロールさせる操作と異なることも、ステータス領域の下方に対するものであることも特定されていない点。
オ 相違点4
本願発明1では、第2の表示制御モードにおいて、コンテンツ領域、メニュー領域及びステータス領域が一緒に移動するのに対し、引用発明では、表示画面全体を引き下げた状態において、表示画面全体がステータス領域、メニュー領域及びコンテンツ領域を有することも、これらの領域が一緒に引き下げられることも特定されていない点。
カ 相違点5
本願発明1では、第3のユーザ操作が、コンテンツ領域と一緒に下方に移動されたステータス領域に対して実行されるのに対し、引用発明では、通知パネルを引き出す操作が、下に降りた画面のうちいずれの領域に対して行われるかが特定されていない点。
キ 相違点6
本願発明1では、コンテンツをスクロールさせる第1のユーザ操作がタッチスクリーンディスプレイによって受け付けられるのに対し、引用発明では、コンテンツをスクロールさせる操作を受け付けていない点。
ク 相違点7
本願発明1では、第1の表示制御モード及び第2の表示制御モードにおける表示範囲が、コンテンツ領域、メニュー領域及びステータス領域を有するのに対し、引用発明では、引き下げられる前後の表示画面全体の表示範囲が、コンテンツ領域、メニュー領域及びステータス領域を有することが特定されていない点。
(3)相違点についての判断
相違点1-4,6-7についてまとめて検討する。
引用文献2には、上記第5の2(1)のとおり、タッチパネルの機能を備えた表示デバイス15を内蔵し、表示デバイス15の表示画面300において、上辺部の横長帯状の領域310は、携帯電話の電波の受信強度、時刻、電池残量等の表示を行うエリアであり、その下の横長帯状の領域320と、さらにその下の主要領域330がブラウザ画面であり、領域320は、操作領域322を含み、操作領域322をタッチすると、操作領域322が領域320内で拡大され、そこに他の操作用ボタンが表示され、主要領域330には、Webサイトにアクセスして得られるWebページの一部を表示し、指350をブラウザ画面上の1点にタッチし、このタッチ状態を維持したまま指350を移動させたとき、その移動量だけその移動方向へ画像がスクロールされる携帯端末100が記載されている。
しかしながら、引用発明が「スマートフォンを片手で操作していると、画面上部をタッチするのが難しいが、そのような場合でも、画面を引き下げてタッチしやすくする」ことを課題とする(上記第5の1(1)ア)のに対し、引用文献2に記載の発明は「タッチパネルを兼ねた表示画面上にリンクの設定された文書を画像として表示する端末装置において、タッチ操作の競合を解消しつつ良好なリンク選択等の操作を実現すること」を課題とする(上記第5の2(1)ア段落[0012])ものである。両者の課題は、携帯端末のタッチ操作の操作性を向上する点で共通するにとどまり、タッチ操作の操作性の向上に当たって解決しようとする具体的な課題において共通するものではないから、引用発明に引用文献2に記載の発明を適用する動機付けがあるとはいえない。
したがって、引用文献2の記載を踏まえても、相違点1-4,6-7に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものでない。そして、以上の点は、引用文献3の記載や、何らかの周知技術によって左右されるものではない。
以上のとおり、本願発明1は、相違点5について検討するまでもなく、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2-14について
本願発明2-14は、本願発明1を減縮したものであり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明15について
本願発明15は、本願発明1に対応する情報処理方法の発明であり、本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本願発明16について
本願発明16は、本願発明1に対応するプログラムの発明であり、本願発明1の構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-3に記載の発明及び周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定について
上記第6のとおり、本願発明1-16は、当業者であっても、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1-3に記載の発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-015084