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特許拒絶査定不服審判

2024-013183

マスク収容装置及びマスク収容方法

審判番号
2024-013183
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-172755外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2024年08月15日
審決日
2025年12月01日
公報発行日
2026年05月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .161-Z (A45C)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条の2
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条の2、特許法第17条の2第5項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-172755「マスク収容装置及びマスク収容方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年 7月28日出願公開、特開2022-109863〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 この出願は、令和3年10月21日(パリ条約の例による優先権主張 令和2年10月21日(TW)台湾)の出願であって、令和5年4月17日付けで拒絶の理由が通知され、令和5年10月25日に意見書及び手続補正書が提出され、令和5年10月30日付けで拒絶の理由が通知され、令和6年4月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和6年4月9日付けで拒絶査定がされた。これに対し、令和6年8月15日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正がされ、令和6年10月22日に審判請求書の請求の理由が補正されたものである。 第2 令和6年8月15日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)について 1 本件補正の内容 (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された。 「【請求項1】 外面と、内面と、折り部とを備えた収納器と、前記外面に設けられた掛止体とを含む、マスクを収納するためのマスク収容装置であって、 前記掛止体は、前記収納器の短手辺と折り部との間、又は、前記収納器の折り部に設けられ、 前記マスクは、前記内面に置かれることができ、前記マスクの耳掛け部が前記外面に露出され、前記掛止体に引っ掛けられ、前記マスク収容装置は開いた状態及び閉じた状態を有し、前記開いた状態の場合、前記内面及び前記外面が伸展して前記マスク収容装置が180度まで開いて平らな状態になり、前記閉じた状態の場合、前記収納器の長手辺及び前記マスクの長手方向縁部が前記折り部に沿って二つ折りにされ、前記収納器は前記マスクのマスク本体部を覆うことで、前記マスクが二つ折り状態になる、マスク収容装置。 【請求項2】 マスクを収納するためのマスク収容方法であって、 マスク収容装置を180度まで開いた状態として直立させるステップと、 前記マスクを直立させるステップと、 前記マスクの長手方向縁部を前記マスク収容装置の内面側の長手辺に位置合わせさせるステップと、 マスク本体部を前記マスク収容装置の内面側に差し入れるステップと、 前記マスクの耳掛け部を前記マスク収容装置の外面側の短手辺と折り部との間、又は折り部に設けられた掛止部に引っ掛けるステップと、 前記マスク収容装置の前記長手辺と前記マスクの前記長手方向縁部を前記マスク収容装置の内面側に二つ折りにさせるステップと、を含む方法。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲の記載 本件補正前の、令和6年4月5日に手続補正がされた特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。 「【請求項1】 外面と、内面と、折り部とを備えた収納器と、前記外面に設けられた掛止体とを含む、マスクを収納するためのマスク収容装置であって、 前記掛止体は、前記収納器の短手辺と折り部との間、又は、前記収納器の折り部に設けられ、 前記マスクは、前記内面に置かれることができ、前記マスクの耳掛け部が前記外面に露出され、前記掛止体に引っ掛けられ、前記マスク収容装置は開いた状態及び閉じた状態を有し、前記開いた状態の場合、前記内面及び前記外面が伸展して前記マスク収容装置が180度まで開いて平らな状態になり、前記閉じた状態の場合、前記収納器の長手辺及び前記マスクの長手方向縁部が前記折り部に沿って二つ折りにされ、前記収納器は前記マスクのマスク本体部を覆うことで、前記マスクが二つ折り状態になる、マスク収容装置。 【請求項2】 前記外面に設けられた別の掛止体をさらに備え、前記掛止体は前記折り部の対向する両側に位置する請求項1に記載のマスク収容装置。 【請求項3】 前記収納器の短手辺に設けられ、前記マスクの前記耳掛け部を位置決めするための位置決め部材をさらに備える請求項1に記載のマスク収容装置。 【請求項4】 前記位置決め部材は、前記耳掛け部を引っ掛けるための引っ掛け溝又は一凸部を備える請求項3に記載のマスク収容装置。 【請求項5】 前記収納器の短手辺に位置する当て止め部をさらに備える請求項1に記載のマスク収容装置。 【請求項6】 前記収納器は、手持ち領域と、マスク置き領域とを備え、前記手持ち領域及び前記マスク置き領域が前記内面に位置し、前記マスク本体部が前記マスク置き領域に置かれることができ、前記手持ち領域が前記収納器の前記長手辺に位置する請求項1に記載のマスク収容装置。 【請求項7】 マスクを収納するためのマスク収容方法であって、 マスク収容装置を180度まで開いた状態として直立させるステップと、 前記マスクを直立させるステップと、 前記マスクの長手方向縁部を前記マスク収容装置の内面側の長手辺に位置合わせさせるステップと、 マスク本体部を前記マスク収容装置の内面側に差し入れるステップと、 前記マスクの耳掛け部を前記マスク収容装置の外面側の短手辺と折り部との間、又は折り部に設けられた掛止部に引っ掛けるステップと、 前記マスク収容装置の前記長手辺と前記マスクの前記長手方向縁部を前記マスク収容装置の内面側に二つ折りにさせるステップと、を含む方法。」 2 補正の適否 本件補正は、本件補正前の請求項2~6を削除して、本件補正前の請求項7を本件補正後の請求項2にしたものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第1号に掲げる、同法第36条第5項に規定する請求項の削除を目的とするものである。 したがって、本件補正は適法にされたものである。 第3 本願発明について 本件補正は、前記のとおり適法にされたものであるから、この出願の各請求項に係る発明は、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、前記第2 1(1)の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 第4 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由の概略は、次のとおりである。 (拡大先願)本願発明は、この出願の優先日前の特許出願であって、この出願の優先日後に特許掲載公報の発行又は出願公開がされた以下の特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者が以下の特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、この出願の出願人が以下の特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない。 特許出願:特願2020-172841号(特開2021-8704号)(以下、この特許出願を「先願」といい、この特許出願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面を「先願の当初明細書等」という。) 第5 先願の当初明細書等の記載及び引用発明 1 先願の当初明細書等の記載 原査定の拒絶の理由で引用された先願の当初明細書等には、次の記載がある(下線は、当審で付与した。以下、同様である。)。 (1)「【請求項1】 マスクを縦に二つに折った形態で収納できるマスク用ケースの構造であって、鼻・口・顎を立体的に覆えるマスクを二つ折りにし、耳かけ部を除いた輪郭形状より一回り大きく、かつ同じ形のシートからなる右側面体と左側面体を重ねて、前記右側面体と前記左側面体の一方の縁部どうしを曲線状に接合して中央接合縁とした構造のマスクケース本体を形成し、前記右側面体と左側面体の表面中央部には、前記中央接合縁に対向する耳かけ側端縁から露出する耳かけ部の端部を係止できる係止片が設けられていて、前記各々の係止片は指でつまんで前記マスクケース本体を保持できるとともに、前記中央接合縁を中心にして左右に引っ張ることで、平面状だった前記右側面体と左側面体が、前記中央接合縁の曲線に合わせて立体的に変形して、顔面に装着されたマスク表面近くに沿うことができる立体的な空間を、前記右側面体と左側面体の間に形成できることを特徴とするマスク用ケースの構造。 ・・・(中略)・・・ 【請求項4】 マスクを縦に二つに折った形態で収納できるマスク用ケースの構造であって、耳かけ部を除いて縦に二つ折りにしたマスク本体が、はみ出さないように挟める大きさの右側面体と左側面体が、前記マスク本体の折り縁と同じ側の縁で、中央接合縁として繋がっている二つ折りのシートでマスクケース本体は形成されており、前記右側面体と左側面体の表面中央部には、前記マスクケース本体にマスクが収納された際に、前記中央接合縁に対向する耳かけ側端縁から露出する前記耳かけ部をたるみの無い状態で係止できる係止片が設けられていて、前記右側面体と左側面体を指で持ちながら前記中央接合縁を中心にして左右に広げることで顔面に装着されたマスク表面に沿わせることができる空間を、前記右側面体と左側面体の間に形成できることを特徴とするマスク用ケースの構造。」 (2)「【0009】 請求項1の発明は、例えば図1~図7に示すように、マスクを縦に二つに折った形態で収納できるマスク用ケースの構造であって、鼻・口・顎を立体的に覆えるマスクを二つ折りにし、耳かけ部を除いた輪郭形状より一回り大きく、かつ同じ形のシートからなる右側面体と左側面体を重ねて、右側面体と左側面体の一方の縁部どうしを曲線状に接合して中央接合縁とした構造のマスクケース本体を形成し、右側面体と左側面体の表面中央部には、中央接合縁に対向する耳かけ側端縁から露出する耳かけ部の端部を係止できる係止片が設けられていて、各々の係止片は指でつまんでマスクケース本体を保持できるとともに、中央接合縁を中心にして左右に引っ張ることで、平面状だった右側面体と左側面体が、中央接合縁の曲線に合わせて立体的に変形して、顔面に装着されたマスク表面近くに沿うことができる立体的な空間を、右側面体と左側面体の間に形成できる構造となっている。 ・・・(中略)・・・ 【0018】 請求項4の発明は、例えば図11に示すようにマスクを縦に二つに折った形態で収納できるマスク用ケースの構造であって、耳かけ部を除いて縦に二つ折りにしたマスク本体が、はみ出さないように挟める大きさの右側面体と左側面体を、前記マスク本体の折り縁と同じ側の縁で、中央接合縁として繋げている二つ折りのシートでマスクケース本体は形成されており、右側面体と左側面体の表面中央部には、マスクケース本体にマスクが収納された際に、中央接合縁に対向する耳かけ側端縁から露出する耳かけ部をたるみの無い状態で係止できる係止片が設けられていて、右側面体と左側面体を指で持ちながら中央接合縁を中心にして左右に広げることで顔面に装着されたマスク表面に沿わせることができる空間を、右側面体と左側面体の間に形成できる構造となっている。」 (3)「【図面の簡単な説明】 【0039】 【図1】(a)第1実施形態を側面から見た図。(b)立体化されたマスクを二つに折った側面から見た図。 【図2】(a)→(b)第1実施形態で、マスクケース本体内に「立体的な空間」を形成させる方法の説明図〔上段〕。〔下段〕は前記説明図の要点を模式化した図。 【図3】第1実施形態でマスクを外してケースに収める手順説明図(その1) 【図4】第1実施形態でマスクを外してケースに収める手順説明図(その2) 【図5】第1実施形態でマスクを外してケースに収める手順説明図(その3) 【図6】第1実施形態でマスクを外してケースに収める手順説明図(その4) 【図7】第1実施形態でマスクが収納された状態の俯瞰図。 【図8】(a)第2実施形態の側面から見た図。(b)第2実施形態の側面から見た図(係止片を上方に回転させた状態)。 【図9】第1実施形態でマスク用ケースからマスクを装着する手順説明図 【図10】第1実施形態のマスクをケースを広げて収納状態を見ている図。 【図11】(a)第3実施形態を側面から見た図。(点線は収納された立体マスク)(b)第3実施形態を指でつまんで広げた状態図。 【図12】(a)第4実施形態を側面から見た図。(点線は収納された立体マスク)(b)第4実施形態を指でつまんで広げた状態図。 【図13】(a)第5実施形態を側面から見た図。(点線は収納された立体マスク)(b)第5実施形態を指でつまんで広げた状態図。」 (4)「【0040】 図1は、マスクが矢印のように本発明のマスク用ケース1内の点線位置に収納されるのを模式的に示した図で、(a)がマスクが入っていないケース1の状態を横から見た図で、(b)はケースに入る対象のマスク2を二つに折った図である。マスク2の折り返し部21の円弧とマスクケース本体3の中央接合縁6の円弧の曲率が同じであることが本件発明の重要な要素の一つになる。 【0041】 (a)をさらに詳しく説明すると、マスクケース本体1に収納されたマスク2はケース内では二つ折りの状態で右側面体4と左側面体5のシート間に外周に5~10mm程度の隙間を設けて収まる。耳かけ部は耳かけ側端縁7からはみ出るので、マスクの耳かけ部付け根22で右側面体4と左側面体5の表側側に折り返し、ずれ動かないように耳かけガイド凹部12を通り、右側面体4と左側面体5の表面中央部に設けられた係止片10の付け根に耳かけ部11の端部が引っ掛けられる。 ・・・(中略)・・・ 【0047】 ただし、右側面体4と左側面体5の平面のシートからなるマスクケース本体3では、図3のように装着したマスク20をマスクケース本体3内に取り込む作業のために持ち手となるものが欲しくなるのと、大きさを最小限にしたマスクケース本体3からはみ出す耳かけ部11をどのように収めるかという改善課題が残った。その二つの課題を解決するために右側面体4と左側面体5の表面上に係止片10を設けて、取っ手としてケースを保持する、耳かけ部11の端部を保持するという2つの機能を持たせることで解決させることにした。」 (5)「【0069】 図11は第3実施形態を示したもので、(a)図は、点線のマスク本体2を収納したケース側面図、(b)図は突出片14を持ってケースを左右に広げた状態図。二つ折りのマスク本体2が隠れる大きさの二つ折りシートで左右の側面体4,5を作り、折り目となる中央接合縁6を中心にして、突出片14を持って顔のマスクに沿うように広げて、耳から耳かけ部11を係止片10に移し替える。耳かけ部11の付け根が突出片の根元の耳かけガイド凹部12に引っ掛かるので、耳かけ部がたるまない状態で係止片10に係止できる。顔面近くにあるケース本体3に収まっているマスク本体2の折り返し縁21辺りを左右の側面体4、5の表面から指で挟み込むようにすると、マスクが収まった状態でマスクケース本体3を移動できる。 【0070】 第3実施形態は、第1実施形態を基にして構成要素を省いたり簡略化している点があるので、機能的には劣る点もあるが、本発明の当初目的である「装着している立体マスク表面に触れずにマスクケースに二つ折り状態で収納及び装着できる。」を達成できる範囲で単純化させた構成を導き出したものであるので、製品化にあたって製作の容易性、製造コスト削減を検討した結果の実施形態と言える。」 (6)「【0071】 図12は第4実施形態を示したもので、(a)図は、点線のマスク本体2を収納したケース側面図、(b)図は係止片10を持ってケースを左右に広げた状態図。一枚のシートを二つ折りにして中央接合縁6を作り、その近くに置いた立体マスク本体の折り縁21に沿うように左右の側面体4、5の間に接合部29を作ることで、曲線状の中央接合縁と同じ効果の中央接合帯ができる。接合部29は接着、両面テープ、溶着、縫い合せ等特に限定はない。接合部は連続したものでなくてもよい。 【0072】 第3実施形態と異なり、係止片10を大きくして指でつまめるようにしたので、マスクの耳かけ部11を係止する機能、指でつまんでケース本体3を保持する機能、指でつまんで左右に引っ張りケース本体3をマスクに沿うように立体化させる機能、および左右の側面体4,5を切り込んで作った係止片10においてはマスクケース本体3内のマスクがズレ動かないように指の挟み込む力を伝わり易くさせる機能がある。図11、12の係止片10は係止片の付け根部26を左右の側面体4,5の表面に接合して取り付けられている。」 (7)「【0073】 図13は第5実施形態を示したもので、(a)図は、点線のマスク本体2を収納したケース側面図、(b)図は係止片10を持ってケースを左右に広げた状態図。シートを二つ折りしてできる直線状の中央接合線21の中央部を残して、上下を斜めに切断24して、その縁の一部をテープで接合25することで、直線で構成された簡易曲線の中央接合縁6ができる。切断縁は直線であったが、曲線でも構わない。接合はテープ以外に接着、溶着、縫製等特に限定はされない。接合部も一部でも全体でも構わない。」 (8)図1、図2、図11、図12、図13として、次の事項が図示されている。 【図1】 [図:0001434734000001.jpg] 【図2】 [図:0001434734000002.jpg] 【図11】 [図:0001434734000003.jpg] 【図12】 [図:0001434734000004.jpg] 【図13】 [図:0001434734000005.jpg] (9)先願の当初明細書等の段落【0069】、【0070】、図11(前記(5)、(8)参照。)には、第3実施形態が示され、図11(a)及び(b)に示された「1」及び「3」の符号は、同段落【0040】、図1(前記(4)、(8)参照。)等に示された第1実施形態と同様に、マスク用ケース1及びマスクケース本体3を意味しているといえる。 (10)第3実施形態のマスク用ケース1は、同段落【0069】、【0072】(前記(5)、(6)参照。)の記載によると、左右の側面体4、5と、中央接合縁6と、左右の側面体4、5の表面に取り付けられている係止片10を備えるものといえ、該左右の側面体4、5と中央接合縁6とは、同段落【0040】、【0047】(前記(4)参照。)の記載を踏まえると、マスクケース本体3を構成するものといえる。 そして、該マスクケース本体3を構成する左右の側面体4、5は、前記した係止片10が取り付けられる表面の他、同段落【0069】(前記(5)参照。)の記載及び図11(前記(8)参照。)の図示内容によると、マスク本体2を収める表面を備えていることは明らかである。 以上によると、第3実施形態のマスク用ケース1は、係止片10が取り付けられる表面とマスク本体2を収める表面とを備えた左右の側面体4、5と、中央接合縁6とから構成されるマスクケース本体3と、前記係止片10が取り付けられる表面に取り付けられた係止片10を備えているといえる。 そして、該マスク用ケース1は、同段落【0018】(前記(2)参照。)の記載によると、マスクを縦に二つに折った形態で収納できるものである。 (11)第3実施形態の係止片10は、図11(前記(8)参照。)の図示内容によると、同段落【0041】(前記(4)参照。)に記載された第1実施形態の係止片10と同様に、左右の側面体4、5の表面中央部に設けられているといえる。 (12)第3実施形態の左右の側面体4、5は、前記(10)に示したように、係止片10が取り付けられる表面とマスク本体2を収める表面とを備えるものであるから、同段落【0069】(前記(5)参照。)に記載されたように、「突出片14を持って顔のマスクに沿うように広げて、耳から耳かけ部11を係止片10に移し替える」ことにより、マスクは、前記マスク本体2を収める表面に沿うようにされ、マスクの耳掛け部11が、前記係止片10が取り付けられる表面に取り付けられた係止片10に係止されることは明らかである。 さらに、第3実施形態のマスク用ケース1は、同段落【0018】、【0069】(前記(2)、(5)参照。)の記載によると、左右に広げた状態及びマスク本体2を収納した状態を有し、マスク本体2を収納した状態の場合、中央接合縁6が、二つ折りのマスク本体2が隠れる大きさの、左右の側面体4、5を作る二つ折りシートの折り目となり、マスクを縦に二つに折った形態で収納できるものといえる。 2 引用発明 前記1(1)~(12)によると、先願の当初明細書等には、第3実施形態として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「係止片10が取り付けられる表面とマスク本体2を収める表面とを備えた左右の側面体4、5と、中央接合縁6とから構成されるマスクケース本体3と、前記係止片10が取り付けられる表面に取り付けられた係止片10を備え、マスクを縦に二つに折った形態で収納できるマスク用ケース1であって、 前記係止片10は、前記左右の側面体4、5の表面中央部に設けられ、 前記マスクは、前記マスク本体2を収める表面に沿うようにされ、前記マスクの耳掛け部11が、前記係止片10が取り付けられる表面に取り付けられた係止片10に係止され、前記マスク用ケース1は、左右に広げた状態及び前記マスク本体2を収納した状態を有し、前記マスク本体2を収納した状態の場合、前記中央接合縁6が、二つ折りの前記マスク本体2が隠れる大きさの、前記左右の側面体4、5を作る二つ折りシートの折り目となり、前記マスクを縦に二つに折った形態で収納できる、マスク用ケース1。」 第6 対比 以下、本願発明と引用発明とを対比する。 1 引用発明の「係止片10が取り付けられる表面」は、マスク本体2を収納した状態の場合、先願の当初明細書等の図11(a)(前記第5 1(8)参照。)に図示されるように、外側となる面であるから、本願発明の「外面」に相当し、引用発明の「マスク本体2を収める表面」は、前記の場合、内側となる面であるから、本願発明の「内面」に相当する。 そして、引用発明の「中央接合縁6」は、「前記左右の側面体4、5を作る二つ折りシートの折り目とな」るものであるから、本願発明の「折り部」に相当する。 すると、引用発明の「マスクケース本体3」は、「係止片10が取り付けられる表面」、「マスク本体2を収める表面」、「中央接合縁6」を備えるものであるから、本願発明の「外面」、「内面」、「折り部」を備える「収納器」に相当する。 2 引用発明の「係止片10」は、本願発明の「掛止体」に相当し、引用発明の「前記係止片10が取り付けられる表面に取り付けられた係止片10」は、本願発明の「前記外面に設けられた掛止体」に相当する。 3 引用発明の「マスクを縦に二つに折った形態で収納できる」という事項は、本願発明の「マスクを収納するための」という事項に相当し、引用発明の「マスク用ケース1」は、本願発明の「マスク収容装置」に相当する。 4 前記1~3によると、引用発明の「係止片10が取り付けられる表面とマスク本体2を収める表面とを備えた左右の側面体4、5と、中央接合縁6とから構成されるマスクケース本体3と、前記係止片10が取り付けられる表面に取り付けられた係止片10を備え、マスクを縦に二つに折った形態で収納できるマスク用ケース1」は、本願発明の「外面と、内面と、折り部とを備えた収納器と、前記外面に設けられた掛止体とを含む、マスクを収納するためのマスク収容装置」に相当する。 5 引用発明の「前記係止片10は、前記左右の側面体4、5の表面中央部に設けられ」るという事項は、先願の当初明細書等の図11(a)及び(b)(前記第5 1(8)参照。)の図示内容を踏まえると、係止片10が「左右の側面体4、5と、中央接合縁6とから構成されるマスクケース本体3」の短辺と中央接合縁6との間に設けられているといえるから、本願発明の「前記掛止体は、前記収納器の短手辺と折り部との間、又は、前記収納器の折り部に設けられ」るという事項に相当する。 6 引用発明の「前記マスクは、前記マスク本体2を収める表面に沿うようにされ」るという事項は、マスクがマスク本体2を収める表面に沿うように配置される状態を表しているといえるから、本願発明の「前記マスクは、前記内面に置かれることができ」るという事項に相当する。 7 引用発明の「耳掛け部11」は、本願発明の「耳掛け部」に相当し、引用発明の「前記マスクの耳掛け部11が、前記係止片10が取り付けられる表面に取り付けられた係止片10に係止され」るという事項は、マスクの耳掛け部11が、前記係止片10が取り付けられる表面において、マスクケース本体3から露出し、係止片10に係止されている状態を表しているといえるから、本願発明の「前記マスクの耳掛け部が前記外面に露出され、前記掛止体に引っ掛けられ」るという事項に相当する。 8 引用発明の「左右に広げた状態」及び「前記マスク本体2を収納した状態」は、それぞれ本願発明の「開いた状態」及び「閉じた状態」に相当し、引用発明の「前記マスク用ケース1は、左右に広げた状態及び前記マスク本体2を収納した状態を有」するという事項は、本願発明の「前記マスク収容装置は開いた状態及び閉じた状態を有」するという事項に相当する。 9 引用発明の「前記マスク本体2を収納した状態の場合、前記中央接合縁6が、二つ折りの前記マスク本体2が隠れる大きさの、前記左右の側面体4、5を作る二つ折りシートの折り目となり、前記マスクを縦に二つに折った形態で収納できる」という事項は、先願の当初明細書等の図11(a)及び(b)(前記第5 1(8)参照。)の図示内容を踏まえると、「左右の側面体4、5と、中央接合縁6とから構成されるマスクケース本体3」及び「マスク」の長辺が、中央接合縁6を折り目として、二つに折られている状態を表しているといえ、このとき、該「マスクケース本体3」がマスク本体2を隠すように、マスクを縦に二つに折った形態で収納しているといえるから、本願発明の「前記閉じた状態の場合、前記収納器の長手辺及び前記マスクの長手方向縁部が前記折り部に沿って二つ折りにされ、前記収納器は前記マスクのマスク本体部を覆うことで、前記マスクが二つ折り状態になる」という事項に相当する。 10 そうすると、本願発明と引用発明とは、以下の<一致点>で一致し、<相違点>で一応、相違する。 <一致点> 「外面と、内面と、折り部とを備えた収納器と、前記外面に設けられた掛止体とを含む、マスクを収納するためのマスク収容装置であって、 前記掛止体は、前記収納器の短手辺と折り部との間、又は、前記収納器の折り部に設けられ、 前記マスクは、前記内面に置かれることができ、前記マスクの耳掛け部が前記外面に露出され、前記掛止体に引っ掛けられ、前記マスク収容装置は開いた状態及び閉じた状態を有し、前記閉じた状態の場合、前記収納器の長手辺及び前記マスクの長手方向縁部が前記折り部に沿って二つ折りにされ、前記収納器は前記マスクのマスク本体部を覆うことで、前記マスクが二つ折り状態になる、マスク収容装置。」 <相違点> 本願発明は、「前記開いた状態の場合、前記内面及び前記外面が伸展して前記マスク収容装置が180度まで開いて平らな状態にな」るのに対し、引用発明は、「左右に広げた状態」の場合、マスク用ケース1が前記のように180度まで開いて平らな状態になるのか明らかでない点。 第7 判断 1 相違点について 以下、<相違点>について検討する。 (1)引用発明の中央接合縁6は、先願の当初明細書等の図11(a)及び(b)(前記第5 1(8)参照。)の図示内容を踏まえると、直線状に形成されていることが把握できる。これは、該図11に係る引用発明が請求項4の発明に対応し(先願の当初明細書等の段落【0018】(前記第5 1(2))参照。)、該請求項4の記載(前記第5 1(1)参照。)において、図1、図2等に示されたマスク用ケースの構造に対応する(同段落【0009】(前記第5 1(2))参照。)請求項1の記載(前記第5 1(1)参照。)とは異なり、中央接合縁が曲線状である旨の特定がないことと整合するものである。 (2)また、同段落【0071】、【0072】、図12(前記第5 1(6)、(8)参照。)に示された第4実施形態は、「一枚のシートを二つ折りにして中央接合縁6を作り、その近くに置いた立体マスク本体の折り縁21に沿うように左右の側面体4、5の間に接合部29を作ることで、曲線状の中央接合縁と同じ効果の中央接合帯ができる」ものであるから、該接合部29が作られていない状態では、曲線状の中央接合縁と同じ効果が生じないものである。そして、該図12と図11の図示内容等からみて、引用発明に対応する第3実施形態(図11)の「左右に広げた状態」に関係する中央接合縁6近傍の構造は、第4実施形態(図12)の中央接合縁6近傍の構造から、接合部29を省いた構造であると解されるから、曲線状の中央接合縁と同じ効果は生じないものといえる。このことからも、引用発明の中央接合縁6は、曲線状ではないと解され、前記(1)に示した、引用発明の中央接合縁6は直線状に形成されているという事項を裏付けている。 (3)さらに、同段落【0073】、図13(前記第5 1(7)、(8)参照。)に示された第5実施形態は、「シートを二つ折りしてできる直線状の中央接合線21の中央部を残して、上下を斜めに切断24して、その縁の一部をテープで接合25することで、直線で構成された簡易曲線の中央接合縁6ができる」ものであるから、中央部の中央接合線21は、直線状であると解される。そして、該図13と図11の図示内容等からみて、引用発明に対応する第3実施形態(図11)の中央接合縁6は、第5実施形態(図13)の前記中央部と同様に直線状といえる。このことも、前記(1)に示した、引用発明の中央接合縁6は直線状に形成されているという事項を裏付けている。 (4)前記(1)~(3)によると、引用発明の中央接合縁6は、直線状に形成されているといえ、また、引用発明は、先願の当初明細書等に記載された実施形態4のように、左右の側面体4、5の間に接合部29が作られているものでも、同実施形態5のように、中央接合縁6の上下がテープで接合されているものでもないから、曲線状の中央接合縁と同じ効果は生じず、また、簡易曲線の中央接合縁が形成されるものでもない。したがって、引用発明のマスク用ケース1を「左右に広げた状態」において、マスクケース本体3を構成する左右の側面体4、5の係止片10が取り付けられる表面(外面)とマスク本体2を収める表面(内面)が、伸展し、マスク用ケース1が180度まで開いて平らな状態になることは明らかである。 (5)以上によると、前記相違点は、実質的な相違点ではない。 2 審判請求人の主張について (1)審判請求人は、審判請求書の令和6年10月22日に補正した【請求の理由】の「4.本願発明が特許されるべき理由」、「(b)本願発明と引用文献1の一致点及び相違点について」において、「本願発明のマスク収容装置は、平面状の長方形のマスクを収容するためのものであるのに対し、引用文献1のマスク収容装置は広げた状態で立体的なマスクを収容するという点で根本的に異なる」と主張している。 ここで、先願の当初明細書等の段落【0070】(前記第5 1(5)参照。)の記載によると、引用発明は、確かに立体的なマスクを収容するためのものといえるが、同段落【0040】、【0041】、図1、図2(前記第5 1(4)、(8)参照。)等に記載された第1実施形態の構成要素を省いたり簡略化したものであり、第1実施形態のマスク2の折り返し部21の円弧とマスクケース本体3の中央接合縁6の円弧の曲率を同じにするという事項(同段落【0040】(前記第5 1(4))参照。)についても省き、機能的に劣る点があっても、製作の容易性、製造コストの削減を優先したものと解される。その結果、前記1で検討したように、引用発明の中央接合縁6は、直線状に形成されているから、本願発明のマスク収容装置と、引用発明のマスク用ケース1とは、物の発明の構成として、実質的な相違点はないといえる。 したがって、審判請求人の前記主張は採用できない。 (2)審判請求人は、審判請求書の令和6年10月22日に補正した【請求の理由】の「4.本願発明が特許されるべき理由」、「(b)本願発明と引用文献1の一致点及び相違点について」において、先願の当初明細書等における図3、図6、図9、図10を引用し、先願の当初明細書等に開示のマスク収容装置は、マスクカバーの左右のつなぎ目部分が曲線形とされているがゆえに本願発明のように左右の側面体を180°開いた状態とすることができない旨を主張している。 審判請求人のこの主張は、本願発明と、先願の当初明細書等に第1実施形態として記載された発明とを対比したものと解されるが、先願の当初明細書等には、該第1実施形態の他、第3実施形態も記載されており、前記したように、本願発明と該第3実施形態に係る引用発明とを対比すると、両者に実質的な相違点はないといえる。 したがって、審判請求人の前記主張は採用できない。 3 まとめ そうすると、本願発明は引用発明と実質的に同一である。 第8 むすび 以上のとおり、本願発明は引用発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-013183

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