特許拒絶査定不服審判
2024-010815
感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、およびプリント配線板
- 審判番号
- 2024-010815
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-061467
- 請求日
- 2024年07月01日
- 審決日
- 2025年08月05日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】太陽ホールディングス株式会社
- 【請求人代理人】宮嶋 学
- 【請求人代理人】浅野 真理
- 【請求人代理人】小島 一真
- 審判長/審判官
- 審判長 神谷 健一
- 審判官 川村 大輔
- 審判官 河原 正
- 分類
- P18 .161-Z (G03F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条の2特許法184条の13
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条の2、特許法第184条の13、特許法第184条の4第3項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 61467「感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、およびプリント配線板」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年10月 8日出願公開、特開2020-166271〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特願2020-61467号(以下「本件出願」という。)は、令和2年3月30日(先の出願に基づく優先権主張 平成31年3月29日)の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年10月27日付け :拒絶理由通知書
令和6年 1月 5日 :意見書及び手続補正書の提出
令和6年 3月19日付け :拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和6年 7月 1日 :審判請求書の提出
第2 本願発明について
本件出願の請求項1~5に係る発明は、令和6年1月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項によって特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のものである(以下「本願発明」という。)。
「(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)熱硬化性成分と、硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイトおよびタルクからなる群より選択される少なくとも1種のフィラーと、を含んでなる感光性樹脂組成物であって、
前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリロイル基からなる光重合性基を有し、
前記(C)光重合開始剤が、α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物と(メタ)アクリロイル基含有化合物とのマイケル付加反応物であることを特徴とする、感光性樹脂組成物。」
第3 原査定における拒絶の理由
本願発明に対する原査定の拒絶の理由は、概略次のとおりである。
「理由3(拡大先願)
本件出願の請求項1に係る発明は、先の出願前の日を国際出願日とする国際特許出願(特許法184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、先の出願後に国際公開がされた下記の国際特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者が上記国際特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件出願の出願の時において、その出願人が上記国際特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。」
(引用例等一覧)
先願2:PCT/JP2019/012752号(国際公開第2019/198489号)
先願3:PCT/JP2019/012753号(国際公開第2019/198490号)
引用文献4:特開2018-173609号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5:特開2014-52658号公報(周知技術を示す文献)
第4 拡大先願についての合議体の判断
1 先願2に基づく拡大先願
(1) 先願2の明細書又は請求の範囲に記載された事項
先願2の明細書又は請求の範囲(以下「先願2明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は当合議体が付したもので、先願2明細書等に記載された発明の認定等に用いたところに付した。以下同様である。)
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関する。
背景技術
[0002] 近年、プリント配線板向けのソルダーレジスト用樹脂材料としては、紫外線等の活性エネルギー線により硬化可能な感光性樹脂組成物が広く用いられている。前記ソルダーレジスト用樹脂材料に対する要求特性としては、少ない露光量で硬化すること、アルカリ現像性に優れること、硬化物における耐熱性や強度、誘電特性等に優れることなど様々なものが挙げられる。
[0003] 従来のソルダーレジスト用樹脂材料としては、・・・略・・・光感度や硬化物における耐熱性が十分ではなく、昨今ますます高まる要求性能を満足するものではなかった。
[0004] また、前記感光性樹脂組成物は、光硬化時、その後必要に応じて行われる熱硬化時、または実装時のはんだ付けの際に、光重合開始剤などの含有成分が揮発してガス化し、周囲を汚染するアウトガスの問題があった。
[0005] そこで、光感度及び硬化物における耐熱性に優れ、さらに、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が求められていた。
・・・略・・・
発明の概要
発明が解決しようとする課題
[0007] 本発明が解決しようとする課題は、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材を提供することである。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂と、特定の光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
[0009] すなわち、本発明は、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物であって、前記光重合開始剤(B)が、下記一般式(1)で表されるマイケル付加供与体として機能するα-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)と、マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物(b2)とのマイケル付加反応物であることを特徴とする感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関するものである。
[0010][化1]
[図:0001427623000001.jpg]
(一般式(1)中、
R1は脂肪族基またはアリール基を表し、
R2及びR3はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表し、
またR2とR3とはそれぞれ一体となって環を形成してもよく、
R4~R7はそれぞれ独立して水素原子、脂肪族基またはアリール基を表し、
X1は単結合または炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、
X2はカルボニル基またはチオカルボニル基を表し、
Y1は下記一般式(2)、下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される基を表し、
Y2は下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される基を表す。但し、Y1及びY2が共に下記一般式(2)で表される構造を有する場合は、その少なくとも一方のX5は-NH-である。
nは、0または1である。)
[0011][化2]
[図:0001427623000002.jpg]
(一般式(2)中、X3及びX4はそれぞれ独立して、炭素原子数2~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基またはオキシアルキレン基を、X5は単結合、-O-または-NH-を表す。)
[0012][化3]
[図:0001427623000003.jpg]
(一般式(3)中、X6は置換基を有するか若しくは無置換の炭素原子数2~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基またはオキシアルキレン基を表し、R8及びR9はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表す。)
[0013][化4]
[図:0001427623000004.jpg]
(一般式(4)中、R10及びR11はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表す。)
発明の効果
[0014] 本発明の感光性樹脂組成物は、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有しており、また、アウトガスが生じにくいことから、絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料、及び前記ソルダーレジスト用樹脂からなるレジスト部材に好適に用いることができる。」
イ 「発明を実施するための形態
[0015] 本発明の感光性樹脂組成物は、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される光重合性開始剤(B)とを含有することを特徴とする。
[0016][化5]
[図:0001427623000005.jpg]
(一般式(1)中、
R1は脂肪族基またはアリール基を表し、
R2及びR3はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表し、
またR2とR3とはそれぞれ一体となって環を形成してもよく、
R4~R7はそれぞれ独立して水素原子、脂肪族基またはアリール基を表し、
X1は単結合または炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、
X2はカルボニル基またはチオカルボニル基を表し、
Y1は下記一般式(2)、下記一般式(3)または下記一般式(4)で表される基を表し、
Y2は下記一般式(2)または下記一般式(3)で表される基を表す。但し、Y1及びY2が共に下記一般式(2)で表される構造を有する場合は、その少なくとも一方のX5は-NH-である。
nは、0または1である。)
・・・略・・・
[0021] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)について説明する。
[0022] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)としては、酸基及び(メタ)アクリロイル基を有していればよく、その他の具体構造や分子量等は特に問われず、多種多様な樹脂を用いることができる。
[0023] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)が含有する酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。これらの中でも優れたアルカリ現像性を発現することから、カルボキシル基が好ましい。
・・・略・・・
[0025] 〔1〕酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)について説明する。
[0026] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)は、エポキシ樹脂(a1-1)と、不飽和モノカルボン酸(a1-2)と、ポリカルボン酸無水物(a1-3)とを必須の反応原料として得られるものである。
・・・略・・・
[0028] 前記エポキシ樹脂(a1-1)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、・・・略・・・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂・・・略・・・等が挙げられる。
[0029] 前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)とは、一分子中に(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基とを有する化合物をいい、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。また、前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)のエステル化物、酸ハロゲン化物、酸無水物等も用いることができる。これらの不飽和モノカルボン酸(a1-2)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
・・・略・・・
[0033] 前記ポリカルボン酸無水物(a1-3)は、一分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物の酸無水物であれば、いずれのものも用いることができる。前記ポリカルボン酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、・・・略・・・フタル酸、・・・略・・・テトラヒドロフタル酸、・・・略・・・等のジカルボン酸化合物の酸無水物などが挙げられる。
・・・略・・・
[0069] 次に、〔3〕酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)について説明する。
[0070] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)は、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(a3-1)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)と、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)と、ポリカルボン酸無水物(a3-4)とを必須の反応原料として得られるものである。
[0071] 前記アミドイミド樹脂(a3-1)としては、酸基または酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)や前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有するものであることがより好ましい。
・・・略・・・
[0072] 前記アミドイミド樹脂(a3-1)の具体構造や製造方法は特に限定されず、一般的なアミドイミド樹脂等を広く用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物と、ポリカルボン酸またはその酸無水物とを反応原料として得られるものが挙げられる。
・・・略・・・
[0075] また、前記ポリイソシアネート化合物としては、高い溶剤溶解性を有する酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、・・・略・・・脂環式ジイソシアネートまたはそのイソシアヌレート変性体・・・略・・・がより好ましい。
・・・略・・・
[0079] 前記ポリカルボン酸またはその酸無水物としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物等が挙げられる。
・・・略・・・
[0081] 前記脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、・・・略・・・、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
[0082] 前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、本発明では、カルボキシル基または酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、・・・略・・・、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
[0083] 前記芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸・・・略・・・等が挙げられる。
[0084] これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、或いは前記芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物が好ましい。また、前記アミドイミド樹脂(a3-1)を効率的に製造できることから、分子構造中にカルボキシル基と酸無水物基との両方を有するトリカルボン酸無水物を用いることが好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸無水物またはトリメリット酸無水物を用いることが特に好ましい。
・・・略・・・
[0089] 前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)としては、分子構造中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物であれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物;前記各種のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体・・・略・・・等が挙げられる。
・・・略・・・
[0090] 前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)は、分子構造中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有するものであれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー・・・略・・・などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
・・・略・・・
[0101] 前記光重合開始剤(B)について説明する。
[0102] 前記光重合開始剤(B)としては、下記一般式(1)で表されるマイケル付加供与体として機能するα-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)と、マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物(b2)とのマイケル付加反応物を用いる。
[0103][α-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)]
記α-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)は、ピペラジニル基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ベンジルアミノ基等の二級アミノ基に代表されるマイケル付加供与機能を有する官能基を分子構造中に持つものであり、具体的には、下記一般式(1)で表される。
[0104][化15]
[図:0001427623000006.jpg]
[0105](一般式(1)中、
R1は脂肪族基またはアリール基を表し、
R2~R3はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表し、
またR2とR3とはそれぞれ一体となって環を形成してもよく、
R4~R7はそれぞれ独立して水素原子または脂肪族基またはアリール基を表し、
X1は単結合または炭素原子数1~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基を表し、
X2はカルボニル基、チオカルボニル基を表し、
Y1は下記一般式(2)、一般式(3)または一般式(4)で表される基を表し、
Y2は下記一般式(2)または一般式(3)で表される基を表す。但し、Y1及びY2が共に一般式(2)で表される構造を有する場合は、その少なくとも一方のX5は-NH-である。
nは、0または1である。)
[0106][化16]
[図:0001427623000007.jpg]
(一般式(2)中、X3及びX4はそれぞれ独立して、炭素原子数2~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基またはオキシアルキレン基を、X5は、単結合、-O-または-NH-を表す。)
[0107]
[化17]
[図:0001427623000008.jpg]
(一般式(3)中、X6は置換基を有するか若しくは無置換の炭素原子数2~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基またはオキシアルキレン基を表し、R8及びR9はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表す。)
[0108][化18]
[図:0001427623000009.jpg]
(一般式(4)中、R10及びR11はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表す。)
[0109] ここで、一般式(1)中のR1~R7を構成する脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
[0110] 前記アルキル基としては、例えば、炭素原子数が1から18までの直鎖状、分岐状、及び環状のいずれかのアルキル基が挙げられる。
・・・略・・・
[0132] 以上詳述した一般式(2)で表される構造部位は、具体的には、以下のような構造が挙げられる。
[0133][化20]
[図:0001427623000010.jpg]
[0134] 次に、Y1及びY2を構成する一般式(3)は下記構造式で表されるものである。
[0135][化21]
[図:0001427623000011.jpg]
[0136] ここで一般式(3)中、X6は置換基を有するか若しくは無置換の炭素原子数2~6の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基またはオキシアルキレン基を表し、R8及びR9はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表す。ここで、X6における置換基とは、具体的には、鎖状若しくは分岐状のメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、オキシメチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等が挙げられる。
[0137] R8及びR9はそれぞれ独立して脂肪族基またはアリール基を表す。ここで脂肪族基、及びアリール基としては、前記したR1~R7を構成するものを挙げることができる。
[0138] 次に、Y1を構成する一般式(4)は下記構造式で表されるものである。
[0139][化22]
[図:0001427623000012.jpg]
[0140] 上記一般式(4)中のR10及びR11は、それぞれ独立して脂肪族基またはアリール基である。斯かる脂肪族基またはアリール基としては、前記したR1~R7を構成する脂肪族基またはアリール基として例示したものが挙げられる。
[0141] ここで、本発明では、一般式(1)中のY1及びY2が共に一般式(2)で表される構造を有する場合は、その少なくとも一方のX5は-NH-である。これにより、α-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)においてマイケル付加供与機能を発現させることができる。
[0142] 次に、一般式(1)中の、nは、0または1である。
・・・略・・・
[0144] 一般式(1)で表される化合物は、具体的には、構造式(5)~構造式(28)で表される化合物が挙げられる。なかでも硬化性の高さから、1個のピペラジニル基等の環状二級アミノ基を有するアミノアセトフェノン系の化合物である、構造式(5)、構造式(6)、構造式(16)・・・略・・・が好ましく、特に構造式(5)、構造式(6)、構造式(16)・・・略・・・が好ましい。
[0145] 前記環状二級アミノ基を前記一般式(1)中のY1にのみ有する化合物は、硬化性が非常に高く好ましい。このような化合物としては、構造式(5)・・・略・・・の化合物である。
[0146] また、前記環状二級アミノ基を前記一般式(1)中のY2にのみ有する化合物は、硬化性が非常に高く、また活性エネルギー線の吸収により発生する開裂生成物の高分子マトリクスへの取り込みも促進されると考えられ、特に好ましい。このような化合物としては構造式(16)・・・略・・・の化合物である。
[0147]
[化23]
[図:0001427623000013.jpg]
(5)
・・・略・・・
[0149][化25]
[図:0001427623000014.jpg]
(7)
・・・略・・・
[0158][化34]
[図:0001427623000015.jpg]
(16)
・・・略・・・
[0171] これらのα-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)は、一般式(1)中のY1-及びY2-の導入手段の違いによって下記の方法1~3の何れかの合成方法により製造することができる。
[0172](方法1)
方法1は、芳香核上にハロゲン原子を持つアルキルアセトフェノンを、2級アミノ基含有化合物(Y1-H)と反応させ、次いでカルボニル基のα位に臭素原子を導入し、次いで、2級モノアミン化合物(HN(R2)(R3))を反応させ、次いで、置換基(-X1-X2-OR)nを芳香核上の置換基として有するベンジルブロミドを反応させる。ここで、Rはアルキル基であり、nは0または1である。次いで、これをアルカリで処理して末端に水酸基(またはチオール基)を持つ中間体である化合物(P)を製造する。更に、これに2級アミノ基含有化合物(Y2-H)を反応させ、目的とするα-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)を製造することができる。この際、中間体である化合物(P)と2級アミノ基含有化合物(Y2-H)との反応において、2級アミノ基含有化合物(Y2-H)が活性水素を持つジアミン化合物である場合には、該化合物の一方のアミノ基を、オキシカルボニル基等で保護した化合物を用い、次いで、酸で処理して保護基を除去する方法を用いてもよい。
[0173][マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物(b2)]
前記マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物(b2)としては、光照射により硬化に寄与する反応性基(以下、「光硬化性基」と略記する。)を有する化合物をいい、前記光硬化性基を複数有する多官能性の反応性化合物が、光硬化機能が特に良好となることから、好ましい。
[0174] 前記光硬化性基を複数有する多官能性の反応性化合物としては、例えば、マレイミド化合物、マレイン酸エステル化合物、フマル酸エステル化合物、(メタ)アクリレート化合物などのα,β-不飽和カルボニル化合物が挙げられる。これらのなかでも、特に合成時のマイケル付加反応の制御が容易であり、かつ光硬化時の反応性が高く、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が得られることから(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
[0175] 前記(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、・・・略・・・、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びそのエチレンオキシドや・・・略・・・ジペンタエリスリトールテトラまたはペンタまたはヘキサ(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性物等の多官能(メタ)アクリレート類、・・・略・・・等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。またこれらの反応性化合物は、単独で使用してもよく、複数を混合して使用してもよい。
[0176] 中でも、硬化後高分子量体となって硬化膜により強固に固定化できることから、前記反応性化合物としては、3官能以上の(メタ)アクリレート化合物が最も好ましい。マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物として、(メタ)アクリロイル基を3つ以上有する3官能以上の(メタ)アクリレートを選択した場合は、本発明のマイケル付加反応物が有する光硬化性基が2個以上とするため好ましい。
[0177](マイケル付加反応)
本発明において、前記α-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)と、前記マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物(b2)とのマイケル付加反応は、特に限定されることなく、公知慣用の反応条件で行うことができる。一般的な方法としては、前記α-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)と前記マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物(b2)とを、反応容器中、0~150℃で混合する方法が挙げられる。この際、触媒や有機溶媒を使用することもできる。
・・・略・・・
[0180] 前記α-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)と、前記マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物(b2)の混合比は、特に限定されることはないが、マイケル付加供与機能を有する基(i)と、マイケル受容機能を有する基(ii)との当量比[(ii)/(i)]が、1/1~1/30であることが好ましく、1/2~1/30であることがより好ましい。
[0181] 前記α-アミノアセトフェノン骨格含有化合物(b1)と、前記マイケル受容体としての機能を有する反応性化合物(b2)とをマイケル付加反応させてえられたマイケル付加反応物としては、例えば、以下の式(M1)~(M18)を挙げることができる。
・・・略・・・
[0184][化49]
[図:0001427623000016.jpg]
(M3)
・・・略・・・
[0192][化57]
[図:0001427623000017.jpg]
(M11)
・・・略・・・
[0198][化63]
[図:0001427623000018.jpg]
(M17)
[0199][化64]
[図:0001427623000019.jpg]
(M18)
[0200] 前記光重合開始剤(B)の使用量は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)100質量部に対して、1~20質量部の範囲が好ましい。
・・・略・・・
[0205] 本発明の感光性樹脂組成物は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸無水物、必要に応じて不飽和モノカルボン酸無水物等を反応させて得られる、樹脂中にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
[0206] 前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、・・・略・・・ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;・・・略・・・などが挙げられる。
[0207] 本発明の感光性樹脂組成物は、塗工粘度調節等の目的で有機溶剤を含有してもよく、その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜選択及び調整される。
・・・略・・・
[0209] また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
[0210] 本発明の硬化物は、前記感光性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。
・・・略・・・
[0212] また、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物は、優れた耐熱性を有しており、アウトガスが生じにくいことから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。
・・・略・・・
[0213] 本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記感光性樹脂組成物に、必要に応じて、例えば、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤等を用いることができる。
[0214] 前記硬化剤としては、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)中のカルボキシル基と反応し得る官能基を有するものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂・・・略・・・等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、硬化物における耐熱性に優れることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂・・・略・・・等のノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、軟化点が50~120℃の範囲であるものが特に好ましい。
・・・略・・・
[0217] 本発明のレジスト部材は、例えば、前記ソルダーレジスト用樹脂材料を基材上に塗布し、60~100℃程度の温度範囲で有機溶媒を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140~180℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。」
ウ 「実施例
[0218] 以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
[0219](合成例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量;214g/eq)428質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン4質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応を行なった。その後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート311質量部、テトラヒドロ無水フタル酸160質量部を加え110℃で2.5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)を得た。
・・・略・・・
[0220](合成例2:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート379質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)185質量部、無水トリメリット酸146質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.6質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、160℃で5時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。次いで、メトキノン0.3質量部、ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物(東亜合成株式会社製「アロニックスM-306」、ペンタエリスリトールトリアクリレート含有量約67%、水酸基価159.7mgKOH/g)112質量部及びトリフェニルホスフィン3.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させた。次いで、グリシジルメタクリレート125質量部を添加し、110℃で5時間反応させた。更に、無水コハク酸87質量部を加えて110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)を得た。
・・・略・・・
[0221](合成例3:光重合開始剤(M17)の合成)
[0222][化65]
[図:0001427623000020.jpg]
[0223] 撹拌機、温度計、窒素導入管、アルカリトラップ及び滴下ロートを備えた1L四つ口フラスコに塩化アルミニウム(無水)121.8gと脱水ジクロロメタン300mLを仕込み、窒素気流下、氷浴を用いて氷冷した。これに2-ブロモブチリルブロミド200gを添加した。フルオロベンゼン83.6gと脱水ジクロロメタン100mLの混合溶液を、滴下ロートを用いて先のフラスコ中へ20分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、そのまま、2時間攪拌を続けた。攪拌終了後、反応液を氷水1L中へ投入し、2時間攪拌を続けた。靜置後分液し、下層を回収した。2N塩酸で2回洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄し、飽和食塩水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた後、ジクロロメタンを減圧留去し、中間体(101)を得た。
・・・略・・・
[0225][化66]
[図:0001427623000021.jpg]
[0226] 攪拌機、温度計を備えた2L四つ口フラスコに11%ジメチルアミン/エタノール溶液789.9gを仕込み、氷浴を用いて氷冷した。そこに中間体(101)157.7gを滴下ロートを用いて30分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、そのまま、一昼夜攪拌を続けた。攪拌終了後、エタノールを留去し、トルエンを投入した。水洗後、上層に2N塩酸を用いてpH1にした後、分液し、下層を回収した。回収した下層に10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、pH12にした後、トルエンを投入し、上層を回収した。さらに飽和食塩水で2回洗浄した後、上層を回収し、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。トルエンを減圧留去し、中間体(102)を得た。
・・・略・・・
[0228][化67]
[図:0001427623000022.jpg]
[0229] 攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mL四つ口フラスコに中間体(102)79.5gと臭化ベンジル(103)71.4gとイソプロパノール(以下「IPA」と略記する。)120mLを仕込み、50℃で2時間攪拌した。その後、8M水酸化ナトリウム水溶液の104mLを添加し、50℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、塩酸水溶液を用いてpH6に調製した後、IPAを留去し、析出した結晶をろ別して中間体(104)を得た。
・・・略・・・
[0231][化68]
[図:0001427623000023.jpg]
[0232] 攪拌機、温度計、冷却管を備えた1L四つ口フラスコに、中間体(104)34.3gとジメチルスルホキシド(DMSO)105mLと無水ピペラジンの29.6gと炭酸カリウム7.9gを加え、窒素気流下、120℃で24時間加熱した。水を加えて反応を停止させた後、トルエンで抽出した。水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。トルエンを減圧留去し、メタノールから再結晶し、マイケル付加供与能を有する中間体(5)を得た。
・・・略・・・
[0234] 撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコにエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)45g及びマイケル付加供与能を有する中間体(5)12gを加え、80℃で6時間撹拌して、下記構造式で表されるマイケル付加反応物(M17)57gを得た。反応仕込み時のマイケル供与機能を有する基とマイケル受容機能を有する基の比率は1:5.5であった。
[0235][化69]
[図:0001427623000024.jpg]
[0236](合成例4:光重合開始剤(M11)の合成)
[0237][化70]
[図:0001427623000025.jpg]
[0238] 撹拌機、温度計、窒素導入管、冷却管、アルカリトラップを備えた5Lフラスコに、4-フルオロブチロフェノン(105)500g、ジメチルスルホキシド(DMSO)250mL及びモルホリン1000mLを仕込み、窒素下で95℃にて2日間攪拌しながら反応させた。反応の追跡は、ガスクロマトグラフィー分析にて転化率を確認した。放冷後、トルエン 1.4Lと水 2.1Lを加えて静置後分液し、続いて有機層を3回水洗した後、トルエンを減圧留去した。得られた残渣にイソプロパノール700mLを攪拌しながら添加し、氷冷下で析出した結晶を濾収した後、減圧乾燥し、中間体(106)を得た。
・・・略・・・
[0240][化71]
[図:0001427623000026.jpg]
[0241] 撹拌機、温度計、窒素導入管、冷却管、滴下ロート、アルカリトラップを備えた3Lフラスコに、中間体(106)348g、塩化メチレン348mLを仕込み、窒素下で氷冷し、25%臭化水素-酢酸溶液 724gを1時間かけ滴下した。滴下完了後、20℃以下を維持するように臭素 238gを1時間かけ滴下し、同温度で1時間攪拌して反応を完結させた。2Lの水を加え、水酸化ナトリウムにて中和後、析出した生成物の結晶に塩化メチレン1.5Lを追加して溶解させた。有機層を5%炭酸水素ナトリウムで1回、水で1回、飽和塩化ナトリウム水で1回洗浄した後、塩化メチレンを減圧留去した。ヘキサン1.5Lを加えて氷冷し、析出した結晶を濾収、乾燥することによって中間体(107)を得た。
・・・略・・・
[0243]
[化72]
[図:0001427623000027.jpg]
[0244] 撹拌機、温度計、冷却管、滴下ロートを備えた3Lフラスコに中間体(107)290g、2-ブタノン870mLを仕込み、氷冷しながら50%ジメチルアミン水溶液251gを5~10℃で滴下し、同温度で5時間攪拌して反応を完結させた。有機層を水500mLで4回洗浄した後、2-ブタノンを減圧留去して中間体(108)を含む粗生成物を得た。得られた粗生成物はいっさいの精製無しで次工程へ使用した。粗生成物の一部をサンプリングし、ヘキサンにより再結晶することにより薄黄色結晶の中間体(108)が得られた。
[0245][化73]
[図:0001427623000028.jpg]
[0246] 攪拌機、温度計、冷却管を備えた3Lフラスコに上記に記載で得られた中間体(108)と4-(ブロモメチル)安息香酸メチル(109)256gとIPA510mLを仕込み、50℃で3時間攪拌した。その後、8M水酸化ナトリウム水溶液の232mLを添加し、50℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、塩酸水溶液を用いてpH5.7に調製した後、IPAを留去した。濃縮残渣を酢酸エチルで抽出し、水で2回、飽和食塩水で1回洗浄した。酢酸エチルを減圧留去後、ヘキサンの添加によって析出した結晶をろ別し、減圧乾燥を行い、中間体(110)を得た。
・・・略・・・
[0248][化74]
[図:0001427623000029.jpg]
[0249] 攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた300mLフラスコに、中間体(110)28.9gとN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)1mLと塩化メチレン100mLを加えて溶解し、これに塩化チオニル16.8gを滴下して2時間反応させた。反応溶液を減圧濃縮し、濃縮残渣を50mLのジクロロメタンに溶解して酸クロリドのジクロロメタン溶液を調製した。攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた別の500mLフラスコにピペラジン30.3gと塩化メチレン200mLを加えて溶解し、これに前述の酸クロリドのジクロロメタン溶液を30分かけて滴下した。30分間攪拌して反応を完結させ、1M-水酸化ナトリウム水溶液を添加して反応を停止させた。反応液を分液ロートに移し、有機層を2回水洗した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、マイケル付加供与能を有する中間体(16)を得た。
・・・略・・・
[0251] 撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコにエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)12.5g及びマイケル付加供与能を有する中間体(16)12gを加え、80℃で6時間撹拌して、下記構造式で表されるマイケル付加反応物(M11)24.5gを得た。反応仕込み時のマイケル供与機能を有する基とマイケル受容機能を有する基の比率は1:3.5であった。
[0252]
[化75]
[図:0001427623000030.jpg]
[0253](合成例5:光重合開始剤(M3)の合成)
[0254][化76]
[図:0001427623000031.jpg]
[0255] 攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mL四つ口フラスコに、合成例3で調製した中間体(102)79.5gと4-(ブロモメチル)安息香酸メチル(109)87.0gとIPA120mLを仕込み、50℃で一昼夜、攪拌した。その後、8M水酸化ナトリウム水溶液105mLを添加し、50℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、6N塩酸を用いてpH5.6に調製した後、IPAを留去し、残渣を酢酸エチルとヘキサンで晶析し、中間体(112)を得た。
・・・略・・・
[0257]
[化77]
[図:0001427623000032.jpg]
[0258] 攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた500mL四つ口フラスコに2-クロロ-4.6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン19.3gと脱水ジクロロメタン100mLを仕込み、氷浴を用いて氷冷した。そこにN-メチルモルホリン33.3gを、滴下ロートを用いて10分かけて滴下した。滴下終了後、中間体(112)38.0gを添加し、氷冷下で2時間攪拌した。そこにピペラジン34.4gを溶解した脱水ジクロロメタン200mLを、滴下ロートを用いて20分かけて滴下した。氷浴を外し、室温下、2時間攪拌を続けた。攪拌終了後、蒸留水中へ投入し、ジクロロメタン層を回収した。さらに蒸留水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた、ジクロロメタンを減圧留去し、中間体(113)を得た。引き続き、ジメチルスルホキシド(DMSO)100mLとピペラジン34.4gを加え、窒素気流下、120℃で15時間加熱した。終了後、蒸留水を添加し、析出した結晶をろ別し、蒸留水とエタノールで交互に2回ずつ洗浄し、乾燥してマイケル付加供与能を有する中間体(7)を得た。
・・・略・・・
[0260] 撹拌機、コンデンサ及び熱電対を備えた100mLの三口フラスコにエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)の28.6g及びマイケル付加供与能を有する中間体(7)12gを加え、80℃で6時間撹拌して、下記構造式で表されるマイケル付加反応物(M3)40.6gを得た。反応仕込み時のマイケル供与機能を有する基とマイケル受容機能を有する基の比率は1:4.0であった。
[0261][化78]
[図:0001427623000033.jpg]
[0262](合成例6:光重合開始剤(M18)の合成)
光重合開始剤(M18)は、特表2008-519760号公報の実施例3に記載の化合物5の合成例に従って合成し、下記構造式で表されるマイケル付加反応物(M18)を得た。
[0263][化79]
[図:0001427623000034.jpg]
[0264](実施例1:感光性樹脂組成物(1)の調製)
合成例1で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)24.6質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.3質量部、合成例3で得た光重合開始剤(M17)8質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.3質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5質量部、フタロシアニングリーン0.7質量部を配合し、ロールミルにより混錬して感光性樹脂組成物(1)を得た。
[0265](実施例2~5:感光性樹脂組成物(2)~(5)の調製)
実施例1で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)及び光重合開始剤(M17)を、表1に示した組成に代えた以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(2)~(5)を得た。
・・・略・・・
[0267] 上記の実施例1~5で得られた感光性樹脂組成物(1)~(5)・・・略・・・を用いて、下記の評価を行った。
[0268][光感度の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜上にコダック社製「ステップタブレットNo.2」を乗せ、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した。これを1%の炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、ステップタブレット法に基づきステップタブレットの残存段数にて評価した。なお、残存段数が多いほど光感度が高いことを示す。
[0269][アルカリ現像性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布した後、80℃でそれぞれ30分間、40分間、50分間、60分間、70分間、80分間、90分間、100分間乾燥させ、乾燥時間が異なるサンプルを作成した。これらを1%炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、基板上に残渣が残らなかったサンプルの80℃での乾燥時間を乾燥管理幅として下記の評価基準で評価した。なお、乾燥管理幅が長いほどアルカリ現像性が優れていることを示す。
[0270] ○:乾燥管理幅が、60分以上であった。
×:乾燥管理幅が、60分未満であった。
[0271] 実施例1~5で調製した感光性樹脂組成物(1)~(5)・・・略・・・の組成及び評価結果を表1に示す。
[0272][表1]
[図:0001427623000035.jpg]
[0273](実施例6:感光性樹脂組成物(6)の調製)
合成例1で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)24.6質量部、合成例3で得た光重合開始剤(M17)8質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.3質量部を配合して感光性樹脂組成物(6)を得た。
[0274](実施例7~10:感光性樹脂組成物(7)~(10)の調製)
実施例6で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)及び光重合開始剤(M17)を、表2に示した組成に代えた以外は、実施例6と同様にして感光性樹脂組成物(7)~(10)を得た。
・・・略・・・
[0276] 上記の実施例6~10で得られた感光性樹脂組成物(6)~(10)・・・略・・・を用いて、下記の評価を行った。
[0277][耐熱性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した後、200℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物から6mm×35mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる温度をガラス転移温度として評価した。なお、ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れていることを示す。
[0278][アウトガスの測定方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した後、200℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物より粉末サンプルを採取し、ゲステル社製加熱脱着装置(TDU)に入れた。その後(1)150℃の熱抽出温度で10分間アウトガス成分を、(2)260℃の熱抽出温度で10分間アウトガス成分を、それぞれ液体窒素を用いて-60℃で捕集した。捕集したアウトガス成分は、アジレントテクノロジー社製ガスクロマトグラフィー質量分析装置(6890N/5973N)で分離分析を行い、n-ドデカン換算で定量し、以下の評価基準で評価した。
[0279] ◎:アウトガス成分はほとんど確認されなかった。
○:アウトガス成分が少し確認された。
△:アウトガス成分が確認された。
×:多量のアウトガス成分が確認された。
[0280] 実施例6~10で調製した感光性樹脂組成物(6)~(10)・・・略・・・の組成及び評価結果を表2に示す。
[0281]
[表2]
[図:0001427623000036.jpg]
[0282] なお、表1及び2中の「硬化剤」は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214g/当量)を示す。
[0283] 表1及び2中の「有機溶剤」は、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示す。」
(2) 先願2明細書等に記載された発明
上記(1)の先願2明細書等の[0219]の「合成例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の合成」の記載、[0221]~[0235]の「合成例3:光重合開始剤(M17)の合成」の記載、[0264]の「実施例1:感光性樹脂組成物(1)の調製」の記載及び[0272][表1](実施例1~5で調製した感光性樹脂組成物(1)~(5)の組成及び評価結果)等の記載からみて、先願2明細書等には、実施例1([0264])で調製された「感光性樹脂組成物(1)」の発明として、次の発明(以下「先願2発明」という。)が記載されていると認められる。
(当合議体注:参考のため、先願2発明の認定の根拠となった記載箇所の段落番号を括弧()内に記載している。以下同様である。)
「 フラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量;214g/eq)428質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン4質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応を行ない、その後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート311質量部、テトラヒドロ無水フタル酸160質量部を加え110℃で2.5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)を得て、([0219])
マイケル付加供与能を有する下記構造式で表される中間体(5)を得て、
[図:0001427623000037.jpg]
([0231][化68],[0232])
三口フラスコにエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)45g及びマイケル付加供与能を有する下記構造式で表される中間体(5)12gを加え、80℃で6時間撹拌して、光重合開始剤(M17)として、下記構造式で表されるマイケル付加反応物(M17)を得て、反応仕込み時のマイケル供与機能を有する基とマイケル受容機能を有する基の比率は1:5.5であり、
[図:0001427623000038.jpg]
([0234],[0235][化69])
上記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)24.6質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.3質量部、上記光重合開始剤(M17)8質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.3質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5質量部、フタロシアニングリーン0.7質量部を配合し、ロールミルにより混錬して、([0264])
調製された感光性樹脂組成物(1)。」
(3) 本願発明について
ア 対比
本願発明と、先願2発明を対比する。
(ア) (A)カルボキシル基含有樹脂
先願2発明の「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」は、その合成工程からみて(特に、「テトラヒドロ無水フタル酸」等)、カルボキシル基を酸基として含有する樹脂といえる。
そうすると、先願2発明の「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」は、本願発明の「(A)カルボキシル基含有樹脂」に相当する。
(イ) (B)光重合性モノマー
「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート」は、以下の構造式を持つ。
[図:0001427623000039.jpg]
そうすると、先願2発明の「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート」は、アクリロイル基を6個持つ、6官能光重合性モノマーといえる。
してみると、先願2発明の「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート」は、本願発明の「(B)光重合性モノマー」に相当する。
また、先願2発明は、本願発明の、「前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリロイル基からなる光重合性基を有し」との構成を具備する。
(ウ) (C)光重合開始剤
a 先願2発明の「光重合開始剤(M17)」(「マイケル付加反応物(M17)」)は、本願発明の「(C)光重合開始剤」に相当する。
また、先願2発明の「光重合開始剤(M17)」は、「マイケル付加供与能を有する」「中間体(5)」と、「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)」との「マイケル付加反応物」である。
ここで、「中間体(5)」の構造式は、以下のものである。
[図:0001427623000040.jpg]
b α-アミノアセトフェノンの構造式は、以下のものである。
[図:0001427623000041.jpg]
上記aの「中間体(5)」の構造式からみて、先願2発明の「中間体(5)」は、α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物といえる。
そうすると、先願2発明の「中間体(5)」は、本願発明の「α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物」に相当する。
c 東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」の構造式は、以下のものである(例えば、「https://www.toagosei.co.jp/products/polymer/resin/item/aronix34.pdf」参照。)。
[図:0001427623000042.jpg]
そうすると、先願2発明の「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)」は、アクリロイル基含有化合物といえるから、本願発明の「(メタ)アクリロイル基含有化合物」に相当する。
d 上記a~cより、先願2発明は、本願発明の、「前記(C)光重合開始剤が、α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物と(メタ)アクリロイル基含有化合物とのマイケル付加反応物である」との構成を具備する。
(エ) (D)熱硬化性成分
a (オルソ)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、あるいは、DIC株式会社製「EPICLON N-680」が、熱硬化性エポキシ樹脂であることは技術常識である。
例えば、国際公開第2009/147938号の[0084]の「(B)熱硬化性樹脂としては、この中でも、エポキシ樹脂を用いることがより好ましい。」、[0085]の「上記エポキシ樹脂とは、分子内に少なくとも2個のエポキシ基を含む化合物であり、例えば、・・略・・・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、・・・略・・・大日本インキ株式会社製の商品名エピクロンN-660、エピクロンN-670、エピクロンN-680、エピクロンN-695、・・・略・・・等が挙げられる。」との記載、特開2017-28082号公報の【0080】の「熱硬化性樹脂1:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON N-660、DIC(株)製)」、「熱硬化性樹脂2:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON N-670-EXP-S、DIC(株)製)」との記載、特開2011-121823号公報の【0069】の「熱硬化性樹脂バインダーであるエポキシ樹脂(多官能フェノール型エポキシ樹脂、DIC(株)製、EPICLON N-680)」との記載を参照。
b そうすると、先願2発明の「オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)」は、本願発明の「(D)熱硬化性成分」に相当する。
(オ) 感光性樹脂組成物
上記(ア)~(エ)より、先願2発明の「感光性樹脂組成物(1)」は、本願発明の「感光性樹脂組成物」に相当する。
また、本願発明の「感光性樹脂組成物」と、先願2発明の「感光性樹脂組成物(1)」は、
「(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)熱硬化性成分と、を含んでなる感光性樹脂組成物」である点で共通する。
イ 一致点及び相違点
上記アより、本願発明と、先願2発明は、
「(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)熱硬化性成分と、を含んでなる感光性樹脂組成物であって、
前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリロイル基からなる光重合性基を有し、
前記(C)光重合開始剤が、α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物と(メタ)アクリロイル基含有化合物とのマイケル付加反応物である、感光性樹脂組成物。」の構成で一致し、以下の点で一応相違する。
(一応の相違点2-1)
本願発明は、「硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイトおよびタルクからなる群より選択される少なくとも1種のフィラー」「を含んでなる」のに対して、先願2発明は、「フィラー」を含んでいない点。
ウ 判断
一応の相違点2-1について検討する。
(ア) 先願2明細書等でいう本発明(「感光性樹脂組成物」)は、
「高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物」、「ソルダーレジスト用樹脂材料」を提供すること([0007])を課題とするところ、
先願2発明の「感光性樹脂組成物(1)」は、
光重合開始剤を、
「マイケル受容体としての機能を有する」([0173])、「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)」と
「マイケル付加供与能を有する」「中間体(5)」との
「マイケル付加反応物(M17)」とし、
「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)」が、「光硬化性基を複数有する多官能性の反応性化合物」([0174])であるものとして、「光硬化時の反応性が高く、アウトガスが生じにくい」ものとすることにより、上記の課題を解決したものである([0173]~[0176](特に[0174])、[0212]、[0014]等を参照。)。
(当合議体注:中間体(5)及び光重合開始剤(マイケル付加反応物(M17))の構造式の再掲は省略。)
(イ) ここで、先願2明細書等の[0209]には、「本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。」、[0213]には、「本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記感光性樹脂組成物に、必要に応じて、例えば、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤等を用いることができる。」との記載があるところ、
感光性樹脂組成物や感光性樹脂組成物からなるソルダーレジスト用樹脂材料の技術分野において、必要に応じて、感光性樹脂組成物に、フィラーとして、例えば、硫酸バリウム、球状シリカ、タルク及びハイドロタルサイト等を含有させることによって、その硬化物の機械・物理的特性、密着性、耐熱性(例えば、硬度あるいは機械的強度や、線膨張係数、硬化収縮あるいは反りの抑制)等を向上させることは、先の出願時の周知技術である。
例えば、
(A) 原査定の拒絶の理由において、周知技術を示すために引用文献4として引用された特開2018-173609号公報の【0004】の「プリント配線板に形成するソルダーレジスト等の硬化膜においては、回路パターンの微細化や低誘電損失化への対応だけでなく、プリント配線板の薄型化への対応のため反りの抑制が求められており、無機フィラーを高充填化する手法が知られている。」、【0019】の「無機フィラーがもたらす利点、例えば、低反り性や低CTE(合議体注:「CTE」は「熱膨張係数」の略である。)等の硬化物の物性の確保などの利点を享受することができる。」、【0047】の「本発明の硬化性樹脂組成物は、(C)無機フィラーとして、平均粒径300nm以下の無機フィラーを含有する。」、【0048】の「(C)無機フィラーは、特に限定されず、公知慣用の無機フィラー、例えばシリカ、結晶性シリカ、ノイブルグ珪土、水酸化アルミニウム、ガラス粉末、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、天然マイカ、合成マイカ、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、非繊維状ガラス、ハイドロタルサイト、ミネラルウール、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、亜鉛華等の無機フィラーを用いることができる。中でも、比重が小さく硬化物中に高充填でき高強度化が容易であるためシリカが好ましい。」との記載、
(B) 原査定の拒絶の理由において、周知技術を示すために引用文献5として引用された特開2014-52658号公報の【0003】の「従来から、プレッシャークッカーテスト(以下、PCTと略記する)や冷熱サイクル時に生じるソルダーレジストのクラックの発生や剥がれを抑制するために、ソルダーレジストと、ソルダーレジストの下地となる基板との線熱膨張係数をできるだけ合致させるように、ソルダーレジストを形成する感光性樹脂組成物に無機フィラーを含有させることが広く行われている。」、【0023】の「前記無機フィラーとしては、例えばシリカ、ナノシリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベーマイト、雲母粉、ハイドロタルサイト、シリチン、シリコロイドなどの公知慣用の無機充填剤が使用できる。これらのフィラーは、単独で又は2種類以上を併用することができる。」との記載、
(C) 本件明細書における先行技術文献(特許文献2)である特開2015-28588号の【0001】の「本発明は光硬化性樹脂組成物、その硬化物、および、それを備えるプリント配線板に関する。」、【0053】の「本発明の光硬化性樹脂組成物は、フィラー(無機充填剤)を含有していてもよい。フィラーは、光硬化性樹脂組成物の硬化物の硬化収縮を抑制し、密着性、硬度等の特性を向上させるために使用される。フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、無定形シリカ、溶融シリカ、球状シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ノイブルグシリシャスアース等が挙げられる。」の記載、
(D) 特開2010-248297号公報の【0002】の「カルボキシル基含有樹脂と混合してアルカリ現像性を付与したフォトレジストとして、プリント基板用途では回路形成用レジストや、めっきレジスト、ソルダーレジストなどとして利用されている。」、【0054】の「本発明の光硬化性樹脂組成物は、その塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、公知慣用の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカ及びタルクが好ましく用いられる。」との記載、
(E) 特開2014-52599号公報の【0001】の「本発明は、低反り性と折り曲げ性に優れ、かつ絶縁性、耐金メッキ性及び難燃性に優れる硬化物を得ることができ、さらに、感度、現像性及び指触乾燥性に優れる感光性樹脂組成物、並びに前記感光性樹脂組成物を用いたドライフィルム及びプリント配線板に関するものである。」、【0070】の「本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)~(D)成分の他に、必要に応じて、光硬化性化合物、フィラー、無機イオン交換体、着色剤、消泡剤、溶剤などを含有させることができる。」、「【0072】の「フィラーのうち、無機フィラーは、主に硬化塗膜の機械的強度と耐熱性を向上させるための充填剤である。フィラーは、一般的に使用されるものであれば特に限定されず、例えば、無機フィラーには硫酸バリウム、結晶性シリカ、非晶質シリカ、タルク、アルミナ、マイカ、酸化マグネシウム、窒化ホウ素等を挙げることができる。」との記載、
(F) 特開2010-160419号公報の【0001】の「本発明は、プリント配線板の保護膜用感光性樹脂組成物に関し、より詳しくは、半導体パッケージ用基板のソルダーレジスト分野において、永久レジストとして用いられるプリント配線板の保護膜用感光性樹脂組成物と、それを用いた感光性フィルム、レジストパターンの形成方法、永久レジストに関する。」、【0033】の「本発明の感光性樹脂組成物は必要に応じて、塗膜強度の上昇、繰り返しの応力振幅を与えたときのクラック耐性の向上、熱膨張係数の低減、密着性、硬度及び耐めっき性等の特性を向上させる目的で、無機フィラー(h)を用いることができる。無機フィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、粉状酸化珪素、無定形シリカ、タルク、クレー、焼成カオリン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉等の無機充填剤が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。」との記載、
(G) 特開2016-65942号公報の【0001】の「本発明は、硬化性組成物、ドライフィルム、硬化物、プリント配線板、ドライフィルムの製造方法、硬化物の製造方法およびプリント配線板の製造方法に関する。」、【0100】の「本発明の硬化性組成物には、さらに、硬化物の密着性、機械的強度、線膨張係数などの特性を向上させる目的で、無機フィラーまたは有機フィラーを配合することができる。このようなフィラーとしては、例えば、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化ケイ素粉、微粉状酸化ケイ素、無定形シリカ、タルク、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、雲母粉などの公知慣用のフィラーが使用できる。」との記載、
(H) 特開2010-266819号公報の【0001】の「本発明は、アルカリ水溶液により現像可能な光硬化性熱硬化性樹脂組成物、特に紫外線露光又はレーザー露光により光硬化するソルダーレジスト用組成物、そのドライフィルム及び硬化物、並びにそれらを用いて形成された硬化皮膜を有するプリント配線板に関する。」、【0089】の「本発明の光硬化性熱硬化性樹脂組成物は、その塗膜の物理的強度等を上げるために、必要に応じて、フィラー(I)を配合することができる。このようなフィラー(I)としては、公知慣用の無機又は有機フィラーが使用できるが、特に硫酸バリウム、球状シリカ及びタルクが好ましく用いられる。」との記載、等を参照。
(ウ) 上記(イ)で述べた周知技術を熟知する当業者は、先願2明細書等の上記[0209]及び[0213]の記載の、感光性樹脂組成物に必要に応じて含有させることができるとされる「無機微粒子」とは、硬化物の機械・物理的特性、密着性、耐熱性等の向上させる無機フィラーを意味すると当然に理解するところ、
先願2発明の「感光性樹脂組成物(1)」を、硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイト及びタルクからなる群より選択される少なくとも1種のフィラーを含む構成とすることは、上記(ア)で述べた「高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物」、「ソルダーレジスト用樹脂材料」を提供するとの課題解決のための具体化手段における微差(周知技術の付加であって、新たな効果を奏するものではないもの)にすぎない。
よって、本願発明と先願2発明は、実質的に同一である。
(エ) 審判請求書における請求人の主張について
a 請求人は、審判請求書4頁11~23行において、
「すなわち、引用文献4および5に記載されているとおり、硬化性樹脂組成物を硬化させた際の反りの抑制や硬化物の線熱膨張係数を小さくする目的のために種々の無機フィラーを使用することは周知事項であったとしても、感光性樹脂組成物を硬化被膜とした際の物理的強度等を改善するために特定の無機フィラーを含有させることが周知事項であったとまではいえません。」、
「してみれば、先願明細書2および3に記載された発明に、硬化物の反りの抑制や線熱膨張係数の低減のために種々の無機フィラーを含有させることが周知・慣用されていることであったとしても、本願発明のように、特定の無機フィラーを含有させることで感光性樹脂組成物を硬化被膜とした際の物理的強度等を改善することが周知・慣用されていることであったとまではいえません。よって、先願明細書2および3に記載された発明に特定の無機フィラーを含有させることは、周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等ではなく、課題解決のための具体化手段における微差には当たらないものと、審判請求人は考えます。」、
と主張する。
b しかしながら、上記(イ)で述べたとおり、硬化物の機械・物理的特性、密着性、耐熱性(例えば、硬度あるいは機械的強度や、線膨張係数、硬化収縮あるいは反りの抑制)等の向上のために、感光性樹脂組成物に、必要に応じて、硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイト、タルク等の無機フィラーを含有させることは、先の出願時、感光性樹脂組成物や感光性樹脂組成物からなるソルダーレジスト用樹脂材料の技術分野における周知技術にすぎない(技術常識であるとさえいえる)から、請求人の上記主張を採用することはできない。
エ 先願2明細書等の他の記載(他の実施例)に基づく進歩性について
(ア) 実施例2に基づく進歩性
a 先願2実施例2発明
[0265]、[0272][表1]の実施例2の記載、及び、[0236]~[0252]の「合成例4:光重合開始剤(M11)の合成」の記載等から理解される、「光重合開始剤(M17)」を「光重合開始剤(M11)」とした点以外は、実施例1と同様にして得た([0265])、実施例2の「感光性樹脂組成物(2)」の発明を、以下「先願2実施例2発明」という。
b 対比
本願発明と、先願2実施例2発明の対比は、上記アと同様である。
すなわち、先願2実施例2発明の「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」は、本願発明の「(A)カルボキシル基含有樹脂」に相当する。
先願2実施例2発明の「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート」は、本願発明の「(B)光重合性モノマー」に相当し、先願2実施例2発明は、本願発明の、「前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリロイル基からなる光重合性基を有し」との構成を具備する。
先願2実施例2発明の「中間体(16)」は、本願発明の「α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物」に相当する。
先願2実施例2発明の「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成株式会社製「アロニックスM-350」)」は、本願発明の「(メタ)アクリロイル基含有化合物」に相当する。
先願2実施例2発明の「光重合開始剤(M11)」(「マイケル付加反応物(M11)」)は、本願発明の「(C)光重合開始剤」に相当し、先願2実施例2発明は、本願発明の、「前記(C)光重合開始剤が、α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物と(メタ)アクリロイル基含有化合物とのマイケル付加反応物である」との構成を具備する。
先願2実施例2発明の「オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)」は、本願発明の「(D)熱硬化性成分」に相当する。
先願2実施例2発明の「感光性樹脂組成物(2)」は、本願発明の「感光性樹脂組成物」に相当し、本願発明の「感光性樹脂組成物」と、先願2実施例2発明の「感光性樹脂組成物(2)」は、「(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)熱硬化性成分と」、「を含んでなる感光性樹脂組成物」である点で共通する。
c 一致点及び相違点
上記bより、本願発明と、先願2実施例2発明は、上記イで述べた一致点と同じ構成で一致し、上記イで抽出した一応の相違点2-1と同じ相違点で一応相違する。
d 判断
一応の相違点2-1については上記ウで述べたとおりである。
してみると、本願発明と先願2実施例2発明は、実質的に同一である。
(イ) 実施例3に基づく進歩性
a 先願2実施例3発明
[0265]、[0272][表1]の実施例3の記載、及び、[0253]~[0261]の「合成例5:光重合開始剤(M3)の合成」の記載等から理解される、「光重合開始剤(M17)」を「光重合開始剤(M3)」とし、その含有量を「14質量部」とした点以外は、実施例1と同様にして得た、実施例3の「感光性樹脂組成物(3)」の発明を、以下「先願2実施例3発明」という。
b 対比
本願発明と、先願2実施例3発明の対比は、上記アにおける対比と同様である。
すなわち、本願2実施例3発明の「中間体(7)」は、本願発明の「α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物」に相当し、先願2実施例3発明の「光重合開始剤(M3)」(「マイケル付加反応物(M3)」)は、本願発明の「(C)光重合開始剤」に相当する。
c 一致点及び相違点
上記bより、本願発明と、先願2実施例3発明は、上記イで述べた一致点と同じ構成で一致し、上記イで抽出した一応の相違点2-1と同じ相違点で一応相違する。
d 判断
一応の相違点2-1については上記ウで述べたとおりである。
してみると、本願発明と先願2実施例3発明は、実質的に同一である。
(ウ) 実施例5に基づく進歩性
a 先願2実施例5発明
[0265]、[0272][表1]の実施例5の記載、[0220]の「合成例2:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の合成」の記載、及び、[0221]~[0235]の「合成例3:光重合開始剤(M17)の合成」の記載等から理解される、「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」を「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)」とし、「硬化剤」の含有量を「22.6質量部」とし、「有機溶剤」の含有量を「12.2質量部」とし、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート」の含有量を「6.2質量部」とし、「フタロシアニングリーン」の含有量を「0.6質量部」とした点以外は、実施例1と同様にして得た、実施例5の「感光性樹脂組成物(5)」の発明を、以下「先願2実施例5発明」という。
b 対比
本願発明と、先願2実施例5発明の対比は、上記アと同様である。
すなわち、先願2実施例5発明の「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)」は、本願発明の「(A)カルボキシル基含有樹脂」に相当する。
c 一致点及び相違点
上記bより、本願発明と、先願2実施例5発明は、上記イで述べた一致点と同じ構成で一致し、上記イで抽出した一応の相違点2-1と同じ相違点で一応相違する。
d 判断
一応の相違点2-1については上記ウで述べたとおりである。
してみると、本願発明と先願2実施例5発明は、実質的に同一である。
(エ) 実施例4に基づく進歩性
a 先願2実施例4発明
[0265]、[0272][表1]実施例4の記載、及び、[0262]の「合成例6:光重合開始剤(M18)の合成」の記載等から理解される、「光重合開始剤(M17)」を「光重合開始剤(M18)」とした点以外は、実施例1と同様にして得た、実施例4の「感光性樹脂組成物(4)」の発明を、以下「先願2実施例4発明」という。
b 対比、一致点及び相違点
本願発明と、先願2実施例4発明の対比は、上記アにおける対比と同様であり、本願発明と、先願2実施例4発明は、上記イで述べた一致点と同じ構成で一致し、上記イで抽出した一応の相違点2-1と同じ相違点で一応相違する。
c 判断
一応の相違点2-1については上記ウで述べたとおりである。
してみると、本願発明と先願2実施例4発明は、実質的に同一である。
オ 小括
以上のとおりであるから、本願発明と先願2明細書等に記載された発明は、実質的に同一である。
2 先願3に基づく拡大先願
(1) 先願3の明細書又は請求の範囲に記載された事項
先願3の明細書又は請求の範囲(以下「先願3明細書等」という。)には、以下の事項が記載されている。
ア 「技術分野
[0001] 本発明は、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関する。
背景技術
[0002] 近年、プリント配線板向けのソルダーレジスト用樹脂材料としては、紫外線等の活性エネルギー線により硬化可能な感光性樹脂組成物が広く用いられている。前記ソルダーレジスト用樹脂材料に対する要求特性としては、少ない露光量で硬化すること、アルカリ現像性に優れること、硬化物における耐熱性や強度、誘電特性等に優れることなど様々なものが挙げられる。
[0003] 従来のソルダーレジスト用樹脂材料としては、・・・略・・・光感度や硬化物における耐熱性が十分ではなく、昨今ますます高まる要求性能を満足するものではなかった。
[0004] また、前記感光性樹脂組成物は、光硬化時、その後必要に応じて行われる熱硬化時、または実装時のはんだ付けの際に、光重合開始剤などの含有成分が揮発してガス化し、周囲を汚染するアウトガスの問題があった。
[0005] そこで、光感度及び硬化物における耐熱性に優れ、さらに、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が求められていた。
・・・略・・・
発明が解決しようとする課題
[0007] 本発明が解決しようとする課題は、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材を提供することである。
課題を解決するための手段
[0008] 本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究した結果、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂と、特定の光重合開始剤とを含む感光性樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
[0009] すなわち、本発明は、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、光重合開始剤(B)とを含有する感光性樹脂組成物であって、前記光重合開始剤(B)が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする感光性樹脂組成物、硬化物、前記感光性樹脂組成物からなる絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料及びレジスト部材に関するものである。
[0010][化1]
[図:0001427623000043.jpg]
[一般式(1)中、
R1は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R2は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、炭素原子数1または2のアルコキシ基で置換された炭素原子数2~4のアルキル基のいずれかを表し、
R3は炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基、メトキシエチル基、またはエトキシエチル基を表し、
またR2とR3とが一体となって窒素原子と共に環構造を形成するアルキレン基、R2とR3とが一体となって窒素原子と共にモルホリン骨格、N-メチルピペラジン骨格、または2,6-ジメチルモルホリン骨格を形成する環構形成部位であってもよく、
R4~R7は、それぞれ独立して水素原子、炭素原子数1~8のアルキル基、またはフェニル基を表し、
Y1は、置換基を有しないか、またはハロゲン原子若しくは水酸基を置換基として有する炭素原子数3~19のアルキル基(y1-1)、炭素原子数7~19のアラルキル基(y1-2)、または下記構造式(y1-3)で表される構造部位(y1-3)、
[0011][化2]
[図:0001427623000044.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R9は水素原子又はフェニル基又は炭素原子数1~4のアルキル基、mは0~20の整数を表す。)
[0012] 下記構造式(y1-4)で表される構造部位(y1-4)、
[0013][化3]
[図:0001427623000045.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R9は水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基、R10は水素原子またはメチル基、mは0~20の整数を表す。)
[0014] 下記構造式(y1-5)で表される構造部位(y1-5)、
[0015][化4]
[図:0001427623000046.jpg]
(式中、R10は水素原子またはメチル基、R11は炭素原子数1~18のアルキル基又は炭素原子数6~18のアリール基を表す。)
[0016] 下記構造式(y1-6)で表される構造部位(y1-6)、
[0017][化5]
[図:0001427623000047.jpg]
(式中、R12は炭素原子数1~18のアルキル基を表す。)
[0018] 下記構造式(y1-7)で表される構造部位(y1-7)、
[0019][化6]
[図:0001427623000048.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R13は水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基又はハロゲン原子、mは0~20の整数を表す。)
[0020] 下記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)、
[0021][化7]
[図:0001427623000049.jpg]
(式中、R8はそれぞれ独立して炭素原子数2~4のアルキレン基、R10は水素原子又はメチル基、R14はp+1の結合手を持つ炭素原子数3~25の炭化水素基、lは0~20の整数、pは1~3の整数を表す。)
[0022] 下記構造式(y1-9)を表し、
[0023][化8]
[図:0001427623000050.jpg]
(式中、R15は炭素原子数4~18のアルキル基、炭素原子数6~10の脂肪族環状炭化水素基、芳香族基を表す。)
[0024] X1はエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、2,3-プロピレン基を、X2は水素原子又はメチル基を、X3は水素原子、メチル基、又はエチル基を、或いは、X2及びX3が破線部にて共有結合を形成しつつ一体的にエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、2,3-プロピレン基を、或いは、X1、X2、及びX3が、一体的に下記構造式(X-1)で表される、窒素原子と共にビシクロ環を構成する4価の脂肪族炭化水素基を表し、
[0025][化9]
[図:0001427623000051.jpg]
[0026] Y2は、その構造部位末端に窒素原子又は酸素原子を有する、(n+1)の結合手を持つ有機結節基を表し、Y3は、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数1~3のアルキリデン基を表し、かつ、nは1~3の整数を表す。]
発明の効果
[0027] 本発明の感光性樹脂組成物は、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有しており、また、アウトガスが生じにくいことから、絶縁材料、ソルダーレジスト用樹脂材料、及び前記ソルダーレジスト用樹脂からなるレジスト部材に好適に用いることができる。」
イ 「発明を実施するための形態
[0028] 本発明の感光性樹脂組成物は、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)と、下記一般式(1)で表される光重合性開始剤(B)とを含有することを特徴とする。
・・・略・・・
[0047] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)について説明する。
[0048] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)としては、酸基及び(メタ)アクリロイル基を有していればよく・・・略・・・。
[0049] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)が含有する酸基としては、例えば、カルボキシル基・・・略・・・等が挙げられる。これらの中でも優れたアルカリ現像性を発現することから、カルボキシル基が好ましい。
[0050] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)としては、例えば、〔1〕エポキシ樹脂(a1-1)と、不飽和モノカルボン酸(a1-2)と、ポリカルボン酸無水物(a1-3)とを必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)、〔2〕フェノール性水酸基含有樹脂(a2-1)と、環状カーボネート化合物(a2-2a)または環状エーテル化合物(a2-2b)と、不飽和モノカルボン酸(a2-3a)及び/またはN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(a2-3b)と、ポリカルボン酸無水物(a2-4)とを必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)、〔3〕酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(a3-1)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)と、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)と、ポリカルボン酸無水物(a3-4)とを必須の反応原料とする酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)等が挙げられる。
[0051] 〔1〕酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)について説明する。
[0052] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)は、エポキシ樹脂(a1-1)と、不飽和モノカルボン酸(a1-2)と、ポリカルボン酸無水物(a1-3)とを必須の反応原料として得られるものである。
[0053] 前記エポキシ樹脂(a1-1)としては、樹脂中に複数のエポキシ基を有しているものであれば、その具体構造は特に限定されない。
[0054] 前記エポキシ樹脂(a1-1)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂・・・略・・・等が挙げられる。
[0055] 前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)とは、一分子中に(メタ)アクリロイル基とカルボキシル基とを有する化合物をいい、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
・・・略・・・
[0059] 前記ポリカルボン酸無水物(a1-3)は、一分子中に2つ以上のカルボキシル基を有する化合物の酸無水物であれば、いずれのものも用いることができる。前記ポリカルボン酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、・・・略・・・テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物などが挙げられる。
[0060] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の製造方法は、前記エポキシ樹脂(a1-1)、前記不飽和モノカルボン酸(a1-2)、及び前記ポリカルボン酸無水物(a1-3)を必須の反応原料とするものであれば特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先にエポキシ樹脂(a1-1)と不飽和モノカルボン酸(a1-2)とを反応させ、次いで、ポリカルボン酸無水物(a1-3)を反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、エポキシ樹脂(a1-1)と不飽和モノカルボン酸(a1-2)とをエステル化反応触媒の存在下、100~150℃の温度範囲で反応させた後、反応系中にポリカルボン酸無水物(a1-3)を加え、90~120℃の温度範囲で反応させる方法等により行うことができる。
・・・略・・・
[0095] 次に、〔3〕酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)について説明する。
[0096] 前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-3)は、酸基または酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(a3-1)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)と、(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)と、ポリカルボン酸無水物(a3-4)とを必須の反応原料として得られるものである。
[0097] 前記アミドイミド樹脂(a3-1)としては、酸基または酸無水物基のどちらか一方のみを有するものであってもよいし、両方を有するものであってもよい。前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)や前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有するものであることがより好ましい。
・・・略・・・
[0098] 前記アミドイミド樹脂(a3-1)の具体構造や製造方法は特に限定されず、一般的なアミドイミド樹脂等を広く用いることができる。例えば、ポリイソシアネート化合物と、ポリカルボン酸またはその酸無水物とを反応原料として得られるものが挙げられる。
[0099] 前記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、・・・略・・・ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物・・・略・・・;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体などが挙げられる。また、これらのポリイソシアネート化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
・・・略・・・
[0101] また、前記ポリイソシアネート化合物としては、高い溶剤溶解性を有する酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、・・・略・・・脂環式ジイソシアネートまたはそのイソシアヌレート変性体・・・略・・・がより好ましい。
・・・略・・・
[0104] 前記ポリカルボン酸またはその酸無水物としては、分子構造中に複数のカルボキシル基を有する化合物またはその酸無水物であれば具体構造は特に問われず、多種多様な化合物を用いることができる。なお、前記アミドイミド樹脂(a3-1)がアミド基とイミド基の両方を有するためには、系中にカルボキシル基及び酸無水物基の両方が存在している必要があるが、本発明においては、分子中にカルボキシル基と酸無水物基との両方を有する化合物を用いてもよいし、カルボキシル基を有する化合物と酸無水物基を有する化合物とを併用してもよい。
[0105] 前記ポリカルボン酸またはその酸無水物としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物等が挙げられる。
[0106] 前記脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。
[0107] 前記脂肪族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、・・・略・・・1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
[0108] 前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、本発明では、カルボキシル基または酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、・・略・・・4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、及びこれらの酸無水物等が挙げられる。
[0109] 前記芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、・・・略・・・ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。
[0110] これらの中でも、高い光感度を有し、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、前記脂環式ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物、或いは前記芳香族ポリカルボン酸化合物またはその酸無水物が好ましい。また、前記アミドイミド樹脂(a3-1)を効率的に製造できることから、分子構造中にカルボキシル基と酸無水物基との両方を有するトリカルボン酸無水物を用いることが好ましく、シクロヘキサントリカルボン酸無水物またはトリメリット酸無水物を用いることが特に好ましい。
・・・略・・・
[0113] 前記ポリイソシアネート化合物とポリカルボン酸またはその酸無水物との反応は、必要に応じて有機溶媒中で行うこともできる。
・・・略・・・
[0115] 前記水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(a3-2)としては、分子構造中に水酸基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物であれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物・・・略・・・等が挙げられる。
・・・略・・・
[0116] 前記(メタ)アクリロイル基含有エポキシ化合物(a3-3)は、分子構造中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有するものであれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマー・・・略・・・などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れた硬化物を形成可能な酸基含有(メタ)アクリレート樹脂組成物が得られることから、グリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。また、その分子量は、500以下であることが好ましい。
・・・略・・・
[0117] 前記ポリカルボン酸無水物(a3-4)としては、上述のポリカルボン酸無水物(a1-3)及びポリカルボン酸無水物(a2-4)と同様である。
・・・略・・
[0127] 前記光重合開始剤(B)について説明する。
[0128] 前記光重合開始剤(B)としては、下記一般式(1)で表される化合物を用いる。
[0129][化25]
[図:0001427623000052.jpg]
[0130]本発明では上記した一般式(1)中、下記構造式
[0131]
[化26]
[図:0001427623000053.jpg]
で表される構造部位が光照射によってラジカルを発生させることにより重合開始剤として機能するものである。本発明では比較的分子量が大きくそのラジカル発生部位の量が相対的に少なくなるにも拘わらず、優れた硬化性を発現させることは特筆すべき点である。
[0132] ここで、前記一般式(1)中、R1は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、;s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、イソデシル基等の炭素原子数1~10のアルキル基を表す。これらの中でも光照射により発生したラジカルの反応性の点からエチル基であることが好ましい。
[0133] 次に、前記一般式(1)中、R2及びR3は、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素原子数1~12の直鎖状または分岐上のアルキル基;ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等の炭素原子数2~4のヒドロキシアルキル基;メトキシエチル基;エトキシエチル基;R2及びR3が一体となって窒素原子と共に環構造を形成するアルキレン基、即ち
[0134][化27]
[図:0001427623000054.jpg]
に相当する構造として、下記構造式
[0135][化28]
[図:0001427623000055.jpg]
で表されるピロリジン構造やピペリジン構造を形成するブチレン基、ペンテン基;R2及びR3と一体となって窒素原子と共にモルホリン骨格、N-メチルピペラジン骨格、2,6-ジメチルモルホリン骨格を形成する環構形成部位、即ち
[0136][化29]
[図:0001427623000056.jpg]
に相当する構造として、下記構造式
[0137][化30]
[図:0001427623000057.jpg]
を形成する構造部位を表す。これらの中でも特に合成上の収率の高さの点から炭素原子数1~12の直鎖状または分岐上のアルキル基が好ましい。
[0138] 前記一般式(1)中、R4~R7は、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基等の炭素原子数1~8のアルキル基;又はフェニル基を表す。これらの中でも、原料の入手の容易さの点からR4~R7の全てが水素原子であることが好ましい。
[0139] また、前記一般式(1)中、X1はエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、又は2,3-プロピレン基を表し、X2は水素原子又はメチル基を、X3は水素原子、メチル基、又はエチル基を、或いは、X2及びX3が破線部にて共有結合を形成しつつ一体的にエチレン基、1,3-プロピレン基、1,2-プロピレン基、2,3-プロピレン基を、或いは、X1、X2、及びX3が、一体的に下記構造式(X-1)
[0140][化31]
[図:0001427623000058.jpg]
で表される、窒素原子と共にビシクロ環を構成する4価の脂肪族炭化水素基を表す。
[0141] これらの中でも上記X1、X2、及びX3と窒素原子とにより構成される下記部分構造式
[0142][化32]
[図:0001427623000059.jpg]
(式中*は他の構造部位との結合手を表す。)
で表される構造部位として、
・・・略・・・、下記構造式
[0144][化34]
[図:0001427623000060.jpg]
で表されるものが好ましい。
[0145] 次に、一般式(1)中、Y1は、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2-エチルブチル基、イソペンチル基、1-メチルペンチル基、1,3-ジメチルブチル基、1-メチルヘキシル基、イソヘプチル基、1,1,3,3-テトラメチルブチル基、2,2,4,4-テトラメチルブチル基、1-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、2-エチルヘキシル基、1,1,3-トリメチルヘキシル基、1,1,3,3-テトラメチルペンチル基、イソデシル基、1-メチルウンデシル基または1,1,3,3,5,5-ヘキサメチルヘキシル基等の直鎖状または分岐上のアルキル基、シクロヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基;1-フルオロプロピル基、1,1,1-トリフルオロプロピル基、1,1,1-トリフルオロブチル基、2-トリフルオロメチルプロピル基、1,1,1,2,2-ペエンタフルオロプロピル基、1,1,1,2,2-ペエンタフルオロペンチル基、1,1,1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロピル基、1,1,1,2,2,3,3-ペンタフルオロブチル基、2-(パーフルオロブチル)エチル基、1-クロロプロピル基、1,1,1-トリクロロプロピル基、1-クロロブチル基、1,1,1-トリクロロブチル基、1-クロロヘキシル基、1,1,1-トリクロロヘキシル基、1-クロロドデシル基、1,1,1-トリクロロドデシル基、1-クロロオクタデシル基、1,1,1-トリクロロオクタデシル基;1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、1-ヒドロキシヘキシル基、1-ヒドロキシドデシル基、1-ヒドロキシオクタデシル基等の置換基を有しないか、又はハロゲン原子若しくは水酸基を置換基として有する炭素原子数3~18のアルキル基(y1-1);ベンジル基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基、ヒドロキシベンジル基、フェネチル基、フェニルベンジル基、メトキシフェニルベンジル基、ナフチルメチル基、メトキシナフチルメチル基、フェニルプロピル基、フェニルプロペニル基、フェノキシベンジル基、メチルチオベンジル基、ターフェニルメチル基等の炭素原子数7~19のアラルキル基(y1-2);
[0146] 下記構造式(y1-3)で表される構造部位(y1-3)、
[0147][化35]
[図:0001427623000061.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R9は水素原子又はフェニル基又は炭素原子数1~4のアルキル基、mは0~20の整数を表す。)
[0148] 下記構造式(y1-4)で表される構造部位(y1-4)、
[0149][化36]
[図:0001427623000062.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R9は水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基、R10は水素原子またはメチル基、mは0~20の整数を表す。)
[0150] 下記構造式(y1-5)で表される構造部位(y1-5)、
[0151][化37]
[図:0001427623000063.jpg]
(式中、R10は水素原子またはメチル基、R11は炭素原子数1~18のアルキル基又は炭素原子数6~18のアリール基を表す。)
[0152] 下記構造式(y1-6)で表される構造部位(y1-6)、
[0153][化38]
[図:0001427623000064.jpg]
(式中、R12は炭素原子数1~18のアルキル基を表す。)
[0154] 下記構造式(y1-7)で表される構造部位(y1-7)、
[0155][化39]
[図:0001427623000065.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R13は水素原子、炭素原子数1~6のアルキル基又はハロゲン原子、mは0~20の整数を表す。)
[0156] 下記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)、
[0157][化40]
[図:0001427623000066.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R10は水素原子又はメチル基、R14はp+1の結合手を持つ炭素原子数5~18の炭化水素基、lは0~20の整数、pは1~3の整数を表す。)
[0158] 下記構造式(y1-9)で表される構造部位(y1-9)が挙げられる。
[0159]
[化41]
[図:0001427623000067.jpg]
(式中、R15は炭素原子数4~18のアルキル基、炭素原子数6~10の脂肪族環状炭化水素基、芳香族基を表す。)
・・・略・・・
[0167] 以上詳述した一般式(1)中のY1で示される構造部位の中でも特に、前記炭素原子数3~18のアルキル基(y1-1)、前記構造式(y1-4)で表される構造部位(y1-4)、前記構造式(y1-5)で表される構造部位(y1-5)、前記構造式(y1-8)で表される構造部位(y1-8)が、前記一般式(1)で表される化合物の合成時におけるY1の導入が容易であることに加え、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が得られることから好ましく、前記構造部位(y1-8)がより好ましい。
[0168] 次に、前記一般式(1)中の下記構造式1aで表される構造部位は、上記した各種構造から任意に選択しうるが、該構造式1aで示される部分の総質量数が300~2000であることが高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が得られることから好ましい。
[0169][化42]
[図:0001427623000068.jpg]
(構造式1a中、X1、X2、X3、R4~R7、及びY1は一般式(1)と同義である。)
[0170] 次に、前記一般式(1)中、Y2は、前記した通り、該構造部位末端に窒素原子又は酸素原子を有する、(n+1)の結合手を持つ有機結節基であるが、具体的には、下記に示す構造部位(y2-1)~(y2-6)からなる群から選択されるアミド結合形成タイプの構造部位、又は、下記に示す構造部位(y2-7)~(y2-9)で表されるエステル結合形成タイプの構造部位が原料の入手が容易であり、また、反応の制御が容易である点から好ましい。
[0171] ここで前記構造部位(y2-1)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-1)で表される構造部位である。
[0172][化43]
[図:0001427623000069.jpg]
(式中、R16は炭素原子数2~18の直鎖又は環状のアルキレン基、フェニレン基、キシリレン基、炭素原子数1~3のアルキル基を核置換基として有するフェニレン基、炭素原子数1~3のアルキル基を核置換基として有するキシリレン基を表す。)
・・・略・・・
[0175] これらの中でも、該構造部位(y2-1)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
[0176]
[図:0001427623000070.jpg]
[図:0001427623000071.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0177] 前記構造部位(y2-2)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式で表されるものである。
[0178]
[化44]
[図:0001427623000072.jpg]
(式中、R17は炭素原子数2~6の直鎖状、分岐状のアルキレン基又はフェニレン基を、R18は炭素原子数2~6の直鎖状、分岐状のアルキレン基又はフェニレン基を、qは0~12の整数を表す。)
・・・略・・・
[0180] 斯かる構造部位(y2-2)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
[0181][化45]
[図:0001427623000073.jpg]
[図:0001427623000074.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0182] 前記構造部位(y2-3)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-3)で表されるものである。
[0183][化46]
[図:0001427623000075.jpg]
(式中、R19~R22は、それぞれ独立して、水素又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を表す。)
・・・略・・・
[0185] 斯かる構造部位(y2-3)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
[0186][化47]
[図:0001427623000076.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0187] 前記構造部位(y2-4)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-4)で表されるものである。
[0188][化48]
[図:0001427623000077.jpg]
(式中、R23は、酸素原子、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、2,2-プロピレン基、又は1,3-プロピレン基を表す。)
[0189] 斯かる構造部位(y2-4)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
[0190][化49]
[図:0001427623000078.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0191] 前記構造部位(y2-5)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-5)で表されるものである。
[0192][化50]
[図:0001427623000079.jpg]
(式中、R24は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を、R25は、それぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1~3の直鎖状、分岐状のアルキル基を、R26は、酸素原子、メチレン基、2,2-プロピレン基、スルホニル基、又はカルボニル基を表す。)
・・・略・・・
[0194] 斯かる構造部位(y2-5)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
[0195][化51]
[図:0001427623000080.jpg]
[図:0001427623000081.jpg]
[図:0001427623000082.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0196] 前記構造部位(y2-6)は、前記一般式(1)中のnが2又は3であり、かつ、下記構造式(y2-6)で表されるものである。
[0197][化52]
[図:0001427623000083.jpg]
(式中、R27は炭素原子数2~6のアルキレン基、R28は炭素原子数4~12の結合手数が(n+1)価の炭化水素基、rは0~3の整数である。)
・・・略・・・
[0199] 斯かる構造部位(y2-6)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジアミン化合物の入手が容易である点から好ましい。
[0200]
[化53]
[図:0001427623000084.jpg]
[図:0001427623000085.jpg]
[図:0001427623000086.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0201] 次にエステル結合形成タイプの構造部位である構造部位(y2-7)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-7)で表されるものである。
[0202][化54]
[図:0001427623000087.jpg]
(式中、R29は炭素原子数2~18の直鎖、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基、キシリレン基を表す。)
・・・略・・・
[0205][化55]
[図:0001427623000088.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0206] 次に、エステル結合形成タイプの構造部位である構造部位(y2-8)は、前記一般式(1)中のnが1であり、かつ、下記構造式(y2-8)で表されるものである。
[0207][化56]
[図:0001427623000089.jpg]
(式中、R30は、それぞれ独立して炭素原子数2~6のアルキレン基を、qは1~20の整数を表す。)
・・・略・・・
[0209] 斯かる構造部位(y2-8)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジオール化合物の入手が容易である点から好ましい。
[0210]
[化57]
[図:0001427623000090.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0211] エステル結合形成タイプの構造部位である構造部位(y2-9)は、前記一般式(1)中のnが2又は3であり、かつ、下記構造式(y2-9)で表されるものである。
[0212][化58]
[図:0001427623000091.jpg]
(式中、R31は炭素原子数4~12の結合手数が(n+1)価の炭化水素基、R32は炭素原子数2~6のアルキレン基、sは0~3の整数である)
・・・略・・・
[0215] 斯かる構造部位(y2-9)としては、具体的には、下記構造式で表されるものが、後述する前記一般式(1)で表される化合物の製造方法[工程IV]において、前記構造の構成原料となるジオール化合物の入手が容易である点から好ましい。
[0216]
[化59]
[図:0001427623000092.jpg]
[図:0001427623000093.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0217] 以上詳述した一般式(1)中、Y2の中でも、特に構造部位(y2-1)~(y2-6)からなる群から選択されるアミド結合形成タイプの構造部位が生成物の化学的安定性に優れる点から好ましく、特に構造部位(y2-1)、構造部位(y2-2)、構造部位(y2-3)が原料の入手の容易さと光硬化性に優れる点から好ましい。とりわけ、下記構造から選択される構造部位(y2-3)が、中間体が結晶化しやすく製造上で容易に精製が可能である点から好ましい。
[0218][化60]
[図:0001427623000094.jpg]
(各構造式中*は他構造部位との結合手を表す。)
[0219] 次に、一般式(1)中のY3は、単結合、炭素原子数1~3のアルキレン基、又は炭素原子数2又は3のアルキリデン基を表し、炭素原子数1~3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、1,2-プロピレン基が挙げられ、炭素原子数2又は3のアルキリデン基としてはエチリデン基、プロピリデン基が挙げられる。
[0220] これらの中でも当該構造部位を構成する原料成分であるベンジルブロミド誘導体の入手の容易さの点から単結合、または炭素原子数2若しくは3のアルキリデン基が好ましく、特に光照射後の分解物の安全性の観点からは炭素原子数2又は3のアルキリデン基が好ましい。
[0221] 以上詳述した一般式(1)で表される化合物は、更に具体的には、例えば、以下の表1~表12に示す化合物M1~M86のものが挙げられる。
・・・略・・・
[0226]
[表5]
表5
[図:0001427623000095.jpg]
・・・略・・・
[0234] 上記したM1~M86の化合物の中でも、特に、高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物を得ることができ、また、原料の入手も容易である点から、M1、M4、M7、M14、M23、M28、M31、M32、M41、M43、M45、M50、M55、M64、及びM78の化合物が好ましい。
[0235] 上記した一般式(1)で表される化合物は、下記[工程I]~[工程VI]を経て工業的に生産することができる。
[0236][工程I]
ハロゲン化ベンゼンと、α位にハライド原子を有する酸ハライド化合物とを反応させて、カルボニルのα炭素原子上にハロゲン原子を持つアルキルアセトフェノン誘導体を合成する。
・・・略・・・
[0237][工程II]
次いで、2級モノアミン化合物(HN(R2)(R3))を反応させてα位をアミノ基に変換する。
・・・略・・・
[0238][工程III]
次いで、置換基(-Y3-C(=O)-OR)を芳香核上の置換基として有するベンジルブロミド(ここで、Rはアルキル基または水素原子である)をアセトフェノン誘導体の三級アミンに反応させて四級アンモニウム塩に導き、その後、アルカリ処理によって、1.2-転位反応(スティーブンス転移)を行い、一般式3で表されるα―アミノアセトフェノン中間体化合物A(一般式3)を合成する。こうして得られたα―アミノアセトフェノン中間化合物(一般式3)はアセトフェノン部の芳香環上にハロゲン原子を有し、かつ、α位に置換したベンジル基の芳香環上にカルボキシル基を有するものとなる。
[0239][化61]
[図:0001427623000096.jpg]
[図:0001427623000097.jpg]
(上記反応式中、「Hal」はハロゲン原子を表す。)
・・・略・・・
[0242][工程IV]
次に、前記α―アミノアセトフェノン中間化合物(一般式3)のカルボキシル基と二官能以上の1級または2級アミンまたは二官能以上のアルコール(一般式4)を縮合反応させ、それぞれポリアミド化合物およびポリエステル化合物である中間体化合物Bへ誘導する。
[0243] 例えば、一般式4で表される化合物として二官能のジアミンを用いる場合は、α-アミノアセトフェノン中間化合物(一般式3)の2モルに対して二官能のジアミンの1モルを反応させ、2つのアミド基が対称的な分子構造となる中間体化合物Bを合成することができる。具体的には、一般式3で表されるα-アミノアセトフェノン中間化合物の芳香環上に配置されたカルボキシル基を、塩化チオニル等を使用して酸塩化物に変換してから二官能以上のアミンと反応させる方法、一般式3で表されるα-アミノアセトフェノン中間化合物をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の活性エステル化試剤を使用して二官能以上のアルコールと反応させる方法、一般式3で表されるα-アミノアセトフェノン中間化合物を無水酢酸等の酸無水物を使用して混合酸無水物に変換してから二官能以上のアルコールと反応させる方法などが挙げられる。
[0244] 他方、一般式4で表される化合物として二官能以上のアルコールを用いる場合の中間体化合物Bの合成法は、一般式3の中間化合物の芳香環上に配置されたカルボキシル基を、塩化チオニル等を使用して酸塩化物に変換してから二官能以上のアルコールと反応させる方法、パラトルエンスルホン酸等の酸触媒を使用して脱水縮合により二官能以上のアルコールと反応させる方法、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)等の活性エステル化試剤を使用して二官能以上のアルコールと反応させる方法、無水酢酸等の酸無水物を使用して混合酸無水物に変換してから二官能以上のアルコールと反応させる方法などが挙げられる。
[0245][化62]
[図:0001427623000098.jpg]
[図:0001427623000099.jpg]
中間体化合物B
(上記反応式中、「Hal」はハロゲン原子を表す。)
・・・略・・・
[0248][工程V]
その後、中間体化合物Bの分子の末端部分のアリールハロゲン部を、一般式5で表される二官能性の環状アミンで置換して、分子の末端が二級アミンである中間生成物Cを合成する。
[0249]
[化63]
[図:0001427623000100.jpg]
[図:0001427623000101.jpg]
中間体化合物C
・・・略・・・
[0251][工程VI]
次いで、最終の反応として、[工程V]で得られた中間体化合物Cの構造末端に位置する二級アミンに対して、(メタ)アクリル酸エステル化合物化合物(合議体注:「(メタ)アクリル酸エステル化合物化合物」は、「(メタ)アクリル酸エステル化合物」の誤記と認められる。)、イソシアン酸エステル、グリシジルエーテル、又はアルキルハライドと反応させることにより前記一般式(1)で表される化合物を製造することができる。具体的には、[工程VI]は、中間体化合物Cに反応させる化合物により以下の(工程VI-1)~(工程VI-9)に分類することができる。
・・・略・・・
[0265] (工程VI-4)
前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-4r)で表される化合物の(メタ)アクリロイル基とマイケル付加反応させることにより、前記一般式(1)中のY1が、構造式(y1-4)である化合物を製造することができる。
[0266][化68]
[図:0001427623000102.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R9は水素原子、フェニル基、又は炭素数1~4のアルキル基、R10は水素原子またはメチル基、mは0~20の整数を表す。)
[0267][化69]
[図:0001427623000103.jpg]
[図:0001427623000104.jpg]
[図:0001427623000105.jpg]
・・・略・・・
[0269] また、(工程VI-4)におけるマイケル付加反応は、公知慣用の反応条件で行うことができる。一般的な方法としては、前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-4r)で表される化合物とを、反応容器中、0~150℃で混合する方法が挙げられ、触媒や溶媒を使用することもできる。
・・・略・・・
[0272] 前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-4r)で表される化合物と混合比は、特に限定されることはないが、中間体化合物C中の二級アミノ基(i)と、前記構造式(y1-4r)で表される化合物中の(メタ)アクリロイル基(ii)との当量比[(i)/(ii)]が、1/1.5~1/30であることが好ましい。当量比[(i)/(ii)]が1/1.5を超えると、前記中間体化合物C又はその分解物の塗膜からのマイグレーションが生じる可能性が上がり、当量比[(i)/(ii)]が1/30未満であるとマイケル付加反応物の硬化性能が劣る傾向がある。得られるマイケル付加反応物の硬化性能と塗膜溶出物量の観点から、当量比[(i)/(ii)]は、特に1/2~1/20であることが好ましい。
[0273] ここで、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-4r)としては、例えばメトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、反応条件は、ジアザビシクロウンデセン(DBU)等の触媒の存在下、20~120℃にて行うことができる。
・・・略・・・
[0292] (工程VI-8)
[0293] 前記中間体化合物C中の構造末端に位置する二級アミンを、下記構造式(y1-8r)で表される化合物の(メタ)アクリロイル基と反応させることにより、前記一般式(1)中のY1が、構造式(y1-8)である化合物を製造することができる。
[0294][化76]
[図:0001427623000106.jpg]
(式中、R8は炭素原子数2~4のアルキレン基、R10は水素原子又はメチル基、R14はp+1の結合手を持つ炭素原子数5~18の炭化水素基、lは0~20の整数、pは1~3の整数を表す。)
[0295][化77]
[図:0001427623000107.jpg]
[図:0001427623000108.jpg]
[図:0001427623000109.jpg]
・・・略・・・
[0298] (工程VI-8)における、マイケル付加反応は、公知慣用の反応条件で行うことができる。一般的な方法としては、前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-8r)で表される化合物とを、反応容器中、0~150℃で混合し、反応させる方法が挙げられる。この際、触媒や溶媒を使用することもできる。
・・・略・・・
[0301] 前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-8r)で表される化合物と混合比は、特に限定されることはないが、中間体化合物C中の二級アミノ基(i)と、前記構造式(y1-8r)で表される化合物中の(メタ)アクリロイル基(ii)との当量比[(i)/(ii)]が、1/1.5~1/30であることが好ましい。当量比[(i)/(ii)]が1/1.5を超えると、前記中間体化合物C又はその分解物の塗膜からのマイグレーションが生じる可能性が上がり、当量比[(i)/(ii)]が1/30未満であるとマイケル付加反応物の硬化性能が劣る傾向がある。得られるマイケル付加反応物の硬化性能と塗膜溶出物量の観点から、当量比[(i)/(ii)]は、特に1/2~1/20であることが好ましい。
[0302] ここで、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-8r)で表される化合物の例としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の二官能アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびそのエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド変性物;ペンタエリスリトールトリ又はテトラ(メタ)アクリレートおよびそのエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド変性物;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートおよびそのエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシド変性物;・・・略・・・グリシジル(メタ)アクリレートと単官能(メタ)アクリレートとの重合物と、(メタ)アクリル酸との反応により得られる高分子量型のポリ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
・・・略・・・
[0315] 本発明の感光性樹脂組成物は、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)以外のその他の樹脂成分を含有しても良い。前記その他の樹脂成分としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸、ジカルボン酸無水物、必要に応じて不飽和モノカルボン酸無水物等を反応させて得られる、樹脂中にカルボキシル基と(メタ)アクリロイル基とを有する樹脂、各種の(メタ)アクリレートモノマー等が挙げられる。
[0316] 前記(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート・・・略・・・オクチル(メタ)アクリレート等の脂肪族モノ(メタ)アクリレート化合物;・・・略・・・ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の4官能以上の脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物;・・・略・・・前記脂肪族ポリ(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入した4官能以上のラクトン変性ポリ(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。
[0317] 本発明の感光性樹脂組成物は、塗工粘度調節等の目的で有機溶剤を含有してもよく、その種類や添加量は、所望の性能に応じて適宜選択及び調整される。
・・・略・・・
[0319] また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。
[0320] 本発明の硬化物は、前記感光性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射することで得ることができる。
・・・略・・・
[0322] また、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物は、優れた耐熱性を有しており、アウトガスが生じにくいことから、例えば、半導体デバイス用途における、ソルダーレジスト、層間絶縁材料、パッケージ材、アンダーフィル材、回路素子等のパッケージ接着層や、集積回路素子と回路基板の接着層として好適に用いることができる。
・・・略・・・
[0323] 本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記感光性樹脂組成物に、必要に応じて、例えば、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤等を用いることができる。
[0324] 前記硬化剤としては、前記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A)中のカルボキシル基と反応し得る官能基を有するものであれば特に制限されず、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。前記エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂・・・略・・・フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂・・・略・・・等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、これらの中でも、硬化物における耐熱性に優れることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂・・・略・・・が好ましく、軟化点が50~120℃の範囲であるものが特に好ましい。
・・・略・・・
[0328] 本発明のレジスト部材は、例えば、前記ソルダーレジスト用樹脂材料を基材上に塗布し、60~100℃程度の温度範囲で有機溶媒を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140~180℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。」
ウ 「実施例
[0328] 以下、実施例と比較例とにより、本発明を具体的に説明する。
[0329](合成例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量;214g/eq)428質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン4質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応を行なった。その後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート311質量部、テトラヒドロ無水フタル酸160質量部を加え110℃で2.5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)(合議体注:「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)」は、「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」の誤記と認められる。)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(1)の固形分酸価は85mgKOH/gであった。
[0330](合成例2:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の合成)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート379質量部、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、イソシアネート基含有量17.2質量%)185質量部、無水トリメリット酸146質量部、ジブチルヒドロキシトルエン1.6質量部を加えて溶解させた。窒素雰囲気下、160℃で5時間反応させ、イソシアネート基含有量が0.1質量%以下となっていることを確認した。次いで、メトキノン0.3質量部、ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物(東亜合成株式会社製「アロニックスM-306」、ペンタエリスリトールトリアクリレート含有量約67%、水酸基価159.7mgKOH/g)112質量部及びトリフェニルホスフィン3.1質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させた。次いで、グリシジルメタクリレート125質量部を添加し、110℃で5時間反応させた。更に、無水コハク酸87質量部を加えて110℃で5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)を得た。この酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の固形分酸価は80mgKOH/gであった。
[0331](合成例3:光重合開始剤(M31)の合成)
[0332][工程I]
[0333][化80]
[図:0001427623000110.jpg]
[0334] 撹拌機、温度計、窒素導入管、アルカリトラップ及び滴下ロートを備えた1Lフラスコに塩化アルミニウム(無水)121.8gと脱水ジクロロメタン300mLを仕込み、窒素気流下、氷浴を用いて氷冷した。これに2-ブロモブチリルブロミドの200gを添加した。フルオロベンゼン83.6gと脱水ジクロロメタン100mLを混合溶液を滴下ロートを用いて先のフラスコ中へ20分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、そのまま、2時間攪拌を続けた。攪拌終了後、反応液を氷水1L中へ投入し、2時間攪拌を続けた。靜置後分液し、下層を回収した。2N塩酸で2回洗浄し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で1回洗浄し、飽和食塩水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた後、ジクロロメタンを減圧留去し、2-ブロモ-1-(4-フルオロフェニル)-1-ブタノン(101)を得た。
・・・略・・・
[0336][工程II]
[0337][化81]
[図:0001427623000111.jpg]
[0338] 攪拌機、温度計を備えた2Lフラスコに中間体(101)157.7gとメチルエチルケトン750mLを仕込み氷浴を用いて氷冷した。そこに50質量%ジメチルアミン水溶液174gを、滴下ロートを用いて30分かけて滴下した。滴下終了後、氷浴を外し、そのまま、一昼夜攪拌を続けた。薄層クロマトグラフィーを用いて中間体(101)の消失を確認した後、メチルエチルケトンとジメチルアミンを減圧留去し、残渣にトルエンを投入した。水で2回洗浄し、さらに飽和食塩水で1回洗浄した後、上層を回収し、硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。トルエンを減圧留去し、中間体(102)を得た。
・・・略・・・
[0340][工程III]
[0341][化82]
[図:0001427623000112.jpg]
[0342] 攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mLフラスコに中間体(102)79.5gと4-(ブロモメチル)安息香酸メチル(103)87.0gとイソプロパノール(以下「IPA」と略記する。)120mLを仕込み、50℃で一昼夜、攪拌した。その後、8M水酸化ナトリウム水溶液105mLを添加し、50℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、IPAを留去し、12N塩酸を用いてpH5.5に調製した後、酢酸エチルで抽出した。抽出液にヘキサンを加え、析出した結晶をろ別して中間体(104)を得た。
・・・略・・・
[0344][工程IV]
[0345]
[化83]
[図:0001427623000113.jpg]
[0346] 攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた1000mLフラスコに2-クロロ-4.6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン35.0gと脱水ジクロロメタン400mLを仕込み、氷浴を用いて氷冷した。そこにN-メチルモルホリン80.8gを、滴下ロートを用いて10分かけて滴下した。滴下終了後、中間体(104)76.0gを添加し、氷冷下で1時間攪拌した。そこにピペラジン9.5gを溶解した脱水ジクロロメタン200mLを、滴下ロートを用いて20分かけて滴下した。氷浴を外し、室温下、1時間攪拌を続けた。薄層クロマトグラフィーにて反応の終了を確認し、水を加えて反応を停止させた。分液ロートに反応物を移し、下層の有機層を回収した。さらに蒸留水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、得られた粗生成物をエタノールにて再結晶して中間体(105)を得た。
・・・略・・・
[0348][工程V]
[0349][化84]
[図:0001427623000114.jpg]
[図:0001427623000115.jpg]
[0350] 攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mLフラスコに中間体(105)38.0gとピペラジン22.2gとジメチルスルホキシド(DMSO)120mLを仕込み、100℃で40時間攪拌した。反応終了後、蒸留水と塩化メチレンを添加し、塩化メチレン層を水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、中間体(106)を得た。
・・・略・・・
[0352][工程VI]
[0353] 撹拌機、コンデンサ及び温度計を備えた300mLのフラスコに、中間体(106)17.4gとのエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製M3130)25.7gとp-メトキシフェノール43mgとエタノール150mLを加え、50℃で24時間撹拌した。減圧留去により溶媒を除去して、下記構造式で表される光重合開始剤(M31)を得た。
・・・略・・・
[0355][化85]
[図:0001427623000116.jpg]
[0356](合成例4:光重合開始剤(M32)の合成)
[0357][工程III]
[0358][化86]
[図:0001427623000117.jpg]
[0359] 攪拌機、温度計、冷却管を備えた500mLフラスコに、合成例3の工程I及び工程IIを経て得られた中間体(102)41.9gと2-[4-(ブロモメチル)フェニル]プロピオン酸(107)53.5gとIPA100mLを仕込み、8M水酸化ナトリウム水溶液27.5mLを室温で添加し、さらに50℃で2時間攪拌して四級アンモニウム塩を形成させた。続いて、8M水酸化ナトリウム水溶液41mLを添加し、50℃で1時間攪拌した。攪拌終了後、IPAを留去し、6N塩酸を用いてpH5.5に調製した後、トルエンで抽出した。抽出液を水洗し、溶媒を減圧留去して得られた粗反応物をシリカゲルクロマトグラフィーにて精製して中間体(108)を得た。
・・・略・・・
[0361][工程IV]
[0362][化87]
[図:0001427623000118.jpg]
[0363] 攪拌機、温度計、滴下ロートを備えた500mLフラスコに、中間体(108)19.0gとジクロロメタン80mLとN,N-ジメチルホルムアミド0.5mLを仕込み、これに塩化チオニル6.7gをゆっくりと滴下し、30分間撹拌した。ピペラジン2.2gを溶解した脱水ジクロロメタン50mLの溶液を、滴下ロートを用いて滴下し、続いて、トリエチルアミン11.4gを滴下し、室温で1時間撹拌した。薄層クロマトグラフィーにて反応の終了を確認し、水を加えて反応を停止させた。分液ロートに反応物を移し、下層の有機層を回収した。さらに蒸留水で2回洗浄した後、硫酸マグネシウムで、一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、得られた粗生成物をエタノールにて再結晶して中間体(109)を得た。
・・・略・・・
[0365][工程V]
[0366]
[化88]
[図:0001427623000119.jpg]
[図:0001427623000120.jpg]
[0367] 攪拌機、温度計、冷却管を備えた300mLフラスコに中間体(109)の14.8gとピペラジンの8.6gと無水炭酸カリウムの5.5gとジメチルスルホキシド(DMSO)の30mLを仕込み、100℃で24時間攪拌した。反応終了後、蒸留水と塩化メチレンを添加し、塩化メチレン層を水で3回、飽和食塩水で1回洗浄し、硫酸マグネシウムで一昼夜乾燥させた。ジクロロメタンを減圧留去し、中間体(110)を得た。
・・・略・・・
[0369][工程VI]
[0370]撹拌機、コンデンサ及び温度計を備えた300mLのフラスコに、中間体(110)18.5gとのエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製「M3130」)25.7gとp-メトキシフェノール44mgとエタノール150mLを加え、50℃で24時間撹拌した。減圧留去により溶媒を除去して、下記構造式で表される光重合開始剤(M32)を得た。
・・・略・・・
[0372][化89]
[図:0001427623000121.jpg]
[0373](実施例1:感光性樹脂組成物(1)の調製)
合成例1で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)24.6質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.3質量部、合成例3で得た光重合開始剤(M31)10質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.3質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5質量部、フタロシアニングリーン0.7質量部を配合し、ロールミルにより混錬して感光性樹脂組成物(1)を得た。
[0374](実施例2及び3:感光性樹脂組成物(2)及び(3)の調製)
実施例1で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)及び光重合開始剤(M31)を、表13に示した組成に代えた以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物(2)及び(3)を得た。
・・・略・・・
[0376] 上記の実施例1~3で得られた感光性樹脂組成物(1)~(3)・・・略・・・を用いて、下記の評価を行った。
[0377][光感度の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、乾燥させた塗膜上にコダック社製「ステップタブレットNo.2」を乗せ、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した。これを1%の炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、ステップタブレット法に基づきステップタブレットの残存段数にて評価した。なお、残存段数が多いほど光感度が高いことを示す。
[0378][アルカリ現像性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布した後、80℃でそれぞれ30分間、40分間、50分間、60分間、70分間、80分間、90分間、100分間乾燥させ、乾燥時間が異なるサンプルを作成した。これらを1%炭酸ナトリウム水溶液で30℃180秒間現像し、基板上に残渣が残らなかったサンプルの80℃での乾燥時間を乾燥管理幅として下記の評価基準で評価した。なお、乾燥管理幅が長いほどアルカリ現像性が優れていることを示す。
[0379] ○:乾燥管理幅が、60分以上であった。
×:乾燥管理幅が、60分未満であった。
[0380] 実施例1~3で調製した感光性樹脂組成物(1)~(3)・・・略・・・の組成及び評価結果を表13に示す。
[0381]
[表13]
[図:0001427623000122.jpg]
[0382](実施例4:感光性樹脂組成物(4)の調製)
合成例1で得た酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)24.6質量部、合成例3で得た光重合開始剤(M31)10質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.3質量部を配合して感光性樹脂組成物(4)を得た。
[0383](実施例5及び6:感光性樹脂組成物(5)及び(6)の調製)
実施例4で用いた酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)及び光重合開始剤(M31)を、表14に示した組成に代えた以外は、実施例4と同様にして感光性樹脂組成物(5)及び(6)を得た。
・・・略・・・
[0385] 上記の実施例4~6で得られた感光性樹脂組成物(4)~(6)・・・略・・・を用いて、下記の評価を行った。
[0386][耐熱性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した後、200℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物から6mm×35mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる温度をガラス転移温度として評価した。なお、ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れていることを示す。
[0387][アウトガスの測定方法]
各実施例及び比較例で得られた感光性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて500mJ/cm2の紫外線を照射した後、200℃で1時間加熱して、硬化物をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物より粉末サンプルを採取し、ゲステル社製加熱脱着装置(TDU)に入れた。その後(1)150℃の熱抽出温度で10分間アウトガス成分を、(2)260℃の熱抽出温度で10分間アウトガス成分を、それぞれ液体窒素を用いて-60℃で捕集した。捕集したアウトガス成分は、アジレントテクノロジー社製ガスクロマトグラフィー質量分析装置(6890N/5973N)で分離分析を行い、n-ドデカン換算で定量し、以下の評価基準で評価した。
[0388] ◎:アウトガス成分はほとんど確認されなかった。
○:アウトガス成分が少し確認された。
△:アウトガス成分が確認された。
×:多量のアウトガス成分が確認された。
[0389] 実施例4~6で調製した感光性樹脂組成物(4)~(6)・・・略・・・の組成及び評価結果を表14に示す。
[0390][表14]
[図:0001427623000123.jpg]
[0391] なお、表13及び14中の「硬化剤」は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214g/当量)を示す。
[0392] 表13及び14中の「有機溶剤」は、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを示す。」
(2) 先願3明細書等に記載された発明
上記(1)の先願3明細書等の[0329]の「合成例1:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)の合成」の記載、[0331]~[0355]の「合成例3:光重合開始剤(M31)の合成」の記載、[0373]の「実施例1:感光性樹脂組成物(1)の調製」の記載、及び、[0381][表13](実施例1~3で調製した感光性樹脂組成物(1)~(3)の組成及び評価結果)の記載からみて、先願3明細書等には、実施例1([0373])で調製された「感光性樹脂組成物(1)」の発明として、次の発明(以下「先願3発明」という。)が記載されていると認められる。
「 フラスコに、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート101質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量;214g/eq)428質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン4質量部、熱重合禁止剤としてメトキノン0.4質量部加えた後、アクリル酸144質量部、トリフェニルホスフィン1.6質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間エステル化反応を行ない、その後、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート311質量部、テトラヒドロ無水フタル酸160質量部を加え110℃で2.5時間反応させて、酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)を得て、([0329])
下記構造式で表される中間体(106)を得て、
[図:0001427623000124.jpg]
([0349][化84],[0350])
フラスコに、中間体(106)17.4gとエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製M3130)25.7gとp-メトキシフェノール43mgとエタノール150mLを加え、50℃で24時間撹拌し、減圧留去により溶媒を除去して、下記構造式で表される光重合開始剤(M31)を得て、
[図:0001427623000125.jpg]
([0355][化85],[0353])
上記酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)100質量部、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)24.6質量部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.3質量部、上記光重合開始剤(M31)10質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.3質量部、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5質量部、フタロシアニングリーン0.7質量部を配合し、ロールミルにより混錬して、([0373])
調製された、感光性樹脂組成物(1)。」
(3) 本願発明について
ア 対比
本願発明と、先願3発明を対比する。
(ア) (A)カルボキシル基含有樹脂
先願3発明の「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」は、その合成工程からみて(特に、「テトラヒドロ無水フタル酸」等)、カルボキシル基を酸基として含有する樹脂といえる。
そうすると、先願3発明の「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」は、本願発明の「(A)カルボキシル基含有樹脂」に相当する。
(イ) (B)光重合性モノマー
上記1(3)ア(イ)より、先願3発明の「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート」は、本願発明の「(B)光重合性モノマー」に相当する。
また、先願3発明は、本願発明の、「前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリロイル基からなる光重合性基を有し」との構成を具備する。
(ウ) (C)光重合開始剤
a 先願3発明の「光重合開始剤(M31)」は、本願発明の「(C)光重合開始剤」に相当する。
また、先願3発明の「光重合開始剤(M31)」は、「中間体(106)」「とエチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製M3130)」「とp-メトキシフェノール」「とエタノール」「を加え、50℃で24時間撹拌し、減圧留去により溶媒を除去して」得られたものである。
ここで、「中間体(106)」の構造式は、以下のものである。
[図:0001427623000126.jpg]
また、「光重合開始剤(M31)」の構造式は、以下のものである。
[図:0001427623000127.jpg]
b ここで、先願3明細書の、
[0251]の「[工程VI] 次いで、最終の反応として、[工程V]で得られた中間体化合物Cの構造末端に位置する二級アミンに対して、(メタ)アクリル酸エステル化合物、イソシアン酸エステル、グリシジルエーテル、又はアルキルハライドと反応させることにより前記一般式(1)で表される化合物を製造することができる。具体的には、[工程VI]は、中間体化合物Cに反応させる化合物により以下の(工程VI-1)~(工程VI-9)に分類することができる。」との記載、及び、
[0293]~[0302]の記載、特に、[0298]の「(工程VI-8)における、マイケル付加反応は、公知慣用の反応条件で行うことができる。一般的な方法としては、前記中間体化合物Cと、前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-8r)で表される化合物とを、反応容器中、0~150℃で混合し、反応させる方法が挙げられる。」、[0302]の「前記マイケル受容体としての機能を有する前記構造式(y1-8r)で表される化合物の例としては、・・・トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートおよびそのエチレンオキシド・・・略・・・等のアルキレンオキシド変性物・・・略・・・が挙げられる」との記載からみて、
先願3発明の「光重合開始剤(M31)」は、「中間体(106)」と「マイケル受容体としての機能を有する」「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート」との「マイケル付加反応」物であると理解できる。
c 上記1(3)ア(ウ)bで示したα-アセトアミノフェノンの構造式及び上記aより、先願3発明の「中間体(106)」は、本願発明の「α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物」に相当する。
d 「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート」との名称から理解される構造式からみて、先願3発明の「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製M3130)」は、本願発明の「(メタ)アクリロイル基含有化合物」に相当する。
e 上記a~dより、先願3発明は、本願発明の、「前記(C)光重合開始剤が、α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物と(メタ)アクリロイル基含有化合物とのマイケル付加反応物である」との構成を具備する。
(エ) (D)熱硬化性成分
上記1(3)ア(エ)aより、先願3発明の「オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)」は、本願発明の「(D)熱硬化性成分」に相当する。
(オ) 感光性樹脂組成物
上記(ア)~(エ)より、先願3発明の「感光性樹脂組成物(1)」は、本願発明の「感光性樹脂組成物」に相当する。
また、本願発明の「感光性樹脂組成物」と、先願2発明の「感光性樹脂組成物(1)」は、
「(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)熱硬化性成分と、を含んでなる感光性樹脂組成物」である点で共通する。
イ 一致点及び相違点
上記アより、本願発明と、先願3発明は、
「(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)熱硬化性成分と、を含んでなる感光性樹脂組成物であって、
前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリロイル基からなる光重合性基を有し、
前記(C)光重合開始剤が、α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物と(メタ)アクリロイル基含有化合物とのマイケル付加反応物である、感光性樹脂組成物。」の構成で一致し、以下の点で一応相違する。
(一応の相違点3-1)
本願発明は、「硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイトおよびタルクからなる群より選択される少なくとも1種のフィラー」「を含んでなる」のに対して、先願3発明は、「フィラー」を含んでいない点。
ウ 判断
一応の相違点3-1について検討する。
(ア) 先願3明細書等でいう本発明(「感光性樹脂組成物」)は、
「高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物」、「ソルダーレジスト用樹脂材料」を提供すること([0007])であるところ、
先願3発明の「感光性樹脂組成物(1)」は、光重合開始剤として、(マイケル付加反応物である)「M31」の構造式を有するものとして、「高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物が得られる」([0167])ことより、上記の課題を解決したものである([0014]、[0167]、[0234]、[0322]等)。
(合議体注:中間体(106)、光重合開始剤(M31)の構造式の再掲は省略。)
(イ) ここで、先願3明細書等の[0319]には、「本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤を含有することもできる。」、[0323]には、「本発明のソルダーレジスト用樹脂材料は、前記感光性樹脂組成物に、必要に応じて、例えば、硬化剤、硬化促進剤、有機溶剤、無機微粒子やポリマー微粒子、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、難燃剤、保存安定化剤等の各種添加剤等を用いることができる。」との記載があるところ、
感光性樹脂組成物や感光性樹脂組成物からなるソルダーレジスト用樹脂材料の技術分野において、必要に応じて、感光性樹脂組成物に、フィラーとして、例えば、硫酸バリウム、球状シリカ、タルク及びハイドロタルサイト等を含有させることによって、その硬化物の機械・物理的特性、密着性、耐熱性(例えば、硬度あるいは機械的強度や、線膨張係数、硬化収縮あるいは反りの抑制)等を向上させることは、上記1(3)ウ(イ)に記載したとおり、先の出願時の周知技術である。
(ウ) そして、上記周知技術を熟知する当業者は、先願3明細書等の上記[0319]及び[0323]の記載の、感光性樹脂組成物に、必要に応じて、含有させることができるとされる「無機微粒子」とは、硬化物の機械・物理的特性、密着性、耐熱性等の向上させる無機フィラーを意味すると当然理解するところ、
先願3発明の「感光性樹脂組成物(1)」を、硫酸バリウム、球状シリカ、ハイドロタルサイト及びタルクからなる群より選択される少なくとも1種のフィラーを含む構成とすることは、上記(ア)で述べた「高い光感度及び硬化物における優れた耐熱性を有し、かつ、アウトガスが生じにくい感光性樹脂組成物」、「ソルダーレジスト用樹脂材料」を提供するとの課題解決のための具体化手段における微差(周知技術の付加であって、新たな効果を奏するものではないもの)にすぎない。
よって、本願発明と先願3発明は、実質的に同一である。
(エ) 審判請求書における請求人の主張について
上記1(3)ウ(エ)に記載したとおり、請求人の主張を採用することはできない。
エ 先願3明細書等の他の記載(他の実施例)に基づく進歩性について
(ア) 実施例2に基づく進歩性
a 先願3実施例2発明
[0374]、[0381][表13]の実施例2の記載、及び、[0356]~[0372]の「合成例4:光重合開始剤(M32)の合成」の記載等から理解される、「光重合開始剤(M31)」を「光重合開始剤(M32)」とした点以外は、実施例1と同様にして得た([0265])、実施例2の「感光性樹脂組成物(2)」の発明を、以下「先願3実施例2発明」という。
b 対比
本願発明と、先願3実施例2発明の対比は、上記アと同様である。
すなわち、先願3実施例2発明の「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」は、本願発明の「(A)カルボキシル基含有樹脂」に相当する。
先願3実施例2発明の「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート」は、本願発明の「(B)光重合性モノマー」に相当し、先願3実施例2発明は、本願発明の、「前記(B)光重合性モノマーが(メタ)アクリロイル基からなる光重合性基を有し」との構成を具備する。
先願3実施例2発明の「中間体(110)」は、本願発明の「α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物」に相当する。
先願3実施例2発明の「エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(MIWON社製M3130)」は、本願発明の「(メタ)アクリロイル基含有化合物」に相当する。
先願3実施例2発明の「光重合開始剤(M32)」は、本願発明の「(C)光重合開始剤」に相当し、先願3実施例2発明は、本願発明の、「前記(C)光重合開始剤が、α-アミノアセトフェノン骨格を有する化合物と(メタ)アクリロイル基含有化合物とのマイケル付加反応物である」との構成を具備する。
先願3実施例2発明の「オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」)」は、本願発明の「(D)熱硬化性成分」に相当する。
先願3実施例2発明の「感光性樹脂組成物(2)」は、本願発明の「感光性樹脂組成物」に相当し、本願発明の「感光性樹脂組成物」と、先願3実施例2発明の「感光性樹脂組成物(2)」は、「(A)カルボキシル基含有樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)熱硬化性成分と、を含んでなる感光性樹脂組成物」である点で共通する。
c 一致点及び相違点
上記bより、本願発明と、先願3実施例2発明は、上記イで述べた一致点と同じ構成で一致し、上記イで抽出した一応の相違点3-1と同じ相違点で一応相違する。
d 判断
一応の相違点3-1については上記ウで述べたとおりである。
してみると、本願発明と先願3実施例2発明は、実質的に同一である。
(イ) 実施例3に基づく進歩性
a 先願3実施例3発明
[0374]、[0381][表13]の実施例3の記載、及び、[0331]~[0355]の「合成例3:光重合開始剤(M31)の合成」の記載、及び、[0330]の「合成例2:酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)の合成」の記載等から理解される、「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-1)」を「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)」とし、「硬化剤」の含有量を「22.6質量部」とし、「有機溶剤」の含有量を「12.2質量部」とし、「ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート」の含有量を「6.2質量部」とし、「フタロシアニングリーン」の含有量を「0.6質量部」とした点以外は、実施例1と同様にして得た、実施例3の「感光性樹脂組成物(3)」の発明を、以下「先願3実施例3発明」という。
b 対比
本願発明と、先願3実施例3発明の対比は、上記アと同様である。
すなわち、先願3実施例3発明の「酸基含有(メタ)アクリレート樹脂(A-2)」は、本願発明の「(A)カルボキシル基含有樹脂」に相当する。
c 一致点及び相違点
上記bより、本願発明と、先願3実施例3発明は、上記イで述べた一致点と同じ構成で一致し、上記イで抽出した一応の相違点3-1と同じ一応相違点で相違する。
d 判断
一応の相違点3-1については上記ウで述べたとおりである。
してみると、本願発明と先願3実施例3発明は、実質的に同一である。
オ 小括
以上のとおりであるから、本願発明と先願3明細書等に記載された発明は、実質的に同一である。
第5 むすび
以上のとおり、本件出願の請求項1に係る発明は、先の出願前の日を国際出願日とする国際特許出願(PCT/JP2019/012752号)であって、先の出願後に国際公開がされた国際特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者が上記国際特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件出願の出願の時において、その出願人が上記国際特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第184条の13で読み替えて適用する特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
また、本件出願の請求項1に係る発明は、先の出願前の日を国際出願日とする国際特許出願(PCT/JP2019/012753号)であって、その出願後に国際公開がされた国際特許出願の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、本件出願の発明者が上記国際特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、また本件出願の出願の時において、その出願人が上記国際特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第184条の13で読み替えて適用する特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-010815