2024-011788
磁力発電機
- 審判番号
- 2024-011788
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-517869外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年07月18日
- 審決日
- 2025年04月02日
- 公報発行日
- 2025年09月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】フアレス、マイケル、エー.
- 【請求人代理人】矢口 太郎
- 分類
- P18 .536-Z (H02K)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法36条4項1号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 6項目
第1 手続の経緯
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本願は、2019年(平成31年)4月22日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年7月11日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1~16に係る発明は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~16に記載された事項により特定されるものであって、その請求項1の記載は次のとおりである。(以下、本願の請求項1に係る発明を「本願発明」という。)
「【請求項1】自家動力式磁力発電機(self-powered magnetic generator)であって、第1端部固定ケースアセンブリであって、入口通路を画成する第1のハウジングと、続きを表示(全23行)前記入口通路の周上に配置された第1の複数の固定浮上磁石部材とを有し、前記第1の複数の固定浮上磁石部材の各々はN極を有するものである、前記第1端部固定ケースアセンブリと、回転アセンブリであって、前記第1端部固定ケースアセンブリの前記第1のハウジングにおける前記入口通路と動作可能に連通する第1の端部と、当該第1の端部の反対側にある第2の端部とを有するケーシングを有し、この回転アセンブリの前記第1の端部は、前記ケーシング内に配置された第1の複数の回転浮上磁石部材を有し、当該第1の複数の回転浮上磁石部材の各々はN極を有するものであり、前記第1の複数の回転浮上磁石部材の各々は、対応する前記第1の複数の固定浮上磁石部材と整列されているとともに近接して配置されており、これにより当該回転アセンブリの前記第1の端部は前記第1のハウジングの前記入口通路に対して磁気的に誘導された浮上位置に保持されるものである、前記回転アセンブリと、前記回転アセンブリの前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置され、前記回転アセンブリの外面から離れる方向に延長する複数の回転磁石であって、前記ケーシングを回転させるようになっているものである、前記複数の回転磁石と、中央部ケースハウジングを有する中央部固定ケースアセンブリであって、この中央部ケースハウジングは、内部領域を画成する環状形状と、軸方向の貫通孔を画成する内面であって、当該貫通孔を通って前記回転アセンブリの前記ケーシングが延長するものであり、当該内面には離間して配置された複数の窓部が形成されているものである、前記内面とを有する、前記中央部固定ケースアセンブリと、前記内面に沿って離間して配置されるとともに、前記窓部の各々に近接して配置された複数の中央磁石であって、前記回転アセンブリの前記複数の回転磁石と整列されるものであり、各中央磁石は、前記複数の回転磁石の各回転磁石の磁極と一致する磁極を有し、前記回転アセンブリは、前記複数の回転磁石および当該複数の中央磁石が近接して接触することで発生する反発力によって軸方向に回転するものである、前記複数の中央磁石と、を有する、自家動力式磁力発電機。」
第3 原査定の理由
令和6年3月11日付けの拒絶査定の理由は、
「請求項1~16に係る発明について、発明の詳細な説明の段落0028~0035及び出願時の技術常識を考慮しても、どのような機構を用いて「複数の回転磁石および当該複数の中央磁石が近接して接触することで発生する反発力」を「回転アセンブリを発電し得る程度に連続して回転させる力」に変換しているのか理解できない。出願人は意見書の3.において、使用時、制御ノブ(69)及びギア歯(68)の動作により内輪(60)を回転させて、各作動磁石(66)の磁力によって各磁石カバー(66)を外側に引っ張って各中央磁石(51)を露出すると、複数の回転磁石(48)および複数の中央磁石(51)の反発力によって回転アセンブリ(40)の連続的な回転が生じる旨主張している。しかし上記主張は、各中央磁石(51)が露出された後は、複数の回転磁石(48)および複数の中央磁石(51)の反発力のみによって回転アセンブリ(40)の連続的な回転が生じることを主張するものであり、エネルギー保存の法則に反するものである。よって、意見書における出願人の上記主張は採用できない。よって、この出願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1~16に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでない」から、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないというものである。
第4 当審の判断
1 明細書の発明の詳細な説明の記載が実施可能要件に適合するか否かは、発明の詳細な説明に、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が、発明の詳細な説明の記載及び出願時の技術常識に基いて、過度の試行錯誤を要することなく、その発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているか否かを検討して判断すべきものであり、物の発明について実施をすることができるとは、その物を作れ、かつ、その物を使用できることである。
2 本願発明は、「磁力により作動する自家動力式の発電機を提供すること、および電力効率を殆どまたは全く損失することなく、また継続的な費用を殆どまたは全く必要とせずに飛躍的な発電量を生成すること」(本願の願書に添付された明細書(以下「明細書」という。)段落0007)を目的とした「外部動力源を殆ど、または全く必要としない発電機」(明細書段落0001)である「自家動力式磁力発電機」に係る発明であって、本願発明を使用するためには、少なくとも、本願発明における回転アセンブリが、外部からエネルギーを受けることなく回転し続けること、すなわち、回転アセンブリに配置される複数の回転磁石が、複数の中央磁石によって回転アセンブリを回転させる方向に力を受け続ける必要がある。
ここで、本願発明において、複数の回転磁石は、「前記回転アセンブリの外面から離れる方向に延長する」ものであり、また、複数の中央磁石は、中央部固定ケースアセンブリが有する、中央部ケースハウジングが有する「軸方向の貫通孔を画成する内面」に「離間して配置され」たものであって、「前記回転アセンブリの前記複数の回転磁石と整列されるものであり」、「各中央磁石は、前記複数の回転磁石の各回転磁石の磁極と一致する磁極を有」するものである。
そうすると、回転磁石と中央磁石とが対向して位置するときに、「前記複数の回転磁石および当該複数の中央磁石が近接して接触することで発生する反発力」は、それぞれの回転磁石が延長する方向とは逆方向の、回転アセンブリの外面に向かう方向の力であって、回転アセンブリを回転させる方向の力ではない。
また、隣接する中央磁石の間、すなわち対向する位置からずれた位置に回転磁石が位置するときに、一の中央磁石から回転アセンブリをある方向(回転磁石を一の中央磁石から遠ざける方向)に回転させる反発力を受けるものの、他の中央磁石からは、回転アセンブリを逆方向に回転させる反発力も受けるから、複数の回転磁石は、複数の中央磁石によって回転アセンブリを回転させる方向に力を受け続けない。
そして、明細書の発明の詳細な説明には、回転磁石と中央磁石との位置関係、及び、回転磁石が中央磁石から受ける力の方向についての記載がないから、「回転アセンブリに配置される複数の回転磁石が、複数の中央磁石によって回転アセンブリを回転させる方向に力を受け続ける」ことについての開示があるとはいえない。
加えて、外部からエネルギーを受けることなく、電力としてエネルギーを取り出すこと、すなわち、自家動力によって発電することは、技術常識であるエネルギー保存の法則(「外部からの影響を受けない物理系(孤立系)においては、その内部でどのような物理的あるいは化学的変化が起っても、全体としてのエネルギーは不変である」という法則。無からエネルギーを創造し得ないことを示す、物理学の根本原理の一。(岩波書店、広辞苑第四版))に反する。
そうすると、明細書の発明の詳細な説明は、「自家動力式磁力発電機」に係る本願発明を、当業者がその実施、すなわちその使用をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
3 請求人の主張
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請求人は、審判請求書7ページ下から9行~8ページ下から7行で、明細書の段落0027、0028、0030、0031、0033~0035の記載に基づいて次の主張をした。
「(ア)上記記載から明らかなように、本願発明では、回転アセンブリ(40)の複数の回転磁石(48)の各々は同一の磁極を有し、中央部固定ケースアセンブリ(50)の複数の中央磁石(51)の各々は同一の磁極を有するとともに、複数の回転磁石(48)と同じ磁極(すなわち、回転磁石(48)がN極である場合N極、S極である場合S極)を有するように構成されているものであります。また、中央部ケースハウジング(52)内の内輪(60)(図14b、図15bを参照)の径方向外側に延長した複数の作動磁石(64)は、N極およびS極の対として配置されており、当該内輪(60)と中央部ケースハウジング(52)の軸方向の貫通孔を画成する内面(54)との中間に配置されている複数の磁石カバー(66)は、S極を有するものとN極を有するものにより構成されています(図14a~図16cを参照)。(イ)そして、このような構成において、制御ノブ69およびギア歯68(図16bを参照)の動作により、内輪60が一方の方向に回転され、内輪60に形成されたスロット62の各々が複数の中央磁石51のうち対応する中央磁石(51)と整列されると、各中央磁石(51)に対応する磁石カバー(66)(図12bを参照)が、中央部ケースハウジング(52)の内面(54)に形成された複数の窓部(57)(図12aを参照)を通して反対の極を有する作動磁石(64)に向かって径方向外側に吸引され、各中央磁石(51)が露出されることで、回転アセンブリ(40)の回転が可能となるものです(図12aに示す状態)。すなわち、回転アセンブリ(40)の回転磁石(48)と同じ磁極を有する中央磁石(51)が回転磁石(48)に近接して露出されることにより反発力が発生し、回転アセンブリ(40)の連続的な回転が可能となるものであります。(ウ)上述したように、磁石同士の反発力によって回転が生じる原理は、基礎物理学の範疇であり、物理学、磁気学、発電について高度な理解を有すると考えられる、当該分野の当業者であれば、周知の原理であるものと思量いたします。したがって、当業者であれば、本願の発明の詳細な説明の上記段落に基づいて、請求項1に係る発明の「前記回転アセンブリ(40)」が、「複数の回転磁石(48)および当該複数の中央磁石(51)が近接して接触することで発生する反発力によって軸方向に回転する」原理を明確に理解するものであると思量いたします。」
しかしながら、明細書の発明の詳細な説明の当該箇所には、各中央磁石(51)と磁石カバー(66)との関係については記載されているものの、上記2のとおり、複数の回転磁石が、複数の中央磁石と「近接して接触すること」によって、回転アセンブリを回転させる方向の力を受け続けることについて何ら開示するものではないから、請求人の主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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