特許拒絶査定不服審判
2024-011231
積層型キャパシタ及びその実装基板
- 審判番号
- 2024-011231
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-073151
- 請求日
- 2024年07月05日
- 審決日
- 2025年04月14日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
- 【請求人代理人】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 篠原 功一
- 審判官 畑中 博幸
- 審判官 渡辺 努
- 分類
- P18 .121-Z (H01G) / P18 .573-Z (H01G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 73151「積層型キャパシタ及びその実装基板」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 6月24日出願公開、特開2021- 97202〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)4月15日(パリ条約による優先権主張 2019年12月13日(KR)大韓民国)の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年10月31日付け:拒絶理由通知書
令和6年 1月11日 :意見書、手続補正書の提出
令和6年 4月 9日付け:拒絶査定
令和6年 7月 5日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年11月12日 :上申書の提出
第2 本件補正について
1 補正の概要
令和6年7月5日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)は、令和6年1月11日に手続補正された特許請求の範囲の請求項5に記載された発明特定事項により特定される、
「【請求項5】
互いに対向する第1及び第2面、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、及び第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、第1及び第2面を連結する第1方向に交互に積層される第1及び第2誘電体層、及び複数の第1内部電極及び複数の第2内部電極を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第1面において互いに離隔するように配置される第1及び第2外部電極と、
前記キャパシタ本体内において、前記複数の第1内部電極と第1外部電極を接続する第1ビア電極と、
前記キャパシタ本体内において、前記複数の第2内部電極と第2外部電極を接続する第2ビア電極と、を含み、
1つの第1誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、1つの第2誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、且つ第1方向に前記第1誘電体層の第1内部電極と前記第2誘電体層の第2内部電極が互いに重なり、第1方向に前記第1誘電体層の第2内部電極と前記第2誘電体層の第1内部電極が互いに重なるように、前記第1誘電体層と第2誘電体層が第1方向に交互に積層され、
前記第1内部電極は、
前記第1誘電体層に配置される第1-1内部電極と、前記第1-1内部電極の端部に接続されて第5及び第6面を連結する第2方向に延長され、前記第1ビア電極と接続される第1-1接続部と、
前記第2誘電体層における前記第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される2つの第1-2内部電極と、前記複数の第1-2内部電極のそれぞれの端部と接続されて前記第2方向に延長され、前記第1-1接続部と第1方向に重なって前記第1ビア電極と接続される第1-2接続部と、を含み、
前記第1-1接続部及び前記第1-2接続部は、前記キャパシタ本体の前記第3面から離隔して形成され、
前記第2内部電極は、
前記第1誘電体層における前記複数の第1-2内部電極と第1方向にそれぞれ重なるように配置される複数の第2-1内部電極と、前記複数の第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2ビア電極と接続される第2-1接続部と、
前記第2誘電体層における前記第1-1内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-2内部電極と、前記第2-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2-1接続部と第1方向に重なって前記第2ビア電極と接続される第2-2接続部と、を含み、
前記第2-1接続部及び前記第2-2接続部は、前記キャパシタ本体の第4面から離隔して形成され、積層型キャパシタ。」
との発明を、
「【請求項5】
互いに対向する第1及び第2面、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、及び第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、第1及び第2面を連結する第1方向に交互に積層される第1及び第2誘電体層、及び複数の第1内部電極及び複数の第2内部電極を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第1面において互いに離隔するように配置される第1及び第2外部電極と、
前記キャパシタ本体内において、前記複数の第1内部電極と第1外部電極を接続する第1ビア電極と、
前記キャパシタ本体内において、前記複数の第2内部電極と第2外部電極を接続する第2ビア電極と、を含み、
1つの第1誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、1つの第2誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、且つ第1方向に前記第1誘電体層の第1内部電極と前記第2誘電体層の第2内部電極が互いに重なり、第1方向に前記第1誘電体層の第2内部電極と前記第2誘電体層の第1内部電極が互いに重なるように、前記第1誘電体層と第2誘電体層が第1方向に交互に積層され、
前記第1内部電極は、
前記第1誘電体層に配置される第1-1内部電極と、前記第1-1内部電極の端部に接続されて第5及び第6面を連結する第2方向に延長され、前記第1ビア電極と接続される第1-1接続部と、
前記第2誘電体層における前記第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される2つの第1-2内部電極と、前記2つの第1-2内部電極のそれぞれの端部と接続されて前記第2方向に延長され、前記第1-1接続部と第1方向に重なって前記第1ビア電極と接続される第1-2接続部と、を含み、
前記第1-1接続部及び前記第1-2接続部は、前記キャパシタ本体の前記第3面から離隔して形成され、
前記第2内部電極は、
前記第1誘電体層における前記2つの第1-2内部電極と第1方向にそれぞれ重なるように配置される2つの第2-1内部電極と、前記2つの第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2ビア電極と接続される第2-1接続部と、
前記第2誘電体層における前記第1-1内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-2内部電極と、前記第2-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2-1接続部と第1方向に重なって前記第2ビア電極と接続される第2-2接続部と、を含み、
前記第2-1接続部及び前記第2-2接続部は、前記キャパシタ本体の第4面から離隔して形成され、積層型キャパシタ。」
との発明とする補正である。なお、下線部は、補正箇所を示す。
2 補正の適否
(1)本件補正の補正事項
請求項5に係る本件補正は、以下の補正事項からなる。
ア 補正前の請求項5に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1-2接続部」に関し、「前記複数の第1-2内部電極のそれぞれの端部と接続されて前記第2方向に延長され、前記第1-1接続部と第1方向に重なって前記第1ビア電極と接続される第1-2接続部」との記載を、「前記2つの第1-2内部電極のそれぞれの端部と接続されて前記第2方向に延長され、前記第1-1接続部と第1方向に重なって前記第1ビア電極と接続される第1-2接続部」との記載に補正する。
イ 補正前の請求項5に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2-1内部電極」に関し、「前記第1誘電体層における前記複数の第1-2内部電極と第1方向にそれぞれ重なるように配置される複数の第2-1内部電極」との記載を、「前記第1誘電体層における前記2つの第1-2内部電極と第1方向にそれぞれ重なるように配置される2つの第2-1内部電極」との記載に補正する。
ウ 補正前の請求項5に記載された発明を特定するために必要な事項である「第2-1接続部」に関し、「前記複数の第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2ビア電極と接続される第2-1接続部」との記載を、「前記2つの第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2ビア電極と接続される第2-1接続部」との記載に補正する。
(2)本件補正に対する判断
ア 補正事項アについて
補正前の請求項5には、「前記第2誘電体層における前記第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される2つの第1-2内部電極」との記載から、該「第1-2内部電極」は「2つ」配置されると理解できる。
そして、補正前の請求項5において、上記記載に続く「前記複数の第1-2内部電極のそれぞれの端部と接続され・・・る第1-2接続部」との記載からすれば、「前記複数の第1-2内部電極」の「前記」が、「2つの第1-2内部電極」を指していることは明らかである。
さらに、本願明細書の段落【0074】に「図6(a)及び図6(b)を参照すると、上記第1内部電極は、第1誘電体層111に配置される第1ー1内部電極141aと、第2誘電体層112においてZ方向に第1ー1内部電極141aと重ならないように配置される2つの第1ー2内部電極142、143と、を含む。」と、同段落【0076】に「第1ー2接続部144は、2つの第1ー2内部電極142、143の端部と接続され」と、それぞれ接続されている。
してみると、補正前の請求項5の「前記複数の第1-2内部電極」は「前記2つの第1-2内部電極」の誤記であり、上記補正事項アは、令和6年7月5日提出の審判請求書6頁において請求人が主張するとおり,誤記を訂正するものである。
イ 補正事項イについて
上記アで述べた理由と同様に、「前記第1誘電体層における前記複数の第1-2内部電極」は「前記第1誘電体層における前記2つの第1-2内部電極」の誤記であるといえる。
また、補正前の請求項5に記載された「第2-1内部電極」は、2つの「第1-2内部電極」と「それぞれ重なるように配置される」ことから、「複数の第2-1内部電極」は「2つの第2-1内部電極」の誤記であると解され、さらに、本願明細書の段落【0078】には「上記第2内部電極は、第1誘電体層111に2つの第1ー2内部電極142、143とZ方向にそれぞれ重なるように配置される2つの第2ー1内部電極151、152・・・、を含む。」と記載されている。
してみると、上記補正事項イも、誤記を訂正するものといえる。
ウ 補正事項ウについて
上記イで述べた理由と同様に、「前記複数の第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2ビア電極と接続される第2-1接続部」は、「前記2つの第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2ビア電極と接続される第2-1接続部」の誤記であるといえる。
してみると、上記補正事項ウも、誤記を訂正するものといえる。
(3)まとめ
以上から、本件補正は、特許法第17条の2第5項第3号に掲げる、誤記の訂正を目的とする補正であるから、請求項5に係る本件補正は適法になされたものである。
また、本件補正は、誤記の訂正を目的とする補正であるので、独立特許要件の検討は必要としない。
第3 本願発明
第2で述べたとおり、請求項5に係る本件補正は適法になされたものといえるから、本願発明は、令和6年7月5日になされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
互いに対向する第1及び第2面、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、及び第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向す第5及び第6面を含み、第1及び第2面を連結する第1方向に交互に積層される第1及び第2誘電体層、及び複数の第1内部電極及び複数の第2内部電極を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体の第1面において互いに離隔するように配置される第1及び第2外部電極と、
前記キャパシタ本体内において、前記複数の第1内部電極と第1外部電極を接続する第1ビア電極と、
前記キャパシタ本体内において、前記複数の第2内部電極と第2外部電極を接続する第2ビア電極と、を含み、
1つの第1誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、1つの第2誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、且つ第1方向に前記第1誘電体層の第1内部電極と前記第2誘電体層の第2内部電極が互いに重なり、第1方向に前記第1誘電体層の第2内部電極と前記第2誘電体層の第1内部電極が互いに重なるように、前記第1誘電体層と第2誘電体層が第1方向に交互に積層され、
前記第1内部電極は、
前記第1誘電体層に配置される第1-1内部電極と、前記第1-1内部電極の端部に接続されて第5及び第6面を連結する第2方向に延長され、前記第1ビア電極と接続される第1-1接続部と、
前記第2誘電体層において前記第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される第1-2内部電極と、前記第1-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第1-1接続部と第1方向に重なって前記第1ビア電極と接続される第1-2接続部と、を含み、
前記第1-1接続部及び前記第1-2接続部は、前記キャパシタ本体の前記第3面から離隔して形成され、
前記第2内部電極は、
前記第1誘電体層における前記第1-2内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-1内部電極と、前記第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2ビア電極と接続される第2-1接続部と、
前記第2誘電体層に前記第1-1内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-2内部電極と、前記第2-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2-1接続部と第1方向に重なって前記第2ビア電極と接続される第2-2接続部と、を含み、
前記第2-1接続部及び前記第2-2接続部は、前記キャパシタ本体の第4面から離隔して形成される、積層型キャパシタ。」
第4 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、請求項1に係る拒絶の理由の概要は、次のとおりである。
理由1.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
<引用文献等一覧>
1.特開2000-311830号公報
2.特開2012-9813号公報
第5 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1について
(1)引用文献1(特開2000-311830号公報)には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
「【0021】
【発明の実施の形態】図1および図2は、この発明の第1の実施形態による積層コンデンサ1を示している。
【0022】積層コンデンサ1は、積層された複数の誘電体層2およびこれら誘電体層2間の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極3~6を含む、コンデンサ本体7と、コンデンサ本体7の相対向する第1および第2の端面8および9上にそれぞれ形成される、第1および第2の外部電極10および11とを備えている。
・・・(中略)・・・。
【0024】内部電極3~6は、以下に説明するように、4種類に分類される。
【0025】第1の内部電極3は、誘電体層2間の第1の界面12に沿ってそれぞれ形成されながら、第1の外部電極10に電気的に接続される。
【0026】第2の内部電極4は、第1の内部電極3と同様、誘電体層2間の第1の界面12に沿ってそれぞれ形成されながら、第2の外部電極11に電気的に接続される。
【0027】第3の内部電極5は、誘電体層2間の第2の界面13に沿ってそれぞれ形成されながら、第1の外部電極10に電気的に接続される。
【0028】第4の内部電極6は、第3の内部電極5と同様、誘電体層2間の第2の界面13に沿ってそれぞれ形成されながら、第2の外部電極11に電気的に接続される。
【0029】これら第1ないし第4の内部電極3~6は、それぞれ、細幅先端部14~17を有している。
【0030】そして、第1の内部電極3の細幅先端部14と第2の内部電極4の細幅先端部15とは、コンデンサ本体7の第1および第2の端面8および9間を結ぶ方向(この実施形態では長手方向)とは直交する方向(幅方向)において隣り合うように位置されている。また、第3の内部電極5の細幅先端部16と第4の内部電極6の細幅先端部17とについても、幅方向において隣り合うように位置されている。
【0031】また、第1および第2の界面12および13間の誘電体層2を介して、第1の内部電極3の細幅先端部14と第4の内部電極6の細幅先端部17とが互いに対向し、かつ、第2の内部電極4の細幅先端部15と第3の内部電極5の細幅先端部16とが互いに対向している。そして、図2に示すように、第1および第2の内部電極3および4と第3および第4の内部電極5および6との交互の積み重ねが複数回繰り返される。」
「【図1】
[図:0001427629000001.jpg]
「【図2】
[図:0001427629000002.jpg]
(2)引用文献1の上記記載によれば、次の事項が記載されている。
ア 段落【0021】によれば、引用文献1には積層コンデンサ1が記載されている。
イ 段落【0022】によれば、積層コンデンサ1は、積層された複数の誘電体層2およびこれら誘電体層2間の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極3~6を含む、コンデンサ本体7を備えている。
また、段落【0022】の「コンデンサ本体7の相対向する第1および第2の端面8および9」、段落【0030】の「コンデンサ本体7の第1および第2の端面8および9間を結ぶ方向(この実施形態では長手方向)」との記載によれば、コンデンサ本体7は、長手方向に対向する第1および第2の端面8、9を有する。
そして、段落【0030】に「第1および第2の端面8および9間を結ぶ方向(この実施形態では長手方向)とは直交する方向(幅方向)」と記載されているところ、図1によれば、コンデンサ本体7は、その幅方向に対向する両側面を有することが見て取れる。
さらに、図1、図2によれば、コンデンサ本体7は、複数の誘電体層2の積層方向に対向する上面及び下面を有することが見て取れる。
してみると、積層コンデンサ1は、積層された複数の誘電体層2およびこれら誘電体層2間の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極3~6を含み、誘電体層2の積層方向に対向する上面及び下面、長手方向に対向する第1および第2の端面8、9、及び、幅方向に対向する両側面を有するコンデンサ本体7を備えるといえる。
ウ 段落【0022】によれば、積層コンデンサ1は、コンデンサ本体7の相対向する第1および第2の端面8および9上にそれぞれ形成される、第1および第2の外部電極10および11を含む。
エ 段落【0025】ないし【0028】によれば、第1の内部電極3は、誘電体層2間の第1の界面12に沿ってそれぞれ形成されながら、第1の外部電極10に電気的に接続され、第2の内部電極4は、第1の内部電極3と同様、誘電体層2間の第1の界面12に沿ってそれぞれ形成されながら、第2の外部電極11に電気的に接続され、第3の内部電極5は、誘電体層2間の第2の界面13に沿ってそれぞれ形成されながら、第1の外部電極10に電気的に接続され、第4の内部電極6は、第3の内部電極5と同様、誘電体層2間の第2の界面13に沿ってそれぞれ形成されながら、第2の外部電極11に電気的に接続される。
オ 段落【0029】に「これら第1ないし第4の内部電極3~6は、それぞれ、細幅先端部14~17を有している。」と記載されているところ、図1、図2によれば、第1の内部電極3は、細幅先端部14と、該細幅先端部14の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極10と接続される拡幅部分を含み、第3の内部電極5は、細幅先端部14と誘電体層2の積層方向に対向しないように形成される細幅先端部16と、該細幅先端部16の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極10と接続される拡幅部分を含み、第2の内部電極4は、細幅先端部15と、該細幅先端部15の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極11と接続される拡幅部分を含み、第4の内部電極6は、細幅先端部17と、該細幅先端部17の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極11と接続される拡幅部分を含むことが見て取れる。
カ 【0030】ないし【0031】によれば、第1の内部電極3の細幅先端部14と第2の内部電極4の細幅先端部15とは、コンデンサ本体7の幅方向において隣り合うように位置され、また、第3の内部電極5の細幅先端部16と第4の内部電極6の細幅先端部17も、幅方向において隣り合うように位置され、第1および第2の界面12および13間の誘電体層2を介して、第1の内部電極3の細幅先端部14と第4の内部電極6の細幅先端部17とが互いに対向し、かつ、第2の内部電極4の細幅先端部15と第3の内部電極5の細幅先端部16とが互いに対向している。
キ 段落【0031】によれば、第1および第2の内部電極3および4と第3および第4の内部電極5および6との交互の積み重ねが複数回繰り返される。
(3)上記(2)によれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「積層された複数の誘電体層2およびこれら誘電体層2間の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極3~6を含み、誘電体層2の積層方向に対向する上面及び下面、長手方向に対向する第1および第2の端面8、9、及び、幅方向に対向する両側面を有するコンデンサ本体7と、
コンデンサ本体7の相対向する第1および第2の端面8および9上にそれぞれ形成される、第1および第2の外部電極10および11と、を含み、
第1の内部電極3は、誘電体層2間の第1の界面12に沿ってそれぞれ形成されながら、第1の外部電極10に電気的に接続され、
第2の内部電極4は、第1の内部電極3と同様、誘電体層2間の第1の界面12に沿ってそれぞれ形成されながら、第2の外部電極11に電気的に接続され、
第3の内部電極5は、誘電体層2間の第2の界面13に沿ってそれぞれ形成されながら、第1の外部電極10に電気的に接続され、
第4の内部電極6は、第3の内部電極5と同様、誘電体層2間の第2の界面13に沿ってそれぞれ形成されながら、第2の外部電極11に電気的に接続され、
第1の内部電極3は、細幅先端部14と、該細幅先端部14の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極10と接続される拡幅部分を含み、
第3の内部電極5は、細幅先端部14と誘電体層2の積層方向に対向しないように形成される細幅先端部16と、該細幅先端部16の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極10と接続される拡幅部分を含み、
第2の内部電極4は、細幅先端部15と、該細幅先端部15の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極11と接続される拡幅部分を含み、
第4の内部電極6は、細幅先端部17と、該細幅先端部17の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極11と接続される拡幅部分を含み、
第1の内部電極3の細幅先端部14と第2の内部電極4の細幅先端部15とは、コンデンサ本体7の幅方向において隣り合うように位置され、また、第3の内部電極5の細幅先端部16と第4の内部電極6の細幅先端部17も、幅方向において隣り合うように位置され、
第1および第2の界面12および13間の誘電体層2を介して、第1の内部電極3の細幅先端部14と第4の内部電極6の細幅先端部17とが互いに対向し、かつ、第2の内部電極4の細幅先端部15と第3の内部電極5の細幅先端部16とが互いに対向し、
第1および第2の内部電極3および4と第3および第4の内部電極5および6との交互の積み重ねが複数回繰り返される、積層コンデンサ1。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2(特開2012-9813号公報)には、図面とともに以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
「【0001】
本発明は、セラミック電子部品及びその製造方法に関する。特に、本発明は、配線基板に埋め込まれて使用される埋め込み型セラミック電子部品として好適に使用できるセラミック電子部品及びその製造方法に関する。」
「【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明の好ましい実施形態について、図1に示すセラミック電子部品1を例に挙げて説明する。但し、セラミック電子部品1は、単なる例示である。本発明は、以下に示すセラミック電子部品1及びその製造方法に何ら限定されない。
【0022】
図1は、第1の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的斜視図である。図2は、第1の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的側面図である。図3は、図1の線IIIーIIIにおける略図的断面図である。
・・・(中略)・・・。
【0024】
図1~図3及び図6に示すように、セラミック電子部品1は、セラミック素体10を備えている。
・・・(中略)・・・。
【0028】
セラミック素体10の形状は特に限定されない。本実施形態では、セラミック素体10は、直方体状に形成されている。図1~図3に示すように、セラミック素体10は、長さ方向L及び幅方向Wに沿って延びる第1及び第2の主面10a、10bを有する。セラミック素体10は、図1、図2及び図6に示すように、高さ方向H及び長さ方向Lに沿って延びる第1及び第2の側面10c、10dを有する。また、図2、図3及び図6に示すように、高さ方向H及び幅方向Wに沿って延びる第1及び第2の端面10e、10fを備えている。
・・・(中略)・・・。
【0031】
図3及び図6に示すように、セラミック素体10の内部には、略矩形状の複数の第1及び第2の内部電極11,12が高さ方向Hに沿って等間隔に交互に配置されている。第1及び第2の内部電極11,12のそれぞれは、第1及び第2の主面10a、10bと平行である。第1及び第2の内部電極11,12は、高さ方向Hにおいて、セラミック層10gを介して、互いに対向している。」
「【0078】
(第6の実施形態)
図13は、第6の実施形態に係るセラミック電子部品の略図的断面図である。
【0079】
上記第1の実施形態では、第1及び第2の内部電極11,12を第1または第2の端面10e、10fに引き出すと共に、第1及び第2の端面10e、10fの上に、第1または第2の外部電極13,14を形成することにより、第1及び第2の内部電極11,12を第1または第2の外部電極13,14と電気的に接続する例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。
【0080】
例えば、図13に示すように、ビアホール電極31,32を形成し、第1及び第2の内部電極11,12を第1及び第2の主面10a、10bに引き出し、第1及び第2の主面10a、10bにおいて、第1及び第2の外部電極13,14と電気的に接続させてもよい。この場合は、第1及び第2の外部電極13,14は、第1及び第2の主面10a、10bの少なくとも一方に形成されていればよく、第1及び第2の側面10c、10dや第1及び第2の端面10e、10fの上には、第1及び第2の外部電極13,14は、必ずしも形成されていなくてもよい。」
「【図1】
[図:0001427629000003.jpg]
」
「【図2】
[図:0001427629000004.jpg]
」
「【図3】
[図:0001427629000005.jpg]
」
「【図13】
[図:0001427629000006.jpg]
」
(2)引用文献2の上記記載によれば、次の事項が記載されている。
ア 段落【0001】によれば、引用文献2には、セラミック電子部品が記載されている。
イ 段落【0024】、【0028】によれば、セラミック電子部品は、直方体状に形成され、長さ方向及び幅方向に沿って延びる第1及び第2の主面と、高さ方向及び長さ方向に沿って延びる第1及び第2の側面と、高さ方向及び幅方向に沿って延びる第1及び第2の端面を備えるセラミック素体を有する。また、図1、図2によれば、第1の主面10aは上面であり、第2の主面10bは下面である。
そして、段落【0031】によれば、セラミック素体10の内部には、略矩形状の複数の第1及び第2の内部電極が高さ方向に沿ってセラミック層を介して交互に配置されている。
してみると、セラミック電子部品は、直方体状に形成され、長さ方向及び幅方向に沿って延びる上面である第1の主面及び下面である第2の主面と、高さ方向及び長さ方向に沿って延びる第1及び第2の側面と、高さ方向及び幅方向に沿って延びる第1及び第2の端面を備え、内部に略矩形状の複数の第1及び第2の内部電極が高さ方向に沿って等間隔に交互に配置され、第1及び第2の内部電極は高さ方向において、セラミック層を介して互いに対向しているセラミック素体を有するといえる。
ウ 段落【0079】には、第1の実施形態として、第1及び第2の内部電極を第1または第2の端面に引き出すと共に、第1及び第2の端面の上に、第1または第2の外部電極を形成することにより、第1及び第2の内部電極を第1または第2の外部電極と電気的に接続することが記載されている。
エ 段落【0080】には、第6の実施形態に関し、「ビアホール電極31,32を形成し、第1及び第2の内部電極11,12を第1及び第2の主面10a、10bに引き出し、第1及び第2の主面10a、10bにおいて、第1及び第2の外部電極13,14と電気的に接続させてもよい。この場合は、第1及び第2の外部電極13,14は、第1及び第2の主面10a、10bの少なくとも一方に形成されていればよく、第1及び第2の側面10c、10dや第1及び第2の端面10e、10fの上には、第1及び第2の外部電極13,14は、必ずしも形成されていなくてもよい」と記載されている。そして、図13によれば、セラミック素体10の内部に、複数の第1の内部電極11と接続されたビアホール電極31及び複数の第2の内部電極12と接続されたビアホール電極32形成し、各ビアホール電極31、32を第1及び第2の主面に引き出し、ビアホール電極31を第1及び第2主面に形成された第1の外部電極13a、13bに接続し、ビアホール電極32を第1及び第2主面に形成された第2の外部電極14a、14bに接続することが見て取れる。
してみると、引用文献2には、第6の実施形態として、セラミック素体の内部に、複数の第1の内部電極と接続された一方のビアホール電極及び複数の第2の内部電極12と接続された他方のビアホール電極を形成し、各ビアホール電極を第2の主面に引き出し、一方のビアホール電極31を第2主面に形成された第1の外部電極に接続し、他方のビアホール電極を第2主面に形成された第2の外部電極に接続することが記載されているといえる。
オ そして、図13によれば、第6の実施形態において、第1及び第2の内部電極が、第1及び第2の端面から離隔して形成されていることが看取される。
(3)上記(2)によれば、引用文献2には次の技術事項(以下、「引用文献2に記載された技術事項」という。)が記載されている。
「直方体状に形成され、長さ方向及び幅方向に沿って延びる上面である第1の主面及び下面である第2の主面と、高さ方向及び長さ方向に沿って延びる第1及び第2の側面と、高さ方向及び幅方向に沿って延びる第1及び第2の端面を備え、内部に略矩形状の複数の第1及び第2の内部電極が高さ方向に沿ってセラミック層を介して交互に配置されているセラミック素体を有するセラミック電子部品であって、
第1及び第2の内部電極を第1または第2の端面に引き出すと共に、第1及び第2の端面の上に、第1または第2の外部電極を形成することにより、第1及び第2の内部電極を第1または第2の外部電極と電気的に接続すること、又は、
セラミック素体の内部に、第1及び第2の内部電極を第1及び第2の端面から離隔して形成し、複数の第1の内部電極と接続された一方のビアホール電極及び複数の第2の内部電極12と接続された他方のビアホール電極を形成し、各ビアホール電極を第2の主面に引き出し、一方のビアホール電極31を第2主面に形成された第1の外部電極に接続し、他方のビアホール電極を第2主面に形成された第2の外部電極に接続すること。」
第6 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「コンデンサ本体7」は、「誘電体層2の積層方向に対向する上面及び下面」、「長手方向に対向する第1および第2の端面」、及び、「幅方向に対向する両側面」を有することから略直方体であるといえ、「長手方向に対向する第1および第2の端面」が「上面及び下面」と繋がり、「幅方向に対向する両側面」が「上面及び下面」と繋がり、「第1及び第2の端面」と繋がることは自明である。してみると、引用発明において、「誘電体層2の積層方向に対向する上面及び下面」、「上面及び下面」と繋がり、「長手方向に対向する第1および第2の端面」、及び「上面及び下面」と繋がり、「第1及び第2の端面」と繋がり、「幅方向に対向する両側面」は、本願発明の「互いに対向する第1及び第2面、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、及び第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面」に相当する。
また、引用発明の「コンデンサ本体7」に含まれる、「積層方向」に「積層された複数の誘電体層2」は、本願発明の「第1及び第2面を連結する第1方向に交互に積層される第1及び第2誘電体層」に相当する。
そして、引用発明の「コンデンサ本体7」に含まれる「誘電体層2間の複数の界面に沿ってそれぞれ形成される複数の内部電極3~6」において、「第1の内部電極3」及び「第3の内部電極5」は、それぞれ「第1の外部電極10」に接続されることから同電位の内部電極であり、本願発明の「複数の第1内部電極」に相当し、また、「第2の内部電極4」及び「第4の内部電極6」は、それぞれ「第2の外部電極11」に接続されることから同電位の内部電極であり、本願発明の「複数の第2内部電極」に相当する。
してみれば、引用発明において、「誘電体層2の積層方向に対向する上面及び下面」、「上面及び下面」と繋がり、「長手方向に対向する第1および第2の端面」、及び「上面及び下面」と繋がり、「第1及び第2の端面」と繋がり、「幅方向に対向する両側面」を含み、「積層方向」に「積層された複数の誘電体層2」、「第1の外部電極10」に接続される「第1の内部電極3」及び「第3の内部電極5」、及び、「第2の外部電極11」に接続される「第2の内部電極4」及び「第4の内部電極6」を含む「コンデンサ本体7」は、本願発明の「互いに対向する第1及び第2面、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、及び第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、第1及び第2面を連結する第1方向に交互に積層される第1及び第2誘電体層、及び複数の第1内部電極及び複数の第2内部電極を含むキャパシタ本体」に相当する。
イ 引用発明の「第1および第2の外部電極10および11」は、「コンデンサ本体7の相対向する第1および第2の端面8および9上にそれぞれ形成される」ものであるから、本願発明の「第1及び第2外部電極」とは、「前記キャパシタ本体において互いに離隔するように配置される」点で共通する。
ただし、第1及び第2外部電極に関し、本願発明は、キャパシタ本体の「第1面」に配置されるのに対し、引用発明は、コンデンサ本体7の「第1および第2の端面」にそれぞれ形成される点で相違する。
ウ 本願発明は、「キャパシタ本体内において、前記複数の第1内部電極と第1外部電極を接続する第1ビア電極と、前記キャパシタ本体内において、前記複数の第2内部電極と第2外部電極を接続する第2ビア電極と、を含」むのに対し、引用発明は、ビア電極を採用していない点で相違する。
エ 引用発明において、「第1の内部電極3」及び「第2の内部電極4」は、「誘電体層2間の第1の界面12に沿って」形成され、「第3の内部電極5」及び「第4の内部電極6」は、「誘電体層2間の第2の界面13に沿って」形成されていることから、「第1の内部電極3」及び「第2の内部電極4」は、一方の「誘電体層2」上に形成され、「第3の内部電極5」及び「第4の内部電極6」は、他方の「誘電体層2」上に形成されるといえる。
そして、引用発明では、「第1の内部電極3の細幅先端部14と第2の内部電極4の細幅先端部15とは、コンデンサ本体7の幅方向において隣り合うように位置され、また、第3の内部電極5の細幅先端部16と第4の内部電極6の細幅先端部17も、幅方向において隣り合うように位置され」ることから、「第1の内部電極3」と「第2の内部電極4」とは間隔を空けて形成され、「第3の内部電極5」と「第4の内部電極6」も間隔を空けて形成されているといえる。
また、引用発明では、「第1および第2の界面12および13間の誘電体層2を介して、第1の内部電極3の細幅先端部14と第4の内部電極6の細幅先端部17とが互いに対向し、かつ、第2の内部電極4の細幅先端部15と第3の内部電極5の細幅先端部16とが互いに対向している」ことから、誘電体層2の積層方向に「第1の内部電極3」と「第4の内部電極6」とが重なり、誘電体層2の積層方向に「第2の内部電極4」と「第3の内部電極5」とが重なるように、一方の誘電体層2と他方の誘電体層2が交互に積層されるといえる。
してみると、引用発明において、一方の「誘電体層2」上に「第1の内部電極3」及び「第2の内部電極4」が間隔を空けて形成され、他方の「誘電体層2」上に「第3の内部電極5」及び「第4の内部電極6」が間隔を空けて形成され、かつ、誘電体層2の積層方向に「第1の内部電極3」と「第4の内部電極6」とが重なり、誘電体層2の積層方向に「第2の内部電極4」と「第3の内部電極5」とが重なるように、一方の誘電体層2と他方の誘電体層2が交互に積層されることは、本願発明の「1つの第1誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、1つの第2誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、且つ第1方向に前記第1誘電体層の第1内部電極と前記第2誘電体層の第2内部電極が互いに重なり、第1方向に前記第1誘電体層の第2内部電極と前記第2誘電体層の第1内部電極が互いに重なるように、前記第1誘電体層と第2誘電体層が第1方向に交互に積層され」ることに相当する。
オ 引用発明において、一方の誘電体層2上に形成される「第1の内部電極3」に含まれる「細幅先端部14」は、本願発明の「第1誘電体層に配置される第1-1内部電極」に相当するといえ、「第1の内部電極3」に含まれる「拡幅部分」は、「コンデンサ本体7の幅方向に拡が」ることから、「第1の内部電極3」のうち、「細幅先端部14」がコンデンサ本体7の端部の外部電極に向かって連なる部分を、コンデンサ本体7の幅方向に延長したものとみることができる。
してみると、引用発明において、一方の誘電体層2上に形成される「第1の内部電極3」は、本願発明の「第1内部電極」が備える「前記第1誘電体層に配置される第1-1内部電極」と、「前記第1-1内部電極の端部に接続されて第5及び第6面を連結する第2方向に延長」され、「電極と接続される第1-1接続部」とを含んだものといえる。
また、引用発明において、他方の誘電体層2上に形成される「第3の内部電極5」に含まれる「細幅先端部16」は、本願発明の「第2誘電体層において前記第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される第1-2内部電極」に相当するといえ、引用発明の「第3の内部電極5」は、本願発明の「第1内部電極」が備える「前記第2誘電体層において前記第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される第1-2内部電極」と、「前記第1-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第1-1接続部と第1方向に重なって」「電極と接続される第1-2接続部」とを含んだものといえる。
そして、上記アも踏まえれば、引用発明において、一方の誘電体層2上に形成される「第1の内部電極3」が、「細幅先端部14」と、「該細幅先端部14の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極10と接続される拡幅部分」とを含み、他方の誘電体層2上に形成される「第3の内部電極5」が、「細幅先端部14と誘電体層2の積層方向に対向しないように形成される細幅先端部16」と、「該細幅先端部16の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極10と接続される拡幅部分」とを含むことは、本願発明の「第1内部電極」が、「前記第1誘電体層に配置される第1-1内部電極」と、「前記第1-1内部電極の端部に接続されて第5及び第6面を連結する第2方向に延長」され、「電極と接続される第1-1接続部」と、「前記第2誘電体層において前記第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される第1-2内部電極」と、「前記第1-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長」され、「前記第1-1接続部と第1方向に重なって」「電極と接続される第1-2接続部」とを含むことに相当する。
さらに、同様の対応づけにより、引用発明において、一方の誘電体層2上に形成される「第2の内部電極4」が、第3の内部電極5の細幅先端部16と誘電体層を介して対向する「細幅先端部15」と、「該細幅先端部15の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極11と接続される拡幅部分」とを含み、他方の誘電体層2上に形成される「第4の内部電極6」が、第1の内部電極3の細幅先端部14と誘電体層を介して対向する「細幅先端部17」と、「該細幅先端部17の一端と結合されてコンデンサ本体7の幅方向に拡がり、外部電極11と接続される拡幅部分」とを含むことは、本願発明の「第2内部電極」が、「前記第1誘電体層における前記第1-2内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-1内部電極」と、「前記第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長」され、「電極と接続される第2-1接続部」と、「前記第2誘電体層に前記第1-1内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-2内部電極」と、「前記第2-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長」され、「前記第2-1接続部と第1方向に重なって」「電極と接続される第2-2接続部」とを含むことに相当するといえる。
ただし、第1-1接続部と第1-2接続部に接続される電極に関し、本願発明は「第1ビア電極」であるのに対し、引用発明は「外部電極10」である点、ならびに、第2-1接続部と第2-2接続部に接続される電極に関し、本願発明は「第2ビア電極」であるのに対し、引用発明は「外部電極11」である点で相違する。
カ 本願発明は、「第1-1接続部及び前記第1-2接続部は、前記キャパシタ本体の前記第3面から離隔して形成され」るとともに、「前記第2-1接続部及び前記第2-2接続部は、前記キャパシタ本体の第4面から離隔して形成される」のに対し、引用発明はそうなっていない点で相違する。
キ 引用発明の「積層コンデンサ1」は、本願発明の「積層型キャパシタ」に相当する。
(2)上記(1)によれば、本願発明と引用発明との一致点、及び、相違点は以下のとおりである。
(一致点)
「互いに対向する第1及び第2面、第1及び第2面と連結され、互いに対向する第3及び第4面、及び第1及び第2面と連結され、第3及び第4面と連結され、且つ互いに対向する第5及び第6面を含み、第1及び第2面を連結する第1方向に交互に積層される第1及び第2誘電体層、及び複数の第1内部電極及び複数の第2内部電極を含むキャパシタ本体と、
前記キャパシタ本体において互いに離隔するように配置される第1及び第2外部電極と、を含み、
1つの第1誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、1つの第2誘電体層に第1及び第2内部電極が互いに離隔するように配置され、且つ第1方向に前記第1誘電体層の第1内部電極と前記第2誘電体層の第2内部電極が互いに重なり、第1方向に前記第1誘電体層の第2内部電極と前記第2誘電体層の第1内部電極が互いに重なるように、前記第1誘電体層と第2誘電体層が第1方向に交互に積層され、
前記第1内部電極は、
前記第1誘電体層に配置される第1-1内部電極と、前記第1-1内部電極の端部に接続されて第5及び第6面を連結する第2方向に延長され、電極と接続される第1-1接続部と、
前記第2誘電体層において前記第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される第1-2内部電極と、前記第1-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第1-1接続部と第1方向に重なって電極と接続される第1-2接続部と、を含み、
前記第2内部電極は、
前記第1誘電体層における前記第1-2内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-1内部電極と、前記第2-1内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、電極と接続される第2-1接続部と、
前記第2誘電体層に前記第1-1内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-2内部電極と、前記第2-2内部電極の端部に接続されて前記第2方向に延長され、前記第2-1接続部と第1方向に重なって電極と接続される第2-2接続部と、を含む、積層型キャパシタ。」
(相違点1)
第1及び第2外部電極に関し、本願発明は、キャパシタ本体の「第1面」に配置されるのに対し、引用発明は、コンデンサ本体7の「第1および第2の端面」にそれぞれ形成される点。
(相違点2)
本願発明は、「キャパシタ本体内において、前記複数の第1内部電極と第1外部電極を接続する第1ビア電極と、前記キャパシタ本体内において、前記複数の第2内部電極と第2外部電極を接続する第2ビア電極と、を含」み、「第1-1接続部」と「第1-2接続部」が「第1ビア電極」に、「第2-1接続部」と「第2-2接続部」が「第2ビア電極」にそれぞれ接続されるのに対し、引用発明はビア電極を採用しておらず、第1内部電極3および第3内部電極5が外部電極10に、第2内部電極4および第4内部電極6が外部電極11に、それぞれ接続される点。
(相違点3)
本願発明は、「第1-1接続部及び前記第1-2接続部は、前記キャパシタ本体の前記第3面から離隔して形成され」、「前記第2-1接続部及び前記第2-2接続部は、前記キャパシタ本体の第4面から離隔して形成される」のに対し、引用発明はそうなっていない点。
2 相違点に対する判断
(1)相違点1ないし3について
上記第5の2(3)のとおり、引用文献2には、「直方体状に形成され、長さ方向及び幅方向に沿って延びる上面である第1の主面及び下面である第2の主面と、」「高さ方向及び幅方向に沿って延びる第1及び第2の端面を備え、内部に略矩形状の複数の第1及び第2の内部電極が高さ方向に沿ってセラミック層を介して交互に配置されているセラミック素体を有するセラミック電子部品」において、各複数の第1及び第2の内部電極を外部と電気的に接続するために、「第1及び第2の内部電極を第1または第2の端面に引き出すと共に、第1及び第2の端面の上に、第1または第2の外部電極を形成することにより、第1及び第2の内部電極を第1または第2の外部電極と電気的に接続する」構造と、「セラミック素体の内部に、第1及び第2の内部電極を第1及び第2の端面から離隔して形成し、複数の第1の内部電極と接続された一方のビアホール電極及び複数の第2の内部電極12と接続された他方のビアホール電極を形成し、各ビアホール電極を第2の主面に引き出し、一方のビアホール電極31を第2主面に形成された第1の外部電極に接続し、他方のビアホール電極を第2主面に形成された第2の外部電極に接続する」構造とが開示され、いずれも周知の構造であって、両者のいずれを採用するかは、当業者が必要に応じて適宜選択し得る事項に過ぎないと認められる。
そして、引用発明に対して、後者の構造を採用することについて、なんら阻害要因は見当たらない。
してみると、引用発明に引用文献2に記載された技術を適用し、引用発明において、「コンデンサ本体7」の下面に「第1の外部電極10」及び「第2の外部電極11」を形成し、「コンデンサ本体7」の内部に、「第1ないし第4の内部電極3ないし6」を「第1および第2の端面8、9」から離隔して形成し、「第1の内部電極3」と「第3の内部電極5」とを接続する一方のビアホール電極、及び、「第2の内部電極4」と「第4の内部電極6」とを接続する他方のビアホール電極をそれぞれ形成し、各ビアホール電極を下面に引き出し、一方のビアホール電極を「第1の外部電極10」に接続し、他方のビアホール電極を「第2の外部電極11」に接続する構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
ここで、各内部電極におけるビアホール電極の形成部位について検討すると、仮に、一方の内部電極の細幅先端部にビアホール電極を形成しようとすると、層を違えて容量を形成する他方の内部電極において、当該ビアホール電極とは絶縁された状態で次の層に貫通させるために、確実に絶縁状態を維持できる程度の大きさのさん孔部分を新たに用意する必要が生じることは、当業者に明らかである。そうすると、そのような手当を必要とせず、かつ、下面に形成する一対の外部電極間の距離が過度に短縮されることにより生じる短絡等の懸念も抑制しやすい、「コンデンサ本体7の幅方向に拡がる拡幅部分」に形成することは、当業者が普通に採用する事項に過ぎない。
よって、相違点1ないし3に係る構成は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
(2)まとめ
以上から、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 審判請求人の主張について
1 審判請求人は、令和6年7月5日付け審判請求書ならびに令和6年11月12日付け上申書において概ね以下のとおり主張する。
(1)当業者であれば、引用文献2に記載の静電容量を最大化するための技術事項を、引用文献1に記載の高容量の積層コンデンサと実質的に同じ外形寸法を有し且つ小さい静電容量を与えるのに適した構造を有する積層コンデンサに組み合わせるはずもなく、仮に組み合わせたとしても、引用文献2に記載の積層コンデンサの内部電極は容量形成部のみ含み、これをビアホール電極で接続するものであるから、互いに重なる内部電極3~7の細幅先端部14~17を一つ置きにビアホール電極に接続することとなるにすぎない。従って、各層に設けられた同極の内部電極に互いに第1方向に重なる接続部を設けてこれをビアホール電極に接続して外部に引き出すことは導出できず、引用発明1に引用発明2を組み合わせて本願発明に想到することが当業者にとって容易であったとはいえない。(審判請求書12頁19ないし28行、上申書8頁14ないし28行)
(2)本願発明によれば、第1方向に交互に積層される第1誘電体層と第2誘電体層において、第1内部電極に、第1誘電体層に配置される第1-1内部電極に加えて、第1-1内部電極の端部に接続されて第2方向に延長される第1-1接続部と、第2誘電体層において第1-1内部電極と第1方向に重ならないように配置される第1-2内部電極に加えて、第1-2内部電極の端部に接続されて第2方向に延長されて、第1-1接続部と第1方向に重なる第1-2接続部と、を設け、第1方向に重なる第1-1接続部と第1-2接続部とを第1ビア電極に接続し、第2内部電極に、第1誘電体層における第1-2内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-1内部電極に加えて、第2-1内部電極の端部に接続されて第2方向に延長される第2-1接続部と、第2誘電体層に第1-1内部電極と第1方向に重なるように配置される第2-2内部電極に加えて、第2-2内部電極の端部に接続されて第2方向に延長され、第2-1接続部と第1方向に重なる第2-2接続部とを設け、第1方向に重なる第2-1接続部と第2-2接続部とを第2ビア電極に接続することで、第1内部電極と第2内部電極とを第1方向だけでなく第2方向にも重ねて容量形成に関与する内部電極の有効面積を最大化して静電容量を増加するとともに、電流パスの数を増加してインダクタンス成分を減少してESL及びESRを低減することができる(審判請求書13頁1ないし17行、上申書8頁29ないし44行)
2 審判請求人の主張について検討する。
(1)主張(1)について
第6の2(1)で述べたとおり、外部電極を両端面に設ける構造と、上面または下面に設ける構造とは、いずれも周知の構造であって、当業者が必要に応じて適宜選択する事項に過ぎない。そして、両構造が、静電容量の最大化を指向する引用文献2に開示されていることをもって、引用発明において、これら周知の構造を採用することを阻害するものともいえない。
また、ビアホール電極の配置を拡幅部分とすることが当業者が普通に採用する事項であることも、第6の2(1)で述べたとおりである。
(2)主張(2)について
第6の1で検討したとおり、請求人の主張に係る構成は、引用発明との相違点を構成しないから、当該構成を根拠として請求人が主張する作用効果も、少なくとも、本願の特許請求の範囲の請求項1の記載によって特定される程度においては、引用発明にも備わっているものと解せざるを得ないから、請求人の主張は根拠を欠くものといえる。
(3)まとめ
以上から、審判請求人の主張は採用できない。
第8 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-011231