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特許拒絶査定不服審判

2024-010888

遊技機

審判番号
2024-010888
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2020-079192
請求日
2024年07月02日
審決日
2025年02月19日
公報発行日
2025年05月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】株式会社平和
  • 【請求人代理人】山崎 崇裕
審判長/審判官
  • 審判長 長井 真一
  • 審判官 酒井 保
  • 審判官 太田 恒明
分類
P18 .572-Z (A63F) / P18 .55 -Z (A63F) / P18 .575-Z (A63F) / P18 .113-Z (A63F) / P18 .121-Z (A63F)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第6項、特許法第126条、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
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特願2020-79192「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔令和3年11月1日出願公開、特開2021-171472〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、令和2年4月28日に出願した特許出願(特願2020-79192)であって、本願出願後の手続の経緯の概略は次のとおりである。 令和5年 8月29日付け:拒絶理由通知書 10月25日 :意見書、手続補正書の提出 12月26日付け:拒絶理由通知書 令和6年 2月29日 :意見書、手続補正書の提出 4月18日付け:補正の却下の決定、拒絶査定(以下 「原査定」という。) 5月 7日 :原査定の謄本の送達 7月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 令和6年7月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年7月2日にされた手続補正を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) 令和6年7月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、令和5年10月25日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1に、 (本件補正前) 「【請求項1】 遊技領域が形成された遊技盤と、 前記遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路と、 前記回収通路に遊技球が到達可能な入球口と、 前記遊技盤の正面側で、前記遊技領域の正面視では前記回収通路が遮蔽される位置に配置された取付部材と、 前記入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材と を備えた遊技機。」 とあったものを、 (本件補正後) 「【請求項1】 遊技領域が形成された遊技盤と、 前記遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路と、 前記回収通路に遊技球が到達可能であり、前記回収通路以外には遊技球が到達不能な入球口と、 前記遊技盤の正面側であり、かつ前記遊技領域の正面視では前記回収通路が遮蔽される前記遊技盤の外部となる位置に配置された取付部材と、 前記入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材と を備えた遊技機。」 とする補正である(下線は補正箇所を示すために当審合議体が付した。)。 2 補正の適否 (1) 本件補正の目的 本件補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「入球口」について、「前記回収通路以外には遊技球が到達不能」であることを特定して限定し、さらに、「取付部材」について、配置される位置が「前記遊技盤の外部となる位置」であることを特定して限定することを含むものである。 また、当該補正について、本件補正後の請求項1に係る発明は、本件補正前の請求項1に係る発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 (2) 新規事項 本件補正は、願書に最初に添付した明細書の【0031】及び【0072】並びに図面の【図1】、【図5】、【図7】等の記載からみて、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものではないから、特許法17条の2第3項に規定する要件を満たす。 3 本件補正発明の独立特許要件 上記2(1)のとおり、本件補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正であるから、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか)について、以下、検討する。 (1) 本件補正発明 本件補正発明は、上記1に(本件補正後)として記載したとおりのものであるところ、本件補正発明について以下に再掲する(符号A等は、分説するために当審合議体が付した。以下、符号A等を付した事項を「特定事項A」等という。)。 (本件補正発明) 「【請求項1】 A 遊技領域が形成された遊技盤と、 B 前記遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路と、 C 前記回収通路に遊技球が到達可能であり、前記回収通路以外には遊技球が到達不能な入球口と、 D 前記遊技盤の正面側であり、かつ前記遊技領域の正面視では前記回収通路が遮蔽される前記遊技盤の外部となる位置に配置された取付部材と、 E 前記入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材と F を備えた遊技機。」 (2) 引用文献1について 原査定で引用文献1として引用され、本願出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった特開2003-135714号公報(平成15年5月13日出願公開。以下「引用文献1」という。)には、「遊技盤のアウト球口用カバー」(発明の名称)に関し、次の事項が記載されている(下線は当審合議体が付した。以下同様。)。 ア 記載事項 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、パチンコ機の遊技盤に形成されるアウト球口を被い囲むアウト球口用カバーに関する。」 (イ)「【0019】図面において符号1は遊技盤であり、2は遊技盤の前面に略円形状に設置して遊技部3を囲み形成する内レールであり、4は遊技部3内に植設した障害釘、5及び6,7は始動用入賞口であり、8は大入賞口(大当り入賞口)、9はアウト球口であり、10は本発明に係るアウト球口用カバーを示す。 【0020】図1には遊技盤1の前面に設けられる前記遊技部3の下半部が示されている。ここには上半部が省略されているが、この上半部には始動用入賞口5の直上に位置して可変表示装置、或いは可動翼片を有した入賞口が設置され、3つの始動用入賞口5,6,7の上方を被うようになる。そして、図示しない発射装置から発射され、前記内レールと図示しない外レールとの間に形成される発射誘導路を通して打ち出される打球は遊技部3に入った後、上記可変表示装置等の両側方を通路として落下し、この間に配置される障害釘、風車等の誘導を受けて可変表示装置の下、つまり中央部に向けて案内され、3つの始動用入賞口5,6,7に飛入するチャンスが与えられるようにしてある。」 (ウ)「【図1】 [図:0001422247000001.jpg] 」 (エ)「【0023】本発明に係るアウト球口用カバー10は第1義的にアウト球口9を囲み、直接打球が落下し飛入するのを阻止して騒音を発するのを抑制することにある。アウト球口用カバー10はカバー本体10aと、カバー本体の内部にあって落下するアウト球を引き入れると共に、このアウト球をアウト球口9を通して遊技盤1の後方に誘導するアウト球誘導体10bからなっている。 【0024】カバー本体10aは遊技盤1の前面に開口するアウト球口9の全体を囲むことができる左右方向に長さを有する略楕円形の筒状に形成してあり、その上面部12は緩い凸円弧状にして左右方向に下り勾配を設け、この上面部12に落下するアウト球を弧面に沿って左右に振り分け誘導できるようにしてある。そして、上記上面部12の上面には略全面を被覆するように軟質の合成ゴム製の緩衝板13を載置してある。 【0025】この実施例では、カバー本体10aは筒形の前面を塞ぐように前面板14を備え、これによって後方を開放した筐形をなすようにしてあり、アウト球口9に装着したときその全体を被い隠せるようにしてある。そして、この前面板14の上縁部を前記上面部12から上に少し突き出し、この突き出し部分15に上面部12の曲面に並行した狭い弧状の切欠き部16を形成し、この切欠き部16から前記緩衝板13の前縁から突出する突片13aを差し通して前方に向け突き出すようにしてある。 【0026】一方、アウト球誘導体10bは遊技盤1において左右の内レール2,2から送られるアウト球をカバー本体10aの内部を通してアウト球口9に送り込む誘導レール17,17と、左右対をなす当該誘導レール17,17を固定し、カバー本体10aに組付ける基枠18から構成してある。 【0027】図6,図7に示したようにこの実施の形態例の誘導レール17は導電性の2本の線材をパチンコ球の直径より狭い間隔で並行に揃え、その長さの途中を略直角に曲折してあり、左右対称形に形成した2つの誘導レール17を基枠18に固定して一端を左右方向に、他端を前後方向に向けるようにしてある。 ・・・ 【0029】アウト球誘導体10bは前記カバー本体10aの内に収め、カバー本体の前面板14の背面から後方に向けて突き出した取付けボス部21,21の後端に前記取付片20,20を当接したのち、これをネジ止めすることによって所定の位置に固定されるようにしてある。この固定によって左右方向に突き出した一方の端部がカバー本体10aの側面部22に開設する受け入れ口23に臨み、他端が後方開口部の中央部から後方に向けて突き出すことになる。」 (オ)「【0033】従って、上記の構成から打球が遊技部3を落下し、各入賞口5乃至8に飛入することなく通過してアウト球となったとき、このアウト球はカバー本体10aの上面部12に落下するか、若しくは内レール2に落下することになり、アウト球口9の直前部に落下することがなくなることになる。 【0034】上面部12に落下するアウト球は、緩衝板13によって受けられることにより衝撃力が吸収され、衝突音の発生を抑制されることになる。そしてこの上面部上に落下したアウト球は勾配によって側方に流れ内レール2,2上に移転し、次に受け入れ口23を通してカバー本体内部に転入し、内部に設けた誘導レール17,17に移ってその傾斜によりアウト球口9に差し込まれた他端側に誘導され、遊技盤の背面側へと放出されることになる。」 (カ)「【図4】 [図:0001422247000002.jpg] 」 (キ)「【図5】 [図:0001422247000003.jpg] 」 イ 認定事項 (ア)認定事項1 上記ア(オ)に摘記した【0034】の記載を踏まえると、上記ア(キ)に示した【図5】から以下の事項が見て取れる。 (認定事項1) 「受け入れ口23を通してカバー本体内部に転入したアウト球は、内部に設けた誘導レール17に移り、誘導レール17以外には到達不能であること。」 (イ)認定事項2 上記ア(エ)に摘記した【0025】の記載を踏まえると、上記ア(ウ)に示した【図1】、上記ア(カ)に示した【図4】から以下の事項が見て取れる。 (認定事項2) 「前面板14は、遊技盤1の正面側であり、遊技部3の正面視で誘導レール17を覆い隠す遊技盤1の前面側の位置に配置されること。」 (ウ)認定事項3 上記ア(エ)に摘記した【0029】、上記ア(オ)に摘記した【0034】の記載を踏まえると、上記ア(カ)に示した【図4】、上記ア(キ)に示した【図5】から以下の事項が見て取れる。 (認定事項3) 「カバー本体10aの側面部22に開設する受け入れ口23は、誘導レール17より上方に位置すること。」 ウ 引用発明 上記アの記載事項及び上記イの認定事項1~3から、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 (引用発明) 「遊技盤1と、遊技盤の前面に略円形状に設置して遊技部3を囲み形成する内レール2と、遊技部3内の始動用入賞口5及び6,7と、大入賞口8と、アウト球口9と、アウト球口用カバー10と(【0019】)、を有するパチンコ機(【0001】)において、 アウト球口用カバー10は、カバー本体10aと、アウト球誘導体10bからなっており(【0023】)、 カバー本体10aは、遊技盤1の前面に開口するアウト球口9の全体を囲むことができる左右方向に長さを有する略楕円形の筒状に形成してあり(【0024】)、カバー本体10aは、筒形の前面を塞ぐように前面板14を備え(【0025】)、前面板14は、遊技盤1の正面側であり、遊技部3の正面視で誘導レール17を覆い隠す遊技盤1の前面側の位置に配置され(認定事項2)、 アウト球誘導体10bは、遊技盤1において左右の内レール2から送られるアウト球をカバー本体10aの内部を通してアウト球口9に送り込む誘導レール17等から構成し(【0026】)、誘導レール17は、途中を略直角に曲折してあり、一端を左右方向に、他端を前後方向に向け(【0027】)、 遊技部3を落下し、各入賞口5乃至8に飛入することなく通過したアウト球は内レール2に落下または移転し(【0033】~【0034】)、アウト球は、カバー本体10aの側面部22に開設する受け入れ口23を通してカバー本体内部に転入し、内部に設けた誘導レール17に移り、誘導レール17以外には到達不能であり(【0029】、【0034】、認定事項1)、受け入れ口23は、誘導レール17より上方に位置する(認定事項3)、 パチンコ機(【0001】)。」 (3) 引用発明との対比 ア 特定事項Aについて 引用発明において、「遊技盤の前面に略円形状に設置」される「内レール2」が「囲み形成する」「遊技部3」は、本件補正発明の特定事項Aの「遊技領域」に相当するから、引用発明の「遊技部3」が「囲み形成」された「遊技盤1」は、本件補正発明の特定事項Aの「遊技領域が形成された遊技盤」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Aを備えている。 イ 特定事項Bについて 引用発明の「アウト球」は、「遊技部3を落下し、各入賞口5乃至8に飛入することなく通過した」ものであるから、本件補正発明の特定事項Aの「前記遊技領域を流下した遊技球」に相当し、引用発明の「内レール2に落下または移転し」た「アウト球」は、「受け入れ口23を通してカバー本体内部に転入し」「内部に設けた誘導レール17に移ってその傾斜によりアウト球口9に差し込まれた他端側に誘導され」て「遊技盤の背面側へと放出され」、回収されることから、引用発明の「遊技部3を落下し、各入賞口5乃至8に飛入することなく通過したアウト球」が「受け入れ口23を通してカバー本体内部に転入し」て「移」る「誘導レール17」は、本件補正発明の特定事項Bの「前記遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Bを備えている。 ウ 特定事項Cについて 引用発明において、「アウト球」が「誘導レール17に移」ることは、本件補正発明の「回収通路に遊技球が到達」することに相当し、引用発明において、「アウト球」が「誘導レール17以外には到達不能である」ことは、本件補正発明の「回収通路以外には遊技球が到達不能」なことに相当するから、引用発明の「カバー本体内部に転入し」た「アウト球」が「誘導レール17に移」り、「誘導レール17以外には到達不能」となる「受け入れ口23」は、本件補正発明の特定事項Cの「前記回収通路に遊技球が到達可能であり、前記回収通路以外には遊技球が到達不能な入球口」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Cを備えている。 エ 特定事項Dについて 引用発明の「遊技盤1」は、本件補正発明の「遊技盤」に相当する。また、引用発明において、「前面板14」が「配置され」る「遊技盤1の前面側の位置」は、「遊技盤1の外部となる位置」といえるから、引用発明の「遊技盤1の正面側であり、遊技部3の正面視で誘導レール17を覆い隠す遊技盤1の前面側の位置に配置され」た「前面板14」は、本件補正発明の特定事項Dの「前記遊技盤の正面側であり、かつ前記遊技領域の正面視では前記回収通路が遮蔽される前記遊技盤の外部となる位置に配置された取付部材」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Dを備えている。 オ 特定事項Eについて 引用発明において、「受け入れ口23」は、「カバー本体10aの側面部22に開設」され、「誘導レール17より上方に位置する」ものであるから、引用発明の「受け入れ口23」の「位置」を「誘導レール17より上方に」「開設する」「カバー本体10a」は、本件補正発明の特定事項Eの「入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Eを備えている。 カ 特定事項Fについて 引用発明の「パチンコ機」は、本件補正発明の特定事項Fの「遊技機」に相当する。 したがって、引用発明は、本件補正発明の特定事項Fを備えている。 (4) 当審合議体の判断 上記(3)からみて、本件補正発明と引用発明とは相違するところがなく、本件補正発明は引用発明である。 また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 請求人の主張について 請求人は、審判請求書において、以下の旨主張する。 ア 原査定と同日付けでされた補正の却下の決定の決定において、「最後の拒絶理由通知」で引用しなかった先行技術のみを新たに引用することで、本願の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができない理由(進歩性)を示して補正の却下の決定がなされていることは、「最後の拒絶理由通知」で引用した引用文献1は、同「最後の拒絶理由通知」に示される拒絶の理由(新規性及び進歩性)を裏付けるものとして適切なものでなくなっていることを意味する。 イ 本件補正発明は、遊技領域を流下した遊技球が入球口に入った場合には、当該遊技球を回収通路に到達可能としつつ、回収通路以外には到達不能としているため(構成C(上記(1)参照))、「入球口に遊技球が入ること=当該遊技球は回収通路にのみ到達して回収されることが確定」という明確な遊技性を提供しつつ、その上で、例えば演出用の部材として利用し得るような比較的大型の取付部材が遊技盤の正面側で、かつ外部となる位置に配置されており、それによって遊技領域の正面視では回収通路が遮蔽されることとなる場合であっても(構成D)、構造部材を設けたことで遊技者の視点から入球口の視認性を向上させ(構成E)、より容易に遊技球が回収されることになったか否かの認識を可能とすることで、結果として、斬新な遊技機を提供することができる。さらに、構造部材によって入球口の配置の自由度を高めることができるので、取付部材を例えば比較的大型の演出用の部材として利用することで遊技性の幅を拡げようとする場合であっても(構成D)、そのような取付部材との位置関係だけに限らず、遊技領域内に配置されるその他の構造物と入球口との位置関係についても自由に設定することができるので(構成E)、遊技性の幅が拡がり、結果として斬新な遊技機を提供することができる。 上記主張について検討する。 上記アの主張について、最後の拒絶理由通知に対する補正後の発明について、補正の却下の決定において、引用文献1以外の引用文献に基づいて独立特許要件の判断がされたとしても、引用文献1は、原査定において拒絶の理由として引用されているものであるから、「最後の拒絶理由通知」で示した拒絶の理由(新規性及び進歩性)が依然として解消していないことを根拠づける文献として扱われていることは明らかであり、引用文献1に基づく拒絶の理由に対しては、請求人は、令和6年2月29日付け意見書において反論しているところ、当審合議体は、上記で検討したとおり、最後の拒絶理由通知に対する補正についての補正の却下の決定において用いられた引用文献によらずとも、引用文献1により、本件補正発明が独立特許要件に違反すると判断したものであるから、請求人の当該主張には理由がない。 なお、請求人は、上記意見書において、(ア)引用文献1に記載された発明における、どの部分が本願請求項1に係る発明の「構造部材」の一例に相当し得るのかについて明示されていない、(イ)本願の「取付部材」の一例に相当すると認定された引用文献1に記載された発明の「前面板14」は、遊技盤1の正面側ではあるが、保護ガラス27の背面側にあり、遊技盤1の外部となる位置に配置されたものではない、という旨主張しているが、上記(ア)について、最後の拒絶理由通知において、引用文献1の「側面部22,22の受け入れ口23,23」が、本願の「入球口」の一例に相当することが説示されていることから、「側面部22,22」に「受け入れ口23,23」が開設される「カバー本体10a」が、「構造部材」に相当することは明らかであるし、上記(イ)について、上記(3)エのとおり、引用発明の「遊技盤1」は、本件補正発明の「遊技盤」に相当することを踏まえると、「保護ガラス27」の背面側である「前面板14」が「配置され」る「遊技盤1の前面側の位置」は、「遊技盤1の外部となる位置」に含まれるから、意見書におけるこれらの主張は採用することができない。 上記イの主張について、上記(3)で検討したとおり、引用発明は、本件補正発明の構成をすべて備えているから、本件補正発明が奏する効果を備えており、特に、請求人が主張する構成D(本件補正発明の特定事項D)の「前記遊技盤の外部となる位置に配置された取付部材」について、上記(3)エで検討したとおり、請求人が主張するような比較的大型な演出用の部材のみならず、引用発明の「前面板14」を包含するものであるから、請求人の主張は採用することができない。 (6) まとめ 上記(4)のとおり、本件補正発明は、引用発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 また、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 4 本件補正についてのむすび 本件補正は、特許法126条7項の規定を準用する同法17条の2第6項の規定に違反し、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記 第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和5年10月25日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1の記載は上記 第2[理由]1に(本件補正前)として記載したとおりのものであるところ、本願発明について以下に再掲する(符号A等は、分説するために当審合議体が付した。)。 (本願発明) 「【請求項1】 A 遊技領域が形成された遊技盤と、 B 前記遊技領域を流下した遊技球が回収される回収通路と、 C’ 前記回収通路に遊技球が到達可能な入球口と、 D’ 前記遊技盤の正面側で、前記遊技領域の正面視では前記回収通路が遮蔽される位置に配置された取付部材と、 E 前記入球口の位置を前記回収通路より上方に設置可能な構造部材と F を備えた遊技機。」 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、概略、次の理由を含むものである。 「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 ●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について ・請求項 1 ・引用文献等 1 新たに提示する引用文献1(特に、[0001]-[0035]、図1-7等を参照。)には、アウト球口9を隠す前面板14を備えたアウト球口用カバー10を有する遊技機について記載されている。 上記引用文献1に記載の遊技機における、誘導レール17,17は、本願の「回収通路」の一例に相当する。 また、同引用文献1に記載の遊技機において、側面部22,22の受け入れ口23,23は、誘導レール17,17の位置よりも上方にあることが図1や図5から明らかに見て取れるから、該受け入れ口23,23は、本願の「入球口」の一例に相当する。 また、同引用文献1に記載の遊技機における、前面板14は、本願の「取付部材」の一例に相当する。 すなわち、上記引用文献1には、本願の補正後の請求項1に係る発明を特定するために必要な全ての事項に相当する構成が開示されている。 したがって、本願の補正後の請求項1に係る発明は、上記引用文献1に記載されているか、上記引用文献1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 <引用文献等一覧> 1.特開2003-135714号公報(新たに引用)」 3 引用文献 (1) 引用文献の記載事項と認定事項 原査定で引用された引用文献1の記載事項及び認定事項は、上記第2[理由]3(2)ア~イに示したとおりである。 (2) 引用発明 上記 第2[理由]3(2)ア~イに示した、引用文献1の記載事項及び認定事項から認定される、引用発明は、上記第2[理由]3(2)ウに示したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、本件補正発明における「前記回収通路に遊技球が到達可能であり、前記回収通路以外には遊技球が到達不能な入球口」との発明特定事項から、「遊技球」が「回収通路以外には遊技球が到達不能」であるとの特定を削除し、「前記遊技盤の正面側であり、かつ前記遊技領域の正面視では前記回収通路が遮蔽される前記遊技盤の外部となる位置に配置された取付部材」との発明特定事項から、「取付部材」が「遊技盤の外部となる」位置に配置されたものであるとの特定を削除したものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに限定したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]3(4)で述べたとおり、引用発明と相違するところがなく、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、引用発明と相違するところがなく、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである 。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-010888

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