2024-008785
海洋重力式基礎
- 審判番号
- 2024-008785
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-101322外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年05月27日
- 審決日
- 2025年12月25日
- 公報発行日
- 2026年03月27日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】日鉄エンジニアリング株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人樹之下知的財産事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (E02D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 12項目
第1 手続の経緯
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本願は、令和2年6月11日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
(同月27日 :原査定の送達)
同年 5月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 本願発明
以下、令和7年10月24日提出の手続補正書による補正後の特許請求の範囲及び明細書に基づいて審理する。
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)は、上記手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであり、その記載は以下のとおりである。
「【請求項1】底部が海底に載置され、自重により海底に固定され、直接基礎である海洋重力式基礎であって、前記底部の下面に、凹状または凸状の錐体であって、頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状または頂点が平らな円錐台状もしくは多角錐台状の錐体が形成され、前記錐体の錐体面が前記海底に直接接触し、前記錐体面の勾配角度は1度以上で10度以下であることを特徴とする海洋重力式基礎。」
第3 当審拒絶理由の概要
当審が通知した令和7年8月21日付け拒絶理由は、以下の理由を含む。
(進歩性欠如)
令和6年5月27日提出の手続補正書による補正後の本願請求項1~3に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基いて、本願の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)記載事項
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本願の出願前に頒布された刊行物であり、当審の拒絶理由に引用した特開2006-322400号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載及び図示がある(下線は、当審が付した。以下、同様。)。
ア「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洋上風力発電の発電能力が大きい場所は、海岸線から距離が離れた外洋である。風が大きい外洋は、必然的に、高波浪、大水深海域となり、また海底地盤も波浪が穏やかな海域に比べて硬いことが多い。海面固定式でケーソンを用いた基礎構造の場合、次のような課題が考えられる。
(1)海象条件が厳しく、地盤も比較的硬いため、海上での施工時間を最小にする必要がある。
(2)大波高域の構造になるため、作用波力を小さくする必要がある。
(3)高波高域の構造になるため、滑動抵抗力を大きくする必要がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決すべくなされたものであり、ケーソンを用いた洋上風力発電装置の重力式基礎において、比較的小容量のケーソンで洋上風力発電装置を設置することができると共に、海上での施工時間を最小にすることができ、作用波力を小さくすることができ、滑動抵抗力を大きくすることができ、洋上風力発電の発電能力が大きい外洋に洋上風力発電設備を設置することが可能となる洋上風力発電装置の重力式基礎を提供するものである。」
イ「【0011】
(c)滑動抵抗力は、接地力に摩擦係数を乗じて求められる。摩擦増大マット等を用いることにより、摩擦抵抗が大きくなる。さらに、中詰材として高比重材料(金属スラグ、鉱石など)を用いることにより、接地力が大きくなる。これにより、用いない場合に比べて、波力に対する安定性が増す作用をする。」
ウ「【0023】
図1の実施形態において、本発明の洋上風力発電装置1のケーソンを用いた重力式基礎2は、洋上風力発電の発電能力の大きい、海岸線から距離が離れた外洋(例えば沖合い5~10km)に設置されており、外海の波浪条件が厳しく、また水深が20~50mの深い海域に設置されるため、次の3つの条件を満たすものである。
【0024】
(a)予め製作された重力式ケーソン3を設置海域に沈設する方法を用いる。海象条件が厳しく、地盤も比較的硬いため、設置海域における海上作業をケーソンの沈設とバラストの中詰めだけとし、海上での施工時間を最小にする。
【0025】
(b)重力式ケーソン3の構成は、円形又は多角形等の円形に近い形状の底版4と、この底版4の外周部から一体的に立上る比較的径の大きい円筒形又は多角筒形等の円筒形に近い形状の下部側壁5と、この下部側壁5の径よりも小さい径の円筒形又は多角筒形等の円筒形に近い形状の上部側壁6と、これら下部側壁5と上部側壁6とを一体的につなぐ円錐台又は多角錐台等の円錐台に近い形状のテーパ側壁7とする。上部側壁6は静水面から突出するように構成する。波圧の大きい静水面付近の径を絞り、抵抗となる面積を小さくし、さらに作用する波力が平らな面に比べて小さい円筒面等を用いることにより、作用波力を小さくする。」
エ「【0029】
(b)ケーソン3をフローティングクレーンで吊り上げるか、あるいはドライドック、フローティングドック内に注水して浮上させ、海域へ引出す。
【0030】
(c)基礎を設置する海域の海象条件の良い日を選び、ケーソン3をフローティングクレーンで吊り、あるいはケーソン3を海面上に浮かべ、あるいはこれらを併用して、設置海域まで運搬し、現地に沈設する。
【0031】
(d)沈設後、ケーソン3内に中詰材として高比重材料9を投入し、基礎の重量を大きくして安定性を確保する。摩擦増大マット8を用いる場合には、ケーソンの製作時等に予めケーソン底面に貼り付けておく。
【0032】
(e)、(f)上部側壁6の上部内にコンクリート10を打設する。この上部コンクリート10の上に洋上風力発電装置1を設置し、支柱1aの下部をアンカーボルト等により固定することにより、洋上風力発電装置1が完成する。以上のような構築方法であれば、設置海域における海上作業をケーソンの沈設と中詰めだけとすることができ、捨石マウンドの設置や岩盤掘削・均し、海底地盤への杭の打設など、時間のかかる施工プロセスを無くすことができる。」
オ「【0036】
ケーソン3の具体的な構造としては、RC構造、PC構造、鋼コンクリート複合構造などが考えられる。また、ケーソン3の滑動抵抗力増大手段(摩擦増大機構)は、海底面が岩盤であるか砂礫であるかによって異なるものが想定される。岩盤かあるいはこれに類する固化体の場合は、図4に示すように、アスファルトマット等の摩擦増大マット8が考えられる。砂礫地盤に対しては、図5に示すように、底版4の下面に砂地盤に貫入する断面が三角形状等で二重リング状等の突起12を設ける。あるいは、底版4と地盤との間の水を排水してサクション(吸引)を発生させる方法なども考えられる。砂地盤の場合には、底版4の周辺部にアスファルトマット等の洗掘防止工13が必要となる。」
カ「【図2】
[図:0001432574000001.jpg]
」
キ「【図5】
[図:0001432574000002.jpg]
」
(2)看取される事項・認定事項
上記(1)より、以下の事項が看取または認定される。
ア 上記(1)ウ、エの記載及び【図2】の図示より、洋上風力発電装置に関し、海上に浮かべて運搬するケーソンであっても、設置海域で沈設し、沈設後、中詰材を投入し、基礎の重量を大きくして安定性を確保する、ケーソンを用いた基礎であれば、重力式ケーソンを用いた重力式基礎であると、認定される。
イ 上記(1)オの記載及び【図5】の図示より、底版4の下面において、最も内周のリング状の突起12より内側の部分は、平坦であり、最も内周のリング状の突起12の内周側の傾斜面は、最も内周のリング状の突起12より内側の底版4の下面の平坦な部分から外側に向けて下向きに拡がる傾斜面であると、看取される。
(3) 記載された発明
上記(1)及び(2)より、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。なお、各構成の根拠とした段落等を括弧書きで付した。
<引用発明1>
作用波力を小さくし、摩擦抵抗により滑動抵抗力を大きくして、波力に対する安定性を増す、洋上風力発電装置1の重力式基礎2であって、(【0006】、【0011】、【0023】)
重力式基礎2に用いる、設置海域に沈設する重力式ケーソン3は、底版4と、底版4の外周部から立上る下部側壁5と、上部側壁6と、下部側壁5と上部側壁6とをつなぐテーパ側壁7とを有し、(【0023】、【0024】、【0025】)
滑動抵抗力増大手段として、底版4の下面に砂地盤に貫入する断面が三角形状等で二重リング状等の突起12を設け、底版4の下面において、最も内周のリング状の突起12より内側の部分は、平坦であり、最も内周のリング状の突起12の内周側の傾斜面は、最も内周のリング状の突起12より内側の底版4の下面の平坦な部分から外側に向けて下向きに拡がる傾斜面である、(【0036】、【図5】)
洋上風力発電装置1の重力式基礎2。
第5 対比・判断
1 対比
本願発明1と引用発明1とを対比する。
(1)引用発明1において、「作用波力を小さくし、摩擦抵抗により滑動抵抗力を大きくして、波力に対する安定性を増す、洋上風力発電装置1の重力式基礎2」は、「重力式ケーソン3」を「設置海域で沈設」することから、自重により海底に固定されていることは明らかであり、また、「底版4の下面」の「二重リング状等の突起12」が「砂地盤に貫入する」ことから、「底版4」及び「リング状等の突起12」が海底の「砂地盤」に直接接していることは明らかであるから、本願発明1において、「自重により海底に固定され、直接基礎である海洋重力式基礎」に、相当する。
(2)引用発明1において、「重力式基礎2」が有する「設置海域に沈設する重力式ケーソン3」の「底版4と、底版4の外周部から立上る下部側壁5と」は、「重力式基礎2」の全体のうち底の部分であるから、本願発明1における「底部」に、相当する。
(3)引用発明1において、「設置海域に沈設する重力式ケーソン3」の「底版4」について、「下面」に設けた「突起12」が「砂地盤に貫入する」ことより、「底版4」が「設置海域」の「砂地盤」と接した状態で設置されていることが明らかであることは、本願発明1において、「海洋重力式基礎」の「底部が海底に載置され」ている構成に、相当する。
(4)引用発明1において、「底版4の下面に砂地盤に貫入する断面が三角形状等で二重リング状等の突起12を設け、底版4の下面において、最も内周のリング状の突起12より内側の部分は、平坦であり、最も内周のリング状の突起12の内周側の傾斜面は、最も内周のリング状の突起12より内側の底版4の下面の平坦な部分から外側に向けて下向きに拡がる傾斜面である」構成は、「最も内周のリング状の突起12より内側の底版4の下面の平坦な部分」を頂部とし、そこから「外側に向けて下向きに拡がる傾斜面」を下方に広がる錐体面とした、凹んだ円錐台状の錐体が形成されているから、本願発明1における「前記底部の下面に、凹状または凸状の錐体であって、頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状または頂点が平らな円錐台状もしくは多角錐台状の錐体が形成され、」という選択肢のうち、「底部の下面」に「凹状」の「錐体」であって、「頂点が平らな円錐台状」の「錐体」が「形成」されるという選択肢に、相当する。
(5)引用発明1において、「底版4の下面」に設けた「二重リング状等の突起12」が「砂地盤に貫入」するから、「底版4の下面」は、「最も内周のリング状の突起12より内側の底版4の下面の平坦な部分」、及びそこから「外側に向けて下向きに拡がる傾斜面」のいずれもが、海底の砂地盤に直接接触していることが明らかである。
引用発明1において、「最も内周のリング状の突起12より内側の底版4の下面の平坦な部分」、及びそこから「外側に向けて下向きに拡がる傾斜面」のいずれもが、海底の砂地盤に直接接触していることが明らかである構成は、本願発明1において、「前記錐体の錐体面が前記海底に直接接触し」ていることに、相当する。
(6)上記(1)~(5)より、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点において一致し、下記の相違点1において相違する。
<一致点>
底部が海底に載置され、自重により海底に固定され、直接基礎である海洋重力式基礎であって、
前記底部の下面に、凹状の錐体であって、頂点が平らな円錐台状の錐体が形成され、前記錐体の錐体面が前記海底に直接接触する、
海洋重力式基礎。
<相違点1>
「錐体面の勾配角度」に関し、
本願発明1においては、「1度以上で10度以下である」と特定されているのに対し、
引用発明1においては、そのように特定されていない点。
2 判断
上記相違点1について、判断する。
引用発明1は、海底面に対する「滑動抵抗力を大きく」して、水平方向の波力に対する安定性を増す目的で、「断面が三角形状等」である「突起12」を設けているところ、「突起12」が有する傾斜面の角度に応じて、水平方向の抵抗力がどの程度となるかは、事前に計算により算出することができ、また実験により予測できるものであるから、「突起12」の傾斜面の角度は、そういった計算及び/又は実験に応じて当業者が適宜に選択できる事項であって、当該傾斜面の角度の選択について、事前に予測できない異質又は格別顕著な効果が生じるというものではない。
また、引用発明1は、「砂地盤」に「突起12」を「貫入」させて水平方向の「滑動抵抗力を大きく」しているところ、上述した傾斜角を急峻とすれば「砂地盤」が崩れて「突起12」の傾斜面との間に隙間を生じることは、海底の「砂地盤」が崩れやすいという性状についての技術常識から事前に予測されることであるから、「砂地盤」が崩れない程度とする観点より、「突起12」の傾斜面の角度をある程度緩やかなものとし、上記相違点1に係る「1度以上で10度以下」程度とすることも、当業者が適宜になし得た設計事項程度である。
上記相違点1に係る角度の選択に関し、本願明細書には、段落【0021】に角度を考慮した水平抗力についての式が簡単に説明され、また段落【0022】に浅い角度であれば海底の自己崩壊を防止できることが記載されている。しかしながら、本願明細書に記載されるこれらの効果は、上述したとおり、「砂地盤」に「突起12」を「貫入」させて水平方向の「滑動抵抗力を大きく」する引用発明1において、事前に予測される範囲を超えるものとはいえない。また「1度」及び「10度」という境界値について、当該境界の前後でその他の境界値とは異なる顕著な効果の相違が、海底面の性状等の条件を問わず必ず生じ、当該効果に依拠して「1度」及び「10度」という数値の選択自体が、適宜の浅い数値範囲の選択とは全く異なる格別の技術的意義を有することが、本願明細書に示されているものでもない。
したがって、引用発明1において、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項であり、そうしたことによる効果は、本願明細書の開示を考慮しても、事前に予測される範囲を超える特段顕著なものとは認められない。
よって、本願発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。
3 付加的判断
上記1(4)に示したとおり、本願発明1における「前記底部の下面に、凹状または凸状の錐体であって、頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状または頂点が平らな円錐台状もしくは多角錐台状の錐体が形成され、」という選択肢のうち、引用発明1は、「底部の下面」に「凹状」の「錐体」であって、「頂点が平らな円錐台状」の「錐体」が「形成」されるという選択肢に相当する構成を有する。
ここでは付加的に、本願発明1における「前記底部の下面に、凹状または凸状の錐体であって、頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状または頂点が平らな円錐台状もしくは多角錐台状の錐体が形成され、」という選択肢のうち、形成される「錐体」を、「凸状」のものとする選択肢、「頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状」とする選択肢、「多角錐台状」とする選択肢について、付加的に判断する。
引用発明1において、「突起12」は、海底面に対する「滑動抵抗力を大きく」して、水平方向の波力に対する安定性を増すためのものであるから、当該目的が達成されるのであれば、「突起12」の形状は、必ずしも例示される「二重リング状」である必要はないと、理解される。
そして、砂地盤と接する傾斜面が形成されれば、当該傾斜面によって海底面に対する「滑動抵抗力を大きく」できることは明らかであるから、引用発明1において、「突起12」を、傾斜面を有することにより海底面に対する「滑動抵抗力を大きく」できるが、【図5】に示される具体例とは異なる、適宜の凹状または凸状の錐体であって、頂点を有する円錐形状または多角錐形状のもの、あるいは頂部が平らな多角錐台状のものとし、もって本願発明1における「前記底部の下面に、凹状または凸状の錐体であって、頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状または頂点が平らな円錐台状もしくは多角錐台状の錐体が形成され、」という選択肢のうち、形成される「錐体」を、「凸状」のものとする選択肢、「頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状」とする選択肢、「多角錐台状」とする選択肢に相当する構成とすることは、当業者であれば適宜に選択できた設計事項程度である。
したがって、本願発明1における「錐体」の選択肢について、上記1(4)のとおり引用発明1の構成がそのまま相当するものではない選択肢について、付加的に判断しても、引用発明1において、本願発明1に係る錐体の構成とすることは、当業者が適宜に選択し得た設計事項程度である。
そして、そうしたことによる効果は、本願明細書の開示を考慮しても、事前に予測される範囲を超える特段顕著なものとは認められない。
4 小括
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
5 請求人の主張について
(1)請求人の主張
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請求人は意見書において、引用文献1を主たる証拠とした本願発明1の進歩性の有無について、以下の旨を主張している。
ア 主張1
引用文献1に記載された発明は、本願発明1のような「凹状または凸状の錐体であって、頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状または頂点が平らな円錐台状もしくは多角錐台状の錐体」を有さず、本願発明1とは構成が異なる(相違点A1)。
また、引用文献1に記載された発明は、本願発明1のような「錐体面の勾配角度は1度以上で10度以下」である構成を有さず、本願発明1とは構成が異なる(相違点B1)。
イ 主張2
本願発明1の課題は、「底部の下面に、凹状または凸状の錐体であって、頂点が尖った円錐形状もしくは多角錐形状または頂点が平らな円錐台状もしくは多角錐台状の錐体が形成され、錐体の錐体面が海底に直接接触」する構成において、「錐体面の勾配角度」を「1度以上で10度以下」とすることで、水平力に対する抗力を確保しつつ安定した抵抗性能を高めることである。上記アのとおり、本願発明1の「錐体」に係る構成を有さない引用文献1に記載の発明において、本願発明1の上記課題に至ることはないから、本願発明1は容易に発明できたものではない。
ウ 主張3
引用文献1に記載された発明において、上記アの相違点A1及び相違点B1に係る本願発明1の構成とすることは、容易の容易に該当する。
(2)請求人の主張に対して
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上記請求人の主張について、検討する。
ア 主張1に対して
上記1(4)に対比したとおり、引用発明1は、本願発明1の「錐体」の選択肢の一つに相当する構成に相当する構成を有する。
したがって、請求人が上記(1)アに主張する相違点A1は、相違点ではない。
なお、本願発明1の「錐体」に関し、他の選択肢に相当する構成とすることについても、上記3に付加的に判断したとおりである。
請求人が上記(1)アに主張する相違点B1については、上記1において相違点1として認定し、上記2において判断したとおりである。
したがって、請求人の上記主張1について検討しても、上記1~3の対比・判断を変更すべき事情はない。
イ 主張2に対して
上記アに説示したとおり、「錐体」に係る本願発明1の構成は、引用発明1との相違点ではないから、「錐体」に係る構成が相違点であることを前提として、引用発明1において本願発明1の課題に至ることがない旨をいう請求人の主張は、失当である。
また、引用発明1は、「洋上風力発電装置1の重力式基礎2」において、「作用波力を小さくし、摩擦抵抗により滑動抵抗力を大きくして、波力に対する安定性を増す」観点から、「砂地盤に貫入」させる「突起12」の形状を、「傾斜面」の角度を含めて、好適に選択する動機付けを有するから、課題の観点から、本願発明1との相違点に係る構成に至ることが困難となるような事情はない。
したがって、請求人の上記主張2について検討しても、上記1~3の対比・判断を変更すべき事情はない。
ウ 主張3に対して
上記アに説示したとおり、引用発明1は、本願発明1の「錐体」の選択肢の一つに相当する構成を有するから、「錐体」に係る構成が相違点であることを前提として、引用発明1において本願発明1の課題に至るうえで、容易の容易という問題がある旨をいう請求人の主張は、失当である。
また、本願発明1の「勾配角度」に係る構成については、上記2に判断したとおりであり、本願発明1の「錐体」の他の選択肢については、上記3に予備的に判断したとおりであるところ、請求人の上記(1)ウの主張について考慮しても、上記2の判断、及び上記3の予備的判断について、総合すれば非容易であると判断を変更すべき事情はない。
エ 小括
以上のとおりであるから、請求人の主張について検討しても、上記1~3の対比・判断を変更すべき事情はない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものあり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-008785