特許拒絶査定不服審判
2023-013659
冷凍装置
- 審判番号
- 2023-013659
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-034290外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年08月14日
- 審決日
- 2025年01月31日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
- 分類
- P18 .121-WZ (F25B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第50条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-34290「冷凍装置」拒絶査定不服審判事件〔令和4年4月28日出願公開、特開2022-66443〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
この出願(以下、「本願」という。)は、平成29年12月25日を出願日とする特願2017-247601号の一部を令和4年3月7日に新たな特許出願としたものであって、その主な手続は、概略、以下のとおりである。
令和5年 3月 1日付け :拒絶理由通知書(特許法第50条の2の通知を伴う拒絶理由通知)
同年 4月21日 :意見書、手続補正書の提出
同年 5月 9日付け :補正の却下の決定、拒絶査定
同年 8月14日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 7月12日付け :拒絶理由通知書
同年 9月10日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、令和6年9月10日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、「本願発明」という。)。
[本願発明]
「冷媒回路(RC)において冷凍サイクルを行う冷凍装置(100)であって、
室外ユニット(10)と、
複数の室内ユニット(40)と、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続し、冷媒流路(RC3)を形成し、液側連絡配管とガス側連絡配管とを含む連絡配管(La、Ga)と、
前記冷媒流路上に配置され全閉状態となることで冷媒の流れを遮断する制御弁(55)、を含む中間ユニット(50)と、
前記室内ユニットにおける冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩センサ(60)と、
前記冷媒漏洩センサで冷媒漏洩を検知した場合、前記制御弁を閉状態に制御する制御部(70)と、
電源(300)に接続される電気配線(92)と、
を備え、
前記中間ユニットと、各前記室内ユニットと、は前記電気配線を介して前記電源と接続されることで、共通の駆動電源を供給され、
前記電源の異常または前記電気配線の劣化により、前記電源からの前記制御弁への電源供給が遮断された場合は、前記室内ユニットが運転状態を継続することが抑制され、
前記中間ユニットは、第1中間ユニットと第2中間ユニットとを有し、
前記第1中間ユニットは、前記液側連絡配管上に配置される第1制御弁を含み、
前記第2中間ユニットは、前記ガス側連絡配管上に配置される第2制御弁を含む、
冷凍装置(100、100´、100´´)。」
第3 拒絶の理由
令和6年7月12日付けで当審が通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概略は、次のとおりのものである。
(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明である以下の引用文献1及び引用文献2に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:国際公開第2016/017643号
引用文献2:特開2011-247491号公報
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項及び図示事項
引用文献1には、以下の事項が記載及び図示されている(下線は、当審が付した。以下同様。)。
ア「[0018]実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和装置100を示す回路図である。この図1に基づいて、空気調和装置100について説明する。図1に示すように、空気調和装置100は、室外機A(熱源機)と、夫々並列に接続された複数の室内機Xと、室外機Aと室内機Xとの間に介在する中継機Bとを備え、冷凍サイクルを構成している。室内機Xは、3台設けられており、夫々第1の室内機C、第2の室内機D及び第3の室内機Eである。なお、本実施の形態1では、室外機Aが1台設けられ、中継機Bが1台設けられ、室内機Xが3台設けられているが、室外機A、中継機B及び室内機Xの接続台数は、これらの台数に限定されるものではない。例えば、室外機Aが2台以上設けられ、中継機Bが2台以上設けられ、並列に接続される室内機Xが2台以上設けられていてもよい。
[0019]室外機Aと中継機Bとは、第1の接続配管6及び第2の接続配管7によって接続されている。第1の接続配管6は、液冷媒が流通する液側配管となり、第2の接続配管7は、ガス冷媒が流通するガス側配管となる。
[0020]また、中継機Bと室内機Xとは、第1の室内機側接続配管6a及び第2の室内機側接続配管7aによって接続されている。第1の室内機側接続配管6aは、液冷媒が流通する液側配管となり、第2の室内機側接続配管7aは、ガス冷媒が流通するガス側配管となる。なお、第1の室内機Cには、第11の室内機側接続配管6c及び第21の室内機側接続配管7cが接続されており、第2の室内機Dには、第12の室内機側接続配管6d及び第22の室内機側接続配管7dが接続されており、第3の室内機Eには、第13の室内機側接続配管6e及び第23の室内機側接続配管7eが接続されている。」
イ「[0026](中継機B)
中継機Bは、例えば建物の外部、又は室内空間とは別の空間である天井裏等の建物の内部に設置され、室外機Aから供給される冷熱又は温熱を室内機Xに分配するものである。なお、中継機Bは、そのほかに、エレベータ等が設置された共用空間等に設置されてもよい。
[0027]中継機Bは、冷媒の分岐部として、室外機Aの第1の接続配管6、即ち液側配管と接続される第1の分岐部9bと、室外機Aの第2の接続配管7、即ちガス側配管と接続される第2の分岐部9aと、中継制御部51とを備えている。そして、第1の分岐部9bにおいて、複数の室内機Xにおける第1の室内機側接続配管6a、即ち液側配管が合流する。また、第2の分岐部9aにおいて、複数の室内機Xにおける第2の室内機側接続配管7a、即ちガス側配管が合流する。
[0028]中継機Bにおける第1の分岐部9bは、双方向における冷媒の流通を制御する第1の冷媒遮断弁21を、複数の室内機Xの台数未満の台数だけ備えている。本実施の形態1においては、第1の冷媒遮断弁21は、第1の分岐部9bにおいて、1個設けられている。第1の分岐部9bは、室内機Xから中継機Bへの冷媒の流通を許容する経路、及び、中継機Bから室内機Xへの冷媒の流通を許容する経路で構成されており、第1の冷媒遮断弁21は、中継機Bから室内機Xへの冷媒の流通を許容する経路において、複数の室内機Xに分岐する分岐点の上流側に設けられている。
[0029]そして、中継機Bにおける第1の分岐部9bは、第1の冷媒遮断弁21と並列に配置され、室内機Xから中継機Bへの冷媒の流通を許容する並列逆止弁23bと、第1の冷媒遮断弁21と直列に配置され、中継機Bから室内機Xへの冷媒の流通を許容する直列逆止弁23aとを備えている。並列逆止弁23bは総称であり、第11の室内機側接続配管6cに設けられた第1の並列逆止弁23fと、第12の室内機側接続配管6dに設けられた第2の並列逆止弁23gと、第13の室内機側接続配管6eに設けられた第3の並列逆止弁23hとからなる。一方、直列逆止弁23aは総称であり、第11の室内機側接続配管6cに設けられた第1の直列逆止弁23cと、第12の室内機側接続配管6dに設けられた第2の直列逆止弁23dと、第13の室内機側接続配管6eに設けられた第3の直列逆止弁23eとからなる。
[0030]中継機Bは、双方向における冷媒の流通を制御する第2の冷媒遮断弁22を備えており、第2の冷媒遮断弁22から流出する冷媒が、第2の分岐部9aにて合流する。第2の冷媒遮断弁22は総称であり、第21の室内機側接続配管7cに設けられた第21の冷媒遮断弁22cと、第22の室内機側接続配管7dに設けられた第22の冷媒遮断弁22dと、第23の室内機側接続配管7eに設けられた第23の冷媒遮断弁22eとからなる。
[0031]中継制御部51は、第1の冷媒遮断弁21及び第2の冷媒遮断弁22の開閉動作を制御するものである。」
ウ「[0035]また、第1の室内機側接続配管6aには、第1の室内機温度検出部34が設けられており、第2の室内機側接続配管7aには、第2の室内機温度検出部33が設けられている。更に、室内熱交換器5の近傍には、室内温度検出部42が設けられている。そして、室内制御部52は、これらの第1の室内機温度検出部34、第2の室内機温度検出部33及び室内温度検出部42によって検出された温度情報に基づいて、空気調和装置100の各構成を制御する。更にまた、室内熱交換器5の空気の吸い込み口又は吐き出し口の近傍には、冷媒の漏洩を検出する冷媒漏洩検出部43が設けられている。この冷媒漏洩検出部43は、例えば、空気中の冷媒濃度を検出する冷媒濃度検出部であり、空気中の冷媒濃度が予め定められた閾値を超えたときに、冷媒が漏洩したと判定するものである。」
エ「[0038]次に、制御部70について説明する。制御部70は、室外制御部50、中継制御部51及び室内制御部52を備えている。この制御部70は、冷媒漏洩検出部43が複数の室内機Xの少なくとも1台において冷媒が漏洩したことを検出した場合、室外熱交換器3が凝縮器として作用する流路となるように流路切替部2を制御するものである。」
オ「[0052](冷媒回収運転)
次に、冷媒が漏洩した場合において、室内への冷媒漏洩量を極力低減する冷媒回収運転について説明する。制御部70は、冷媒漏洩検出部43において第1の室内機Cから冷媒が漏洩したことが検出された場合、例えば、冷媒漏洩検出部43が、空気中の冷媒濃度を検出する冷媒濃度検出部であり、空気中の冷媒濃度が予め定められた閾値を超えた場合、室外熱交換器3が凝縮器として作用する流路となるように流路切替部2を制御する。これは、冷媒の漏洩が検出された際の運転モードが冷房運転である場合、流路はそのままであり、暖房運転である場合、流路は逆方向である。更に、制御部70は、第1の冷媒遮断弁21及び第21の冷媒遮断弁22cを閉じる。図6は、本発明の実施の形態1における冷媒回収運転を示す回路図であり、図7は、本発明の実施の形態1における冷媒回収運転のP-h線図である。」
カ「[0056]また、第1の室内機C、第2の室内機D及び第3の室内機Eのいずれかにおいて、冷媒が漏洩した場合、中継機Bの中継制御部51は、冷媒が漏洩した室内機Xに接続された第2の冷媒遮断弁22及び第1の冷媒遮断弁21の開閉動作を行う。第2の冷媒遮断弁22は、通常運転時には開いており、冷媒が漏洩した際に閉じる。これにより、冷媒が第2の室内機側接続配管7aに流入することが防止される。また、第1の冷媒遮断弁21は、通常運転時には開いており、冷媒が漏洩した際に閉じる。これにより、冷媒が漏洩した室内機X、第1の室内機側接続配管6a及び第2の室内機側接続配管7aの圧力が、第1の接続配管6の圧力よりも高い場合、並列逆止弁23bを通って、冷媒が漏洩した室内機X、第1の室内機側接続配管6a及び第2の室内機側接続配管7aに貯留する冷媒が、第1の接続配管6の内部に回収される。一方、冷媒が漏洩した室内機X、第1の室内機側接続配管6a及び第2の室内機側接続配管7aの圧力が、第1の接続配管6の圧力よりも低い場合、冷媒が漏洩した室内機X、第1の室内機側接続配管6a及び第2の室内機側接続配管7aに冷媒が流出することが防止される。」
キ「[0058]以上説明したように、本実施の形態1に係る空気調和装置100は、第1の分岐部9bにおいて、第1の冷媒遮断弁21が、室内機Xの台数未満の台数だけ備わっているため、コスト低減及び制御簡略化を両立することができる。また、第1の冷媒遮断弁21が、室内機Xの第1の室内機側接続配管6aが合流する第1の分岐部9bに設けられ、室内機Xの第2の室内機側接続配管7a毎に設けられている。このため、いずれかの室内機Xにおいて、室内への冷媒の漏洩が発生した場合、漏洩している室内機Xの第2の室内機側接続配管7aに設けられた第2の冷媒遮断弁22、及び第1の分岐部9bにおける第1の室内機側接続配管6aが合流した部分に設けられた第1の冷媒遮断弁21を閉止することによって、室内への冷媒の漏洩を、極力減らすことができる。」
ク「[図1]
[図:0001421875000001.jpg]
」
(2)上記(1)から認められること
ア 段落[0018]~[0020]、[0027]の記載事項から、空気調和装置100は、室外機Aと室内機Xとを接続し、液冷媒が流通する第1の接続配管6、第1の分岐部9b及び第1の室内機側接続配管6aと、ガス冷媒が流通する第2の接続配管7、第2の分岐部9a及び第2の室内機側接続配管7aを備えることが認められる。
イ 段落[0027]~[0028]の記載事項から、中継機Bは、第1の分岐部9bに第1の冷媒遮断弁21を備えること、中継機Bにおいて、第2の冷媒遮断弁22から流出する冷媒が第2の分岐部9aにて合流することが認められる。
ウ 段落[0027]、[0029]~[0030]の記載事項から、第1の分岐部9bは、第1の接続配管と接続され、第1の冷媒遮断弁21と並列逆止弁23b及び直列逆止弁23aが設けられること、第2の分岐部9aは、第2の接続配管と接続され、複数の第2の冷媒遮断弁22が設けられることが、認められる。
(3)引用発明
上記(1)及び(2)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
[引用発明]
「冷凍サイクルを構成している空気調和装置100であって、
室外機Aと、
複数の室内機Xと、
室外機Aと室内機Xとを接続し、液冷媒が流通する第1の接続配管6、第1の分岐部9b及び第1の室内機側接続配管6aと、ガス冷媒が流通する第2の接続配管7、第2の分岐部9a及び第2の室内機側接続配管7aと、
第1の分岐部9bに第1の冷媒遮断弁21を備え、第2の冷媒遮断弁22から流出する冷媒が第2の分岐部9aにて合流する中継機Bと、
室内機Xにおける冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検出部43と、
冷媒漏洩検出部43で冷媒漏洩を検知した場合、第1の冷媒遮断弁21、第2の冷媒遮断弁22を閉じる制御部70と、を備え、
中継機Bは、第1の分岐部9bと、第2の分岐部9aとを備え、
第1の分岐部9bは、第1の接続配管6と接続され、第1の冷媒遮断弁21と並列逆止弁23b及び直列逆止弁23aが設けられ、
第2の分岐部9aは、第2の接続配管7と接続され、複数の第2の冷媒遮断弁22が設けられる、
空気調和装置100。」
2 引用文献2
(1)引用文献2の記載事項及び図示事項
引用文献2には、以下の事項が記載及び図示されている。
ア「【0019】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。本実施形態による空気調和機は、図1に示すように、多室形空気調和機であって、2台の室外機1a、1bと9台の室内機2a~2iとを備え、2台の室外機1a、1bと9台の室内機2a~2iはビルに設置されている。2台の室外機1a、1bと9台の室内機2a~2iの間は、多室形空気調和機が1つの閉じられた冷媒回路で運転されるように冷媒配管が形成されている。
【0020】
また、9台の室内機2a~2iは、3台の室内機2a~2cをグループA、3台の室内機2d~2fをグループB、3台の室内機2g~2iをグループCとし、グループAの各室内機はビルの3階の1フロアに、グループBの各室内機はビルの2階の1フロアに、グループCの各室内機はビルの1階の1フロアにそれぞれ設置されている。更に、2台の室外機1a、1bは、9台の室内機2a~2iに電力を供給する電力供給源と異なる電力供給源から電力が供給されるようになっている。」
イ「【0039】
室内機2a~2iに電力を供給する電力供給源からメインブレーカー9aまでは、1本の電源ケーブル11で配線され、メインブレーカー9aからグループA~Cに分かれて3本の電源ケーブル11で室内機2a~2iに配線されている。
【0040】
3本の電源ケーブル11のうち、1本の電源ケーブル11は、サブブレーカー9bに接続されている。このサブブレーカー9bから室内機2a~2cまでは、複数の端子台10を介してそれぞれ電源ケーブル11で配線されている。同様に、その他の1本の電源ケーブル11は、サブブレーカー9cに接続されている。このサブブレーカー9cから室内機2d~2fまでは、複数の端子台10を介してそれぞれ電源ケーブル11で配線されている。さらに、その他の1本の電源ケーブル11は、サブブレーカー9dに接続されている。このサブブレーカー9dから室内機2g~2iまでは、複数の端子台10を介してそれぞれ電源ケーブル11で配線されている。
【0041】
電磁弁12aは、ジョイント4bとジョイント4dとの間の配管に直列に接続されている。同様に、電磁弁12bは、ジョイント4cとジョイント4eとの間の配管に直列に接続され、電磁弁12cは、ジョイント4cとジョイント4fとの間の配管に直列に接続されている。
【0042】
電磁弁12aは、サブブレーカー9bから室内機2a~2cまで配線される電源ケーブル11に端子台10を介して電源ケーブル11で接続されている。同様に、電磁弁12bは、サブブレーカー9cから室内機2d~2fまで配線される電源ケーブル11に端子台10を介して電源ケーブル11で接続されている。同様に、電磁弁12cは、サブブレーカー9dから室内機2g~2iまで配線される電源ケーブル11に端子台10を介して電源ケーブル11で接続されている。
【0043】
さらに、電磁弁12a~12cはそれぞれ、電源ケーブル11を介して電力が供給されると開き、電力が供給されないと閉じるようになっている。」
ウ「【0046】
まず、停電によって電力の供給が遮断され多室形空気調和機が運転停止した後に、電力の供給が復旧し多室形空気調和機を再起動したとき、室外機1a、室外機1bに有する圧縮機への液戻りを防止する場合について説明する。室外機1aおよび室外機1bと室内機2a~2iは停電したとき、各電力供給源からの電力の供給が遮断され、室外機1aおよび室外機1bと室内機2a~2iが運転停止する。このとき、電磁弁12a~12cは、室内機2a~2iと同一の電力供給源から電力の供給を受けているので、電磁弁12a~12cについても、それぞれ電力が供給されなくなって、電磁弁12a~12cがそれぞれ閉じられる。
【0047】
この結果、電磁弁12a~12cによって、グループA~Cに液冷媒を供給する配管への液冷媒の供給が遮断される。したがって、多室形空気調和機の運転停止時に、室内機2a~2i内に液冷媒が流入し滞留することなく、多室形空気調和機を再起動したとき、室内機2a~2iに有する各室内熱交換器で液冷媒が蒸発されずに、室外機1a、室外機1bに有する圧縮機に戻るという液戻りを防止することができる。
エ「【0048】
次に、メインブレーカー9aの作動によって電力の供給が遮断され室内機2a~2iが運転停止した後に、室外機1aおよび室外機1bが運転を継続しているとき、室外機1a、室外機1bに有する圧縮機への液戻りを防止する場合について説明する。室内機2a~2iはメインブレーカー9aが作動したとき、電力供給源からの電力の供給が遮断され、室内機2a~2iが運転停止する。このとき、電磁弁12a~12cは、室内機2a~2iと同一の電力供給源から電力の供給を受けているので、電磁弁12a~12cについても、それぞれ電力が供給されなくなって、電磁弁12a~12cがそれぞれ閉じられる。
【0049】
この結果、電磁弁12a~12cによって、停電した場合と同様に、グループA~Cに液冷媒を供給する配管への液冷媒の供給が遮断される。したがって、室内機2a~2iの運転停止時に、室外機1a、室外機1bが運転中であっても、室内機2a~2i内に液冷媒が流入することがなく、室内機2a~2iに有する各室内熱交換器で液冷媒が十分に蒸発されずに、室外機1a、室外機1bに有する圧縮機に戻るという液戻りを防止することができる。」
オ「【0053】
以上説明してきた本実施形態によれば、2台の室外機1a、1bと9台の室内機2a~2iとを備える多室形空気調和機において、グループAの室内機2a~2cに液冷媒を供給する配管に電磁弁12a、グループBの室内機2d~2fに液冷媒を供給する配管に電磁弁12b、グループCの室内機2g~2iに液冷媒を供給する配管に電磁弁12cをそれぞれ直列に接続している。さらに、電磁弁12a~12cはそれぞれ、室内機2a~2iに電力を供給する電力供給源から電力が供給されると開き、電力が供給されないと閉じるようになっている。
カ「【図1】
[図:0001421875000002.jpg]
」
(2)引用文献2に記載された技術的事項
上記(1)から、引用文献2には、次の技術的事項(以下、「引用文献2に記載された技術的事項」という。)が記載されているものと認められる。
[引用文献2に記載された技術的事項]
「9台の室内機2a~2iを備えた多室形空気調和機において、電力供給源に接続される電源ケーブル11を備え、室内機2a~2iに電力を供給する電力供給源からメインブレーカー9aまでは1本の電源ケーブル11で配線され、メインブレーカー9aからグループA~Cに分かれて3本の電源ケーブル11で室内機2a~2iに配線されており、2台の室外機1a、1bと9台の室内機2a~2iの間は、冷媒配管が形成されており、グループAの室内機2a~2cに液冷媒を供給する配管に電磁弁12a、グループBの室内機2d~2fに液冷媒を供給する配管に電磁弁12b、グループCの室内機2g~2iに液冷媒を供給する配管に電磁弁12cが接続されており、電磁弁12a~12cは、サブブレーカー9b~9dから室内機2a~2iまで配線される電源ケーブル11に端子台10を介して電源ケーブル11で接続されており、同一の電力供給源から電力を供給され、停電又はメインブレーカー9aの作動により、室内機2a~2iが運転停止すると、電磁弁12a~12cは、室内機2a~2iと同一の電力供給源から電力の供給を受けているので、それぞれ電力が供給されなくなって、電磁弁12a~12cがそれぞれ閉じられること。」
第5 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明との対比
ア 引用発明の「冷凍サイクル」、「空気調和装置100」は、それぞれ本願発明の「冷凍サイクル」、「冷凍装置」に相当する。そして、引用発明の「冷凍サイクルを構成している空気調和装置100」は、冷凍サイクルが冷媒回路によって構成されることが技術常識であるから、本願発明の「冷媒回路において冷凍サイクルを行う冷凍装置」に相当する。
イ 引用発明の「室外機A」は、本願発明の「室外ユニット」に相当する。
ウ 引用発明の「室内機X」は、本願発明の「室内ユニット」に相当する。
エ 引用発明の「液冷媒が流通する第1の接続配管6、第1の分岐部9b及び第1の室内機側接続配管6a」は、本願発明の「液側連絡配管」に相当する。
また、引用発明の「ガス冷媒が流通する第2の接続配管7、第2の分岐部9a及び第2の室内機側接続配管7a」は、本願発明の「ガス側連絡配管」に相当する。
そうすると、引用発明の「液冷媒が流通する第1の接続配管6、第1の分岐部9b及び第1の室内機側接続配管6aと、ガス冷媒が流通する第2の接続配管7、第2の分岐部9a及び第2の室内機側接続配管7a」は、本願発明の「冷媒流路を形成し、液側連絡配管とガス側連絡配管とを含む連絡配管」に相当する。
オ 引用発明の「第1の冷媒遮断弁21」及び「第2の冷媒遮断弁22」について、冷媒遮断弁は、全閉状態となることで冷媒の流れが遮断されるものであることが技術常識であるから、いずれも本願発明の「全閉状態となることで冷媒の流れを遮断する制御弁」に相当する。
また、引用発明の「第1の分岐部9bに第1の冷媒遮断弁21を備え」ることは、上記エのとおり引用発明の「第1の分岐部9b」が本願発明の「冷媒流路を形成」する「連絡配管」に相当することから、本願発明の「制御弁」が「冷媒流路上に配置され」ることに相当する。
さらに、引用発明の「第2の冷媒遮断弁22から流出する冷媒が第2の分岐部9aにて合流する」ことも、上記エのとおり引用発明の「第2の分岐部9a」が本願発明の「冷媒流路を形成」する「連絡配管」に相当することから、本願発明の「制御弁」が「冷媒流路上に配置され」ることに相当する。
加えて、引用発明の「中継機B」は、本願発明の「中間ユニット」に相当する。
そうすると、引用発明の「第1の分岐部9bに第1の冷媒遮断弁21を備え、第2の冷媒遮断弁22から流出する冷媒が第2の分岐部9aにて合流する中継機B」は、本願発明の「前記冷媒流路上に配置され全閉状態となることで冷媒の流れを遮断する制御弁、を含む中間ユニット」に相当する。
カ 引用発明の「冷媒漏洩検出部43」は、本願発明の「冷媒漏洩センサ」に相当するから、引用発明の「室内機Xにおける冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩検出部43」は、本願発明の「前記室内ユニットにおける冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩センサ」に相当する。
キ 引用発明の「第1の冷媒遮断弁21、第2の冷媒遮断弁22を閉じる」ことは、本願発明の「前記制御弁を閉状態に制御」することに相当し、引用発明の「制御部70」は、本願発明の「制御部」に相当するから、引用発明の「冷媒漏洩検出部43で冷媒漏洩を検知した場合、第1の冷媒遮断弁21、第2の冷媒遮断弁22を閉じる制御部70」は、本願発明の「前記冷媒漏洩センサで冷媒漏洩を検知した場合、前記制御弁を閉状態に制御する制御部」に相当する。
ク 引用発明の「第1の分岐部9b」、「第2の分岐部9a」は、本願発明の「第1中間ユニット」、「第2中間ユニット」にそれぞれ相当する。
そうすると、引用発明の「中継機Bは、第1の分岐部9bと、第2の分岐部9aとを備え」ることは、本願発明の「前記中間ユニットは、第1中間ユニットと第2中間ユニットとを有」することに相当する。
ケ 引用発明の「第1の冷媒遮断弁21と並列逆止弁23b及び直列逆止弁23a」は、「第1の接続配管6と接続され」るものである。ここで、引用発明の「第1の接続配管6」は「液冷媒が流通する」ものであるから、引用発明の「第1の冷媒遮断弁21と並列逆止弁23b及び直列逆止弁23aが設けられ」ることは、本願発明の「液側連絡配管上に配置される第1制御弁を含」むことに相当する。
そうすると、引用発明の「第1の冷媒遮断弁21と並列逆止弁23b及び直列逆止弁23aが設けられ」る「第1の分岐部9b」は、本願発明の「液側連絡配管上に配置される第1制御弁を含」む「第1中間ユニット」に相当する。
したがって、引用発明の「第1の分岐部9bは、第1の接続配管6と接続され、第1の冷媒遮断弁21と並列逆止弁23b及び直列逆止弁23aが設けられ」ることは、本願発明の「前記第1中間ユニットは、前記液側連絡配管上に配置される第1制御弁を含」むことに相当する。
コ 引用発明の「複数の第2の冷媒遮断弁22」は、「第2の接続配管7と接続され」るものである。ここで、引用発明の「第2の接続配管7」は「ガス冷媒が流通する」ものであるから、引用発明の「複数の第2の冷媒遮断弁22が設けられる」ことは、本願発明の「ガス側連絡配管上に配置される第2制御弁を含む」ことに相当する。
そうすると、引用発明の「複数の第2の冷媒遮断弁22が設けられる」「第2の分岐部9a」は、本願発明の「ガス側連絡配管上に配置される第2制御弁を含む」「第2中間ユニット」に相当する。
したがって、引用発明の「第2の分岐部9aは、第2の接続配管7と接続され、複数の第2の冷媒遮断弁22が設けられる」ことは、本願発明の「前記第2中間ユニットは、前記ガス側連絡配管上に配置される第2制御弁を含む」ことに相当する。
(2)一致点・相違点
上記(1)をまとめると、本願発明と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
[一致点]
「冷媒回路において冷凍サイクルを行う冷凍装置であって、
室外ユニットと、
複数の室内ユニットと、
前記室外ユニットと前記室内ユニットとを接続し、冷媒流路を形成し、液側連絡配管とガス側連絡配管とを含む連絡配管と、
前記冷媒流路上に配置され全閉状態となることで冷媒の流れを遮断する制御弁、を含む中間ユニットと、
前記室内ユニットにおける冷媒漏洩を検知する冷媒漏洩センサと、
前記冷媒漏洩センサで冷媒漏洩を検知した場合、前記制御弁を閉状態に制御する制御部と、を備え、
前記中間ユニットは、第1中間ユニットと第2中間ユニットとを有し、
前記第1中間ユニットは、前記液側連絡配管上に配置される第1制御弁を含み、
前記第2中間ユニットは、前記ガス側連絡配管上に配置される第2制御弁を含む、
冷凍装置。」
[相違点]
本願発明では、「電源(300)に接続される電気配線(92)」を備え、「前記中間ユニットと、各前記室内ユニットと、は前記電気配線を介して前記電源と接続されることで、共通の駆動電源を供給され、前記電源の異常または前記電気配線の劣化により、前記電源からの前記制御弁への電源供給が遮断された場合は、前記室内ユニットが運転状態を継続することが抑制される」のに対して、引用発明では、かかる構成を備えていない点。
2 判断
上記相違点について検討する。
引用発明と、引用文献2に記載された技術的事項とは、いずれも複数の室内機を備えた空気調和装置に係るものであり、技術分野が共通する。そして、引用発明においても、空気調和装置は一般的に電源からの電力によって駆動するものである以上、引用文献2に記載された技術的事項のような、停電又はメインブレーカーが作動した際の圧縮機への液戻りを防止する対応は、内在する課題であるといえ、引用発明と、引用文献2に記載された技術的事項とは、課題も共通しているといえる。さらに、引用発明における「第1の冷媒遮断弁21、第2の冷媒遮断弁22」と、引用文献2に記載された技術的事項における「電磁弁12a~12c」は、冷媒の流れを遮断するという共通する機能を備えている。
そうすると、引用文献2に記載された技術的事項を踏まえて、引用発明の「第1の冷媒遮断弁21」及び「第2の冷媒遮断弁22」と、各「室内機X」とを電源ケーブルを介して電力供給源と接続することで、同一の電力供給源から電力を供給すること、電源ケーブルにメインブレーカーを設けることは、当業者であれば容易になし得たことである。
ここで、「第1の冷媒遮断弁21」及び「第2の冷媒遮断弁22」は、「中継機B」にあるため、「中継機B」と各「室内機X」が電源ケーブルを介して電力供給源と接続されることになる。また、引用文献2に記載された技術的事項のように、停電(本願発明「電源の異常」に相当。)又はメインブレーカーの作動により、電力供給源からの「第1の冷媒遮断弁21」及び「第2の冷媒遮断弁22」への電力の供給が遮断された場合は、「室内機X」が運転停止されることになる。
さらに、ブレーカーが、「電気配線の劣化」時に作動することは、技術常識であるため、引用発明に、引用文献2に記載された技術的事項を適用すれば、相違点に係る本願発明の発明特定事項になることが当業者であれば理解できる。
そして、本願発明の奏する効果も、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項から予測し得る程度のものであり、格別のものではない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
3 審判請求人の主張について
(1)審判請求人の主張
審判請求人は、令和6年9月10日に提出された意見書において、当審拒絶理由に対して、以下のように主張(以下、それぞれ「主張1」、「主張2」という。)している。
[主張1]
「引用発明1は、室内機の液側配管に接続される液側遮断弁である第1の冷媒遮断弁21を、複数の室内機の台数未満の台数だけ備えるようにすることで、コスト上昇及び制御煩雑化を抑制することを課題としており、第1の冷媒遮断弁21と第2の冷媒遮断弁22c-22eとを有する中継部Bと、第1-第3の室内機C-Eとが、共通の電力供給源から電力が供給されることは引用発明1に開示も示唆もないため、引用発明2と課題が共通するものではありません。」
[主張2]
「また、引用発明2では、圧縮機への液戻りを防止するという課題を解決するために、段落0055に記載のように、液管5に電磁弁12a-12cが設けられており、本願発明のように、液側連絡配管とガス側連絡配管のそれぞれに制御弁が配置される複数の中間ユニットを備えることは開示も示唆もありません。従って、本願発明と引用文献に記載された発明は異なります。」
(2)主張1についての検討
空気調和装置は、電源から供給される電力によってモータや弁が駆動するものであることが技術常識であって、引用発明においても、第1の冷媒遮断弁21や第2の冷媒遮断弁22が電源から供給される電力によって駆動されているものと解される。
してみると、引用発明においても、引用文献2に記載された技術的事項と同様に、停電又はメインブレーカーが作動した際の対応は、内在する課題であるといえ、引用発明と、引用文献2に記載された技術的事項とは、課題も共通しているといえる。
したがって、審判請求人の上記主張1は、採用できない。
(3)主張2についての検討
本願発明の「中間ユニット」は、「液側連絡配管上に配置される第1制御弁を含み」、「ガス側連絡配管上に配置される第2制御弁を含む」ことを発明特定事項とするものであるが、「冷媒漏洩センサで冷媒漏洩を検知した場合、前記制御弁を閉状態に制御する」際の「制御弁」は、「第1の制御弁」及び「第2制御弁」の全てであることを特定しているわけではない。
してみると、引用文献2に記載された電磁弁12a-12cが液管5に設けられていることを理由に、「液側連絡配管とガス側連絡配管のそれぞれに制御弁が配置されている複数の中間ユニット」を備える引用発明への適用を阻害するような要因にはならない。
さらに、引用文献1の段落[0058]に記載されているように、引用発明は、いずれかの室内機Xにおいて、室内への冷媒の漏洩が発生した場合、第2の冷媒遮断弁22及び第1の冷媒遮断弁21を閉止することによって、室内への冷媒の漏洩を、極力減らすことができるものである。
そうすると、引用発明における当該示唆から、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用する際、引用発明において液冷媒の流通する「第1の冷媒遮断弁21」のみならず、ガス冷媒の流通する「第2の冷媒遮断弁22」も、各「室内機X」と電源ケーブルを介して電力供給源と接続することで、同一の電力供給源から電力を供給すること、電源ケーブルにメインブレーカーを設けることで、本願発明のようにすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
したがって、審判請求人の上記主張2も、採用できない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-013659