特許拒絶査定不服審判
2024-005350
錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法
- 審判番号
- 2024-005350
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-153627
- 請求日
- 2024年04月01日
- 審決日
- 2025年09月26日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】CKD株式会社
- 【請求人代理人】川口 光男
- 審判長/審判官
- 審判長 脇岡 剛
- 審判官 吉田 美彦
- 審判官 山崎 慎一
- 分類
- P18 .121-WY (B65B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第50条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022-153627「錠剤充填装置、PTP包装機、及び、PTPシートの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 4年12月20日出願公開、特開2022-188140、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年6月19日に出願した特願2018-115964号の一部を令和4年9月27日に新たな特許出願としたものであって、令和5年5月1日付けで特許法50条の2の通知を伴う拒絶の理由が通知され、同年6月7日に意見書とともに手続補正書が提出され、同年9月29日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年11月9日に意見書が提出され、令和6年1月29日付けで拒絶査定(謄本送達日同年2月6日。以下、「原査定」という。)がなされ、これに対して同年4月1日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項 1、6-7
・引用文献等 1
・請求項 2
・引用文献等 1-2
・請求項 3
・引用文献等 1-3
・請求項 4
・引用文献等 1-4
・請求項 5
・引用文献等 1-5
・請求項 8
・引用文献等 1、6
<引用文献等一覧>
1.特開平03-148430号公報
2.特開2017-124171号公報
3.特開2017-207253号公報
4.国際公開第2018/043628号
5.特開2017-176681号公報
6.特開2015-157648号公報
第3 本願発明
本願請求項1~8に係る発明(以下、「本願発明1」~「本願発明8」といい、これらをまとめて「本願発明」という。)は、令和5年6月7日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~8に記載された、次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
水平搬送される容器フィルムのポケット部へ錠剤を充填するための錠剤充填装置であって、
所定の供給手段から供給される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段により搬送される錠剤の一方面に印刷を施す第1印刷手段と、
前記第1搬送手段より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第2搬送手段と、
前記第2搬送手段により搬送される錠剤の他方面に印刷を施す第2印刷手段と、
前記水平搬送される容器フィルムと近接するように配置され、前記第2搬送手段より受け渡され、両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段とを備えたことを特徴とする錠剤充填装置。
【請求項2】
少なくとも前記第2搬送手段の吸着部を乾燥させるための第2搬送手段用の乾燥手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の錠剤充填装置。
【請求項3】
前記錠剤反転手段は、
前記第2搬送手段より受け渡される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な錠剤反転用の搬送手段を有し、
少なくとも前記錠剤反転用の搬送手段に吸着保持された錠剤の前記一方面を乾燥させるための錠剤用の乾燥手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の錠剤充填装置。
【請求項4】
前記吸着部に錠剤を吸着した際、少なくとも前記錠剤の吸着面側の印刷部と前記吸着部とが非接触状態となるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【請求項5】
前記供給手段は、
錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送し前記第1搬送手段へ受け渡す供給用の搬送手段を備え、
前記供給用の搬送手段により搬送される錠剤の前記他方面を撮像可能な第1撮像手段と、
前記第1印刷手段よりも上流側にて、前記第1搬送手段により搬送される錠剤の前記一方面を撮像可能な第2撮像手段と、
前記第1撮像手段及び前記第2撮像手段により取得された画像データに基づき、前記第1印刷手段及び前記第2印刷手段を制御可能な印刷制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【請求項6】
前記搬送手段は、前記吸着部を有し、自身の回転に伴って錠剤を搬送する回転体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の錠剤充填装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の錠剤充填装置を備えたことを特徴とするPTP包装機。
【請求項8】
容器フィルムに形成されたポケット部に錠剤が収容されると共に、該ポケット部を塞ぐように前記容器フィルムに対しカバーフィルムが取着されてなるPTPシートを製造するためのPTPシートの製造方法であって、
帯状に水平搬送される前記容器フィルムに対し前記ポケット部を形成するポケット部形成工程と、
前記ポケット部に錠剤を充填する充填工程と、
前記ポケット部に錠剤が充填された前記容器フィルムに対し、前記ポケット部を塞ぐようにして帯状の前記カバーフィルムを取着する取着工程と、
前記容器フィルムに前記カバーフィルムが取着された帯状のPTPフィルムからPTPシートを切離す切離工程とを備え、
前記充填工程において、
錠剤を吸着搬送しつつ、該錠剤の一方面に印刷を施す第1工程と、
前記一方面に印刷が施された錠剤を吸着搬送しつつ、該錠剤の他方面に印刷を施す第2工程と、
前記両面に印刷が施された錠剤を、吸着保持しつつ、前記第2工程にて後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して、前記水平搬送される容器フィルムと近接する位置にて吸着保持を解除することで、前記ポケット部へ充填する第3工程とを備えたことを特徴とするPTPシートの製造方法。」
第4 引用例
1 引用例1
(1)引用例1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願(特願2018-115964)の出願前に既に公知である、特開平03-148430号公報(平成3年6月25日公開。以下、これを「引用例1」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付加。以下同様。)
ア 「 第5図は、第3実施例を示す。
第3実施例の錠剤印刷包装機は、錠剤の両面に印刷をし、両方の印刷面の表面外観検査を行なったのち、良品の錠剤だけを一方の同じ印刷面がブリスタシートのポケットの表側を向くように包装するものであり、その全体概略構成が第5図に示されている。
この印刷包装機は、錠剤ホッパ(1)、第1錠剤搬送ロール(第1ロール)(30)、第1印刷装置(31)、第1検査装置(32)、第2錠剤搬送ロール(第2ロール)(33)、第2印刷装置(34)、第2検査装置(35)および包装装置(4)を備えている。」(6ページ右上欄4~16行)
イ 「 第3実施例による錠剤(T)の印刷および包装は、次のようにして行なわれる。
ホッパ(1)内の錠剤(T)が第1ロール(30)の凹所(6)に吸着保持されて回転するまでの動作は第2実施例の場合と同様であり、このとき、錠剤(T)の外を向く面が先に印刷の施される第1被印刷面(T10)、内を向く面が後から印刷の施される第2被印刷面(T20)となる。このように第1ロール(30)に保持された錠剤(T)が回転している間に、第1印刷装置(31)により、第1被印刷面(T10)に印刷が施される。第2実施例の場合と同様、印刷の終わった錠剤(T)が第1ロール(30)に保持されて第2ロール(33)に向って移動している間に、第1検査装置(32)によって第1印刷面(T11)の検査が行なわれ、不良品が図示しない不良品排出シュートに排出される。
第1印刷面(T11)の検査に合格した錠剤(T)は、第1ロール(30)から第2ロール(33)に移され、第2被印刷面(T20)が外を向くように第2ロール(33)の凹所(6)に吸着保持されて移動する。これらの錠剤(T)が第2ロール(22)に保持されて第2検査装置(35)に向って移動している間に、第2印刷装置(34)により、第2被印刷面(720)に印刷が施される。」(6ページ左下欄10行~右下欄13行)
ウ 「 これにより、第2ロール(33)には両方の印刷面(T11)(T21)の検査に合格した良品だけが残り、前記実施例の場合と同様、これらの良品が、包装装置(4)のストッカ(10)を経由して、ブリスタシート(18)のポケット(19)に収容される。両方の検査に合格した良品の錠剤(T)がストッカ(10)の上に移動してきたときには、第2印刷面(T21)が下を向いている。したがって、錠剤(T)は、第2印刷面(T21)が全て下すなわちポケット(19)の表側を向くように向きを揃えてブリスタシート(18)に収容される。後は、前記実施例の場合と同様である。」(6ページ右下欄下から2行~7ページ左上欄上から10行)
エ 「 第4図は、第2実施例を示す。
第2実施例の錠剤印刷包装機は、錠剤の片面に印刷をし、この印刷面と反対側の非印刷面の表面外観検査を行なったのち、良品の錠剤だけを印刷面がブリスタシートのポケットの表側を向くように包装するものであり、その全体概略構成が第4図に示されている。
この印刷包装機は、錠剤ホッパ(1)、第1錠剤搬送ロール(第1ロール)(20)、印刷装置(3)、第1検査装置(21)、第2錠剤搬送ロール(第2ロール)(22)、第2検査装置(23)、第3錠剤搬送ロール(第3ロール)(24)および包装装置(4)を備えている。
第1ロール(20)は、第1実施例の錠剤搬送ロール(2)と同様のものであり、水平軸(25)を中心に第4図反時計方向に回転する。」(5ページ左上欄17行~右上欄12行)
オ 「 錠剤(T)の片面だけに印刷を施して印刷面(T11)と非印刷面(T00)の両方の検査を行なう場合は、第2実施例のように、印刷包装機は3つのロール(20)(22)(24)によって構成される。」(6ページ左上欄16~19行)
カ 「 第1図~第3図は、第1実施例を示す。
第1実施例の錠剤印刷包装機は、錠剤の片面に印刷をしてこの印刷面がブリスタシートのポケットの表側を向くように錠剤を包装するものである。この印刷包装機は、錠剤ホッパ(1)、錠剤搬送ロール(2)、印刷装置(3)および包装装置(4)を備えており、その全体概略構成が第1図に、包装装置(4)の部分の詳細が第2図および第3図に示されている。」(3ページ右下欄7~15行)
キ 「 ホッパ(1)は搬送ロール(2)の第1図右斜め上方に設けられており、これには印刷前の錠剤(T)が多数入れられている。
…(中略)…
詳細な図示は省略したが、ストッカ(10)の下を連続状の透明ブリスタシート(18)が第1図および第2図の左から右に移動させられるようになっている。
…(中略)…
搬送ロール(2)の回転により、ホッパ(1)内の錠剤(T)が搬送ロール(2)の凹所(6)に吸着保持されて、回転する。」(4ページ左上欄6行~左下欄17行)
ク 「包装装置(4)は、第3ロール(24)の下部に近接するように配置されている。
第2実施例による錠剤(T)の印刷および包装は、次のようにして行なわれる。
…(中略)…
これにより、第2ロール(22)には印刷面(T11)と非印刷面(T00)の両方の検査に合格した良品だけが残り、これが第2ロール(22)から第3ロール(24)に移されて、再び印刷面(T11)が外を向くように第3ロール(24)に保持される。そして、これらの良品だけが、第3ロール(24)の下部において、印刷面(T11)が全て下を向くように向きを揃えてストッカ(10)内に落下する。」(5ページ左下欄11~14行)
ケ 「第1図
[図:0001427509000001.jpg]
」
コ 「第4図
[図:0001427509000002.jpg]
」
サ 「第5図
[図:0001427509000003.jpg]
」
(2)引用発明
ア 上記記載事項(1)アの「第5図は、第3実施例…(中略)…第3実施例の錠剤印刷包装機は、錠剤の両面に印刷をし、両方の印刷面の表面外観検査を行なったのち、良品の錠剤だけを一方の同じ印刷面がブリスタシートのポケットの表側を向くように包装するもの…(中略)…この印刷包装機は、錠剤ホッパ(1)、第1錠剤搬送ロール(第1ロール)(30)、第1印刷装置(31)、第1検査装置(32)、第2錠剤搬送ロール(第2ロール)(33)、第2印刷装置(34)、第2検査装置(35)および包装装置(4)を備えている。」との記載、及び同サ(第5図)から、引用例1には、“錠剤の両面に印刷をし、両方の印刷面の表面外観検査を行なったのち、良品の錠剤だけを一方の同じ印刷面がブリスタシートのポケットの表側を向くように包装する錠剤印刷包装機であって、錠剤ホッパ、第1錠剤搬送ロール、第1印刷装置、第1検査装置、第2錠剤搬送ロール、第2印刷装置、第2検査装置および包装装置を備え”ることが記載されているといえる。
イ 上記記載事項(1)イの「ホッパ(1)内の錠剤(T)が第1ロール(30)の凹所(6)に吸着保持されて回転するまでの動作は第2実施例の場合と同様であり」との記載、同エの「第4図は、第2実施例を示す。…(中略)…この印刷包装機は、錠剤ホッパ(1)、第1錠剤搬送ロール(第1ロール)(20)、…(中略)…を備えている。…(中略)…第1ロール(20)は、第1実施例の錠剤搬送ロール(2)と同様のもの」との記載、同カの「第1実施例の錠剤印刷包装機…(中略)…この印刷包装機は、錠剤ホッパ(1)、錠剤搬送ロール(2)、印刷装置(3)および包装装置(4)を備え」との記載、同キの「ホッパ(1)は搬送ロール(2)の第1図右斜め上方に設けられ…(中略)…ストッカ(10)の下を連続状の透明ブリスタシート(18)が第1図および第2図の左から右に移動させられる…(中略)…ホッパ(1)内の錠剤(T)が搬送ロール(2)の凹所(6)に吸着保持されて、回転する。」との記載、および、同ケ(第1図)から、引用例1には、“印刷包装機の錠剤ホッパは第1錠剤搬送ロールの右斜め上方に設けられ、ストッカの下を連続状の透明ブリスタシートが左から右に移動させられ、錠剤ホッパ内の錠剤(T)が第1錠剤搬送ロールの凹所(6)に吸着保持されて、回転”することが記載されているといえる。
ウ 上記記載事項(1)イの「このとき、錠剤(T)の外を向く面が先に印刷の施される第1被印刷面(T10)、内を向く面が後から印刷の施される第2被印刷面(T20)となる。このように第1ロール(30)に保持された錠剤(T)が回転している間に、第1印刷装置(31)により、第1被印刷面(T10)に印刷が施される。第2実施例の場合と同様、印刷の終わった錠剤(T)が第1ロール(30)に保持されて第2ロール(33)に向って移動している間に、第1検査装置(32)によって第1印刷面(T11)の検査が行なわれ、不良品が図示しない不良品排出シュートに排出される。第1印刷面(T11)の検査に合格した錠剤(T)は、第1ロール(30)から第2ロール(33)に移され、第2被印刷面(T20)が外を向くように第2ロール(33)の凹所(6)に吸着保持されて移動する。これらの錠剤(T)が第2ロール(22)に保持されて第2検査装置(35)に向って移動している間に、第2印刷装置(34)により、第2被印刷面(720)に印刷が施される。」との記載、並びに、上記アおよびイの認定を踏まえると、引用例1には、“錠剤(T)の外を向く面が先に印刷の施される第1被印刷面、内を向く面が後から印刷の施される第2被印刷面となり、第1錠剤搬送ロールに保持された錠剤(T)が回転している間に、第1印刷装置により、第1被印刷面に印刷が施され、印刷の終わった錠剤(T)が第1錠剤搬送ロールに保持されて第2錠剤搬送ロールに向って移動している間に、第1検査装置によって第1印刷面の検査が行なわれ、不良品が不良品排出シュートに排出され、第1印刷面の検査に合格した錠剤(T)は、第1錠剤搬送ロールから第2錠剤搬送ロールに移され、第2被印刷面が外を向くように第2錠剤搬送ロールの凹所(6)に吸着保持されて移動し、これらの錠剤(T)が第2錠剤搬送ロールに保持されて第2検査装置に向って移動している間に、第2印刷装置により、第2被印刷面に印刷が施され”ることが記載されているといえる。
エ 上記記載事項(1)ウの「第2ロール(33)には両方の印刷面(T11)(T21)の検査に合格した良品だけが残り、前記実施例の場合と同様、これらの良品が、包装装置(4)のストッカ(10)を経由して、ブリスタシート(18)のポケット(19)に収容される。両方の検査に合格した良品の錠剤(T)がストッカ(10)の上に移動してきたときには、第2印刷面(T21)が下を向いている。したがって、錠剤(T)は、第2印刷面(T21)が全て下すなわちポケット(19)の表側を向くように向きを揃えてブリスタシート(18)に収容される」との記載、並びに、上記ア~ウの認定を踏まえると、引用例1には、“第2錠剤搬送ロールには両方の印刷面の検査に合格した良品だけが残り、これらの良品が、包装装置のストッカを経由して、ブリスタシートのポケットに収容され、両方の検査に合格した良品の錠剤(T)がストッカの上に移動してきたときには、第2印刷面が下を向いているので、錠剤(T)は、第2印刷面が全て下、すなわちポケットの表側を向くように向きを揃えてブリスタシートに収容される”ことが記載されているといえる。
(3)引用発明
以上、上記(2)ア~エより、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「錠剤の両面に印刷をし、両方の印刷面の表面外観検査を行なったのち、良品の錠剤だけを一方の同じ印刷面がブリスタシートのポケットの表側を向くように包装する錠剤印刷包装機であって、錠剤ホッパ、第1錠剤搬送ロール、第1印刷装置、第1検査装置、第2錠剤搬送ロール、第2印刷装置、第2検査装置および包装装置を備え、
印刷包装機の錠剤ホッパは第1錠剤搬送ロールの右斜め上方に設けられ、ストッカの下を連続状の透明ブリスタシートが左から右に移動させられ、錠剤ホッパ内の錠剤(T)が第1錠剤搬送ロールの凹所(6)に吸着保持されて、回転し、
錠剤(T)の外を向く面が先に印刷の施される第1被印刷面、内を向く面が後から印刷の施される第2被印刷面となり、第1錠剤搬送ロールに保持された錠剤(T)が回転している間に、第1印刷装置により、第1被印刷面に印刷が施され、印刷の終わった錠剤(T)が第1錠剤搬送ロールに保持されて第2錠剤搬送ロールに向って移動している間に、第1検査装置によって第1印刷面の検査が行なわれ、不良品が不良品排出シュートに排出され、第1印刷面の検査に合格した錠剤(T)は、第1錠剤搬送ロールから第2錠剤搬送ロールに移され、第2被印刷面が外を向くように第2錠剤搬送ロールの凹所(6)に吸着保持されて移動し、これらの錠剤(T)が第2錠剤搬送ロールに保持されて第2検査装置に向って移動している間に、第2印刷装置により、第2被印刷面に印刷が施され、
第2錠剤搬送ロールには両方の印刷面の検査に合格した良品だけが残り、これらの良品が、包装装置のストッカを経由して、ブリスタシートのポケットに収容され、両方の検査に合格した良品の錠剤(T)がストッカの上に移動してきたときには、第2印刷面が下を向いているので、錠剤(T)は、第2印刷面が全て下、すなわちポケットの表側を向くように向きを揃えてブリスタシートに収容される
錠剤印刷包装機。」
2 引用例2
(1)引用例2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願(特願2018-115964)の出願前に既に公知である、特開2017-124171号公報(平成29年7月20日公開。以下、これを「引用例2」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0039】
さらに、錠剤印刷装置1は、4つの清掃機構81,82,83,84を備える。搬送ドラム10、第1搬送ベルト20、第2搬送ベルト30および第3搬送ベルト40には、錠剤から生じた粉体が付着することがある。清掃機構81,82,83,84は、それぞれ搬送ドラム10、第1搬送ベルト20、第2搬送ベルト30および第3搬送ベルト40に付着した粉体を清掃する。清掃機構81,82,83,84としては、例えばエアーを吹き付けて周辺雰囲気を吸引回収するものを採用することができる。」
3 引用例3
(1)引用例3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願(特願2018-115964)の出願前に既に公知である、特開2017-207253号公報(平成29年11月24日公開。以下、これを「引用例3」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0043】
図2は、錠剤搬送機構10の部分斜視図である。図2に示すように、搬送ベルト12には、複数の吸着孔14が設けられている。複数の吸着孔14は、搬送方向および幅方向に、等間隔に配列されている。また、図1に示すように、錠剤搬送機構10は、搬送ベルト12の内側の空間から気体を吸い出す吸引機構15を有する。吸引機構15を動作させると、搬送ベルト12の内側の空間が、大気圧よりも低い負圧となる。複数の錠剤9は、当該負圧によって、吸着孔14に吸着保持される。
…(中略)…
【0065】
以上のように、この乾燥ユニット30は、搬送ベルト12上に整列した状態で搬送される複数の錠剤9に対して、複数の吹出口31から熱風を吹き付ける。これにより、錠剤9の表面に付着したインクを乾燥させる。特に、この乾燥ユニット30では、複数の吹出口31が、それぞれ、搬送ベルト12上の錠剤9に対応する幅方向の位置に、設けられている。すなわち、各吹出口31は、搬送される錠剤9と対向する位置に、設けられている。このため、搬送中の錠剤9に対して、熱風が幅方向に当たりにくい。したがって、搬送中の錠剤9が吹き飛ばされることを抑制できる。また、錠剤9が搬送ベルト12から吹き飛ばされにくいため、錠剤9に気体を強く当てて、乾燥性能を向上させることができる。」
4 引用例4
(1)引用例4に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願(特願2018-115964)の出願前に既に公知である、国際公開第2018/043628号(2018年3月8日国際公開。以下、これを「引用例4」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「[0063] 反転された錠剤Tの片面に付着しているインクは、搬送ベルト13が第2のプーリ12から第1のプーリ11へと図1において左向きに移動する間(図1に示すc-d間)に配置された乾燥装置16によって、乾燥される。インクが乾燥した錠剤は、第1の搬送装置1から第2の搬送装置2に受け渡される。
…(中略)…
[0142] また、搬送ベルト13(23、133)に設けられる吸着部の大きさ、形状、個数等は限定されない。例えば、図16に示すベルトの吸着部断面のように、ポケットや溝などの凹部131の中に錠剤Tが収容されるもの、図17に示すように、凹部131の上に錠剤Tが載置されるものでも良い。また、図18に示すように、凸部によりポケットや溝等の凹部131を形成し、その凹部131の上に錠剤Tが載置されるもの、あるいは、図19に示すように、前述の凹部131が形成されておらず、搬送ベルト13に吸引孔132だけ形成されているものなど、上記説明したものも含め、錠剤Tを吸引保持することが可能であればよい。」
5 引用例5
(1)引用例5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願(特願2018-115964)の出願前に既に公知である、特開2017-176681号公報(平成29年10月5日公開。以下、これを「引用例5」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0040】
図1ないし図8を参照して、本発明の実施の形態を更に詳細に説明する。
割線錠剤印刷装置Pは、図1に示すように割線錠剤の搬送方向の上流側から順に、第1の搬送体であるB0 搬送ドラム1、第2の搬送体であるA搬送ドラム2、第3の搬送体であるB搬送ドラム3および第4の搬送体である選別搬送ドラム4を備えている。
【0041】
B0 搬送ドラム1の更に上流側には、B0 搬送ドラム1に割線錠剤を送る供給ドラム9と、供給ドラム9に割線錠剤を供給するシュート90を備えている。
上述の各搬送ドラムは、外周面に錠剤を吸着する多数の孔(図示省略)を備えており、各搬送ドラムは隣接するものは互いに同期しながら逆回転して、各搬送ドラム間で割線錠剤の受け渡しを行うことで、割線錠剤を後行程へ搬送することができる。
【0042】
各搬送ドラム1、2、3および4間での割線錠剤の受け渡しにおいては、割線錠剤の左右側が鏡像反転(カメラの撮像方向およびプリンタの印刷方向において)をし、後側の搬送ドラムに受け渡されたときには、割線錠剤は裏返し(前側の搬送ドラムとは反対側の面が露出する)になる。
【0043】
B0 搬送ドラム1の近傍には、B0 搬送ドラム1で搬送される割線錠剤のB面を撮像する第1の割線カメラであるB0 面割線カメラ10が配されている。また、A搬送ドラム2の近傍には、上流側から順にA搬送ドラム2で搬送される割線錠剤のA面を撮像する第2の割線カメラであるA面割線カメラ20、第1のプリンタであるA面プリンタ21および印刷後の各割線錠剤のA面を撮像する第1の検査カメラであるA面検査カメラ22が配されている。
【0044】
更に、B搬送ドラム3の近傍には、上流側から順にB搬送ドラム3で搬送される割線錠剤のB面を撮像する第3の割線カメラであるB面割線カメラ30、第2のプリンタであるB面プリンタ31および印刷後の各割線錠剤のB面を撮像する第2の検査カメラであるB面検査カメラ32が配されている。そして、割線錠剤の良否判定により不良品を排除する選別部である選別搬送ドラム4の後行程には、排除された不良品を回収する回収部40と、良品を後行程へ送るコンベヤ41が配されている。
【0045】
また、上述の各割線カメラ10、20、30は、ラインセンサカメラであり、各検査カメラ22、32はエリアカメラである。なお、「撮像」の用語は、カメラ等で画像を撮影する意味には限定しておらず、割線の角度情報を抽出するための2次元情報を得るあらゆる手段を指している。撮影する手段としては、例えばラインセンサカメラあるいはエリアカメラなどのCCDカメラの他、複数のレーザ測距センサや探針により角度を割り出す方法を使用することもできる。
【0046】
なお、選別搬送ドラム4などの選別部は、必ずしもこの位置に設ける必要はなく、例えば選別搬送ドラム4を設けずに、搬送ドラム3に選別搬送ドラム4と同様の機能を持たせる構造とすることも可能である。
【0047】
図2を参照して、割線錠剤印刷装置Pの制御系の概略を説明する。
制御部Cは、制御系の全体を制御し、B0 判断部13、A判断部23、B判断部33と割線の角度情報をはじめとする各種情報をやりとりする。また、B0 判断部13、A判断部23、B判断部33には、それぞれ上述のB0 面割線カメラ10、A面割線カメラ20、A面検査カメラ22、B面割線カメラ30およびB面検査カメラ32から撮像された画像情報が送られる。また、制御部Cは、B0 搬送ドラム1、A搬送ドラム2、B搬送ドラム3および選別搬送ドラム4を同期回転させるモーター(図示省略)を制御する。
【0048】
また、制御部Cには、A面角度系とB面角度系の印刷パターン(図8参照)があらかじめ記憶されている。印刷パターンは、割線角度の角度範囲が、0°から179°までの180°の角度範囲に加えて、±30°の範囲で設定されている。すなわち、図8に示すように、-30°~209°の設定角度範囲内で、1°毎にそれぞれの角度に対応する印刷パターンが設定されている。なお、180°の角度範囲を超える±の角度は、30°に限るものではなく、適宜設定が可能である。」
6 引用例6
(1)引用例6に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用した、本願の原出願(特願2018-115964)の出願前に既に公知である、特開2015-157648号公報(平成27年9月3日公開。以下、これを「引用例6」という。)には、関連する図面と共に、次の事項が記載されている。
ア 「【0039】
加熱装置12及びポケット部形成装置13は、容器フィルム3の搬送経路に沿って順に配設されている。加熱装置12は、容器フィルム3を加熱し、軟化状態とする。ポケット部形成装置13は、軟化状態の容器フィルム3を変形させることで、容器フィルム3にポケット部2を形成する。尚、ポケット部2の形成は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルに行われる。
…(中略)…
【0048】
シート打抜装置25は、PTPフィルム8をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。尚、シート打抜装置25によるPTPフィルム8の打抜きは、PTPフィルム8の搬送動作間のインターバルにおいて、PTPフィルム8を停止させた状態で行われる。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 「水平搬送される容器フィルムのポケット部へ錠剤を充填するための錠剤充填装置」について
引用発明の「錠剤印刷包装機」、「錠剤(T)」、「ブリスタシート」および「ブリスタシートのポケット」は、それぞれ本願発明1の「錠剤充填装置」、「錠剤」、「容器フィルム」および「容器フィルムのポケット部」に相当する。
引用発明の「透明ブリスタシート」は、「左から右に移動させられ」るところ、“水平搬送され”ているといえ、また、引用発明の「錠剤」を「ブリスタシートのポケット」に「包装する錠剤印刷包装機」は、本願発明1の「錠剤を充填するための錠剤充填装置」に相当するといえるから、引用発明の「良品の錠剤だけを一方の同じ印刷面がブリスタシートのポケットの表側を向くように包装する錠剤印刷包装機であって、」「連続状の透明ブリスタシート」を「左から右に移動」する「錠剤印刷包装機」は、本願発明1の「水平搬送される容器フィルムのポケット部へ錠剤を充填するための錠剤充填装置」に相当する。
イ 「所定の供給手段から供給される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第1搬送手段」について
引用発明の「錠剤ホッパ」および「第1錠剤搬送ロール」は、それぞれ本願発明1の「所定の供給手段」および「第1搬送手段」に相当する。
引用発明において、「錠剤ホッパ内の錠剤(T)が第1錠剤搬送ロールの凹所(6)に吸着保持され」ることは、本願発明1の「所定の供給手段から供給される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能」であるとの構成に相当するといえるから、引用発明の「錠剤ホッパ内の錠剤(T)」を「凹所(6)に吸着保持」して「回転」する「第1錠剤搬送ロール」は、本願発明1の「所定の供給手段から供給される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第1搬送手段」に相当する。
ウ 「前記第1搬送手段により搬送される錠剤の一方面に印刷を施す第1印刷手段」について
引用発明の「第1印刷装置」および「第1被印刷面」は、本願発明1の「第1印刷手段」および「一方面」に相当する。
引用発明の「第1錠剤搬送ロールに保持された錠剤(T)が回転している間に、第1印刷装置により、第1被印刷面に印刷が施され」ることは、上記イの認定を踏まえれば、本願発明1の「前記第1搬送手段により搬送される錠剤の一方面に印刷を施す」ことに相当するといえるから、引用発明の「第1錠剤搬送ロールに保持された錠剤(T)が回転している間に、」「第1被印刷面に印刷」を「施」す「第1印刷装置」は、本願発明1の「前記第1搬送手段により搬送される錠剤の一方面に印刷を施す第1印刷手段」に相当する。
エ 「前記第1搬送手段より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第2搬送手段」について
引用発明の「第2錠剤搬送ロール」は、本願発明1の「第2搬送手段」に相当する。
引用発明の「錠剤(T)は、第1錠剤搬送ロールから第2錠剤搬送ロールに移され、第2被印刷面が外を向くように第2錠剤搬送ロールの凹所(6)に吸着保持されて移動」することは、上記イおよびウの認定を踏まえれば、本願発明1の「前記第1搬送手段より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能」であるとの構成に相当するといえるから、引用発明の「第1錠剤搬送ロールから」移された「錠剤(T)」を「第2被印刷面が外を向くように」「凹所(6)に吸着保持」する「第2錠剤搬送ロール」は、本願発明1の「前記第1搬送手段より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第2搬送手段」に相当する。
オ 「前記第2搬送手段により搬送される錠剤の他方面に印刷を施す第2印刷手段」について
引用発明の「第2印刷装置」および「第2被印刷面」は、本願発明1の「第2印刷手段」および「他方面」に相当する。
引用発明の「錠剤(T)が第2錠剤搬送ロールに保持されて第2検査装置に向って移動している間に、第2印刷装置により、第2被印刷面に印刷が施され」ることは、本願発明1の「前記第2搬送手段により搬送される錠剤の他方面に印刷を施す」との構成に相当するといえるから、引用発明の「錠剤(T)が第2錠剤搬送ロールに保持されて第2検査装置に向って移動している間に、」「第2被印刷面に印刷」を施す「第2印刷装置」は、本願発明1の「前記第1搬送手段より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第2搬送手段」に相当する。
カ 「前記水平搬送される容器フィルムと近接するように配置され、前記第2搬送手段より受け渡され、両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段」について
引用発明は、本願発明1の「前記水平搬送される容器フィルムと近接するように配置され、前記第2搬送手段より受け渡され、両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段」との構成を有するものとはいえない。
キ 以上、ア~カの検討から、引用発明と本願発明1とは、次の一致点及び相違点を有する。
〈一致点〉
水平搬送される容器フィルムのポケット部へ錠剤を充填するための錠剤充填装置であって、
所定の供給手段から供給される錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第1搬送手段と、
前記第1搬送手段により搬送される錠剤の一方面に印刷を施す第1印刷手段と、
前記第1搬送手段より受け渡され、前記一方面に印刷が施された錠剤を所定の吸着部にて吸着保持して搬送可能な第2搬送手段と、
前記第2搬送手段により搬送される錠剤の他方面に印刷を施す第2印刷手段と、
を備えたことを特徴とする錠剤充填装置。
〈相違点1〉
本願発明1が、「前記水平搬送される容器フィルムと近接するように配置され、前記第2搬送手段より受け渡され、両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段」を備えたものであるのに対し、引用発明は、「検査に合格した良品の錠剤(T)がストッカの上に移動してきたときには、第2印刷面が下を向いているので、錠剤(T)は、第2印刷面が全て下、すなわちポケットの表側を向くように向きを揃えてブリスタシートに収容される」ものであって、錠剤を反転する手段を有さない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
引用発明は、「錠剤の両面に印刷」が施されたもののうち、「両方の印刷面の検査に合格した良品だけ」「包装装置のストッカを経由して、ブリスタシートのポケットに収容」するものであるところ、引用発明の「包装装置のストッカ」は、本願発明1の「前記水平搬送される容器フィルムと近接するように配置され」る、「両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段」に対して、“水平搬送される容器フィルムと近接するように配置される、両面に印刷が施された錠剤を、ポケット部へ充填可能な手段”である点で共通するものとはいえる。
しかしながら、本願発明の解決しようとする課題である、錠剤の印刷面がポケット部と擦れて印刷が不明瞭になること(本願明細書段落【0009】)を解決し、両面に印刷が施される錠剤の外観品質の低下抑制を図る(同【0013】)との目的に照らし、両面に印刷が施された錠剤を反転する錠剤反転手段は、課題解決のために必須の構成と認められる一方で、引用発明は、両面に印刷が施された錠剤を、反転することなく、「ストッカ」に一旦収納してから、「ブリスタシートに収容」するものであり、しかも、「錠剤(T)は、第2印刷面が全て下、すなわちポケットの表側を向くように向きを揃えてブリスタシートに収容される」ことからして、これをあえて向きを反転させて、「第2印刷面」を上を向くように構成すること、すなわち、「ストッカ」に代えて本願発明1のような、「両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段」を採用することを想到することは、当業者といえども容易になし得たとまではいえない。
なお、引用例1には、上記第4の1(1)クに記載されるように、本願発明1の「錠剤反転手段」に類似する、「第3ロール(24)」を設けた「第2実施例」が記載されている。
しかしながら、当該第2実施例は、錠剤の両面に印刷を施すものではなく、印刷された面を「透明ブリスタシート(18)」の外側に向けるために設けられるものであるから、本願発明1の「両面に印刷が施された錠剤を、前記第2印刷手段により後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して前記ポケット部へ充填可能な錠剤反転手段」に相当する構成とはいえない。
そして、相違点1に係る構成は、その他、引用例1~6のいずれにも記載も示唆もされておらず、当該技術分野における周知技術であるともいえない。したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用発明および引用例1~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 本願発明2~7について
本願発明2~7は、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明および引用例1~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本願発明8について
本願発明8は、本願発明1における上記相違点1に係る構成に対応する、「前記両面に印刷が施された錠剤を、吸着保持しつつ、前記第2工程にて後に印刷された他方面が上側となるように錠剤を反転して、前記水平搬送される容器フィルムと近接する位置にて吸着保持を解除することで、前記ポケット部へ充填する第3工程」を有するものであるところ、上記1で示したのと同様の理由により、当業者であっても、引用発明および引用例1~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第6 原査定について
1 特許法29条2項について
上記第5において説示したとおり、本願発明1~8は、当業者であっても、引用発明および引用例1~6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-005350