特許拒絶査定不服審判
2024-004855
遠隔計量ステーションセンサの較正及び検証のためのシステム及び方法
- 審判番号
- 2024-004855
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-145891
- 請求日
- 2024年03月21日
- 審決日
- 2025年08月14日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ノードソン コーポレーション
- 【請求人代理人】岡部 讓
- 【請求人代理人】越智 隆夫
- 【請求人代理人】高橋 誠一郎
- 【請求人代理人】松井 孝夫
- 【請求人代理人】川内 英主
- 【請求人代理人】岩附 秀幸
- 審判長/審判官
- 審判長 道祖土 新吾
- 審判官 小島 寛史
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P18 .575-Z (G01F) / P18 .121-Z (G01F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-145891号「遠隔計量ステーションセンサの較正及び検証のためのシステム及び方法」拒絶査定不服審判事件〔令和2年2月13日出願公開、特開2020-24205号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年8月8日の外国語書面出願であって(パリ条約による優先権主張 2018年8月8日及び2019年8月1日、いずれも米国。以下、2018年8月8日を「優先日」という。)、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和元年10月 7日 :翻訳文の提出
令和4年 8月 8日 :手続補正書の提出
令和5年 8月 4日付け:拒絶理由通知書
同年11月 8日 :意見書、手続補正書の提出
同年11月16日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月21日 :原査定の謄本の送達)
令和6年 3月21日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 4月25日付け:前置報告書
同年 7月 9日 :上申書の提出
第2 令和6年3月21日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年3月21日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容
令和6年3月21日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであって、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記の(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
遠隔計量システムの複数の流れセンサを較正する方法であって、前記方法は、
主要ポンプから第1のアプリケータに材料をポンプ圧送することと、
前記主要ポンプと連通する主要流れセンサから第1のフィードバック信号と、前記第1のアプリケータと連通する第1の流れセンサから第2のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第1及び第2のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第1のアプリケータを通る材料の流れの特性を示す、ことと、
前記第1及び第2のフィードバック信号を比較することと、
前記第1の流れセンサの補正係数を決定することと、
前記第1のアプリケータへの材料の流れを停止することと、
前記主要ポンプから第2のアプリケータに前記材料をポンプ圧送することと、
前記主要流れセンサから第3のフィードバック信号と、前記第2のアプリケータと連通する第2の流れセンサから第4のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第3及び第4のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第2のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す、ことと、
前記第3及び第4のフィードバック信号を比較することと、
前記第2の流れセンサの補正係数を決定することと、
前記材料の流れの第1の部分を前記第1のアプリケータに、及び前記材料の流れの第2の部分を前記第2のアプリケータにポンプ圧送することと、
前記第1の流れセンサから第5のフィードバック信号と、前記第2の流れセンサから第6のフィードバック信号と、を受信することと、
前記第5及び第6のフィードバック信号を、それぞれ、前記材料の流れの前記第1及び第2の部分の意図された特性と比較することと、
を含む、方法。」
(2) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1
「【請求項1】
遠隔計量システムの複数の流れセンサを較正する方法であって、前記方法は、
材料供給装置の主要ポンプから前記遠隔計量システムの第1のアプリケータに材料をポンプ圧送することと、
前記主要ポンプと連通する、前記材料供給装置の主要流れセンサから第1のフィードバック信号と、前記第1のアプリケータと連通する第1の流れセンサから第2のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第1及び第2のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第1のアプリケータを通る材料の流れの特性を示す、ことと、
前記第1及び第2のフィードバック信号を比較することと、
前記遠隔計量システムの前記第1の流れセンサの補正係数を決定することと、
前記第1のアプリケータへの材料の流れを停止することと、
前記主要ポンプから前記遠隔計量システムの第2のアプリケータに前記材料をポンプ圧送することと、
前記主要流れセンサから第3のフィードバック信号と、前記第2のアプリケータと連通する、前記遠隔計量システムの第2の流れセンサから第4のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第3及び第4のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第2のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す、ことと、
前記第3及び第4のフィードバック信号を比較することと、
前記第2の流れセンサの補正係数を決定することと、
前記材料の流れの第1の部分を前記第1のアプリケータに、及び前記材料の流れの第2の部分を前記第2のアプリケータにポンプ圧送することと、
前記第1の流れセンサから第5のフィードバック信号と、前記第2の流れセンサから第6のフィードバック信号と、を受信することと、
前記第5及び第6のフィードバック信号を、それぞれ、前記材料の流れの前記第1及び第2の部分の意図された特性と比較することと、
を含む、方法。」
2 本件補正の目的
(1) 本件補正のうち請求項1についてする補正は、次のア及びイに示す限定をするものである。
ア 「主要ポンプ」及び「主要流れセンサ」が「材料供給装置」に属するものであるとの限定
イ 「第1のアプリケータ」、「第2のアプリケータ」、「第1の流れセンサ」及び「第2の流れセンサ」が「遠隔計量システム」に属するものであるとの限定
(2) そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と、本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) したがって、本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
3 独立特許要件についての当審の判断
本件補正のうち請求項1についての補正は、特許法17条の2第5項2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後における請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否かについて、以下検討を行う。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のように構成Xと構成Aから構成Hまでに分説する。また、参考図1~3として、本願の【図1】、【図2】及び【図5】を符号の説明とともに示す。
<本件補正発明の分説>
(構成X) 遠隔計量システムの複数の流れセンサを較正する方法であって、
前記方法は、
(構成A1) 材料供給装置の主要ポンプから前記遠隔計量システムの第1のアプリケータに材料をポンプ圧送することと、
(構成B1) 前記主要ポンプと連通する、前記材料供給装置の主要流れセンサから第1のフィードバック信号と、前記第1のアプリケータと連通する第1の流れセンサから第2のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第1及び第2のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第1のアプリケータを通る材料の流れの特性を示す、ことと、
(構成C1) 前記第1及び第2のフィードバック信号を比較することと、
(構成D1) 前記遠隔計量システムの前記第1の流れセンサの補正係数を決定することと、
(構成E) 前記第1のアプリケータへの材料の流れを停止することと、
(構成A2) 前記主要ポンプから前記遠隔計量システムの第2のアプリケータに前記材料をポンプ圧送することと、
(構成B2) 前記主要流れセンサから第3のフィードバック信号と、前記第2のアプリケータと連通する、前記遠隔計量システムの第2の流れセンサから第4のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第3及び第4のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第2のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す、ことと、
(構成C2) 前記第3及び第4のフィードバック信号を比較することと、
(構成D2) 前記第2の流れセンサの補正係数を決定することと、
(構成F) 前記材料の流れの第1の部分を前記第1のアプリケータに、及び前記材料の流れの第2の部分を前記第2のアプリケータにポンプ圧送することと、
(構成G) 前記第1の流れセンサから第5のフィードバック信号と、前記第2の流れセンサから第6のフィードバック信号と、を受信することと、
(構成H) 前記第5及び第6のフィードバック信号を、それぞれ、前記材料の流れの前記第1及び第2の部分の意図された特性と比較することと、
を含む、
(構成X) 方法。
<参考図1(【図1】)>
[図:0001430572000001.jpg]
10:塗布システム
15:材料供給装置
24(ポンプ1):主要ポンプ
28:主要流れセンサ
36a~e:信号接続
40:ホース
50:遠隔計量システム
54:遠隔計量スタンド(RMS)
56a~c:第1~3のアプリケータアセンブリ
58a~c(ポンプ2~4):RMSポンプ
62a~c:第1~3の供給ホース
66a~c:第1~3の流れセンサ
70a~c:第1~3のアプリケータ
<参考図2(【図2】)>
[図:0001430572000002.jpg]
<参考図3(【図5】)>
[図:0001430572000003.jpg]
CF1~3:補正係数
イ 本件補正発明の課題、主要な構成等に関する発明の詳細な説明の記載
本件補正発明の課題、主要な構成等に関する本願明細書の発明の詳細な説明の記載等を抜粋すると、次の記載がある。
(ア) 技術分野、背景技術、発明が解決しようとする課題について
「【0002】
(発明の分野)
本出願は、基材に材料を塗布するための塗布システムの動作を制御するためのシステム及び方法を目的とする。具体的には、本出願は、複数のアプリケータと連通するセンサの精度を較正及び検証するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
基材に材料を塗布するための典型的な材料塗布システムは、それぞれが基材に材料を塗布することができる任意の数のアプリケータに、材料の供給を提供する貯蔵装置を含む。しかしながら、貯蔵装置とアプリケータとは離間していてもよく、この場合、材料は、貯蔵装置とアプリケータとの間の距離を移動する。材料の流れが遠隔計量ステーションに到達すると、材料は、複数の別個の流れに分割され得、別個の流れのそれぞれは、対応のアプリケータに方向付けられる。特定の塗布動作の要件に基づいて、アプリケータのそれぞれが、異なる速度及び異なる量で基材に材料を塗布することが所望され得る。
【0004】
塗布動作が有し得る特定の要件に起因して、塗布パラメータからのあらゆる偏差は、非標準製品又は使用不可製品を作成し得る。この問題は、未修正のままであると、有意な材料の無駄及び経済的損失の原因となり得る。それぞれのアプリケータ内の流量の一貫性を保証するために、それぞれのアプリケータは、材料の流れの特性を監視する対応の材料の流れセンサと連通し得る。これらの流れセンサは、典型的には、それらの所望の動作位置に適応するためにより小さい寸法を有する必要があるため、それらは、他のタイプの流れセンサよりも高いレベルの誤差を有し得る。加えて、これらの流れセンサは、材料の温度及び粘度の変化に敏感であり得る。修正されていない場合、これらの流れセンサは、塗布システムの操作者に不正確な読み取り値を提供する可能性があり、それにより、操作者は、塗布された材料パターンが必要な仕様を満たしていると誤って信じる可能性がある。
【0005】
その結果、材料アプリケータのそれぞれと連通するセンサの精度を較正及び検証し得る塗布システムが必要とされる。」
(イ) 全体構成について
「【0010】
本発明の実施形態は、複数のアプリケータから材料を分注するための塗布システム10を含む。図1を参照すると、塗布システム10は、材料の供給を貯蔵するための貯蔵装置20を有する材料供給装置15を含む。一実施形態では、材料供給装置15は、任意の従来型のホットメルト接着剤を加熱及びポンプ圧送するのに好適なメルタであり、同様に材料はホットメルト接着剤である。貯蔵装置20は、材料供給装置15内の従来の貯蔵タンク、又は溶融していないホットメルト接着剤粒子を貯蔵することができる、容器などの遠隔ホッパーであってもよい。加えて、材料は、代替的に、ローション、芳香剤、及び臭気制御製品などの他の加熱又は非加熱材料であってもよい。
【0011】
材料供給装置15はまた、材料をポンプ圧送するための主要ポンプ24を含む。(中略)材料供給装置15はまた、主要ポンプ24と流体連通する主要流れセンサ28を含み、主要流れセンサ28は、主要ポンプ24からの材料の出力を監視するように構成される。(中略)主要流れセンサ28は、主要流れセンサ28が主要ポンプ24の出力のいくつかの特性を示すフィードバック信号を、信号接続36aを介してコントローラ32に提供し得るように、信号接続36aを介して、以下に詳述するように、コントローラ32と無線及び/又は有線通信し得る。例えば、主要流れセンサ28からのフィードバック信号は、主要ポンプ24の出力の体積流量に比例し得る。あるいは、主要流れセンサ28からのフィードバック信号は、主要ポンプ24の出力の質量流量に比例し得る。(以下省略)
【0012】
コントローラ32は、本明細書に記載される塗布システム10の様々な動作を監視及び制御するためのソフトウェアアプリケーションを実行するように構成された、任意の好適な計算装置を含み得る。(以下省略)
【0013】
材料供給装置15は、材料供給装置15から遠隔計量システム50への材料の経路を提供するホース40に接続され得る。ホース40は、材料供給装置15及び遠隔計量システム50が製造現場で任意の所望の距離だけ離間されることを可能にする。遠隔計量システム50は、材料供給装置15からホース40を通って流れる材料を受容し、塗布システム10の特定の構成に応じて、材料を単一の基材に又は複数の基材に一度に塗布するように構成される。遠隔計量システム50は、ホース40を介して出力される材料を受容する遠隔計量スタンド54を有し得る。(以下省略)
【0014】
遠隔計量スタンド54は、複数のアプリケータアセンブリがそこに取り付けられ得るように構成され得る。一実施形態では、それぞれのアプリケータアセンブリは、対応の遠隔計量スタンド(RMS)ポンプ、供給ホース、アプリケータ流れセンサ、及びアプリケータを含み得る。(中略)図示の実施形態では、遠隔計量システム50は、第1のアプリケータアセンブリ56a、第2のアプリケータアセンブリ56b、及び第3のアプリケータアセンブリ56cの3つのアプリケータアセンブリを含む。第1のアプリケータアセンブリ56aは、第1のRMSポンプ58aと、第1のRMSポンプ58aからの材料の流れの第1の部分を移送するための第1の供給ホース62aと、第1の供給ホース62aからの材料の流れの第1の部分を受容し、第1の部分を基材に塗布するための第1のアプリケータ70aと、を含み得る。第1のアプリケータアセンブリ56aはまた、第1のアプリケータ70aに提供される材料の流れを監視するための第1の流れセンサ66aを含み得る。第1の流れセンサ66aは、信号接続36cを介してコントローラ32と有線及び/又は無線通信することができ、これにより、第1の流れセンサ66aは、第1のアプリケータ70aに提供される材料の流れのいくつかの特性を示すフィードバック信号をコントローラ32に提供することができる。例えば、第1の流れセンサ66aからのフィードバック信号は、第1のアプリケータ70aに提供される材料の流れの体積流量に比例し得る。あるいは、第1の流れセンサ66aからのフィードバック信号は、第1のアプリケータ70aに提供される材料の流れの質量流量に比例し得る。(以下省略)」
(ウ) 較正動作について
「【0021】
最初に、コントローラ32は、塗布システム10に、第1の較正動作(図2に示される)を実行するように指示し得、コントローラ32は、主要ポンプ24に、材料を貯蔵装置20から遠隔計量システム50にポンプ圧送するように指示し、遠隔計量スタンド54は、材料の流れを第1のアプリケータ70aのみに方向付ける。この第1の較正動作は、第1のアプリケータアセンブリ56aの第1の流れセンサ66aを較正することを意図する。この較正動作中、主要流れセンサ28が遭遇する材料の流れが、第1の流れセンサ66aが遭遇する材料の流れを最も正確に反映するように、第1のRMSポンプ58aは動作し得ない。材料の流れは、第1のアプリケータ70aのみに方向付けられているが、主要流れセンサ28は、主要ポンプ24から流出する材料の流れの特性を監視し、特性を示す第1のフィードバック信号を、信号接続36aを介してコントローラ32に送信するように構成される。同時に、第1の流れセンサ66aは、第1のアプリケータ70aへの材料の流れの特性を監視し、特性を示す第2のフィードバック信号を、信号接続36cを介してコントローラ32に送信するように構成される。例えば、特性は、質量流量、体積流量などであり得る。
【0022】
コントローラ32は、主要流れセンサ28から第1のフィードバック信号と、第1の流れセンサ66aから第2のフィードバック信号と、を受信し、第1及び第2のフィードバック信号を比較するように構成される。理想的には、第1及び第2のフィードバック信号は、同一の材料の流れ特性を表す。しかしながら、動作中、第1及び第2のフィードバック信号は異なる場合があり、これは、第1の流れセンサ66aの欠陥、その較正の必要性、又はそれに関する他の問題のいずれかを示し得る。したがって、第1の流れセンサ66aが正確な読み取り値を提供することを保証にするために、コントローラ32は、第1のフィードバック信号と第2のフィードバック信号との差に基づいて、第1の流れセンサ66aから受信したフィードバックの偏差を補正する、第1の流れセンサ66aの補正係数を決定し得る。補正係数は、ルックアップテーブル、計算、又は他のそのような手段に従って決定され得る。この補正係数は、コントローラ32によって第1の流れセンサ66aから受信される将来のフィードバック信号に自動的に適用され得、それにより、コントローラ32、及び同様に塗布システム10の操作者は、第1のアプリケータアセンブリ56aを通って流れる材料の流れの特性を最も正確に監視することが可能になる。
【0023】
第1の補正係数が決定されると、コントローラ32は、第1のアプリケータ70aへの材料の流れを停止し、その後、塗布システム10に、第2の較正動作(図3に示す)を実行するように指示し得る。(以下省略)」
(エ) 定常状態動作について
「【0028】
較正動作が実行された後、コントローラ32は、塗布システム10の構成要素に、通常の定常状態動作(図5に示す)に従事するように指示し得る。定常状態動作中、材料は、主要ポンプ24によって貯蔵装置20から遠隔計量システム50にポンプ圧送され、遠隔計量スタンド54は、材料の流れを別個の流れ部分に分割する。(以下省略)
【0029】
定常状態動作中、アプリケータアセンブリ56a~56cのそれぞれのRMSポンプ58a~58cは、その対応のアプリケータアセンブリに提供される材料の流れの部分を測定し得る。(以下省略)
【0030】
第1、第2、及び第3の速度が、塗布プロセスを通じて一貫した流れを維持することを保証するために、コントローラ32は、監視動作を実行し得る。(中略)この間、流れセンサ66a~66cは、コントローラ32に、材料の流れのそれぞれの部分の不連続な時点での特性を示すフィードバック信号を提供し得る。したがって、コントローラ32は、第1の流れセンサ66aから材料の流れの第1の部分の特性を示すフィードバック信号、第2の流れセンサ66bから材料の流れの第2の部分の特性を示すフィードバック信号、及び/又は第3の流れセンサ66cから材料の流れの第3の部分の特性を示すフィードバック信号を受信するように構成される。これらのフィードバック信号のそれぞれは、上記の補正係数(図5のCF1、CF2、CF3として標識される)によって変調され得る。」
(オ) 作用効果について
「【0031】
これらのフィードバック信号を受信すると、コントローラ32は、それらと、それらが表わす特徴を、材料の流れの第1、第2、及び/又は第3の部分のいずれかの意図された特性と比較し得る。流れ特性のいずれかが特定の流れ部分に関する意図された特性と異なる場合、コントローラ32は、その流れ部分に対応するポンプの動作を調整し得る。(中略)これは、システムの完全性を確認するために連続的かつリアルタイムで行うことができ、高速生産の高い価値を考慮すると特に有益であり得る。」
(2) 各引用文献に記載された事項及び引用発明等の認定
ア 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定
(ア) 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された文献であって、優先日前に発行された文献である特開2009-45574号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。下線は審判合議体が付したもので、後記(イ)において引用発明の認定に直接用いる記載を示す。
a 【0029】~【0030】、【図1】
「【0029】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態に係る塗布装置について説明する。説明を具体的にするために、当該塗布装置が有機EL材料や正孔輸送材料等を塗布液として用いる有機EL表示装置を製造する塗布装置に適用された例を用いて、以下の説明を行う。当該塗布装置は、有機EL材料や正孔輸送材料等をステージ上に載置されたガラス基板上に所定のパターン形状に塗布して有機EL表示装置を製造するものである。図1(a)は、塗布装置1の要部概略構成を示す平面図である。図1(b)は、塗布装置1の要部概略構成を示す正面図である。なお、塗布装置1は、上述したように有機EL材料や正孔輸送材料等の複数の塗布液を用いるが、それらの代表として有機EL材料を塗布液として説明を行う。」
「【図1】
[図:0001430572000004.jpg]
」
「【0030】
図1(a)および図1(b)において、塗布装置1は、大略的に、基板載置装置2および有機EL塗布機構5を備えている。有機EL塗布機構5は、ノズル移動機構部51と、ノズルユニット50と、液受部53Lおよび53Rとを有している。ノズル移動機構部51は、ガイド部材511が図示X軸方向に延設されており、ノズルユニット50をガイド部材511に沿って図示X軸方向に移動させる。ノズルユニット50は、赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL材料を吐出する複数のノズル52(図1では、3本のノズル52a、52b、および52cのみ図示)を並設した状態で保持する。なお、図1においては、3本のノズル52a、52b、および52cのみを図示した塗布装置1を示したが、塗布装置1にはさらに多くのノズル52を並設してノズルユニット50で保持することが可能である。塗布装置1には、n本(例えば、16本)のノズル52(以下、ノズル52a~52nとする)を並設することが可能であり、この場合、赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL材料をノズル52a~52nから吐出する。また、各ノズル52a~52nへは、単一の供給源541(図2参照)から赤、緑、および青色の何れか1色の有機EL材料が供給される。このように、複数のノズル52から同じ色の有機EL材料が吐出されるが、説明を具体的にするために赤色の有機EL材料がノズル52a~52nから吐出される例を用いる。」
b 【0034】~【0041】、【図2】
「【0034】
次に、図2を参照して、塗布装置1における塗布液の供給部54aおよびノズルユニット50の概略構成について説明する。なお、図2は、塗布装置1の供給部54aおよびノズルユニット50の概略構成を示すブロック図である。」
「【図2】
[図:0001430572000005.jpg]
」
「【0035】
図2において、塗布装置1は、供給部54aおよびノズルユニット50を備えている。供給部54aは、単一の供給源541から供給される塗布液(例えば、赤色の有機EL材料)を供給途中(マニホールド545)で複数に分岐させて複数のノズル52a~52nに供給する。ここで、供給部54aにおいて、供給源541から塗布液を複数に分岐するまでの供給配管を本管と記載し、塗布液を複数に分岐してからノズル52a~52nに供給するまでの供給配管をそれぞれ支管と記載する。
【0036】
供給部54aは、供給源541、ポンプ542、フィルタ543、基準流量計544、マニホールド545、複数の流量制御バルブ546a~546n、複数の支管流量計547a~547n、および開閉バルブ548a~548nを備えている。ポンプ542は、制御部3から出力される動作信号Cpに応じて、供給源541に貯留された有機EL材料を取り出して本管中へ流動させる。フィルタ543は、本管中を流動する有機EL材料中の異物を除去する。基準流量計544は、本管における有機EL材料の流量を検出して、流量情報If0を制御部3へ出力する。そして、本管を流動した有機EL材料は、マニホールド(多岐管)545に供給される。
【0037】
マニホールド545は、本管から供給された有機EL材料を複数(例えば、16本)の支管に分岐する。ここで、マニホールド545が分岐する複数の支管は、それぞれノズル52a~52nに接続されており、以下の説明においてはノズル52a~52nに接続されるそれぞれの支管をa系統支管~n系統支管として記載する。
【0038】
流量制御バルブ546aは、制御部3から出力される動作信号Cfaに応じて、a系統支管を流動する有機EL材料の流量を制御する。支管流量計547aは、a系統支管における有機EL材料の流量を検出して、流量情報Ifaを制御部3へ出力する。なお、後述により明らかとなるが、制御部3が流量情報Ifaに基づいて目標流量値facとなるように動作信号Cfaを生成して流量制御バルブ546aの動作を制御するため、制御部3、流量制御バルブ546a、および支管流量計547aを合わせてマスフローコントローラとして機能する。そして、目標流量値facは、塗布作業における流量制御バルブ546aの調節目標となる。
【0039】
開閉バルブ548aは、制御部3から出力される動作信号Coaに応じて、a系統支管を開閉して有機EL材料をノズル52aへ供給または停止する。そして、ノズル52aは、開閉バルブ548aを介してa系統支管から有機EL材料の供給を受けて、その先端部から液柱状態の有機EL材料を吐出する。なお、ノズル52aは、a系統支管から供給された有機EL材料中の異物を除去するためのフィルタ521aを有している。
【0040】
他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有している。すなわち、流量制御バルブ546b~546nは、それぞれ制御部3から出力される動作信号Cfb~Cfnに応じて、それぞれb系統支管~n系統支管を流動する有機EL材料の流量を制御する。支管流量計547b~547nは、それぞれb系統支管~n系統支管における有機EL材料の流量を検出して、それぞれ流量情報Ifb~Ifnを制御部3へ出力する。したがって、他のb系統支管~n系統支管についても、制御部3が流量情報Ifb~Ifnに基づいてそれぞれ目標流量値fbc~fncとなるように動作信号Cfb~Cfnを生成して流量制御バルブ546b~546nの動作を制御するため、制御部3、流量制御バルブ546b~546n、および支管流量計547b~547nをそれぞれ合わせてそれぞれマスフローコントローラとして機能する。そして、目標流量値fbc~fncも、それぞれ塗布作業における流量制御バルブ546b~546nの調節目標となる。
【0041】
また、開閉バルブ548b~548nは、それぞれ制御部3から出力される動作信号Cob~Conに応じて、それぞれb系統支管~n系統支管を開閉して有機EL材料をノズル52b~52nへ供給または停止する。そして、ノズル52b~52nは、それぞれ開閉バルブ548b~548nを介してb系統支管~n系統支管から有機EL材料の供給を受けて、それらの先端部から液柱状態の有機EL材料を吐出する。なお、ノズル52b~52nも、それぞれb系統支管~n系統支管から供給された有機EL材料中の異物を除去するためのフィルタ521b~521nを有している。(以下省略)」
c 【0042】~【0043】、【0046】、【図3】
「【0042】
次に、図3を参照して、塗布装置1における制御機能の概略構成について説明する。なお、図3は、塗布装置1の制御機能を示すブロック図である。」
「【図3】
[図:0001430572000006.jpg]
」
「【0043】
図3において、塗布装置1は、上述した各構成部を制御する制御部3を備えている。例えば、制御部3は、一般的なコンピュータシステムで構成され、内蔵されるコンピュータが用いるハードディスクやメモリ等の記憶媒体やユーザが計測結果等を入力する入力装置を有している。制御部3は、ポンプ542、複数の流量制御バルブ546a~546n、開閉バルブ548a~548n、旋回部22、平行移動テーブル23、およびノズル移動機構部51のそれぞれの動作を制御する。また、制御部3は、基準流量計544が出力する本管流量を示す流量情報If0を取得し、支管流量計547b~547nがそれぞれ出力する支管流量を示す流量情報Ifa~Ifnをそれぞれ取得する。そして、a系統支管~n系統支管それぞれに設定された目標流量(目標流量値fac~fnc)となるように、流量情報Ifa~Ifnに応じて流量制御バルブ546a~546nの動作を制御する。」
「【0046】
上記塗布開始位置において、制御部3は、各ノズル52a~52nから有機EL材料の吐出開始を供給部54aに指示する。このとき、制御部3は、ストライプ状の溝の各ポイントにおける有機EL材料の塗布量が均一となり、液柱状態で有機EL材料が吐出されるように、ノズル52a~52nの移動速度に応じてその塗布量を制御しており、支管流量計547a~547nからの流量情報Ifa~Ifnをそれぞれフィードバックして制御する。そして、制御部3は、基板P上の溝内への有機EL材料の流し込むために、有機EL材料を基板P上の溝に沿わせながらこの溝内に流し込むようにノズルユニット50をガイド部材511に沿わせて移動させるように制御する。この動作によって、液柱状態で各ノズル52a~52nから吐出される赤色の有機EL材料が同時にそれぞれの溝に流し込まれていく。」
d 【0050】~【0051】、【図4】
「【0050】
図4において、制御部3は、ポンプ542を動作させて供給源541に貯留された有機EL材料を本管中へ流動させ(ステップS80)、処理を次のステップに進める。例えば、制御部3は、ポンプ542を作動させる動作信号Cpをポンプ542へ出力して、当該ポンプ542を動作させる。」
「【図4】
[図:0001430572000007.jpg]
」
「【0051】
次に、制御部3は、実流量Rと基準流量計544の流量計測値Fとの間の関係式が設定済みか否かを判断する(ステップS81)。例えば、制御部3は、塗布装置1が使用する塗布液の種別毎に、実流量Rと基準流量計544の流量計測値Fとの間の関係式を設定し、搭載された記憶媒体に当該関係式を記憶している。そして、制御部3は、塗布装置1で塗布する塗布液に対して上記関係式が設定されていない場合、次のステップS82に処理を進める。一方、制御部3は、塗布装置1で塗布する塗布液に対して上記関係式が設定されている場合、次のステップS83に処理を進める。」
e 【0052】~【0057】、【図5】
「【0052】
ステップS82において、制御部3は、実流量計測モード処理を行い、次のステップに処理を進める。以下、図5を参照して、実流量計測モード処理の詳細な動作について説明する。」
「【図5】
[図:0001430572000008.jpg]
」
「【0053】
図5において、制御部3は、実流量(実吐出流量)を計測する支管系統(例えば、a系統)を選択し、吐出流量範囲を設定して(ステップS91)、処理を次のステップに進める。ここで、上記吐出流量範囲とは、塗布装置1がこれから使用する塗布液を塗布する際に可能性がある吐出流量の範囲を示している。
【0054】
次に、制御部3は、上記ステップS91で選択された対象の支管系統の開閉バルブ548(例えば、a系統の開閉バルブ548a)を全開にして、他の開閉バルブ548を全閉にし(ステップS92)、処理を次のステップに進める。
【0055】
次に、制御部3は、基準流量計544の流量計測値Fが上記吐出流量範囲内の任意の値となるように、上記ステップS91で選択された対象の支管系統の流量制御バルブ546(例えば、a系統の流量制御バルブ546a)を動作させ(ステップS93)、処理を次のステップに進める。このステップS93の動作によって、本管中へ流動する有機EL材料が上記ステップS91で選択された対象の支管(例えば、a系統の支管)のみに流動して1つのノズル52(例えば、ノズル52a)から吐出される状態となる。
【0056】
次に、制御部3は、秤量によって計測された実吐出流量Rおよびそのときの基準流量計544の流量計測値Fを取得し(ステップS94)、処理を次のステップに進める。例えば、塗布装置1のユーザは、上記ステップS93の動作状態において、塗布液を吐出しているノズル52から吐出している塗布液を秤量し、実吐出流量Rを計測する。例えば、ノズル52から吐出される塗布液の実吐出流量Rは、当該ノズル52から所定の容器内に塗布液を吐出させ、単位吐出時間に対する当該容器内の塗布液重量(例えば、ミリグラム/分)によって秤量される。そして、ユーザは、制御部3の入力装置を介して、計測した実吐出流量Rを入力する。なお、そのときの基準流量計544の流量計測値Fについては、基準流量計544から出力される流量情報If0を用いて自動的に制御部3が取得してもいいし、ユーザが入力装置を介して入力してもかまわない。
【0057】
次に、制御部3は、実流量計測が終了したか否かを判断する(ステップS95)。例えば、上記ステップS93およびステップS94で行う実吐出流量Rの秤量は、上記吐出流量範囲内における複数ポイント(例えば、3~5ポイント)に対応して行われる。上記ステップS95において、制御部3は、実吐出流量Rの秤量が上記複数ポイント全てに対応して行われた場合、次のステップS96に処理を進める。一方、制御部3は、実吐出流量Rの秤量が上記複数ポイントの何れかに対して行われていない場合、上記ステップS93に戻って、上記吐出流量範囲内における他の値に対する処理を行う。」
f 【0058】~【0059】、【図7】
「【0058】
ステップS96において、制御部3は、実吐出流量Rと基準流量計544の流量計測値Fとの関係式を設定して記憶媒体に記憶して、当該サブルーチンによる処理を終了する。以下、図7を参照して、実吐出流量Rと基準流量計544の流量計測値Fとの関係式について説明する。なお、図7は、実吐出流量Rの秤量結果から得られる上記関係式の一例を示すグラフである。」
「【図7】
[図:0001430572000009.jpg]
」
「【0059】
図7は、横軸を基準流量計544の流量計測値Fおよび縦軸を実吐出流量Rとし、実吐出流量Rの秤量結果をプロットしている。具体的には、上記ステップS93およびステップS94の処理によって、基準流量計544の流量計測値がF1のときに秤量された実吐出流量がR1である。また、基準流量計544の流量計測値がF2のときに秤量された実吐出流量がR2である。また、基準流量計544の流量計測値がF3のときに秤量された実吐出流量がR3である。そして、これら3つのプロット点(点F1-R1、点F2-R2、点F3-R3)を通る近似曲線(例えば、直線)が、実吐出流量Rと基準流量計544の流量計測値Fとの関係式として導かれる。例えば、上記関係式は、
R=A*F+B
で示される。ここで、AおよびBは、それぞれ上記プロット点から導かれる定数である。塗布装置1では、このような関係式が使用する塗布液の種別毎にそれぞれ設定されて記憶される。」
g 【0060】~【0065】、【図6】
「【0060】
図4に戻り、上記ステップS82の実流量計測モード処理の後、制御部3は、支管流量設定モード処理を行い(ステップS83)、次のステップに処理を進める。以下、図6を参照して、支管流量設定モード処理の詳細な動作について説明する。」
「【図6】
[図:0001430572000010.jpg]
」
「【0061】
図6において、制御部3は、支管流量を設定する支管系統(例えば、b系統)を選択し、吐出流量範囲を設定して(ステップS101)、処理を次のステップに進める。ここで、上記吐出流量範囲とは、上記ステップS91で説明した範囲と同様であり、選択された支管系統を介して、塗布装置1がこれから使用する塗布液を塗布する際に可能性がある吐出流量の範囲を示している。
【0062】
次に、制御部3は、上記ステップS101で選択された対象の支管系統の開閉バルブ548(例えば、b系統の開閉バルブ548b)を全開にして、他の開閉バルブ548を全閉にし(ステップS102)、処理を次のステップに進める。
【0063】
次に、制御部3は、選択された対象の支管系統の支管流量計547(例えば、b系統の支管流量計547b)の流量計測値f(例えば、支管流量計547bの流量計測値fb)が上記吐出流量範囲内の任意の値となるように、当該支管系統の流量制御バルブ546(例えば、b系統の流量制御バルブ546b)を動作させ(ステップS103)、処理を次のステップに進める。このステップS103の動作によって、本管中へ流動する有機EL材料が上記ステップS101で選択された支管(例えば、b系統の支管)のみに流動して1つのノズル52(例えば、ノズル52b)から吐出される状態となる。
【0064】
次に、制御部3は、選択された支管系統の支管流量計547の流量計測値fおよびそのときの基準流量計544の流量計測値Fを取得し(ステップS104)、処理を次のステップに進める。例えば、制御部3は、ステップS103の状態で出力される支管流量計547bの流量情報Ifbおよび基準流量計544の流量情報If0を用いて、流量計測値fbおよび流量計測値Fを取得する。
【0065】
次に、制御部3は、選択された支管系統の支管流量設定が終了したか否かを判断する(ステップS105)。例えば、上記ステップS103およびステップS104で行う支管流量設定も、上述した実吐出流量Rの秤量と同様に、上記吐出流量範囲内における複数ポイント(例えば、3~5ポイント)に対応して行われる。上記ステップS105において、制御部3は、選択された支管系統の支管流量設定が上記複数ポイント全てに対応して行われた場合、次のステップS106に処理を進める。一方、制御部3は、選択された支管系統の支管流量設定が上記複数ポイントの何れかに対して行われていない場合、上記ステップS103に戻って、上記吐出流量範囲内における他の値に対する処理を行う。」
h 【0066】~【0068】、【図8】
「【0066】
ステップS106において、制御部3は、基準流量計544の流量計測値Fと支管流量計547の流量計測値fとの関係式を設定して記憶媒体に記憶して、処理を次のステップに進める。以下、図8を参照して、基準流量計544の流量計測値Fと支管流量計547の流量計測値fとの関係式について説明する。なお、図8は、上記ステップS103およびステップS104の測定結果から得られる上記関係式の一例を示すグラフである。」
「【図8】
[図:0001430572000011.jpg]
」
「【0067】
図8は、横軸を支管流量計547bの流量計測値fbおよび縦軸を基準流量計544の流量計測値Fとし、上記ステップS103およびステップS104の測定結果をプロットしている。具体的には、上記ステップS103およびステップS104の処理によって、支管流量計547bの流量計測値がfb1のときに基準流量計544の流量計測値がF1である。また、支管流量計547bの流量計測値がfb2のときに基準流量計544の流量計測値がF2である。また、支管流量計547bの流量計測値がfb3のときに基準流量計544の流量計測値がF3である。そして、これら3つのプロット点(点fb1-F1、点fb2-F2、点fb3-F3)を通る近似曲線(例えば、直線)が、基準流量計544の流量計測値Fと支管流量計547bの流量計測値fbとの関係式として導かれる。例えば、上記関係式は、
F=Cb*fb+Db
で示される。ここで、CbおよびDbは、それぞれ上記プロット点から導かれるb系統の定数である。塗布装置1では、このような関係式が支管の系統毎に、使用する塗布液の種別に応じてそれぞれ設定されて記憶される。
【0068】
図6に戻り、上記ステップS106における関係式の設定の後、制御部3は、全ての支管系統に対する支管流量設定が終了したか否かを判断する(ステップS107)。そして、制御部3は、支管流量設定が終了していない支管系統がある場合、上記ステップS101に戻って異なる支管系統に対する支管流量設定を行う。一方、制御部3は、全ての支管系統の支管流量設定が終了した場合、当該サブルーチンによる処理を終了する。」
(イ) 引用発明の認定
前記(ア)において摘記した事項を総合すると、引用文献1には、第1の実施形態に係る発明として次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所等を括弧内に示した。
<引用発明>
「供給部54aおよびノズルユニット50を備えている塗布装置1であって、(【0035】)
供給部54aは、単一の供給源541から供給される塗布液(例えば、赤色の有機EL材料)を供給途中(マニホールド545)で複数に分岐させて複数のノズル52a~52nに供給するものであり、(【0035】)
供給部54aにおいて、供給源541から塗布液を複数に分岐するまでの供給配管を本管とし、塗布液を複数に分岐してからノズル52a~52nに供給するまでの供給配管をそれぞれ支管とし、(【0035】)
供給部54aは、供給源541、ポンプ542、フィルタ543、基準流量計544、マニホールド545、複数の流量制御バルブ546a~546n、複数の支管流量計547a~547n、および開閉バルブ548a~548nを備えており、(【0036】)
ポンプ542は、制御部3から出力される動作信号Cpに応じて、供給源541に貯留された有機EL材料を取り出して本管中へ流動させるものであり、(【0036】)
基準流量計544は、本管における有機EL材料の流量を検出して、流量情報If0を制御部3へ出力するものであり、(【0036】)
マニホールド545は、本管から供給された有機EL材料を複数(例えば、16本)の支管に分岐するものであり、(【0037】)
マニホールド545が分岐する複数の支管は、それぞれノズル52a~52nに接続されており、ノズル52a~52nに接続されるそれぞれの支管をa系統支管~n系統支管とし、(【0037】)
流量制御バルブ546aは、制御部3から出力される動作信号Cfaに応じて、a系統支管を流動する有機EL材料の流量を制御するものであり、(【0038】)
支管流量計547aは、a系統支管における有機EL材料の流量を検出して、流量情報Ifaを制御部3へ出力するものであり、(【0038】)
制御部3が流量情報Ifaに基づいて目標流量値facとなるように動作信号Cfaを生成して流量制御バルブ546aの動作を制御するため、制御部3、流量制御バルブ546a、および支管流量計547aを合わせてマスフローコントローラとして機能させ、目標流量値facは、塗布作業における流量制御バルブ546aの調節目標となるものであり、(【0038】)
開閉バルブ548aは、制御部3から出力される動作信号Coaに応じて、a系統支管を開閉して有機EL材料をノズル52aへ供給または停止するものであり、ノズル52aは、開閉バルブ548aを介してa系統支管から有機EL材料の供給を受けて、その先端部から液柱状態の有機EL材料を吐出するものであり、(【0039】)
他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有しており、(【0040】)
制御部3は、基準流量計544が出力する本管流量を示す流量情報If0を取得し、支管流量計547b~547nがそれぞれ出力する支管流量を示す流量情報Ifa~Ifnをそれぞれ取得して、a系統支管~n系統支管それぞれに設定された目標流量(目標流量値fac~fnc)となるように、流量情報Ifa~Ifnに応じて流量制御バルブ546a~546nの動作を制御するものであり、(【0043】)
制御部3は、ストライプ状の溝の各ポイントにおける有機EL材料の塗布量が均一となり、液柱状態で有機EL材料が吐出されるように、ノズル52a~52nの移動速度に応じてその塗布量を制御しており、支管流量計547a~547nからの流量情報Ifa~Ifnをそれぞれフィードバックして制御するものであり、(【0046】)
制御部3は、例えば、b系統の開閉バルブ548bを全開にして、他の開閉バルブ548を全閉にし、(【0062】)
制御部3は、b系統の支管流量計547bの流量計測値fbが吐出流量範囲内の任意の値となるように、b系統の流量制御バルブ546bを動作させ、本管中へ流動する有機EL材料がb系統の支管のみに流動してノズル52bから吐出される状態となるようにし、(【0063】)
制御部3は、支管流量計547bの流量情報Ifbおよび基準流量計544の流量情報If0を用いて、流量計測値fbおよび流量計測値Fを取得し、(【0064】)
支管流量計547bの流量計測値がfb1のときに基準流量計544の流量計測値がF1であり、支管流量計547bの流量計測値がfb2のときに基準流量計544の流量計測値がF2であり、支管流量計547bの流量計測値がfb3のときに基準流量計544の流量計測値がF3である場合、これら3つのプロット点(点fb1-F1、点fb2-F2、点fb3-F3)を通る近似曲線(例えば、直線)が、基準流量計544の流量計測値Fと支管流量計547bの流量計測値fbとの関係式
F=Cb*fb+Db
として導かれ、ここで、CbおよびDbは、それぞれ上記プロット点から導かれるb系統の定数である、(【0067】)
塗布装置1。」
イ 引用文献5、6に記載された事項と技術常識1の認定
(ア) 引用文献5に記載された事項
当審において新たに引用する、優先日前に発行された文献である特開2014-18798号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の事項が記載されている。下線は審判合議体が付したものであり、以下同様である。
「【0016】
図面を参照すると、本発明の機能部が、ホットメルト接着剤システム10に関して示されている。ここで図示及び記載されているホットメルト接着剤システム10は、単なる例示にすぎず、本発明は、他のホットメルト接着剤システムに等しく適用可能であることが理解されるであろう。例えば、ホットメルト接着剤システム10は、接着剤供給部としてタンク式溶融装置を備えるが、本発明は、格子液だめ式溶融装置を備えるホットメルト接着剤システムにも適用可能である。
【0017】
図1に最もよく見られるように、ホットメルト接着剤システム10は、固体又は半固体ホットメルト接着剤24aを収納するとともに溶融する接着剤供給部(タンク)22と、接着剤供給部22に接続されるマニホールド26と、コントローラ28と、ユーザインタフェース29とを備える吐出ユニット20を含む。溶融時、固体又は半固体ホットメルト接着剤24aは、液体ホットメルト接着剤24に変化する。接着剤供給部22は、側壁30と、取外し可能なカバー31と、接着剤供給部22内のホットメルト接着剤24a及び液体ホットメルト接着剤24を溶融及び加熱する1つ又は複数の接着剤供給部加熱器34を含む基部32とを備える。基部32は、接着剤供給部22と一体となっており、1つ又は複数の加熱器34を収容している。基部32付近の出口36は、マニホールド26の入口40につながる通路38につながっている。」
「【図1】
[図:0001430572000012.jpg]
」
「【0018】
図示のように、マニホールド26は、接着剤供給部22の側壁30に取り付けられている。縦型に配置されたピストンポンプ(図示されている)又は歯車ポンプ等のポンプ58は、マニホールド26に連結されて、液体ホットメルト接着剤24を接着剤供給部22からマニホールド26へ圧送し、そこで、液体ホットメルト接着剤24は、複数の別個の流れに分流される。ポンプ58は、ポンプモータ59に連結されている(図2)。ポンプ58、そのポンプモータ59及びマニホールド26は、ホットメルト接着剤システム10における液体ホットメルト接着剤24の流量を制御する計量システム37の機能部であり、これについては、ホットメルト接着剤システム10の概説後に以下でより詳細に説明する。図1は、マニホールド26に物理的に近接した接着剤供給部22を示しているが、ホットメルト接着剤の供給源がマニホールドから物理的に遠い他の構成も可能であり、そのような構成では、2つ以上のポンプを用いて、ホットメルト接着剤を供給源から最終的な塗布地点に向けて移動させることができることが理解されるであろう。接着剤供給部22がマニホールド26に物理的に近接している場合の計量システム37に関連する機能部は、図2に示されており、その一方、接着剤供給部22がマニホールド26から遠い場合の別の計量システム37’に関連する機能部は、図3に示されている。」
「【図2】
[図:0001430572000013.jpg]
」
「【図3】
[図:0001430572000014.jpg]
」
(イ) 引用文献6に記載された事項
当審において新たに引用する、優先日前に発行された文献である特表2017-509482号公報(以下「引用文献6」という。)には、次の事項が記載されている。
「【0015】
図1は、本明細書に記載の一実施形態に係る、計量装置12を備える流体塗布装置10の概略図である。流体塗布装置10は、材料ストランド14又は基材16等の材料上に流体Fを塗布するように用いることができる。流体Fは、例えば、加熱又は非加熱の液化材料である、約10センチポアズ~50000センチポアズ(cps)の粘性流体とすることができる。さらに、流体Fは、例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤とすることができる。」
「【図1】
[図:0001430572000015.jpg]
」
「【0016】
材料ストランド14は、弾性材料製とすることができ、流体Fが塗布される際、伸張状態であっても弛緩状態であってもよい。材料ストランド14は、例えば、スパンデックス、ゴム、又は他の同様の弾性材料とすることができる。流体Fが塗布された材料ストランド14は、不織材料等の基材16上に配置して、基材16に接合することができる。代替的には、流体Fを基材16上に直接塗布してもよい。
【0017】
1つの実施形態によれば、流体塗布装置10は、計量装置12及び1つ又は複数のノズルアセンブリ18を備える。計量装置12は、流体塗布装置10の上流で流体塗布装置10の遠隔に配置される場合がある流体供給源20から流体Fを受け取るように構成される。計量装置12は、塗布ヘッド(図示せず)等の、流体塗布装置10の隣接する構成部材に固定及び/又は流体接続してもよいし、その構成部材と一体に形成してもよい。
【0018】
計量装置12は、1つ又は複数の計量ポンプ22を備える。計量ポンプ22は、精密計量ポンプとすることができる。各計量ポンプ22は、各計量ポンプ22を通る流体Fの流量を制御する、すなわち流体Fを計量するように構成される。例えば、各計量ポンプ22は、各計量ポンプ22を通って流れる流体Fの流量を制御することができる。このために、各計量ポンプ22は、最大流量を可能にするように構成することができ、この最大流量は、異なる計量ポンプ22間で様々とすることができる。例えば、1つの計量ポンプ22を、単位時間あたりに1.0立方センチメートル(cc)の最大流量を提供するように構成することができる。別の計量ポンプ22を、単位時間あたりに0.5ccの最大流量を提供するように構成することができ、それに対して、更に別の計量ポンプを、単位時間あたりに0.3ccの最大流量を提供するように構成することができる。上記流量は、例示のために記載されているにすぎず、本開示は、上述の流量又はそれらの流量の具体的な比に限定されないことが理解される。計量ポンプ22はモジュラー式であり、所望の流量を提供するために除去及び/又は交換することができる。例えば、0.7ccという所定の流量を提供するように作用可能である計量ポンプ22は、より高い流量が望まれる場合に、0.9ccで動作するように構成されている計量ポンプ22と交換することができる。」
(ウ) 技術常識1の認定
前記(ア)及び(イ)に摘記した事項を踏まえると、引用文献5、6に例示されるように、次の技術事項は、当業者にとって技術常識であると認められる(以下「技術常識1」という)。
<技術常識1>
「材料塗布システムにおいて、材料供給源と計量部を含む塗布装置が、遠隔になるように配置する場合があること。」
(3) 対比・判断
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点
a 構成Xは、「遠隔計量システムの複数の流れセンサを較正する方法」の発明であることを特定するものである。
b 引用発明の「供給部54a」は、「供給源541、ポンプ542、フィルタ543、基準流量計544、マニホールド545、複数の流量制御バルブ546a~546n、複数の支管流量計547a~547n、および開閉バルブ548a~548nを備えて」いるところ、「ノズル52a~52nに接続されるそれぞれの支管をa系統支管~n系統支管とし」たとき、各系統の支管に対応して設けられる「支管流量計547a~547n」は、本件補正発明における「複数の流れセンサ」に相当する。
c 引用発明においては、「制御部3、流量制御バルブ546a、および支管流量計547aを合わせてマスフローコントローラとして機能させ」ているところ、「制御部3」、「供給部54a」に含まれる「流量制御バルブ546a~546n」、「支管流量計547a~547n」及び「開閉バルブ548a~548n」、並びに、「ノズル52a~52n」は、「マスフロー」(単位時間あたりに流れる流体の質量)を計量するシステムを構成しているといえるから、本件補正発明における「遠隔計量システム」と、「計量システム」である点において共通する。
d 引用発明においては、「支管流量計547bの流量計測値がfb1のときに基準流量計544の流量計測値がF1であり、支管流量計547bの流量計測値がfb2のときに基準流量計544の流量計測値がF2であり、支管流量計547bの流量計測値がfb3のときに基準流量計544の流量計測値がF3である場合、これら3つのプロット点(点fb1-F1、点fb2-F2、点fb3-F3)を通る近似曲線(例えば、直線)が、基準流量計544の流量計測値Fと支管流量計547bの流量計測値fbとの関係式
F=Cb*fb+Db
として導かれ」るものである。
e(a) ここで、本件補正発明の「較正」とは、本願の明細書の段落【0022】の記載を踏まえると(前記(1)イ(ウ)を参照)、主要流れセンサからの信号と第1の流れセンサからの信号を比較したとき、理想的には、両信号は同一の流量を表すべきものであるところ、第1の流れセンサに何らかの問題があると、両信号は異なる流量を示すことがあるため、第1の流れセンサが正確な読み取り値を提供できるように、第1の流れセンサからの信号を補正する係数を決定することであると解するのが相当である。
(b) 他方、引用発明における前記dの「関係式」は、「本管中へ流動する有機EL材料がb系統の支管のみに流動」する場合を想定して導かれるものであるから、本来は「基準流量計544の流量計測値F」の値がそのまま「支管流量計547bの流量計測値fb」として計測されなければならない(すなわち、理想状態においてはF=fbでなければならない)ところ、上記「関係式F=Cb*fb+Db」は、そのような理想状態から乖離した実態が生じていることに鑑み、「支管流量計547b」が実際に計測した値が「基準流量計544の流量計測値F」に合うように、「b系統の定数」である「CbおよびDb」を決定して、「支管流量計547bの流量計測値fb」を修正するためのものであるといえる。
(c) 前記(a)及び(b)を踏まえると、引用発明においては、「支管流量計547b」の較正を行っているといえる。
f そして、引用発明においては、「他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有して」いるから、b系統の支管についての上記関係式は、他の系統支管についても同様に成立するといえる。
g そうすると、引用発明は、各系統の支管に対応して設けられる「支管流量計547a~547n」を較正する方法を含むものであるといえる。
h したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Xの観点について、次の(a)に示す点において一致し、以下の(b)に示す点において相違する。
(a) 構成Xの観点の一致点
「計量システムの複数の流れセンサを較正する方法」の発明である点
(b) 構成Xの観点の相違点
「計量システム」が、
本件補正発明においては、「遠隔計量システム」であるのに対して、
引用発明においては、「遠隔」であるとは明示されていない点。
(イ) 構成A1及びA2の観点
a 構成A1は、「材料供給装置の主要ポンプから前記遠隔計量システムの第1のアプリケータに材料をポンプ圧送すること」である。
また、構成A2は、「前記主要ポンプから前記遠隔計量システムの第2のアプリケータに前記材料をポンプ圧送すること」である。
b 引用発明の「供給部54a」は、「単一の供給源541から供給される塗布液(例えば、赤色の有機EL材料)を供給途中(マニホールド545)で複数に分岐させて複数のノズル52a~52nに供給するもの」であるところ、「マニホールド545」で複数に分岐する前にある「供給源541」、「ポンプ542」、「フィルタ543」及び「基準流量計544」は、全体として塗布液を供給する装置であるといえるから、本件補正発明の「材料供給装置」に相当する。
c また、引用発明の「ポンプ542」は、本件補正発明の「主要ポンプ」に相当し、引用発明の「複数のノズル52a~52n」のうち「ノズル52a」及び「ノズル52b」は、それぞれ本件補正発明の「第1のアプリケータ」及び「第2のアプリケータ」に相当する。
d そして、引用発明において、「ポンプ542」は「供給源541に貯留された有機EL材料を取り出して本管中へ流動させるものであり」、「マニホールド545は、本管から供給された有機EL材料を複数(例えば、16本)の支管に分岐するものであり」、「マニホールド545が分岐する複数の支管は、それぞれノズル52a~52nに接続されており」、「ノズル52aは、開閉バルブ548aを介してa系統支管から有機EL材料の供給を受けて、その先端部から液柱状態の有機EL材料を吐出するものであり」、「他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有して」いるから、引用発明においては、「ポンプ542」から「ノズル52a」及び「ノズル52b」に有機EL材料をポンプ圧送しているといえる。
e 前記b~dを踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Xの観点の相違点は措くとして、構成A1について、次の(a)に示す点において一致し、構成A2について、以下の(b)に示す点において一致する。
(a) 構成A1の観点の一致点
「材料供給装置の主要ポンプから前記計量システムの第1のアプリケータに材料をポンプ圧送すること」
(b) 構成A2の観点の一致点
「前記主要ポンプから前記計量システムの第2のアプリケータに前記材料をポンプ圧送すること」
(ウ) 構成B1及びB2の観点
a 構成B1は、「前記主要ポンプと連通する、前記材料供給装置の主要流れセンサから第1のフィードバック信号と、前記第1のアプリケータと連通する第1の流れセンサから第2のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第1及び第2のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第1のアプリケータを通る材料の流れの特性を示す、こと」である。
また、構成B2は、「前記主要流れセンサから第3のフィードバック信号と、前記第2のアプリケータと連通する、前記遠隔計量システムの第2の流れセンサから第4のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第3及び第4のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第2のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す、こと」である。
b 引用発明の「基準流量計544」は、本件補正発明の「前記主要ポンプと連通する、前記材料供給装置の主要流れセンサ」に相当し、引用発明の「支管流量計547a~547n」のうちの「支管流量計547a」及び「管流量計547b」は、それぞれ本件補正発明における「第1の流れセンサ」及び「第2の流れセンサ」に相当する。
c 引用発明において、「例えば、b系統の開閉バルブ548bを全開にして、他の開閉バルブ548を全閉にし」、「本管中へ流動する有機EL材料がb系統の支管のみに流動してノズル52bから吐出される状態となるようにし」た場合の「基準流量計544の流量情報If0」は、本件補正発明の「前記主要流れセンサ」から「受信」される「第3のフィードバック信号」であって、「前記主要ポンプ」「を通る前記材料の流れの特性を示す」「第3のフィードバック信号」に相当する。また、この場合の「支管流量計547bの流量情報Ifb」は、本件補正発明の「第2の流れセンサ」から「受信」される「第4のフィードバック信号」であって、「前記第2のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す」「第4のフィードバック信号」に相当する。
d 引用発明においては、「他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有して」いるから、前記cにおいて「b系統」について述べた事項は、「a系統」についても同様に当てはまる。
そうすると、a系統の開閉バルブ548aを全開にして、他の開閉バルブ548を全閉にし、本管中へ流動する有機EL材料がa系統の支管のみに流動してノズル52aから吐出される状態となるようにした場合の「基準流量計544の流量情報If0」は、本件補正発明の「前記主要流れセンサ」から「受信」される「第1のフィードバック信号」であって、「前記主要ポンプ」「を通る前記材料の流れの特性を示す」「第1のフィードバック信号」に相当する。また、この場合の支管流量計547aの流量情報Ifaは、本件補正発明の「第1の流れセンサ」から「受信」される「第2のフィードバック信号」であって、「前記第1のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す」「第2のフィードバック信号」に相当する。
e 前記b~dを踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Xの観点の相違点は措くとして、構成B1について、次の(a)に示す点において一致し、構成B2について、以下の(b)に示す点において一致する。
(a) 構成B1の観点の一致点
「前記主要ポンプと連通する、前記材料供給装置の主要流れセンサから第1のフィードバック信号と、前記第1のアプリケータと連通する第1の流れセンサから第2のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第1及び第2のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第1のアプリケータを通る材料の流れの特性を示す、こと」
(b) 構成B2の観点の一致点
「前記主要流れセンサから第3のフィードバック信号と、前記第2のアプリケータと連通する、前記計量システムの第2の流れセンサから第4のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第3及び第4のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第2のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す、こと」
(エ) 構成C1及びD1、構成C2及びD2の観点
a 構成C1は、「前記第1及び第2のフィードバック信号を比較すること」であり、構成D1は、「前記遠隔計量システムの前記第1の流れセンサの補正係数を決定すること」である。
また、構成C2は、「前記第3及び第4のフィードバック信号を比較すること」であり、構成D2は、「前記第2の流れセンサの補正係数を決定すること」である。
b 前記(ア)及び(ウ)を踏まえると、引用発明においては、「b系統」について「関係式F=Cb*fb+Db」を導くものであるところ、「b系統の定数」である「CbおよびDb」は、F=fbという理想状態から乖離した実態が生じていることに鑑み、「支管流量計547b」が実際に計測した値が「基準流量計544の流量計測値F」に合うように修正するための係数であるといえるから、本件補正発明の「第2の流れセンサの補正係数」に相当する。
c ここで、上記関係式を導くに当たって、「3つのプロット点(点fb1-F1、点fb2-F2、点fb3-F3)を通る近似曲線(例えば、直線)」に基づいて「CbおよびDb」を求めているから、引用発明においても、「前記第2の流れセンサの補正係数を決定すること」に相当することが行われているといえる。
d 同様に、引用発明においては、「a系統」についても、同様の関係式F=Ca*fa+Daを導くものであるところ、a系統の定数であるCa及びDaは、F=faという理想状態から乖離した実態が生じていることに鑑み、「支管流量計547a」が実際に計測した値が「基準流量計544の流量計測値F」に合うように修正するための係数であるといえるから、本件補正発明の「第1の流れセンサの補正係数」に相当する。
そして、同様に、引用発明においても、「前記第1の流れセンサの補正係数を決定すること」に相当することが行われているといえる。
e もっとも、引用発明においては、「a系統」及び「b系統」のいずれについても、基準流量計の流量情報と支管流量計の流量情報を比較してはいない。
f したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Xの観点の相違点は措くとして、構成C1及びD1の観点について、次の(a)に示す点において一致し、以下の(b)に示す点において相違する。
(a) 構成C1及びD1の観点の一致点
「前記計量システムの前記第1の流れセンサの補正係数を決定すること」
(b) 構成C1及びD1の観点の相違点
本件補正発明においては、「前記第1及び第2のフィードバック信号を比較すること」を含むのに対して、
引用発明においては、「a系統」について、基準流量計の流量情報と支管流量計の流量情報を比較してはいない点。
g 同様に、本件補正発明と引用発明は、構成Xの観点の相違点は措くとして、構成C2及びD2の観点について、次の(a)に示す点において一致し、以下の(b)に示す点において相違する。
(a) 構成C2及びD2の観点の一致点
「前記第2の流れセンサの補正係数を決定すること」
(b) 構成C2及びD2の観点の相違点
本件補正発明においては、「前記第3及び第4のフィードバック信号を比較すること」を含むのに対して、
引用発明においては、「b系統」について、基準流量計の流量情報と支管流量計の流量情報を比較してはいない点。
(オ) 構成Eの観点
a 構成Eは、「前記第1のアプリケータへの材料の流れを停止すること」である。
b 引用発明においては、「関係式F=Cb*fb+Db」を導くために、「例えば、b系統の開閉バルブ548bを全開にして、他の開閉バルブ548を全閉にし」ているところ、「他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有して」いるから、「a系統」についても、同様の関係式F=Ca*fa+Daを導くために、a系統の開閉バルブ548aを全開にして、他の開閉バルブ548を全閉にしていることは明らかである。
c 前記bにおいて、a系統に係る操作の後にb系統に係る操作に移行することを想定しても一般性を失わないから、b系統に移行する際には、a系統の開閉バルブ548aを閉じて、a系統のノズル52aへの有機EL材料の流れを停止することになる。
d そうすると、引用発明においては、「前記第1のアプリケータへの材料の流れを停止すること」に相当する構成が含まれるといえる。
e したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Eの観点について、次の点において一致する。
「前記第1のアプリケータへの材料の流れを停止すること」
(カ) 構成Fの観点
a 構成Fは、「前記材料の流れの第1の部分を前記第1のアプリケータに、及び前記材料の流れの第2の部分を前記第2のアプリケータにポンプ圧送すること」である。
b 引用発明において、「ポンプ542」は「供給源541に貯留された有機EL材料を取り出して本管中へ流動させるものであり」、「マニホールド545は、本管から供給された有機EL材料を複数(例えば、16本)の支管に分岐するものであり」、「マニホールド545が分岐する複数の支管は、それぞれノズル52a~52nに接続されており」、「ノズル52aは、開閉バルブ548aを介してa系統支管から有機EL材料の供給を受けて、その先端部から液柱状態の有機EL材料を吐出するものであ[る]」から、引用発明においては、「前記材料の流れの第1の部分を前記第1のアプリケータに」「ポンプ圧送すること」に相当する構成が含まれるといえる。
c また、「他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有して」いるから、引用発明においては、「前記材料の流れの第2の部分を前記第2のアプリケータにポンプ圧送すること」に相当する構成が含まれるといえる。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、構成Fの観点について、次の点において一致する。
「前記材料の流れの第1の部分を前記第1のアプリケータに、及び前記材料の流れの第2の部分を前記第2のアプリケータにポンプ圧送すること」
(キ) 構成G及びHの観点
a 構成Gは、「前記第1の流れセンサから第5のフィードバック信号と、前記第2の流れセンサから第6のフィードバック信号と、を受信すること」である。
また、構成Hは、「前記第5及び第6のフィードバック信号を、それぞれ、前記材料の流れの前記第1及び第2の部分の意図された特性と比較すること」である。
b 引用発明において、「支管流量計547aは、a系統支管における有機EL材料の流量を検出して、流量情報Ifaを制御部3へ出力するものであ[る]」ところ、この場合の「支管流量計547a」の「流量情報Ifa」は、本件補正発明の「前記第1の流れセンサ」から「受信」される「第5のフィードバック信号」に相当する。
c また、引用発明においては、「制御部3が流量情報Ifaに基づいて目標流量値facとなるように動作信号Cfaを生成して流量制御バルブ546aの動作を制御する」ところ、かかる「目標流量値fac」は、本件補正発明の「前記材料の流れの前記第1の部分の意図された特性」に相当する。
d そして、引用発明において、「流量情報Ifaに基づいて目標流量値facとなるように動作信号Cfaを生成」するためには、「流量情報Ifa」を「目標流量値fac」と比較することが前提になるから、引用発明においては、「前記第5のフィードバック信号を、前記材料の流れの前記第1の部分の意図された特性と比較すること」に相当する構成が含まれるといえる。
e 引用発明において、「他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有しており」、前記b~dにおいて検討した事項が同様に当てはまり、「支管流量計547b」の「流量情報Ifb」は、本件補正発明の「前記第2の流れセンサ」から「受信」される「第6のフィードバック信号」に相当し、「目標流量値fbc」は、本件補正発明の「前記材料の流れの前記第2の部分の意図された特性」に相当する。また、引用発明においては、「前記第6のフィードバック信号を、前記材料の流れの前記第2の部分の意図された特性と比較すること」に相当する構成が含まれるといえる。
f したがって、本件補正発明と引用発明は、構成G及びHの観点について、次の点において一致する。
「前記第1の流れセンサから第5のフィードバック信号と、前記第2の流れセンサから第6のフィードバック信号と、を受信すること」
「前記第5及び第6のフィードバック信号を、それぞれ、前記材料の流れの前記第1及び第2の部分の意図された特性と比較すること」
イ 一致点及び相違点の認定
前記アの対比分析の検討結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、以下の(イ)に示す相違点において相違する。
(ア) 一致点
「計量システムの複数の流れセンサを較正する方法であって、前記方法は、
材料供給装置の主要ポンプから前記計量システムの第1のアプリケータに材料をポンプ圧送することと、
前記主要ポンプと連通する、前記材料供給装置の主要流れセンサから第1のフィードバック信号と、前記第1のアプリケータと連通する第1の流れセンサから第2のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第1及び第2のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第1のアプリケータを通る材料の流れの特性を示す、ことと、
前記計量システムの前記第1の流れセンサの補正係数を決定することと、
前記第1のアプリケータへの材料の流れを停止することと、
前記主要ポンプから前記計量システムの第2のアプリケータに前記材料をポンプ圧送することと、
前記主要流れセンサから第3のフィードバック信号と、前記第2のアプリケータと連通する、前記計量システムの第2の流れセンサから第4のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第3及び第4のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第2のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す、ことと、
前記第2の流れセンサの補正係数を決定することと、
前記材料の流れの第1の部分を前記第1のアプリケータに、及び前記材料の流れの第2の部分を前記第2のアプリケータにポンプ圧送することと、
前記第1の流れセンサから第5のフィードバック信号と、前記第2の流れセンサから第6のフィードバック信号と、を受信することと、
前記第5及び第6のフィードバック信号を、それぞれ、前記材料の流れの前記第1及び第2の部分の意図された特性と比較することと、
を含む、方法。」
(イ) 相違点
a 相違点1
「計量システム」が、
本件補正発明においては、「遠隔計量システム」であるのに対して、
引用発明においては、「遠隔」であるとは明示されていない点。
b 相違点2
本件補正発明においては、「前記第1及び第2のフィードバック信号を比較すること」及び「前記第3及び第4のフィードバック信号を比較すること」を含むのに対して、
引用発明においては、「a系統」及び「b系統」のいずれについても、基準流量計の流量情報と支管流量計の流量情報を比較してはいない点。
ウ 判断
(ア) 相違点1の検討
a 「材料塗布システムにおいて、材料供給源と計量部を含む塗布装置が、遠隔になるように配置する場合があること」は、当業者にとって技術常識である(前記技術常識1を参照)。
b 前記技術常識1を踏まえると、引用発明において、「供給源541、ポンプ542、フィルタ543、基準流量計544」(「材料供給装置」に相当)と、「制御部3」、「流量制御バルブ546a~546n」、「支管流量計547a~547n」、「開閉バルブ548a~548n」、及び、「ノズル52a~52n」(「計量システム」に相当)が、遠隔になるように配置することにより、前記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって適宜なし得た設計変更にすぎない。
(イ) 相違点2の検討
a 引用発明における「b系統」の「関係式F=Cb*fb+Db」は、「3つのプロット点(点fb1-F1、点fb2-F2、点fb3-F3)を通る近似曲線」が、横軸をfb、縦軸をFとする平面(fb-F平面)における「直線」であることを前提として導かれたものである。
b ここで、「b系統の定数」である「CbおよびDb」は、それぞれ直線の傾きとF切片を表すものであるところ、これらは、F=fbという理想状態(fb-F平面において、原点を通る傾き1の直線)から乖離した実態が生じていることに鑑み、「支管流量計547b」が実際に計測した値が「基準流量計544の流量計測値F」に合うように修正するための係数であるから(前記ア(エ)を参照)、当該修正の最も単純なものとして、直線の傾きが1のままの状態(すなわち、Cb=1)を想定して、縦軸方向の修正(Dbの設定)を行うようにすることは、当業者にとって自然な発想であるというべきである。
c この場合のDbの値は、Db=F-fbという式により規定されることを踏まえると、「b系統の開閉バルブ548bを全開にして、他の開閉バルブ548を全閉にし」、「本管中へ流動する有機EL材料がb系統の支管のみに流動してノズル52bから吐出される状態となるようにし」た場合の「基準流量計544の流量情報If0」と、「支管流量計547bの流量情報Ifb」の差分により設定されることになり、実質的にみて、「基準流量計544の流量情報If0」(「第3のフィードバック信号」に相当)と「支管流量計547bの流量情報Ifb」(「第4のフィードバック信号」に相当)の比較を行っていることになる。
d 引用発明においては、「他のb系統支管~n系統支管も、a系統支管と同様の構成部を有して」いるから、前記cにおいて「b系統」について述べた事項は、「a系統」についても同様に当てはまることになり、「基準流量計544の流量情報If0」(「第1のフィードバック信号」に相当)と支管流量計547aの流量情報Ifa(「第2のフィードバック信号」に相当)の比較を行っていることになる。。
e 以上を踏まえると、引用発明において、前記相違点2に係る本件補正発明の構成を含むようにすることは、当業者にとって自明な設計変更にすぎない。
(ウ) 総合評価
前記(ア)及び(イ)において検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 請求人の主張について
ア 請求人の主張の要点
(ア) 審判請求書における主張
引用発明の第1の流れセンサ547a及び第2の流れセンサ547bは、供給部54aに設けられており、供給部54aから遠隔に遠隔計量システムに設けられていないから、引用文献1は、第1の流れセンサ、第2の流れセンサ、第1のアプリケータ及び第2のアプリケータを有する遠隔計量システムを開示していない。
本件補正発明は、アプリケータに近接する(又は一体化された)安価なセンサを利用することができるという効果を奏するのに対して、引用発明は、本件補正発明のようにアプリケータに近接する安価なセンサを利用するものではない。
(イ) 令和6年7月9日に提出された上申書における主張
引用文献1は、本件補正発明のような第1及び第2の流量センサを含む遠隔計量システムを含むように実際に改良されるための開示や示唆を十分に特定していない。「遠隔計量システム」という用語は、主要ポンプと一体ではない計量システムを指すために本願において使用されており、例えば、明細書の段落0013には、ホース40は、材料供給装置15(主要ポンプ24を含む)及び遠隔計量システム50が製造現場で任意の所望の距離だけ離間されることを可能にすると記載されており、明細書の段落0018には、「流れセンサ66a~66cのそれぞれは、流れセンサ66a~66cが低プロファイルを有することを可能にし得、それにより、それらがそれぞれのアプリケータ70a~70cに近接するか、又は一体化することを可能にする。」と記載されており、図1はその例を示している。
これに対して、引用文献1は、供給部54aのいずれかの構成要素が遠隔にあるということについて全く述べておらず、引用発明の第1及び第2の流量センサ547a、547bが主要ポンプ542から遠隔に配置されるように改良できることを開示していない。
さらに、本件補正発明は、第1及び第2のアプリケータが第1及び第2の流れセンサと同じ遠隔計量システムのものであることを明確に特定しており、流れセンサが材料供給装置から遠隔にあるアプリケータの近傍にあり、アプリケータに近接する(又は一体化された)安価なセンサを利用することができるという効果を奏することができる。
イ 請求人の主張に対する審判合議体の判断
前記アの主張(ア)及び(イ)は、いずれも前記相違点1に係るものであるところ、前記(3)ウ(ア)において検討したとおり、技術常識1を踏まえると、引用発明において、「供給源541、ポンプ542、フィルタ543、基準流量計544」(「材料供給装置」に相当)と、「制御部3」、「流量制御バルブ546a~546n」、「支管流量計547a~547n」、「開閉バルブ548a~548n」、及び、「ノズル52a~52n」(「計量システム」に相当)が、遠隔になるように配置することにより、前記相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者にとって適宜なし得た設計変更にすぎない。
また、アプリケータに近接する(又は一体化された)安価なセンサを利用することができるという効果も、前記(3)ウ(ウ)において検討したとおり、本件補正発明の構成の奏するものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果であるとは認められない。
したがって、請求人の上記主張は前記(3)ウの結論を左右するものではない。
ウ 補正案について
(ア) 補正案の概要
請求人は、令和6年7月9日に提出された上申書において、請求項1について、以下に示す補正案を提示している。
<補正案>
[請求項1]
遠隔計量システムの複数の流れセンサを較正する方法であって、前記方法は、
材料供給装置の主要ポンプから前記遠隔計量システムの第1のアプリケータに材料をポンプ圧送することと、
前記主要ポンプと連通する、前記材料供給装置の主要流れセンサから第1のフィードバック信号と、前記第1のアプリケータと連通し、前記第1のアプリケータと一体の第1の流れセンサから第2のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第1及び第2のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第1のアプリケータを通る材料の流れの特性を示す、ことと、
前記第1及び第2のフィードバック信号を比較することと、
前記遠隔計量システムの前記第1の流れセンサの補正係数を決定することと、
前記第1のアプリケータへの材料の流れを停止することと、
前記主要ポンプから前記遠隔計量システムの第2のアプリケータに前記材料をポンプ圧送することと、
前記主要流れセンサから第3のフィードバック信号と、前記第2のアプリケータと連通し、前記第2のアプリケータと一体の、前記遠隔計量システムの第2の流れセンサから第4のフィードバック信号と、を受信することであって、前記第3及び第4のフィードバック信号は、それぞれ、前記主要ポンプ及び前記第2のアプリケータを通る前記材料の流れの特性を示す、ことと、
前記第3及び第4のフィードバック信号を比較することと、
前記第2の流れセンサの補正係数を決定することと、
前記材料の流れの第1の部分を前記第1のアプリケータに、及び前記材料の流れの第2の部分を前記第2のアプリケータにポンプ圧送することと、
前記第1の流れセンサから第5のフィードバック信号と、前記第2の流れセンサから第6のフィードバック信号と、を受信することと、
前記第5及び第6のフィードバック信号を、それぞれ、前記材料の流れの前記第1及び第2の部分の意図された特性と比較することと、
前記第5のフィードバック信号が、前記第1の部分の前記意図された特性に一致しない特性を示すときに、前記第1のアプリケータと流体連通する、前記遠隔計量システムの第1の遠隔計量スタンドポンプの動作を調整することと、
を含む、方法。
(イ) 補正案の検討
審判合議体は、上記補正案を検討したが、以下のa及びbを踏まえると、上記補正案は前記(3)ウの結論を左右するものではないと判断した。
a 上記補正案において、「アプリケータ」と「流れセンサ」の関係を「一体」のものであると補正しても、その点は相対的な位置関係を規定したにすぎず、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎない。
(引用文献6の【0017】の「計量装置12は、塗布ヘッド(図示せず)等の、流体塗布装置10の隣接する構成部材に固定及び/又は流体接続してもよいし、その構成部材と一体に形成してもよい。」との記載も参照。)
b 上記補正案において、「前記第5のフィードバック信号が、前記第1の部分の前記意図された特性に一致しない特性を示すときに、前記第1のアプリケータと流体連通する、前記遠隔計量システムの第1の遠隔計量スタンドポンプの動作を調整すること」という構成を追加することについては、引用発明の「制御部3」は、「ストライプ状の溝の各ポイントにおける有機EL材料の塗布量が均一となり、液柱状態で有機EL材料が吐出されるように、ノズル52a~52nの移動速度に応じてその塗布量を制御しており、支管流量計547a~547nからの流量情報Ifa~Ifnをそれぞれフィードバックして制御するもの」であるところ(【0046】)、「ノズル52a~52n」の塗布量を制御するためのポンプをさらに設けて、「支管流量計547a~547nからの流量情報Ifa~Ifn」を上記ポンプにそれぞれフィードバックして、ポンプの動作を調整するように構成する程度の設計変更は、当業者にとって格別困難なことではない。
(引用文献6の【0018】の「計量装置12は、1つ又は複数の計量ポンプ22を備える。計量ポンプ22は、精密計量ポンプとすることができる。各計量ポンプ22は、各計量ポンプ22を通る流体Fの流量を制御する、すなわち流体Fを計量するように構成される。」との記載も参照。)
(5) 小括
以上検討のとおり、本件補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。
したがって、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明の認定
本件補正は、前記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1~18に係る発明は、令和5年11月8日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~18に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は前記第2の1(1)に摘記した事項により特定されるとおりである。
2 拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明について、進歩性の欠如の理由の要旨は、次のとおりである。
理由2 (進歩性の欠如)
本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1:特開2009-45574号公報
3 引用文献に記載された事項及び技術常識
引用文献1には、前記第2の3(2)ア(イ)において認定したとおりの引用発明が記載されていると認められる。
技術常識1は、前記第2の3(2)イ(ウ)において認定したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明について、前記第2の2(1)ア及びイの限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の特定事項を全て含み、当該構成の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3において検討したとおり、引用発明及び技術常識1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおりであるから、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-004855