特許拒絶査定不服審判
2024-002602
圧縮機における冷媒としての使用、圧縮機、および、冷凍サイクル装置
- 審判番号
- 2024-002602
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2022-073178外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年02月14日
- 審決日
- 2025年05月07日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
- 分類
- P18 .572-Z (F04B) / P18 .575-Z (F04B) / P18 .537-Z (F04B) / P18 .121-Z (F04B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法36条6項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2022- 73178「圧縮機における冷媒としての使用、圧縮機、および、冷凍サイクル装置」拒絶査定不服審判事件〔令和 5年11月 9日出願公開、特開2023-162674〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
この出願は、令和4年4月27日の出願であって、令和5年6月6日付けで拒絶の理由が通知され、令和5年8月7日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和5年11月9日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和6年2月14日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。
第2 令和6年2月14日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年2月14日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。
「【請求項1】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物の、圧縮機(21)における冷媒としての使用であって、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項2】
前記圧縮機は、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項1に記載の圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項3】
前記圧縮機は、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項1に記載の圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項4】
前記圧縮機は、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項3に記載の圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項5】
前記圧縮機は、前記吐出管を1本のみ有し、前記吸入管接続部を1本のみ有する、
請求項4に記載の圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項6】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物の、圧縮機(21)における冷媒としての使用であって、
前記圧縮機は、
吐出管(9、9a)と、
吸入管(8)と、
吐出管接続部(81t)と吸入管接続部(87)を有するケーシング(81)と、
を有し、
前記吐出管は、前記吐出管接続部にねじ込み固定されているか、
前記吸入管は、前記吸入管接続部にねじ込み固定されているか、
のいずれかである圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項7】
前記組成物は、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)、モノフルオロエチレン(HFO-1141)、クロロトリフルオロエチレン(CFO-1113)、および、パーフルオロオレフィンからなる群より選択される1種または2種以上を含む、
請求項1から6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記組成物は、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)からなる群より選択される1種または2種以上を含む、
請求項7に記載の使用。
【請求項9】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機(21)であって、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
圧縮機。
【請求項10】
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項9に記載の圧縮機。
【請求項11】
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項9に記載の圧縮機。
【請求項12】
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項11に記載の圧縮機。
【請求項13】
前記吐出管を1本のみ有し、前記吸入管接続部を1本のみ有する、
請求項12に記載の圧縮機。
【請求項14】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機(21)であって、
吐出管(9、9a)と、
吸入管(8)と、
吐出管接続部(81t)と吸入管接続部(87)を有するケーシング(81)と、
を備え、
前記吐出管は、前記吐出管接続部にねじ込み固定されているか、
前記吸入管は、前記吸入管接続部にねじ込み固定されているか、
のいずれかである、
圧縮機。
【請求項15】
前記吐出管(9、9a)は、銅または銅合金により構成されている、
請求項9に記載の圧縮機。
【請求項16】
請求項9に記載の圧縮機(21)を有する冷媒回路(10)を備えた冷凍サイクル装置(1)。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲の記載
本件補正前の、令和5年8月7日に手続補正がされた特許請求の範囲の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物の、圧縮機(21)における冷媒としての使用であって、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項2】
前記圧縮機は、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項1に記載の圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項3】
前記圧縮機は、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項1に記載の圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項4】
前記圧縮機は、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項3に記載の圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項5】
前記圧縮機は、前記吐出管を1本のみ有し、前記吸入管接続部を1本のみ有する、
請求項4に記載の圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項6】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物の、圧縮機(21)における冷媒としての使用であって、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも耐圧強度が高い金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも耐圧強度が高い金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも耐圧強度が高い金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも耐圧強度が高い金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項7】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物の、圧縮機(21)における冷媒としての使用であって、
前記圧縮機は、
吐出管(9、9a)と、
吸入管(8)と、
吐出管接続部(81t)と吸入管接続部(87)を有するケーシング(81)と、
を有し、
前記吐出管は、前記吐出管接続部にねじ込み固定されているか、
前記吸入管は、前記吸入管接続部にねじ込み固定されているか、
のいずれかである圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項8】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物の、圧縮機(21)における冷媒としての使用であって、
前記圧縮機は、吐出管(9、9a、9b)と、前記吐出管が接続されたケーシング(81)と、を有し、
前記吐出管は、前記ケーシングから流れ出た冷媒の進行方向を最初に曲げる湾曲部(9w)を有しており、
前記湾曲部の曲率半径は、冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも大きいか、冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも大きいか、冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも大きいか、冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも大きいか、
のいずれかである圧縮機における冷媒としての使用。
【請求項9】
前記組成物は、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)、モノフルオロエチレン(HFO-1141)、クロロトリフルオロエチレン(CFO-1113)、および、パーフルオロオレフィンからなる群より選択される1種または2種以上を含む、
請求項1から8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記組成物は、トランス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(E))、シス-1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132(Z))、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)からなる群より選択される1種または2種以上を含む、
請求項9に記載の使用。
【請求項11】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機(21)であって、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
圧縮機。
【請求項12】
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも比熱が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも比熱が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項11に記載の圧縮機。
【請求項13】
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも単位長さ当たりの質量が大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも単位長さ当たりの質量が大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項11に記載の圧縮機。
【請求項14】
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも厚みの大きな吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも厚みの大きな吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
請求項13に記載の圧縮機。
【請求項15】
前記吐出管を1本のみ有し、前記吸入管接続部を1本のみ有する、
請求項14に記載の圧縮機。
【請求項16】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機(21)であって、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも耐圧強度が高い金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも耐圧強度が高い金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、
冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも耐圧強度が高い金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも耐圧強度が高い金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、
のいずれかである、
圧縮機。
【請求項17】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機(21)であって、
吐出管(9、9a)と、
吸入管(8)と、
吐出管接続部(81t)と吸入管接続部(87)を有するケーシング(81)と、
を備え、
前記吐出管は、前記吐出管接続部にねじ込み固定されているか、
前記吸入管は、前記吸入管接続部にねじ込み固定されているか、
のいずれかである、
圧縮機。
【請求項18】
エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機(21)であって、
吐出管(9、9a、9b)と、
前記吐出管が接続されたケーシング(81)と、
を備え、
前記吐出管は、前記ケーシングから流れ出た冷媒の進行方向を最初に曲げる湾曲部(9w)を有しており、
前記湾曲部の曲率半径は、冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも大きいか、冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも大きいか、冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも大きいか、冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも大きいか、
のいずれかである、
圧縮機。
【請求項19】
前記吐出管(9、9a)は、銅または銅合金により構成されている、
請求項11または18に記載の圧縮機。
【請求項20】
請求項11から18のいずれか1項に記載の圧縮機(21)を有する冷媒回路(10)を備えた冷凍サイクル装置(1)。」
2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項20に記載された発明を特定するために必要な事項である「請求項11から18のいずれか1項に記載の圧縮機(21)」について、引用する請求項が「請求項11から18のいずれか1項」と選択肢として記載されていたところ、本件補正前の請求項20に対応する本件補正後の請求項16において、その選択肢を削除し、「請求項9に記載の圧縮機(21)」とする補正を含むものであって、本件補正前の請求項20に記載された発明と本件補正後の請求項16に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから、この補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項16に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、前記1(1)の請求項16に記載したとおりのものである。
(2)特許法第36条第6項第2号(明確性)について
ア 明確性要件の判断基準
特許法第36条第6項第2号には、特許請求の範囲の記載について、特許を受けようとする発明が明確であることと規定されているところ、特許を受けようとする発明が明確であるか否かは、特許請求の範囲の記載だけではなく、明細書の記載及び図面を考慮し、また、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)の出願当時における技術常識を基礎として、特許請求の範囲の記載が、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるか否かによって判断される。
イ 本件補正発明について
(ア)本件補正発明は、「冷凍サイクル装置」という物の発明であり、該発明を特定するための事項として、「請求項9に記載の圧縮機(21)を有する冷媒回路を有する冷媒回路(10)」を備えるものであるから、「請求項9に記載の圧縮機(21)」が明確である必要がある。
そこで、「請求項9に記載の圧縮機(21)」を特定する請求項9の記載について検討すると、請求項9には、「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有する」と記載されている。
ここで、「R32が用いられる圧縮機の吐出管」といっても、該吐出管には、種々の材質、寸法等のものがあり、一意には定まらないものであるから、「R32が用いられる圧縮機の吐出管の熱容量」についても、同様に一意には定まらないものである。すると、第三者が、「請求項9に記載の圧縮機(21)」に含まれるものを把握しようとしても、種々の材質、寸法等のものがある「R32が用いられる圧縮機の吐出管」のうち、いずれの吐出管のどのような熱容量に対して、「熱容量が大きな金属で構成され」ていれば、「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有する」といえるのか明らかでなく、請求項16が引用する請求項9に記載された「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)」に含まれるものの範囲を把握することはできない。
(イ)この点に関して、この出願の明細書及び図面には、明細書の発明の詳細な説明の段落【0092】に「なお、比較対象となる「冷媒としてR32が用いられる圧縮機」としては、圧縮機の馬力が同じものとすることができる。さらに、比較対象となる「冷媒としてR32が用いられる圧縮機」としては、圧縮方式が同じものであることが好ましく、例えば、ロータリ圧縮機同士を比較してもよいし、スクロール圧縮機同士を比較してもよいし、スクリュー圧縮機同士を比較してもよい。」(下線は当審で付与した。以下、同様である。)と記載されており、該記載は、「R32が用いられる圧縮機」であっても比較対象となるものと、比較対象とならないものがあることを前提とするものである。しかしながら、馬力及び圧縮方式が同じ圧縮機であっても、該圧縮機の吐出管には、種々の材質、寸法等のものがあり、一意には定まらないから、段落【0092】の記載を考慮しても、請求項16が引用する請求項9に記載された「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)」に含まれるものの範囲を把握することはできない。
また、この出願の明細書の発明の詳細な説明の段落【0094】には「本実施形態の冷媒が用いられる場合において、例えば、1馬力のロータリ圧縮機においては厚みが0.8mmより大きい吐出管9の吐出筒状部9aが用いられ、5馬力のロータリ圧縮機においては厚みが1.0mmより大きい吐出管9の吐出筒状部9aが用いられる。」と記載され、さらに段落【0143】には「また、上記実施形態の冷媒が用いられる場合において、例えば、10馬力のスクロール圧縮機においては厚みが1.2mmより大きい吐出管9の吐出筒状部9aが用いられ、20馬力のスクロール圧縮機においては厚みが1.5mmより大きい吐出管9の吐出筒状部9aが用いられる。」と記載されているが、「請求項9に記載の圧縮機(21)」は、「1馬力のロータリ圧縮機」、「5馬力のロータリ圧縮機」、「10馬力のスクロール圧縮機」及び「20馬力のスクロール圧縮機」以外の馬力及び圧縮方式の圧縮機をも含むものであるから、これら以外の馬力及び圧縮方式の圧縮機において、吐出管9の吐出筒状部9aの厚みをどの程度とすべきか不明である。また、そもそも吐出管9の吐出筒状部9aの厚みのみで、吐出管9の熱容量が定まるわけではないから、「1馬力のロータリ圧縮機」、「5馬力のロータリ圧縮機」、「10馬力のスクロール圧縮機」及び「20馬力のスクロール圧縮機」であっても、吐出管9の熱容量をどの程度にすべきか不明である。したがって、段落【0094】及び【0143】の記載を考慮しても、請求項16が引用する請求項9に記載された「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)」に含まれるものの範囲が明らかになることはない。
(ウ)さらに、当業者のこの出願の出願当時における技術常識を考慮しても、「R32が用いられる圧縮機の吐出管」や、その「熱容量」が、一意に定まることはないから、技術常識を基礎としても、請求項16が引用する請求項9に記載された「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)」に含まれるものの範囲を把握することはできない。
(エ)以上によると、明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎としても、特許請求の範囲の請求項16が引用する請求項9に記載された「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)」に含まれるものの範囲を把握することはできないから、請求項16が引用する請求項9の「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有する」という記載は、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確である。
(オ)さらに、請求項16が引用する請求項9には、「冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有する」、「冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有する」、「冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有する」という記載もあるが、これらの記載についても、前記(ア)~(エ)に示した「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有する」という記載についての理由と同様の理由により、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確である。
(カ)加えて、請求項16が引用する請求項9には、吸入管接続部について、「冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有する」、「冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有する」、「冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有する」、「冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有する」という記載もあるが、これらの記載についても、明細書の発明の詳細な説明の段落【0093】の「本実施形態の冷媒が用いられる場合において、例えば、1馬力のロータリ圧縮機においては厚みが0.8mmより大きい吸入管接続部87が用いられ、5馬力のロータリ圧縮機においては厚みが1.3mmより大きい吸入管接続部87が用いられる。」という記載、段落【0142】の「上記実施形態の冷媒が用いられる場合において、例えば、10馬力のスクロール圧縮機においては厚みが1.2mmより大きい吸入管接続部87が用いられ、20馬力のスクロール圧縮機においては厚みを1.5mmより大きい吸入管接続部87が用いられる。」という記載を考慮しても、前記(ア)~(オ)に示した理由と同様の理由により、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確である。
(キ)審判請求人は、審判請求書の【請求の理由】、「4.本願発明が特許されるべき理由」、「(4-2)明確性について」において、「より具体的には、冷媒として『R32』が用いられる圧縮機を製造していた第三者が、『エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物』が用いられる圧縮機を製造する場合に、『R32』が用いられる圧縮機の吐出管で採用していた金属よりも熱容量が大きな金属を採用した場合には権利範囲内となり、『R32』が用いられる圧縮機の吐出管で採用していた金属よりも熱容量が小さな金属を採用した場合には権利範囲外となる。そうすると、本願請求項1-5、7-13、15、16に係る各発明は、『独占の範囲が不明になる』とはいえず、『第三者に不測の不利益を及ぼす』とはいえないものと思料する。」と主張している。
しかしながら、請求項16が引用する請求項9に記載された「冷媒としてR32が用いられる圧縮機」が、同一の者が製造している、あるいは製造していた「冷媒としてR32が用いられる圧縮機」であることは、該請求項9において特定されておらず、また明細書にも記載されていないから、請求人の前記主張は、明細書、特許請求の範囲等の記載に基づくものではない。
また、冷媒としてR32が用いられる圧縮機を製造したことのない第三者が、エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機を製造する場合、吐出管として、どのような熱容量の金属を採用すれば、「請求項9に記載の圧縮機(21)」に含まれるものとなるのか不明であり、少なくともこのような第三者の利益は不当に害されるといえる。
さらに、冷媒としてR32が用いられる圧縮機を製造している、あるいは製造していた第三者であっても、R32が用いられる圧縮機を、種々製造している、あるいは製造していた場合には、R32が用いられる圧縮機の吐出管の熱容量を一意に定めることができず、該第三者の利益も不当に害されるといえる。
したがって、審判請求人の前記主張は採用できない。
ウ まとめ
以上によると、請求項16が引用する請求項9の「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有する」という記載などは、第三者の利益が不当に害されるほどに不明確であるから、本件補正発明は明確でない。
そうすると、本件補正発明は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(3)特許法第29条第2項(進歩性)について
ア 引用文献の記載及び引用発明
(ア)引用文献1
a 引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用文献1(国際公開第2022/025202号)には、図面とともに、次の記載がある。
(a)「[0001] 組成物の装置における冷媒としての使用、装置、および、冷凍サイクル装置に関する。
[0002] 従来より、冷凍装置には、HFC冷媒より地球温暖化係数(Global Warming Potential:以下、単に、GWPという場合がある。)の低いハイドロフルオロオレフィン(HFO冷媒)が注目されており、例えば、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)もGWPの低い冷媒として特許文献1(特開2019-196312号公報)で検討されている。
[0003] このようなHFO冷媒は、GWPが低いものの、安定性が低いことから、一定条件下において不均化反応と呼ばれる自己分解反応が発生しやすいものがある。不均化反応とは、同一種類の分子2個以上が相互に反応するなどの原因により、2種類以上の異なる種類の物質に転じる化学反応である。このようなHFO冷媒の不均化反応は、伝播していく場合がある。
[0004] 本開示の目的は、冷媒の不均化反応の伝播を抑制することにある。」
(b)「[0024] 冷凍サイクル装置1では、冷媒回路10内に封入された冷媒が、圧縮され、冷却又は凝縮され、減圧され、加熱又は蒸発された後に、再び圧縮される、という冷凍サイクルが行われる。本実施形態では、冷媒回路10には、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うための冷媒が充填されている。
[0025] (2)冷媒
冷媒回路10に充填されている冷媒としては、エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、および、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む冷媒である。なお、ISO817で定義される燃焼速度については、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)の1.2cm/sは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の1.5cm/sよりも低い点で好ましい。また、ISO817で定義されるLFL(LowerFlammability Limit:燃焼下限界)については、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)の65000vol.ppm6.5%は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の62000vol.ppm6.2%よりも高い点で好ましい。なかでも、当該冷媒としては、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)、モノフルオロエチレン(HFO-1141)、および、パーハロオレフィンからなる群より選択される1種または2種以上を含むものであってよい。当該冷媒としては、特に、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)、および/または、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)を含むものであることが好ましい。」
(c)「[0029] 圧縮機21は、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器である。ここでは、圧縮機21としては、ロータリ式やスクロール式等の容積式の圧縮要素が圧縮機モータによって回転駆動される密閉式構造の圧縮機を用いることができ、本実施形態ではロータリ圧縮機を用いている。圧縮機モータは、容量を変化させるためのものであり、インバータにより運転周波数の制御が可能である。圧縮機21の吸入側には、吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続されている。圧縮機21の吐出側には、吐出管である第1冷媒配管11(当審注:「第1冷媒配管11」は、段落[0030]の記載及び図1の図示内容を踏まえると、「第4冷媒配管14」の誤記と認められる。)が接続されている。
[0030] 四路切換弁22は、図示しない弁体が移動制御されることにより流路が切り換えられる弁であり、冷媒回路10を冷房接続状態と暖房接続状態とに切り換える弁である。具体的には、四路切換弁22は、冷房接続状態では、圧縮機21の吐出側に接続された吐出管95を含む第4冷媒配管14と、室外熱交換器23に接続された第5冷媒配管15とを接続しつつ、圧縮機21の吸入側に接続された第3冷媒配管13とレシーバ41と第2冷媒配管12と、ガス側閉鎖弁28に接続された第1冷媒配管11とを接続する状態に切り換えられる。また、四路切換弁22は、暖房接続状態では、圧縮機21の吐出側に接続された第4冷媒配管14と、ガス側閉鎖弁28に接続された第1冷媒配管11とを接続しつつ、圧縮機21の吸入側に接続された第3冷媒配管13とレシーバ41と第2冷媒配管12と、室外熱交換器23に接続された第5冷媒配管15とを接続する状態に切り換えられる。」
(d)「[0055] (7)圧縮機21の詳細構成
本実施形態の圧縮機21は、図3に示すように、1シリンダ型のロータリ圧縮機であって、ケーシング81と、ケーシング81内に配置される駆動機構82および圧縮機構88とを備えた、ロータリ圧縮機である。この圧縮機21は、ケーシング81内において、圧縮機構88が、駆動機構82の下側に配置される。
[0056] (7-1)駆動機構
駆動機構82は、ケーシング81の内部空間の上部に収容されており、圧縮機構88を駆動する。駆動機構82は、駆動源となるモータ83と、モータ83に取り付けられる駆動軸であるクランクシャフト84とを有する。
[0057] モータ83は、クランクシャフト84を回転駆動させるためのモータであり、主として、ロータ85と、ステータ86とを有している。ロータ85は、その内部空間にクランクシャフト84が挿嵌されており、クランクシャフト84と共に回転する。ロータ85は、積層された電磁鋼板と、ロータ本体に埋設された磁石とから成る。ステータ86は、ロータ85の径方向外側に所定の空間を介して配置される。ステータ86は、周方向に所定の間隔を開けて複数に分かれて配置される。ステータ86は、積層された電磁鋼板と、ティース86bを有するステータ本体86cに巻かれたコイル86aとから成り、それが周方向に複数設けられている。モータ83は、コイル86aに電流を流すことによってステータ86に発生する電磁力により、ロータ85をクランクシャフト84と共に回転させる。コイル86aの上端部の上側には、コイル86aの上端部を上から覆うようにリング状に形成された第2吸熱部材52が設けられている。コイル86aの下端部の下側には、コイル86aの下端部を下から覆うようにリング状に形成された第3吸熱部材53が設けられている。なお、コイル86aの上端部と第2吸熱部材52との最短距離、および、コイル86aの下端部と第2吸熱部材52との最短距離は、特に限定されないが、例えば、5cm以下であってよく、3cm以下であることが好ましい。第2吸熱部材52および第3吸熱部材53は、融点が1000℃以上であり、かつ、熱容量が6.5J/K以上の金属部材である。
[0058] ここで、ケーシング81の上端には、圧縮機21に対して外部から電力を供給するための端子部98が設けられている。ステータ86のコイル86aには、端子部98に対してケーシング81の内側から接続された接続部材としてのクラスタ96と、このクラスタ96から伸びる電気配線97と、を介して電力が供給される。
[0059] 端子部98は、ターミナルピンとして、ケーシング81の外側に伸びる複数の外側ピン98aと、ケーシング81の内側に伸びる複数の内側ピン98bと、を有している。クラスタ96は、略直方体形状の形状を有している。クラスタ96の外形は、樹脂により形作られている。クラスタ96のうち、端子部98側の面には、端子部98の複数の内側ピン98bが挿入される部分が設けられている。クラスタ96を端子部98の複数の内側ピン98bに連結させた状態では、クラスタ96の端子部98側の面と、ケーシング81の複数の内側ピン98bが延び出している根本部分と、の間には、隙間が生じている。この隙間には、ケーシング81の複数の内側ピン98bの周囲を含めて冷媒が存在する。そして、この隙間の周囲を覆うように、略矩形の第1吸熱部材51が設けられている。なお、内側ピン98bと第1吸熱部材51との最短距離は、特に限定されないが、例えば、5cm以下であってよく、3cm以下であることが好ましい。第1吸熱部材51は、融点が1000℃以上であり、かつ、熱容量が6.5J/K以上の金属部材である。以上の構成において、圧縮機21の駆動時には、外部からの電源供給を受けることで、端子部98の複数の外側ピン98a、複数の内側ピン98b、電気配線97、コイル86aには、電流が流れる。
・・・(中略)・・・
[0066] 上軸受部91aの内周面とクランクシャフト84の外周面は、クランクシャフト84が回転可能となるように、僅かな隙間が形成されている。この隙間には、冷凍機油が存在することで、潤滑性が確保される。そして、この隙間を上方から覆うように、リング状の第4吸熱部材54が設けられている。なお、上軸受部91aの内周面とクランクシャフト84の外周面との間の上端部分と第4吸熱部材54との最短距離は、特に限定されないが、例えば、5cm以下であってよく、3cm以下であることが好ましい。第4吸熱部材54は、融点が1000℃以上であり、かつ、熱容量が6.5J/K以上の金属部材である。
・・・(中略)・・・
[0072] 下軸受部93aの内周面とクランクシャフト84の外周面は、クランクシャフト84が回転可能となるように、僅かな隙間が形成されている。この隙間には、冷凍機油が存在することで、潤滑性が確保される。そして、この隙間を下方から覆うように、リング状の第5吸熱部材55が設けられている。なお、下軸受部93aの内周面とクランクシャフト84の外周面との間の下端部分と第5吸熱部材55との最短距離は、特に限定されないが、例えば、5cm以下であってよく、3cm以下であることが好ましい。第5吸熱部材55は、融点が1000℃以上であり、かつ、熱容量が6.5J/K以上の金属部材である。
・・・(中略)・・・
[0084] そして、本実施形態の冷凍サイクル装置1の圧縮機21では、特に、端子部98の内側ピン98bとクラスタ96との電気的接点周辺と、コイル86aの周辺と、上軸受部91aの周辺と、下軸受部93aの周辺等において、不均化反応の発生条件を満たしやすく、当該箇所周辺で不均化反応が発生するおそれがある。具体的には、端子部98の内側ピン98bとクラスタ96との電気的接点において、着火に必要なエネルギが生じやすい。また、コイル86aの周辺では、コイル86aの製造時において電線の絶縁被膜の製造不良が生じている場合や、絶縁被膜が何らかの接触により剥がれてしまっている場合において、通電により着火に必要なエネルギが生じやすい。また、上軸受部91aの周辺と下軸受部93aの周辺については、クランクシャフト84との間の摺動面において、駆動時の摩擦により着火に必要なエネルギが生じやすい。
[0085] これに対して、本実施形態の圧縮機21を備えた冷凍サイクル装置1では、融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上である第1吸熱部材51~第5吸熱部材55が設けられていることで、上述した箇所周辺で不均化反応が発生したとしても、その伝播を抑制することができる。具体的には、端子部98の内側ピン98bとクラスタ96との電気的接点の周辺で不均化反応が発生したとしても、第1吸熱部材51が吸熱することにより、冷媒の過度な温度上昇を抑制し、不均化反応の伝播が抑制される。また、コイル86aの周辺で不均化反応が発生したとしても、第2吸熱部材52、第3吸熱部材53が吸熱することにより、冷媒の過度な温度上昇を抑制し、不均化反応の伝播が抑制される。また、上軸受部91aの周辺で不均化反応が発生したとしても、第4吸熱部材54が吸熱することにより、冷媒の過度な温度上昇を抑制し、不均化反応の伝播が抑制される。さらに、下軸受部93aの周辺で不均化反応が発生したとしても、第5吸熱部材55が吸熱することにより、冷媒の過度な温度上昇を抑制し、不均化反応の伝播が抑制される。」
(e)「[0086] (9)他の実施形態
(9-1)他の実施形態A
上記実施形態では、圧縮機21の内部において不均化反応が発生しやすい箇所の周囲に第1吸熱部材51~第5吸熱部材55を配置する場合を例に挙げて説明した。
[0087] これに対して、冷凍サイクル装置1において冷媒の不均化反応が発生する可能性がある箇所としては、これらの箇所に限定されるものではなく、例えば、可動部分および/または電動部分を含む箇所の周囲に、融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上である吸熱部材を配置するようにしてもよい。このような可動部分および/または電動部分を有する要素としては、例えば、膨張弁24や四路切換弁22等が挙げられる。
[0088] また、上記実施形態では、不均化反応が発生しやすい箇所の周囲において吸熱させるために用いられる吸熱部材を別途設けた例を挙げて説明した。しかし、このように特に吸熱させるためにもちいられる吸熱部材を別途設ける場合に限定されるものではなく、例えば、不均化反応が発生しやすい箇所の周囲において圧縮機21や膨張弁24や四路切換弁22等の装置自体を構成する部材の融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上である場合には、当該部材を用いて吸熱させるようにしてもよい。このような装置自体を構成する部材としては、例えば、圧縮機21のケーシング81や、膨張弁24、四路切換弁22における弁体等が挙げられる。
[0089] また、上記実施形態の第1吸熱部材51~第5吸熱部材55は、それぞれ単一の部材である場合を例に挙げて説明したが、融点が1000℃以上である複数の吸熱部材が一体となって熱容量を6.5J/K以上確保できている場合には、当該一体化物によって不均化反応の伝播を抑制させるようにしてもよい。」
(f)「[請求項4] エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、および、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として用い、冷媒配管(11~19、5、6)とともに冷媒回路(10)を構成し、融点が1000℃以上である部分の熱容量が6.5J/K以上である吸熱部(51、52、53、54、55)を有する装置(21)。
[請求項5] 請求項4に記載の装置(21)と、前記冷媒配管(11~19、5、6)と、を含んで構成された前記冷媒回路(10)を備えた冷凍サイクル装置(1)。」
(g)図1、図3として、次の事項が図示されている。
[図1]
[図:0001424224000001.jpg]
[図3]
[図:0001424224000002.jpg]
(h)引用文献1の段落[0086]~[0089](前記(e)参照。)には、他の実施形態Aが記載され、特に段落[0088]の記載によると、圧縮機21のケーシング81の融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上である場合に、圧縮機21の該ケーシング81を用いて、不均化反応により発生した熱を吸熱させることが把握できる。
(i)引用文献1の段落[0086]~[0089](前記(e)参照。)の記載を踏まえると、他の実施形態Aの構成は、第1吸熱部材51~第5吸熱部材55以外の構成は、前記(b)~(d)に示した実施形態の構成と同様であると解される。また、前記(f)に示した[請求項4]の記載も踏まえると、他の実施形態Aの圧縮機21も、冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する機器であり、冷媒は、エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、および、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物であると把握できる。また、該圧縮機21は、前記(c)の段落[0029]、[0030]の記載によると、吐出側に吐出管95を含む第4冷媒配管14が接続され、吸入側に吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続されているといえる。
(j)同様に、引用文献1の段落[0024](前記(b)参照。)、段落[0029](前記(c)参照。)、[請求項5](前記(f)参照。)の記載を踏まえると、他の実施形態Aの圧縮機21も、冷媒回路10に含まれるものであり、該冷媒回路10は冷凍サイクル装置1に備えられるものといえる。
b 引用発明
引用文献1の前記a(a)~(j)によると、引用文献1には、他の実施形態Aに係る冷凍サイクル装置1として、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、および、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として、低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する圧縮機21であって、
吐出側に吐出管95を含む第4冷媒配管14が接続され、
吸入側に吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され、
融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上であるケーシング81を用いて、不均化反応により発生した熱を吸熱させる圧縮機21を含む冷媒回路10を備えた冷凍サイクル装置1。」
(イ)引用文献2
a 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由で引用された、この出願の出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、引用文献2(国際公開第2022/025201号)には、図面とともに、次の記載がある。
(a)「[0001] 組成物の装置における使用、装置、および、冷凍サイクル装置に関する。
[0002] 従来より、冷凍装置には、HFC冷媒より地球温暖化係数(Global Warming Potential:以下、単に、GWPという場合がある。)の低いハイドロフルオロオレフィン(HFO冷媒)が注目されている。例えば、特許文献1(特開2019-196312号公報)では、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)等がGWPの低い冷媒として検討されている。
[0003] このようなHFO冷媒は、GWPが低いものの、安定性が低い。このため、一定条件下において不均化反応と呼ばれる自己分解反応が発生しやすい場合がある。不均化反応とは、同一種類の分子2個以上が相互に反応するなどの原因により、2種類以上の異なる種類の物質に転じる化学反応である。そして、このようにして発生したHFO冷媒の不均化反応は、伝播していく場合がある。
[0004] 本開示の目的は、冷媒の不均化反応の伝播を抑制することにある。」
(b)「[0019] 本開示に係る組成物の装置における使用は、エチレン系のフルオロオレフィンおよび2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物の、融点が1000℃以上である部分の熱容量が6.5J/K以上である装置における使用である。
[0020] 組成物は、エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、および、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む。なお、ISO817で定義される燃焼速度については、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)の1.2cm/sは、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の1.5cm/sよりも低い点で好ましい。また、ISO817で定義されるLFL(LowerFlammability Limit:燃焼下限界)については、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)の65000vol.ppm6.5%は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)の62000vol.ppm6.2%よりも高い点で好ましい。なかでも、当該組成物としては、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)、1,1-ジフルオロエチレン(HFO-1132a)、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)、モノフルオロエチレン(HFO-1141)、および、パーハロオレフィンからなる群より選択される1種または2種以上を含むものであってよい。当該組成物としては、特に、1,2-ジフルオロエチレン(HFO-1132)、および/または、1,1,2-トリフルオロエチレン(HFO-1123)を含むものであることが好ましい。
・・・(中略)・・・
[0023] 以上の組成物は、装置において、冷媒として用いられるものであってよい。また、組成物は、装置において、冷凍機油とともに用いられるものであってよい。
[0024] 装置は、融点が1000℃以上である部分の熱容量が6.5J/K以上である。装置は、融点が1000℃以上である部分の熱容量が6.7J/K以上であることが好ましい。また、装置は、融点が1200℃以上である部分の熱容量が6.5J/K以上であることが好ましく、融点が1200℃以上である部分の熱容量が6.7J/K以上であることがより好ましい。また、装置は、融点が1400℃以上である部分の熱容量が6.5J/K以上であることがより好ましく、融点が1400℃以上である部分の熱容量が6.7J/K以上であることがさらに好ましい。装置が有する熱容量が6.5J/K以上の部分の融点が1000℃以上であることにより、不均化反応が発生したとしても、当該部分の融解が抑制される。また、装置が当該熱容量を有することにより、装置において不均化反応が発生したとしても、高い熱容量の箇所が吸熱することにより温度の急激な上昇が抑制されるものと考えられ、発生した不均化反応の伝播が抑制される。
[0025] 装置において、上記熱容量が6.5J/K以上である箇所は、上記組成物が用いられる際に組成物が接触する箇所であることが好ましい。装置における熱容量が6.5J/K以上である箇所は、単一の部材によって構成されていてもよいし、複数の部材の集合体として構成されていてもよい。装置における熱容量が6.5J/K以上である箇所は、例えば、金属で構成されていることが好ましい。
[0026] このような装置としては、特に限定されず、上記組成物を輸送するための輸送管であってもよいし、例えば、可動部分および/または電動部分を含む装置であってよい。可動部分および/または電動部分を含む装置としては、例えば、冷凍サイクル装置において用いられる圧縮機であってもよいし、膨張弁や開閉弁等の制御弁であってもよい。このように可動部分を有する装置では可動部分の摩擦熱に起因して不均化反応が発生しやすく、電動部分を有する装置では電動部分の電気的エネルギに起因して不均化反応が発生しやすいが、このようにして発生した不均化反応の伝播を抑制することができる。このような圧縮機や制御弁を有する冷凍サイクル装置としては、例えば、図1に示す冷凍サイクル装置1であってよい。冷凍サイクル装置1は、圧縮機21、レシーバ41、四路切換弁22、室外熱交換器23、膨張弁24、室内熱交換器31が冷媒配管で接続されて構成された冷媒回路10と、室外ファン25と、室内ファン32と、コントローラ7と、を有している。冷媒回路10内には、冷媒としての上述の組成物が冷凍機油と共に充填されている。コントローラ7は、圧縮機21と膨張弁24と室外ファン25と室内ファン32を駆動制御することで、冷媒回路10内の冷媒を循環させて冷凍サイクルを行う。」
b 引用文献2に記載された事項
引用文献2の前記a(a)、(b)によると、引用文献2には、次の事項が記載されていると認められる。
「HFC冷媒より地球温暖化係数の低いHFO冷媒を用いた際に発生するHFO冷媒の不均化反応の伝播を抑制することを課題とし、該課題を解決するために、エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、および、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として用いる、前記組成物を輸送するための輸送管や圧縮機における、融点が1000℃以上である部分の熱容量を6.5J/K以上とすること、及び熱容量が6.5J/K以上である箇所は、金属で構成されていることが好ましいこと。」
イ 対比
以下、本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、および、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物」は、本件補正発明の「エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物」に相当する。また、引用発明の「組成物を冷媒として、低圧の冷媒を高圧になるまで圧縮する」ことは、本件補正発明の「組成物を冷媒として使用する」ことに相当し、引用発明の「圧縮機21」は、本件補正発明の「圧縮機(21)」及び「(請求項9の記載における末尾の)圧縮機」に相当する。
(イ)引用発明の「吐出側に吐出管95を含む第4冷媒配管14が接続され」るという事項は、前記ア(ア)a(g)の図3の図示内容によると、第4冷媒配管14のうちの「吐出管95」が圧縮機21の吐出側に接続されることであると解され、該「吐出管95」も圧縮機21の一部とみることができる。すると、引用発明の「吐出管95」は、本件補正発明の「吐出管(9、9a)」に相当し、引用発明の「吐出側に吐出管95を含む第4冷媒配管14が接続され」るという事項と、本件補正発明の「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか」という事項とは、圧縮機が吐出管を有する点において共通する。
(ウ)引用発明の「吸入側に吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」るという事項は、前記ア(ア)a(g)の図3の図示内容によると、第3冷媒配管13のうちの「吸入管99」が圧縮機21のケーシング81から側方に突出した部分に接続されることであると解され、該ケーシング81から側方に突出した部分もケーシング81の一部とみることができる。すると、引用発明の「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分は、本件補正発明の「ケーシング(81)」に含まれる「吸入管接続部(87)」に相当し、引用発明の「吸入側に吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」るという事項と、本件補正発明の「冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか」という事項とは、圧縮機が吸入管接続部を含むケーシングを有する点において共通する。
(エ)引用発明の「冷媒回路10」及び「冷凍サイクル装置1」は、それぞれ本件補正発明の「冷媒回路(10)」及び「冷凍サイクル装置(1)」に相当し、引用発明の「圧縮機21を含む冷媒回路10を備えた冷凍サイクル装置1」は、本件補正発明の「圧縮機(21)を有する冷媒回路(10)を備えた冷凍サイクル装置(1)」に相当する。
(オ)そうすると、本件補正発明と引用発明とは、以下の<一致点1>で一致し、<相違点1>で相違し、又は、以下の<一致点2>で一致し、<相違点2>で相違する。
<一致点1>
「エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機であって、
吐出管を有する圧縮機を有する冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置。」
<一致点2>
「エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として使用する圧縮機であって、
吸入管接続部を含むケーシングを有する圧縮機を有する冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置。」
<相違点1>
本件補正発明は、「冷媒としてR32が用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、冷媒としてR134aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか、冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成された吐出管(9、9a)を有するか」「のいずれか」であるのに対し、引用発明は、「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上であるケーシング81を用いて、不均化反応により発生した熱を吸熱させる」ものの、吐出管95が、冷媒としてR32、R410A、R134a又はR404Aが用いられる圧縮機の吐出管よりも熱容量が大きな金属で構成されているか明らかでない点。
<相違点2>
本件補正発明は、「冷媒としてR32が用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、冷媒としてR134aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか、冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成された吸入管接続部(87)を含むケーシング(81)を有するか」「のいずれか」であるのに対し、引用発明は、「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上であるケーシング81を用いて、不均化反応により発生した熱を吸熱させる」ものの、吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続される部分が、冷媒としてR32、R410A、R134a又はR404Aが用いられる圧縮機のケーシングにおける吸入管接続部よりも熱容量が大きな金属で構成されているか明らかでない点。
ウ 判断
(ア)相違点について
以下、<相違点1>、<相違点2>について検討する。
a <相違点1>について
(a)引用発明は、引用文献1の段落[0001]~[0004](前記ア(ア)a(a)参照。)の記載によると、HFC冷媒より地球温暖化係数の低いHFO冷媒を用いた際に発生するHFO冷媒の不均化反応の伝播を抑制することを課題とするものであり、引用発明の「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上であるケーシング81を用いて、不均化反応により発生した熱を吸熱させる」ことは、不均化反応に係る前記課題を解決するための事項であると解される。このことは、不均化反応に係る前記課題を有さないHFC冷媒を用いた圧縮機においては、ケーシングの熱容量が「6.5J/K」よりも小さかったことを示唆するものであり、HFC冷媒を用いた圧縮機においては、ケーシングの熱容量が「6.5J/K」よりも小さいため、HFO冷媒を用いると、不均化反応の伝播が生じるところ、引用発明においては、ケーシング81の熱容量を「6.5J/K以上」にすることにより、不均化反応の伝播を抑制したものと、引用文献1に接した当業者であれば、理解することができる。したがって、引用発明のケーシング81の熱容量である「6.5J/K以上」という値は、不均化反応に係る前記課題を有さないHFC冷媒を用いた圧縮機のケーシングの熱容量よりも大きな値に設定されたものであり、これにより不均化反応により発生した熱を吸熱し、前記課題を解決していると考えることができる。ここで、HFC冷媒として、R32、R410A、R134a又はR404Aが一般的に知られていることを踏まえると、引用発明のケーシング81の熱容量である「6.5J/K以上」という値は、R32、R410A、R134a又はR404Aを用いた圧縮機のケーシングの熱容量よりも大きな値であると把握できる。
(b)次に、引用発明の第4冷媒配管14に含まれる「吐出管95」の熱容量について検討すると、該「吐出管95」は、「ケーシング81」とは機能が異なる部材であるから、必ずしも「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上である」とはいえないとしても、引用発明の「吐出管95」は、引用文献1の図3(前記ア(ア)a(g)参照。)の図示内容を踏まえると、引用文献1の記載(特に段落[0085](前記ア(ア)a(d))、[0088](前記ア(ア)a(e))参照。)において、不均化反応が発生しやすい箇所とされている、第1吸熱部材51及び第2吸熱部材52がそれぞれ設けられる「端子部98の内側ピン98bとクラスタ96との電気的接点の周辺」及び「コイル86aの周辺」に設けられているといえるから、該「吐出管95」を「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上」とすることの示唆はある。
さらに、引用文献2には、前記ア(イ)bに示したように、引用発明と同様のHFO冷媒の不均化反応の伝播を抑制するという課題を解決するために、組成物(HFO冷媒)を輸送するための輸送管や組成物(HFO冷媒)を冷媒として用いる圧縮機における、融点が1000℃以上である部分の熱容量を6.5J/K以上とすることが記載されており、圧縮機のみならず、輸送管においても、不均化反応の伝搬が生じることが示唆されている。
ここで、引用文献2に記載された、輸送管や圧縮機の熱容量である「6.5J/K以上」という値は、前記(a)に示した理由と同様の理由により、R32、R410A、R134a又はR404Aのための輸送管や圧縮機の熱容量よりも大きな値であると把握できる。
(c)すると、引用発明において、前記引用文献1の記載における示唆及び前記引用文献2に記載された事項に基づいて、輸送管及び圧縮機における不均化反応の伝搬を抑制するべく、「ケーシング81」のみならず、第4冷媒配管14や、これに含まれる「吐出管95」についても「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上」とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。その際、「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上」とするこれらの部材は金属であることが一般的であるし、仮にそうでないとしても金属で構成することは、引用文献2に記載された事項(前記ア(イ)b参照。)を踏まえると、格別、困難なことではない。また、前記(a)、(b)に示した引用発明のケーシング81の熱容量、引用文献2に記載された輸送管及び圧縮機の熱容量が、R32、R410A、R134a又はR404Aを用いた各部材の熱容量よりも大きい理由と同様の理由により、「6.5J/K以上」とする「吐出管95」の熱容量も、R32、R410A、R134a又はR404Aを用いた圧縮機の吐出管の熱容量よりも大きなものになるといえる。
(d)以上によると、引用発明において、引用文献2に記載された事項を適用し、本件補正発明の前記相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
b <相違点2>について
(a)引用発明の圧縮機21における「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分の熱容量について検討すると、該「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分は、前記ア(ア)a(g)の図3の図示内容によると、第3冷媒配管13のうちの「吸入管99」が接続される圧縮機21のケーシング81から側方に突出した部分であると解され、該ケーシング81から側方に突出した部分も「ケーシング81」の一部とみることができる。すると、「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分(ケーシング81から側方に突出した部分)は、「ケーシング81」と同様に「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上である」といえる。また、「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上」とする部材は金属であることが一般的であるし、仮にそうでないとしても金属で構成することは、引用文献2に記載された事項(前記ア(イ)b参照。)を踏まえると、格別、困難なことではない。そして、前記a(a)に示したように、引用発明のケーシング81の熱容量が、R32、R410A、R134a又はR404Aを用いた圧縮機のケーシングの熱容量よりも大きいことを踏まえると、「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分の熱容量も、R32、R410A、R134a又はR404Aを用いた圧縮機のケーシングにおける吸入管が接続される部分の熱容量よりも大きいといえる。
(b)仮に、引用発明の圧縮機21における「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分(ケーシング81から側方に突出した部分)の熱容量が、「ケーシング81」と同様といえないとしても、引用発明の「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分は、引用文献1の図3(前記ア(ア)a(g)参照。)の図示内容を踏まえると、引用文献1の記載(特に段落[0085](前記ア(ア)a(d))、[0088](前記ア(ア)a(e))参照。)において、不均化反応が発生しやすい箇所とされている、第3吸熱部材53、第4吸熱部材54及び第5吸熱部材55がそれぞれ設けられる「コイル86aの周辺」、「上軸受部91aの周辺」及び「下軸受部93aの周辺」に設けられているといえるから、該「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分を「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上」とすることの示唆はある。
さらに、引用文献2には、前記ア(イ)bに示したように、引用発明と同様のHFO冷媒の不均化反応の伝播を抑制するという課題を解決するために、組成物(HFO冷媒)を輸送するための輸送管や組成物(HFO冷媒)を冷媒として用いる圧縮機における、融点が1000℃以上である部分の熱容量を6.5J/K以上とすることが記載されている。該記載によれば、圧縮機のみならず、輸送管においても、不均化反応の伝搬が生じることが示唆されており、当業者であれば、輸送管と圧縮機の間の両者が接続される部分にも、同様に不均化反応の伝搬が生じ得るものと把握できる。
すると、引用発明において、前記引用文献1の記載における示唆及び前記引用文献2に記載された事項に基づいて、輸送管、圧縮機、及び輸送管と圧縮機とが接続される部分における不均化反応の伝搬を抑制するべく、「ケーシング81」のみならず、「吸入管99を含む第3冷媒配管13」、及び「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分(ケーシング81から側方に突出した部分)についても「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上」とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。その際、「融点が1000℃以上であり熱容量が6.5J/K以上」とするこれらの部材は金属であることが一般的であるし、仮にそうでないとしても金属で構成することは、引用文献2に記載された事項(前記ア(イ)b参照。)を踏まえると、格別、困難なことではない。また、前記a(a)、(b)に示した引用発明のケーシング81の熱容量、引用文献2に記載された輸送管及び圧縮機の熱容量が、R32、R410A、R134a又はR404Aを用いた各部材の熱容量よりも大きい理由と同様の理由により、「6.5J/K以上」とする「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分(ケーシング81から側方に突出した部分)の熱容量も、R32、R410A、R134a又はR404Aを用いた圧縮機のケーシングにおける吸入管が接続される部分の熱容量よりも大きなものになるといえる。
(c)以上によると、前記(a)又は(b)に示したように、引用発明において、引用文献2に記載された事項を適用し、本件補正発明の前記相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(イ)本件補正発明の作用効果について
本件補正発明の「仮に不均化反応が発生したとしても、反応に伴う高温高圧の状態に対する耐性を高めることができる。」(段落【0028】)という作用効果は、引用発明及び引用文献2に記載された事項から当業者が予測できる範囲のものである。
(ウ)審判請求人の主張について
a 審判請求人は、審判請求書の【請求の理由】、「4.本願発明が特許されるべき理由」、「(4-3)進歩性について」、「(4-3-5)他の従属請求項について」において、従属請求項については独立項と同様に進歩性を備える旨を主張し、該独立項に関する具体的な主張は、同「(4-3-1)請求項1について」でされている。そして、該「(4-3-1)請求項1について」において、「引用文献1は、圧縮機のケーシング全体で吸熱することにより不均化反応の伝搬を抑制するものであることから、引用文献1に開示の技術的思想は、不均化反応が生じうる場所の近くに吸熱量の大きなものを設けることにあるのであって(段落0004、0084等)、冷媒が圧縮される場所や部材同士の摩擦が生じる場所とは異なる、比較的温度の低い場所である『吸入管接続部』について、特段、熱容量を大きくすることについては、むしろ示唆していないものと思量する。」と主張している。
しかしながら、引用文献1の段落[0088](前記ア(1)a(e)参照。)には、不均化反応が発生しやすい箇所の周囲に吸熱部材を別途設ける場合に限定されるものではなく、圧縮機21の装置自体を構成するケーシング81等を用いて吸熱させることが記載されており、ケーシング81と一体と解される「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分についても、熱容量を大きくことが示唆されているといえる。
また、前記(ア)b(b)に示したように、引用発明の「吸入管99を含む第3冷媒配管13が接続され」る部分は、引用文献1の図3(前記ア(ア)a(g)参照。)の図示内容を踏まえると、引用文献1の記載(特に段落[0085](前記ア(ア)a(d))、[0088](前記ア(ア)a(e))参照。)において、不均化反応が発生しやすい箇所とされている、「コイル86aの周辺」、「上軸受部91aの周辺」及び「下軸受部93aの周辺」に設けられているといえるから、熱容量を大きくすることの示唆はあるといえる。
したがって、審判請求人の前記主張は採用できない。
b 審判請求人は、審判請求書の同じく「(4-3-1)請求項1について」において、「引用文献2では、組成物を単に輸送する輸送管において熱容量が大きな金属を採用することが開示されているに過ぎず、高温高圧の冷媒を輸送する配管において熱容量が大きな金属を採用することについては、開示も示唆もない。」と主張している。
しかしながら、引用文献2には、段落[0003]、[0004]、[0020]、[0026]等の記載(前記ア(イ)a(a)、(b)参照。)によると、HFO冷媒を輸送する輸送管における、融点が1000℃以上である部分の熱容量を6.5J/K以上とすることが示されており、該輸送管は、不均化反応が発生し得るHFO冷媒を輸送するものであるから、高温高圧の冷媒を輸送する配管といえる。そして、引用文献2の段落[0025](前記ア(イ)a(b)参照。)には、熱容量が6.5J/K以上である箇所を金属で構成することも示されているから、引用文献2には、高温高圧の冷媒(HFO冷媒)を輸送する配管において熱容量が大きな金属を採用することが示唆されている。
したがって、審判請求人の前記主張は採用できない。
c 審判請求人は、審判請求書の同じく「(4-3-1)請求項1について」において、「本願請求項1に係る発明では、『エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、及び1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物』という特定の冷媒種類との関係において、吐出管、吸入管接続部の熱容量を大きくするものに限定されているが、このように特定の冷媒種類との関係において熱容量の大きな吐出管、吸入管接続部を採用することは、引用文献1、2には開示も示唆もない。」と主張している。
しかしながら、引用文献1及び引用文献2には、エチレン系のフルオロオレフィン、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、および、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)からなる群より選択される1種または2種以上を含む組成物を冷媒として用いた圧縮機21のケーシング81(引用文献1)、あるいは輸送管や圧縮機(引用文献2)において、熱容量を6.5J/K以上とすることが示されており、前記特定の冷媒種類との関係において熱容量の大きな吐出管、吸入管接続部を採用することの示唆はあるといえる。
したがって、審判請求人の前記主張は採用できない。
エ まとめ
そうすると、本件補正発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和6年2月14日にされた手続補正は、前記のとおり却下されたので、この出願の各請求項に係る発明は、令和5年8月7日に手続補正がされた特許請求の範囲の請求項1~20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項20に係る発明(以下「本願発明」という。)は、明細書及び図面の記載からみて、前記第2[理由]1(2)の請求項20に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての●理由1(特許法第36条第6項第2号(明確性))及び●理由3(特許法第29条第2項(進歩性))の概略は、次のとおりである。
●理由1(特許法第36条第6項第2号(明確性))
この出願は、特許請求の範囲の記載が、次の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。すなわち、本件補正前の請求項1~4、11~14の「冷媒としてR32が用いられる圧縮機」、「冷媒としてR410Aが用いられる圧縮機」、「冷媒としてR134aが用いられる圧縮機」、「冷媒としてR404Aが用いられる圧縮機」の記載は、発明の詳細な説明及び図面の記載を考慮しても、どのような圧縮機を意味するのかが明確ではなく、それらの吐出管や吸入管接続部の熱容量、比熱、単位長さ当たりの質量、厚みがどのような大きさで有るのかも明確ではない。よって、本願発明は、明確でない。
●理由3(特許法第29条第2項(進歩性))
本願発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の引用文献1~5に記載された発明に基いて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献1:国際公開第2022/025202号(本審決における「引用文献1」。)
引用文献2:国際公開第2022/025201号(本審決における「引用文献2」。)
引用文献3:特開2020-73640号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4:特開2018-25372号公報
引用文献5:国際公開第2016/038659号
3 引用文献の記載及び引用発明
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載及び引用発明、並びに引用文献2の記載及び引用文献2に記載された事項は、前記第2[理由]2(3)アに記載したとおりである。
4 判断
本願発明は、発明を特定するために必要な事項として、「請求項11から18のいずれか1項に記載の圧縮機(21)」を備えているが、そのうち「請求項11に記載の圧縮機(21)」を備えたものの発明特定事項は、本件補正発明の発明特定事項と同じである。
そうすると、本願発明に含まれるもの(「請求項11に記載の圧縮機(21)」を備えたもの)と、同じ発明特定事項を備えた本件補正発明が、前記第2[理由]2(2)に記載したとおり、明確でなく、また、前記第2[理由]2(3)に記載したとおり、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、明確でなく、また、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は明確でないから、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、また、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、この出願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-002602