特許拒絶査定不服審判
2024-000712
埋込式体重計
- 審判番号
- 2024-000712
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-141233
- 請求日
- 2024年01月16日
- 審決日
- 2025年03月05日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社タニタ
- 【請求人代理人】弁理士法人後藤特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 中塚 直樹
- 審判官 小島 寛史
- 審判官 谷垣 圭二
- 分類
- P18 .575-Z (G01G) / P18 .121-Z (G01G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-141233「埋込式体重計」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年 2月22日出願公開、特開2021- 25788〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和元年7月31日の出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和5年 5月19日付け:拒絶理由通知書
同年 9月27日 :意見書、手続補正書の提出
同年10月11日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月17日 :原査定の謄本の送達)
令和6年 1月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
同年 2月26日付け:前置報告書
同年 9月27日 :上申書の提出
第2 令和6年1月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年1月16日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年1月16日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正をするものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和5年9月27日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項1の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項1】
床面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計であって、
前記埋込式体重計の上面に形成される開口部と、
前記開口部と連通する空間と、
前記開口部を覆う蓋部と、を備える
埋込式体重計。」
(2) 本件補正後
「 【請求項1】
床面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計であって、
前記埋込式体重計の上面に形成される開口部と、
前記開口部と連通する空間と、
前記開口部を覆う蓋部と、を備え、
前記埋込式体重計の下面を前記凹部の底面が支持する、
埋込式体重計。」
2 補正の目的
本件補正のうち請求項1についてする補正は、本件補正前の請求項1に記載された「埋込式体重計」が当然に備えていた「下面」について、「前記凹部の底面が支持する」ものに限定するものである。
そして、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成X(X1)と構成A及び構成Bに分説する。また、参考図として、本願の【図1】及び【図3b】に部材名を記入したものを掲載する。
<本件補正発明の分説>
X1 床面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計であって、
A 前記埋込式体重計の上面に形成される開口部と、前記開口部と連通する空間と、前記開口部を覆う蓋部と、を備え、
B 前記埋込式体重計の下面を前記凹部の底面が支持する、
X 埋込式体重計。
<参考図>
【図1】
[図:0001422089000001.jpg]
【図3B】
[図:0001422089000002.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、埋込式体重計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、床面に形成された凹部に略隙間なく埋込まれた床埋込体重計が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-76189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の床埋込体重計は、床面に形成された凹部に隙間なく埋込まれ、かつ床面と体重計面に段差が生じないように設置されているため、床面の掃除及び歩行の妨げとならない。しかしながら、体重計が歩行等の妨げとならない一方で、上記凹部と体重計との間に隙間が無いために、体重計を床面から取り出すことが困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、床面から容易に取外すことができる埋込式体重計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、床面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計であって、埋込式体重計の上面に形成される開口部と、開口部と連通する空間と、開口部を覆う蓋部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この態様によれば、体重計の上面に開口部が設けられているので、この開口部を利用して埋込式体重計を床面から容易に取外すことができる。」
(2) 引用文献2の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2011-24732号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記イの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 段落【0001】~【0012】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の体組成をインピーダンス法により測定する体組成測定装置に関するものである。
【背景技術】
…(中略)…
【0005】
体組成を測定する多くの装置は体重計と一体化されており、利用者が載る搭乗台と、利用者が両手で把持する把持体とを備える構成が採用されている。搭乗台には、体重を測定するための荷重センサとしてのロードセルが搭載されるとともに、左右の足裏に2個ずつ接触する4個の電極が設けられる。また、把持体には、左右の手で2個ずつ掴む4個の電極が設けられる。つまり、合計8個の電極を用い、左右の脚と左右の腕とを通る複数の経路でのインピーダンスを測定することによって、体組成としての諸量を算出可能にしている。
【0006】
ところで、上述の構成の体組成測定装置において体組成を測定しようとすれば、利用者は、体組成測定装置の電源を投入してから搭乗台に載り、さらに、規定の姿勢で把持体を持つことが必要である。しかも、種々の経路でのインピーダンスを測定する間は、その姿勢を保つ必要がある。
【0007】
従来の体組成測定装置において、体組成を測定するには上述のような意識的な行動が必要であるから、利用者は積極的に体組成を測定する動機付けがなされないと、体組成の測定を行わないことになる。
…(中略)…
【0009】
この種の課題を解決する提案として、特許文献1には、バスルームに隣接するドレッシングルームに設けた洗面台の前方の床に、搭乗台に相当する測定装置を床面と段差なく埋め込み、洗面台の鏡にタッチパネルと指紋センサのような個人認証装置とを設けた構成が記載されている。さらに、洗面台の前方に人が存在することを検知して生体測定装置を起動するための人感センサを設けている。
…(中略)…
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008-279181号公報」
(イ) 段落【0013】~【0016】
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献1に記載の構成では、上述した利便性を有する反面、人体のインピーダンスを測定するための電極数が少なく、体組成の測定精度が低いという問題を有している。すなわち、特許文献1に記載の構成では、体組成を算出するためのインピーダンスの測定を床に埋め込んだ測定装置のみで行っているから、電極の個数は、左右の足裏に2個ずつ接触する4個のみになる。
【0014】
この構成では、左右の脚部の間でのみインピーダンスを測定しているから、体幹部に電流を流すことができず、体幹部の体内深部脂肪量を測定することができないという問題がある。
【0015】
一方、4個の電極を設けた搭乗台に加えて把持体を設け、把持体にも4個の電極を設けることにより、合計で8個の電極を備えている体組成測定装置では、体幹部の体内深部脂肪量を測定することが可能であるが、上述したように、意識的に行動しなければ体組成の測定ができないという問題がある。
【0016】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、利用者が意識することなく習慣的な行動を行うだけで体組成の測定が自動的になされるとともに、体幹部についても体組成を測定することが可能である体組成測定装置を提供することにある。」
(ウ) 段落【0028】~【0030】、図1
「【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明では、建物内に設けられた開口部を開閉するドアに把手が設けられており、人が把手を持ってドアを開閉する際に人が立つ位置の床面に第1の電極群が配置され、ドアの把手において人が握る部位に第2の電極群が配置されている。第1の電極群はドアの前に人が立ったときに足裏に接触するように配置される。
【0029】
本実施形態では、図1に示すように、脱衣室に兼用された洗面所R1と浴室R2との間の開口部において、開口部の開口面に沿って走行するドア3が配置されている場合を想定する。第1の電極群1は洗面所R1の床面に露出するように配置され、第2の電極群2はドア3に設けた把手4の表面に露出するように配置される。」
「
[図:0001422089000003.jpg]
」
「【0030】
把手4は、上下方向に延長された把持部4aを有し、把持部4aの上下両端部にそれぞれL字状の取付部4bを一体に備える。各取付部4bは、それぞれドア3に固定される。したがって、利用者は、把持部4aを握ることによりドア3を開閉させることが可能になる。」
(エ) 段落【0037】~【0044】、図2
「【0037】
ところで、第1の電極群1は、高さ寸法の小さい扁平形状のハウジング10における厚み方向の一面側(以下、上面)に配置されている。ハウジング10は、洗面所R1においてドア3を開閉する際に利用者が立つ位置の床面Fに埋め込まれ、ハウジング10の上面と床面Fとに段差が形成されないようにしてある。
【0038】
ハウジング10は、図2に示すように、床面Fに対して着脱可能に嵌め込んでおくのが望ましく、この場合、床面Fに形成した貫通孔13を開閉するようにハウジング10を配置することにより、ハウジング10を床下収納庫や床下点検口の蓋として兼用することができる。すなわち、貫通孔13を床下収納庫の入出口あるいは床下点検口として形成し、この貫通孔13を開閉する蓋としてハウジング10を用いることができる。また、ハウジング10を床面Fに対して着脱可能に嵌め込んでいることにより、ハウジング10の収納場所を新たに設ける必要がないという利点がある。」
「
[図:0001422089000004.jpg]
」
「【0039】
ハウジング10を床面Fに対して着脱可能にする場合には、ハウジング10には、上面から出入可能である把手(図示せず)を設ける。この種の把手の構成は、床下収納庫や床下点検口において周知であるから説明を省略する。
【0040】
ハウジング10の上面には、PTCヒータからなるヒータ11(図3参照)が配置されており、ハウジング10の上面が加熱可能になっている。ヒータ11の表面は吸湿性を持つように材料や形状が選択されており、足ふき用のバスマットとして使用可能になっている。
…(中略)…
【0044】
ハウジング10には、第1の電極群1とヒータ11とに加えて利用者の荷重(体重)を測定するための荷重センサ12(図3参照)が収納される。荷重センサ12にはロードセルを用いる。ハウジング10は下側ハウジング(図示せず)に上側ハウジング(図示せず)を被せた構成を有し、荷重センサ12を下側ハウジングに取り付けるとともに、上側ハウジングに作用する荷重を荷重センサ12で受けることにより、荷重センサ12からハウジング10に載っている利用者の荷重に応じた出力が得られるように構成してある。」
イ 引用発明の認定
前記アに摘記した引用文献2の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所を括弧内に示した。
<引用発明>
「体組成測定装置であって、(段落【0001】)
ハウジング10に利用者の荷重(体重)を測定するための荷重センサ12が収納され、(段落【0044】)
ハウジング10は下側ハウジングに上側ハウジングを被せた構成を有し、荷重センサ12を下側ハウジングに取り付けるとともに、上側ハウジングに作用する荷重を荷重センサ12で受けることにより、荷重センサ12からハウジング10に載っている利用者の荷重に応じた出力が得られるように構成してあり、(段落【0044】)
ハウジング10は、床面Fに対して着脱可能に嵌め込んでおくのが望ましく、床面Fに形成した貫通孔13を開閉するようにハウジング10を配置することにより、ハウジング10を床下収納庫や床下点検口の蓋として兼用することができ、(段落【0038】)
ハウジング10には、上面から出入可能である把手を設ける、(段落【0039】)
体組成測定装置。」
(3) 引用文献3~5、8、9の記載事項並びに周知技術1~3の認定
ア 引用文献3~5に記載された事項及び周知技術1及び2の認定
(ア) 引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2010-285385号公報(以下「引用文献3」という。)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下同様である。
a 段落【0001】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、床下点検口の取手取り付け部構造に関するものである。」
b 段落【0009】~【0012】、図1、4、11
「【0009】
以下、本発明の一実施の形態を、図1~図12を用いて具体的に説明する。図において、1は床材2に形成された床下点検口3を塞ぐ蓋体4に設けられる回転取手で、蓋体4に形成された開口部5に嵌り込み、周囲の鍔部6の裏面が開口部5の周りの蓋体4の上面に当接する取手取り付け体7の孔部8に嵌入して取手取り付け体7に水平軸芯9の周りで回転自在に取り付けられている。」
「【図1】
[図:0001422089000005.jpg]
」
「【図4】
[図:0001422089000006.jpg]
」
「【図11】
[図:0001422089000007.jpg]
」
「【0010】
この回転取手1は蓋体4が閉じられた状態のときは水平部1aの上面が取手取り付け体7の上面と面一状となり、水平部1aの一端の円形部1bを指で下に押すことにより回転取手1が回転して水平部1aの下側に形成されている掴み部1cが孔部8から上方に突出して立ち上がった状態となるように構成されている。そして、掴み部1cから手を離すと水平部1aの上面が取手取り付け体7の上面と面一状となるように回転取手1が元の状態に回転するように構成されている。なお、回転取手1および取手取り付け体7はともに金属製であり、取手取り付け体7の両端裏面には雌ねじ孔10,10が形成されている。
【0011】
回転取手1を備えた取手取り付け体7は上記のように蓋体4に形成された開口部5を閉じるように開口部5に嵌められる。その状態において、前記回転取手1の掴み部1cは蓋体4の裏面より下方に突出するようになる。かかる状態で蓋体4の裏面側から合成樹脂製キャップ11で回転取手1および取手取り付け体7を含み前記開口部5を覆うようにする。詳しくは、キャップ11は前記回転取手1の掴み部1cを回転可能に収納すべく下方に突出する袋状の凹部12を備え、この凹部12に繋がる上端には全周に亘って外側に張り出す張り出し部13を備え、この張り出し部13の上面に全周に亘って凹状の溝13aが形成されており、溝13aには全周に亘ってシール用のパッキング材14が溝13aから上方に僅か突出するように嵌め込まれている。なお、15は前記張り出し部13の両端位置において溝13aの形成部の内側で前記取手取り付け体7の雌ねじ孔10に対向するように形成されたねじ挿通用孔である。
【0012】
上記構成において、蓋体4に回転取手1を取り付ける際、取手取り付け体7をその周囲の鍔部6の裏面が開口部5の周りの蓋体4の上面に当接するようにセットするとともに、蓋体4の裏面側からキャップ11を張り出し部13の上端が開口部5の周りの蓋体4の裏面に当接するように当てがい、かかる状態で蓋体4の裏面側から前記ねじ挿通用孔15に差し込んだねじ16を取手取り付け体7の雌ねじ孔10に螺入させることにより蓋体4に対する回転取手1の取り付けが完了する。このように取り付けられた回転取手1の取り付け部において、回転取手1および取手取り付け体7を含み開口部5を覆うキャップ11は上端の張り出し部13の溝13aに設けられているパッキング材14が蓋体4の裏面に圧接することにより、蓋体4上方の室内と蓋体4下方の床下とを完全に遮断することになり、室内と床下との間で空気が流れることがない。」
(イ) 引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開昭56-146565号公報(以下「引用文献4」という。)には、次の記載がある。
a 1ページ右下欄1行
「本発明は床下収納庫に関するものである。」
b 2ページ左上欄6行~右上欄8行、第3図
「以下本発明の構成を図示実施例について説明すれば、第3図乃至第6図に示すように床面(1)の下方に開口面が方形の収納ボツクス(2)を埋設し、該収納ボツクス(2)の開口面周縁部に金属製の受枠(3)を装着し、上記受枠(3)に嵌合する方形の蓋枠(4)を、断面略コ字状の金属材(5)の開口面側を内方にして折曲することにより形成し、金属板をn(当審注:原文は「コ」を開口部が下を向くように回転させた記号)形に折曲してなる溝形材(6)の両端部の両側壁に該金属板を巾中央で切断して上方へ起立させると共に下部を切欠した段違部(7)を形成し、該溝型材(6)を蓋枠(4)の両側辺間に架け渡して上記段違部(7)を蓋枠(4)のコ字状開口部に嵌合固着し、上記溝型材(6)の上面に載置され、かつ周縁を蓋枠(4)のコ字状開ロ部に嵌合された蓋板(8)に上記段違部(7)の両起立片(9)と嵌合する切欠部(10)を形成し、該切欠部(10)に取手(11)を装着したものである。第3図は本発明に係る床下収納庫の全体構造を示しており、同図(a)(b)はそれぞれ上面図、断面図を示すものである。この図に示すように蓋板(8)と補強用の溝型材(6)、ならびに取手(ll)はこれらを囲む蓋枠(4)と共に蓋体(12)を構成しており、取手(11)を引つ張ればこれらは一体となって収納ボツクス(2)の受枠(3)から離脱するものである。」
「第3図
[図:0001422089000008.jpg]
[図:0001422089000009.jpg]
」
c 2右上欄8行~左下欄2行、第4、5図
「次に第4図は補強用の溝型材(6)の形状を示すものであり、同図に示すように溝型材(6)は1枚の金属板を折曲して形成したものである。したがって両起立片(9)の高さを蓋枠(4)の内法にほぼ等しくすれば、溝型材(6)の巾方向の長さは蓋枠(4)の内法のほぼ2倍になるものである。かかる溝型材(6)の上面には木ねじ挿通孔(13)が設けてあり、該挿通孔(13)を介して木ねじ(14)にて蓋板(8)が溝型材(6)上に固着されるものである。なお取手(11)は従来のように蓋板(8)の側には固定せず、溝型材(6)の両端部にビス(15)止めしてある。第5図ならびに第6図はかかる取手(11)の装着状態を示しており。図に示すように取手(11)は軸支点(16)の一端(17)を押圧すると他端(18)が隆起するようになつており、取り扱いが容易な構造となつている。」
「第4、5図
[図:0001422089000010.jpg]
」
(ウ) 引用文献5に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開2001-73544号公報(以下「引用文献5」という。)には、次の記載がある。
a 段落【0001】
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、屋外の舗装路面あるいは室内床面などに設けられる点検口構造に関するものである。」
b 段落【0006】~【0008】、図5、11、12、14
「【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1~図15において、1は屋外の例えばコンクリートからなる舗装路面2の点検口形成位置に上端が舗装路面2から突出しないように設けられたステンレス製の外枠で、平面形状正方形を呈し、この外枠1は舗装路面2を構成するコンクリートの内部において鉄筋(図示せず)に溶接にて固定されている。この外枠1は内枠3の周りを囲む立ち上がり板部4と、この立ち上がり板部4の上端に連設されて外側に水平に張り出す板部5と、この板部5の外側辺に連設されて下向きに折れ曲がる板部6と、前記立ち上がり板部4の下端に連設されて内側に水平に張り出し前記内枠3を受ける板部7と、この板部7の内側辺に連設されて下向きに折れ曲がる板部8と、この板部8の下端に連設されて外側に水平に張り出す板部9と、この板部9の外側辺に連設されて上向きに折れ曲がる板部10とを備えている。さらに、詳しくは前記板部7の幅方向中間部には蟻溝状の凹部11が形成されており、この凹部11に前記板部7上に載るゴムのシール材12の下端突出部13を圧入させてシール材12を取り付けるように構成されている。また、外枠1の4側面を形成する各立ち上がり板部4にはそれぞれの長さ方向中央部において内面側にロック用の凹部14が形成されている。
【0007】次に、前記内枠3もステンレス製であって、前記外枠1に嵌入するように平面形状正方形を呈している。この内枠3は上端に位置する片面にモルタル収納部15が形成され、下端に位置する他方の面にプラスチックタイル収納部16が形成されており、モルタル収納部15を上に向けた状態もしくはプラスチックタイル収納部16を上に向けた状態の何れかで外枠1に嵌入するように構成されている。つまり、内枠3は表面、裏面のどちらでも使用できるようにリバーシブルタイプとなっている。
【0008】前記内枠3についてさらに詳細に述べると、内枠3は前記外枠1の前記板部7上にゴムのシール材12に当接するように載る下端の板部17と、この板部17の外側辺に連設されて前記外枠1の各立ち上がり板部4に対向する立ち上がり板部18と、この立ち上がり板部18の上端に連設されて内側に水平に張り出す板部19と、この板部19の内側辺に連設されて下向きに折れ曲がる深さの浅い板部20と、前記板部17の内側辺に連設されて上向きに折れ曲がる深さの浅い板部21と、この板部21の上端に連設されて内側に水平に張り出す板部22と、各立ち上がり板部4に連設された板部22下面に当接して板部22に対して溶接にて取り付けられ前記モルタル収納部15とプラスチックタイル収納部16を仕切る板部23とからなり、この内枠3には、1組の立ち上がり板部18間に位置するようにモルタル収納部15側で前記板部23の1組の対向側辺の中間部で板部23にビス止めされるロック手段取り付け部材24と、このロック手段取り付け部材24にビス止めにて脱着自在に取り付けられる内枠3および外枠1のロック手段25と、このロック手段25の内部が空洞の長尺状本体部26の一方の面の長さ方向中央部に突出する施錠部27での操作用キー(図示せず)による操作によって本体部26の長さ方向両端部で出入するロック棒28を内枠3の外方に突出させるべく前記1組の立ち上がり板部18に形成された孔部29と、内枠3のプラスチックタイル収納部16にプラスチックタイル30を収納して使用するときにロック手段25を裏向けてロック手段取り付け部材24に取り付けたときに前記施錠部27をプラスチックタイル収納部16側に突出させるべく前記板部23およびロック手段取り付け部材24の重なり部に形成された開口部31と、他の組の立ち上がり板部18の内側中央部に取り付けられる取っ手装置32とを備えている。なお、この取っ手装置32も内枠3にモルタルを収納する場合とプラスチックタイルを収納する場合とで取り付け状態が異なり、モルタル収納部15およびプラスチックタイル収納部16に上下両端部が突出するように設けられる角筒状の取っ手装置本体部33に対し取っ手部34を抜け止め支持する金具35の向きを上下逆に取り替えることができるようになっている。」
「【図5】、【図11】、【図12】、【図14】
[図:0001422089000011.jpg]
[図:0001422089000012.jpg]
[図:0001422089000013.jpg]
」
(エ) 周知技術1の認定
前記(ア)~(ウ)に示した引用文献3~5の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術1」という。)
<周知技術1>
「床下点検口又は床下収納庫を塞ぐ蓋体に取手を設ける際に、蓋体の上面に形成される開口部と、開口部と連通する空間と、開口部を覆う蓋部を含む構成を用いること。」
(オ) 周知技術2の認定
前記(イ)、(ウ)に示した引用文献4、5の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術2」という。)
<周知技術2>
「床下点検口又は床下収納庫を塞ぐ蓋体に取手を設ける際に、二つの取手を、蓋体の上面において対向する両端部に設けること。」
イ 引用文献8、9に記載された事項及び周知技術3の認定
(ア) 引用文献8に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である特開2009-82389号公報(以下「引用文献8」という。)には、次の記載がある。
「【0022】
図1及び図2に示すように、尿温測定装置4は、トイレブース2に設置されている便器3と、便器3に取り付けられた尿温測定装置本体6と、を有している。なお、本実施形態では、尿温測定装置本体6には人体の局部を洗浄するための局部洗浄装置9が組み込まれている。そのため、リモコン装置5は後述するように、尿温測定装置本体6だけでなく便器3及び局部洗浄装置9を操作する機能も併せ持っている。
【0023】
尿温測定装置4は、被験者Pの排泄口Dから体外に排泄された排泄尿の温度である排泄尿温を測定するものであり、図1及び図2に示すように、便器3の後上部に載置された尿温測定装置本体6と、この尿温測定装置本体6に回動自在に設けられた便座7と、同じく尿温測定装置本体6に回動自在に設けられた便蓋8と、トイレの壁面に設けられたリモコン装置5と、を有している。また、便器3の前方の床には、体重計13が埋め込まれている。」
「【図1】、【図2】
[図:0001422089000014.jpg]
」
(イ) 引用文献9に記載された事項
当審において新たに引用する、本願の出願前に発行された文献である実願昭55-16604(実開昭56-119528号)のマイクロフィルム(以下「引用文献9」という。)には、次の記載がある。
「3.考案の詳細な説明
体重計の目盛りをデジタル表示にし、本体と切り離す体重計は床面に埋めこみ、目盛りを目の高さにする。
従来、体重計は購入しても体重を測定しようとする意志がなければ利用しなく、利用度が少なかった。
本案は、体重計を洗面所、更衣室等の床面に埋めこみ、目盛りをデジタル表示にして目の高さにつける。そうすれば、無意識のうちに体重測定ができるものでこれを図面について説明すれば
イ.目盛りをデジタル表示にし、本体と切り離す
ロ.目盛りを読みよい目の高さにつける
ハ.体重計を床面に埋めこみにする
本案は以上のような構造であるから、洗面の時、入浴の時等、自然に体重測定ができるものである。」
「第1、2図
[図:0001422089000015.jpg]
」
(ウ) 周知技術3の認定
前記(ア)、(イ)に示した引用文献8、9の摘記事項に例示されているように、次の技術事項は、当業者にとって周知技術であったと認められる。(以下「周知技術3」という。)
<周知技術3>
「床面に埋め込む体重計の下面を、床面に設けられた凹部の底面が支持すること。」
(4) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成X(X1)の観点(床面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計)
a 引用発明における「床下収納庫や床下点検口」は、技術常識を踏まえると、床を貫通した先に底部を備える構造、すなわち凹部構造を備えるものを含むことは明らかといえる。
そうすると、引用発明における「床下収納庫や床下点検口」は、本件補正発明の「床面に形成された凹部」に相当する。
b 引用発明の「体組成測定装置」を構成する「ハウジング10」は、「利用者の荷重(体重)を測定するための荷重センサ12が収納され」るものであって、「下側ハウジングに上側ハウジングを被せた構成を有し、荷重センサ12を下側ハウジングに取り付けるとともに、上側ハウジングに作用する荷重を荷重センサ12で受けることにより、荷重センサ12からハウジング10に載っている利用者の荷重に応じた出力が得られるように構成してあ[る]」から、引用発明の「体組成測定装置」は体重計として機能するものであるといえる。
c 引用発明の「体組成測定装置」を構成する「ハウジング10」は、「床下収納庫や床下点検口の蓋として」、「床面Fに対して着脱可能に嵌め込んでおく」ものであるから、前記a及びbも踏まえると、引用発明の「体組成測定装置」は本件補正発明の「床面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計」に相当するといえる。
d したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「床面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計」の発明である点。
(イ) 構成Aの観点
a 構成Aは、「前記埋込式体重計の上面に形成される開口部と、前記開口部と連通する空間と、前記開口部を覆う蓋部と、を備え」ることである。
b 引用発明は、本件補正発明の構成Aに相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。
本件補正発明においては、「前記埋込式体重計の上面に形成される開口部と、前記開口部と連通する空間と、前記開口部を覆う蓋部と、を備え」ているのに対して、
引用発明では、ハウジング10の上面から出入可能である把手を備えている点。
(ウ) 構成Bの観点
a 構成Bは、「前記埋込式体重計の下面を前記凹部の底面が支持する」点である。
b 引用発明において、「ハウジング10」は、「上側ハウジングに作用する荷重を」「下側ハウジングに取り付ける」「荷重センサ12で受ける」必要があることから、「下側ハウジング」が、何らかの構成によって支持されていることは明らかである。
c そして、引用発明において、「床面Fに対して着脱可能に嵌め込んで」おかれる「ハウジング10」の「下側ハウジング」が何らかの構成によって支持されていることは、本件補正発明において、「埋込式体重計の下面を前記凹部の底面が支持する」ことと、「埋込式体重計を前記凹部において支持する」点において共通する。
d 以上の検討結果を踏まえると、本件補正発明と引用発明は、構成Bの観点において次の(a)の点において一致し、後記(b)の点において一応相違する。
(a) 構成Bの観点での一致点
「前記埋込式体重計を前記凹部において支持する」点。
(b) 構成Bの観点での相違点
本件補正発明においては、支持されるのが埋込式体重計の「下面」であって、「前記凹部の底面」がこれを支持するのに対して、
引用発明においては、ハウジング10の支持の態様が明らかでない点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「床面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計であって、前記埋込式体重計を前記凹部において支持する、埋込式体重計」である点。
(イ) 相違点
a 相違点1
本件補正発明においては、「前記埋込式体重計の上面に形成される開口部と、前記開口部と連通する空間と、前記開口部を覆う蓋部と、を備え」ているのに対して、
引用発明では、ハウジング10の上面から出入可能である把手を備えている点。
b 相違点2
本件補正発明においては、支持されるのが埋込式体重計の「下面」であって、「前記凹部の底面」がこれを支持するのに対して、
引用発明においては、ハウジング10の支持の態様が明らかでない点。
(5) 判断
ア 相違点1について
床下点検口又は床下収納庫を塞ぐ蓋体に取手を設ける際に、蓋体の上面に形成される開口部と、開口部と連通する空間と、開口部を覆う蓋部を含む構成を用いることは周知技術(前記周知技術1)である。
そして、引用発明における「把手」として、前記周知技術1の構成を採用して、相違点1に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
イ 相違点2について
(ア) 相違点2に係る本件補正発明の「前記埋込式体重計の下面を前記凹部の底面が支持する」との記載について、そもそも「前記凹部の底面」は「埋込式体重計」を構成する要素ではないから、当該記載が特定する「埋込式体重計」自体の構成としては、その「下面」が、何らかの面によって支持可能なものであることを意味するにとどまると解するのが相当である。
(イ) そして、引用発明の「ハウジング10」は、「上側ハウジングに作用する荷重を」「下側ハウジングに取り付ける」「荷重センサ12で受ける」必要があることから(前記(4)ア(ウ)bを参照)、当然に「下面」を備える「下側ハウジング」が荷重を支えうるものであるところ、技術常識を踏まえれば、その下面が何らかの面によって支持可能であることは明らかである。
(ウ) したがって、引用発明は相違点2に係る本件補正発明の構成を備えるといえるから、相違点2が実質的な相違点であるとは認められない。
(エ) また、仮に相違点2が実質的な相違点であるとしても、下記a及びbを踏まえると、引用発明において、周知技術3を採用して、相違点2に係る本件補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
a 床面に埋め込む体重計の下面を、床面に設けられた凹部の底面が支持することは周知技術(前記周知技術3)である。
b 引用発明は「ハウジング10は、床面Fに対して着脱可能に嵌め込んでおくのが望ましく、床面Fに形成した貫通孔13を開閉するようにハウジング10を配置することにより、ハウジング10を床下収納庫や床下点検口の蓋として兼用することができ[る]」(下線は当合議体が付した。)ものであるから、引用発明において、「ハウジング10を床下収納庫や床下点検口の蓋として兼用する」ことが、必要不可欠な構成とまではいえないと解するのが相当であること(このことは、引用文献2にて、引用発明の前提技術が記載された文献として挙げられた特開2008-279181号公報において、体重計を床面に埋め込む際に床下収納庫や床下点検口の蓋として兼用することが何ら記載されていないことからも明らかである。)から、引用発明において、前記周知技術3を採用することに阻害要因が存在するとは認められない。
ウ 総合評価
前記ア及びイにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点1及び2に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明及び周知技術1、3に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、相違点1及び2を総合的に勘案しても、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術1、3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 請求人の主張について
(ア) 審判請求書における請求人の主張について
a 請求人の主張の内容
引用発明には、本件補正発明のように、ハウジング10の下面を凹部の底面が支持する構成は開示されていない。
そして、引用文献2に記載された貫通孔13自体は、床面Fを貫通する孔であり、貫通孔13の底面がハウジング10の下面を支持することはあり得ず、貫通孔13は床下収納庫の入出口あるいは床下点検口として形成されることから、ハウジング10の下面は収納スペースや点検スペースが存在し、それゆえ、貫通孔13を塞ぐように配置されるハウジング10については、貫通孔13の周りの床面Fがハウジング10を支持するように構成される必要があるから、引用発明について、当業者がハウジング10の下面を凹部の底面が支持する構成に想到することは考えられない。
b 請求人の主張についての検討
前記主張は、前記相違点2に係る構成についてのものであるところ、前記相違点2については、前記(5)イにおいて説示したとおり、実質的な相違点であるとは認められず、仮に実質的な相違点であるとしても、引用発明及び周知技術3に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
したがって、請求人の主張を採用することはできない。
(イ) 上申書における請求人の主張について
a 請求人の主張の内容
(a) 補正案について
請求人は、令和6年9月27日に提出された上申書において、請求項1を以下のとおり補正する用意がある旨主張している。下線は補正箇所を示す。
[請求項1]
面に形成された凹部に埋設される埋込式体重計であって、
記埋込式体重計の上面に形成される複数の開口部と、
前記開口部と連通する空間と、
前記開口部を覆う蓋部と、を備え、
前記埋込式体重計の下面が前記凹部の底面によって支持されるように構成され、
前記複数の前記開口部は、前記埋込式体重計が両側から把持されるように、前記埋込式体重計の前記上面において対向する位置に形成される
埋込式体重計。
(b) 補正案に関する主張
引用文献2の図2を参照すると、ハウジング10の開閉は、ハウジング10の上面の一辺が床面に対して回動可能に固定されている状態で、その一辺に対向する辺に該当する部分を持ってハウジング10を持ち上げることによって、当該一辺を回転軸としてハウジング10が回転するようにハウジング10が移動して貫通孔13が開放されるという形態で行われているため、引用発明は、片手だけでその片手で掴んだ一辺が容易に持ち上がるような構造をしていると理解できるから、引用文献4又は引用文献5に記載された技術を適用しようという動機付けを持ち得ない。
そのため、引用発明において、補正案の「前記複数の前記開口部は、前記埋込式体重計が両側から把持されるように、前記埋込式体重計の前記上面において対向する位置に形成される」に相当する構成を、当業者が想到することはできない。
b 請求人の主張についての検討
(a)補正案について
床下点検口又は床下収納庫を塞ぐ蓋体に取手を設ける際に、二つの取手を、蓋体の上面において対向する両端部に設けることは周知技術(前記周知技術2)であるから、引用発明において周知技術2を採用して、補正案に係る発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
(b) 補正案に関する主張について
引用文献2には、図2(下記参考図を参照)において、ハウジング10の片側が持ち上げられた状態が図示されているが、図2からは、ハウジング10の持ち上げられた側と対向する側が回動可能に固定されていることまでは読み取れない。
そして、引用発明を床下収納庫や床下点検口の蓋として兼用する場合に、必ずしも片側が回動可能に固定されている必要がないところ(必要なら、引用文献3~5を参照)、引用文献2において、図2に記載された実施形態に関し、ハウジング10の片側が回動可能に固定されていることは記載も示唆もされていない。
したがって、引用文献2において、ハウジング10の片側が回動可能に固定されている構成が記載されているとは認められないから、請求人の主張は採用できない。
(なお、そもそも、引用発明のハウジング10について、必ずしも床下収納庫や床下点検口の蓋として兼用する必要がないことは、前記(5)イ(エ)において説示したとおりである。)
<参考図>
[図:0001422089000016.jpg]
オ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1、3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項1についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(5)オのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由1(進歩性の欠如) 本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献2.特開2011-24732号公報(主たる引用文献)
引用文献3.特開2010-285835号公報(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開昭56-146565号公報(周知技術を示す文献)
3 各引用文献に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献2に記載された事項並びに引用発明及び周知技術1、3は、前記第2の3(2)ア並びに(2)イ及び(3)ア(エ)、(3)イ(ウ)において示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の2において検討したとおり、本件補正発明から「埋込式体重計」について、「前記埋込式体重計の下面を前記凹部の底面が支持する」との限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(5)において説示したとおり、引用発明及び周知技術1、3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-000712