特許拒絶査定不服審判
2024-012637
食材供給装置および食材供給方法
- 審判番号
- 2024-012637
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-089553
- 請求日
- 2024年08月02日
- 審決日
- 2025年09月10日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】鈴茂器工株式会社
- 【請求人代理人】大畑 敏朗
- 審判長/審判官
- 審判長 濱野 隆
- 審判官 谷垣 圭二
- 審判官 南川 泰裕
- 分類
- P18 .121-Z (G01G) / P18 .575-Z (G01G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020- 89553「食材供給装置および食材供給方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 3年12月 2日出願公開、特開2021-183940〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和2年5月22日の特許出願であって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和6年 2月26日付け:拒絶理由通知書
同年 4月25日 :意見書、手続補正書の提出
同年 5月 9日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(同月15日 :原査定の謄本の送達)
同年 8月 2日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 令和6年8月2日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和6年8月2日にされた手続補正を却下する。
[補正の却下の決定の理由]
1 補正の内容
令和6年8月2日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の補正を含むものであり、本件補正により、次の(1)に示す本件補正前(令和6年4月25日にされた手続補正後のものをいう。以下同じ。)の特許請求の範囲の請求項2の記載は、後記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項2の記載に補正された。下線は補正箇所を示す。
(1) 本件補正前
「 【請求項2】
食材を食材受容部に搬送供給する搬送手段と、
前記搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、
食材受容部に供給される食材の重量を計測する計量手段と、
設定重量の食材が所定の目標時間で食材受容部に供給されるように前記搬送駆動手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、
所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより速い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を遅くして食材の搬送速度を遅くし、所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を速くして食材の搬送速度を速くするように制御する、
ことを特徴とする食材供給装置。」
(2) 本件補正後
「 【請求項2】
食材を食材受容部に搬送供給する搬送手段と、
前記搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、
食材受容部に供給される食材の重量を計測する計量手段と、
設定重量の食材が所定の目標時間で食材受容部に供給されるように前記搬送駆動手段を制御する制御手段とを有し、
前記制御手段は、
前記目標時間内での所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより速い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を遅くして食材の搬送速度を遅くし、所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を速くして食材の搬送速度を速くするように制御する、
ことを特徴とする食材供給装置。」
2 補正の目的
(1) 本件補正のうち請求項2についてする補正は、本件補正前の請求項2に記載された「所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより速い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を遅くして食材の搬送速度を遅くし、所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を速くして食材の搬送速度を速くする」「制御」について、「前記目標時間内での」「制御」であることに限定するものである。
(2) そして、本件補正前の請求項2に記載された発明と本件補正後の請求項2に記載される発明は、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
(3) したがって、本件補正により請求項2についてする補正は、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当する。
3 独立特許要件の判断
本件補正は、前記2のとおり、特許法17条の2第5項2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正に該当するから、本件補正後の請求項2に記載されている事項により特定される発明(以下「本件補正発明」という。)が、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合するか、すなわち、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下検討する。
(1) 本件補正発明
ア 本件補正発明の認定と分説
本件補正発明は、前記1(2)に摘記した本件補正後の請求項2に記載された事項により特定されるとおりのものと認める。
ここで、検討の便宜上、本件補正発明の構成を次のとおり構成Xと構成Aから構成Eまでに分説する。また、参考図として、本願の【図3】に部材名を記入した図及び【図8】を掲載する。
<本件補正発明の分説>
A 食材を食材受容部に搬送供給する搬送手段と、
B 前記搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、
C 食材受容部に供給される食材の重量を計測する計量手段と、
D 設定重量の食材が所定の目標時間で食材受容部に供給されるように前記搬送駆動手段を制御する制御手段とを有し、
E 前記制御手段は、前記目標時間内での所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより速い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を遅くして食材の搬送速度を遅くし、所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を速くして食材の搬送速度を速くするように制御する、
X ことを特徴とする食材供給装置。
<参考図>
【図3】
[図:0001428785000001.jpg]
【図8】
[図:0001428785000002.jpg]
イ 課題・作用効果等に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本願明細書の発明の詳細な説明の記載のうち、発明が解決しようとする課題及び作用効果等に関連する記載を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものである。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、食材供給装置および食材供給方法に関し、特に、食材受容部に供給される食材の重量精度の向上に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当や丼物等を作る場合、米飯(食材)を弁当箱や椀等の容器(食材受容部)に供給するための食材供給装置が知られている。この食材供給装置は、ホッパ(食材貯留部)内の米飯を計量することにより、設定重量の米飯を容器に自動的に供給する装置である。
【0003】
食材供給装置においては、米飯を搬送スクリュ(搬送手段)で搬送し、ドラム型の解しローラ(解し手段)で解しながら落下させながら計量し、予め設定された重量の米飯を容器に供給して(盛り付けて)いる。
【0004】
このような食材供給装置では、設定重量に対する重量精度の良い米飯を所定の目標時間で供給することが求められる。そのための技術として、アイドルタイム(米飯の供給が停止されている時間)やホッパ内の米飯残量、米飯の炊飯条件などの要因に基づいて米飯を搬送する搬送スクリュ(搬送手段)を駆動する搬送用モータ(搬送駆動手段)のスピードやスピードの切替タイミングを制御することが考えられる。しかしながら、搬送用モータの制御パラメータは、米飯についての様々な要因によって最適値が異なり、必ずしも特定の値には定まらない。
【0005】
そこで、米飯についての要因の一つ(例えばホッパ内の米飯残量)に基づいて制御パラメータを補正することにより、当該要因による影響を抑制する技術が考えられる。
【0006】
なお、供給される米飯の重量精度の向上については、例えば、特許文献1(特開2006-081459号公報)に記載されたものが知られている。この特許文献1は、米飯の主供給部分の機構を利用して残量のつぎ足しの補填供給を行うものであり、具体的には、高低速に変速できる回転ドラムを設けておき、米飯の主供給量は回転ドラムを高速回転して計量室に送込み、残量のつぎ足し補填部分は回転ドラムを低速回転して供給することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-081459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ホッパ内の米飯残量に応じたパラメータ補正など、特定の要因に基づいて搬送用モータを制御する技術では、当該要因による影響に対しては有効であるが、他の様々な要因(この場合には、アイドルタイムや米飯の炊飯条件など)による影響に対しては必ずしも有効ではない。
【0009】
したがって、前述した技術では、米飯についての様々な要因についての搬送用モータの制御パラメータを複数組み合わせる必要があり、複雑な制御になってしまう。
【0010】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、食材を搬送する搬送手段を駆動する搬送駆動手段を簡便なパラメータで制御することで、設定重量に対して重量精度良く所定の目標時間で食材を供給することのできる食材供給装置および食材供給方法を提供することを目的とする。
…(中略)…
【0014】
請求項4に記載の本発明の食材供給装置は、食材を食材受容部に搬送供給する搬送手段と、前記搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、食材受容部に供給される食材の重量を計測する計量手段と、設定重量の食材が所定の目標時間で食材受容部に供給されるように前記搬送駆動手段を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の増加重量に応じて前記搬送駆動手段の駆動速度を制御する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の本発明の食材供給装置は、請求項4記載の発明において、前記制御手段は、前記増加重量が相対的に大きい場合には前記増加重量が相対的に小さい場合よりも前記搬送駆動手段の駆動速度を遅くするように制御する、ことを特徴とする。
…(中略)…
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、食材を実際に供給しながら、そのときに計測された食材重量の推移という簡便なパラメータで搬送駆動手段の駆動速度を制御することにより、設定重量に対して重量精度良く所定の目標時間で食材を供給することが可能になる。」
「【0060】
すなわち、図8に示すように、単位時間である0.5秒間で増加した米飯の重量が計測される。ここでは、動作開始から0.4秒後に計測が開始され、そこから0.5秒経過して0.9秒になったときの増加重量が計測される。ここでは、0.5秒間で計量値が80g増加していることが示されている。この区間を区間(1)とすると、図示するように、区間(1)においては、動作開始から3秒経たずに設定重量である200gに到達するペースであり、増加ペースが速すぎて重量過多となるおそれがある。
【0061】
そこで、動作開始から0.9秒後に速度切替の判定を行い、搬送用モータM1の回転速度を遅くして例えば1,000rpmにし、増加ペースを緩やかにする。
【0062】
そして、引き続き単位重量である0.5秒経過した(つまり、動作開始から1.4秒になった)ときの増加重量が計測される。ここでは、動作開始から1.4秒後に120gになっていることから、0.5秒間で計量値が40g増加していることが示されている。この区間を区間(2)とすると、区間(2)においては、動作開始から3秒後には設定重量である200gに到達できないペースである。
【0063】
そこで、動作開始から1.4秒後に速度切替の判定を行い、搬送用モータM1の回転速度を速くして例えば1,300rpmにし、増加ペースを早める。
【0064】
そして、最終的に搬送用モータM1の回転速度を例えば800rpmにして設定重量に到達するようにする。
【0065】
このように、所定の単位時間(ここでは、0.5秒)経過したときにおける落下中に計量器24により計測された米飯の増加重量に応じて搬送用モータM1の回転速度を制御し、増加重量が相対的に大きい場合(ここでは、80g)には増加重量が相対的に小さい場合(ここでは、40g)よりも搬送用モータM1の回転速度を遅くするように制御しても、設定重量に対して重量精度良く所定の目標時間(ここでは、3秒)で米飯を供給することが可能になる。」
(2) 引用文献1の記載事項及び引用発明の認定
ア 引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由において引用された、本願の出願前に発行された文献である特開昭52-63365号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(なお、当合議体により、後記ウの引用発明の認定に直接用いる記載に下線を付した。)。
(ア) 1ページ右下欄2行~2ページ右上欄7行
「8.発明の詳細な説明
本発明は粉粒体を貯蔵槽から迅速且つ正確に秤量しつつ排出し得る様に改善された定量排出方法及び装置に関するものである。
粉粒体を所定量ずつ計量しつつ次工程へ送給する自動計量排出機構は、粉粒体の処理或いは加工工程を簡素化し省力化し得る点で極めて有益なものである。この種の自動計量排出機構に要求される機能としては○1計量を短時間で実施できる、○2計量精度が高いこと等が挙げられる。そして更に好ましくは計量工程を標準化する為に計量時間を一定に維持し得る様な機能を具備することが要望される。ところで従来最も汎用されている計量排出機構は、貯蔵槽に貯えられた粉粒体を適宜の送給装置によって計量装置に送給し、計量装置に備えられた重量検出機構によつて所定量の粉粒体が送給されたことを検知すると共に、その信号を送給装置にフイードバツクしてこれを停止させ、粉粒体の送給を停止させる様な機構を採用している。しかるにこの様な公知方法は、計量時間の短縮と計量精度の向上を同時に満足する為には尚不充分な面も多い。たとえばこの種の機構において計量時間を短縮するには送給速度を高める必要があるが、計量速度を高める(即ち単位時間当りの送給量を増大する)と、供給停止時間のずれ等によって計量精度が低下して計量誤差が大きくなる。一方計量精度を高めるには粉粒体の送給速度を遅くすればよいのであるが、計量速度は当然送給速度に比例して低下する。即ち従来の自動計量排出機構では計量速度と計量精度は逆比例する傾向があり、両者を同時に改善することはできなかつた。この様なことから、計量装置に重量検出機構を付設すると共に送給速度を2段階以上に変速し得る様に構成しておき、重量検出機構によって計量装置内に送給された粉粒体の重量を検知しつつ送給速度を変化させることによつて、計量速度の短縮と計量誤差の向上を同時に改善させる機構も提案されている。即ち粉粒体の送給初期段階では送給速度を高くして計量時間を短縮し、また送給後期段階では送給速度を低下して計量誤差を少なくする様な機構も提案されている。しかるにこの機構は計量精度の面で依然満足し得るものではなく、更には計量時間を一定に維持せんとする立場からすればまったく考慮が払われていない。この為、計量排出工程を標準化するうえで著しい障害となつている。」
(当審注:○の中に数字が含まれる符号は「○1」などと表記を改めた。)
(イ) 2ページ右上欄8行~左下欄8行
「本発明は前述の様な事情に着目してなされたものでその目的は計量時間を短縮し計量精度を高めると共に、計量時間を可及的一定に維持して計量排出工程を標準化し得る様な自動定量排出方法及び装置を提供せんとするにある。かかる目的を達成し得た本発明に係る粉粒体の定量排出方法とは、送給速度を2段階以上に変化させながら所定量の粉粒体を計量排出する方法において、高速送給工程における実際の送給速度と予め設定された高速送給時標準速度とを比較し、次段階の低速送給工程への変換時期を制御することを要旨とするものであり、また本発明に係る定量排出装置とは、粉粒体貯蔵槽の排出部に設けた可変速送給装置と、該送給装置の後位に配置したスケールホツパーと、該ホツパー内への粉粒体の送給速度を検出する送給速度検出機構と、検出された送給速度と予め設定された高速送給時標準流速とを比較する比較機構と、該比較機構からの信号によって前記可変速送給装置の送給速度切換え時期を制御する変速時期制御機構とを具備してなることを要旨とするものである。」
(ウ) 2ページ右下欄9行~3ページ左上欄7行、第1図
「以下実施例たる図面に基づき、2段階変速の場合を例にとつて本発明の構成及び作用効果を具体的に説明するが、下記説明は代表的な実施態様を例示するものにすぎずもとより本発明を限定する性質のものではない。第1図は本発明を模式化して示す説明図であり、1は粉粒体貯蔵ホツパー、2は可変速電磁フイーダー、3はスケールホツパー、4は粉粒体、仮想線で囲まれた5部分は送給速度検出機構、6は直流を交流に変換する為の整流器を夫々示している。」
「第1図
[図:0001428785000003.jpg]
」
※当審注:図中の二つの「P2」のうちの何れか一つは、「P1」の誤記であると認める。
「7は制御機構であつて、送給速度検出機構5及び整流器6から送られてきた信号(即ち検知された送給速度)に応じて、可変速電磁フイーダー2の送給速度の変換時期を制御する。粉粒体貯蔵ホツパーlの下部にはスカート8及びゲート9が設けられると共に、更にその下方に可変速電磁フイーダ2を配置する。可変速電磁フイーダー2の後位には、送給される粉粒体を受ける如くスケールホツパー3が配置され、これは送給速度検出機構5と有機的に連結される。」
(エ) 3ページ左上欄8行~右上欄20行、第1図
「本例の送給速度検出機構5は、10を支点としてほぼ水平に配置されたレバー11と、該レバー11の一端に枢支され且つラツク歯13を設けたロツド12と、ラツク歯13と噛合して回転するピニオン14と、ピニオン14の回転を送給速度に変換して検知する速度検出器15とから構成され、前記レバー11の他端にはスケールホツパー3が配置される。尚、16は排出口で、スケールホツパー3内に正確に計量された粉粒体4を次段階に排出する際に開放される。図例からも明らかな様にレバー11は支点10を中央にして略水平に維持されているが、スクールホツパー3内に粉粒体4が送給されるとレバー11が変位してロッド12は上方に押し上げられる。そしてラツク歯13と噛合したピニオン14はロツド12の昇降に応じて回転する。ピニオン14の回転速度或いは単位時間尚如の回転角度は、速度検出器15において送給速腋に変換されて検知され、得られた信号は整流器6を経て制御機構7に送られる。制御機構7には予め設定された高速時の標準速度と実測された送給速度を比較する比較機構と、比較機構からの信号によって可変速電磁フイーダー2の送給速度変換時期を制御する機構が内蔵されている。従つて、送給速度(この時点では電気的入力に変換されている)が制御機構7に送られると、この部分で実測された送給速度と高速送給時における標準速度とを比較すると共に、その差或いは比率に応じて可変速電磁フイーダー2の送給速度変換時期を適宜に制御する。即ち2段変速の場合では第1図のP1は高速送給時における配線、P2は低速送給時における配線を示し、計量初期工程では電磁フイーダー2はP1経路によって作動され、送給速度変換後はP2経路によつて作動する。」
(オ) 3ページ右上欄20行~4ページ左上欄12行、第2図
「第2図は前述の様に構成した計量排出装置によって粉粒体の計量を行なう場合の粉粒体送給量と計量時間、送給速度変換時期を設定する具体的機構等を説明する為のグラフであり、太線は予め設定された標準速度(V0、V0’)、a点は標準速度によって高速送給された時の送給速度変換時期、Wは計量すべき粉粒体の重量、Tは望ましい計量時間を示しており、これらは計量作業開始前に設定されている。」
「 第2図
[図:0001428785000004.jpg]
」
「高速送給時の標準速度V0を示す太線の傾斜角度にみられる如く、本発明では送給初期段階での送給速度を高めて計量時間を短縮し、また粉粒体の重量がWa点に達すると送給速度を変換して送給速度を低速標準速度V0’に低下せしめ、計量精度を高めんとする基本思想に基づいて計量が行なわれる。ところで粉粒体の流れ状態は前述の如く常に一定とは限らず、計量時における諸条件によつて相当変化し、高速送給時の流速が標準速度V0より速かつたり(V1線の状態)、或いは標準流V0より遅かつたり(V2線の状態)することがある。ところで、従来から実施されている計量法は第2図仮想線で示される如く計量容器に送給された粉粒体が所定量(Wa)に達したときに、送給速度を低速に変換するものであるが、通常は計量時間短縮の為にW点とWa点は可成り接近しており、高速時の送給速度V1が速すぎると速度変換に要する時間差の影響等によつて計量精度が低下したり、計量が早すぎる時間に終って全体のラインにおける流れ状態を乱したりする傾向がある。また送給速度V2が遅くなると計量時間が遅延する。しかるに本発明では計量容器に送給された粉粒体重量を基準として送給速度変換時期を設定するのではなく、高速時における送給速度V1と標準速度V0との関係において変換時期を制御する。即ち高速送給時の速度が速い時(V1の時)は、その速さの程度によって当然に計量容器に送給される粉粒体の増加速度も変化するから、標準の速度変換時期Taよりも早い最適の時期Tbに速度変換を行ない、一方高速送給時の流速が標準流速V0より遅い時(V2の時)は同様にして標準の速度変換時期Taよりも遅い時期Tcに速度変換を行なう。これらの速度変換時期の設定は、第1図に示した様な送給速度検出機構5及び制御機構7等によって自動的且つ適切に行なわれる。尚図例では低速時標準速度V0’の延長線上に速度変換点bを置いているので、送給速度変換後における送給直線(b-a-c-z)はその後半において低速標準速度を示す直線V0’上に重なり、高精度の計量作業を標準作業時間Tに完了できる。即ち本例では高速送給時における実際の速度と標準速度とを比較検出し、その速度の差或いは比率に応じて速度変換時期を制御するものであるから、計量時間の規準化と計量精度の向上とを同時に達成することができる。」
(カ) 4ページ左上欄13行~左下欄13行、第3図
「第3図は本発明に係る他の実施例を示すグラフで、計量時間を一層正確に設定し得る様に構成した方法を説明するものである。」
「 第3図
[図:0001428785000005.jpg]
」
「即ち第2図で説明した如く送給速度を2段階に変速する方法においては、可変速電磁フイーダー2の送給駆動力が同一であるにも拘らず、送給時の諸条件の変化による粉粒体の流れ状態の変動によって送給流速が変化する。即ち高速送給時の実際の速度(V1)が標準速度(V0)より速いということは、その時の粉粒体の流れ状態が標準的な粉粒体の流れ状態よりも円滑であることを意味し、一方高速送給時の実際の速度(V2)が標準速度(V0)より遅いということは、その時の粉粒体の流れ状態が標準的な粉粒体の流れ状態よりも円滑でないことを意味する。従って高速時の送給速度がV1であるような粉粒体を標準低速送給状態に速度変換した場合、この時の実際の低速送給速度V1’は標準の低速送給速度V0’よりも若干速くなる傾向があり、また高速時の実際の送給速度がV2に示される如く遅い場合には、速度変換後の実際の低速送給速度V2’は標準の低速送給速度V0’よりも若干遅くなる傾向がある。この為計量時間を一層正確に設定するには、高速時の送給速度だけでなく速度変換後の実際の低速送給速度も考慮したうえで速度変換時期を設定することが望まれる。即ち第3図に示す如く、高速送給速度がV1の時は速反変換後の低速送給速度も標準速度よりやや早いめのV1’となることが想定できるから、速度変換時期は高速送給速度V1に基づいて設定したb点(直線V1と直線V0’の延長線との交点即ちTb)と、想定される低速送給速度V1’に基づいて算出したα時間を加味して、速度変換時期はb’(即ちTb’=Tb-α)に設定される。また高速送給速度がV2の時は速度変換後の低速送給速度も標準速度よりもやや遅いめのV0’となることが想定できるから、速度変換時期は高速送給速度V2に基づいて設定したc点(Tc)と想定される低速送給速度V2’に基づいて算出したβ時間を加味して、速度変換時期はc′点(即ちTc′=Tc+β)に設定される。この様に高速送給速度と速度変換後の低速送給速度の両者を加味して速度変換時期を設定する様にしておけば計量時間を一層正確に設定できる。」
(キ) 4ページ左下欄13行~右下欄1行
「尚第2図に示す様な方法を採用した場合は、速度変換時期をb点(Tb)やc点(Tc)等に設定すると共に、速度変換後の低速送給速度が標準の低速送給速度V0’と等しくなる様に、低速送給時の送給駆動力を適宜に増減変更すれば第3図の方法と同様の効果が得られる。この場合は低速送給時における送給駆動力を無段変速可能に構成しておくことが望まれる。」
(ク) 4ページ右下欄1行~5ページ左上欄14行
「前述の如き送給速度変換時期の設定或いは送給駆動力の設定は、第1図に示した様な送給速度検出機構5や制御機構7等を介して自動的に行なわれる。即ち第1図でも説明した如く、送給速度検出機構5では可変速電磁フイーダー2によつてスケールホツパー3内に送給された粉粒体4の重量を連続的若しくは間欠的に測定して粉粒体4の実際の送給速度を検出し、また制御機溝7では、前記速度検知機構5から送られてきた高速時の送給速度と標準時の高速送給速度とを比較すると共に、その速度差或いは速度比に応じた速度変換時期(或いは可変速電磁フィーダー2の駆動力)を自動的に算出してその信号を可変速電磁フイーダー2に伝える。即ち本発明において送給速度検出機構5及び制御機構7は、前述の様な機能を具備している限りその機構はどの様なものであってもよく、図例の他種々の機構を採用することができる。たとえば図例の送給速度検出機構5はレバー11及び支点10等を用いバランス型式を利用し、ラツク歯13及びピニオン14を介して検出する機構を採用したが、この他一般的な重量検出機構や電磁フイーダー2部分における流速検出機構等を適宜に組合せて適用してもよい。また制御機構7の機構は具体的に詳述しなかつたが、標準値と実測値との差や比率を比較検出しつつ次位の駆動源の作動時期や駆動力等を設定する一般的な自動制御機構を適宜に調整して適用することができる。更に第1図では可変速送給装置として可変速電磁フイーダー2を使用したが、該送給装置は制御機構7からの信号によって適宜に作動して、粉粒体4を貯蔵ホツパー1から所定流速でスケールホツパー3内に送給し得る機能を具備する限り、その送給機構はどの様なものであってもよい。」
(ケ) 5ページ左上欄15行~左下欄15行
「定められた量(第2,3図におけるW)の粉粒体4がスケールホツパー3に送給されると、その状態は送給速度検出器15自身或いは制御機構7部分で検知されて送給装置(電磁フイーダー2)の作動を停止すると共に、排出口16が開いて計量された粉粒体4はスケールホツパー3から排出され次工程へと送られる。そして粉粒体4の排出が終ると、排出口16が閉じると共に送給装置が作動して再び計量作業が行なわれる。…(中略)…かくして粉粒体の計量排出工程を短縮し正確にすると共に、計量排出工程はもとより計量排出された粉粒体の後処理工程の標準化を著しく簡素化し得ることとなつた。」
イ 引用文献1の記載から読み取れる事項の認定
(ア) 認定事項1の認定
前記ア(イ)における「本発明に係る定量排出装置とは、粉粒体貯蔵槽の排出部に設けた可変速送給装置と、該送給装置の後位に配置したスケールホツパーと、該ホツパー内への粉粒体の送給速度を検出する送給速度検出機構と、検出された送給速度と予め設定された高速送給時標準流速とを比較する比較機構と、該比較機構からの信号によって前記可変速送給装置の送給速度切換え時期を制御する変速時期制御機構とを具備してなる」との記載、及び、前記ア(ウ)における「第1図は本発明を模式化して示す説明図であり、1は粉粒体貯蔵ホツパー、2は可変速電磁フイーダー、3はスケールホツパー、4は粉粒体、仮想線で囲まれた5部分は送給速度検出機構、…(中略)…制御機構7には予め設定された高速時の標準速度と実測された送給速度を比較する比較機構と、比較機構からの信号によって可変速電磁フイーダー2の送給速度変換時期を制御する機構が内蔵されている」との記載を踏まえると、前記ア(イ)における「粉粒体貯蔵槽」、「可変速送給装置」及び「変速時期制御機構」は、それぞれ、前記ア(ウ)における「粉粒体貯蔵ホツパー」、「可変速電磁フイーダー」及び「送給速度変換時期を制御する機構」に対応することが明らかであるから、次の事項(以下「認定事項1」という。)を読み取ることができる。
<認定事項1>
「粉粒体貯蔵ホッパー1の排出部に設けた可変速電磁フィーダー2と、該送給装置の後位に配置したスケールホッパー3と、該ホッパー内への粉粒体の送給速度を検出する送給速度検出機構5と、検出された送給速度と予め設定された高速送給時標準流速とを比較する比較機構と、該比較機構からの信号によって前記可変速電磁フィーダー2の送給速度切換え時期を制御する変速時期制御機構とが内蔵されている制御機構7を具備してなる定量排出装置」
(イ) 認定事項2の認定
前記ア(ウ)における「7は制御機構であつて、」「可変速電磁フイーダー2の送給速度の変換時期を制御する」との記載、及び、前記ア(エ)における「第1図のP1は高速送給時における配線、P2は低速送給時における配線を示し、計量初期工程では電磁フイーダー2はP1経路によって作動され、送給速度変換後はP2経路によつて作動する」との記載を踏まえて、第1図を見ると、次の事項(以下「認定事項2」という。)が看取できる。
<認定事項2>
「制御機構7は、可変速電磁フィーダー2を、高速送給時における配線であるP1経路による作動から、低速送給時における配線であるP2経路による作動に変換する制御を行うものであること。」
(ウ) 認定事項3の認定
第1図を見ると、次の事項(以下「認定事項3」という。)が看取できる。
<認定事項3>
「粉粒体は、可変速電磁フィーダー2から落下することでスケールホッパー3に対して供給されること。」
ウ 引用発明の認定
前記イにおいて認定した事項及び前記アに摘記した引用文献1の記載事項を総合すると、引用文献1には、【第1図】及び【第2図】に係る次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。なお、認定の根拠となる記載箇所(前記アにおける項番)を括弧内に示した。
<引用発明>
「粉粒体を貯蔵槽から迅速かつ正確に秤量しつつ排出し得る定量排出装置であって、((ア))
粉粒体貯蔵ホッパー1の排出部に設けた可変速電磁フィーダー2と、該送給装置の後位に配置したスケールホッパー3と、該ホッパー内への粉粒体の送給速度を検出する送給速度検出機構5と、検出された送給速度と予め設定された高速送給時標準流速とを比較する比較機構と、該比較機構からの信号によって前記可変速電磁フィーダー2の送給速度切換え時期を制御する変速時期制御機構とが内蔵されている制御機構7を具備してなり、(認定事項1)
制御機構7は、可変速電磁フイーダー2を、高速送給時における配線であるP1経路による作動から、低速送給時における配線であるP2経路による作動に変換する制御を行うものであり、(認定事項2)
粉粒体貯蔵ホッパー1の下部にはスカート8及びゲート9が設けられると共に、更にその下方に可変速電磁フィーダ2を配置し、可変速電磁フィーダー2の後位には、送給される粉粒体を受けるスケールホッパー3が配置され、これは送給速度検出機構5と有機的に連結され、((ウ))
粉粒体は、可変速電磁フィーダー2から落下することでスケールホッパー3に対して供給され、(認定事項3)
送給速度検出機構5及び制御機構7は、種々の機構を採用することができ、送給速度検出機構5はレバー11及び支点10等を用いバランス型式を利用し、ラック歯13及びピニオン14を介して検出する機構を採用したが、一般的な重量検出機構等を適宜に組合せて適用してもよく、制御機構7の機構は、標準値と実測値との差や比率を比較検出しつつ次位の駆動源の作動時期や駆動力等を設定する一般的な自動制御機構を適宜に調整して適用することができ、((ク))
計量すべき粉粒体の重量W、望ましい計量時間Tは計量作業開始前に設定されており、((オ))
送給速度が制御機構7に送られると、この部分で実測された送給速度と高速送給時における標準速度とを比較すると共に、その差あるいは比率に応じて可変速電磁フィーダー2の送給速度変換時期を適宜に制御し、((エ))
粉粒体の流れ状態は常に一定とは限らず、計量時における諸条件によって相当変化し、高速送給時の流速が標準速度V0より速かったり、標準速度V0より遅かったりすることがあり、高速時における送給速度V1と標準速度V0との関係において変換時期を制御し、高速送給時の速度が速い時(V1の時)は、その速さの程度によって当然に計量容器に送給される粉粒体の増加速度も変化するから、標準の速度変換時期Taよりも早い最適の時期Tbに速度変換を行い、一方高速送給時の流速が標準流速V0より遅い時(V2の時)は同様にして標準の速度変換時期Taよりも遅い時期Tcに速度変換を行い、これらの速度変換時期の設定は、送給速度検出機構5及び制御機構7等によって自動的かつ適切に行われ、((オ))
高速送給時の実際の速度(V1)が標準速度(V0)より速いということは、その時の粉粒体の流れ状態が標準的な粉粒体の流れ状態よりも円滑であることを意味し、一方高速送給時の実際の速度(V2)が標準速度(V0)より遅いということは、その時の粉粒体の流れ状態が標準的な粉粒体の流れ状態よりも円滑でないことを意味するため、高速時の送給速度がV1であるような粉粒体を標準低速送給状態に速度変換した場合、この時の実際の低速送給速度V1’は標準の低速送給速度V0’よりも若干速くなる傾向があり、また高速時の実際の送給速度がV2に示される如く遅い場合には、速度変換後の実際の低速送給速度V2’は標準の低速送給速度V0’よりも若干遅くなる傾向があり、このため計量時間を一層正確に設定するには、((カ))
速度変換時期をTbやTc等に設定すると共に、速度変換後の低速送給速度が標準の低速送給速度V0’と等しくなる様に、低速送給時の送給駆動力を適宜に増減変更すれば計量時間を一層正確に設定できる効果が得られ、この場合は低速送給時における送給駆動力を無段変速可能に構成しておくことが望まれ、((キ)、(カ))
粉粒体の計量排出工程を短縮し正確にすると共に、計量排出工程はもとより計量排出された粉粒体の後処理工程の標準化を著しく簡素化し得る、((ケ))
定量排出装置。」
(3) 本件補正発明と引用発明の対比
ア 対比分析
本件補正発明と引用発明を対比する。
(ア) 構成Xの観点
a 構成Xは、「食材供給装置」の発明であることである。
b 引用発明の「定量排出装置」は、これにより「計量排出された粉粒体」を「後処理工程」に供給するものであるから、本件補正発明の「食材供給装置」と、「材料供給装置」である点で共通する。
c したがって、本件補正発明と引用発明の構成Xの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成Xの観点における一致点
「材料供給装置」の発明である点。
(b) 構成Xの観点における相違点
取り扱う材料が、
本件補正発明においては、「食材」であるのに対して、
引用発明においては、「粉粒体」である点。
(イ) 構成Aの観点
a 構成Aは、「食材を食材受容部に搬送供給する搬送手段」を有することである。
b 引用発明における「送給される粉粒体を受けるスケールホッパー3」は、本件補正発明における「食材受容部」と、「材料受容部」である点で共通する。
c 引用発明における「可変速電磁フィーダー2」は、その「後位に」「送給される粉粒体を受けるスケールホッパー3が配置され[る]」ため、スケールホッパー3に粉流体を送給する手段として機能しているといえるから、本件補正発明における「食材を食材受容部に搬送供給する搬送手段」と、「材料を材料受容部に搬送供給する搬送手段」である点で共通する。
d したがって、本件補正発明と引用発明の構成Aの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成Aの観点における一致点
「材料を材料受容部に搬送供給する搬送手段」を有する点。
(b) 構成Aの観点における相違点
取り扱う材料が、
本件補正発明においては、「食材」であるのに対して、
引用発明においては、「粉粒体」である点。
(ウ) 構成Bの観点
a 構成Bは、「前記搬送手段を駆動する搬送駆動手段」を有することである。
b 引用発明における「制御機構7」は、「可変速電磁フィーダー2」に「高速送給時における配線であるP1経路による作動」及び「低速送給時における配線であるP2経路による作動」を行わせるものであるから、前記(イ)cも踏まえると、本件補正発明における「搬送手段を駆動する搬送駆動手段」に相当する。
c したがって、本件補正発明と引用発明は、次の点において一致する。
「搬送手段を駆動する搬送駆動手段」を備える点。
(エ) 構成Cの観点
a 構成Cは、「食材受容部に供給される食材の重量を計測する計量手段」を有することである。
b 引用発明における「スケールホッパー3と、該ホッパー内への粉粒体の送給速度を検出する」「送給速度検出機構5」に「適宜に組合せて適用[される]」「一般的な重量検出機構」は、スケールホッパー3内に送給される粉粒体の重量を検出する機構であるといえるから、本件補正発明における「食材受容部に供給される食材の重量を計測する計量手段」と、「材料受容部に供給される材料の重量を計測する計量手段」である点で共通する。
c したがって、本件補正発明と引用発明の構成Cの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成Cの観点における一致点
「材料受容部に供給される材料の重量を計測する計量手段」を有する点。
(b) 構成Cの観点における相違点
取り扱う材料が、
本件補正発明においては、「食材」であるのに対して、
引用発明においては、「粉粒体」である点。
(オ) 構成Dの観点
a 構成Dは、「設定重量の食材が所定の目標時間で食材受容部に供給されるように前記搬送駆動手段を制御する制御手段」を有することである。
b 引用発明における「計量作業開始前に設定されて[いる]」「計量すべき粉粒体の重量W」は、本件補正発明における「食材」の「設定重量」と、「材料」の「設定重量」である点で共通する。
また、引用発明における「計量作業開始前に設定されて[いる]」「望ましい計量時間T」は、本件補正発明における「所定の目標時間」に相当する。
そのため、引用発明において、「計量すべき粉粒体の重量W、望ましい計量時間T」が「計量作業開始前に設定」されていることは、本件補正発明において「設定重量の食材が所定の目標時間で食材受容部に供給されるように」構成されていることと、「設定重量の材料が所定の目標時間で材料受容部に供給されるように」構成されている点で共通する。
c また、引用発明において、「望ましい計量時間T」が、「制御機構7」による「可変速電磁フィーダー2の送給速度」の「切換え時期を制御する」ことによって達成されることは明らかである。
d 前記b及びcから、本件補正発明における「制御手段」と引用発明における「制御機構7」は、「設定重量の材料が所定の目標時間で材料受容部に供給されるように前記搬送駆動手段を制御する制御手段」である点で共通する。
e したがって、本件補正発明と引用発明の構成Dの観点における一致点及び相違点は、次の(a)及び(b)に示すとおりである。
(a) 構成Dの観点における一致点
「設定重量の材料が所定の目標時間で材料受容部に供給されるように前記搬送駆動手段を制御する制御手段」を有する点。
(b) 構成Dの観点における相違点
取り扱う材料が、
本件補正発明においては、「食材」であるのに対して、
引用発明においては、「粉粒体」である点。
(カ) 構成Eの観点
a 構成Eは、「前記制御手段は、前記目標時間内での所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより速い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を遅くして食材の搬送速度を遅くし、所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を速くして食材の搬送速度を速くするように制御する」ことである。
b 引用発明における「制御機構7」は、本件補正発明の構成Eに相当する構成を備えていないから、本件補正発明と引用発明は、次の点において相違する。
本件補正発明においては、「制御手段」が、「前記目標時間内での所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより速い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を遅くして食材の搬送速度を遅くし、所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を速くして食材の搬送速度を速くするように制御する」のに対して、
引用発明においては、「速度変換後の低速送給速度が標準の低速送給速度V0’と等しくなる様に、低速送給時の送給駆動力を適宜に増減変更す[る]」よう制御する点。
イ 一致点及び相違点
前記アの対比分析の結果をまとめると、本件補正発明と引用発明は、次の(ア)に示す一致点において一致し、後記(イ)に示す相違点において相違すると認められる。
(ア) 一致点
「材料を材料受容部に搬送供給する搬送手段と、前記搬送手段を駆動する搬送駆動手段と、材料受容部に供給される材料の重量を計測する計量手段と、設定重量の材料が所定の目標時間で材料受容部に供給されるように前記搬送駆動手段を制御する制御手段とを有する材料供給装置」の発明である点。
(イ) 相違点
本件補正発明においては、取り扱う材料が「食材」であって、「制御手段」が「前記目標時間内での所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより速い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を遅くして食材の搬送速度を遅くし、所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を速くして食材の搬送速度を速くするように制御する」のに対して、
引用発明においては、取り扱う材料が「粉粒体」であって、「速度変換後の低速送給速度が標準の低速送給速度V0’と等しくなる様に、低速送給時の送給駆動力を適宜に増減変更す[る]」よう制御する点。
(4) 判断
ア 取り扱う材料が「食材」であることについて
引用発明の定量排出装置は、「粉粒体」を定量排出するものであるところ、粉粒体として様々な種類の材料を定量排出の対象としようとすることは、当業者が備える通常の創作能力の発揮にすぎない。
そして、小麦粉等の食材が粉粒体の形態で管理されることは、例を挙げるまでもなく周知技術であるから、引用発明の定量排出装置で管理する材料としてそのような食材を対象とすることが、当業者にとって格別困難なこととは認められない。
イ 「搬送速度」の「制御」について
(ア) 引用発明は、「高速送給時の実際の速度(V1)が標準速度(V0)より速いということは、その時の粉粒体の流れ状態が標準的な粉粒体の流れ状態よりも円滑であることを意味し、一方高速送給時の実際の速度(V2)が標準速度(V0)より遅いということは、その時の粉粒体の流れ状態が標準的な粉粒体の流れ状態よりも円滑でないことを意味するため、高速時の送給速度がV1であるような粉粒体を標準低速送給状態に速度変換した場合、この時の実際の低速送給速度V1’は標準の低速送給速度V0’よりも若干速くなる傾向があり、また高速時の実際の送給速度がV2に示される如く遅い場合には、速度変換後の実際の低速送給速度V2’は標準の低速送給速度V0’よりも若干遅くなる傾向があ[る]」との課題を認識した上で、「速度変換時期をTbやTc等に設定すると共に、速度変換後の低速送給速度が標準の低速送給速度V0’と等しくなる様に、低速送給時の送給駆動力を適宜に増減変更すれば計量時間を一層正確に設定できる効果が得られ、この場合は低速送給時における送給駆動力を無段変速可能に構成しておくことが望まれ[る]」としている。
(イ) そして、速度を目標速度と等しくなるように制御する際に、速度計測手段により計測された速度が目標速度よりも速い場合に、速度を遅くする制御を行い、速度計測手段により計測された速度が目標速度よりも遅い場合に、速度を速くする制御を行うことは、様々な分野において極めて普通に用いられる常套手段にすぎない。
(ウ) そのため、引用発明における、前記(ア)の「低速送給時における送給駆動力を無段変速可能に構成して」、「速度変換後の低速送給速度が標準の低速送給速度V0’と等しくなる様に、低速送給時の送給駆動力を適宜に増減変更す[る]」との構成について、前記アに示したように「食材」を定量排出の対象とする際、前記(イ)に示した常套手段を踏まえて、送給速度検出機構5で検出したスケールホッパー3内への食材の送給速度が、望ましい計量時間Tで計量すべき食材の重量Wに達する速度であるV0’よりも速い場合に、スケールホッパー3内への食材の送給速度を遅くして、望ましい計量時間Tで計量すべき食材の重量Wに達する速度であるV0’よりも遅い場合に、スケールホッパー3内への食材の送給速度を速くするように制御することは、当業者にとって自明な設計変更にすぎず、そのような制御を制御機構7に担わせることも格別なことではない。
ウ 相違点に係る構成の導出について
(ア) 引用発明において、前記アに示したように「食材」を定量排出の対象として、前記イの自明な設計変更を行うことにより、引用発明における「スケールホッパー3内への食材の送給速度」は、「粉粒体」としての食材が「落下することでスケールホッパー3に対して供給され[る]」ことから、本件補正発明における「所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペース」に相当することになる。
(イ) 同様にして、引用発明における「望ましい計量時間Tで計量すべき食材の重量Wに達する速度であるV0’よりも速い場合」は、本件補正発明における「食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより速い場合」に、引用発明における「望ましい計量時間Tで計量すべき食材の重量Wに達する速度であるV0’よりも遅い場合」は、本件補正発明における「食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合」に相当することになる。
(ウ) また、引用発明において、前記イの自明な設計変更の際、「スケールホッパー3内への粉粒体の送給速度を遅く」すること、及び、「スケールホッパー3内への粉粒体の送給速度を速くする」ことを、「制御機構7」による「スケールホッパー3」の駆動速度の制御により行うことや、このような制御を望ましい計量時間T内(本件補正発明における「目標時間内」に相当する。)での食材の送給速度の検出に基づいて行うことは、当業者であれば当然なし得たことである。
(エ) 以上の検討結果を踏まえると、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。
エ 総合評価
前記ア~ウにおいて検討したとおり、引用発明において、前記相違点に係る本件補正発明の構成を備えるようにすることは、引用発明に基づいて当業者が容易に想到し得たことである。
そして、本件補正発明が奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測・発見困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 請求人の主張について
(ア) 請求人の主張内容
請求人は、審判請求書において、引用文献1に記載の技術では、計量時間T内に低速度(低速時標準速度V0’)の増加直線に到達することができる高速度(V0,V1,V2)で粉粒体を送給することが必須条件となり、たとえ当業者といえども、粉粒体の送給速度が計量時間T内に低速度V0’の増加直線に到達することができないペースになった場合には計量時間Tにおいて粉粒体を目標重量に計量することできなくなるから、引用文献1に記載の技術に基づいて、本件補正発明を容易に想到することはできない旨主張する。
(イ) 請求人の主張についての検討
a 請求人の主張の内容は、そもそも本件補正発明と引用発明の間で相違する構成に対応付けられておらず、本願の請求項2の記載から離れたところの主張であるから、採用できないものである。
b もっとも、「粉粒体の送給速度が計量時間T内に低速度V0’の増加直線に到達することができないペースになった場合」を前提とした主張であることを踏まえると、請求人の上記主張は、引用発明が本件補正発明における「所定の単位時間経過したときにおける落下中に前記計量手段により計測された食材の重量の増加ペースが前記目標時間で前記設定重量に達するペースより遅い場合には前記搬送駆動手段の駆動速度を速くして食材の搬送速度を速くするように制御する」(以下「構成α」という。)に相当する構成を備えておらず、当業者が当該構成に想到することは容易でないとの主張であると解釈できる余地もあるため、以下ではそのように善解して検討することとする。
c 当該主張に関し、前記イにおいて説示したとおり、引用発明において「低速送給時」に構成αに相当する構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことであり、本件補正発明において構成αに係る制御を行う時期的条件については、「前記目標時間内における落下中」との特定しかないから、この点についても、当業者が引用発明に基づいて容易に想到し得た発明は、本件補正発明と相違しない。
d そして、引用発明において、粉粒体の送給速度が計量時間T内に低速度V0’の増加直線に到達することができるペースで制御する状況を想定できることは、当業者にとって明らかであるから、仮に特別なケースにおいて低速度V0’の増加直線に到達することができない事象が生じ得るとしても、そのような事情が引用発明において「低速送給時」に構成αに相当する構成を採用することを妨げるほどの要因となるとは認められない。
e したがって、請求人の主張は、前記エの結論を左右しない。
カ 独立特許要件の判断のまとめ
以上検討のとおり、本件補正発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正により請求項2についてする補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に適合しない。
4 本件補正の却下の決定の理由のむすび
前記3(4)カのとおり、本件補正は、同法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するから、同法159条1項において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、前記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明について
本件補正は、前記第2のとおり却下したので、本願の請求項2に係る発明(以下「本願発明」という。)は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項2(前記第2の1(1)参照)に記載された事項により特定されるとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由の概要
原査定の本願発明に対する拒絶の理由(進歩性の欠如)の概要は、次のとおりである。
理由2(進歩性の欠如) 本願発明は、出願前に発行された下記の引用文献に記載された発明に基づいて、出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
引用文献1.特開昭52-63365号公報
3 引用文献1に記載された事項及び引用発明の認定等
引用文献1に記載された事項、引用文献1の記載から読み取れる事項及び引用発明は、前記第2の3(2)ア~ウにおいて示したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、本件補正発明から、前記第2の2(1)に示した限定を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、その発明特定事項の一部を限定したものに相当する本件補正発明が、前記第2の3(4)において説示したとおり、引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により引用発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上検討のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2024-012637